JP2008284005A - 画像処理装置、画像処理システム、画像処理方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 眼底画像の検査のためにカラー眼底写真の画像から画像処理を行う画像処理装置であって、カラー眼底写真の画像から色成分を抽出する色成分抽出手段を備える。また、色成分抽出手段により色成分を抽出された画像の濃度変換を行う濃度変換手段を備える。色成分抽出手段は、網膜神経線維層欠損(NFLD)、網膜神経線維層(RNFL)、又は網膜上膜の検査用の画像出力をする場合には緑青、緑、青の各色の成分を抽出する。さらに、緑青色の成分は、カラー眼底写真の画像の提供者が白内障を併発している場合、緑色成分と青色成分の比率のうち緑色成分の比率を高くして緑青成分を抽出する。
【選択図】 図1
Description
我が国における失明原因の第一位は緑内障である。初期緑内障では自覚症状がない場合がほとんどであり、早期発見には健康診断などにおける眼底検査が最も重要である。
NFLDの観察には、まずフィルタを用いた撮影法であるred free写真を撮影する。その後、レーザー光を利用したSLO(Scanning Laser Ophthalmoscope)による488nmあるいは514nm argon laserでの観察、780nm偏光レーザーを用いた視神経線維層の複屈折性を利用した観察法であるGDxを用いた観察法が行われている。いずれの方法も特殊なフィルタや機器が必要である。
しかしながら、健康診断など多くの臨床の場では、最も普及している撮影法である、単純なカラー眼底写真のみが撮影される場合が多い。
最近は、デジタルカメラの性能的な向上、即ち解像度や色表現力の向上が著しい。これにより、潜在的には、単純なカラー眼底写真で視神経線維の走行を確認する事ができる水準に達していると考えられる。
しかし、カラー眼底写真による眼底画像は、描出された様々な情報が混在している。このため、目的とする組織を観察すること難しく、NFLDの確認が困難な場合がある。
従来技術1の眼底画像変換装置は、眼底画像のコントラストや明るさを調整し、輪郭を抽出して、特定の色に変換して出力することができる。これにより、眼底画像を明瞭にできるため、糖尿病網膜症について専門家でない医師でも診断ができる旨、記載されている。
このため、一般のカラー眼底画像から、NFLDを医師が検出するための最適な画像処理を行うことができなかった。
本発明の画像処理装置は、前記色成分抽出手段は、網膜神経線維層欠損(NFLD)、網膜神経線維層(RNFL)、又は網膜上膜の検査用の画像出力をする場合には緑青、緑、青の各色の成分を抽出することを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記緑青色の成分について、緑の成分と青の成分の比率のうち緑の成分の比率を高くして緑青の成分を抽出することを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記色成分抽出手段は、脈絡膜の検査用の画像出力をする場合には赤の成分を抽出することを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記濃度変換手段は、線形濃度変換を行うことを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記カラー眼底写真における視神経乳頭部を中心とした円周に沿った画素からヒストグラムを作成するグラフ処理手段を更に備えることを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記円周の半径は前記視神経乳頭部の径より大きく、前記視神経乳頭部から中心窩の距離よりも小さいことを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記ヒストグラムは、赤の色成分のグラフと、緑青成分のグラフを含むことを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記ヒストグラムの赤成分と緑青成分の比率を出力することを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記グラフ処理手段は、前記ヒストグラムの前記比率から、網膜神経線維層欠損の角度範囲と角度方向を求めることを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記色成分抽出手段は、指定された領域の各色成分の濃度値の平均と、画素の面積を更に算出することを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記指定された領域は、前記円周内であることを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記指定された領域は、前記円周内の内円と外円に挟まれた領域であるであることを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記色成分抽出手段は、鼻側領域の各色成分の濃度値の平均を更に算出し、前記指定された領域の各色成分の濃度値の平均に対する比率を算出することを特徴とする。
本発明の画像処理装置は、前記グラフ処理手段は、前記指定された領域から、網膜神経線維層欠損の角度範囲と角度方向を求めることを特徴とする。
