JP2001322919A - 染毛剤 - Google Patents

染毛剤

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JP2001322919A
JP2001322919A JP2000141483A JP2000141483A JP2001322919A JP 2001322919 A JP2001322919 A JP 2001322919A JP 2000141483 A JP2000141483 A JP 2000141483A JP 2000141483 A JP2000141483 A JP 2000141483A JP 2001322919 A JP2001322919 A JP 2001322919A
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Masato Yoshioka
正人 吉岡
Mikuo Tachibana
三空雄 橘
Sueko Omi
須恵子 大海
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Seiwa Kasei Co Ltd
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Seiwa Kasei Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 染毛の立ち上がりが速く、均一に染毛でき、
しかも染毛後の毛髪の耐シャンプー性が優れ、かつ染毛
時の毛髪の損傷が少なく、染毛後の毛髪に艶、はり、潤
いを付与することができる染毛剤を提供する。 【解決手段】 一般式(I) 【化1】 〔式中、Rはケラチン由来のペプチドのアミノ酸側鎖を
示し、aは0または1、mは2〜20、nは20〜20
0であり、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、低級
アルカノールアミンまたは低級アルキルアミンである
(ただし、mおよびnはアミノ酸の数を示すのみで、ア
ミノ酸配列の順序を示すものではない)〕で示されるケ
ラチンの酸化部分分解物の塩またはそのN−第4級アン
モニウム誘導体を0.5〜10重量%含有させて染毛剤
を構成する。さらに数平均分子量300〜2000の蛋
白質加水分解物またはその誘導体を併用して含有させる
のが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、染毛剤に関し、さらに
詳しくは、酸化型染毛剤に属する染毛剤であって、染毛
の立ち上がりが速く、均一に染毛でき、しかも染毛後の
毛髪の耐シャンプー性が優れ、かつ染毛時の毛髪の損傷
が少なく、染毛後の毛髪に艶やはり、良好な櫛通り性を
付与することができる染毛剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】染毛剤には、一時染毛剤、半永久染毛
剤、永久染毛剤などがあり、いずれも美容の目的で広く
使用されている。
【0003】このうち永久染毛剤では、酸化染料(染料
中間体)を含む第1剤と過酸化水素などの酸化剤を含む
第2剤とからなる酸化型染毛剤が、種々の色調が得られ
る上に、染毛力が優れていることから、広く使用されて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、酸化型
染毛剤では、酸化染料を含む第1剤と酸化剤を含む第2
剤を使用前に混合して頭髪に塗布するため、酸性染料を
主成分とする半永久染毛剤である酸性染毛料に比べて毛
髪上での発色に時間がかかる上に、均一に染まりにくい
という問題があった。
【0005】また、酸化型染毛剤では、一般に酸化染料
の均一な浸透を助長するためにアルカリ剤を含有させて
いるので、pHが10以上と高く、そのため、刺激性が
あり、かつ毛髪中のタンパク(蛋白)成分が流出しやす
く、染毛時の毛髪の損傷が激しいので、染毛後の毛髪が
パサついたり、櫛通り性が悪くなるという問題もあっ
た。
【0006】そこで、これらの問題を解決し、かつ染毛
剤の均染効果を高める目的で、タンパク加水分解物(ペ
プチド)やその誘導体、シリコーンなどを染毛剤に含有
させることが提案されている(例えば、特開昭61−5
5887号公報、特公平3−63528号公報、特公平
4−4289号公報、特開平5−271040号公報な
ど)。
【0007】しかしながら、上記のタンパク加水分解物
やその誘導体は、損傷した毛髪に収着して毛髪に潤いや
艶を付与することはできるものの、分子量が小さいため
か、染毛時の均染性や染色毛髪の耐シャンプー性に関し
ては充分に満足できるものとはいえなかった。
【0008】従って、本発明は、染毛の立ち上がりが速
く、均一に染毛でき、しかも染毛後の毛髪の耐シャンプ
ー性が優れ、かつ染毛時の毛髪の損傷が少なく、染毛後
の毛髪に良好な艶、はり、櫛通り性などを付与すること
ができる染毛剤を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究を重ねた結果、下記の一般式
(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩または
そのN−第4級アンモニウム誘導体を酸化型染毛剤に含
有させるときは、染毛の立ち上がりが速く、均一に染毛
でき、しかも染毛時の耐シャンプー性が優れ、かつ染毛
時の毛髪の損傷が少なく、染毛後の毛髪に艶やはり、良
好な櫛通り性などを付与できることを見出し、本発明を
完成するにいたった。
【0010】すなわち、本発明は、一般式(I)
【0011】
【化2】
【0012】〔式中、Rはケラチン由来のペプチドのア
ミノ酸側鎖を示し、aは0または1、mは2〜20、n
は20〜200であり、Mはアルカリ金属、アルカリ土
類金属、低級アルカノールアミンまたは低級アルキルア
ミンである(ただし、mおよびnはアミノ酸の数を示す
のみで、アミノ酸配列の順序を示すものではない)〕で
示されるケラチンの酸化部分分解物の塩またはそのN−
第4級アンモニウム誘導体を酸化型染毛剤に含有させた
ことを特徴とする染毛剤に関する。
【0013】また、本発明は前記一般式(I)で示され
るケラチンの酸化部分分解物の塩またはそのN−第4級
アンモニウム誘導体に加えて、数平均分子量300〜2
