JP2008278853A - 麦汁輸送システム - Google Patents

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Abstract

【課題】麦汁に含まれる気泡の除去と圧力の開放を同時に行い、ライン中の麦汁の溶存酸素量を正確に測定することができる技術の実現。
【解決手段】麦汁輸送システムは、発泡性アルコール飲料の麦汁を煮沸する煮沸釜2と、前記煮沸釜で煮沸された熱麦汁を冷却する冷却器4と、前記冷却器による冷却後の麦汁に酵母を添加して発酵させる発酵タンク6と、前記煮沸釜から前記冷却器を介して前記発酵タンクに前記麦汁を圧送する麦汁搬送ライン1と、前記冷却器の下流側において前記麦汁搬送ライン中の前記麦汁にエアを添加するエアレーション装置8,9と、前記麦汁搬送ラインにおける前記エアレーション装置の下流側に設けられ、前記麦汁搬送ラインから前記麦汁の一部を取り出して当該麦汁中の溶存酸素量を測定する溶存酸素量測定装置10,11と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、酵母活性化のために発泡性アルコール飲料の麦汁に溶解した溶存酸素量を正確に測定するための技術に関する。
例えば、特許文献1には、試薬と試料の混合液が入った反応容器に光を照射して成分を測定する際に測定光の経路上に存在する気泡を音波により除去して測定精度を向上する技術が記載されている。また、特許文献2には、旋回流を用いて油等の作動液体から気泡を除去する技術が記載されている。
また、一般的なビール・発泡酒の仕込工程については非特許文献1(p215〜p290)に開示されている。
特開2004−045113号公報 特開2000−210503号公報 ビール醸造技術 宮地秀夫、食品産業新聞社、1999発行
発泡性アルコール飲料の仕込工程では、酵母活性化のために冷却した麦汁にエアレーションを行い酸素を溶解させる。麦汁中に溶解した酸素(溶存酸素)はその後の発酵工程において酵母の活性に大きく影響する重要なファクターである。一定の活性の酵母にはあらかじめ定めておいた一定量の溶存酸素を与える必要があり、また活性の異なる酵母を用いる場合や別菌種の酵母を用いる場合などはそれぞれに応じて溶存酸素量を調整する必要がある。よって定めた量の溶存酸素を麦汁に溶解させることとその結果である溶存酸素量を正確に測定することは大変重要である。
しかしながら、これまでの溶存酸素量の測定値には測定用麦汁のサンプリング位置やタンク液量(液深)によってばらつきが生じていた。これは麦汁搬送ラインにおける溶解しきれない気泡や圧力のばらつきの影響が考えられる。これらの影響はエアレーション装置から各発酵タンクまでの距離の違いや、1タンクが空から満量になるまでの液量(液深)の変化によるライン内圧の変化などが原因と考えられている。
そして、従来は麦汁搬送ラインから取り出した麦汁を直接溶存酸素計に導いて測定するため測定場所、工程中のタイミング、発酵タンクの位置の違いなどによって測定誤差が発生し(図3参照)、ライン中の麦汁の溶存酸素量を正確に測定することができなかった。
ここで、上記特許文献1は大気開放された状態で測定する点で上記圧力の違いによる測定誤差という課題は存在せず、上記特許文献2は気泡は除去するものの液体中に酸素を積極的に溶解させて溶存酸素量を測定する構成ではなく、上記課題を引き起こす素因が存在しない。
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、麦汁に含まれる気泡の除去と圧力の開放を同時に行い、ライン中の麦汁の溶存酸素量を正確に測定することができる技術を実現することである。
