JP5798741B2 - 多剤式毛髪処理剤 - Google Patents

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Description

本発明は、カルボキシメチルジスルフィド基等を有する所定のペプチドが配合された毛髪処理剤を備える多剤式毛髪処理剤に関するものである。
毛髪へのブラッシング、ハンドドライヤー、熱アイロン、ヘアカラー、パーマネントウェーブなどの物理的又は化学的処理により毛髪が損傷し、毛髪の手触りの悪化、艶の低下、ハリの低下などをもたらす。そのような毛髪を補修することを目的として、蛋白質の誘導体が各種毛髪用処理剤に配合することが知られている。
特許文献1には蛋白質誘導体の一種が開示されており、その蛋白質誘導体は、水に不溶な蛋白質のジスルフィド結合をメルカプト基(−SH)に還元し、還元されたメルカプト基の一部又は全部をカルボキシメチルジスルフィド基に変換したものである。そして、特許文献2は、カルボキシメチルジスルフィド基等を有する変性ペプチドを配合した毛髪処理剤を開示すると共に、カチオン性化合物を配合した剤で処理された毛髪への前記変性ペプチド配合の毛髪処理剤の適用を開示する。
特開平07−126296号公報 特開2010−155823号公報
ところで、ジメチルシリコーン、アミノ変性シリコーン等のシリコーンは、毛髪処理剤に配合される汎用的成分であり、毛髪のコンディショニング成分として知られている。そのコンディショニング成分としての作用を生じさせるには、シリコーンを毛髪に付着させなければならず、その付着が効率的であるのが望まれる。
本発明は、上記事情に鑑み、シリコーンの毛髪への付着が効率的な多剤式毛髪処理剤の提供を目的とする。
本発明者等が鋭意検討を行った結果、所定の変性ペプチドを配合した毛髪処理剤で毛髪を処理し、その後、シリコーンを配合した毛髪処理剤による処理を行えば、シリコーンの毛髪への付着が効率的になることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、毛髪処理剤(a)と、当該毛髪処理剤(a)の使用後に用いられる毛髪処理剤(b)を備える多剤式毛髪処理剤であって、前記毛髪処理剤(a)が、下記式(I)〜(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備える変性ペプチドが配合されたものであり、前記毛髪処理剤(b)が、シリコーンが配合されたものであることを特徴とする。
−S−S−(CH−COOH (I)
(式(I)中、nは1又は2である。)
−S−S−CH(CH)−COOH (II)
−S−S−CH(COOH)−CH−COOH (III)
ここで、本発明における「変性ペプチド」とは、上記式(I)〜(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備えるペプチドであり、「ペプチド」とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合によって結合したものであり、ケラチン蛋白質などの蛋白質もペプチドに該当する。
本発明の毛髪処理剤(b)に配合されるシリコーンは、例えばアミノ変性シリコーン及びジメチルシリコーンから選ばれた一種又は二種以上である。
本発明に係る多剤式毛髪処理剤によれば、シリコーンが配合された毛髪処理剤(b)を使用する前に、所定の変性ペプチドが配合された毛髪処理剤(a)を使用して毛髪を処理するので、シリコーンの毛髪への付着が効率的になる。
本発明における変性ペプチドの製造方法例を示すフロー図である。
毛髪処理剤(a)及び毛髪処理剤(b)を備える本実施形態の多剤式毛髪処理剤に基づき、本発明を以下に説明する。
(毛髪処理剤(a))
本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤における毛髪処理剤(a)には、変性ペプチドが配合される。
毛髪処理剤(a)に配合される変性ペプチドは、複数のアミノ酸のペプチド結合によって形成された主鎖と、この主鎖に結合する側鎖基を備える。
上記変性ペプチドの主鎖は、特に限定されない。この主鎖の例としては、システインを構成アミノ酸の一種としているペプチドの主鎖と同じものが挙げられる。また、システインを構成アミノ酸の一種としているペプチドの例としては、ケラチン、カゼインが挙げられる。ケラチンは、天然物由来のペプチドの中でもシステイン比率が高いものとして知られており、当該変性ペプチドが効率よく得られる原料となる。かかる観点から、変性ペプチドの主鎖はケラチンの主鎖と同じものが好適である。
変性ペプチドは、下記式(I)〜(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備える。
−S−S−(CH−COOH (I)
(式(I)中、nは1又は2である。)
−S−S−CH(CH)−COOH (II)
−S−S−CH(COOH)−CH−COOH (III)
上記(I)〜(III)で表される構造の塩は、カルボキシラートアニオンとカチオンとのイオン結合体である。そのカチオンとなる単位としては、例えば、NHなどのアンモニウム;Na、Kなどの金属原子;が挙げられる。
