実施の形態1.
この発明の実施の形態1による内燃機関の制御装置は、内燃機関の出力軸の回転角度を検出する回転角度検出手段と、回転電機の運転を内燃機関の運転状態に応じて制御する回転電機制御手段と、蓄電手段の蓄電量を監視する蓄電監視手段とを備え、回転電機制御手段は、内燃機関のアイドル運転時の回転速度が所定値以下で且つ蓄電監視手段が検出した蓄電量が所定値以下の場合である第3の運転状態のときには、蓄電量が所定値を超えている場合である第2の運転状態のときに於ける所定のタイミングとは異なるタイミングに基づいて回転電機を駆動領域と発電領域とで切替えて運転すると共に、その切替えるタイミングを変化させることを可能とし、且つその駆動領域に対する発電領域の割合を、第2の運転状態に於ける場合の駆動領域に対する発電領域の割合よりも増加させることを特徴とする。
前記切替えタイミングの変化と駆動領域に対する発電領域の割合の増加は、前記第3の運転状態に於ける前記発電領域の区間の終了時点を、前記第2の運転状態に於ける前記発電領域の区間の終了時点よりも延長することにより行われる。
更に、前記発電領域の区間の終了時点の延長は、前記駆動領域の終了時点から動作するカウンタの所定のカウント値に基づいて設定される。
又、前記カウンタの所定のカウント値は、少なくとも前記蓄電監視手段により得られた前記蓄電量と前記内燃機関の平均回転速度とをパラメータとして発電期間を設定したマップに基づいて設定される。
前記駆動領域に対する前記発電領域の割合の増加は、前記内燃機関の点火周期毎に行われる。
以下、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の制御装置について詳細に説明する。図1は、この発明の実施の形態1による内燃機関の制御装置の構成図である。図1に於いて、気筒内での燃料の燃焼によりトルクを発生するエンジン(以下、内燃機関と称する)1は、周知のように複数の気筒内での燃料の燃焼によりクランク軸を駆動し、出力軸100から回転トルクを発生する。回転電機であるモータジェネレータ4は、固定子に設けられた三相の電機子巻線(図示せず)と回転子に設けられた界磁巻線(図示せず)を備え、その回転子軸400が内燃機関1の出力軸100にベルト等のトルク伝達手段300を介して連結されている。
モータジェネレータ4は、内燃機関1によりトルク伝達手段300を介して運動エネルギーが回転子軸400に伝達され、且つ界磁巻線に電流が供給されるときは、発電機として動作し、その電機子巻線に発生した三相交流電力により後述する回転電機制御手段としてのモータジェネレータ制御装置10を介して蓄電手段としてのバッテリ2を充電する。このとき、モータジェネレータ4は内燃機関1の出力軸100に対してトルクを吸収する作用をなす。又、モータジェネレータ4が、その電機子巻線と界磁巻線とにバッテリ2から電流が供給されるときは三相交流電動機として動作し、その回転子に発生したトルクはトルク伝達手段300を介して内燃機関1の出力軸100に伝達される。このとき、モータジェネレータ4は内燃機関1の出力軸100に対してトルクを付与する作用をなす。
バッテリ2は、モータジェネレータ制御装置10を介してモータジェネレータ4の電機子巻線にワイヤハーネスにより接続されている。電流センサ3は、バッテリ2の端子に設置され、バッテリ2の充電電流又は放電電流を検出する。回転角度検出手段としてのクランク角センサ5は、内燃機関1の出力軸100に固定された歯車500の外周面に空隙を介して対向して設置されており、出力軸100の回転に伴い歯車500の個々の歯が空隙を通過する毎に発生するパルスを検出し、その検出したパルスに基づいてクランク軸の回転角度を検出する。
モータジェネレータ制御装置10は、トルク発生タイミング設定手段7と、トルク発生量設定手段8と、トルク発生吸収装置制御手段9、及び蓄電監視手段6を備えている。トルク発生タイミング設定手段7は、内燃機関1のアイドル回転時の回転速度が所定値よりも低い場合に、クランク角センサ5によって得られたパルスを回転角度に変換し、その回転角度と蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量に応じてモータジェネレータ4のトルクの発生タイミングを演算する。トルク発生量設定手段8は、内燃機関1のアイドル回転時の回転速度が所定値よりも低い場合に、クランク角センサ5によって得られたパルスを回転角度に変換し、その回転角度に基づいて、モータジェネレータ4の必要なトルクの発生量を設定する。
トルク発生吸収装置制御手段9は、トルク発生タイミング設定手段7によって設定されたトルク発生タイミングとトルク発生量設定手段8によって設定されたトルク発生量とに基づくトルクをモータジェネレータ4に発生させるために、モータジェネレータ4の界磁巻線に供給する界磁電流の目標値と電機子巻線に供給する相電流の目標値とを算出し、その算出結果に基づく指令を発生して相電流及び界磁電流を制御するスイッチング素子(図示せず)に供給してスイッチング制御を行なう。蓄電監視手段6は、バッテリ2の電圧と電流センサ3によって得られたバッテリ2の充電電流又は放電電流に基づいてバッテリ蓄電量を演算する。
モータジェネレータ制御装置10は、前述の、トルク発生タイミング設定手段7とトルク発生量設定手段8とトルク発生吸収装置制御手段9と蓄電監視手段6との他に、図示していないマイクロコンピュータ(以下、CPUと称する)と、ランダムアクセスメモリ(以下、RAMと称する)と、リードオンリーメモリ(以下、ROMと称する)、及びインターフェイス回路(以下、IF回路と称する)等を備え、バッテリ2から供給される電力により所定の動作を行うものである。
図2は、この発明の実施の形態1に於ける内燃機関の制御装置に於いて、蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合に於ける動作を示すタイムチャートであり、(a)はクランク角度、(b)は内燃機関回転速度、(c)は基本トルク発生タイミング、(d)は発電許可フラグ、(e)は界磁電流及び相電流、(f)は内燃機関トルク、(g)はモータジェネレータトルクを夫々示し、(h)は発電開始角度及び発電終了角度を記憶した発電開始角度・発電終了角度マップ、(i)は界磁電流及び相電流を記憶した界磁電流・相電流マップ、(j)はモータジェネレータトルク発生量を記憶したモータジェネレータトルクマップ、(k)は内燃機関トルクを記憶した内燃機関トルクマップを夫々示している。