上述の課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係る麦汁輸送システムは、発泡性アルコール飲料の麦汁を煮沸する煮沸釜2と、前記煮沸釜で煮沸された熱麦汁を冷却する冷却器4と、前記冷却器による冷却後の麦汁に酵母を添加して発酵させる発酵タンク6と、前記煮沸釜から前記冷却器を介して前記発酵タンクに前記麦汁を圧送する麦汁搬送ライン1と、前記冷却器の下流側において前記麦汁搬送ライン中の前記麦汁にエアを添加するエアレーション装置8,9と、前記麦汁搬送ラインにおける前記エアレーション装置の下流側に設けられ、前記麦汁搬送ラインから前記麦汁の一部を取り出して当該麦汁中の溶存酸素量を測定する溶存酸素量測定装置10,11と、を有し、前記溶存酸素量測定装置は、前記麦汁搬送ラインから取り出した麦汁を大気圧下で一旦貯留して液圧を除去するバッファタンク21と、前記バッファタンクから送出される麦汁中の溶存酸素量を測定する溶存酸素計25と、を備える。
また、好ましくは、前記冷却器の下流側であって前記発酵タンクの上流側には、前記麦汁中の不要物を分離するためのフローテーションタンク5が配置され、前記エアレーション装置は、前記フローテーションタンクの上流側に配置される1次エアレーション装置8と、前記フローテーションタンクの下流側に配置される2次エアレーション装置9と、を有し、前記溶存酸素量測定装置は、前記1次エアレーション装置の下流側に配置される1次測定装置10と、前記2次エアレーション装置の下流側に配置される2次測定装置11と、を有する。
また、好ましくは、前記溶存酸素量測定装置は、前記麦汁搬送ラインと前記バッファタンクを接続し、前記バッファタンクと前記溶存酸素計を接続する接続ライン20と、前記バッファタンクに流入する麦汁量を調整する上流側調整弁22と、前記バッファタンクから流出する麦汁量とを調整する下流側調整弁23とを有し、前記各調整弁の開度を調整してバッファタンク内の麦汁量を略一定に制御する。
本発明によれば、麦汁に含まれる気泡の除去と圧力の開放を同時に行い、ライン中の麦汁の溶存酸素量を正確に測定することができる。
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
図1は本発明に係る実施形態の麦汁輸送システムを模式的に示した図である。図2は図1のエア測定装置の詳細構成を示す図である。図3は従来のシステムと本実施形態のシステムによる溶存酸素量の測定結果を比較して示す図である。
図1に示すように、本実施形態の麦汁搬送システムは、麦汁搬送ライン1に対して、上流側から、発泡性アルコール飲料の麦汁を煮沸する煮沸釜2、加熱により麦汁中に生成される凝固物(熱トルーブ)を分離するワールプール3、煮沸釜2で煮沸されてワールプール3で凝固物が除去された熱麦汁を冷却する麦汁冷却器4、冷却後に酵母を添加された麦汁中から凝固物(冷トルーブ)を分離するフローテーションタンク5、麦汁冷却器4により冷却されてフローテーションタンク5で凝固物が除去された酵母添加麦汁を発酵させる発酵タンク6が接続されている。尚、上記煮沸釜2から発酵タンク6に麦汁を移し変えるまでを仕込工程と呼ぶ。発酵タンク6は、例えば200キロリットル(1回の仕込が50キロリットルの場合、4回の仕込分に相当)の容量を有し、従来からある旧発酵タンクと新たに設置された新発酵タンクがそれぞれ20〜30本程度設けられている。
ここで、発泡性アルコール飲料とは、ビール、発泡酒、雑酒などを指し、また低アルコール発酵飲料(アルコール1%未満の発泡性飲料)も含む。また、ここでいう麦汁とは前述の仕込工程中において、麦芽やコーングリッツなどを用いるビール発泡酒などでは濾過工程でもろみを濾過して得られた液体を指す、若しくは雑酒など原料の混合のみで濾過工程のない製法では、混合された液体状原料を指す。後者の場合、麦芽・麦を含まないものもあるが便宜上、麦汁と表記する。
麦汁搬送ライン1における、煮沸釜2からワールプール3の間、ワールプール3から麦汁冷却器4の間、フローテーションタンク5から発酵タンク6の間には、それぞれ麦汁を圧送するポンプ7が設けられている。
また、麦汁搬送ライン1において、麦汁冷却器4の下流側であってフローテーションタンク5の上流側には、麦汁搬送ライン1中の麦汁にエアを添加する1次エアレーション装置8が設けられ、フローテーションタンク5の下流側であって発酵タンク6の上流側には、麦汁搬送ライン1中の麦汁にエアを添加する2次エアレーション装置9が設けられている。
