JP5151174B2 - エンジンの発電制御装置 - Google Patents
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Description
ところが、エンジンの回転数(回転速度)は、エンジンに加わる負荷が車両の走行抵抗やエンジン補機の駆動抵抗に応じて変動することにより変動すると、これに同期して駆動する発電機の発電電圧も変動する。特に、発電電圧が増変動する状態が続くと、車載の各種センサやインジェクタ等の電気装置類が破損する虞がある。
そこで、本発明は、目標発電電圧に対する実発電電圧の変動幅を抑制し、電気装置類の破損を防止できるエンジンの発電制御装置を提供することを目的とする。
特に、エンジンが定常運転状態のときに定常運転域での予測回転数演算を行うので、簡単に精度良く回転数を予測することができ、エンジンが過渡運転状態のときに、過渡運転域での予測回転数演算を行うので、エンジンに接続される動力伝達系部品の接続状態に応じた回転負荷特性を反映させた予測回転数を応答性良く算出できる。
このエンジン1は直噴式火花点火式エンジンであり、エンジン長手方向に沿って互に等間隔で複数、ここでは4つのシリンダCが順次配設されている。各シリンダCには燃料噴射弁2によって燃料噴射が成され、吸気路IRのスロットル弁4で調量された吸気が流入し、点火プラグ3により混合気への点火が成され、排気ガスが排気路ERに排出されている。このような燃焼駆動によりエンジン1は不図示のピストンクランク機構が燃焼エネルギーを回転エネルギーに変換し、これにより得られた回転力をクランク軸5より動力伝達系PTを介し駆動輪Wに伝達している。
図1に示すように、点火プラグ3にはコントローラ7に制御される点火ユニット8が接続され、コントローラ7が各気筒の点火プラグ3を駆動する。燃料噴射弁2にはコントローラ7に制御される燃料供給装置9が接続され、コントローラ7が燃料噴射弁2に適時に燃料を噴射制御する。ここで、コントローラ7からの噴射信号が燃料噴射弁2に入力されることで、同燃料噴射弁2が噴射信号に応じた噴射駆動を行う。
図1に示すように、動力伝達系PT上のトルコン13は、フライホイール11側のポンプ22と、出力軸131と一体のタービン21と、ポンプ22とタービン21の間の流体摩擦調整用のステータ19とを備え、入出力回転差を許容して回転伝達を行う。なお、トルコン13にはその出力軸131とフライホイール11を断続切換えるロックアップクラッチ20が併設される。
図1乃至図3、及び図5に示すように、スタータダイナモ12は、トルコンケーシング30に支持された環状のステータ27と、ステータ27の内側で回転するロータとしてのフライホイール11と、フライホイール11とステータ27との間の環状隙間に同心的に配備され、相対移動可能な発電量制御デバイスとしての制御籠38とを有する。
図3に示すように、ロータ部28のボス281の外周対向部には環状の筒状体10が同心的に配備されている。筒状体10はその基端側(図3で左端)がエンジン本体側に支持される。この筒状体10の先端側の内周壁でボス281の外周壁との対向部には、ロータ角度センサ(磁極センサ)32が設けられる。
なお、筒状体10の外周面には導体リング72が取り付けられ、これにはロータ部28の外周の環状膨出部282の内周壁に固着された遠心離合式ブラシ71が摺接する。この遠心離合式ブラシ71は環状膨出部282内の不図示の複数の励磁コイルに電源側よりの電流を供給する。ここで不図示の複数の励磁コイルはこれが励磁状態(ロータの低回転時)にあるとロータ部28の各マグネット29の磁力を強めて発電特性を高め、非励磁状態(ロータの高回転時)にあると、ロータ部28の各マグネット(電磁式)29の磁力を弱めるよう機能する。これによってエンジンの高回転時における出力特性を確保し、無駄な発電を抑制している。
環状主部381はこれと一体のガイド部383が複数の摺動支持部51(図3,4参照)を介してエンジン本体側の樹脂製の支持部材52(図3参照)に摺動可能に支持される。この摺動支持部51はコ字型断面を有し基端が支持部材52に固着され、摺動支持部51の二股状先端がガイド部383を挟持している。
このようなスタータダイナモ12は、始動時にスタータとして機能する。図5に示すように、コントローラ7により後述の全波整流器40がバッテリ39からの電流を三相交流に変換し、これを受けたスタータダイナモ12はそのロータ部28と一体のクランク軸5を回動し、エンジン1を始動する。しかも、始動後は同期発電機として機能し、発電した電流でバッテリ39を充電し、かつ不図示の電装部に電流を供給する。
