JP2008280326A - 毛髪処理方法 - Google Patents

毛髪処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008280326A
JP2008280326A JP2007255244A JP2007255244A JP2008280326A JP 2008280326 A JP2008280326 A JP 2008280326A JP 2007255244 A JP2007255244 A JP 2007255244A JP 2007255244 A JP2007255244 A JP 2007255244A JP 2008280326 A JP2008280326 A JP 2008280326A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hair
acid
keratin
molecular weight
agent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007255244A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4931010B2 (ja
Inventor
Yuichi Tsuda
祐一 津田
Seiji Kenjo
静司 見城
Hitoshi Nakazawa
仁 中澤
Yoshihiro Nomura
義宏 野村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
TOYO UMOU KOGYO KK
Tokyo University of Agriculture and Technology NUC
Tokyo University of Agriculture
Original Assignee
TOYO UMOU KOGYO KK
Tokyo University of Agriculture and Technology NUC
Tokyo University of Agriculture
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by TOYO UMOU KOGYO KK, Tokyo University of Agriculture and Technology NUC, Tokyo University of Agriculture filed Critical TOYO UMOU KOGYO KK
Priority to JP2007255244A priority Critical patent/JP4931010B2/ja
Publication of JP2008280326A publication Critical patent/JP2008280326A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4931010B2 publication Critical patent/JP4931010B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