図2に於いて、(a)に示す内燃機関1のクランク角度11は、時刻tの経過に伴なって周期的に変化し、この実施の形態1では、1点火周期を制御上の基本周期Tとしており、クランク角度11はその基本周期T毎にその値がリセットされる。(b)に示す内燃機関1の回転速度12は、時刻tの経過に伴なって周期的に変化し、その時間平均回転速度13で示される。内燃機関回転速度12は、クランク角度11を時間微分することにより求められる。内燃機関1は、最低回転速度付近で燃料に点火し、燃料の燃焼により回転速度12が上昇する。
図2の(c)に示すモータジェネレータ4の基本トルク発生タイミング14は、駆動領域Mと発電領域Gを有し、駆動領域Mのときは、モータジェネレータ4を電動機として駆動動作をさせることが可能であることを示し、発電領域Gのときは、モータジェネレータ4を発電機として発電動作をさせることが可能であることを示す。基本トルク発生タイミング14が発電領域Gとなり始める時刻t0、t2、t4に於けるクランク角度11を発電開始角度とし、基本トルク発生タイミング14が駆動領域Mとなり始める時刻t1、t3に於けるクランク角度11を発電終了角度とする。駆動開始角度は発電終了角度に等しい。基本トルク発生タイミング14は、モータジェネレータ制御装置10のROM内に記憶されている図2の(h)に示す発電開始角度・発電終了角度マップに基づいて決定される。図2の(h)に示す発電開始角度・発電終了角度マップについては後述する。
図2の(d)に示すモータジェネレータ4の発電動作若しくは駆動動作を決定する発電許可フラグ15は、基本トルク発生タイミング14が駆動領域Mから発電領域Gに変化したタイミングである時刻t0、t2、t4でセットされて「1」となり、基本トルク発生タイミング14が発電領域Gから駆動領域Mに変化したタイミングである時刻t1、t3で発電許可フラグ15がリセットされて「0」となる。
発電許可フラグ15が「0」のときは、モータジェネレータ4は、モータジェネレータ制御装置10の制御に基づいて界磁電流と相電流が供給されて電動機としての駆動動作を行い、内燃機関1に対してトルクを付与する。他方、発電許可フラグ15が「1」のときは、モータジェネレータ4は、モータジェネレータ制御装置10の制御に基づいて界磁電流が供給されて発電機としての発電動作を行い、内燃機関1に対してトルクを吸収する。
図2の(e)に示す相電流16は、モータジェネレータ3の固定子に設けられた三相コイルに流れる電流であり、界磁電流17は、モータジェネレータ3の回転子に設けられた磁界コイルに流れる電流である。モータジェネレータ4は、相電流16と界磁電流17とバッテリ2の電圧との値に基づいて動作が決定される。相電流16と界磁電流17は、モータジェネレータ制御装置10によって制御され、その大きさは後述する図2の(i)に示すモータジェネレータ制御装置10内のROMに記憶されている界磁電流・相電流マップにより決定される。
図2の(f)に示す内燃機関トルク18は、平均内燃機関回転速度13毎に予め計測されてモータジェネレータ制御装置10のROM内に記憶されている後述する図2の(k)に示す内燃機関トルクマップにより計算される。図2の(g)に示すモータジェネレータ4の運転により発生するモータジェネレータトルク19は、図2の(j)に示すモータジェネレータ制御装置10のROM内に記憶されている後述するモータジェネレータトルクマップにより計算されたトルク発生量に基づいてモータジェネレータ制御装置10から出力される相電流16と界磁電流17とバッテリ2の電圧の値により、その大きさが決定される。
内燃機関トルク18に対してモータジェネレータトルク19を付与又は吸収することで、内燃機関1の出力側におけるトルク変動を小さくすることができ、これにより内燃機関1の振動を低減することができる。図2の(h)に示す発電開始角度・発電終了角度マップに於けるモータジェネレータ4の発電開始角度20、及びモータジェネレータ4の発電終了角度21は、モータジェネレータ制御装置10のROM内に記憶されており、平均内燃機関回転速度13に基づいてその値が決定される。
図2の(i)に示す界磁電流・相電流マップに於けるモータジェネレータ4の三相コイル内に流れる相電流22、及びはモータジェネレータ4の界磁コイルに流れる界磁電流23は、モータジェネレータ制御装置10のROM内に記憶されている図2の(k)に示す後述の内燃機関トルクマップに基づいて計算されたトルク発生量によりその値が決定される。
図2の(j)に示すモータジェネレータトルクマップに於いて、X軸は平均内燃機関回転速度13を示し、Z軸(図示せず)はクランク角度11を示している。モータジェネレータトルク24は、単位クランク角度毎に値を持っていて、X軸とZ軸の線形補完によりその値が算出される。図2の(k)に示す内燃機関トルクマップに於ける内燃機関トルク25は、平均内燃機関回転速度13毎に予め計測され、モータジェネレータ制御装置10内のROMに記憶されて固定されており、内燃機関回転速度12に基づいてその値が決定される。
図3は、この発明の実施の形態1に於ける内燃機関の制御装置に於いて、蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合に於ける動作を示す説明図である。図3に於いて、(a)は内燃機関回転速度、(b)は基本トルク発生タイミングを示し、図2の(b)、(c)に夫々対応する。図3の(c)は発電機間延長カウンタ、(d)は発電許可フラグ、(e)は界磁電流及び相電流、(f)は内燃機関トルク、(g)はモータジェネレータトルクを夫々示す。図3の(e)、(f)、(g)は、夫々図2の(e)、(f)、(g)に対応する。又、図2の(h)に示す発電開始角度・発電終了角度マップ、(i)に示す界磁電流・相電流マップ、(j)に示すモータジェネレータトルクマップ、(k)に示す内燃機関トルクマップは、図3に示す動作の場合にも共通に用いられる。
