JP2012224572A - 多剤式毛髪処理剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】補修成分が毛髪に付着し易い多剤式毛髪処理剤の提供。
【解決手段】下記式(I)〜(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備える変性ペプチドが配合された毛髪処理剤(a)と、この毛髪処理剤(a)の後に用いるものであって、毛髪処理剤(a)よりもpHが低く且つpH7.0未満の毛髪処理剤(b)と、を備える多剤式毛髪処理剤。
−S−S−(CH−COOH (I)
(式(I)中、nは1又は2である。)
−S−S−CH(CH)−COOH (II)
−S−S−CH(COOH)−CH−COOH (III)
【選択図】なし

Description

本発明は、2以上の毛髪処理剤を備える多剤式毛髪処理剤に関するものである。
毛髪へのブラッシング、ハンドドライヤー、熱アイロン、ヘアカラー、パーマネントウェーブなどの物理的又は化学的処理により毛髪が損傷し、毛髪の手触りの悪化、艶の低下、ハリの低下などをもたらす。そのような毛髪を補修することを目的として、蛋白質の誘導体等の変性ペプチドを各種毛髪用処理剤に配合することが知られている。
例えば、特許文献1や特許文献2には、カルボキシル基を導入した可溶性ケラチンを含有する毛髪用処理剤が開示されている。また、特許文献3には、加水分解蛋白又はその誘導体を毛髪表面上に強固に吸着させることを目的として、平均分子量1000以上の加水分解蛋白又はその誘導体を含有する第1剤と、当該蛋白質又は誘導体を変性させるための変性剤を含有する第2剤とからなるものを用いることが開示されている。
特開2010−132595号公報 特開2010−285401号公報 特開2003−300843号公報
ところで、毛髪を補修するためには、その補修のための成分が毛髪に付着することが望まれる。このことは、毛髪処理剤に変性ペプチドを配合した場合も同様であり、変性ペプチドが補修成分として毛髪に付着し易いことも望まれる。
本発明は、上記事情に鑑み、補修成分が毛髪に付着し易い多剤式毛髪処理剤の提供を目的とする。
本発明者等が、変性ペプチドを配合した毛髪処理剤について鋭意検討を行った結果、所定の変性ペプチドを選定すると共に、この選定した変性ペプチドが配合された毛髪処理剤の後に用いる毛髪処理剤のpHを調整すれば、選定した変性ペプチドによる補修成分が毛髪に付着し易いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記式(I)〜(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備える変性ペプチドが配合された毛髪処理剤(a)と、前記毛髪処理剤(a)の後に用いるものであって、前記毛髪処理剤(a)よりもpHが低く且つpH7.0未満の毛髪処理剤(b)と、を備えることを特徴とする多剤式毛髪処理剤である。
−S−S−(CH−COOH (I)
(式(I)中、nは1又は2である。)
−S−S−CH(CH)−COOH (II)
−S−S−CH(COOH)−CH−COOH (III)
ここで、本発明における「変性ペプチド」とは、上記式(I)〜(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備えるペプチドであり、「ペプチド」とは、2個以上のアミノ酸がペプチド結合によって結合したものであり、ケラチン蛋白質などの蛋白質もペプチドに該当する。
前記毛髪処理剤(b)のpHは、例えば2.0以上6.0以下である。
本発明における毛髪処理剤(a)に配合される前記変性ペプチドとして、分子量2000以上のものを用いると良く、また、分子量10000以上のものを用いても良い。
本発明における毛髪処理剤(b)は、毛髪処理剤(a)が塗布されたままの毛髪に対して用いられるものが良い。毛髪処理剤(a)が塗布されたままの毛髪に対して毛髪処理剤(b)を用いることで、補修成分の毛髪への付着量が高まる。
本発明に係る多剤式毛髪処理剤によれば、毛髪処理剤(a)が所定の変性ペプチドが配合されたものである上に、毛髪処理剤(a)の後に用いる毛髪処理剤(b)のpHが毛髪処理剤(a)よりも低く且つ7.0未満に設定されているので、毛髪に補修成分が付着し易くなる。
実施例1aによる処理後の毛髪のSEM観察写真である。 実施例1bによる処理後の毛髪のSEM観察写真である。 実施例1cによる処理後の毛髪のSEM観察写真である。 比較例1による処理後の毛髪のSEM観察写真である。 比較例2による処理後の毛髪のSEM観察写真である。 比較例3による処理後の毛髪のSEM観察写真である。 本発明における変性ペプチドの製造方法例を示すフロー図である。
本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤に基づき、本発明を以下に説明する。
本実施形態に係る多剤式毛髪処理剤は、所定の変性ペプチドが配合された毛髪処理剤(a)と、所定のpHに設定された毛髪処理剤(b)とを備える。また、本実施形態の多剤式毛髪処理剤には、公知の毛髪処理剤が組み合わされていても良い。
(毛髪処理剤(a))
毛髪処理剤(a)は、上記の通り所定の変性ペプチドが配合されたものであり、水が配合されたものが典型的である(水の配合量は、例えば60質量%以上。)。また、この毛髪処理剤(a)には、公知の毛髪処理剤に配合される原料を任意原料として配合しても良い。