【課題】加水分解タンパク質を毛髪内部に浸透・吸着させ、毛髪のハリ及び染毛剤の染色性及び染色堅牢性を向上させる毛髪処理方法の提供。
【解決手段】還元剤非存在下、獣毛由来のケラチンをアルカリ加水分解して得られる、数平均分子量300〜1000のケラチン分解物を含有する液剤を毛髪に塗布して浸透させた後、当該毛髪に酸含有液剤を塗布することを特徴とする毛髪処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、毛髪にハリや艶の付与、或いは染色毛の染色性及び染色堅牢性を向上するための毛髪処理方法及び毛髪処理剤に関する。
毛髪は、日常の洗髪やブラッシング、更には染色やパーマなどにより、毛髪中のタンパクが溶出し、保湿性が低減して、ぱさつき、ハリの減少、枝毛や切れ毛等の損傷を引き起こす。従来から、傷んだ毛髪の補修には、カチオン性界面活性剤、シリコーン油等の油類、カチオン性ポリマーやシリコーン誘導体などを配合した毛髪処理剤が用いられている。
また、生体由来のコンディショニング成分として加水分解タンパク質が知られ、これを配合した毛髪処理剤が多数考案されている。例えば、タンパク加水分解物を含有する第1剤とカチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性高分子化合物を含有する2剤式毛髪処理剤組成物(特許文献1)、加水分解ペプチドまたはその誘導体にシステインを導入したケラチン物質処理剤(特許文献2)等が報告され、また、数平均分子量1000以上の加水分解タンパク質を含有する液剤を毛髪に塗布した後に、当該加水分解タンパク質を酸により変性させるヘアーリンス方法が、毛髪上で加水分解タンパク質が変性して凝集し、毛髪表面上に十分に強固に吸着し、毛髪の状態を整える効果があることが報告されている(特許文献3)。
一方、染色毛においては、毛髪の損傷の軽減に加え、染毛剤の染色性や染色堅牢性を向上させることが課題とされ、ケラチン加水分解物を含有する染毛用前処理剤が、毛髪の損傷部位を保護し、毛髪全体の表面にケラチン加水分解物の被膜を形成することによって、色むらがなく均一に染色できること等が報告されている(特許文献4)。
このように、毛髪に加水分解タンパク質を適用することで、毛髪の損傷や染毛剤の染色性等に一定の効果をもたらすことが知られているが、その効果は、必ずしも十分なものではない。
特開10−120533号公報 特開平11−292741号公報 特許3774166号公報 特開平10−291919号公報
本発明は、加水分解タンパク質を毛髪内部に浸透・吸着させ、毛髪のハリ及び染毛剤の染色性及び染色堅牢性を向上させる毛髪処理方法を提供することに関する。
本発明者らは、加水分解ケラチンの性質について検討したところ、還元剤非存在下、アルカリ加水分解されたケラチン分解物を含有する溶液のpHを、当該ケラチンの等電点付近に調整した場合に、ケラチン分解物の平均分子量が高分子化することを見出した。そして、この現象を更に検討したところ、特定の分子量を持つ前記ケラチン分解物を含有する液剤を毛髪に塗布した後、酸で処理すると、ケラチン分解物が毛髪内部に浸透し、吸着・固定されて、毛髪のハリ、コシが向上すること、また染毛前に当該処理を施すことにより、染毛剤による染色性及び染色堅牢性が大幅に向上することを見出した。
すなわち、本発明は以下の1)〜4)に係るものである。
1)還元剤非存在下、獣毛由来のケラチンをアルカリ加水分解して得られる、数平均分子量300〜1000のケラチン分解物を含有する液剤を毛髪に塗布して浸透させた後、当該毛髪に酸含有液剤を塗布することを特徴とする毛髪処理方法。
2)獣毛が羽毛である上記1)に記載の方法。
3)毛髪処理が、ヘアーリンス、ヘアートリートメント、ヘアコンディショニング及び染毛前処理から選ばれるものである上記1)又は2)に記載の方法。
4)還元剤非存在下、獣毛由来のケラチンをアルカリ加水分解して得られる、数平均分子量300〜1000のケラチン分解物を含有する液剤と、酸含有液剤からなる毛髪処理剤。
本発明の毛髪処理方法及び毛髪処理剤によれば、ケラチン分解物が毛髪内部に浸透・吸着した後、高分子化して固定されるため、毛髪にハリや潤いが付与されると共に、当該効果は洗髪やブラッシングによって喪失されにくく、長期間維持される。また、この毛髪処理を染毛前に施行することより、染毛剤による染色性及び染色堅牢性が大幅に向上され、染毛の回数を減らすことが出来る。
本発明において用いられるケラチン分解物は、獣毛由来のケラチンをアルカリ条件下で加水分解して得られるものである。
ここで、ケラチンとしては、鳥類、羊、アルパカ、モヘア、アンゴラ、カシミヤ等の獣毛由来のケラチンタンパク質が挙げられ、中でも鳥類から得られる羽毛又は羊毛由来のケラチンが好ましく、羽毛由来のケラチンを用いるのがより好ましい。羽毛は、例えばニワトリ、ウズラ、シチメンチョウ等の陸鳥やガチョウ、アイガモ、イエガモ、ヨーロッパガモ、ペキンダック、アイダーダック等の水鳥から得られるダウン、フェザー、スモールフェザーのいずれの羽毛も使用することができるが、特に水鳥羽毛が好ましい。
斯かるケラチン分解物は、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。
加水分解はアルカリ条件下で行われるが、当該アルカリとしては、タンパク質やペプチドの加水分解に通常用いられるもの、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、アンモニア等が挙げられ、対象のケラチン原料の性質等によって適宜選択すればよい。羊毛、羽毛を原料として用いる場合は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを使用するのが反応の効率性、コスト、安全性の点から好ましい。
尚、加水分解溶液は、アルカリの水溶液であるのが好ましいが、アルコールと水との混合溶媒や界面活性剤との混合溶媒を用いてもよい。
アルカリの濃度は、対象のケラチン原料に適した条件を適宜選択すればよいが、羽毛、羊毛を原料とする場合、通常0.1〜0.8mol/Lとするのが好ましく、0.2〜0.5mol/Lであるのがより好ましい。
加水分解処理は、上記アルカリ溶液中でケラチン原料を振とう又は攪拌することによって行われる。反応は、通常20〜120℃の範囲内で、0.1〜72時間処理するのが好ましい。羊毛又は羽毛を原料とした場合の加水分解条件としては、アルカリ濃度を0.1〜0.5mol/Lとし、80〜120℃で0.1〜16時間処理するのが好適である。
尚、アルカリ加水分解に際し、当該ケラチン原料を含水率20〜80%の含水状態とすることにより、より緩和な条件で効率よく加水分解を行うことが可能となり、同時にケラチン分解物への着色や臭いの付着を防止することができ、好ましい。
加水分解終了後、当該処理液に対して中和処理がなされる。中和は、酸及び/又は過酸化物を用いて行うのが好ましく、酸としては、例えば、塩酸、硫酸、酢酸等が挙げられ、好ましくは塩酸、酢酸、より好ましくは塩酸である。また、過酸化物としては、例えば、過蟻酸、過塩素酸、過酸化水素等が挙げられ、好ましくは過塩素酸、過酸化水素、より好ましくは過酸化水素である。このうち、過酸化物は、その酸化力により、メラニン等の色素や臭い物質等を分解し、脱色・脱臭効果を発揮することから、特に好ましい。
斯かる酸及び過酸化物は、それぞれを単独で使用すること或いは数種類を適宜組み合わせて使用することができる。
本発明のケラチン分解物の製造行程は、還元剤の非存在下に行われる必要がある。還元剤を用いると、酸処理を施してもケラチン分解物の高分子化が起こらないからである。ここで、還元剤としては、ケラチンのジスルフィド結合を還元してチオール基に変換する作用を有する化合物(例えば、酸性亜硫酸塩、亜硫酸塩等の無機化合物、L−システイン、DL−システイン、N−アセチルシステイン、チオリンゴ酸、チオ乳酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、ジチオスレイトール、ジチオエリトリトール等のチオ化合物やトリプロピルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機リン化合物等)が挙げられる。また、これらの還元剤の非存在下であれば、酸化分解や酵素分解を併用してもよい。