変性ペプチド分子が小さなほど、毛髪処理剤(a)に溶存し易く、同処理剤(a)のpHを低下させた際の溶解性への影響が小さい。そのため、変性ペプチドの水への溶解性の観点からの当該変性ペプチドの分子量は、70000以下が良く、50000以下が好ましく、10000以下がより好ましく、7000以下が更に好ましい。同分子量の下限は、特に限定されないが、例えば1000である。ここで、変性ペプチドの分子量については、Sodium Dodecyl Sulfate−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE法)による変性ペプチドのバンドと分子量マーカーのバンドとの相対距離から算出した分子量を、変性ペプチドの分子量とみなして採用する。
毛髪処理剤(a)における変性ペプチド配合量の下限は、例えば0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。一方、変性ペプチド配合量の上限は、多量配合によるコスト上昇を抑制する観点から、3質量%以下が良く、2質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましい。なお、変性ペプチドの分子量が小さなほど毛髪処理剤(a)に溶存し易いことは上記の通りであるところ、毛髪処理剤(a)における変性ペプチドの配合量については、当該変性ペプチドの分子量に応じて適宜設定すると良い。
次に、変性ペプチドの製造方法例として、ケラチンを原料とした変性ペプチドの製造方法について説明する。当該変性ペプチドの製造方法は、図1に示すように、還元工程(STP1)、酸化剤混合工程(STP2)、固液分離工程(STP3)、及び回収工程L(STP4)を有する。図1に示す全工程を備える方法では、酸化剤混合工程(STP2)にて変性ペプチド(図1に示す液体部Lに溶解している変性ペプチド、及び固体部Sに含まれる変性ペプチド)が生成するので、固液分離工程(STP3)及び回収工程L(STP4)を設けなくても変性ペプチドが製造されることになる。
還元工程(STP1)
原料であるケラチンとしては、これを構成蛋白質として含む羊毛(メリノ種羊毛、リンカーン種羊毛等)、人毛、獣毛爪等が挙げられる。中でも、変性ペプチドを安価かつ安定的に入手するために、羊毛を原料とすることが好ましい。この羊毛等の原料については、殺菌、脱脂、洗浄、切断、粉砕及び乾燥を適宜に組み合わせて、予め処理するとよい。
還元工程(STP1)は、還元剤とケラチンと水とを混合する工程である。かかる還元工程(STP1)において、ケラチンが有するジスルフィド基(−S−S−)をメルカプト基(−SH HS−)に還元する。
還元工程(STP1)で用いる還元剤は、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩、メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸塩、チオ乳酸、チオ乳酸塩、チオリンゴ酸、及びチオリンゴ酸塩から選択される一種又は二種以上である。二種以上の還元剤を使用する場合の還元剤の組合せは、任意の組合せで良く、例えば、チオグリコール酸とチオグリコール酸塩一種との組合せ、チオグリコール酸塩二種の組合せ、メルカプトプロピオン酸とメルカプトプロピオン酸塩一種との組合せ、メルカプトプロピオン酸塩二種の組合せ、チオ乳酸とチオ乳酸塩一種との組合せ、チオ乳酸塩二種の組合せ、チオリンゴ酸とチオリンゴ酸塩一種との組合せ、チオリンゴ酸塩二種との組合せ、チオグリコール酸塩一種とメルカプトプロピオン酸塩一種の組合せ、チオグリコール酸塩一種とチオ乳酸塩一種の組合せ、チオグリコール酸塩一種とチオリンゴ酸塩一種の組合せ、メルカプトプロピオン酸塩一種とチオ乳酸塩一種の組合せ、メルカプトプロピオン酸塩一種とチオリンゴ酸塩一種の組合せ、チオ乳酸塩一種とチオリンゴ酸塩一種、チオグリコール酸塩一種とチオ乳酸塩一種とチオリンゴ酸塩一種の組合せが挙げられる。
チオグリコール酸塩としては、例えば、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸リチウム、チオグリコール酸アンモニウムが挙げられる。メルカプトプロピオン酸塩としては、例えば、メルカプトプロピオン酸ナトリウム、メルカプトプロピオン酸カリウム、メルカプトプロピオン酸リチウム、メルカプトプロピオン酸アンモニウムが挙げられる。チオ乳酸塩としては、例えば、チオ乳酸ナトリウム、チオ乳酸カリウム、チオ乳酸リチウム、チオ乳酸アンモニウムが挙げられる。チオリンゴ酸塩としては、例えば、チオリンゴ酸ナトリウム、チオリンゴ酸カリウム、チオリンゴ酸リチウム、チオリンゴ酸アンモニウムが挙げられる。
上記所定の還元剤の使用量としては、羊毛等の原料1gを基準として、0.005モル以上0.02モル以下であると良い。また、被処理液(ケラチン又はケラチン由来である処理物を含み、各工程での反応系となる液。以下、同じ。)の容量を基準とした場合の還元剤の使用量は、0.1mol/L以上0.4mol/L以下であると良い。
還元工程(STP1)での水の量は、特に限定されないが、例えば、羊毛等の原料1質量部に対して、20容量部以上200容量部以下であると良い。
還元工程(STP1)においては、一種又は二種以上のアルカリ性化合物を被処理液に混合するとよい。アルカリ性化合物とは、水に添加することで、その水をアルカリ性にすることができる化合物である。このアルカリ性化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
上記アルカリ性化合物の混合量は、特に限定されないが、還元工程(STP1)における被処理液のpHを下記範囲に調整する量である。還元工程(STP1)でのpHの下限としては、9が好ましく、10がより好ましい。一方、還元工程(STP1)でのpHの上限としては、13が好ましく、12がより好ましい。還元工程(STP1)でのpHを上記下限以上にすることで、ケラチンの還元を効率良く行うことができる。また、pHを上記上限以下にすることで、ケラチン主鎖の切断を抑制できる(ケラチン主鎖の切断を促進することを目的とする場合は、被処理液のpHが13を超えるように調整すればよい。)。