本発明の画像処理システムは、眼底画像の検査のために画像処理を行う画像処理システムであって、カラー眼底写真の画像を入力する入力手段と、前記入力手段により入力されたカラー眼底写真の画像から色成分を抽出する色成分抽出手段と、前記色成分抽出手段により抽出された色成分ごとに画像の濃度変換を行う濃度変換手段と、前記濃度変換手段により濃度変換された画像を出力する出力手段とを備えることを特徴とする。
本発明の画像処理方法は眼底画像の検査のための画像処理を行う画像処理方法であって、カラー眼底画像から抽出した色成分ごとに濃度画像を出力し、前記出力された濃度画像を濃度変換して出力することを特徴とする。
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムXについて説明する。
画像処理装置100は、専用のコンピュータとして構成することもできるが、一般的なPC(パーソナル・コンピュータ)や、その他、汎用のコンピュータを用いることができる。
この画像処理装置100は、CPU等である制御部10と、RAM、ROM、HDD、フラッシュメモリ等である記憶部11と、USBやi−link(登録商標)等である入力のための入力部12(入力手段)と、DVI端子やUSB端子等に出力のための出力部13(出力手段)とを含み、さらに眼底画像について各色の成分である色成分の抽出を行う色成分抽出部14(色成分抽出手段)と、色成分抽出後の画像の濃度変換を行う濃度変換部15(濃度変換手段)とを備える。
キーボード300は、一般的なキーボードとマウス等のポインティングデバイスを含み、本発明の実施の形態に係る画像処理装置の撮影から画像処理までの一連の処理について指示することが可能である。
表示部400は、一般的な液晶モニタや高解像度の医療用モニタ等を含み、カメラ200により撮影された画像と、画像処理装置100により画像処理された画像を表示することができる。さらに、撮影の指示等についてのGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェイス)を表示する。
プリンタ500は、カメラ200により撮影された画像と、画像処理装置100により画像処理された画像、画像処理結果とNFLDの診断結果等について出力することができる。
次に、図2Aの概念図を参照して、本発明の眼底撮影について説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムにおいては、NFLDを検出するために、視神経乳頭の周囲のカラー眼底写真の画像である眼底画像を使用する。
この眼底画像としては、上述のカメラ200で撮影されるデジタル化されたカラー眼底写真の画像を使用する。該画像に画像処理を行うことで、NFLDについて医師が検出しやすい画像を作成することができる。実際に撮影された眼底画像としては、図1の右側に示されたような画像を用いる(この画像はカラーである)。
本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムにおいては、上述の撮影された画像について、画像処理を行う。
コンピュータ画面において、カラー画像は赤(Red、Rと略す)、緑(Green、Gと略す)、青(Blue、Bと略す)の光の3原色(R、G、B)を加法混色することによって表される。
本発明の第1の実施の形態に係る画像処理においては、眼底画像に含まれる光の3原色の成分を独立して変化させることにより、眼底の検査をする検者の眼に感じにくい情報を強調した画像を得ることができる。
まず、aが撮影されたカラーの眼底画像である。次に、このカラーの眼底画像から、色の3原色の各成分(R、G、B)を、それぞれ抽出した画像がbである。次に、抽出したR、G、Bの画像を、濃度値の分布にあわせた線形濃度変換を行い、モノクロ画像化したものがcである。このR、G、Bの画像について、さらに濃度変換などを行い、最終的な画像としたものがdである。
実際には、この画像処理においては、後述するように、NFLDの診断用にGB(緑青)の成分を抽出して使用することもできる。すなわち、主に赤の成分を除いた画像を作成し、これに線形濃度変換を行ってコントラストを改善することで、網膜神経線維層欠損(NFLD)を明瞭に描出する画像を作成することができる。
この画像処理に用いるプログラムは、C言語、JAVA(登録商標)、BASIC等の一般的に利用できるプログラミング言語を用いて作成することができる。
次に、図3のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理について、さらに詳しく説明する。
まず、ステップS101において、カメラ200により、単純カラー眼底撮影を行う。単純カラー眼底撮影は健康診断、眼科診療で最も行われている撮影法である。
次に、カメラ200が撮影したカラーの眼底画像を、制御部10の制御により入力部12が入力し、記憶部11に記憶する。上述したように、ここで、図示しないスキャナ等から入力したカラーの眼底画像が同様に記憶部11に記憶されていてもよい。
この上で、制御部10が、記憶部11に記憶した眼底画像を一般的なトゥルー・カラーのビットマップ(画像の集合体)のファイルであるBMP形式(ウィンドウズ(登録商標)ビットマップ形式)や、TIFF形式等の一般的な画像ファイルに変換する。
一般的なトゥルー・カラー(1677万色)のBMP形式の場合、赤成分R、緑成分G、青成分B、それぞれの濃度値を8ビット、すなわち0〜255の256階調で変化させることにより1677万通りの色が表現することができる(赤256階調×緑256階調×青256階調=1677万色)。
また、TIFF画像の場合、各色16ビット、すなわち0〜65535の65536階調等の、さらに細かな濃度値を記憶することができる。