本発明のケラチン分解物の分子量は、毛髪への浸透、吸着、固定の点から、ゲル濾過分析で数平均分子量が300〜1000のものが用いられ、好ましくは400〜1000、より好ましくは500〜1000、さらに好ましくは500〜900のものである。
上記液剤中のケラチン分解物の含有量は、1〜80質量%とするのが好ましく、5〜60質量%とするのがより好ましい。
酸含有液剤は、化粧品原料として使用でき、毛髪に添加して、ケラチン分解物含有液剤との混合時のpHをケラチンの等電点付近(3.5〜4.5)に調整可能な酸性物質を含有する溶液であればよく、そのような酸性物質として例えば、シュウ酸、マレイン酸、グリコール酸、レブリン酸、酪酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、サリチル酸、酒石酸、フマル酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、蟻酸、乳酸、グルタル酸、アジピン酸、酢酸、プロピオン酸、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸、イソステアリン酸、安息香酸、アスコルビン酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸、エデト酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸等が挙げられ、これらの酸やその塩を単独もしくは併用することで目的とするpHに調整することができる。
上記酸含有液剤中の酸の含有量は、0.01〜10質量%とするのが好ましく、0.1〜5質量%とするのがより好ましい。
上記のケラチン分解物含有液剤及び酸含有液剤には効果を損ねない範囲で、毛髪化粧料に配合し得る成分を目的に応じて適宜配合することができる。
そのような成分として例えば、水、アニオン界面活性剤(例えば、アルキルエーテルカルボン酸塩、N−アシルグルタミン酸、N−アシルメチルタウリン塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテル硫酸塩等)、カチオン界面活性剤(例えば、アルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、アルキル四級アンモニウム塩等)、両性界面活性剤(例えば、グリシン型両性界面活性剤、アミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、スルホベタイン型両性界面活性剤等)、非イオン界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等)、その他の界面活性剤(天然界面活性剤、タンパク質加水分解物の誘導体、高分子界面活性剤、チタン・ケイ素を含む界面活性剤、フッ化炭素系界面活性剤)、油性成分(例えば、スフィンゴ脂質、リン脂質セラミド、コレステロール誘導体等)、油脂(例えば、ツバキ油、アボガド油、アーモンド油、ウイキョウ油、エゴマ油、オレンジ油、オレンジラファー油、ゴマ油、ナタネ油、カカオ脂、オリーブ油、大豆油、カミツレ油、カロット油、キューカンバー油、牛脂脂肪酸、ククイナッツ油、サフラワー油、シア脂、液状シア脂、トウモロコシ油、パーシック油、ヒマシ油、綿実油、落花生油、タートル油、ミンク油、卵黄油、パーム油、パーム核油、モクロウ、ヤシ油、牛脂、豚脂、マカデミアナッツ油等)、ロウ類(例えば、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ミツロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、カンデリラロウ、モンタンロウ、セラックロウ、ライスワックス、カルナバロウ、ホホバ油等)、炭化水素(例えば、ワセリン、パラフィン、オゾケライド、セレシン、マイクロクリスタンワックス、軽質流動パラフィン、スクワラン、スクワレン等)、糖類(例えば、ブドウ糖、乳糖、果糖、ショ糖又はそのエステル、トレハロース又はその誘導体、デキストリン、ペクチン、デンプン、カラギーナン、キチン又はキトサン、キトサン塩、アルギン酸又はその塩、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸又はその塩、ソルビトール、トレハロース等)、高分子類(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ニトロセルロース、カチオン化セルロース、結晶セルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメタアクリレート、ポリアクリル酸塩、ポリアルキレンオキサイド又はその架橋重合物、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレンイミン等、アルギン酸、コンニャクマンナン、アラビアガム、キサンタンガム、カチオン化グアーガム等)、脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール油、ラノリン脂肪酸、イソノナン酸、カプロン酸、2-エチルブタン酸、イソペンタン酸、2-メチルペンタン酸、2-エチルヘキサン酸、イソペンタン酸等)、アルコール、多価アルコール類(例えば、エタノール、イソピロパノール、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、フェノキシエタノール、2-ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、酸化エチレン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコール、酸化プロピレン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、ペンチルグリコール、グリセリン、ポリグリセリン、ペンタエリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、マンニトール、ガラクチトール、ソルビトール、ラクチトール、マルチトール、セタノール、フィトステロール等)、エステル類(例えば、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、オレイン酸オクチルドデシル、ジオレイン酸プロピレングリコール、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、酢酸ラノリン、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリル等)、シリコーン類(例えばアルコール変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、環状ジメチルシリコーン等)、植物エキス(例えば、カミツレエキス、コンフリーエキス、セージエキス、ローズマリーエキス等)、ペプチド類(例えば、加水分解コラーゲン、加水分解ケラチン、加水分解小麦、加水分解大豆、加水分解シルク、小麦プロテイン、大豆プロテイン、各種アミノ酸等)、ビタミン類(例えば、L−アスコルビン酸、DL−α−トコフェロール、D−パンテノール等)、紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エトキシエチル等)、防腐剤(例えば、安息香酸、安息香ナトリウム、サリチル酸、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸ナトリウム、パラベン類、フェノキシエタノール等)、酸化防止剤(ビタミンC又はその塩、ステアリン酸エステル、ビタミンE又はその誘導体、ノルジヒドログアセレテン酸、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ヒドロキシチロソール、パラヒドロキシアニソール、没食子酸プロピル、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム等)、金属イオン封鎖剤(例えば、エデト酸塩、ポリリン酸ナトリウム、フィチン酸等)、pH調整剤(例えば、クエン酸、乳酸、リン酸、水酸化ナトリウム、アンモニア、アミノメチルプロパノール等)、溶剤(例えば、エタノール、イソプロパノール、ベンジルアルコール等)、染料、香料等が挙げられる。