図3の(a)に於いて、時刻により変化する内燃機関回転速度26は、時間平均回転速度27を有する。図3の(b)にモータジェネレータ4の基本トルク発生タイミング28が示されている。図3の(d)に示す発電許可フラグ30が「0」のときには、モータジェネレータ制御装置10からモータジェネレータ4に界磁電流32と相電流31が供給され、モータジェネレータ4を電動機として駆動し、内燃機関1にトルクを付与する。他方、発電許可フラグ30が「1」のときには、モータジェネレータ制御装置10からモータジェネレータ4に界磁電流32が供給され、モータジェネレータ4を発電機として動作させ、内燃機関1に対してトルクを吸収する。
図3の(c)に示す発電期間延長カウンタ29は、基本トルク発生タイミングが駆動領域Mから発電領域Gに変化したタイミングである時刻t0で発電許可フラグ30がセットされて「1」になると同時に所定値にセットされる。発電許可フラグ30は、発電期間延長カウンタ29のカウント値が0になるまでリセットされないように構成されており、従って「1」にセットされている発電許可フラグ30は、時刻t0〜t5、t2〜t6の所定期間は「1」を持続し、発電許可フラグ30が「1」である期間が、図2で示したバッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合に比べてt1〜t5、t3〜t6の間、延長される。
ここで、発電期間延長カウンタ29によりセットされる所定値は、基本トルク発生タイミング28の発電開始角度から発電終了角度に達する時間よりも長い時間に設定されている。このようにして、図2で示したバッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合での発電許可フラグ15と比較して、発電許可フラグ30が「1」である期間を延長できる結果、蓄電監視手段5によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合は、モータジェネレータ4が発電状態である期間を延長することができる。
次に、この発明の実施の形態1に係る内燃機関の制御装置の電動機としての制御動作について、図4、図5、図6、図7、図8に示すフローチャートに基づいて説明する。図4は、運転状態判定ルーチンを示し、先ず、ステップS101に於いて、内燃機関1がアイドル運転か否かの判定を行い、アイドル運転中であれば(Yes)、ステップS102へ進む。アイドル中でなく走行中であれば(No)、モータジェネレータ4を発電状態で動作させる通常の内燃機関制御を実行するべくステップS104へ進み、第1運転状態フラグを「1」にセットする。
ステップS102では、内燃機関回転速度Neと電動機制御実行判定内燃機関回転速度Neiとを比較する。内燃機関回転速度Neが電動機制御実行判定内燃機関回転速度Neiよりも大きい場合(No)は、電動機制御を実行する必要がないと判断し、通常の内燃機関制御に従属するべくステップS104へ進み、第1運転状態フラグをセットして「1」とする。内燃機関回転速度Neが電動機制御実行判定内燃機関回転速度Neiよりも小さい場合(Yes)は、アイドル回転速度低下に伴い発生する内燃機関1のトルク変動を抑制する必要があると判断し、電動機制御を実行するべくステップS103へ進む。
ステップS103では、バッテリ2の蓄電量の低下の有無の判定を行う。蓄電監視手段6によって得られた蓄電量が、予め設定された所定の蓄電量よりも小さい場合(Yes)は、バッテリの蓄電量が低下しており、電動機制御を変更することによりバッテリ2の蓄電量を増大させる必要があると判断し、ステップS106へ進み、第3運転状態フラグをセットして「1」とする。他方、蓄電監視手段6によって得られた蓄電量が、予め設定された所定の蓄電量よりも大きい場合(No)は、バッテリ2の蓄電量は低下しておらず、電動機制御を変更する必要はないと判断し、ステップS105に進み、第2運転状態フラグを「1」にセットする。
次に、ステップS107では、第1運転状態フラグが「1」であるか否かを判定し、フラグが「1」であれば(Yes)、ステップS108へ進み、通常の内燃機関制御に従属する。他方、第1運転状態フラグが「0」であれば、ステップS109へ進み、電動機制御を実行するために図5に示す電動機制御演算処理ルーチンにジャンプする。
図5に示す電動機制御演算処理ルーチンでは、ステップS201に於いて、モータジェネレータ4の発電を許可するか否かを判定するために、図6に示すトルク発生タイミング演算処理ルーチンにジャンプし、以下の動作を行なう。即ち、図6に於いて、ステップS301では、クランク角センサ5により検出されるクランク角度に基づいて、内燃機関1の回転速度を算出し、ステップS302に進む。
ステップS302では、トルク発生タイミング設定手段7に於いて、モータジェネレータ4の発電を開始させる発電開始角度とモータジェネレータ4の発電を終了させる発電終了角度を、平均内燃機関回転速度をパラメータとした図9及び図10に示す基本トルク発生タイミングマップより特定し、ステップS303へ進む。図9及び図10に示す基本トルク発生タイミングマップは、図2の(h)に示す発電開始角度・発電終了角度マップに対応する。
次に、図6のステップS303に於いて、前述の図4のフローチャートにて説明した第3運転状態フラグが「0」(第2運転状態フラグが「1」)であるか否かを判定し、第3運転状態フラグが「0」であれば(No)、蓄電量は低下していないと判断し、電動機制御を実行するべくステップS304へ進む。ステップS304では、クランク角センサ5で得られたクランク角度が、ステップS302で設定した発電開始角度から発電終了角度の範囲内にあるかを判定し、範囲内にあるとき(Yes)は、ステップS305へ進み、発電許可フラグをセットして「1」とし、範囲外にあるとき(No)は、ステップS306へ進み、発電許可フラグを「0」にリセットし、図5の電動機制御演算処理ルーチンへリターンする。
又、図6のステップS303に於いて第3運転状態フラグが「1」であると判定すれば(Yes)、蓄電量は低下していると判断し、ステップS307へ進む。ステップS307では、前回の発電許可フラグが「0」であれば、電動機制御を変更し、発電状態の期間を延長するべく図7に示す発電期間延長制御ルーチンにジャンプする。又、前回の発電許可フラグが「1」であれば、電動機制御を実行するべくステップS304へ進む。