000の蛋白質加水分解物(加水分解ペプチド)または
その誘導体を含有させた染毛剤に関する。
【0014】すなわち、毛髪には傷んだ部分と健常な部
分とがあり、これが染毛剤の毛髪への浸透に相違を生じ
させ、染毛時の染毛速度の違いや色むらを引き起こす原
因の一つになると言われているが、本発明の染毛剤で
は、上記一般式(I)で示されるケラチンの酸化部分分
解物の塩またはそのN−第4級アンモニウム誘導体が毛
髪の損傷部を保護すると共に健常部分も含めて均一な被
膜を形成するので、染毛剤の浸透に相違を生じず、かつ
染毛剤の発色速度が均一になり、染色の度合いも均一に
なって、色むらの発生が防止される。また、上記一般式
(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩または
そのN−第4級アンモニウム誘導体が毛髪に収着して毛
髪を保護するので、染毛剤中に含まれるアルカリ剤や酸
化剤による毛髪の損傷が防止されると共に、染毛後の毛
髪に艶やはり、良好な櫛通り性などが付与される。
【0015】さらに、本発明の染毛剤では、上記一般式
(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩または
そのN−第4級アンモニウム誘導体の作用に加えて、数
平均分子量300〜2000の蛋白質加水分解物または
その誘導体を含有させることによって、染毛後の毛髪の
艶、潤い、櫛通り性などを一層向上させることができ
る。
【0016】なお、本明細書中における数平均分子量
は、ケラチンの酸化部分分解物や蛋白質加水分解物の総
窒素量とアミノ態窒素量より求めたペプチドの平均量体
数と、ケラチンや各種蛋白質のアミノ酸分析による各種
アミノ酸の存在比から求めたアミノ酸の平均分子量とを
基に算出した値である。
【0017】すなわち、上記数平均分子量は、下記の式
より算出される。
【0018】上記計算式において、平均アミノ酸分子量
より「18」を引いているのは、ペプチド結合をしてい
る場合、一つのアミノ酸につき水一分子(H2 O)が脱
水されることになるので、「18」を引き、また、最後
に「18」を足しているのは、末端COOHの「OH」
と末端NH2 の「H」の分子量「17と1」を足すため
である。
【0019】ケラチンや他の蛋白質の平均アミノ酸分子
量は、アミノ酸の存在割合をアミノ酸分析により求め、
これに各アミノ酸の分子量を掛けて合計することにより
求めたもので、本明細書においては、ケラチンの平均ア
ミノ酸分子量を124とし、その他の蛋白質では、例え
ば、コラーゲンは108、シルクは95、大豆蛋白は1
31としている。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の染毛剤に含有する一般式
(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩および
そのN−第4級アンモニウム誘導体の出発原料となるケ
ラチンとしては、例えば、羊毛、羽毛、毛髪、角、爪、
蹄などを構成するケラチンがいずれも使用可能である
が、入手が容易であるという観点から羊毛が特に好まし
い。
【0021】上記一般式(I)で示されるケラチンの酸
化部分分解物の塩およびそのN−第4級アンモニウム誘
導体のケラチンの酸化部分分解物部分は、数平均分子量
が約2000〜約20000に調整されているが、この
一般式(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩
の製造方法としては、例えば、ケラチンをアルカリ剤で
加水分解し、その分解液を酸化剤で酸化した後、酸化液
をpH3〜4に調整することによって生成させる方法が
採用される。これを具体的に説明すると、例えば、羊毛
を水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤水溶液中で80℃
で1〜6時間加水分解した後、過酸化水素水や過蟻酸な
どの酸化剤で酸化し、濾過後、濾液に塩酸、硫酸などの
酸を加えてpHを3〜4に調整して不溶物を沈殿させて
分離する。つぎに、上記の不溶物を食塩水などで洗浄
後、水酸化ナトリウム、アンモニア水、アルカノールア
ミンなどの塩基性物質でpH6〜8に中和溶解すること
によりアルカリ塩の形で水溶液として得られ、そのま
ま、あるいはイオン交換樹脂や電気透析などで脱塩精製
した後、本発明の染毛剤に使用される。また、塩基性物
質で中和溶解した溶液を噴霧乾燥、凍結乾燥することに
より、粉体化して得ることもできる。
【0022】また、ケラチンの酸化部分分解物のN−第
4級アンモニウム誘導体は、上記のようにして得られた
ケラチンの酸化部分分解物に第4級アンモニウム基を導
入したものであり、例えば、下記一般式(II)
【0023】
【化3】
【0024】〔式中、Rはケラチン由来のペプチドのア
ミノ酸側鎖を示し、R1 、R2 、R3は炭素数1〜20
のアルキル基または炭素数1〜20のアルケニル基、あ
るいはR1 〜R3 のうち1個または2個が炭素数1〜2
0のアルキル基または炭素数1〜20のアルケニル基
で、残りが炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3の
ヒドロキシアルキル基またはベンジル基である。Aは炭
素数2〜3のアルキレン基または炭素数2〜3のヒドロ
キシアルキレン基で、aは0または1、mは2〜20、
nは20〜200であり、Mはアルカリ金属、アルカリ
土類金属、低級アルカノールアミンまたは低級アルキル
アミンである(ただし、mおよびnはアミノ酸の数を示
すのみで、アミノ酸配列の順序を示すものではない)〕
で示される。
【0025】ケラチンの酸化部分分解物をN−第4級ア
ンモニウム誘導体にする方法としては、一般にペプチド
類の第4級アンモニウム誘導体を製造する際の公知の方
法を採用することができる。すなわち、前記のようにし
て得られたケラチンの酸化部分分解物のアルカリ塩水溶
液に、例えば、下記の一般式(III )
【0026】
【化4】
【0027】〔式中、R1 、R2 、R3 は炭素数1〜2
0のアルキル基または炭素数1〜20のアルケニル基、
あるいはR1 〜R3 のうち1個または2個が炭素数1〜
20のアルキル基または炭素数1〜20のアルケニル基