本発明の毛髪処理方法は、髪を水又は湯で濯いだ後、或いはシャンプーした後に施行されるヘアーリンス、ヘアートリートメント、ヘアコンディショニング等として行うことができ、また、染毛やパーマネントを施行する際の前処理として行うことができる。
具体的には、髪を水又は湯で濯いだ後或いはシャンプー後に、ケラチン分解物含有液剤の適量を毛髪に均一に塗布して、0〜10分間、好ましくは5〜10分間放置する。次いで、酸含有液剤を均一に塗布して0〜10分間、好ましくは0〜5放置した後、洗い流すことにより、行うことができる。
本発明の毛髪処理剤は、例えば、ケラチン分解物含有液剤を第1剤、酸含有液剤を第2剤として組み合わせ、上記のように使用される2剤式の毛髪処理剤が挙げられる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。また、表中の各成分の配合量は質量部であり、溶液の形であるものは、成分の後に括弧書きで固形分濃度を表記する。また、濃度を示す%は、質量%濃度である。なお、本発明におけるゲルろ過分析は下記の条件により測定された値である。
<ゲルろ過分析条件>
ゲル濾過用カラム:昭和電工社製、AsahipakGF-510HQ AsahipakGF-310HQ
移動相:CH3CN/H2O(45/55)+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)
流速:0.5ml/min
カラム温度:40℃
UV検出条件:215nm
標準試料:カタラーゼ(Mw230,000)、アルドラーゼ(Mw158,000)、ウシ血清アルブミン(Mw68,000)、オボアルブミン(Mw45,000)、キモトリプシノーゲンA(Mw25,000)、シトクロムC(Mw12,500)、インシュリン(Mw5,808)、バシトラシン(Mw1,400)、グリシル−グリシル−グリシル−グリシル−グリシル−グリシン(Mw360.3)、グリシル−プロリル−アラニン(Mw243)、フェニルアラニン(Mw165)
参考例1
50%含水した水鳥羽毛2gを入れた50ml容三角フラスコに0.25N NaOH 30gを加え、よくなじませた後、120℃で5分間加水分解反応を行った。室温まで冷却後、11,000rpmで15分間遠心分離し、未分解物を除去したケラチン抽出液を得た。さらに、未分解物を除去した抽出液にクエン酸一水和物を適量添加し、pHを3.8に調整し、11,000rpmで15分間遠心分離し沈殿物と上清を得た。
得られたケラチン抽出液および沈殿物のゲルろ過分析の結果を図1に示す。抽出液の数平均分子量は457であるのに対して、沈殿物では数平均分子量が1155であった。図1からも明らかなように、沈殿物のゲルろ過分子量ピークは、抽出液よりも明らかに高分子側にシフトしており、加水分解物の分子量が変化していることが確認された。
参考例2
50%含水した水鳥羽毛2gを入れた50ml容三角フラスコに水を30g、ジチオスレイトール(DTT)を0.15g、ラウリル硫酸ナトリウムを0.05g加え、水酸化ナトリウムを適量添加し、pHを9に調整した後、120℃で5分間還元反応を行い、ケラチン抽出液を得た。さらに、抽出液にクエン酸一水和物を適量添加し、pHを3.8に調整し、1,1000rpmで15分間遠心分離し沈殿物と上清を得た。
得られたケラチン抽出液および沈殿物のゲルろ過分析の結果を図2に示す。抽出液の数平均分子量は5,968であるのに対して、沈殿物では数平均分子量が6,203であった。図2からも明らかなように、沈殿物のゲルろ過分子量ピークは、抽出液よりも高分子側にシフトすることはなかった。また、数平均分子量の変化は、等電点沈殿により、もともと溶液中に存在した低分子ケラチンが溶液中に残り、沈殿しやすい高分子ケラチンが多く沈殿したためであると推測された。
参考例3
水鳥羽毛1gを入れた50ml容三角フラスコに0.05M Tris緩衝液(pH9.5、0.05M ジチオスレイトール(DTT)、8M尿素含む)30g加え、4℃で24時間振とうした。その後、11,000rpmで30分間遠心分離し、上清からケラチン還元抽出液を10g採取した。
残りの還元抽出液に、亜硫酸ナトリウムを0.5g、テトラチオン酸ナトリウム二水和物を1.22g加え、遮光、4℃で24時間振とうした。その後、11,000rpmで30分間遠心分離し、上清スルホン化ケラチン抽出液を16.5g得た。
得られたスルホン化ケラチン抽出液をクエン酸一水和物によりpHを3.8に調整し、参考例1と同様にゲルろ過分析した。結果を図3に示す。
スルホン化ケラチン抽出液をケラチンタンパク質の等電点であるpH3.8付近に調製しても沈澱は生じず、pH調整前の数平均分子量は7177であり、pH調整後の数平均分子量は7162であった。図3からも明らかなように、ゲルろ過分子量ピークは高分子側にシフトすることはなかった。
参考例4
50%含水した羊毛2gを入れた50ml容三角フラスコに0.2N NaOH 30gを加え、よくなじませた後、120℃で5分間加水分解反応を行った。室温まで冷却後、1,1000rpmで15分間遠心分離し、未分解物を除去したケラチン抽出液を得た。さらに、未分解物を除去した抽出液に1N HClを適量添加し、pHを3.8に調整し、1,1000rpmで15分間遠心分離し沈殿物を得た。
得られたケラチン抽出液および沈殿物のゲルろ過分析の結果を図4に示す。抽出液の数平均分子量は554であるのに対して、沈殿物では数平均分子量が719であった。図4からも明らかなように、沈殿物のゲルろ過分子量ピークは、抽出液よりも高分子側にシフトしており、加水分解物の分子量が変化していることが確認された。
参考例5
羊毛1gを入れた50ml容三角フラスコに0.05M Tris緩衝液(pH9.5、0.05M ジチオスレイトール(DTT)、8M尿素含む)30g加え、4℃で24時間振とうした。その後、11,000rpmで30分間遠心分離し、上清からケラチン還元抽出液を10g採取した。残りの還元抽出液に亜硫酸ナトリウムを0.5g、テトラチオン酸ナトリウム二水和物を1.22g加え、遮光、4℃で24時間振とうした。その後、11,000rpmで30分間遠心分離し、上清からスルホン化ケラチン抽出液を得た。
得られたスルホン化ケラチン抽出液をクエン酸一水和物によりpHを3.8に調整し、参考例1と同様にゲルろ過分析した。結果を図5に示す。
スルホン化ケラチン抽出液をケラチンタンパク質の等電点であるpH3.8付近に調製しても沈澱は生じず、pH調整前の数平均分子量は522であり、pH調整後の数平均分子量は520であった。図5からも明らかなように、ゲルろ過分子量ピークは高分子側にシフトすることはなかった。
参考例6
還元剤非存在下で水鳥羽毛よりケラチンタンパク質を抽出した加水分解ケラチン(商品名:ケラタイド 東洋羽毛(株)社製)の水溶液にクエン酸一水和物を適量添加し、pH3.8に調整した後、生じた沈澱を遠心分離した。得られた沈殿物および原料のゲルろ過分析の結果を図6に示す。原料の数平均分子量は581であるのに対して、沈殿物の数平均分子量は2269であった。図6からも明らかなように沈殿物のゲルろ過分子量ピークは、原料のゲルろ過分子量ピークよりも高分子側にシフトしており、加水分解物の分子量が変化していることが確認された。