還元工程(STP1)の温度条件は、特に限定されないが、35℃以上60℃以下が良く、40℃以上50℃以下が好ましい。温度条件が35℃未満であると、ジスルフィド基をメルカプト基に変換するための還元反応速度が低下し、ケラチンを十分に還元できないことがある。一方、60℃を超えると、ケラチン主鎖が切断されやすくなる。また、還元工程(STP1)の時間は、設定温度が低いほど長時間となり、設定温度が高いほど短時間となる。
酸化剤混合工程(STP2)
酸化剤混合工程(STP2)は、還元工程(STP1)を経た処理物(ケラチン由来物)と酸化剤とを混合し、変性ペプチドを生成させる工程である。かかる酸化剤の混合は、処理物のメルカプト基を変性する酸化反応を促進するために行われる。通常、還元工程(STP1)を経た処理物を含む被処理液に、酸化剤を混合する。
酸化剤としては、例えば、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化水素等が挙げられる。用いる酸化剤は、一種又は二種以上である。
酸化剤混合工程(STP2)での酸化剤の使用量は、特に限定されないが、羊毛等の原料1gを基準として、0.001モル以上0.02モル以下であると良く、酸化剤混合工程(STP2)の被処理液の容量を基準として、0.02mol/L以上1mol/L以下であると良い。
酸化剤を被処理液に混合する際には、この酸化剤が被処理液中で局所的に高濃度化することを避けるため、1mol/L以上5mol/L以下程度の酸化剤溶液を例えば10分から6時間かけて連続的と断続的とを問わず徐々に混合するとよい。
pH9以上の被処理液に混合する酸化剤量(A)を、pH7以上9未満の被処理液に混合する酸化剤量(B)より多くするのが好適である。これにより、変性ペプチド生成時間が短縮化する。上記酸化剤量(A)及び(B)の合計に対する酸化剤量(B)の割合は、20mol%以下が好ましく、10mol%以下がより好ましく、5mol%以下が更に好ましく、0mol%が特に好ましい。
酸化剤混合工程(STP2)での被処理液のpHは、本工程の進行に応じて調整される。酸化剤の混合を開始する際のpHは、9以上が好ましく、10以上がより好ましい。また、そのpHは、13以下が良く、12以下が好ましく、11以下がより好ましい。pH9以上であれば、変性ペプチドの生成効率が良く、pH13以下であれば、ケラチン由来の処理物の主鎖の切断を抑制できる。酸化剤混合工程(STP2)終了時のpHは、特に限定されないが、7程度で良い。
酸化剤混合工程(STP2)において、pH9以上の時間がpH7以上9未満の時間よりも長いことが好ましく、pH9以上12以下の時間がpH7以上9未満の時間より長いことがより好ましく、pH10以上11以下の時間がpH7以上9未満の時間より長いことがさらに好ましい。このような手順を採用した場合、変性ペプチドの生成効率が高まる。
被処理液のpHを調整するための酸としては、有機酸及び無機酸から選択された一種又は二種以上を使用するとよい。有機酸としては、例えば、クエン酸、乳酸、コハク酸、酢酸が挙げられ、無機酸としては、例えば、塩酸、リン酸が挙げられる。酸の混合量は、被処理液のpHを監視しつつ、適宜設定すると良い。酸を被処理液に混合する際には、被処理液において局所的にpHが低下すると、処理物のメルカプト基同士がジスルフィド基になるおそれがあるため、被処理液に酸を徐々に混合することが好ましい。
酸化剤混合工程(STP2)での温度条件は、10℃以上60℃以下が良く、40℃以下が好ましい。温度を上記範囲に制御することで、副生成物であるシスチンモノオキシド等の生成を抑制できる。
酸化剤混合工程(STP2)における反応式を、還元工程(STP1)での還元剤としてチオグリコール酸若しくはその塩、メルカプトプロピオン酸若しくはその塩、チオ乳酸若しくはその塩、又は、チオリンゴ酸若しくはその塩を用いた場合、その還元剤の順の通り挙げれば次の通りである。
固液分離工程(STP3)
固液分離工程(STP3)は、酸化剤混合工程(STP2)後の被処理液を液体部Lと固体部Sとに分離する工程である。固液分離工程(STP3)では、濾過、遠心分離、圧搾分離、沈降分離、浮上分離等の公知の固液分離手段を採用することができ、必要に応じてイオン交換や電気透析等による脱塩等を行うとよい。
回収工程L(STP4)
回収工程L(STP4)は、固液分離工程(STP3)で得た液体部Lに溶解する変性ペプチドLを固形状のものとして回収する工程である。この回収工程L(STP4)における固形状変性ペプチドLの回収方法としては、(1)液体部Lを凍結乾燥することによる回収、(2)液体部Lを噴霧乾燥することによる回収、(3)塩酸等の酸を液体部Lに添加して、液体部LのpHを2.5から4.0程度に低下させることにより生じた変性ペプチドL沈殿物の回収などが挙げられる。回収した固形状の変性ペプチドLについては、必要に応じて、水や酸性水溶液による洗浄、乾燥等を行う。