で、残りが炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3の
ヒドロキシアルキル基またはベンジル基で、XはCl、
Br、F、I、NO3 、1/2SO4 、R4 OSO
3 (R4 は低級アルキル基を示す)またはR4 SO
3 (R4 は前記に同じ)〕 で示されるグリシジルアンモ
ニウム塩、または下記の一般式(IV)
【0028】
【化5】
【0029】〔式中、R1 、R2 、R3 およびXは前記
一般式(III )の場合と同じであり、YはCl、Br、
F、Iなどのハロゲン原子を示す〕 で示される3−ハロ
−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩、または下記
の一般式(V)
【0030】
【化6】
【0031】〔式中、R1 、R2 、R3 、XおよびYは
前記一般式(IV)の場合と同じである〕 で示される3−
ハロゲンプロピルアンモニウム塩、または下記の一般式
(VI)
【0032】
【化7】
【0033】〔式中、R1 、R2 、R3 、XおよびYは
前記一般式(IV)の場合と同じである〕で示される2−
ハロゲンエチルアンモニウム塩のいずれかを反応させる
ことによってケラチンの酸化部分分解物のN−第4級ア
ンモニウム誘導体が得られる。
【0034】ケラチンの酸化部分分解物のN−第4級ア
ンモニウム誘導体は、水酸化ナトリウム、アンモニア
水、アルカノールアミンなどの塩基性物質あるいは塩
酸、硫酸などの酸によりpHを6〜8に調整することに
よりアルカリ塩の形で水溶液として得られ、そのまま、
あるいはイオン交換樹脂や電気透析などで脱塩精製した
後、本発明の染毛剤に使用される。また、溶液を噴霧乾
燥、凍結乾燥することにより、粉体化して得ることもで
きる。
【0035】本発明の染毛剤に含有させる一般式(I)
で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩またはケラチ
ンの酸化部分分解物のN−第4級アンモニウム誘導体の
ケラチンの酸化部分分解物部分において、mを2〜2
0、nを20〜200にしているのは、上記ケラチンの
酸化部分分解物の数平均分子量を約2000〜約200
00にすることと、アミノ酸10個に対し約1個の割合
でシステインが含まれていて、そのシステイン部分が酸
化されて、その数がmで示される部分が生成することに
基づいている。
【0036】上記一般式(I)で示されるケラチンの酸
化部分分解物の塩またはそのN−第4級アンモニウム誘
導体は、それぞれ単独で用いてもよいし、また混合して
用いてもよい。そして、一般式(I)で示されるケラチ
ンの酸化部分分解物の塩またはそのN−第4級アンモニ
ウム誘導体の染毛剤中での含有量(染毛剤への配合量)
としては、0.1〜10重量%(混合して配合する場合
はその合計量)、特に0.5〜5重量%の範囲にするの
が好ましい。すなわち、上記一般式(I)で示されるケ
ラチンの酸化部分分解物の塩またはそのN−第4級アン
モニウム誘導体の染毛剤中へでの含有量が上記範囲より
少ない場合は、毛髪の損傷部位を保護して毛髪上で造膜
する効果が乏しく、従って染毛時の染料の均一な浸透や
付着が少なくなって、毛髪を均一に染毛することができ
ず、さらに、染毛後の毛髪に艶、はり、良好な櫛通り性
を付与することができなくなるおそれがあり、また上記
一般式(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩
またはそのN−第4級アンモニウム誘導体の染毛剤中へ
の配合量が上記範囲より多くなっても、増加に見合う効
果の増加がほとんど認められない。
【0037】前記のように本発明の染毛剤は、上記一般
式(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩また
はそのN−第4級アンモニウム誘導体の作用で、染毛の
立ち上がりが速く、均一に染毛でき、しかも染毛時の耐
シャンプー性が優れ、かつ染毛時の毛髪の損傷が少な
く、染毛後の毛髪に艶やはり、良好な櫛通り性などを付
与するが、一般式(I)で示されるケラチンの酸化部分
分解物の塩またはそのN−第4級アンモニウム誘導体に
加えて、数平均分子量300〜2000の蛋白質加水分
解物またはその誘導体を配合すると、毛髪に艶や潤い、
良好な櫛通り性を付与する効果がさらに向上する。
【0038】本発明の染毛剤に含有させる数平均分子量
300〜2000の蛋白質加水分解物またはその誘導体
のうち蛋白質加水分解物としては、例えば、コラーゲン
(その変性物であるゼラチンも含む)、ケラチン、絹フ
ィブロイン(シルク)、セリシン、カゼイン、コンキオ
リン、エラスチン、鶏、あひるなどの卵の卵黄タンパ
ク、卵白タンパク、大豆タンパク、小麦タンパク、トウ
モロコシタンパク、米(米糠)タンパク、ジャガイモタ
ンパクなどの動植物由来のタンパク、あるいは、サッカ
ロミセス属、カンディダ属、エンドミコプシス属の酵母
タンパク、キノコ類(担子菌)より抽出したタンパク、
クロレラより分離したタンパクなどの微生物由来のタン
パクを酸、アルカリ、酵素またはそれらの併用で数平均
分子量を300〜2000に加水分解した加水分解ペプ
チドが挙げられる。
【0039】本発明の染毛剤に含有させる蛋白質加水分
解物の数平均分子量を300〜2000に特定している
のは、蛋白質加水分解物の数平均分子量が300より小
さい場合は、毛髪上での造膜作用が充分でなく、毛髪に
艶を付与する作用が発揮されなくなるおそれがあり、ま
た、数平均分子量が2000より大きい場合は、造膜作
用を有するものの、毛髪への浸透作用が弱くなり、毛髪
に潤いを付与する作用が発揮されなくなるおそれがあ
る。
【0040】また、本発明の染毛剤に含有させる蛋白質
加水分解物の誘導体としては、例えば、上記蛋白質加水
分解物のエステル誘導体、第4級アンモニウム誘導体、
シリル化誘導体などが挙げられる。なお、本明細書中で
の数平均分子量300〜2000の蛋白質加水分解の誘
導体とは、蛋白質加水分解物の誘導体中の加水分解ペプ
チド部分の分子量が300〜2000であることを意味
する。
【0041】上記蛋白質加水分解物のエステルとして
は、上記蛋白質加水分解物のカルボキシル基における炭
素数1〜20の炭化水素アルコ−ルとのエステル、たと
えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエス
テル、イソプロピルエステル、ラウリルエステル、セチ
ルエステル、2‐エチルヘキシルエステル、2‐ヘキシ
ルデシルエステル、ステアリルエステルなどが挙げられ
る。
【0042】上記蛋白質加水分解物の第4級アンモニウ
ム誘導体としては、例えば、下記一般式(VII )
【0043】
【化8】
【0044】〔式中、R1 、R2 、R3 は炭素数1〜2
0のアルキル基または炭素数1〜20のアルケニル基、
あるいはR1 〜R3 のうち1個または2個が炭素数1〜
20のアルキル基または炭素数1〜20のアルケニル基
で、残りが炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3の
ヒドロキシアルキル基またはベンジル基であり、R4
蛋白質由来の各種アミノ酸側鎖をし、Aは炭素数2〜3
のアルキレン基または炭素数2〜3のヒドロキシアルキ
レン基で、bは3〜20の整数を示す〕で示され、ケラ
チンの酸化部分分解物のN−第4級アンモニウム誘導体
を製造する際に使用する前記の一般式(III )〜(VI)
のいずれかを反応させることによって蛋白質加水分解物
の第4級アンモニウム誘導体が得られる。
【0045】上記蛋白質加水分解物のアシル化物または
その塩としては、例えば、上記蛋白質加水分解物のアミ
ノ基に炭素数7〜21のアルキル基または炭素数7〜2
1のアルケニル基(上記アルキル基やアルケニル基は直
鎖状のものでもよいし、また分岐鎖状のものでもよい)
を有する高級脂肪酸、または樹脂酸などの脂環構造の酸
を縮合させたものまたはその塩が挙げられる。
【0046】それらの酸の具体例としては、たとえば、
カプリル酸、カプリン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、
パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン
酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、ウンデシレ
ン酸、オレイン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、
エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ヤ
シ油脂肪酸、牛脂肪酸、樹脂酸(アビエチン酸)などが
挙げられる。
【0047】上記蛋白質加水分解物のシリル化誘導体と
しては、例えば、下記の一般式(VIII)
【0048】
【化9】
【0049】〔式中、R5 、R6 、R7 のうち少なくと
も一つは水酸基を示し、残りは炭素数1〜3のアルキル
基を示す。R8 は側鎖の末端にアミノ基を有する塩基性
アミノ酸の末端アミノ基を除く残基を示し、R9 はR8
以外のアミノ酸側鎖を示す。Bは結合手で、メチレン
基、プロピレン基、−CH2 OCH2 CH(OH)CH
2−または−(CH2 3 OCH2 CH(OH)CH2
−で示される基であり、cは0〜20、dは1〜20
で、c+dは1〜20の整数である(ただし、cおよび
dはアミノ酸の数を示すのみで、アミノ酸配列の順序を
示すものではない)〕で表されるシリル化ペプチドが挙
げられ、このようなシリル化ペプチドは、特開平8−5
9424号公報、特開平8−67608号公報記載の方
法により製造できる。
【0050】上記蛋白質加水分解物またはその誘導体
は、毛髪に収着して、毛髪を保護すると共に、毛髪に良
好な艶、潤い、保湿性などを付与するが、染毛剤に含有
させるにあたっては、上記蛋白質加水分解物またはその
誘導体はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上混合
して用いてもよい。そして、毛髪に艶を付与することを
目的とする場合は、加水分解シルク(フィブロイン)、
加水分解コラーゲンやそれらの誘導体を含有させるのが
好ましく、毛髪に潤いを付与する場合は、加水分解大豆
タンパク、加水分解小麦タンパクなどの植物蛋白加水分
解ペプチドまたはその誘導体を含有させるのが好まし
い。また、蛋白質加水分解物のシリル化誘導体を併用す
ると、染毛後の毛髪の艶、はり、櫛通り性がさらに向上
する。
【0051】上記蛋白質加水分解物またはその誘導体の
染毛剤への配合量としては0.1〜15重量%が好まし
く、特に0.5〜10重量%が好ましい。すなわち、蛋
白質加水分解物またはその誘導体の染毛剤中での含有量
が上記範囲より少ない場合には、毛髪に艶や潤いを付与
する効果が発揮されなくなるおそれがあり、逆に蛋白質
加水分解物またはその誘導体の染毛剤中での含有量が上
記範囲より多くなっても、含有量の増加に見合う効果の
増加が認められないばかりか、毛髪がべたついたりごわ
ついたりするようになるおそれがある。ただし、蛋白質
加水分解物またはその誘導体の染毛剤中での含有量は、
一般式(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩
またはそのN−第4級アンモニウム誘導体の染毛剤中で
の含有量によって増減させることが好ましく、一般式
(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩または
そのN−第4級アンモニウム誘導体の染毛剤中での含有
量が少量の場合には、蛋白質加水分解物またはその誘導
体を多量に含有させてもよいが、一般式(I)で示され
るケラチンの酸化部分分解物の塩またはそのN−第4級
アンモニウム誘導体の染毛剤中での含有量が多量の場合
には、蛋白質加水分解物またはその誘導体を多量に含有
させると毛髪がべたつくようになるおそれがあるため、
蛋白質加水分解物またはその誘導体の染毛剤中での含有
量は、一般式(I)で示されるケラチンの酸化部分分解
物の塩またはそのN−第4級アンモニウム誘導体の含有
量と合計して1〜15重量%にするのが好ましい。
【0052】本発明の染毛剤において、上記一般式
(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩または
そのN−第4級アンモニウム誘導体、あるいは、上記一
般式(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩ま
たはそのN−第4級アンモニウム誘導体と数平均分子量
300〜2000の蛋白質加水分解物またはその誘導体
を2剤型染毛剤に含有させる場合は、第1剤、第2剤の
いずれでもよいが、通常、第1剤に含有させるのが適し
ている。
【0053】2剤型の酸化型染毛剤の場合、通常、第1
剤には酸化染料(染料中間体)および必要に応じてニト
ロ染料やカップラーを含有させ、第2剤には酸化剤を含
有させる。
【0054】第1剤の酸化染料(染料中間体)として
は、公知のものを使用することができ、例えば、p−フ
ェニレンジアミン、N−フェニル−p−フェニレンジア
ミンなどのフェニレンジアミン類、トルエン−2,5−
ジアミン、トルエン−3,4−ジアミンなどのトルエン
アミン類、p−アミノフェノール、p−メチルアミノフ
ェノールなどのアミノフェノール類、2,6−ジアミノ
ピリジンなどのジアミノピリジンなどが使用できる。
【0055】また、ニトロ染料としては、例えば、2−
アミノ−4−ニトロフェノール、ニトロ−p−フェニレ
ンジアミン、p−ニトロ−o−フェニレンジアミンなど
が使用でき、カップラーとしては、例えば、m−フェニ
レンジアミン、トルエン−2,4−ジアミン、m−アミ
ノフェノール、レゾルシン、カテコールなどが使用でき
る。
【0056】第2剤の酸化剤としては、たとえば、過酸
化水素、過ホウ素酸ナトリウム、過酸化ナトリウムなど
が使用できる。
【0057】本発明の染毛剤は、一般式(I)で示され
るケラチンの酸化部分分解物の塩またはそのN−第4級
アンモニウム誘導体、あるいは、一般式(I)で示され
るケラチンの酸化部分分解物の塩またはそのN−第4級
アンモニウム誘導体と数平均分子量300〜2000の
蛋白質加水分解物またはその誘導体を必須成分として調
製されるが、上記以外の成分に関しては、染毛剤に使用
可能なものであればいずれも使用することができる。そ
して、本発明の染毛剤の調製は、すでに調製済みの染毛
剤に、一般式(I)で示されるケラチンの酸化部分分解
物の塩またはそのN−第4級アンモニウム誘導体、ある
いは、一般式(I)で示されるケラチンの酸化部分分解
物の塩またはそのN−第4級アンモニウム誘導体と数平
均分子量300〜2000の蛋白質加水分解物またはそ
の誘導体を添加することによって行ってもよいし、ま
た、染毛剤の調製時に一般式(I)で示されるケラチン
の酸化部分分解物の塩またはそのN−第4級アンモニウ
ム誘導体、あるいは、一般式(I)で示されるケラチン
の酸化部分分解物の塩またはそのN−第4級アンモニウ
ム誘導体と数平均分子量300〜2000の蛋白質加水
分解物またはその誘導体を他の成分と一緒に加えて調製
してもよい。
【0058】本発明の染毛剤は、上記からも明らかなよ
うに、その効果を損なわない範囲において、従来の染毛
剤と同様に、例えば、非イオン性界面活性剤、アニオン
性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤
などの界面活性剤類、グリセリン、プロピレングリコ−
ルなどの溶解剤、保湿剤、カルボキシメチルセルロー
ス、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシビニルポ
リマー、ポリアクリル酸アミドなどの粘度調整剤、アク
リル酸エステル、メタクリル酸エステルなどの共重合
体、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重
合体、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとの共重合体など
の高分子樹脂類、pH調整剤、香料、防腐剤、酸化防止
剤、キレート剤などの物質を必要に応じて含有させるこ
とができる。
【0059】
【発明の効果】本発明の染毛剤は、染毛の立ち上がりが
速く、均一に染毛でき、しかも染毛後の毛髪の耐シャン
プー性が優れ、かつ染毛時の毛髪の損傷が少なく、染毛
後の毛髪に艶、はり、良好な櫛通り性を付与することが
できる。さらに、数平均分子量300〜2000の蛋白
質加水分解物またはその誘導体を併用することによっ
て、染毛後の艶、潤い、櫛通り性などをより一層向上さ
せることができる。
【0060】
【実施例】つぎに実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定
されるものではない。なお、実施例に先立ち、一般式
(I)で示されるケラチンの酸化部分分解物の塩および
そのN−第4級アンモニウム誘導体の製造方法を参考例
として示す。
【0061】参考例1 内容積5リットルのビーカーに水1000gと水酸化ナ
トリウム25gを入れ、攪拌しながら粉砕羊毛250g
を添加し、80℃で5時間攪拌を続けて羊毛を加水分解
した。加水分解後室温まで冷却し、35%過酸化水素水
150gを添加して1時間攪拌を続けた後24時間放置
して分解液を酸化した。酸化終了後溶液を濾過して不溶
物を除去し、濾液に36%塩酸40gを添加して溶液の
pHを3.5に調整して不溶物を浮遊沈殿として分離し
た。下層の水層を除去し、不溶物を0.5%食塩水30
0gで2度洗浄した。洗浄後不溶物は水酸化ナトリウム
水溶液に溶解し、pH7に調整して固形分20%のケラ
チン酸化部分分解物のナトリウム塩の水溶液を600g
得た。このようにして得られたケラチンの酸化部分分解
物のナトリウム塩の数平均分子量は3520であった。
【0062】参考例2 内容積5リットルのビーカーに水1000gと水酸化ナ
トリウム10gを入れ、攪拌しながら粉砕羊毛250g
を添加し、80℃で3時間攪拌を続けて羊毛を加水分解
した。加水分解後室温まで冷却し、35%過酸化水素水
150gを添加して1時間攪拌を続けた後24時間放置
して分解液を酸化した。酸化終了後溶液を濾過して不溶
物を除去し、濾液に36%塩酸40gを添加して溶液の
pHを3.5に調整して不溶物を浮遊沈殿として分離し
た。下層の水層を除去し、不溶物は0.5%食塩水35
0gで2度洗浄した。洗浄後不溶物はトリエタノールア
ミンに溶解し、pH7に調整して20%水溶液を677
g得た。このようにして得られたケラチン酸化部分分解
物のトリエタノールアミン塩の数平均分子量は8546
であった。
【0063】参考例3 参考例1で得られたケラチンの酸化部分分解物のナトリ
ウム塩の一部250gを内容積1リットルのビーカーに