変性ペプチド
毛髪処理剤(a)に配合される所定の変性ペプチドは、複数のアミノ酸のペプチド結合によって形成された主鎖と、この主鎖に結合する側鎖基を備える。
上記変性ペプチドの主鎖は、特に限定されない。この主鎖の例としては、システインを構成アミノ酸の一種としているペプチドの主鎖と同じものが挙げられる。また、システインを構成アミノ酸の一種としているペプチドの例としては、ケラチン、カゼインが挙げられる。ケラチンは、天然物由来のペプチドの中でもシステイン比率が高いものとして知られており、当該変性ペプチドが効率よく得られる原料となる。かかる観点から、変性ペプチドの主鎖はケラチンの主鎖と同じものが好適である。
変性ペプチドは、下記式(I)〜(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備える。
−S−S−(CH−COOH (I)
(式(I)中、nは1又は2である。)
−S−S−CH(CH)−COOH (II)
−S−S−CH(COOH)−CH−COOH (III)
上記(I)〜(III)で表される構造の塩は、カルボキシラートアニオンとカチオンとのイオン結合体である。そのカチオンとなる単位としては、例えば、NHなどのアンモニウム;Na、Kなどの金属原子;が挙げられる。
変性ペプチド分子が小さなほど、毛髪処理剤(a)に溶存し易く、同処理剤のpHを低下させた際の溶解性への影響が小さい。そのため、変性ペプチドの水への溶解性の観点からの当該変性ペプチドの分子量は、70000以下が良く、60000以下が好ましく、50000以下がより好ましい。また、変性ペプチドの分子量は、変性ペプチド分子が大きなほど毛髪の外表面への補修成分付着に有利なので、2000以上が良く、10000以上が好ましく、20000以上がより好ましく、30000以上が更に好ましく、40000以上が更により好ましい。ここで、変性ペプチドの分子量については、Sodium Dodecyl Sulfate−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(SDS−PAGE法)による変性ペプチドのバンドと分子量マーカーのバンドとの相対距離から算出した分子量を、変性ペプチドの分子量とみなして採用する。
毛髪処理剤(a)における変性ペプチド配合量の下限は、例えば0.001質量%以上であり、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましい。一方、変性ペプチド配合量の上限は、多量配合によるコスト上昇を抑制する観点から、5質量%以下が良く、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。なお、変性ペプチドの分子量が小さなほど毛髪処理剤(a)に溶存し易いことは上記の通りであるところ、毛髪処理剤(a)における変性ペプチドの配合量については、当該変性ペプチドの分子量に応じて適宜設定すると良い。
次に、変性ペプチドの製造方法例として、ケラチンを原料とした変性ペプチドの製造方法について説明する。当該変性ペプチドの製造方法は、図5に示すように、還元工程(STP1)、酸化剤混合工程(STP2)、固液分離工程(STP3)、及び回収工程L(STP4)を有する。図5に示す全工程を備える方法では、酸化剤混合工程(STP2)にて変性ペプチド(図5に示す液体部Lに溶解している変性ペプチド、及び固体部Sに含まれる変性ペプチド)が生成するので、固液分離工程(STP3)及び回収工程L(STP4)を設けなくても変性ペプチドが製造されることになる。
還元工程(STP1)は、還元剤とケラチンと水とを混合する工程である。かかる還元工程(STP1)において、ケラチンが有するジスルフィド基(−S−S−)をメルカプト基(−SH HS−)に還元する。
原料であるケラチンとしては、これを構成蛋白質として含む羊毛(メリノ種羊毛、リンカーン種羊毛等)、人毛、獣毛、羽毛、爪等が挙げられる。中でも、変性ペプチドを安価かつ安定的に入手するために、羊毛を原料とすることが好ましい。この羊毛等の原料については、殺菌、脱脂、洗浄、切断、粉砕及び乾燥を適宜に組み合わせて、予め処理するとよい。
還元工程(STP1)で用いる還元剤は、チオグリコール酸、チオグリコール酸塩、メルカプトプロピオン酸、メルカプトプロピオン酸塩、チオ乳酸、チオ乳酸塩、チオリンゴ酸、及びチオリンゴ酸塩から選択される一種又は二種以上である。二種以上の還元剤を使用する場合の還元剤の組合せは、任意の組合せで良く、例えば、チオグリコール酸とチオグリコール酸塩一種との組合せ、チオグリコール酸塩二種の組合せ、メルカプトプロピオン酸とメルカプトプロピオン酸塩一種との組合せ、メルカプトプロピオン酸塩二種の組合せ、チオ乳酸とチオ乳酸塩一種との組合せ、チオ乳酸塩二種の組合せ、チオリンゴ酸とチオリンゴ酸塩一種との組合せ、チオリンゴ酸塩二種との組合せ、チオグリコール酸塩一種とメルカプトプロピオン酸塩一種の組合せ、チオグリコール酸塩一種とチオ乳酸塩一種の組合せ、チオグリコール酸塩一種とチオリンゴ酸塩一種の組合せ、メルカプトプロピオン酸塩一種とチオ乳酸塩一種の組合せ、メルカプトプロピオン酸塩一種とチオリンゴ酸塩一種の組合せ、チオ乳酸塩一種とチオリンゴ酸塩一種、チオグリコール酸塩一種とチオ乳酸塩一種とチオリンゴ酸塩一種の組合せが挙げられる。