次にステップS102において、記憶部11に記憶した眼底画像の画像ファイルから、色成分抽出部14が赤成分R、緑成分G、青成分Bの各成分を抽出する。
この方法としては、色成分抽出部14が、眼底画像のファイルから赤成分R、緑成分G、青成分Bの各成分の画像を取りだして、これらの成分のみが含まれるファイルを作成し、記憶部11に記憶する。
具体的には、これらの赤成分R、緑成分G、青成分Bの濃度値を、それぞれグレースケール(たとえば、8ビットの場合は、256階調)のファイル等に変換して記憶する。このファイルの形式は独自のフォーマットでも構わないが、一般的なBMP形式やTIFF形式、GIF形式、PNG(ポータプル・ネットワーク・グラフィックス)形式等を用いることができる。
さらに、ファイルに変換せずに直接、記憶部11に含まれるRAM等に記憶することで、演算処理を高速に行うことができる。
GB = (mG+nB)/(m+n) ……… (式1)
G: 緑成分濃度値、 B:青成分濃度値、 m、n任意の数
GB: G濃度値とB濃度値を任意の比率で加算した合計
ここで、本発明の第1の実施の形態においては、NFLD等の疾病用の画像処理に特化する場合は、赤成分Rを使用しないこともできる。この場合は、赤成分Rの画像ファイル又は記憶領域に緑青成分GBを上書きすることで、記憶部11の記憶容量を節約することができる。
ステップS103においては、青成分B、緑成分G、緑青成分GB、それぞれについてヒストグラムを作成する。ヒストグラムとは目的とする色の濃度値を持つ画素数を、画像全体で求めグラフ化したものである。
このヒストグラムの例である図2Cを参照すると、たとえば8ビットの場合、濃度変換部15が濃度値(0〜255)を持つ画素の数を画像全体で求めグラフ化する。この図2Cにおいては、横軸が濃度値で、縦軸がその濃度値の画素数である。
(ステップS104)
ステップS104においては、青成分B、緑成分G、緑青成分GB、それぞれについての上述のヒストグラムから濃度値が集中した範囲を検出し、線形濃度変換を行うことでコントラストを改善する。
カラー眼底写真において、眼底の色調は症例ごとに様々である。また白内障の程度により眼底写真全体の色調は変化する。様々な症例に対し、画一的に画像処理を行うため、ヒストグラムを用いた線形濃度変換によるコントラストの強調を行うのが好適である。
また、濃度値の密度を、例えば8つの濃度値単位で区切って求め、もっとも濃度値が高い箇所から濃度値が低い方向(下限a)と高い方向(上限b)で、濃度値がある一定の閾値以下になった箇所までを画素数の集中する範囲とする、といったアルゴリズムも使用することができる。
この際、濃度値0付近のヒストグラムの上昇は、大部分が眼底画像周囲のフチ(余黒)の領域の画素に由来するために使用しない。
出力画像の濃度値z’と、入力画像(各成分ごとの画像)の濃度値zとの関係は以下の式により求める。
本発明の画像変換における出力画像は、一般的なビットマップファイルなので、眼底の検査をする検者は、この変換された画像をOSに付属の画像ビューワー等や、アドビ社のフォトショップ(登録商標)等のフォトレタッチソフトウェアで簡単に確認することができる。
また、図示しない専用のビューワーソフトウェアで体系的に閲覧することもできる。
これらの画像である、青成分B、緑成分G、緑青成分GB、それぞれについて閲覧することで、検者は容易にNFLDを検出することができる。
網膜神経線維層欠損(NFLD)がみられるカラー眼底写真の眼底画像から、上述のように画像処理を行い、緑青、緑、青の各成分を抽出した。
具体的には、画像処理において、カラーの眼底画像から、光の三原色であるRGB(赤、緑、青)の3成分の情報を得た。
次に、RGBのうち赤成分Rを除き、緑成分のみの画像、青成分Bのみの画像、緑青成分GBのみの画像を作成した。
緑青成分GBについては、上述の式1のmとnを、それぞれm=1、n=1とし、緑成分Gと青成分Bとの平均を求め、濃度値z’とした。
次に、それぞれの画像のヒストグラムを作成した。
さらに、一定値以上の画素数をもつ濃度の領域を対象に線形濃度変換を行うことでコントラストを改善し、信号強度に合わせてモノクロ表示させた画像を得た。
以下で、3つの症例について、図面を参照して、上述の画像処理を行った結果について説明する。
網膜神経線維層欠損(NFLD)症例である症例1の眼底画像と、画像処理の出力画像である図4を参照して説明する。
図4において、矢印:網膜神経線維層欠損(NFLD)、a:フルカラー眼底写真の画像、b:緑青成分GBによる出力画像、c:緑成分による出力画像、d:青成分Bによる出力画像、e:ハンフリー視野の計測結果である。ハンフリー視野(Humphrey Visual−Field)とは、静的視野の計測を行う方法であり、30度の狭視野の検査等に用いられる。
これにより、青成分B、緑青成分GB、緑成分、フルカラー画像(赤緑青成分RGB)の順で網膜神経線維層欠損(NFLD)を明瞭に確認できる。
青成分Bの画像で、網膜神経線維層欠損(NFLD)が最も末端まで描出されており、水平縫線まで達しているのが確認できる。
網膜神経線維層欠損(NFLD)症例である症例2の眼底画像と、画像処理の出力画像である図5を参照して説明する。
図5においても、矢印:網膜神経線維層欠損(NFLD)、a:フルカラー眼底写真の画像、b:緑青成分GBによる出力画像、c:緑成分による出力画像、d:青成分Bによる出力画像、e:ハンフリー視野の計測結果、を示す。
上述の症例1と同様に、b〜dで、フルカラー画像(a)より明瞭に上下の網膜神経線維層欠損(NFLD)が描出されている。