図7に示す発電期間延長制御ルーチンにジャンプすると、ステップS401では、クランク角センサ5で得られたクランク角度が、図6のステップS302で設定した発電開始角度から発電終了角度の範囲内にあるかを判定し、範囲内にあるとき(Yes)は、ステップS402へ進み、図8に示す発電許可カウントルーチンへジャンプし、範囲外であるとき(No)は、ステップS403へ進む。
図8に示す発電許可カウントルーチンへジャンプすると、ステップS501では、発電許可フラグが「0」から「1」へ変化した時点、つまりモータジェネレータ4が駆動領域Mから発電領域Gに変化した時点を検出する。もし、モータジェネレータ4が駆動領域Mから発電領域Gに変化した時点であれば(Yes)、ステップS502へ進み、発電許可カウンタを後述する所定値にセットし、駆動領域Mから発電領域Gに変化した時点でなければ(No)、発電許可カウンタを減算(0になると止まる)し、図7のフローチャートへリターンする。
モータジェネレータ4の発電期間である発電許可カウンタの所定値は、蓄電監視手段6によって得られた蓄電量及び内燃機関回転速度をパラメータとして制御マップから特定する。つまり、発電許可カウンタの所定値は、モータジェネレータ制御装置10のROM内に記憶されているマップに基づいて、その蓄電量と内燃機関回転数により値が決定される。図11は、任意の内燃機関回転速度毎に設定された発電期間マップであり、X軸は蓄電量、Y軸は発電期間を示す。この発電期間マップは、内燃機関の回転速度毎に設けられており、発電許可カウンタの所定値は、内燃機関の回転速度に応じたマップから蓄電量に対応した所定値として算出される。
次に、図7に示す発電期間延長制御ルーチンのステップS403では、発電許可カウンタが0になっていれば、発電状態を終了可能と判断し、発電許可フラグをリセットして「0」とする。もしそうでなければ、発電許可フラグをセットして「1」とし、図5に示す電動機制御演算処理ルーチンフローチャートへリターンする。
図5に示す電動機制御演算処理ルーチンへリターンし、そのステップS202では、トルク発生量設定手段8に於いて振動を低減するために必要なモータジェネレータ4のトルク発生量を、内燃機関1の回転速度と角度から、内燃機関トルクマップ及びモータジェネレータトルクマップに基づいて算出する。モータジェネレータ制御装置10内の図示しないROMには、前述したように回転速度毎に計測された内燃機関1のトルクが図2の(k)に示す内燃機関トルクマップとして記憶されている。又、前述したように、ROM内には回転速度とモータジェネレータ4の界磁電流とモータジェネレータ3の相電流を変化させた場合に発生するモータジェネレータ4のトルク量も図2の(j)に示すモータジェネレータトルクマップとして記憶されている。
次にステップS203では、ステップS202で設定されたモータジェネレータ4のトルク発生量に基づいて、モータジェネレータ4の動作に必要な界磁電流と相電流の目標値を図2の(i)に示す界磁電流・相電流マップに基づいて演算し、ステップS204へ進み、発電許可フラグが「1」であるかどうかを判定する。発電許可フラグが「1」である場合(Yes)は、ステップS205に進み、モータジェネレータ4を発電機として動作させ、発電許可フラグが「1」でない場合(No)は、ステップ206に進んでモータジェネレータ4を電動機として動作させる。
以上述べたように、この発明の実施の形態1による内燃機関の制御装置によれば、電動機制御の実行時に於いて、バッテリ2の蓄電量が所定値よりも小さい場合は、電動機制御の内容を変更することにより、発電状態と駆動状態の切替えタイミングを可変とし、予め設定された発電期間に応じて、発電終了時期を延長することにより、モータジェネレータ4の駆動領域の期間に対する発電領域の期間の割合を増加することが可能となる結果、内燃機関1が発生する振動を抑制しつつ、バッテリへの充電期間を長くすることが可能となり、バッテリの蓄電量が過度に低下することを防止することができる。
実施の形態2.
この発明の実施の形態2による内燃機関の制御装置は、内燃機関の出力軸の回転角度を検出する回転角度検出手段と、回転電機の運転を内燃機関の運転状態に応じて制御する回転電機制御手段と、蓄電手段の蓄電量を監視する蓄電監視手段とを備え、回転電機制御手段は、内燃機関のアイドル運転時の回転速度が所定値以下で且つ蓄電監視手段が検出した蓄電量が所定値以下の場合である第3の運転状態のときには、蓄電量が所定値を超えている場合である第2の運転状態のときに於ける所定のタイミングとは異なるタイミングに基づいて回転電機を駆動領域と発電領域とで切替えて運転すると共に、その切替えるタイミングを変化させることを可能とし、且つその駆動領域に対する発電領域の割合を、第2の運転状態に於ける場合の駆動領域に対する発電領域の割合よりも増加させるものであって、その切替えタイミングの変化と駆動領域に対する発電領域の割合の増加は、前記内燃機関の平均回転速度をパラメータとして発電開始角度と発電終了角度を設定したマップに基づいて前記発電領域を設定することにより行われることを特徴とする。
前記駆動領域に対する前記発電領域の割合の増加は、前記内燃機関の点火周期毎に行われる。
次に、この発明の実施の形態2に係る内燃機関の制御装置について説明する。図12は、この発明の実施の形態2に於ける制御装置に於いて、蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合に於ける動作を説明するタイムチャートであり、(a)は内燃機関回転速度、(b)は基本トルク発生タイミング、(c)は後述する第2トルク発生タイミング、(d)は発電許可フラグ、(e)は界磁電流及び相電流、(f)は内燃機関トルク、(g)はモータジェネレータトルクを夫々示し、(h)は発電開始角度及び発電終了角度を記憶した発電開始角度・発電終了角度マップを示している。
尚、この発明の実施の形態2に於ける制御装置に於いて、蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合に於けるタイムチャートは、実施の形態1に於ける図2のタイムチャートに等しい。
以下、実施の形態2の制御装置について、蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合における内燃機関の電動機制御装置の動作について、図12に基づいて、この発明の第1の実施例に於けるタイムチャートと異なる部分を主体に説明する。