チオグリコール酸塩としては、例えば、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カリウム、チオグリコール酸リチウム、チオグリコール酸アンモニウムが挙げられる。メルカプトプロピオン酸塩としては、例えば、メルカプトプロピオン酸ナトリウム、メルカプトプロピオン酸カリウム、メルカプトプロピオン酸リチウム、メルカプトプロピオン酸アンモニウムが挙げられる。チオ乳酸塩としては、例えば、チオ乳酸ナトリウム、チオ乳酸カリウム、チオ乳酸リチウム、チオ乳酸アンモニウムが挙げられる。チオリンゴ酸塩としては、例えば、チオリンゴ酸ナトリウム、チオリンゴ酸カリウム、チオリンゴ酸リチウム、チオリンゴ酸アンモニウムが挙げられる。
上記所定の還元剤の使用量としては、羊毛等の原料1gを基準として、0.005モル以上0.02モル以下であると良い。また、被処理液(ケラチン又はケラチン由来である処理物を含み、各工程での反応系となる液。以下、同じ。)の容量を基準とした場合の還元剤の使用量は、0.1mol/L以上0.4mol/L以下であると良い。
還元工程(STP1)での水の量は、特に限定されないが、例えば、羊毛等の原料1質量部に対して、20容量部以上200容量部以下であると良い。
還元工程(STP1)においては、一種又は二種以上のアルカリ性化合物を被処理液に混合するとよい。アルカリ性化合物とは、水に添加することで、その水をアルカリ性にすることができる化合物である。このアルカリ性化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア等が挙げられる。
上記アルカリ性化合物の混合量は、特に限定されないが、還元工程(STP1)における被処理液のpHを下記範囲に調整する量である。還元工程(STP1)でのpHの下限としては、9が好ましく、10がより好ましい。一方、還元工程(STP1)でのpHの上限としては、13が好ましく、12がより好ましい。還元工程(STP1)でのpHを上記下限以上にすることで、ケラチンの還元を効率良く行うことができる。また、pHを上記上限以下にすることで、ケラチン主鎖の切断を抑制できる(ケラチン主鎖の切断を促進することを目的とする場合は、被処理液のpHが13を超えるように調整すればよい。)。
還元工程(STP1)の温度条件は、特に限定されないが、35℃以上60℃以下が良く、40℃以上50℃以下が好ましい。温度条件が35℃未満であると、ジスルフィド基をメルカプト基に変換するための還元反応速度が低下し、ケラチンを十分に還元できないことがある。一方、60℃を超えると、ケラチン主鎖が切断されやすくなる。また、還元工程(STP1)の時間は、設定温度が低いほど長時間となり、設定温度が高いほど短時間となる。
酸化剤混合工程(STP2)は、還元工程(STP1)を経た処理物(ケラチン由来物)と酸化剤とを混合し、変性ペプチドを生成させる工程である。かかる酸化剤の混合は、処理物のメルカプト基を変性する酸化反応を促進するために行われる。通常、還元工程(STP1)を経た処理物を含む被処理液に、酸化剤を混合する。
酸化剤としては、例えば、臭素酸ナトリウム、臭素酸カリウム、過ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸カリウム、過酸化水素等が挙げられる。用いる酸化剤は、一種又は二種以上である。
酸化剤混合工程(STP2)での酸化剤の使用量は、特に限定されないが、羊毛等の原料1gを基準として、0.001モル以上0.02モル以下であると良く、酸化剤混合工程(STP2)の被処理液の容量を基準として、0.02mol/L以上1mol/L以下であると良い。
酸化剤を被処理液に混合する際には、この酸化剤が被処理液中で局所的に高濃度化することを避けるため、1mol/L以上5mol/L以下程度の酸化剤溶液を例えば10分から6時間かけて連続的と断続的とを問わず徐々に混合するとよい。
pH9以上の被処理液に混合する酸化剤量(A)を、pH7以上9未満の被処理液に混合する酸化剤量(B)より多くするのが好適である。これにより、変性ペプチド生成時間が短縮化する。上記酸化剤量(A)及び(B)の合計に対する酸化剤量(B)の割合は、20mol%以下が好ましく、10mol%以下がより好ましく、5mol%以下が更に好ましく、0mol%が特に好ましい。
酸化剤混合工程(STP2)での被処理液のpHは、本工程の進行に応じて調整される。酸化剤の混合を開始する際のpHは、9以上が好ましく、10以上がより好ましい。また、そのpHは、13以下が良く、12以下が好ましく、11以下がより好ましい。pH9以上であれば、変性ペプチドの生成効率が良く、pH13以下であれば、ケラチン由来の処理物の主鎖の切断を抑制できる。酸化剤混合工程(STP2)終了時のpHは、特に限定されないが、7程度で良い。
酸化剤混合工程(STP2)において、pH9以上の時間がpH7以上9未満の時間よりも長いことが好ましく、pH9以上12以下の時間がpH7以上9未満の時間より長いことがより好ましく、pH10以上11以下の時間がpH7以上9未満の時間より長いことがさらに好ましい。このような手順を採用した場合、変性ペプチドの生成効率が高まる。
被処理液のpHを調整するための酸としては、有機酸及び無機酸から選択された一種又は二種以上を使用するとよい。有機酸としては、例えば、クエン酸、乳酸、コハク酸、酢酸が挙げられ、無機酸としては、例えば、塩酸、リン酸が挙げられる。酸の混合量は、被処理液のpHを監視しつつ、適宜設定すると良い。酸を被処理液に混合する際には、被処理液において局所的にpHが低下すると、処理物のメルカプト基同士がジスルフィド基になるおそれがあるため、被処理液に酸を徐々に混合することが好ましい。