入れ、20%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを
9.5に調整した。この溶液を攪拌下加温して40℃に
保ち、その中にグリシジルトリメチルアンモニウムクロ
ライドの75%水溶液15g(ケラチンの酸化部分分解
物のナトリウム塩のアミノ態窒素量に対して3当量)を
1時間かけて滴下し、滴下終了後45℃で4時間攪拌を
続けて反応を完結させた。反応液は希塩酸でpH7に調
整し、電気透析によって脱塩した後、減圧濃縮して固形
分濃度20%のケラチンの酸化部分分解物のN−(3−
トリメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピル誘導
体のナトリウム塩水溶液を140g得た。
【0064】参考例4 参考例2で得られたケラチンの酸化部分分解物のトリエ
タノールアミン塩の一部300gを内容積1リットルの
ビーカーに入れ、20%水酸化ナトリウム水溶液を加え
てpHを9.5に調整した。この溶液を攪拌下加温して
40℃に保ち、その中に3−クロロ−2−ヒドロキシジ
メチルヤシ油アルキルアンモニウムクロライドの35%
水溶液7g(ケラチンの酸化部分分解物のナトリウム塩
のアミノ態窒素量に対して2当量)を2時間かけて滴下
した。この間20%水酸化ナトリウム水溶液を添加して
反応液のpHが9.5になるように保った。滴下終了後
さらに45℃で3時間攪拌を続けて反応を完結させた。
反応液は希塩酸でpH7に調整し、濃度を調整して固形
分濃度20%のケラチンの酸化部分分解物のN−(3−
ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシ
プロピル誘導体のナトリウム塩水溶液を320g得た。
【0065】実施例1〜3および比較例1 表1に示す組成の染毛剤(酸化型染毛剤)の第1剤を調
製し、染毛性、染毛後の毛髪の均染性、艶、はり、潤い
感および櫛通り性などを評価した。なお、表中の各成分
の配合量は重量部であり、配合量が固形分量でないもの
については、成分名の後に括弧書きで固形分濃度を示し
ている。また、濃度を示す%は重量%である。これら
は、以後の実施例、比較例でも同様である。
【0066】実施例1では参考例1で製造したケラチン
の酸化部分分解物をナトリウム塩とを数平均分子量10
00の加水分解シルクを配合し、実施例2では参考例3
で製造したケラチンの酸化部分分解物のN−(3−トリ
メチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピル誘導体と
数平均分子量1000の加水分解シルクを配合し、実施
例3では実施例1と同じ参考例1で製造したケラチンの
酸化部分分解物のナトリウム塩のみを配合し、比較例1
では、これらケラチンの酸化部分分解物の塩や加水分解
ペプチドなどを全く配合していない。
【0067】
【表1】 *1;ケラチンの酸化部分分解物のナトリウム塩 *2;ケラチン酸化部分分解物のN−(3−トリメチル
アンモニオ)−2−ヒドロキシプロピル誘導体 *3;加水分解シルク(数平均分子量1000)
〔(株)成和化成製、プロモイスシルク−1000P
(商品名)〕
【0068】上記第1剤に対し、第2剤は実施例1〜3
および比較例1とも共通で、下記の組成からなるもので
ある。ただし、各成分の配合量は重量部である。
【0069】第2剤 ステアリン酸 1.0 モノステアリン酸グリセリン 1.5 ポリオキシエチレンオレイルエーテル 1.0 過酸化水素水(35%) 15.0 精製水 計100とする
【0070】上記実施例1〜3および比較例1の染毛剤
を用いて、それぞれ重さ1gで長さ10cmの毛束を染
毛した。なお、染毛に先立ち、毛束は2%ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル水溶液で洗浄した後、水
洗し、染毛後の染色度の比較が容易になるように、6%
の過酸化水素水と2%アンモニア水を1:1(重量比)
の割合で混合した溶液10g(毛束1本当たりの量)に
5分間浸漬してブリーチ処理を行い、水洗後、乾燥して
染毛処理に用いた。
【0071】染毛処理は、それぞれの第1剤と第2剤を
同量ずつ混合し、その混合物2gずつをそれぞれの毛束
に塗布した後、15分間放置し、お湯ですすぎ、ついで
2%ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル水溶液
で洗浄することによって行った。染毛処理後、ドライヤ
ーで毛束を乾燥し、実施例1〜3および比較例1につい
て5人のパネラーに、最も濃く染まっているものを1位
とし、最も染まりの悪いものを4位として順位をつけさ
せた。
【0072】また、染毛後の毛髪の均染性、艶、はり、
潤い感および櫛通り性について下記の評価基準で比較例
1と比較評価させた。
【0073】評価基準 +3:比較例1に比べて非常に良い +2:比較例1に比べて良い +1:比較例1に比べてやや良い 0:比較例1とほぼ同じ −1:比較例1に比べてやや悪い −2:比較例1にべて悪い −3:比較例1に比べて非常に悪い
【0074】さらに、上記実施例1〜3および比較例1
の染毛剤で染毛後の毛髪を2%ラウリルエーテル硫酸ナ
トリウム水溶液で洗浄、水洗、ドライヤー乾燥を5回繰
り返し、洗浄後の毛髪の色の濃さ、艶、はり、潤い感お
よび櫛通り性について、前記染毛後の均染性などと同様
の評価基準で比較例1と比較評価することによって、耐
シャンプー性を評価した。それらの結果を表2に示す
が、評価値は5人のパネラーの平均値で示す。
【0075】
【表2】
【0076】表2に示す結果から明らかなように、染毛
による色の濃さに関しては、実施例1〜3はいずれも比
較例1より、順位が高く(つまり、順位を示す数値が小
さく)、ケラチンの酸化部分分解物のナトリウム塩と加
水分解シルクを配合した実施例1の染毛剤、ケラチンの
酸化部分分解物のN−(3−トリメチルアンモニオ)−
2−ヒドロキシプロピル誘導体と加水分解シルクを配合
した実施例2の染毛剤およびケラチンの酸化部分分解物
のナトリウム塩を配合した実施例3の染毛剤はいずれ
も、ケラチンの酸化部分分解物の塩やその誘導体などを
配合しない比較例1の染毛剤に比べて、毛髪を濃く染め
ることが明らかにされていた。
【0077】比較例1のような従来の染毛剤では、一般