これにより、青成分B、緑青成分GB、緑成分G、フルカラー(赤緑青成分RGB)の順で網膜神経線維層欠損(NFLD)を明瞭に確認できる。
さらに、上方の明瞭な網膜神経線維層欠損(NFLD)に加え、下方の幅広い網膜神経線維層欠損(NFLD)が観察できた)。
白内障を含む網膜神経線維層欠損(NFLD)症例である症例3の眼底画像と、画像処理の出力画像である図6を参照して説明する。
この図6においては、a:フルカラー眼底写真の画像、b:緑青成分GBによる出力画像、c:緑成分Gによる出力画像、d:青成分Bによる出力画像である。
この症例3である白内障を含む症例では、青成分Bの画像は不明瞭であった。
すなわち、青成分Bの画像(d)は、ほとんど描出されていないため、その他の成分の画像で観察が可能である。
網膜上膜の症例である症例4の眼底画像と、画像処理の出力画像である図7を参照して説明する。
図7の上部の画像は、フルカラー眼底写真の画像であり、下部は、緑青成分GBの出力画像を示している。
この緑青成分GBにおいて、円で囲った部分に、黄斑部網膜上膜形成症で形成された網膜上膜が鮮明に表示されている。
脈絡膜の症例である症例5の眼底画像と、画像処理の出力画像である図8を参照して説明する。
図8の上部の画像は、フルカラー眼底写真の画像であり、下部は、赤成分Rを抽出して線形濃度変換を行った画像処理の出力画像を示している。
このように、赤成分Rを用いると明瞭に脈絡膜を表示することができる。
網膜神経線維層欠損(NFLD)の描出を考えた場合、青成分Bのみを用いた結果が最も末端まで網膜神経線維層欠損(NFLD)を観察できた(症例1又は症例2を参照)。
一方、青成分Bの画像でコントラストを強調しても全体が暗く表現された症例もみられた(症例3を参照)。原因としては、白内障のために青の要素が減衰したことが考えられる。症例3の場合は緑〜緑青の要素を用いた結果の方がより明瞭であった。
これに関して、青成分Bの出力画像が不良の場合、式1のmとnの比率を変更し、緑〜緑青〜青の中で最も良好な画像を描出する中間色を抽出して画像出力するのが好適である。
この良好な画像を描出する際には、上述したGUIにより、検者がm:nの値を対話形式で(たとえば、スライダーにより)変更することで、直ちに画像処理が行われる。
また、青成分Bと緑成分Gの濃度値の合計の値を算出して、この値の比率に従って、mとnを定めることもできる。
しかし、青の濃度が弱すぎて観察できない場合(例えば、図6のdの場合)は、緑成分を増やした像(係数mを増加させた像)の方がNFLDを観察しやすい。すなわち、白内障がある患者等の場合は、m:n=1:1等にするのが好適である。
網膜神経線維層(RNFL)の検査に関しては、従来、健康診断など多くの臨床の場ではカラー眼底写真からの画像診断が行われてきたが、RNFLを発見することは難しかった。また、従来技術1の技術によっても、発見することは難しかった。
これは、RNFLは、赤色光では観察できず、477−549nm波長の緑青〜青色の光で観察する必要があるためである(千原悦夫、Practical Ophthalmology, vol5, No10 (2002) p40−p41、を参照)。すなわち、特殊なフィルタを介した専用機器でないと、RNFLは観察できなかった。
これにより、健康診断の際のカラー眼底写真の画像に、本発明の画像処理装置を用いることで、網膜神経線維層(RNFL)を検出することが可能になる。
さらに、赤成分Rを用いて、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理装置を用いると、脈絡膜を明瞭に表示することが可能になるため、中心性漿液性網脈絡膜症や近視性脈絡膜新生血管、加齢黄斑変性等による脈絡膜の変化等を従来よりも簡便に検出することが可能になる。
そこで、従来のカラー眼底写真の画像から視神経乳頭の評価を行い、次に本発明の第1の実施の形態に係る画像処理でNFLDを検討することにより、緑内障診断の感度、特異度を上げる事ができる。
カラー眼底写真は、目的とする組織の病変を確認しにくい。凝視すれば見つかる所見も、他の組織にマスクされれば、発見困難となることもある。
本発明の第1の実施の形態のように、画像処理を用いて所見を確認しやすくする手法は、様々な診断に有効である。
特に近年のデジタルカメラは、「原色系」フィルタをCCDやCMOS等の撮像素子に備えることが多く、この場合、いわゆる「RAW撮影」と呼ばれる撮像素子のデータを直接記憶する撮影モードを使用すると、画像情報の損失がほとんどなく赤成分R、緑成分G、青成分Bに対応したデータを得ることが可能である。また、「補色系」のフィルタ備えた撮像素子のデジタルカメラの場合も、画像処理性能の向上により、赤成分R、緑成分G、青成分Bの色成分の分解能である色表現力が高くなっている。
さらに、たとえば赤成分R、緑成分G、青成分Bに対応した画素に加えて、GBの色成分に対応する「エメラルド色」のフィルタを装備した撮像素子が存在する。この種類の撮像素子を採用するデジタルカメラを使用し、この「エメラルド色」をRGBの各色成分と同様に画像処理することで、よりNFLDに適した色成分の抽出を行うことができる。
加えて、デジタルカメラの画像に関して、RAW画像で各色成分について16ビット以上の階調を使用した方が、線形変換での誤差が少なくなり、より鮮明な画像を得ることができる。
さらに、ホワイトバランスを最適な値(たとえば、白色光など)に設定した上で撮影することが望ましい。
また、従来技術1の技術と異なり、各色成分を抽出した上で線形濃度変換を用いるために、コントラストを失うことなく、暗部のノイズ成分を除去することができる。これにより、疾病の検査で検者が誤認識する可能性がある画像上の成分を除くことができるため、視認性の高い画像を得ることができる。