酸化剤混合工程(STP2)での温度条件は、10℃以上60℃以下が良く、40℃以下が好ましい。温度を上記範囲に制御することで、副生成物であるシスチンモノオキシド等の生成を抑制できる。
酸化剤混合工程(STP2)における反応式を、還元工程(STP1)での還元剤としてチオグリコール酸若しくはその塩、メルカプトプロピオン酸若しくはその塩、チオ乳酸若しくはその塩、又は、チオリンゴ酸若しくはその塩を用いた場合、その還元剤の順の通り挙げれば次の通りである。
固液分離工程(STP3)は、酸化剤混合工程(STP2)後の被処理液を液体部Lと固体部Sとに分離する工程である。固液分離工程(STP3)では、濾過、遠心分離、圧搾分離、沈降分離、浮上分離等の公知の固液分離手段を採用することができ、必要に応じてイオン交換や電気透析等による脱塩等を行うとよい。
回収工程L(STP4)は、固液分離工程(STP3)で得た液体部Lに溶解する変性ペプチドLを固形状のものとして回収する工程である。この回収工程L(STP4)における固形状変性ペプチドLの回収方法としては、(1)液体部Lを凍結乾燥することによる回収、(2)液体部Lを噴霧乾燥することによる回収、(3)塩酸等の酸を液体部Lに添加して、液体部LのpHを2.5から4.0程度に低下させることにより生じた変性ペプチドL沈殿物の回収などが挙げられる。回収した固形状の変性ペプチドLについては、必要に応じて、水や酸性水溶液による洗浄、乾燥等を行う。
上記の通り、酸化剤混合工程(STP2)での処理を終えることで、被処理液に溶解している変性ペプチドと、同液に溶解していない変性ペプチドが得られる。これら変性ペプチドを低分子化すれば、水への溶解性が高まる。低分子化する態様としては、(1)固液分離工程(STP3)で得られた固体部Sを加水分解する態様、(2)固液分離工程(STP3)で得られた液体部Lに溶解している変性ペプチドLを加水分解する態様、(3)回収工程Lにより回収した変性ペプチドLを加水分解する態様、(4)変性ペプチドLと固体部Sを一括して加水分解する態様、が挙げられる。また、その他に加水分解による低分子化を図る方法としては、還元工程(STP1)の前、還元工程(STP1)と同時、還元工程(STP1)と酸化剤混合工程(STP2)との間に、低分子化のための加水分解を行うことが挙げられる。
変性ペプチドを加水分解する方法としては、ペプチドの加水分解として公知の(1)酵素による加水分解、(2)酸による加水分解及び(3)アルカリによる加水分解が挙げられる。
上記の酵素による加水分解を行う場合、その酵素としては、例えば、ペプシン、プロテアーゼA、プロテアーゼBなどの酸性蛋白質分解酵素;パパイン、プロメライン、サーモライシン、プロナーゼ、トリプシン、キモトリプシンなどの中性乃至アルカリ性蛋白質分解酵素等が挙げられる。酵素による加水分解時のpHは、酸性蛋白質分解酵素の場合には1以上3以下に調整するとよく、中性乃至アルカリ性蛋白質分解酵素の場合には5以上11以下に調整するとよい。このpHを上記範囲とすることにより、酵素活性が向上する。また、酵素による加水分解時の反応温度は30℃以上60℃以下、反応時間は10分以上24時間以内で適宜設定される。この酵素による加水分解を停止させるには、温度を70℃以上にして酵素を失活させるとよい。
上記の酸による加水分解を行う場合、その酸としては、例えば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、臭化水素酸等の無機酸、又は蟻酸、シュウ酸等の有機酸が挙げられ、これらの中から適宜選択される。この加水分解の条件は、例えばpH4以下、反応温度40℃以上100℃以下、反応時間2時間以上24時間以内である。
上記のアルカリによる加水分解を行う場合、そのアルカリとしては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。この加水分解の条件は、例えばpH8.0以上、反応温度50℃以上100℃以下、反応時間20分以上24時間以内である。
加水分解された変性ペプチドを回収するためには、上記回収工程L(STP4)と同様の方法を採用できる。ただし、pHが2.5から4.0程度になるように酸を添加する回収方法では、変性ペプチドが加水分解により低分子化しているので、回収困難であるか回収不能な場合がある。
任意原料
毛髪処理剤(a)に任意配合される変性ペプチド以外の原料は、本実施形態の多剤式毛髪処理剤の使用目的に応じて公知の毛髪処理剤原料から適宜選定される。その公知の毛髪処理剤原料としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、高分子化合物がある。また、他の公知の毛髪処理剤原料としては、シリコーン、蛋白、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤などである。
アニオン界面活性剤としては、例えばN−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミドエーテルカルボン酸、アシル乳酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、脂肪酸モノグリセリド硫酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩が挙げられる。一種又は二種以上のアニオン界面活性剤を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、アニオン界面活性剤の配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