製造例1
50%含水した水鳥羽毛30gを入れた500ml容三角フラスコに0.25N NaOH 225gを加え、よくなじませた後、120℃で5分間加水分解反応を行った。室温まで冷却後、8,000rpmで30分間遠心分離し、未分解物を除去した。得られた上清に6N HClを適量添加し、pHを7に調整した後、イオン交換樹脂(三菱化学(株)社製:ダイヤイオン SMNUP)を適量添加し、脱塩を行った。この溶液をろ過してイオン交換樹脂を取り除いた後、凍結乾燥し、還元剤非存在下アルカリ加水分解ケラチンを得た。このケラチンの数平均分子量は480であった。
製造例2
50%含水した水鳥羽毛30gを入れた500ml容三角フラスコに水を225g、ジチオスレイトール(DTT)を1.9g、ラウリル硫酸ナトリウムを1g加え、NaOHを適量添加し、pHを9に調整した後、120℃で5分間還元反応を行った。室温まで冷却後、8,000rpmで30分間遠心分離し、未分解物を除去した。得られた上清に0.25NとなるようにNaOHを加え、120℃で5分間加水分解反応を行った。室温まで冷却後、6N HClを適量添加し、pHを7に調整した後、イオン交換樹脂(三菱化学(株)社製:ダイヤイオン SMNUP)を適量添加し、脱塩を行った。この溶液をろ過してイオン交換樹脂を取り除いた後、凍結乾燥し、還元剤存在下アルカリ加水分解ケラチンを得た。このケラチンの数平均分子量は378であった。
試験例1
(1)評価用溶液の調製
表1に記載した第1剤および第2剤を調製した。
(2)毛髪処理
長さ10cm、約1gの無処理の毛束を2%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、水道水ですすぎ、風乾させた。さらに5.0%過酸化水素水、2.5%アンモニア水の混合液に40℃で2時間浸漬し、水道水で洗浄、風乾することにより高損傷モデル毛髪を作成した。これに実施例1及び比較例1〜5の各試料の第1剤に40℃で10分間浸漬し、その後、第2剤に室温で1分間浸漬後、水道水で30秒間水洗、ドライヤー乾燥させ、この処理を5回繰りかえした。
(3)引っ張り強度の測定
上記処理後の毛束からランダムに毛髪を30本採取し、引っ張り強度および毛髪の直径を測定し、強度を断面積で割った、その平均値を求めた。毛髪の下端4cm部分から6cm部分までを測定部とし、4,5,6cm部の毛髪直径を測定し、平均値をその毛髪の直径とした。なお、引っ張り強度は山電(株)社製クリープメーターを用いて測定した結果を表2に示す。
表2の結果から、実施例1では、比較例1〜5と比べて毛髪の引っ張り強度が高かった。これはケラチン分解物が毛髪内部に浸透し、酸により平均分子量が高分子化して毛髪へ吸着・固定され、毛髪内部から流出しにくくなったためであると考えられる。
製造例3
50%含水した水鳥羽毛30gを入れた500ml容三角フラスコに0.375N NaOH 225gを加え、よくなじませた後、80℃で3時間加水分解反応を行った。室温まで冷却後、8,000rpmで30分間遠心分離し、未分解物を除去した。得られた上清に6N HClを適量添加し、pHを7に調整した後、イオン交換樹脂(三菱化学(株)社製:ダイヤイオン SMNUP)を適量添加し、脱塩を行った。この溶液をろ過してイオン交換樹脂を取り除いた後、凍結乾燥し、還元剤非存在下アルカリ加水分解ケラチンを得た。このケラチンの数平均分子量は695であった。
製造例4
50%含水した水鳥羽毛30gを入れた500ml容三角フラスコに0.375N NaOH 225gを加え、よくなじませた後、60℃で3時間加水分解反応を行った。室温まで冷却後、8,000rpmで30分間遠心分離し、未分解物を除去した。得られた上清に6N HClを適量添加し、pHを7に調整した後、イオン交換樹脂(三菱化学(株)社製:ダイヤイオン SMNUP)を適量添加し、脱塩を行った。この溶液をろ過してイオン交換樹脂を取り除いた後、凍結乾燥し、還元剤非存在下アルカリ加水分解ケラチンを得た。このケラチンの数平均分子量は930であった。
製造例5
50%含水した水鳥羽毛30gを入れた500ml容三角フラスコに0.25N NaOH 225gを加え、よくなじませた後、80℃で3時間加水分解反応を行った。室温まで冷却後、8,000rpmで30分間遠心分離し、未分解物を除去した。得られた上清に6N HClを適量添加し、pHを7に調整した後、イオン交換樹脂(三菱化学(株)社製:ダイヤイオン SMNUP)を適量添加し、脱塩を行った。この溶液をろ過してイオン交換樹脂を取り除いた後、凍結乾燥し、還元剤非存在下アルカリ加水分解ケラチンを得た。このケラチンの数平均分子量は1275であった。
製造例6
50%含水した水鳥羽毛30gを入れた500ml容三角フラスコに0.375N NaOH 225gを加え、よくなじませた後、60℃で2時間加水分解反応を行った。室温まで冷却後、8,000rpmで30分間遠心分離し、未分解物を除去した。得られた上清に6N HClを適量添加し、pHを7に調整した後、イオン交換樹脂(三菱化学(株)社製:ダイヤイオン SMNUP)を適量添加し、脱塩を行った。この溶液をろ過してイオン交換樹脂を取り除いた後、凍結乾燥し、還元剤非存在下アルカリ加水分解ケラチンを得た。このケラチンの数平均分子量は1489であった。
試験例2
(1)評価用溶液の調製
表3に記載した第1剤および第2剤を調製した。
(2)毛髪処理
長さ10cm、約1gの無処理の毛束を2%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、水道水ですすぎ、風乾させた。さらに5.0%過酸化水素水、2.5%アンモニア水の混合液に40℃で2時間浸漬し、水道水で洗浄、風乾することにより高損傷モデル毛髪を作成した。これに実施例2〜4及び比較例6〜8の各試料の第1剤に40℃で10分間浸漬し、その後、第2剤に室温で1分間浸漬後、水道水で30秒間水洗、ドライヤー乾燥させ、この処理を5回繰りかえした。
(3)引っ張り強度の測定
上記処理後の毛束からランダムに毛髪を20本採取し、引っ張り強度および毛髪の直径を測定し、強度を断面積で割った、その平均値を求めた。毛髪の下端から4cm部分から6cm部分までを測定部とし、4,5,6cm部の毛髪直径を測定し、平均値をその毛髪の直径とした。なお、引っ張り強度は山電(株)社製クリープメーターを用いて測定し、得られた結果から、引っ張り強度の高い順に1位から6位まで順位付けをした。
上記(2)及び(3)の処理を5回繰り返し、平均順位を示したものを表4に示す。
表4の結果から、実施例2〜4は平均順位が2位台であるのに対し、比較例6,7では平均順位が4位、5位台であった。これは、より低分子の方が毛髪内部への浸透性が良い為であり、数平均分子量が1000を境に効果が薄れることが示唆された。
また、比較例8は数平均分子量が約400であるが、酸により平均分子量が高分子化することはないため、毛髪内部へ浸透しても容易に流出してしまい、結果、平均順位が4位であったと考えられる。そのため、数平均分子量が1000以下でも酸により平均分子量が高分子化することで高い効果が得られることが示唆された。
(4)ニンヒドリン反応
長さ10cm、約1gの無処理の毛束を2%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、水道水ですすぎ、風乾させた。さらに5.0%過酸化水素水、2.5%アンモニア水の混合液に40℃で2時間浸漬し、水道水で洗浄、風乾することにより高損傷モデル毛髪を作成した。これに実施例2〜4及び比較例4、6〜8の各試料の第1剤に40℃で10分間浸漬し、その後、第2剤に室温で1分間浸漬後、水道水で30秒間水洗、ドライヤー乾燥させ、この処理を5回繰りかえした毛髪を0.1%ニンヒドリン水溶液中で10分間煮沸させた。その後、水洗、ドライヤー乾燥させ、ミクロトーム(ライカ社製 CM3050S)で30μmの厚さに断面切片を作成し、光学顕微鏡で染色度合いを観察した。実施例4の毛髪と比較して良好であるかを10人のパネラーによって比較評価した結果を表5に示す。