さらに、カラー眼底写真からの網膜神経線維層厚解析(網膜神経線維層の厚さの予測)と同等な検査を簡便に行うことができる。
これにより、緑内障、網膜上膜、脈絡膜疾患等の症例に対して、一般的な健康診断で用いられているカラー眼底写真の画像から簡便に診断することが可能となり、高齢化社会におけるQOL(クォリティー・オヴ・ライフ)の向上に資することが可能となる。
また、画像のコントラストの強調の方法は他にも非線形な濃度変換、ヒストグラム平坦化、明るさ調整などがあり、これらの方法も使用することが可能である。
さらに、線形濃度変換する前又は後の画像を、EMアルゴリズム等の画像修復アルゴリズムを用いて画像処理することで、画像を鮮明にすることも可能である。
これにより、PCの画像処理の能力が低い場合、多数の画像を処理する場合に高速なサーバにより処理することができるという効果がある。
さらに、HDD等の保守がなされたサーバに眼底画像を記憶することにより、眼底画像の蓄積が容易になるため、疾病の進行度合いに応じて、画像処理後の画像を比較するといったことを簡単に行うことができる。
まず、図9を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る画像処理システムYの構成の説明をする。この図9において、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムXと同一の構成要素は、同一の符号で示している。
画像処理システムYにおいては、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理システムXに、グラフ処理部16(グラフ処理手段)が加わっている画像処理装置101を使用している点が相違点である。
本発明の第2の実施の形態に係る画像処理システムにおいては、これに加えてカラー眼底写真のRGB濃度値から、緑内障を判定するためのグラフの描画を行う。
このグラフは、
・視神経周囲のRGBの濃度値を円形にとらえる。
・濃度値をグラフ化することで網膜神経線維層の厚さを予測できる。
という特徴がある。
また、全体を区画に分けた平均値(例えば60°毎の平均値)を示すことで領域ごとの網膜神経線維層の平均を予測できる。
次に、図10のフローチャートを参照して、本発明の第2の形態に係る画像処理とグラフの描画についての説明を行う。
まず、ステップS201においては、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理でのステップS101と同様に患者を散瞳させ、カメラ200により、単純カラー眼底撮影を行う。このカラー眼底写真の画像を制御部10の制御により入力部12が入力し、記憶部11に記憶するのもステップS101と同様である。図示しないスキャナ等から入力したカラーの眼底画像が同様に記憶部11に記憶されていてもよいのも同様である。
このカラーの眼底画像のファイルは、グラフ処理部16が使用するために、制御部10がコピーを作成して以下のステップで使用する。
ステップS202においては、ステップS101において得られたカラーの眼底画像から、視神経乳頭の画像上の座標(視神経乳頭部)を設定する。
この設定のためには、検者がGUIによって撮影されたカラー画像から、キーボード300のジョイスティックやポインティングデバイス等を使用して指定することができる。また、グラフ処理部16が、例えば特開2005−261799号のような公知技術を使用して視神経乳頭の座標を検出することも可能である。
次に、ステップS203においては、カラーの眼底画像から、グラフ処理部16が、視神経乳頭を中心とした円周に沿ったRGB(赤、緑、青)成分の濃度値を取得して、画像処理装置101の記憶部11に記憶する。
図11Aの概念図を参照すると、この円周の半径は、ステップS202で得られた視神経乳頭を中心として、視神経乳頭の径より大きく、視神経乳頭〜中心窩の距離より小さい半径で任意に設定することができる。これにより、視神経の厚さを好適に求めることが可能である。
また、円周の各画素の幅についても任意に設定可能である。規定値としては、1画素ずつ濃度値を求めることができる。
また、画素の幅を広く求める場合は、図11Bを参照すると、例えば、円の法線方向に沿った画素(ピクセル)を幅のピクセル分だけ取得し、平均値を取得することができる。これにより、より視神経の厚みに沿ったグラフを作成することが可能になる。
なお、これらの図では、反時計回りに画素を取得しているが、時計回りに画素を取得しても構わない。
次に、ステップS204においては、グラフ処理部16が、ステップS203で得たRGBの各濃度値から、グラフ(ヒストグラム)を作成する。
また緑成分G、青成分Bを任意の比率で加算したGBの濃度値についてもグラフ化する。
このGBの濃度値の計算としては、第1の実施の形態に係るステップS102の式1と同様の式を用いて計算することができる。
GB = (mG+nB)/(m+n) ……… (式1)
G:緑成分濃度値、B:青成分濃度値、m、n任意の数
GB: G濃度値とB濃度値を任意の比率で加算した合計
このm、nの比率については、第1の実施の形態に係る画像処理方法で説明したように、患者が白内障を併発しているような場合に、mとnの比率を変更する(たとえば、mを大きくすることで、より緑成分Gの比率を高くする)ことでより鮮明な画像を得ることが可能である。
以上で、このグラフの描画のステップを終了する。