上記の通り、酸化剤混合工程(STP2)での処理を終えることで、被処理液に溶解している変性ペプチドと、同液に溶解していない変性ペプチドが得られる。これら変性ペプチドを低分子化すれば、水への溶解性が高まる。低分子化する態様としては、(1)固液分離工程(STP3)で得られた固体部Sを加水分解する態様、(2)固液分離工程(STP3)で得られた液体部Lに溶解している変性ペプチドLを加水分解する態様、(3)回収工程Lにより回収した変性ペプチドLを加水分解する態様、(4)変性ペプチドLと固体部Sを一括して加水分解する態様、が挙げられる。また、その他に加水分解による低分子化を図る方法としては、還元工程(STP1)の前、還元工程(STP1)と同時、還元工程(STP1)と酸化剤混合工程(STP2)との間に、低分子化のための加水分解を行うことが挙げられる。
変性ペプチドを加水分解する方法としては、ペプチドの加水分解として公知の(1)酵素による加水分解、(2)酸による加水分解及び(3)アルカリによる加水分解が挙げられる。
酵素による加水分解
加水分解のための酵素としては、例えば、ペプシン、プロテアーゼA、プロテアーゼBなどの酸性蛋白質分解酵素;パパイン、プロメライン、サーモライシン、プロナーゼ、トリプシン、キモトリプシンなどの中性乃至アルカリ性蛋白質分解酵素等が挙げられる。
上記酵素による加水分解時のpHは、酸性蛋白質分解酵素の場合には1以上3以下に調整するとよく、中性乃至アルカリ性蛋白質分解酵素の場合には5以上11以下に調整するとよい。このpHを上記範囲とすることにより、酵素活性が向上する。
上記酵素による加水分解時の反応温度は30℃以上60℃以下、反応時間は10分以上24時間以内で適宜設定される。この酵素による加水分解を停止させるには、温度を70℃以上にして酵素を失活させるとよい。
酸による加水分解
加水分解のために用いられる酸としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸、又は蟻酸、シュウ酸等の有機酸が挙げられ、これらの中から適宜選択される。この加水分解の条件は、例えばpH4以下、反応温度40℃以上100℃以下、反応時間2時間以上24時間以内である。
アルカリによる加水分解
加水分解のために用いられるアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。この加水分解の条件は、例えばpH8.0以上、反応温度50℃以上100℃以下、反応時間20分以上24時間以内である。
加水分解された変性ペプチドを回収するためには、上記回収工程L(STP4)と同様の方法を採用できる。ただし、pHが2.5から4.0程度になるように酸を添加する回収方法では、変性ペプチドが加水分解により低分子化しているので、回収困難であるか回収不能な場合がある。
毛髪処理剤(a)は、変性ペプチドが水に配合されたものであると良い(毛髪処理剤(a)における水の配合濃度は、例えば60質量%以上。)。
また、毛髪処理剤(a)に任意配合される変性ペプチド以外の原料は、当該処理剤(a)の用途に応じて公知の毛髪処理剤原料から適宜選定される。その公知の毛髪処理剤原料としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物がある。また、他の公知の毛髪処理剤原料としては、シリコーン、蛋白、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤などである。
アニオン界面活性剤としては、例えばN−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸、アシル乳酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩が挙げられる。一種又は二種以上のアニオン界面活性剤を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、アニオン界面活性剤の配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
カチオン界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、トリ長鎖アルキルモノメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩が挙げられる。一種又は二種以上のカチオン界面活性剤を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、カチオン界面活性剤の配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
両性界面活性剤としては、例えばアルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩、アルキルポリアミノポリカルボキシグリシン塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルプロピオン酸塩、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホン酸塩、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、N−脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩が挙げられる。一種又は二種以上の両性界面活性剤を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、両性界面活性剤の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。一種又は二種以上のノニオン界面活性剤を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、ノニオン界面活性剤の配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