に染毛剤を毛髪に塗布した後30分間放置して発色を完
結させるため、上記の試験のように染毛剤塗布後15分
の放置では充分に発色していないと考えられるが、実施
例1〜3の染毛剤はいずれも15分間の放置で比較例1
より毛髪を濃く染めていて、ケラチンの部分加水分解物
の塩やそのN−第4級アンモニウム誘導体を染毛剤中に
含有させると、染毛剤の染色時間を短縮できることが示
されていた。
【0078】染毛後の毛髪の均染性、艶、はり、櫛通り
性については、実施例1〜3はいずれも比較例1に比べ
てプラス(+)の評価であって、染毛剤中に含有させた
ケラチンの酸化部分分解物の塩やその誘導体が毛髪を均
一に染毛し、染毛時の毛髪を保護して染毛による毛髪の
損傷を防止する効果を有する(これは櫛通り性が良好な
ことから判断できる)ことが明らかにされていた。ま
た、ケラチンの酸化部分分解物の塩やその誘導体に加水
分解シルクを併用している実施例1や実施例2の染毛剤
では、染毛後の毛髪の艶、潤い感の評価値が高く、加水
分解ペプチドを併用すると、染毛後の毛髪の艶や潤い感
がさらに向上することが明らかであった。
【0079】さらに、シャンプーで5回洗浄後も、実施
例1〜3で染毛した毛髪は、いずれも比較例1で染毛し
た毛髪に比べて色が濃く、また、毛髪の艶、はり、潤い
感および櫛通り性のいずれの項目においても実施例1〜
3は比較例1より優れていて、ケラチンの部分加水分解
物の塩やそのN−第4級アンモニウム誘導体を染毛剤中
に含有させると、染毛後の毛髪の耐シャンプー性が向上
することが明らかにされていた。
【0080】実施例4〜6および比較例2 表3に示す組成の染毛剤第1剤を調製し、染毛性、染毛
後の均染性、毛髪の艶、はり、潤い感および櫛通り性に
ついて評価した。
【0081】実施例4では参考例2で製造したケラチン
の酸化部分分解物をトリエタノールアミン塩と数平均分
子量1000の加水分解コラーゲンを配合し、実施例5
では参考例4で製造したケラチンの酸化部分分解物のN
−(3−ヤシ油アルキルジメチルアンモニオ)−2−ヒ
ドロキシプロピル誘導体と数平均分子量1000の加水
分解コラーゲンを配合し、実施例は6では参考例4で製
造したケラチンの酸化部分分解物のN−(3−ヤシ油ア
ルキルジメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピル
誘導体と数平均分子量600の加水分解大豆タンパクを
配合し、比較例2では、これらケラチンの酸化部分分解
物の塩などや蛋白質加水分解物などは全く配合していな
い。
【0082】
【表3】 *4;ケラチンの酸化部分分解物のトリエタノールアミ
ン塩 *5;ケラチンの酸化部分分解物のN−(3−ヤシ油ア
ルキルジメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピル
誘導体 *6;加水分解コラーゲン(数平均分子量1000)
〔(株)成和化成製、プロモイスW−42R(商品
名)〕 *7;加水分解大豆タンパク(数平均分子量600)
〔(株)成和化成製、プロモイスWS−H(商品名)〕
【0083】上記第1剤に対して第2剤は、実施例4〜
6、比較例2とも共通で、下記の組成からなるものであ
る。ただし、各成分の配合量は重量部である。
【0084】第2剤 35%過酸化水素水 15.0 リン酸 0.1 精製水 計100とする
【0085】上記実施例4〜6および比較例2の染毛剤
を用いて、実施例1と同様にブリーチ処理した重さ1g
で長さ10cmの毛束をそれぞれ染毛した。染毛処理
は、それぞれの第1剤と第2剤を同量ずつ混合し、その
混合物2gずつをそれぞれの毛束に塗布した後、20分
間放置し、お湯ですすぎ、ついで2%ポリオキシエチレ
ンノニルフェニルエーテル水溶液で洗浄することによっ
て行った。染毛処理後、ドライヤーで毛束を乾燥し、実
施例4〜6および比較例2について5人のパネラーに、
最も濃く染まっているものを1位とし、最も染まりの悪
いものを4位として順位をつけさせた。
【0086】また、染毛後の均染性、毛髪の艶、はり、
潤い感および櫛通り性について実施例1と同様の評価基
準で比較例2と比較評価させた。
【0087】さらに、上記実施例4〜6および比較例2
の染毛剤で染毛後の毛髪を実施例1と同様にシャンプー
処理を5回繰り返し、染毛後の毛髪の色の濃さ、艶、は
り、潤い感および櫛通り性について、実施例1と同様の
評価基準で比較例2と比較評価することによって、耐シ
ャンプー性を評価した。それらの結果を表4に示すが、
評価値は5人のパネラーの平均値である。
【0088】
【表4】
【0089】表4に示す結果から明らかなように、染毛
による色の濃さに関しては実施例4〜6の染毛剤はいず
れも比較例2の染毛剤に比べて毛髪を濃く染めていて、
ケラチンの酸化部分分解物のトリエタノールアミン塩と
加水分解コラーゲンを配合した実施例4の染毛剤、ケラ
チンの酸化部分分解物のN−(3−ヤシ油アルキルジメ
チルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピル誘導体と加
水分解コラーゲンを配合した実施例5の染毛剤、ケラチ
ンの酸化部分分解物のN−(3−ヤシ油アルキルジメチ
ルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピル誘導体と加水
分解大豆タンパクを配合した実施例6の染毛剤は、いず
れもケラチンの酸化部分分解物の塩やその誘導体および
蛋白質加水分解物などを配合していない比較例2に比べ
て、毛髪を濃く染めることが明らかにされていた。
【0090】また、染毛後の毛髪の均染性、潤い、艶、
はり、櫛通り性については、ケラチンの酸化部分分解物
の塩やその誘導体と蛋白質加水分解物を含有させた実施
例4〜6の染毛剤はいずれも比較例2に比べてプラス
(+)の評価であって、ケラチンの酸化部分分解物の塩
やその誘導体および蛋白質加水分解物が毛髪を均一に染
毛し、染毛時の毛髪を保護して染毛による毛髪の損傷を
防止する効果を有することが明らかにされていた。さら
に、シャンプーで5回洗浄後も、実施例4〜6で染毛し
た毛髪は、いずれも比較例2で染毛した毛髪に比べて、
いずれの項目においても評価値が高く、耐シャンプー性
が向上していることが明らかにされていた。
【0091】さらに、染毛後およびシャンプー洗浄後の