発明者が鋭意観察と症例を取得した結果、得られたグラフのうち緑青成分のグラフ、青成分のグラフは視神経線維層厚を反映することが分かった。すなわち、値の低い領域ほど、視神経線維層厚が薄いことが予測できる。
眼底の組織の色調は赤〜黄を基調としているため、視神経乳頭を除いて、網膜神経神経線維の厚い部分のみ「白」に近づく。
赤:緑:青の比率において、緑青の成分が赤の成分と等価に近づくほど、「白」に近い色となる。
このため、緑成分Gの濃度値が大きい、青成分Bの濃度値が大きい、又は緑青成分GBの混合値が大きい部分は白に近い色、すなわち視神経線維の厚い部分となる。
また、本発明の第1の実施の形態に係る画像処理においても、青成分B、緑成分G、緑青成分GBの濃度値を用いて画像処理を行っているため、同様のプログラム・モジュールを使用することが可能であるため実装が容易であるという特徴がある。これにより、安価に画像処理システムとして提供することが可能になる。
さらに、本発明の第1の実施の形態の画像処理は「視神経線維の観察」のための画像処理なので、同様の目的に資することができる。
すなわち、第1の実施の形態に係る出力画像と、第2の実施の形態のグラフを参照することで、より確実に緑内障の診断をすることが可能になる。
実際の使用法としては、このグラフにおいては、赤の色成分グラフ、および緑青成分のグラフを用いて脈絡膜と視神経線維層の厚みについての判断を行うことができる。
脈絡膜の描出の際には赤色成分Rのグラフを用いる。また、視神経線維層を描出する際には緑青成分GBのグラフを用いる。式1においてm=0、またはn=0とすると、緑成分G、青成分B、それぞれ単独で診断に用いることもできる。
また、このグラフの厚みから、眼底写真から緑内障の自動判定を行う際の基礎データとすることができる。
この緑内障の自動判定を行う場合、たとえば、緑青の成分の濃度が赤の成分の30%未満である角度がグラフ中の角度の20%以上あった場合に緑内障と判定する、といった判定基準を設けることが可能である。
また、厚みの減少がみられた場合、緑内障の進行が疑われる。これは、緑内障の発見とともに緑内障の進行を診断する上での、有用な情報である。
図13のm〜nの間の領域がNFLDである症例について、上述のようなグラフを作成する。このグラフを基にして、NFLDの角度範囲、角度方向を算出する。
具体的には、NFLDは視神経線維層(RNFL)が薄くなっている領域である。この領域では緑成分G、青成分B、緑青成分GBの濃度値が低下している。濃度値グラフが低下した領域をもとに、NFLDの角度範囲、角度方向を特定する。
ここで、緑青成分GBが赤成分Rの15%程度以下である角度を色成分抽出部14が検出し、もっとも広い角度の範囲(たとえば、10度単位のウィンドウを0〜360度にスライドし、15%程度以下である領域が、もっとも連続していた箇所の範囲)を角度範囲s〜tとする。図13のaに、この角度範囲s〜tの例を示す。
図13のbでは、この角度範囲s〜tの中間の角度を角度方向とした、角度方向qの例を示す。
なお、以下の例で示すように鼻側領域の最大値を基準として、その最大値以下の連続した領域を検索することも可能である。
図14Aは、赤成分Rに対する緑青成分GBの割合を示すグラフからNFLDの角度領域を判定した図である。
この症例では白内障はないため、m=0として、赤成分Rに対する緑青成分GB(m:n=0:1)の割合(青成分B)をグラフ化した。次に、視神経鼻側領域30°(165−195°)の最高値を基準とし、それ以下になる最も広い領域を検出した(黒矢印)。図示しない他の例によると、この最高値として、15%程度が適切な値になることが多い。
鼻側を基準としたのは、鼻側領域は緑内障によって最も障害されにくいためである。さらに、正常者でも鼻側領域(120°−240°程度)の視神経線維層は薄いため、NFLD検出の際には除外するのが好適である。
実際に図14BのNFLD検出結果を眼底写真と照合した写真を参照すると、グラフから読み取った角度範囲は、神経線維層欠損(NFLD)領域とよく一致していた(白矢印)。
角度範囲と角度方向の検出を行うことで、NFLDの角度範囲の拡大、角度方向の変化を検者がみることで緑内障の進行を捕らえることができる。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る眼底写真の画像からNFLDの面積と濃度値の測定を行うことにより、NFLDの範囲の判定(NFLDの面積と濃度値の測定)を行う方法について説明する。ここで、使用する画像処理装置としては、上述の実施の形態2における画像処理装置と同様である。
以下のNFLDの範囲の判定においては、カラー眼底写真又は上述の第1の実施の形態のカラー眼底写真、もしくは画像処理後の眼底写真を用いて、眼底写真上にみられるNFLD(RNFLが薄くなった領域)の面積や濃度値、濃度値の平均等を色成分抽出部14が算出する。
まずは、眼底写真の画像の全領域からNFLDの範囲の判定を行う方法について、図15を参照して詳しく説明する。
まず、眼底写真の全領域からのNFLDの範囲の判定を行う場合、NFLDの領域を指定する。
NFLDの領域は、上述のようにGUIを使用して、撮影されたカラー画像又は画像処理後の画像から、検者がキーボード300のジョイスティックやポインティングデバイス等を使用して曲線や多角形(ポリゴン)を描く等により、領域を指定することができる。この描かれた領域について、図15の右の線で示す。
または、例えば、画面上を160×100程度の格子に区切り、動的プログラミング(DP)を行う等のコンピュータ画像解析によって、境界線の自動描出を行うことで指定することも可能である。さらに、輪郭抽出を行い、その輪郭に沿って公知の技術で境界線を自動抽出することも可能である。