高級アルコールとしては、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の高級アルコールを毛髪処理剤(a)に配合すると良く、高級アルコールの配合濃度は、例えば3質量%以上15質量%以下である。
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の低級アルコールを毛髪処理剤(a)に配合すると良く、低級アルコールの配合濃度は、例えば0.5質量%以上3質量%以下である。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ブチレングリコールが挙げられる。一種又は二種以上の多価アルコールを毛髪処理剤(a)に配合すると良く、多価アルコールの配合濃度は、例えば1質量%以上50質量%以下である。
糖類としては、例えばソルビトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロースが挙げられる。一種又は二種以上の糖類を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、糖類の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
油脂としては、例えばアーモンド油、アボガド油、オリーブ油、シア脂油、月見草油、ツバキ油、ピーナッツ油、ローズヒップ油が挙げられる。一種又は二種以上の油脂を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、油脂の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
エステル油としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸2−オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、ステアリン酸コレステリルが挙げられる。一種又は二種以上のエステル油を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、エステル油の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
脂肪酸としては、例えばイソステアリン酸、オレイン酸、カプリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸が挙げられる。一種又は二種以上の脂肪酸を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、脂肪酸の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
炭化水素としては、例えば流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスが挙げられる。一種又は二種以上の炭化水素を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、炭化水素の配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
ロウとしては、例えばミツロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウが挙げられる。一種又は二種以上のロウを毛髪処理剤(a)に配合すると良く、ロウの配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
合成高分子化合物としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、メタクリロイルエチルベタイン・メタクリル酸エステル共重合体が挙げられる。半合成高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン等が挙げられる。また、天然高分子としては、例えば、アルギン酸ナトリウム、グアーガム、グルカン、セルロース、ヒアルロン酸ナトリウムが挙げられる。一種又は二種以上の合成高分子化合物等を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、合成高分子化合物、半合成高分子化合物及び天然高分子化合物の総配合濃度は、例えば0.1質量%以上15質量%以下である。
毛髪処理剤(a)のpHは、特に限定されないが、5.0以上11.0以下が良く、6.0以上10.0以下が好ましく、6.5以上9.0以下がより好ましく、6.5以上8.0以下が更に好ましい。pHが5.0未満であると変性ペプチドの沈殿が生じやすく、pHが11.0以上であると変性ペプチドの加水分解進行の虞がある。なお、pHの調整のためには、有機酸、無機酸、アルカリ金属の水酸化物等を用いると良い。
毛髪処理剤(a)の使用時の剤型は、特に限定されず、例えば液状、乳液状、ローション状、クリーム状、ワックス状、ゲル状、固形状、フォーム状(泡状)、霧状が挙げられる。
(毛髪処理剤(b))
本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤における毛髪処理剤(b)には、公知のシリコーンから選択された一種又は二種以上が配合される。