毛髪の評価からは、ケラチンの酸化部分分解物の塩やそ
の誘導体に加水分解コラーゲンを配合すると、毛髪の艶
やはりがさらに向上し、大豆タンパクを配合した場合は
染毛後の毛髪に潤い感が付与されることが明らかにされ
ていた。
【0092】実施例7〜8および比較例3 表5に示す組成の染毛剤を調製し、染毛処理時間による
染色度の違いを評価した。
【0093】実施例7では参考例1で製造したケラチン
の酸化部分分解物のナトリウム塩と数平均分子量400
の加水分解ケラチンを配合し、実施例8では参考例3で
製造したケラチンの酸化部分分解物のN−(3−トリメ
チルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピル誘導体と数
平均分子量400の加水分解ケラチンを配合し、比較例
3ではケラチンの酸化部分分解物や蛋白質加水分解物な
どは用いていない。
【0094】
【表5】
【0095】上記実施例7〜8および比較例3の第1剤
と第2剤をそれぞれの同量ずつ混合し、その混合物2g
ずつを用いて、それぞれ重さ1gで長さ10cmの毛束
を染毛した。染毛にあたっては、各毛束は、実施例1と
同様にブリーチ処理して染毛後の染色度の比較が容易に
なるようにした。そして、染毛処理では、実施例7およ
び実施例8用に毛束を各5束用意し、それぞれの毛束に
実施例7および実施例8の染毛剤をそれぞれ2gずつ塗
布し、塗布後の放置時間を10分、15分、20分、2
5分および30分とし、各放置時間の終了後直ちに毛束
をぬるま湯ですすぎ、2%ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル水溶液で洗浄し、ぬるま湯ですすいだ
後、ヘアードライヤーで乾燥した。そして、比較例3の
場合は、毛束に染毛剤を塗布後30分間放置し、上記実
施例7〜8と同様に毛束をぬるま湯ですすぎ、2%ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル水溶液で洗浄
し、ぬるま湯ですすいだ後、ヘアードライヤーで乾燥し
た。
【0096】乾燥後、実施例7〜8で染毛した毛束の色
の濃さと比較例3で染毛した毛束の色の濃さとを、10
人のパネラーに比較評価させた。実施例7の評価結果を
表6に示し、実施例8の評価結果を表7に示すが、それ
らの評価結果は、比較例3より色が濃いと答えた人数、
比較例3より色が薄いと答えた人数、色の濃さはほぼ同
じと答えた人数で示す。
【0097】
【表6】
【0098】
【表7】
【0099】表6に示す結果から明らかなように、ケラ
チンの酸化部分分解物のナトリウム塩と加水分解ケラチ
ンを配合した実施例7の染毛剤は、比較例3の染毛剤に
比べて、処理時間が半分の15分でパネラーの多くが色
の濃さはほぼ同じと答えていて、処理時間20分ではパ
ネラー全員が、比較例3より色が濃いあるいは色の濃さ
はほぼ同じと答えていて、実施例7に配合したケラチン
の酸化部分分解物のナトリウム塩などが染毛処理時間を
短縮させる効果を有することが明らかにされていた。な
お、処理時間が10分の段階で比較例3の方が色が濃い
と答えた人数が多い(すなわち、表6中の「比較例3よ
り色が薄いと答えた人数」が多い)のは、比較例3は染
毛剤の塗布後30分間放置していて、染毛剤の塗布後の
放置時間が長いことによるものである。
【0100】また、表7に示すように、ケラチンの酸化
部分分解物のN−(3−トリメチルアンモニオ)−2−
ヒドロキシプロピル誘導体と加水分解ケラチンを配合し
た実施例8の染毛剤は、処理時間が20分でパネラーの
大多数が色の濃さは比較例3とほぼ同じと答えていて、
実施例8に配合したケラチンの酸化部分分解物のN−
(3−トリメチルアンモニオ)−2−ヒドロキシプロピ
ル誘導体などの配合で、染毛処理時間を短縮できること
が明らかにされていた。
フロントページの続き Fターム(参考) 4C083 AB012 AB082 AB352 AB412 AC082 AC102 AC122 AC182 AC242 AC252 AC422 AC472 AC532 AC542 AC552 AC642 AC772 AD132 AD411 AD441 AD442 AD452 AD642 CC36 DD06 DD22 DD27 EE01 EE07 EE26 FF05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I) 【化1】 〔式中、Rはケラチン由来のペプチドのアミノ酸側鎖を
    示し、aは0または1、mは2〜20、nは20〜20
    0であり、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属、低級
    アルカノールアミンまたは低級アルキルアミンである
    (ただし、mおよびnはアミノ酸の数を示すのみで、ア
    ミノ酸配列の順序を示すものではない)〕で示されるケ
    ラチンの酸化部分分解物の塩またはそのN−第4級アン
    モニウム誘導体を含有させたことを特徴とする染毛剤。
  2. 【請求項2】 一般式(I)で示されるケラチンの酸化
    部分分解物の塩またはそのN−第4級アンモニウム誘導
    体の染毛剤中での含有量が0.5〜10重量%である請
    求項1記載の染毛剤。
  3. 【請求項3】 さらに、数平均分子量300〜2000
    の蛋白質加水分解物またはその誘導体を含有させた請求
    項1または2記載の染毛剤。
  4. 【請求項4】 数平均分子量300〜2000の蛋白質
    加水分解物またはその誘導体の染毛剤中での含有量が
    0.1〜15重量%である請求項3記載の染毛剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008280326A (ja) * 2007-04-13 2008-11-20 Toyo Umou Kogyo Kk 毛髪処理方法

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JP2008280326A (ja) * 2007-04-13 2008-11-20 Toyo Umou Kogyo Kk 毛髪処理方法

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