カチオン界面活性剤としては、例えばアルキルアミン塩、脂肪酸アミドアミン塩、エステル含有3級アミン塩、アーコベル型3級アミン塩、長鎖アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジ長鎖アルキルジメチルアンモニウム塩、トリ長鎖アルキルモノメチルアンモニウム塩、ベンザルコニウム型4級アンモニウム塩、モノアルキルエーテル型4級アンモニウム塩が挙げられる。一種又は二種以上のカチオン界面活性剤を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、カチオン界面活性剤の配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
両性界面活性剤としては、例えばアルキルグリシン塩、カルボキシメチルグリシン塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルグリシン塩、アルキルポリアミノポリカルボキシグリシン塩、アルキルアミノプロピオン酸塩、アルキルイミノジプロピオン酸塩、N−アシルアミノエチル−N−2−ヒドロキシエチルプロピオン酸塩、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジヒドロキシエチルアミノ酢酸ベタイン、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホン酸塩、N−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩、N−脂肪酸アミドプロピル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホン酸塩が挙げられる。一種又は二種以上の両性界面活性剤を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、両性界面活性剤の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。一種又は二種以上のノニオン界面活性剤を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、ノニオン界面活性剤の配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
高級アルコールとしては、例えば、セタノール、イソセチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の高級アルコールを毛髪処理剤(a)に配合すると良く、高級アルコールの配合濃度は、例えば3質量%以上15質量%以下である。
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。一種又は二種以上の低級アルコールを毛髪処理剤(a)に配合すると良く、低級アルコールの配合濃度は、例えば0.5質量%以上3質量%以下である。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ブチレングリコールが挙げられる。一種又は二種以上の多価アルコールを毛髪処理剤(a)に配合すると良く、多価アルコールの配合濃度は、例えば1質量%以上50質量%以下である。
糖類としては、例えばソルビトール、マンニトール、グルコース、フルクトース、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロースが挙げられる。一種又は二種以上の糖類を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、糖類の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
油脂としては、例えばアーモンド油、アボガド油、オリーブ油、シア脂油、月見草油、ツバキ油、ピーナッツ油、ローズヒップ油が挙げられる。一種又は二種以上の油脂を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、油脂の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
エステル油としては、例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸ヘキシル、ジ2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸2−オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、ステアリン酸コレステリルが挙げられる。一種又は二種以上のエステル油を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、エステル油の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
脂肪酸としては、例えばイソステアリン酸、オレイン酸、カプリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸が挙げられる。一種又は二種以上の脂肪酸を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、脂肪酸の配合濃度は、例えば0.1質量%以上10質量%以下である。