なお、領域を指定する際に、視神経乳頭は必ずしも中央でなくてもよい。
この合計値と画素数により、画像中のNFLDの面積と、NFLD内の各色成分の平均濃度値を用いて、1画素毎(又は単位面積あたりの)の濃度値の平均を算出し、各色成分の平均濃度値を求める。
これにより、NFLDの面積を定量化でき、NFLD領域の濃度値を定量化できる。
NFLDの領域の面積の増加、または濃度値の平均値の減少がみられれば、緑内障が進行したと判定できる。
本発明の発明者が鋭意検討した結果、NFLDがより明瞭になる場合、実際には、NFLD領域の色の濃度が低下していることが分かった。本発明の第3の実施の形態に係る眼底写真の全領域上のNFLDの範囲の判定においては、画像処理と濃度値の算出により、これを数値化することができる。
なお、上述の説明においては、各画素について濃度値を算出することで濃度値の平均を算出するように説明したが、格子に区切った規定の面積ごとに平均を算出する等を行うようにすることもできる。
次に、眼底写真の画像の全域上ではなく、限られた領域のNFLDに基づいてNFLDの範囲の判定を行う方法について、図16を参照して説明する。
まず、画像処理前の眼底写真の画像又は画像処理後の画像であるaから、視神経乳頭を中心とした、一定の半径の円内(たとえば、視神経乳頭直径の2.5倍の範囲)にみられるNFLDの面積を算出する。
この算出の方法としては、bに示すように、上述の眼底写真の全領域からのNFLDの範囲の判定と同様に、検者によりGUIで選択する又は、コンピュータ画像解析により境界線を自動描出することにより行う。ここで、上述の全領域からのNFLDの範囲の判定と同様に、領域内の各色成分(緑成分G若しくは青成分B、又は緑青成分GB)の濃度値の平均と、画素の合計数を算出する。
次に、cに示すように、この領域の端と円を結ぶ線により、上述の第2の実施の形態と同様なNFLDの角度範囲s〜tを算出する。また、角度範囲s〜tの中点を基にして、角度方向qを算出する。
これにより、領域内のNFLDの面積と各色成分の濃度値の平均、NFLDの方向、NFLDの範囲の情報を得ることができる。
領域内の面積が拡大すると、緑内障が進行したと判定できる。また、濃度値の平均が低下すると、緑内障が進行したと判定できる。
まず、一般に眼底写真は、一度の撮影で眼底全体を描出することが難しい。さらに、NFLDの末梢は不明瞭な場合が多く、範囲の特定が困難な場合も多い。このため、一枚の写真の中でNFLDの全面積を求めることは難しいことがある。
しかし、NFLDは視神経乳頭から始まり、視神経乳頭に近い領域ほどNFLDは明瞭であることが知られている。
よって、このNFLDが明瞭な一定領域の中で求められたNFLDの面積と濃度値の平均は、より再現性が高い。
また、角度範囲s〜tの中点を基にして、角度方向qを算出できるため、第2の実施の形態と同様の方法により、角度範囲と角度方向の検出を行うことができる。これにより、NFLDの角度範囲の拡大、角度方向の変化を検者がみることで緑内障の進行を把握することができる。
次に、特定の領域にみられるNFLDの範囲の判定を行う方法のバリエーションである、視神経周囲のドーナツ状領域内(たとえば、内円を視神経乳頭径の2倍とし、外円を視神経乳頭径の3倍とする)で、NFLDの面積および平均濃度値を測定することにより、NFLDの判定を行う方法について、図17を参照して説明する。
まず、上述の画像処理前の眼底写真の画像又は画像処理後の画像であるaから、視神経乳頭を中心とした、内円と外円との間で、上述の方法と同様に、検者がGUIで選択するか、コンピュータ画像解析によりNFLDの領域を描出する。この抽出した領域の画像がbである。
次に、上述の限られた区域におけるNFLDの範囲の判定と同様に、抽出した領域において、各色成分の濃度値の平均と、画素の面積を算出する。さらに同様に、cに示すようにNFLDの角度範囲s〜tを算出する。また、角度範囲s〜tの中点を基にして、角度方向qを算出する。
これにより、ドーナツ状区域内のNFLDの面積と濃度値の平均、NFLDの方向、NFLDの範囲の情報を得ることができる。
画素の面積が増加、または各色成分の平均濃度値の低下がみられれば、緑内障が進行したと判定することができる。
まず、視神経乳頭の形状には個人差がある。また乳頭周囲網脈絡膜萎縮および乳頭コーヌスなどによりNFLDの観測が困難な場合がある。このため、上述した単一の円内の領域を用いる方法では、症例によっては、画一的な判定が困難なことがある。
そこで、ドーナツ状領域におけるNFLD解析を行うことで、上述の限られた区域におけるNFLDの範囲の判定よりさらに精度を上げることが可能になる。
また、NFLDの角度方向と角度範囲も同様に算出できる。
次に、上述のドーナツ状領域内の測定によるNFLDの範囲の判定のバリエーションである、鼻側領域の測定によるNFLDの範囲の判定について、図18を参照して説明する。
まず、上述の画像処理前の眼底写真の画像又は画像処理後の画像であるaから、上述のドーナツ状の領域(例えば、内円を視神経乳頭径の2倍、外円を視神経乳頭径の3倍とする)について、ドーナツ状領域内の測定によるNFLDの範囲の判定と同様に計算する。
次に、鼻側の一定領域(たとえば、内円と外円に挟まれた鼻の方向である左側、90°)の各色成分の濃度値の平均を求め、これを基準とする。
すなわち、鼻側領域の濃度値の平均に対するNFLD領域の濃度値の平均の比率を算出する。
これにより、鼻側領域の濃度値の平均、ドーナツ状区域内のNFLDの濃度値の平均、さらに濃度比の情報を得ることができる。
ここで、濃度比の比率が低下すると、緑内障が進行したと判定することができる。