図12の(a)に於いて、時刻により変化する内燃機関回転速度35は、時間平均回転速度36を有している。(b)に示すモータジェネレータ4の基本トルク発生タイミング14は、実施の形態1に於ける図2の(c)に示すバッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合の基本トルク発生タイミングと同一のものであり、駆動領域Mと発電領域Gを有し、駆動領域Mのときは、モータジェネレータ4を電動機として駆動動作をさせることが可能であることを示し、発電領域Gのときは、モータジェネレータ4を発電機として発電動作をさせることが可能であることを示す。図12の(c)に示す第2トルク発生タイミング37は、蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合におけるモータジェネレータ4のトルク発生タイミングであり、駆動領域Mと発電領域Gを有する。
図12の(d)に示す発電許可フラグ38が「0」のときには、モータジェネレータ制御装置10からモータジェネレータ4に界磁電流と相電流が供給されて電動機として駆動され、内燃機関1にトルクを付与する。他方、発電許可フラグ38が「1」のときには、モータジェネレータ制御装置10からモータジェネレータ4に界磁電流が供給されて発電機として動作し、内燃機関1に対してトルクを吸収する。
第2トルク発生タイミング37が駆動領域M1から発電領域G1に変化するタイミングである時刻t01で発電許可フラグ38はセットされて「1」となり、第2基本トルクタイミング37が発電領域Gから駆動領域Mに変化するタイミングである時刻t11にて発電許可フラグ38はリセットされて「0」となる。
図12の(c)に示すように、第2トルク発生タイミング37は、この発明の第1の実施例に於いて図2の(c)で示した基本トルク発生タイミング、即ち図12の(b)に示す基本トルク発生タイミングよりも、発電開始角度と発電終了角度の差が大きくなるように設定されている。この発電開始角度と発電終了角度は、図12の(h)に示すモータジェネレータ制御装置8のROM内に記憶されている発電開始角度・発電終了角度マップに基づいて決定され、発電許可フラグ38が「1」である期間をt1からt11までの期間だけ長期間とされる結果、バッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合の発電期間であるt0からt1までの期間に対して、バッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合に於ける発電期間であるt01からt11までの期間を長期化することとなる。
この発明の実施の形態2に係る内燃機関の制御装置の電動機制御としての動作は、実施の形態1の図5で説明した電動機制御処理ルーチンに於けるステップS201でのトルク発生タイミング演算処理のみが異なる。
次に、図13に示すフローチャートを用いてそのトルク発生タイミング演算処理ルーチンの動作を説明する。実施の形態1に於ける図5に示すフローチャートのステップS201から、図13に示すトルク発生タイミング演算処理ルーチンにジャンプすると、先ず、ステップS601にて、クランク角センサ5により得られるクランク角度に基づいて、内燃機関1の回転速度を算出する。次に、ステップS602に進み、図4に示すステップS106に於ける第3運転状態フラグが「0」(第2運転状態フラグが「1」)であるか否かを判定する。その判定の結果、第3運転状態フラグが「0」である場合は、図4により説明したようにステップS103にてバッテリ2の蓄電量の低下の有無の判定を行った結果、蓄電監視手段6によって得られた蓄電量が、予め設定された所定の蓄電量よりも小さくないと判定したことを意味しており、従って、蓄電量は低下していないと判断し、ステップS603へ進む。
ステップS602にて蓄電量は低下していないと判断された場合は、トルク発生タイミング設定手段7に於いて、モータジェネレータ4の発電を開始させる発電開始角度とモータジェネレータ4の発電を終了させる発電終了角度を、図12の(b)に示す基本トルク発生タイミングを形成するように、平均内燃機関回転速度をパラメータとした図9及び図10に示す基本トルク発生タイミングマップに基づいて特定する。
他方、ステップ602による判定の結果、第3運転状態フラグが「0」でない、即ち「1」であると判定した場合は、蓄電量は低下していると判断し、ステップ604へ進む。ステップS604では、トルク発生タイミング設定手段7に於いて、モータジェネレータ4の発電を開始させる発電開始角度とモータジェネレータ4の発電を終了させる発電終了角度を、平均内燃機関回転速度をパラメータとした図14と図15に示す第2トルク発生タイミングマップより特定する。図14及び図15に示す第2トルク発生タイミングマップの発電開始角度と発電終了角度の差、即ちモータジェネレータ4の発電流域Gの期間は、図9及び図10に示す基本トルク発生タイミングマップの発電開始角度と発電終了角度の差よりも大きくなるように設定されている。
次に、ステップS605に進み、クランク角センサ5で得られたクランク角度が、ステップS603若しくはステップS604で設定した発電開始角度から発電終了角度の範囲内にあるかを判定し、その範囲内にあるときはステップS606へ進み、発電許可フラグをセットして「1」とし、範囲外であるときはステップS607へ進み、発電許可フラグをリセットして「0」とし、図5に示す電動機制御演算処理ルーチンのステップS202へリターンする。
以上述べたように、この発明の実施の形態2による内燃機関の制御装置によれば、電動機制御実行時に於いて、バッテリ2の蓄電量が所定値よりも小さい場合は、電動機制御の内容を変更することにより、発電領域と駆動領域の切替えタイミングを可変とし、予め設定された第2トルク発生タイミングマップにより、点火周期間でクランク角度に応じて設定されるモータジェネレータ4の発電開始時期と発電終了時期の間隔を拡大させることにより、モータジェネレータ4の駆動期間に対する発電期間の割合を増加することが可能となる結果、内燃機関1が発生する振動を抑制しつつ、バッテリ2の充電期間を長くすることが可能となり、バッテリの蓄電量が過度に低下することを防止することができる。
実施の形態3.