(評価基準)
○:10〜6名のパネラーが良好であると回答
△:5〜1名のパネラーが良好であると回答
×:0名のパネラーが良好であると回答
表5の結果から、数平均分子量が1000以下である実施例2、3は優れた結果が得られていた。一方、数平均分子量が1000以上の比較例6、7では優れた結果は得られなかった。また、同等の数平均分子量である実施例2と比較例8では実施例2の方が酸により平均分子量が高分子化することで毛髪内部への吸着量が増えることにより優れた結果が得られたことが確認された。
(5)染毛剤の均染性および色持ち
長さ10cm、約1gの無処理の毛束を2%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、水道水ですすぎ、風乾させた。さらに5.0%過酸化水素水、2.5%アンモニア水の混合液に40℃で2時間浸漬し、水道水で洗浄、風乾することにより高損傷モデル毛髪を作成した。これに実施例2〜4及び比較例4、6〜8の各試料の第1剤に40℃で10分間浸漬し、その後、第2剤に室温で1分間浸漬後、水道水で30秒間水洗、ドライヤー乾燥させ、この処理を5回繰りかえした毛髪を市販の酸化型染毛剤(商品名;ロレアルパリ フェリア3Dカラー フランボワーズ ロレアルパリ社製)にて室温で30分間染毛し、水道水で洗浄、ドライヤー乾燥させた。さらに各毛束を3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液に浸漬し、37℃で20分間浸透後、水道水で洗浄、ドライヤー乾燥させた毛束を評価した。実施例4の毛髪と比較して良好であるかを10人のパネラーによって比較評価した結果を表6に示す。
(評価基準)
○:10〜6名のパネラーが良好であると回答
△:5〜1名のパネラーが良好であると回答
×:0名のパネラーが良好であると回答
表6の結果から、数平均分子量が1000以下である実施例2、3は優れた結果が得られていた。一方、数平均分子量が1000以上の比較例6、7では優れた結果は得られなかった。また、同等の数平均分子量である実施例2と比較例8では実施例2の方が酸により平均分子量が高分子化することで毛髪内部への吸着性が高まり、染色性の良さや色の持ちにつながったと考えられる。
試験例3
(1)評価用溶液の調製
表1に記載した第1剤及び第2剤を調製した。
(2)毛髪処理
長さ10cm、約1gの毛束を2%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、水道水ですすぎ、風乾させた。さらに5.0%過酸化水素水,2.5%アンモニア水の混合液に40℃で2時間浸漬し、水道水で洗浄、風乾することにより高損傷モデル毛髪を作成した。これに実施例5及び比較例9〜11の各試料の第1剤に40℃で10分間浸漬し、その後、第2剤に室温で1分間浸漬後、水道水で30秒間水洗、ドライヤー乾燥させ、この処理を5回繰り返した。
(3)引っ張り強度の測定
上記処理後の毛束から直径0.07mmの毛髪を10本採取し、引っ張り強度試験を行った。引っ張り強度試験は毛髪の下端4cmから6cm部分までを測定部とし、温度25℃、湿度60%の条件下で山電(株)社製クリープメーターを用いて毛髪の引っ張り強度を測定した結果を表8に示す。
表8の結果から、クエン酸処理した実施例5では、比較例9〜11と比べて毛髪の引っ張り強度が高かった。これは、ケラチン分解物が毛髪内部に浸透し、酸により高分子化して毛髪へ吸着・固定され、毛髪内部から流出しにくくなったためであると考えられる。
試験例4
(1)評価用溶液の調製
表9に記載した第1剤及び第2剤を調製した。
尚、*2、*3のケラチン分解物は、酸を添加しても高分子化しないことが確認された。すなわち、*2、*3のケラチン分解物の水溶液にクエン酸一水和物を適量添加し、pH3.8に調整後、沈澱が生じた場合は遠心分離し、その沈殿物と原料をゲルろ過分析し、沈澱が生じなかった場合は、pH3.8に調整した溶液と原料とをゲルろ過分析した結果、ゲルろ過分子量ピークは高分子側にシフトしていなかった(図7、8参照)。これは、当該ケラチン分解物が、還元剤存在下で加水分解処理されているためであると推察される。
(2)引っ張り強度試験
長さ10cm、約1gの毛束を2%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液で洗浄後、水道水ですすぎ、風乾させた。さらに5.0%過酸化水素水,2.5%アンモニア水の混合液に40℃で2時間浸漬し、水道水で洗浄、風乾することにより高損傷モデル毛髪を作成した。これに実施例6及び比較例12〜14の各試料の第1剤に40℃で30分間浸漬し、その後、第2剤に室温で1分間浸漬後、水道水で1分間水洗して風乾させた。
上記処理後の毛束から直径0.07mmの毛髪を10本採取し、引っ張り強度試験を行った。引っ張り強度試験は毛髪の下端4cmから6cm部分までを測定部とし、温度25℃、湿度60%の条件下で山電(株)社製クリープメーターを用いて毛髪の引っ張り強度を測定した結果を表10に示す。
表10の結果から、実施例6では、比較例12〜14と比較して高い毛髪補修効果が示された。
比較例12では第2剤により高分子化しないため、毛髪内部に浸透しても毛髪内部から容易に流出してしまっていることが効果の低い原因と考えられる。比較例13では分子量が大きく、内部への浸透性が低分子のものよりも悪く、毛髪への吸着量に劣り、毛髪表面から容易に洗い流されてしまうため、効果が低いと考えられる。
(3)染毛剤の均染性及び色持ち
上記試験の後、各毛束を市販の酸化型染毛剤(商品名:ロレアルパリ フェリア3Dカラー フランボワーズ ロレアルパリ社製)にて室温で30分間染毛し、水道水で洗浄、ドライヤー乾燥した毛束の染色具合を10人のパネラーに比較評価させた。さらに各毛束を3%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液に浸漬し37℃で20分間振とう後、水道水で洗浄、ドライヤー乾燥した毛束の色持ち具合を10人のパネラーに比較評価させた。評価は、均染性及び色持ちについて、実施例6と比較例12〜14を比較した場合に、何れが優れているかどうかで行った。実施例6の方が優れていると答えた人数を表11に示す。
表11から明らかなように、パネラー全員が、実施例2の処理後に染毛した毛束は比較例12〜14の処理後に染毛した毛束に比べて、染色具合及び色持ちが優れていると答えていた。これらの結果は上記の引っ張り強度試験の結果と一致しており、実施例6ではケラチン分解物が毛髪内部に浸透した後、高分子化するため、毛髪内部から流出しにくく、毛髪への吸着・固定性が高いためと考えられる。
製剤例
(1)2剤式ヘアートリートメント剤
以下の処方にて、第1剤及び第2剤を調製した。
(2)染毛前処理剤
以下の処方にて、第1剤及び第2剤を調製した。
水鳥羽毛ケラチン抽出液にクエン酸−水和物を添加した後の沈殿物、上清のゲルろ過分析による分子量分布図 水鳥羽毛ケラチン還元抽出液にクエン酸−水和物を添加した後の沈殿物、上清のゲルろ過分析による分子量分布図 水鳥羽毛ケラチン還元抽出液又はスルホン化ケラチン抽出液にクエン酸−水和物を添加した後の抽出液のゲルろ過分析による分子量分布図 羊毛ケラチン抽出液にクエン酸−水和物を添加した後の沈殿物、上清のゲルろ過分析による分子量分布図 羊毛ケラチン還元抽出液又はスルホン化ケラチン抽出液にクエン酸−水和物添加した後の抽出液のゲルろ過分析による分子量分布図 市販の羽毛ケラチン分解物水溶液にクエン酸−水和物を添加した後の沈殿物、上清のゲルろ過分析による分子量分布図 市販の羊毛ケラチン分解物水溶液にクエン酸−水和物を添加した後の上清のゲルろ過分析による分子量分布図 市販の羊毛ケラチン分解物水溶液にクエン酸−水和物を添加した後の沈殿物、上清のゲルろ過分析による分子量分布図