まず、各領域の濃度値は、フラッシュの光量や撮影条件により撮影毎に変化する。また画像形式によっても、濃度値が異なる。このため、どうしても誤差が生じてしまう。
しかし、緑内障が進行した場合でも、眼底において鼻側領域は最も視神経萎縮をきたしにくい領域として知られている。
よって、鼻側領域の濃度値の平均を基準として、NFLD領域の濃度値測定を求めると、さらに判定の精度を上げることが可能となる。
真円以外を用いた場合、円の角度ではなく、全周における円弧の長さの割合等を判定に用いることができる。
また、視神経乳頭は、完全な中心でなくてもよい。すなわち、視神経乳頭の検出の精度が低い場合でも、正しい判定結果を得ることができる。
これにより、通常の健康診断で使われるカラー眼底写真において、簡便に眼底の疾病を検出することが可能になり、特に緑内障の診断と発症後の進行の防止に効果的である。
さらに、カラー眼底写真の撮影と画層処理システムの需要を喚起することができる。加えて、高齢化社会における高齢者の社会活用の促進と、高齢者のQOL(クォリティー・オヴ・ライフ)の向上に役立つ。
11 記憶部
12 入力部
13 出力部
14 色成分抽出部
15 濃度変換部
16 グラフ処理部
100、101 画像処理装置
200 カメラ
300 キーボード
400 表示部
500 プリンタ
R 赤成分
G 緑成分
B 青成分
X、Y 画像処理システム
Claims (17)
- 眼底画像の検査のためにカラー眼底写真の画像から画像処理を行う画像処理装置であって、
前記カラー眼底写真の画像から色成分を抽出する色成分抽出手段と、
前記色成分抽出手段により抽出された色成分ごとに画像の濃度変換を行う濃度変換手段とを備える
ことを特徴とする画像処理装置。 - 前記色成分抽出手段は、網膜神経線維層欠損(NFLD)、網膜神経線維層(RNFL)、又は網膜上膜の検査用の画像出力をする場合には緑青、緑、青の各色の成分を抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記緑青色の成分について、緑の成分と青の成分の比率のうち緑の成分の比率を高くして緑青の成分を抽出することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記色成分抽出手段は、脈絡膜の検査用の画像出力をする場合には赤の成分を抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記濃度変換手段は、線形濃度変換を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記カラー眼底写真における視神経乳頭部を中心とした円周に沿った画素からヒストグラムを作成するグラフ処理手段を更に備えることを特徴とする1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記円周の半径は前記視神経乳頭部の径より大きく、前記視神経乳頭部から中心窩の距離よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
- 前記ヒストグラムは、赤の色成分のグラフと、緑青成分のグラフを含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の画像処理装置。
- 前記ヒストグラムの赤成分と緑青成分の比率を出力することを特徴とする、請求項6又は7に記載の画像処理装置。
- 前記グラフ処理手段は、前記ヒストグラムの前記比率から、網膜神経線維層欠損の角度範囲と角度方向を求めることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
- 前記色成分抽出手段は、指定された領域の各色成分の濃度値の平均と、画素の面積を更に算出することを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記指定された領域は、前記円周内であることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
- 前記指定された領域は、前記円周内の内円と外円に挟まれた領域であるであることを特徴とする請求項11又は12に記載の画像処理装置。
- 前記色成分抽出手段は、鼻側領域の各色成分の濃度値の平均を更に算出し、前記指定された領域の各色成分の濃度値の平均に対する比率を算出することを特徴とする請求項13に記載の画像処理装置。
- 前記グラフ処理手段は、前記指定された領域から、網膜神経線維層欠損の角度範囲と角度方向を求めることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 眼底画像の検査のために画像処理を行う画像処理システムであって、
カラー眼底写真の画像を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力されたカラー眼底写真の画像から色成分を抽出する色成分抽出手段と、
前記色成分抽出手段により抽出された色成分ごとに画像の濃度変換を行う濃度変換手段と、
前記濃度変換手段により濃度変換された画像を出力する出力手段とを備える
ことを特徴とする画像処理システム。 - 眼底画像の検査のための画像処理を行う画像処理方法であって、
カラー眼底画像から抽出した色成分ごとに濃度画像を出力し、
前記出力された濃度画像を濃度変換して出力する
ことを特徴とする画像処理方法。
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