毛髪処理剤(b)に配合されるシリコーンとしては、例えば、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン;シラノール変性シリコーン;ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体等のアルコール変性シリコーン;アルキル変性シリコーン;アラルキル変性シリコーン;ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、ポリオキシプロピレン・メチルポリシロキサン共重合体等のポリエーテル変性シリコーン;平均重合度が3以上650未満であるジメチルポリシロキサン、平均重合度が650以上である高重合メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状ジメチルシリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン;が挙げられる。一種又は二種以上のシリコーンを毛髪処理剤(b)に配合すると良く、シリコーンの配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
なお、シリコーンの動粘度が高いほどに毛髪への付着が持続し易いので、その持続のためのシリコーンとしては、化粧品原料基準一般試験法第一法により確認される25℃の動粘度が10mm/s以上のものが良く、500mm/s以上のものが好ましい。
アミノ変性シリコーン及びジメチルシリコーンは、公知の毛髪処理剤でも汎用されているのと同様、毛髪処理剤(b)でも汎用性が高い。アミノ変性シリコーンを毛髪処理剤(b)に配合する場合、当該処理剤(b)におけるアミノ変性シリコーンの配合濃度は、特に限定されないが、例えば7質量%以下であり、通常0.1質量%以上5質量%以下である。また、ジメチルシリコーンを毛髪処理剤(b)に配合する場合、当該処理剤(b)におけるジメチルシリコーンの配合濃度は、特に限定されないが、例えば7質量%以下であり、通常0.1質量%以上3質量%以下である。
毛髪処理剤(b)は、水系又は非水系のいずれであっても良いが、シリコーンが水に配合されたものが典型的である(毛髪処理剤(b)における水の配合濃度は、例えば60質量%以上。)。
また、毛髪処理剤(b)に任意配合されるシリコーン以外の原料は、当該処理剤(b)の用途に応じて公知の毛髪処理剤原料から適宜選定される。その公知の毛髪処理剤原料としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、合成高分子化合物、半合成高分子化合物、天然高分子化合物、蛋白、アミノ酸、動植物由来物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤などがある。
毛髪処理剤(b)に配合する任意原料の中でも、4級アンモニウム塩、高級アルコールは、公知の毛髪処理剤と同様に汎用性が高い。また、低級アルコールは、界面活性剤の水に対する溶解度を高めたいときに汎用性がある。
4級アンモニウム塩を毛髪処理剤(b)に配合する場合、この4級アンモニウム塩としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムブロミド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムメトサルフェート等のモノ長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩;ジセチルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジココイルジメチルアンモニウムクロリド等のジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩;ステアロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等の長鎖アルコキシアルキルトリメチルアンモニウム塩;が挙げられる。一種又は二種以上の4級アンモニウム塩を毛髪処理剤(b)に配合すると良く、4級アンモニウム塩の配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば0.1質量%以上7質量%以下である。
高級アルコールを毛髪処理剤(b)に配合する場合、この高級アルコールとしては、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の高級アルコールを毛髪処理剤(b)に配合すると良く、高級アルコールの配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば2質量%以上10質量%以下である。
低級アルコールを毛髪処理剤(b)に配合する場合、この低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の低級アルコールを毛髪処理剤(b)に配合すると良く、低級アルコールの配合濃度は、適宜設定されるものであるが、例えば0.5質量%以上3質量%以下である。
毛髪処理剤(b)の使用時の剤型は、特に限定されず、例えば液状、乳液状、ローション状、クリーム状、ワックス状、ゲル状、固形状、フォーム状(泡状)、霧状が挙げられる。
(使用方法)
本実施形態の多剤式毛髪処理剤は、毛髪処理剤(a)を毛髪に対して適用した後、毛髪処理剤(b)を毛髪に対して適用するものである。毛髪処理剤(a)の使用後であって毛髪処理剤(b)の使用前の毛髪については、当該毛髪の加温、水洗、乾燥、またはこれらの組み合わせの処理を行っても良い。