Claims (4)

  1. 還元剤非存在下、獣毛由来のケラチンをアルカリ加水分解して得られる、数平均分子量300〜1000のケラチン分解物を含有する液剤を毛髪に塗布して浸透させた後、当該毛髪に酸含有液剤を塗布することを特徴とする毛髪処理方法。
  2. 獣毛が羽毛である請求項1記載の方法。
  3. 毛髪処理が、ヘアーリンス、ヘアートリートメント、ヘアコンディショニング及び染毛前処理から選ばれるものである請求項1又は2記載の方法。
  4. 還元剤非存在下、獣毛由来のケラチンをアルカリ加水分解して得られる、数平均分子量300〜1000のケラチン分解物を含有する液剤と、酸含有液剤からなる毛髪処理剤。
JP2007255244A 2007-04-13 2007-09-28 毛髪処理方法 Active JP4931010B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007255244A JP4931010B2 (ja) 2007-04-13 2007-09-28 毛髪処理方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007106173 2007-04-13
JP2007106173 2007-04-13
JP2007255244A JP4931010B2 (ja) 2007-04-13 2007-09-28 毛髪処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008280326A true JP2008280326A (ja) 2008-11-20
JP4931010B2 JP4931010B2 (ja) 2012-05-16

Family

ID=40141439

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007255244A Active JP4931010B2 (ja) 2007-04-13 2007-09-28 毛髪処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4931010B2 (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012224572A (ja) * 2011-04-19 2012-11-15 Milbon Co Ltd 多剤式毛髪処理剤
JP2014105168A (ja) * 2012-11-26 2014-06-09 Milbon Co Ltd 二剤式毛髪処理剤
JP2016121271A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 神奈川県 毛髪抽出物組成物、フィルム、及び成型品
KR20180042429A (ko) * 2015-08-31 2018-04-25 가부시키가이샤 시마세이키 세이사쿠쇼 가공섬유의 제조방법 및 상기 가공섬유, 동물섬유의 손상억제방법 및 동물섬유의 가공방법
CN108697615A (zh) * 2016-03-09 2018-10-23 熊谷昌代 毛发处理方法及毛发处理剂组
WO2020204057A1 (ja) * 2019-04-02 2020-10-08 株式会社島精機製作所 不織布及びその製造方法
CN112618408A (zh) * 2021-01-14 2021-04-09 洋妆源(上海)网络科技有限公司 一种复合蛋白发质修护组合物及其应用