炭化水素としては、例えば流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックスが挙げられる。一種又は二種以上の炭化水素を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、炭化水素の配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
ロウとしては、例えばミツロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウが挙げられる。一種又は二種以上のロウを毛髪処理剤(a)に配合すると良く、ロウの配合濃度は、例えば0.1質量%以上20質量%以下である。
高分子化合物としては、例えば、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、メタクリロイルエチルベタイン・メタクリル酸エステル共重合体等の合成高分子化合物;メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、可溶性デンプン等の半合成高分子化合物;アルギン酸ナトリウム、グアーガム、グルカン、セルロース、ヒアルロン酸ナトリウム等の天然高分子;が挙げられる。一種又は二種以上の高分子化合物を毛髪処理剤(a)に配合すると良く、高分子化合物の配合濃度は、例えば0.1質量%以上15質量%以下である。
pH
毛髪処理剤(a)のpHは、特に限定されないが、5.0以上11.0以下が良く、6.0以上10.0以下が好ましく、6.5以上9.0以下がより好ましく、6.5以上8.0以下が更に好ましい。pHが5.0未満であると変性ペプチドの沈殿が生じやすく、pHが11.0以上であると変性ペプチドの加水分解進行の虞がある。なお、pHの調整のためには、有機酸、無機酸、アルカリ金属の水酸化物等を用いると良い。
剤型
毛髪処理剤(a)の使用時の剤型は、特に限定されず、例えば液状、乳液状、ローション状、クリーム状、ワックス状、ゲル状、フォーム状(泡状)、霧状が挙げられる。
(毛髪処理剤(b))
毛髪処理剤(b)は、上記の通り所定のpHに設定されたものであり、水が配合されたものが典型的である(水の配合量は、例えば60質量%以上。)。また、この毛髪処理剤(b)には、公知の毛髪処理剤に配合される原料を任意原料として配合しても良い。
pH
毛髪処理剤(b)のpHは、毛髪処理剤(a)よりも低く且つ7.0未満に設定される。pHが7.0未満である限り、毛髪処理剤(b)のpHは特に限定されない。そのpHは、頭皮への安全性を考慮すれば2.0以上が良い。毛髪処理剤(b)のpHは、通常3.0以上6.0以下であり、4.0以上5.0以下であると良い。
pHを設定するには、酸及び/又はアルカリを用いると良い。酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸;グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルキル硫酸等の有機酸;が挙げられ、一種又は二種以上の酸を用いると良い。また、アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムが挙げられ。一種又は二種以上のアルカリを用いると良い。pHを設定するには、その他に酸とアルカリの塩を使用しても良い。
任意原料
毛髪処理剤(b)に任意配合される原料は、本実施形態の多剤式毛髪処理剤の使用目的に応じて公知の毛髪処理剤原料から適宜選定される。その公知の毛髪処理剤原料としては、毛髪処理剤(a)と同様、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤、高級アルコール、低級アルコール、多価アルコール、糖類、油脂、エステル油、脂肪酸、炭化水素、ロウ、高分子化合物がある。また、他の公知の毛髪処理剤原料としては、シリコーン、蛋白、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤などである。
毛髪処理剤(b)に任意原料を配合する場合の配合濃度は、アニオン界面活性剤を配合するときの濃度は例えば0.1質量%以上20質量%以下、カチオン界面活性剤を配合するときの濃度は例えば0.1質量%以上20質量%以下、両性界面活性剤を配合するときの濃度は例えば0.1質量%以上10質量%以下、ノニオン界面活性剤を配合するときの濃度は例えば0.1質量%以上20質量%以下、高級アルコールを配合するときの濃度は例えば3質量%以上15質量%以下、低級アルコールを配合するときの濃度は例えば0.5質量%以上3質量%以下、多価アルコールを配合するときの濃度は例えば1質量%以上50質量%以下、糖類を配合するときの濃度は例えば0.1質量%以上10質量%以下、油脂を配合するときの濃度は例えば0.1質量%、エステル油を配合するときの濃度は例えば0.1質量%以上10質量%以下、脂肪酸を配合するときの濃度は例えば0.1質量%以上10質量%以下、炭化水素を配合するときの濃度は例えば0.1質量%以上20質量%以下、ロウを配合するときの濃度は例えば0.1質量%以上20質量%以下、高分子化合物を配合するときの濃度は例えば0.1質量%以上15質量%以下でありる。
剤型