この発明の実施の形態3による内燃機関の制御装置は、内燃機関の出力軸の回転角度を検出する回転角度検出手段と、回転電機の運転を内燃機関の運転状態に応じて制御する回転電機制御手段と、蓄電手段の蓄電量を監視する蓄電監視手段と、内燃機関の点火周期より短い所定区間内に於ける内燃機関の回転速度瞬時値を演算する回転速度瞬時値演算手段を備え、回転電機制御手段は、内燃機関のアイドル運転時の回転速度が所定値以下で且つ蓄電監視手段が検出した蓄電量が所定値以下の場合である第3の運転状態のときには、蓄電量が所定値を超えている場合である第2の運転状態のときに於ける所定のタイミングとは異なるタイミングに基づいて回転電機を駆動領域と発電領域とで切替えて運転すると共に、その切替えるタイミングを変化させることを可能とし、且つその駆動領域に対する発電領域の割合を、第2の運転状態に於ける場合の駆動領域に対する発電領域の割合よりも増加させるものであって、その切替えタイミングの変化と駆動領域に対する発電領域の割合の増加は、前記回転速度瞬時値演算手段により演算した回転速度瞬時値が所定の瞬時回転速度値以下となったとき回転電機の発電を停止することにより行なうことを特徴としている。
前記所定の瞬時回転速度値は、少なくとも前記蓄電監視手段により得られた前記蓄電量
に基づいて設定される。
前記駆動領域に対する前記発電領域の割合の増加は、前記内燃機関の点火周期毎に行われる
次に、この発明の実施の形態3に係る内燃機関の制御装置について説明する。図16は、この発明の実施の形態3に於ける制御装置に於いて、蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合の動作を示すタイムチャートで、(a)は内燃機関回転速度、(b)は基本トルク発生タイミング、(c)は発電機期間延長フラグ、(d)は発電許可フラグ、(e)は界磁電流及び相電流、(f)は内燃機関トルク、(g)はモータジェネレータトルクを夫々示している。尚、実施の形態3に於いて、蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合におけるタイムチャートは、図2に示したこの発明の実施の形態1に於けるタイムチャートに等しい。
以下、図16を用いて蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合に於ける内燃機関の制御装置の動作について、図2に示したこの発明の実施の形態1に於けるタイムチャートと異なる部分を主体に説明する。
図16の(a)に於いて、45は瞬時内燃機関回転速度を表し、46は発電停止瞬時内燃機関回転速度を表す。図16の(b)に示すモータジェネレータ4の基本トルク発生タイミング47は、実施の形態1に於ける図2の(c)に示すバッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合の基本トルク発生タイミングと同一のものであり、駆動領域Mと発電領域Gを有し、駆動領域Mのときは、モータジェネレータ4を電動機として駆動動作をさせることが可能であることを示し、発電領域Gのときは、モータジェネレータ4を発電機として発電動作をさせることが可能であることを示す。
図16の(d)に示す発電許可フラグ49が「0」のときには、モータジェネレータ制御装置10からモータジェネレータ4に界磁電流と相電流が供給されて電動機として駆動され、内燃機関1にトルクを付与し、他方、発電許可フラグ49が「1」のときには、モータジェネレータ制御装置10からモータジェネレータ4に界磁電流が供給されて発電機として動作し、内燃機関1に対してトルクを吸収する。
図16の(c)に示す発電延長フラグ48は、基本トルク発生タイミング47が駆動領域Mから発電領域Gに変化したタイミングである時刻t0で発電許可フラグ49が「1」にセットされ、基本トルク発生タイミング47が発電領域Gから駆動領域Mに変化したタイミングである時刻t1になると同時に「1」にセットされ、瞬時内燃機関回転速度45が発電停止瞬時内燃機関回転速度46よりも小さくなる時刻t11までの間、発電延長フラグ48は「0」にリセットされない。
発電延長フラグ48が「1」である間は、発電許可フラグ49をリセットして「0」にすることができないため、発電許可フラグ49が「1」である期間をt1からt11間長期化できる結果、バッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合の発電期間であるt0からt1までの期間に対して、バッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合における発電期間t0からt11までの期間は長期化されることとなる。
この発明の実施の形態3に係る内燃機関の制御時の動作は、実施の形態1の場合の図6に示すトルク発生タイミング演算処理ルーチンに於けるステップS308での発電期間延長制御ルーチンのみが異なる。
以下、図17に示すフローチャートを用いて、その発電期間延長制御ルーチンの動作を説明する。図6に示すフローチャートに於いて、ステップS308にて図17に示す発電期間延長処理ルーチンにジャンプすると、まずステップS701に於いて、クランク角センサ5で得られたクランク角度が、図6のステップS302で設定した発電開始角度から発電終了角度の範囲内にあるかを判定し、範囲内にあるとき(Yes)は、ステップS702へ進み、範囲外であるとき(No)は、ステップS703へ進む。
ステップS702では、発電許可フラグ49が「1」から「0」に変化した時点、つまりモータジェネレータ4が発電領域Gから駆動領域Mに変化した時点を検出する。もし、モータジェネレータ4が発電領域Gから駆動領域Gに変化した時点であれば(Yes)、ステップS704へ進み、発電延長フラグ48をセットして「1」とする。モータジェネレータ4が発電領域Gから駆動領域Gに変化した時点でなければ(No)、ステップS710へ進み、発電許可フラグ49をセットして「1」とし、図6のフローチャートへリターンする。
ステップS704にて発電延長フラグ48をセットして「1」にすれば、次に、ステップS705に進み、クランク角センサ5から得られるクランク角度に基づいて、点火工程区間より短い所定区間の平均回転速度である瞬時回転速度Nerを算出する。次に、ステップS706では、発電停止瞬時回転速度Nejを、蓄電監視手段6によって得られたバッテリ蓄電量をパラメータとした図18に示す制御マップから算出する。
次に、ステップS707では、ステップS705で算出した瞬時回転速度Nerと、ステップS706で算出した発電停止瞬時回転速度Nejとを比較する。その結果、Ner≦Nejの場合(Yes)は、瞬時回転速度Nerが発電停止瞬時回転速度Nejよりも低いので、モータジェネレータ4が発電した場合、発電負荷により内燃機関回転数の低下が発生すると判断し、ステップS708へ進んで発電延長フラグをリセットして「0」とする。次に、ステップS709に進み、発電許可フラグをリセットして「0」とし、図6のフローチャートにリターンする。
他方、ステップS707での比較の結果、Ner>Nejの場合(No)には、瞬時回転速度Nerが発電停止瞬時回転速度Nejよりも高いので、ジェネレータ4が発電した場合、モータジェネレータ4の発電により、内燃機関1のトルクが吸収され内燃機関回転数の上昇を抑制することが可能となるとともに、バッテリ2への充電が可能であると判断し、ステップS710に進み、発電許可フラグをセットして「1」とし、図6のフローチャートにリターンする。
以上述べたこの発明の実施の形態3による内燃機関の制御装置によれば、電動機制御実行時において、バッテリ2の蓄電量が所定値よりも小さい場合は、電動機制御の内容を変更することにより、発電領域と駆動領域の切替えタイミングを可変とし、瞬時内燃機関回転速度が、予め設定された発電停止瞬時内燃機関回転速度よりも小さくなるまでモータジェネレータ4の発電終了時期を延長することにより、モータジェネレータ4の駆動期間に対する発電期間の割合を増加することが可能となる結果、内燃機関1が発生する振動を抑制しつつ、バッテリ2への充電期間を長くすることが可能となり、バッテリの蓄電量が過度に低下することを防止することができる。
実施の形態4.