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5551095A (en) * 1978-10-09 1980-04-14 Seiwa Kasei:Kk Preparation of keratin hydrolyzate
JPS5988413A (ja) * 1982-11-12 1984-05-22 Seiwa Kasei:Kk ヘア−リンス組成物
JPH037595A (ja) * 1989-06-06 1991-01-14 Seiwa Kasei:Kk ケラチン加水分解物の製造方法
JPH0469319A (ja) * 1990-07-05 1992-03-04 Hoyu Co Ltd 毛髪処理剤
JP2001322919A (ja) * 2000-05-15 2001-11-20 Seiwa Kasei:Kk 染毛剤
JP2002114644A (ja) * 2000-10-02 2002-04-16 Hoyu Co Ltd 染毛用前処理剤
JP3774166B2 (ja) * 2002-04-12 2006-05-10 株式会社マンダム 毛髪処理剤及び毛髪処理方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5551095A (en) * 1978-10-09 1980-04-14 Seiwa Kasei:Kk Preparation of keratin hydrolyzate
JPS5988413A (ja) * 1982-11-12 1984-05-22 Seiwa Kasei:Kk ヘア−リンス組成物
JPH037595A (ja) * 1989-06-06 1991-01-14 Seiwa Kasei:Kk ケラチン加水分解物の製造方法
JPH0469319A (ja) * 1990-07-05 1992-03-04 Hoyu Co Ltd 毛髪処理剤
JP2001322919A (ja) * 2000-05-15 2001-11-20 Seiwa Kasei:Kk 染毛剤
JP2002114644A (ja) * 2000-10-02 2002-04-16 Hoyu Co Ltd 染毛用前処理剤
JP3774166B2 (ja) * 2002-04-12 2006-05-10 株式会社マンダム 毛髪処理剤及び毛髪処理方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012224572A (ja) * 2011-04-19 2012-11-15 Milbon Co Ltd 多剤式毛髪処理剤
JP2014105168A (ja) * 2012-11-26 2014-06-09 Milbon Co Ltd 二剤式毛髪処理剤
JP2016121271A (ja) * 2014-12-25 2016-07-07 神奈川県 毛髪抽出物組成物、フィルム、及び成型品
KR20180042429A (ko) * 2015-08-31 2018-04-25 가부시키가이샤 시마세이키 세이사쿠쇼 가공섬유의 제조방법 및 상기 가공섬유, 동물섬유의 손상억제방법 및 동물섬유의 가공방법
CN108026692A (zh) * 2015-08-31 2018-05-11 株式会社岛精机制作所 加工纤维的制造方法及该加工纤维、抑制动物纤维损坏的方法、以及动物纤维的加工方法
EP3346052A4 (en) * 2015-08-31 2019-05-01 Shima Seiki Mfg., Ltd PROCESS FOR PREPARING FIBER-PROCESSED FIBER, PROCESSED FIBER, METHOD FOR SUPPRESSING ANIMAL FIBER DAMAGE AND PROCESS FOR PROCESSING ANIMAL FIBER
AU2016317514B2 (en) * 2015-08-31 2019-07-25 Shima Seiki Mfg., Ltd. Method for manufacturing processed fiber, processed fiber, method for suppressing damage to animal fiber, and method for processing animal fiber
KR102129971B1 (ko) * 2015-08-31 2020-07-03 가부시키가이샤 시마세이키 세이사쿠쇼 가공섬유의 제조방법 및 상기 가공섬유, 동물섬유의 손상억제방법 및 동물섬유의 가공방법
CN108697615A (zh) * 2016-03-09 2018-10-23 熊谷昌代 毛发处理方法及毛发处理剂组
WO2020204057A1 (ja) * 2019-04-02 2020-10-08 株式会社島精機製作所 不織布及びその製造方法
CN112618408A (zh) * 2021-01-14 2021-04-09 洋妆源(上海)网络科技有限公司 一种复合蛋白发质修护组合物及其应用

Also Published As

Publication number Publication date
JP4931010B2 (ja) 2012-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4931010B2 (ja) 毛髪処理方法
JP5558242B2 (ja) 毛髪処理剤
CN1698569A (zh) 头发纤维护理方法及所述方法的应用
JP2010285401A (ja) ヘアケア剤及び毛髪の処理方法
JP2008088138A (ja) パーマネントウェーブ処理剤、及び、パーマネントウェーブ処理方法
JP5288426B1 (ja) 化粧品基材及び該化粧品基材を含有する化粧品
JP2007091739A (ja) 毛髪処理剤及び毛髪処理方法
BRPI0620529A2 (pt) composição de alisamento do cabelo, método para lantionizar as fibras queratìnicas e uso
JP6005021B2 (ja) 毛髪処理方法
CN1186005C (zh) 采用有机吸收剂使角蛋白物质永久变形的方法
JP5977082B2 (ja) 毛髪処理剤、および、毛髪の処理方法
JP2007238515A (ja) 毛髪用化粧料
JP2005255570A (ja) 染毛剤組成物
JP4031392B2 (ja) 毛髪化粧料および毛髪処理方法
JP2007084491A (ja) パーマネントウェーブ処理方法、及び、パーマネントウェーブ組成物
KR20020021141A (ko) 퍼머용 조성물 및 이를 이용한 퍼머 방법
JP3774165B2 (ja) 毛髪前処理剤及び毛髪前処理方法
WO2013167350A2 (en) A method of colouring keratinous fibers
JP5864885B2 (ja) 多剤式毛髪処理剤
JP2013129608A (ja) 消臭処理剤、及び、毛髪の消臭処理方法
JP2012171946A (ja) 毛髪の処理方法
TWI523664B (zh) Hair treatment method, hair care agent and hair care preparation method
JP6764648B2 (ja) 毛髪変形処理用中間処理剤
JP5611603B2 (ja) 毛髪処理剤及び毛髪処理剤用原料
JP5798741B2 (ja) 多剤式毛髪処理剤

Legal Events

Date Code Title Description
AA64 Notification of invalidation of claim of internal priority (with term)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A241764

Effective date: 20071016

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071113

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20100706

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100706

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111208

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120125

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120208

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4931010

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150224

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150224

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150224

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250