なお、スタータダイナモ12のモータとしての動作時にはステップモータ53が制御籠38を基準位置P1に切換え保持する。これによって、ステータ27の各鉄心部34より突状部382を経てロータ部28のマグネット29に達する磁力線量を確保し、ロータ部28側が受ける回転トルクを十分確保するようにしている。
図1に示すように、コントローラ7は双方向性バスによって互いに接続されたROM(リードオンリメモリ)702、RAM(ランダムアクセスメモリ)703、TIM(タイマー)704、CPU(マイクロプロセッサ)701、入力ポート705および出力ポート706を備える。コントローラ7は、図6に示すように、エンジンの燃料制御部A11(図6修正)と吸気制御部A12と点火制御部A13とからなるエンジン制御手段A1と、回転数予測手段A2と、目標発電電圧設定手段A3と、発電制御手段(制御手段)A4と、駆動状態判定手段A5と、データ算出手段A6あるいは回転変化量算出手段A7の各制御機能を備える。
このようなエンジン制御手段A1の働きでエンジンは駆動して、動力伝達系PTに回転出力を伝達する。
データ算出手段A6の算出結果は、定常運転域c1(図10参照)を判定した際に採用される。ここでは、データ算出手段A6は、所定のデータ取得期間en(図8参照)中に得られたサンプリング時間(図8中のt1、t2、・・・)と、データ取得期間en中でのエンジン1の実回転数の変化(図8中の回転速度Ne)の関連データ、例えば、図8中の各データ取得期間en中における実測値(●、■、★)のデータ分布特性を求める。
回転変化量算出手段A7は、図9に示すような、イナーシャ(慣性モーメント)Ieを有するトルコン(回転伝達機器)13のポンプトルクをTpとし、アクセル開度θaから求めた目標エンジントルクをTeとし、エンジン1に付設されるエンジン補機(例えば水ポンプ)の補機トルクをTaとし、下記(1)式を用い、回転変化量ΔNβを求める。
(1)式を用いるにあたり、まず、目標エンジントルクTeと負荷トルクであるポンプトルク(トルコンのポンプ22のトルク)Tpと補機トルクTaを求める。なお、tdはエンジン1に接続された部品(ここではトルコン13)の作動応答性に起因する遅れ時間である。
ここでは、出力軸131のポンプ回転数Npをポンプ回転センサ73で求めておく。その上でクランク軸5と出力軸131との回転差Δn(=Ne−Np)相当の値として不図示のマップより負荷トルクであるトルコン13のポンプトルクTpを演算する。
更に、アクセル開度θaから目標エンジントルクTeを求める。更に、エンジン1の補機トルクTaはエンジン回転数Ne相当の値として不図示のマップより演算する。
なお、後述するように、この回転変化量ΔNβ相当の回転変動量を経時的に順次加算していくことで、過渡時のエンジン回転数Nea(←Nea+ΔNβ(tn))を順次予測回転数Neaとして更新している。
この定常運転域での予測回転数演算処理M1では、データ算出手段A6で求めた、例えば、図8中の各データ取得期間en中における実測値(●、■、★)のデータ分布特性を元に、回転数変動に応じた近似式である1次関数(Ne=A×t+B)を最小二乗法に基づき設定し、予測回転数Nea(図8に記載の実測値:○、□、☆)を演算する。なお、本実施の形態では、近似式として1次関数式を用いているが、2次以上の関数式を用いることも可能である。
この過渡運転域c2での予測回転数演算処理M2では、スタータダイナモ12(発電機)の発電量を増減する制御籠(発電量制御デバイス)38の各突状部382がステータ27に対向する際、基準位置P1と分離位置P2との間の所望の目標位置Pnoに切換わる際の応答遅れ(機械的作動遅れ)(例えば、図7(b)に示す、目標位置Pnoの手前の位置Pno’)を考慮し、実際に達する位置Pno’を見越して、制御籠38の各突状部382が応答遅れにより切換途中の実際の位置Pno’にある状態で得られる過渡運転域c2での実際の回転変化量ΔNβ={(Te−Tp−Ta)/Ie}×Δt×tdを回転変化量算出手段A7より取り込み、エンジン回転数Ne(ここでエンジン回転数と発電機回転数は同一)を予測する。
目標発電電圧設定手段A3は、回転数予測手段A2で求めた予測回転数Nea(Ne1,Ne2・・・)に応じて目標発電電圧Vgoを設定する。ここでは、図12に示すような、エンジン回転数Neに応じた発電電圧Vgの関連データを取得しておく。その上で予測回転数Neaに応じた目標発電電圧Vgoの特性を設定し、これを算出できるマップmap1(図6参照)を予め作成しておく。
ここで発電制御手段A4は、目標発電電圧Vgを得るため、基準位置P1と分離位置P2との間に適宜設定される予測の切換え位置Pno’を得るため、制御上においては予測の切換え位置Pno’に相当する目標位置Pnoに制御籠38(発電量制御デバイス)を切換えるフィードフォーワード制御を行う。この際、仮の目標位置Pnoに制御籠38(発電量制御デバイス)が切換え制御が行われることで、応答性よく、予測の切換え位置Pno’へ切換え制御出来ることとなる。