毛髪処理剤(b)の使用時の剤型は、特に限定されず、例えば液状、乳液状、ローション状、クリーム状、ワックス状、ゲル状、フォーム状(泡状)、霧状が挙げられる。
(使用方法)
本実施形態の多剤式毛髪処理剤は、毛髪に毛髪処理剤(a)を塗布した後に毛髪処理剤(b)を塗布することによって用いられる。
本実施形態の多剤式毛髪処理剤が塗布される対象となる毛髪は、パーマ処理(還元反応、酸化反応等の化学反応を利用して毛髪形状をウェーブ状、直毛状等に変化させる処理)又はカラーリング処理(染料による毛髪への着色、毛髪色素の脱色等により毛髪色を変化させる処理)の履歴がある毛髪、及びその履歴がない毛髪のいずれであっても良い。
毛髪処理剤(a)の毛髪への塗布と毛髪処理剤(b)の毛髪への塗布との間には、水洗等の毛髪洗浄、公知の毛髪処理剤の塗布等を行っても良い。毛髪への補修成分の付着を高める観点からは、毛髪処理剤(a)の塗布と毛髪処理剤(b)の塗布との間の毛髪には何ら処理を行わず、毛髪処理剤(a)が塗布されたままの毛髪に毛髪処理剤(b)を塗布して用いるのが良い。
以上が本実施形態の多剤式毛髪処理剤の使用方法であり、この方法は、シャンプー処理前の毛髪、シャンプー処理後の毛髪、洗い流すトリートメント処理後の毛髪、シャンプー処理と洗い流すトリートメント処理との間の毛髪、カラーリング処理前の毛髪、カラーリング処理後の毛髪、パーマ処理前の毛髪、パーマ処理後の毛髪、還元処理と酸化処理との間の毛髪等に適用される。また、上記使用方法を、洗い流さないトリートメントとして使用しても良い。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱することがない限り、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(変性ペプチド)
後記実施例1a〜1c、実施例2及び比較例1で用いた変性ペプチドを、次の通り製造した。
還元工程
中性洗剤で洗浄、乾燥させたメリノ種羊毛を、約5mmに切断した。この羊毛5.0質量部、30質量%チオグリコール酸ナトリウム水溶液15.4質量部及び6mol/L水酸化ナトリウム水溶液8.5質量部を混合し、さらに水を混合して全量150質量部、pH11の被処理液を調製した。この被処理液を、45℃、1時間の条件で攪拌した。次いで、さらに水を混合して全量を200質量部とし、45℃、2時間の条件で放置し、その後、液温が常温になるまで自然冷却した。
酸化剤混合工程
還元工程後の被処理液を攪拌しながら、当該液に、35質量%過酸化水素水を15.26質量部配合した水溶液178質量部を、約30分かけて攪拌しながら混合した(過酸化水素水の混合に伴って被処理液のpHは上昇することになるが、その上昇は約20質量%酢酸水溶液を混合することでpH10以上11以下の範囲に調整した。)。その後、約20質量%酢酸水溶液を徐々に混合し、被処理液のpHが漸次11から7になるように調整した。以上により変性ペプチド溶液を得た。
固液分離工程及び回収工程
変性ペプチド溶液をろ過することによりその溶液の不溶物を除去した。その後、回収した液体部(ろ液)に36質量%塩酸水溶液97.2質量部を配合した水溶液160質量部を添加して変性ペプチド溶液のpHを7から3.8にすることにより、変性ペプチドの沈殿を生じさせた。この沈殿を回収、水洗し、固形状の変性ペプチドを得た。
回収工程で得た固形状変性ペプチドが1質量%、かつ、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノールでpH8とした水溶液を、85℃で5時間加熱した。この加熱後の液をろ過し、実施例で用いた変性ペプチドの水溶液を得た。
上記得られた変性ペプチドを、タカラバイオ社製「Protein Molecular Weight Marker(Low)」を分子量マーカーとし、Sodium Dodecyl Sulfate−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)法により確認した結果、40000から50000(40kDaから50kDa)において分子量バンドが確認された。
上記SDS−PAGE法による分子量バンド確認方法の詳細は、以下の通りとした。
(1)分子量マーカー
タカラバイオ社製「Protein Molecular Weight Marker(Low)」
基準物質の詳細は、Phosphorylase B(分子量97200)、Serum Albumin(分子量66409)、Ovalbumin(分子量44287)、Carbonic anhydrase(分子量29000)、Trypsin inhibitor(分子量20100)、Lysozyme(分子量14300)の以上6物質
(2)ポリアクリルアミドゲル
濃縮ゲル濃度4.5質量%、分離ゲル濃度10.0質量%となるように調製したもの
(3)試料溶液
変性ペプチド又は基準物質 1質量部
ブロモフェノールブルー 適量
試料溶媒 1質量部
(試料溶媒:ドデシル硫酸ナトリウム1質量%、2−メルカプトエタノール1質量%、塩酸トリス(pH6.8)10mM、グリセロール10質量%)
(4)泳動条件
40mA、30分間
(5)泳動槽用緩衝液
BioRed社製「10×(Tris/Glycine/SDS)Buffer」の10倍希釈水溶液
(6)染色条件
クマジーブリリアントブルー溶液で1時間染色後、脱色液で約6時間脱色処理
(毛髪処理剤(a))
実施例1a〜1cで用いた毛髪処理剤(a)は、pH7.4の変性ペプチド1質量%水溶液とした。また、実施例2で用いた毛髪処理剤(a)は、pH7.4の変性ペプチド2質量%水溶液とした