この発明の実施の形態4による内燃機関の制御装置は、内燃機関の出力軸の回転角度を検出する回転角度検出手段と、回転電機の運転を内燃機関の運転状態に応じて制御する回転電機制御手段と、蓄電手段の蓄電量を監視する蓄電監視手段とを備え、内燃機関のアイドル運転時の回転速度が所定値以下で且つ蓄電監視手段が検出した蓄電量が所定値以下の場合である第3の運転状態のときには、回転電機の発電電圧の目標値を、蓄電量が所定値を超える場合である第2の運転状態に於ける回転電機の発電電圧の目標値とは異なる値とすると共に、その目標値を変化させることを可能としたことを特徴とする。
前記発電機の目標値は、前記蓄電監視手段により検出した前記蓄電手段の蓄電量と所定値との偏差に基づいて設定される。
又、回転電機の界磁電流を補正する界磁電流補正手段を備え、前記第3の運転状態のときに前記発電電圧の目標値に基づいて前記回転電機の界磁電流を補正する。
次に、この発明の実施の形態4に係る内燃機関の制御装置について説明する。図19はこの発明の実施の形態4に係る内燃機関の制御装置の構成図である。図19に於いて、モータジェネレータ制御装置59は、モータジェネレータ4を制御する信号を出力するものであり、蓄電監視手段54と、トルク発生タイミング設定手段55と、トルク発生量設定手段56と、トルク発生吸収装置制御手段57と、界磁電流補正手段58と備えている。
又、これらの手段54〜58の他に、図示していないCPUと、RAMと、ROM、及びIF回路等を備え、バッテリ2から供給される電力により所定の動作を行うものである。その他の構成は、図1に示す実施の形態1に示す内燃機関の制御装置と同様である。
蓄電監視手段54は、バッテリ2の電圧と、電流センサ3によって得られたバッテリ2の充電電流若しくは放電電流に基づいてバッテリ2の蓄電量を演算する。トルク発生タイミング設定手段55は、内燃機関1のアイドル時の回転速度が所定値よりも低い場合には、クランク角センサ5によって得られたパルスを回転角度に変換し、その角度によってトルクの発生タイミングを演算する。
トルク発生量設定手段56は、内燃機関1のアイドル時の回転速度が所定値よりも低い場合には、クランク角センサ5によって得られた回転角度をもとに必要なトルクの発生量を設定する。トルク発生吸収装置制御手段57は、トルク発生タイミング設定手段55によって設定されたトルク発生タイミングとトルク発生量設定手段56によって設定されたトルク発生量に基づいてモータジェネレータ4にトルクを発生させるための界磁電流と相電流の目標値を算出し、その指令をモータジェネレータ4に与える。界磁電流補正手段58は、トルク発生吸収装置制御手段57に於いて設定された界磁電流を、目標電圧に応じて補正する。
図20は、この発明の実施の形態4に於ける内燃機関の制御装置の動作を表すタイムチャートで、蓄電監視手段54によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合を示し、実施の形態1の場合に於ける図3に対応する。図20の(a)は内燃機関回転速度、(b)は基本トルク発生タイミング、(c)は発電許可フラグ、(d)はバッテリ電圧、(e)は目標電圧、(f)は界磁電流補正係数、(g)は界磁電流及び相電流、(h)は内燃機関トルク、(i)はモータジェネレータトルクを夫々示す。尚、蓄電監視手段54によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合に於けるタイムチャートは、図2に示したこの発明の実施の形態1に於けるタイムチャートに等しい。
次に、図20に基づいて、蓄電監視手段54によって得られたバッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合に於ける内燃機関の制御装置の動作について、図3に示したこの発明の実施の形態1に於けるタイムチャートと異なる部分を主体に説明する。図20の(a)に示すように、時刻により変化する内燃機関回転速度60は、時間平均回転速度61を備える。
図20の(b)に示すモータジェネレータ4の基本トルク発生タイミング62は、駆動領域Mと発電領域Gを有し、駆動領域Mのときは、モータジェネレータ4を電動機として駆動動作をさせることが可能であり、発電領域Gのときは、モータジェネレータ4を発電機として発電動作をさせることが可能である。基本トルク発生タイミング62が発電領域Gとなり始める時刻t0、t2、t4に於けるクランク角度11を発電開始角度とし、基本トルク発生タイミング14が駆動領域Mとなり始める時刻t1、t3に於けるクランク角度11を発電終了角度とする。駆動開始角度は発電終了角度に等しい。
図20の(c)に示す発電許可フラグ63が「0」のときには、モータジェネレータ制御装置59からモータジェネレータ4に界磁電流と相電流が供給されてモータジェネレータ4を電動機として駆動し、内燃機関1にトルクを付与する。他方、発電許可フラグ63が「1」のときには、モータジェネレータ制御装置59からモータジェネレータ4に界磁電流が供給されてモータジェネレータ4を発電機として動作させ、内燃機関1に対してトルクを吸収する。
基本トルク発生タイミング62が、駆動領域Mから発電領域Gに変化したタイミングである時刻t0にて発電許可フラグ63がセットされて「1」となり、基本トルク発生タイミング62が発電領域Gから駆動領域Mに変化したタイミングである時刻t1にて発電許可フラグ63がリセットされて「0」となる。
図20の(d)に示す64は、バッテリ2の蓄電量が低下していない状態であると判断できる基準バッテリ電圧を表し、65は実際のバッテリ電圧を表す。(e)に示す目標電圧66は、発電許可フラグ63が「1」である場合に設定される。(f)に示す界磁電流補正係数67は、目標電圧66に応じて算出される。(g)に示す界磁電流69は、界磁電流補正係数67によって補正された界磁電流を表す。
界磁電流補正係数67は、発電許可フラグ63が「1」である場合に、基準バッテリ電圧64と実際のバッテリ電圧65との差から算出された目標電圧66に応じて演算されるもので、バッテリ電圧65が低下し、目標電圧66が高いときには、界磁電流69が大きくなるように係数設定されているので、発電領域Gの期間中は目標電圧66に応じて界磁電流69を増大することができる結果、バッテリ蓄電量が所定値よりも高い場合における界磁電流に対して、バッテリ蓄電量が所定値よりも低い場合における界磁電流は増大される。尚、68はモータジェネレータ4の電機子巻線に流れる相電流である。