また、毛髪に対して毛髪処理剤(a)を使用した後に毛髪処理剤(b)を使用するのであれば、毛髪処理剤(a)を使用する前、毛髪処理剤(a)を使用した後と毛髪処理剤(b)を使用する前の間、及び毛髪処理剤(b)を使用した後のいずれにおいても、公知の毛髪処理剤を毛髪に適用しても良い。
上記の通り、本実施形態の多剤式毛髪処理剤は、毛髪処理剤(a)の使用後に毛髪処理剤(b)を使用するものである。この多剤式毛髪処理剤の使用によりシリコーンが効率的に毛髪に付着することになる。このシリコーンの効率的な付着の機構は、以下の通りであると考えられる。
先ず、毛髪処理剤(a)を使用すると、当該処理剤(a)の変性ペプチドが毛髪に付着する。この毛髪への変性ペプチドの付着は、毛髪のメルカプト基と変性ペプチドとの反応を伴っていると考えられ、当該反応の機構を表せば次の通りである。
−SH + K−S−S−R
→K−S−S−K + HS−R
[上記反応式において、Kは毛髪のケラチン残基を表し、K−S−S−Rは変性ペプチドを表し、Rは−CH−COOH、−CH−COOHの塩、−(CH−COOH、−(CH−COOHの塩、−CH(CH)−COOH、−CH(CH)−COOHの塩、−CH(COOH)−CH−COOH、−CH(COOH)−CH−COOHの塩、及びこれらのアニオンのいずれかを表す。]
次に、毛髪処理剤(b)を使用すると、当該処理剤(b)のシリコーンが毛髪に付着する。毛髪処理剤(a)を用いた後の毛髪には変性ペプチドが付着し、この変性ペプチドがシリコーンと絡み合う等の物理的な付着作用が高まると考えられるから、シリコーンが毛髪に効率的に付着するようになる。
(用途)
本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤の用途は、上記使用方法に従う限り、特に限定されない。本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤の用途例を挙げれば、毛髪処理剤(a)をシャンプーとし、毛髪処理剤(b)を洗い流すトリートメントとする用途;毛髪処理剤(a)及び毛髪処理剤(b)を洗い流すトリートメントとする用途;毛髪処理剤(a)を洗い流すトリートメントとし、毛髪処理剤(b)を洗い流さないトリートメントとする用途;毛髪処理剤(a)及び毛髪処理剤(b)を洗い流さないトリートメントとする用途;毛髪処理剤(a)を洗い流すトリートメントとし、毛髪処理剤(b)をスタイリング剤とする用途;毛髪処理剤(a)及び毛髪処理剤(b)をスタイリング剤とする用途;毛髪処理剤(a)及び毛髪処理剤(b)をカラーリングの前処理剤とする用途;毛髪処理剤(a)をカラーリングの前処理剤とし、毛髪処理剤(b)をカラーリング剤とする用途;毛髪処理剤(a)をカラーリング剤とし、毛髪処理剤(b)をカラーリングの後処理剤とする用途;毛髪処理剤(a)及び毛髪処理剤(b)をカラーリングの後処理剤とする用途;毛髪処理剤(a)及び毛髪処理剤(b)をパーマの前処理剤とする用途;毛髪処理剤(a)をパーマの前処理剤とし、毛髪処理剤(b)をパーマ剤とする用途;毛髪処理剤(a)をパーマ剤とし、毛髪処理剤(b)をパーマの後処理剤とする用途;毛髪処理剤(a)及び毛髪処理剤(b)をパーマの後処理剤とする用途;である。
なお、本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤の用途例において、「スタイリング」とは、髪型を一時的に保持することである。「パーマ」とは、還元反応、酸化反応等の化学反応を利用して毛髪形状をウェーブ状、直毛状等に変化させることである。また、「カラーリング」とは、染料による毛髪への着色、毛髪色素の脱色等により毛髪色を変化させることである。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(変性ペプチド)
実施例で用いた変性ペプチドを、次の通り製造した。
還元工程
中性洗剤で洗浄、乾燥させたメリノ種羊毛を、約5mmに切断した。この羊毛5.0質量部、30質量%チオグリコール酸ナトリウム水溶液15.4質量部及び6mol/L水酸化ナトリウム水溶液8.5質量部を混合し、さらに水を混合して全量150質量部、pH11の被処理液を調製した。この被処理液を、45℃、1時間の条件で攪拌した。次いで、さらに水を混合して全量を200質量部とし、45℃、2時間の条件で放置し、その後、液温が常温になるまで自然冷却した。
酸化剤混合工程
還元工程後の被処理液を攪拌しながら、当該液に、35質量%過酸化水素水を15.26質量部配合した水溶液178質量部を、約30分かけて攪拌しながら混合した(過酸化水素水の混合に伴って被処理液のpHは上昇することになるが、その上昇は約20質量%酢酸水溶液を混合することでpH10以上11以下の範囲に調整した。)。その後、約20質量%酢酸水溶液を徐々に混合し、被処理液のpHが漸次11から7になるように調整した。以上により変性ペプチド溶液を得た。
固液分離工程及び回収工程
変性ペプチド溶液をろ過することによりその溶液の不溶物を除去した。その後、回収した液体部(ろ液)に36質量%塩酸水溶液97.2質量部を配合した水溶液160質量部を添加して変性ペプチド溶液のpHを7から3.8にすることにより、変性ペプチドの沈殿を生じさせた。この沈殿を回収、水洗し、固形状の変性ペプチドを得た。
回収工程で得た固形状変性ペプチドが1質量%、かつ、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールでpH8とした水溶液を、85℃で5時間加熱した。この加熱後の液をろ過し、実施例で用いた変性ペプチド水溶液を得た。