(毛髪処理剤(b))
pH4.5の乳酸水溶液を、毛髪処理剤(b)とした。
(実施例1a)
カラーリング処理及びパーマ処理された履歴が認めれないシャンプー処理後の黒髪を、毛髪処理剤(a)に浸漬した後に毛髪処理剤(b)に浸漬し、次に、水中に5秒間通過させた後にドライヤーにより温風乾燥させた。以上をもって、実施例1aの毛髪処理とした。
(実施例1b)
実施例1aの「毛髪処理剤(a)に浸漬」以降の毛髪処理を10回繰り返す処理を、実施例1bの毛髪処理とした。
(実施例1c)
実施例1aの「毛髪処理剤(a)に浸漬」以降の毛髪処理を30回繰り返す処理を、実施例1cの毛髪処理とした。
(比較例1)
実施例1cの「毛髪処理剤(b)に浸漬」を省略した以外は実施例1cと同様にした処理を、比較例1の毛髪処理とした。
(比較例2)
実施例1cの「毛髪処理剤(a)」を「成和化成社製プロモイスKR−30(加水分解ケラチン含有液)」に置換した以外は実施例1cと同様にした処理を、比較例2の毛髪処理とした。
(比較例3)
実施例1cの「毛髪処理剤(a)」を「クローダ社が販売するケラテックIFP−HMW(ケラチン5%含有液)」に置換した以外は実施例1cと同様にした処理を、比較例2の毛髪処理とした。
実施例1a〜1c及び比較例1〜3による処理が行われた後の毛髪表面を、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、2000倍率で観察した。図1aは、実施例1aによる処理後の毛髪のSEM観察写真であり、図1bは、実施例1bによる処理後の毛髪のSEM観察写真であり、図1cは、実施例1cによる処理後の毛髪のSEM観察写真であり、図2は、比較例1による処理後の毛髪のSEM観察写真であり、図3は、比較例2による処理後の毛髪のSEM観察写真であり、図4は、比較例3による処理後の毛髪のSEM観察写真である。
先ず、実施例1a(図1a、毛髪処理剤(a)への浸漬回数:1回)、実施例1b(図1b、毛髪処理剤(a)への浸漬回数:10回)、及び実施例1c(図1c、毛髪処理剤(a)への浸漬回数:30回)を比較すると、毛髪処理剤(a)への浸漬回数が増加する程に、毛髪表面に補修成分が付着したことを確認できる。
次に、実施例1c(図1c、毛髪処理剤(b)への浸漬有り)及び比較例1(図2、毛髪処理剤(b)への浸漬無し)を比較すると、毛髪処理剤(b)への浸漬を行うことで、毛髪への補修成分の付着が高まったことを確認できる。
そして、実施例1c(図1c、毛髪処理剤(a)を使用)、比較例2(図3、実施例1cの「毛髪処理剤(a)」を「加水分解ケラチン含有液」に置換)及び比較例3(図4、実施例1cの「毛髪処理剤(a)」を「ケラチン含有液」に置換)を比較すると、比較例2及び比較例3に比して、実施例1cによる毛髪への補修成分の付着が明らかに多かったことを確認できる。つまり、この確認は、所定の変性ペプチドを選定する効果を示すものである。
(実施例2)
カラーリング処理及びパーマ処理された履歴が認めれない黒髪束2gを、シャンプー処理し、次に、1gの毛髪処理剤(a)を塗布して1分間放置後に1gの毛髪処理剤(b)を続けて塗布して1分間放置した。次に、トリートメント処理を行った後に、ドライヤーにより温風乾燥させた。以上の処理を10回繰り返すことをもって、実施例2の毛髪処理とした。
(比較例4)
実施例2の「1gの毛髪処理剤(a)を塗布して1分間放置」を省略した以外は実施例2と同様にした処理を、比較例4の毛髪処理とした。
実施例2及び比較例4による処理が行われた後の毛髪各5本について、ねじり剛性率の平均値を算出した(ねじり剛性率の測定方法は、後記。)。同平均値は、実施例2の処理によるものが0.90GPa、比較例4の処理によるものが1.02GPaであった。
上記ねじり剛性率の測定での条件は、毛髪試料の長径と短径を測定した後、ねじり試験機にセットし、120度/secの速度で左右に3回転ねじった。

Claims (5)

  1. 下記式(I)〜(III)で表される構造及びこれらの構造の塩から選ばれた単位を有する側鎖基を一種又は二種以上備える変性ペプチドが配合された毛髪処理剤(a)と、
    前記毛髪処理剤(a)の後に用いるものであって、前記毛髪処理剤(a)よりもpHが低く且つpH7.0未満の毛髪処理剤(b)と、を備えることを特徴とする
    多剤式毛髪処理剤。
    −S−S−(CH−COOH (I)
    (式(I)中、nは1又は2である。)
    −S−S−CH(CH)−COOH (II)
    −S−S−CH(COOH)−CH−COOH (III)
  2. 前記毛髪処理剤(b)のpHが、2.0以上6.0以下である請求項1に記載の多剤式毛髪処理剤。
  3. 分子量2000以上のものが前記変性ペプチドとして毛髪処理剤(a)に配合された請求項1又は2に記載の多剤式毛髪処理剤。
  4. 分子量10000以上のものが前記変性ペプチドとして毛髪処理剤(a)に配合された請求項1〜3のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
  5. 前記毛髪処理剤(b)が、毛髪処理剤(a)が塗布されたままの毛髪に対して用いられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の多剤式毛髪処理剤。
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