ここでは、図1のコントローラ7の各制御処理を、図11の発電制御ルーチンに沿って説明する。
コントローラ7の制御処理が発電制御ルーチンへ移行すると、先ずステップs1において、アクセル開度センサ71、スロットル開度センサ72、ポンプ回転センサ73及びその他エンジン運転情報が取り込まれる。更に、ステップモータ53を基準位置P1に相当するステップ位置に修正保持する。
定常運転域(図10のc1域)でステップs5に達すると、ここでは、定常運転域c1での予測回転数演算処理M1を行う。
次いで、ステップs7に達すると、今回演算の予測回転数Nea(Ne1)相当の目標発電電圧Vgをマップmap1(図6中のmap1参照)を用いて算出する。次いで、目標発電電圧Vgoを得るための予測の切換え位置Pno’を得るため、制御上は仮の目標位置Pnoに制御籠38(発電量制御デバイス)を切換えるフィードフォーワード制御を行う。この際、直接、仮の目標位置Pnoに制御籠38(発電量制御デバイス)を切換える制御を行うので、予測の切換え位置Pno’に切換えがなされ、応答性良く目標発電電圧Vgが得られ、バッテリの定格電圧14Vに対する変動幅の少ない、即ち、図13に実線で示す、目標発電電圧Vgに近い実際の発電電圧を得ることができる。
他方、ステップs4より過渡運転域(図10のc2域)でステップs6に達すると、ここでは、過渡運転域c2での予測回転数演算処理M2を行う。
次いで、これらデータを(1)式
ΔNβ==(Te−Ta―Tp)/Ie×Δt×td・・・・・・(1)
に代入する。
このような過渡運転域c2での回転変化量ΔNβをデータ取得期間en経過毎に、前回の予測回転数Neaに加算することで、即ち、過渡運転域c2に入った際のエンジン回転数Ne1に各時点での回転変化量ΔNβ(tn)相当の回転変動量ΔNを順次加算して過渡時のエンジン回転数Nea(←Nea+ΔNβ(tn))を順次予測回転数Neaとして順次算出できる(図10参照)。
更に、制御籠38(発電量制御デバイス)を目標発電電圧相当の目標位置にフィードフォーワード制御で切換えるので、目標発電電圧のずれ(図13中のr1)が打ち消され、目標発電電圧に対する実発電電圧の変動幅を抑制でき、適正な発電電圧を確保できる。
更に、ステップs6における過渡運転域c2での予測回転数演算処理M2を行うので、過渡運転状態で予測回転数を的確に応答性よく演算でき、目標発電電圧を設定でき、適正な発電電圧維持制御を行うことができる。例えば、トルコン接続の場合、トルコン接続状態に応じた回転遅れを反映させ、予測回転数を応答性良く演算できる。
5 クランク軸
7 コントローラ
10 筒状体
12 スタータダイナモ
33 ステータコイル
38 制御籠(発電量制御デバイス)
382 突状部
39 バッテリ
40 全波整流器
A1 エンジン制御手段
A2 回転数予測手段
A3 目標発電電圧設定手段
A4 発電制御手段(制御手段)
A5 駆動状態判定手段
A6 データ算出手段
A7 回転変化量算出手段
Nea 予測回転数
P1 基準位置
P2 分離位置
Pno 目標位置
Pno’ 予測の切換え位置
Vgo 目標発電電圧
Claims (2)
- エンジンの駆動に応じて発電する発電機と、
前記発電機の発電量を増減させる発電量制御デバイスの応答遅れを見越して前記エンジンの回転数を予測する回転数予測手段と、
前記回転数に応じて前記発電機の目標発電電圧を設定する目標発電電圧設定手段と、
前記目標発電電圧に対する前記発電機の実発電電圧のずれを無くすよう前記発電量制御デバイスを制御する制御手段と、
前記エンジンの駆動が定常と過渡のいずれの状態かを判定する駆動状態判定手段と、を備え、
前記回転数予測手段は、
前記駆動状態判定手段が定常状態であると判定したときには、所定のデータ取得期間中に得られた時間と、前記データ取得期間中での前記エンジンの実回転数の変化との関連データに基づき、前記データ取得期間後の前記回転数の予測を行い、前記駆動状態判定手段が過渡状態であると判定したときには、前記エンジンの出力トルク、前記エンジンに接続された動力伝達系部品の消費トルク、前記動力伝達系部品の慣性モーメントを用いて求めた前記エンジンの回転変化量に基づき、前記回転数の予測を行うことを特徴とするエンジンの発電制御装置。 - 請求項1に記載のエンジンの発電制御装置において、
前記制御手段は、フィードフォーワード制御により前記制御を行うことを特徴とするエンジンの発電制御装置。
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