(実施例)
毛髪処理剤(a)
上記で得られた1質量%変性ペプチド水溶液を、実施例の多剤式毛髪処理剤における毛髪処理剤(a)とした。
毛髪処理剤(b)
実施例の多剤式毛髪処理剤における毛髪処理剤(b)として、配合濃度が次の通りであるクリーム状O/Wエマルションを製造した。
アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体 1質量%
高重合メチルポリシロキサン(1) 2質量%
デカメチルシクロペンタシロキサン 11質量%
セチルトリメチルアンモニウム塩 2質量%
ステアリルトリメチルアンモニウム塩 0.1質量%
ジココイルジメチルアンモニウム塩 0.1質量%
ポリオキシエチレンセチルエーテル 0.01質量%
セタノール 5質量%
エタノール 1質量%
フェノキシエタノール 0.3質量%
乳酸 0.01質量%
香料 0.3質量%
(比較例)
実施例における毛髪処理剤(b)を比較例の毛髪処理剤とした(実施例での毛髪処理剤(a)を、比較例の毛髪処理剤の構成剤としなかった。)。
(毛髪処理)
カラーリング及びパーマ履歴の無い黒髪3g程度を纏めた毛束をアニオン界面活性剤が配合された市販のシャンプーで洗浄し、この毛束に対して、実施例の多剤式毛髪処理剤を用いて以下の処理を行った。毛束を実施例の毛髪処理剤(a)に5分間浸漬した後に水洗した。次に、水を切った毛束に実施例の毛髪処理剤(b)を塗布し、水洗した。そして、毛束を温風乾燥させた。比較例の毛髪処理剤を用いた毛髪処理では、毛髪処理剤(a)への浸漬及びその後の水洗を省略した。
(Siの定量)
上記毛髪処理を行った毛束に付着しているシリコーン量の相違を確認するため、原子吸光分析を行った。この分析での条件及び結果は、以下の通りである。
分析サンプル
毛束における毛髪約0.2gに6mlの61%硝酸水溶液を加え、Analytik
Jena社製マイクロウェーブ試料分解装置「TOPwave」を用いて毛髪を溶解させた(当該溶解のための毛髪の分解条件は、下記表1の通り。)。毛髪の溶液に水を加えて全量20mlとし、更に水で100倍に希釈した。これを原子吸光分析における、分析サンプルとした。
分析方法
Analytik Jena社製ファーネス原子吸光法連続光源原子吸光分析装置「contrAA700」を用い、標準添加法により、分析サンプルにおけるSiの定量を行った(このときの分析条件は、下記表2の通り。)。
分析結果
実施例で処理した毛髪に基づくSi定量の分析結果は、620mg/kgであった。一方、比較例のものの分析結果は、540mg/kgであった。この結果からも、毛髪処理剤(b)での処理に先立って毛髪処理剤(a)を用いることで、毛髪へのシリコーン付着が効率的であったことがわかる。

Claims (3)

  1. 毛髪処理剤(a)と、当該毛髪処理剤(a)の使用後に用いられる毛髪処理剤(b)を備える多剤式毛髪処理剤であって、
    前記毛髪処理剤(a)が、下記式(I)〜(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備える変性ペプチドが配合されたものであり、
    前記毛髪処理剤(b)が、ジメチルシリコーン及びアミノ変性シリコーンが配合されたものであり、
    前記毛髪処理剤(a)がシャンプーであり、前記毛髪処理剤(b)が洗い流すトリートメントであるか、
    前記毛髪処理剤(a)及び前記毛髪処理剤(b)が洗い流すトリートメントであるか、
    前記毛髪処理剤(a)が洗い流すトリートメントであり、前記毛髪処理剤(b)が洗い流さないトリートメントであるか、
    前記毛髪処理剤(a)及び前記毛髪処理剤(b)が洗い流さないトリートメントであるか、
    前記毛髪処理剤(a)が洗い流すトリートメントであり、前記毛髪処理剤(b)がスタイリング剤であるか、
    前記毛髪処理剤(a)及び前記毛髪処理剤(b)がスタイリング剤であるか、
    前記毛髪処理剤(a)がカラーリングの前処理剤であり、前記毛髪処理剤(b)がカラーリング剤であるか、
    前記毛髪処理剤(a)がカラーリング剤であり、前記毛髪処理剤(b)がカラーリングの後処理剤であるか、
    前記毛髪処理剤(a)及び前記毛髪処理剤(b)がカラーリングの後処理剤であるか、
    前記毛髪処理剤(a)及び前記毛髪処理剤(b)がパーマの前処理剤であるか、
    前記毛髪処理剤(a)がパーマの前処理剤であり、前記毛髪処理剤(b)がパーマ剤であるか、
    前記毛髪処理剤(a)がパーマ剤であり、前記毛髪処理剤(b)がパーマの後処理剤であるか、
    前記毛髪処理剤(a)及び前記毛髪処理剤(b)がパーマの後処理剤であるか、
    のいずれかであることを特徴とする多剤式毛髪処理剤。
    −S−S−(CH2n−COOH (I)
    (式(I)中、nは1又は2である。)
    −S−S−CH(CH3)−COOH (II)
    −S−S−CH(COOH)−CH2−COOH (III)
  2. 前記毛髪処理剤(b)は、前記毛髪処理剤(a)の使用後であって、毛髪の水洗を行った後に用いられる請求項1に記載の多剤式毛髪処理剤。
  3. 前記毛髪処理剤(b)が、前記ジメチルシリコーンとして平均重合度が650以上である高重合メチルポリシロキサンが配合されたものである請求項1または2に記載の多剤式毛髪処理剤。
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