この発明の実施の形態4のに係る内燃機関の制御装置の動作は、実施の形態1の場合に於ける図4に示した運転状態判定ルーチンに対して、電動機制御演算処理ルーチンが異なるので、以下述べるこの発明の実施の形態4に係る内燃機関の制御装置の動作の説明は、図21、図22、図23のフローチャートを用いて、その異なる部分を主体に説明する。
前述の図4に示すフローチャートに於いて、ステップS109から図21に示す電動機制御演算処理ルーチンにジャンプすると、ステップS801に於いて、図22に示すトルク発生タイミング演算処理ルーチンにジャンプする。図22に於いて、ステップS901では、クランク角センサ5から算出されるクランク角度に基づいて、内燃機関1の回転速度を算出する。次にステップS902ではトルク発生タイミング設定手段55に於いて、モータジェネレータ4の発電を開始させる発電開始角度とモータジェネレータ4の発電を終了させる発電終了角度を、平均内燃機関回転速度61をパラメータとした図2の(h)に示した発電開始角度・発電終了角度マップにより特定し、ステップS903へ進む。
ステップS903では、クランク角センサ5で得られたクランク角度が、ステップS902で設定した発電開始角度から発電終了角度の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内にあるとき(Yes)は、ステップS904へ進み、発電許可フラグ63をセットして「1」とする。クランク角センサ5で得られたクランク角度が、ステップS902で設定した発電開始角度から発電終了角度の範囲外にあるとき(No)は、ステップS905へ進み、発電許可フラグ63をリセットして「0」とし、図21の電動機制御演算処理ルーチンへリターンする。
図21の電動機制御演算ルーチンにリターンすると、ステップS802により、トルク発生量設定手段56に於いて、振動を低減するために必要なモータジェネレータ4のトルク発生量を、内燃機関1の回転速度と角度から演算する。モータジェネレータ制御装置59内の図示しないROMには、内燃機関1の回転速度毎に計測された内燃機関1のトルクが記憶されている。又、ROM内には、前述の図2の(i)に示した界磁電流・相電流マップ、及び(j)に示したモータジェネレータトルクマップが格納されており、内燃機関1の回転速度とモータジェネレータ4の界磁電流と相電流を変化させた場合に発生するモータジェネレータ4のトルク量が、これらのマップに基づいて演算される。
次に、ステップS803では、ステップS802で設定されたトルク発生量に基づいて、モータジェネレータ4の動作に必要な界磁電流と相電流の目標値を演算し、次にステップS804へ進み、前述の第3運転状態フラグが「1」であるか否かを判定する。その判定の結果、第3運転状態フラグが「1」である場合(Yes)は、バッテリ2の蓄電量が低下していると判断し、界磁電流69を補正するためにステップS805へ進み、図23に示す界磁電流補正演算処理ルーチンにジャンプする。ステップS804での判定の結果、第3運転状態フラグが「0」である場合(No)は、ステップS806へ進む。
図23の界磁電流補正係数演算処理ルーチンへジャンプすると、ステップS1001では発電許可フラグが「1」であるか否かを判定し、発電許可フラグが「1」である場合(Yes)は、ステップS1002へ進み、発電許可フラグが「0」である場合(No)は、図21の電動機制御演算処理ルーチンへリターンする。
ステップS1002では、バッテリ電圧Vbを読み込み、ステップS1003へ進む。ステップS1003では、予め設定された基準バッテリ電圧VbsとステップS1002で読み込んだバッテリ電圧Vbとの差(ΔVb)をパラメータとした図24に示す制御マップにより目標電圧TVbを設定する。蓄電量が低下している場合は、バッテリ電圧Vbが低下しているため、予め設定された基準バッテリ電圧Vbsとバッテリ電圧Vbとの差(ΔVb)が増大する結果、目標電圧TVbは増大する。
次にステップS1004では、図21の電動機制御演算ルーチンのステップS803で設定した界磁電流の目標値を補正する界磁電流補正係数を、目標電圧TVbをパラメータとした図25に示す制御マップより設定し、ステップS1005へ進む。ステップS1005では、ステップS803で設定した界磁電流の目標値とステップS1004で設定した界磁電流補正係数67とにより、補正演算後の界磁電流の目標値を演算し、図21に示すフローチャートにリターンする。
図21の電動機制御演算ルーチンにリターンして、ステップS806では、発電許可フラグが「1」であるか否かを判定する。発電許可フラグが「1」である場合(Yes)は、モータジェネレータ4を発電機として動作させ、そうでない場合(No)は、モータジェネレータ4を電動機として動作させる。
以上述べたようにこの発明の実施の形態4による内燃機関の制御装置によれば、電動機制御実行時に於いて、バッテリ2の蓄電量が所定値よりも小さい場合は、電動機制御の内容を変更することにより、電動機の発電電圧の目標値を可変とし、モータジェネレータ4が駆動期間中である場合には、目標電圧を増大させることにより、モータジェネレータ4の界磁電流量を増大補正することが可能となる結果、内燃機関1が発生する振動を抑制しつつ、バッテリへの充電量を増大することが可能となり、バッテリの蓄電量が過度に低下することを防止することができる。
実施の形態1〜4の変形例
実施の形態1〜4では蓄電装置をバッテリ2として示したが、蓄電装置をキャパシタで実現してもよい。
又、実施の形態1〜4ではクランク角度検出手段5を角度センサとして示したが、クランク角検出手段5を、内燃機関1の制御装置からトルク発生タイミング設定手段に対してタイミング信号を定期的に送信することにより実現してもよい。
又、実施の形態1〜4ではクランク角度検出手段5を角度センサとして示したが、クランク角度検出手段5を回転周期センサにより実現してもよい。
更に、実施の形態1〜4ではクランク角度検出手段5を角度センサとして示したが、クランク角度検出手段5を回転速度センサにより実現してもよい。
又、実施の形態1〜4ではクランク角度検出手段5を角度センサとして示したが、クランク角度検出手段5を、内燃機関1の出力トルクを検出するトルクセンサにより実現してもよい。
又、実施の形態1〜4ではクランク角度検出手段5を角度センサとして示したが、クランク角度検出手段5を内燃機関1の筒内圧センサにより実現してもよい。