更に、麦汁搬送ライン1における、1次エアレーション装置8の下流側であってフローテーションタンク5の上流側には、注入されたエアと麦汁とを撹拌して溶解を補助するスタティックミキサーと、麦汁搬送ライン1から麦汁の一部を取り出して麦汁中の溶存酸素量を測定する1次エア測定装置10とが設けられ、2次エアレーション装置9の下流側であって発酵タンク6の上流側には、スタティックミキサーと、麦汁搬送ライン1から麦汁の一部を取り出して麦汁中の溶存酸素量を測定する2次エア測定装置11とが設けられている。2次エアレーション装置9は、1次エアレーション装置8で添加したエアによる麦汁中の溶存酸素量がフローテーションタンク5で略ゼロとなるため、追加的にエアを添加するために設けられている。
図2に示すように、上記1次及び2次エア測定装置10,11は、麦汁搬送ライン1に接続された測定ライン20と、麦汁搬送ライン1から取り出した麦汁を大気圧下で一旦貯留して液圧を除去するバッファタンク21と、バッファタンク21の上流側に設けられバッファタンク21に流入する麦汁量を調整する上流側調整弁22と、バッファタンク21から流出する麦汁量を調整する下流側調整弁23と、バッファタンク21内を大気開放する大気圧バルブ24と、バッファタンク21から送出される麦汁中の溶存酸素量を測定する溶存酸素計25とを備える。そして、バッファタンク21は1リットル程度の容量を有し、調整弁22,23の開度をバッファタンク21内の液位が一定になるように調整する。
また、1次及び2次エアレーション装置8,9は、それぞれ1次及び2次エア測定装置10,11から溶存酸素量測定結果(DO値)を入力し、PID演算により所定の基準値に収束するような制御ゲインを算出してエアの添加量を制御するフィードバック制御器を有する。
上記実施形態によれば、麦汁搬送ライン1から取り出した麦汁をバッファタンクに一旦貯留して余分な気泡や圧力を同時に除去した上で溶存酸素量を測定するので、麦汁搬送ライン中の溶存酸素量を正確に測定することができる。
即ち、図3のバッファタンク無しで測定した溶存酸素量L3,L4は時間と共に上昇し、麦汁搬送ラインが長い新発酵タンクは旧発酵タンクに比べて時間と共にタンク内の液位が上昇すると溶存酸素量が上昇している。これは、麦汁搬送ライン1における発酵タンク6の上流側(0.2Mpa)と下流側(0.3Mpa)の間での圧力の違いやライン中に存在する溶解しなかった気泡や麦汁搬送ラインと各発酵タンク内の圧力の違い、或いは2次エアレーション装置9から旧発酵タンク6までの距離(30m)と新発酵タンク6までの距離(230m)の違いなどが原因と考えられる。
これに対して、図3に示すバッファタンク有りで測定した溶存酸素量L1,L2は測定結果が安定している。これは、麦汁に含まれる気泡の除去と圧力の開放を同時に行い、ライン中の麦汁の溶存酸素量を正確に測定できることを表している。
以上説明した麦汁搬送システムは、圧力が変動し溶存酸素量を測定するものであれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で他の用途にも適用可能である。
本発明に係る実施形態の麦汁輸送システムを模式的に示した図である。 図1のエア測定装置の詳細構成を示す図である。 従来のシステムと本実施形態のシステムによる溶存酸素量の測定結果を比較して示す図である。
符号の説明
1 麦汁搬送ライン
2 煮沸釜
3 ワールプール
4 麦汁冷却器
5 フローテーションタンク
6 発酵タンク
7 ポンプ
8 1次エアレーション装置
9 2次エアレーション装置
10 1次エア測定装置
11 2次エア測定装置
21 バッファタンク
22 上流側調整弁
23 下流側調整弁
24 大気圧バルブ
25 溶存酸素計

Claims (3)

  1. 発泡性アルコール飲料の麦汁を煮沸する煮沸釜と、
    前記煮沸釜で煮沸された熱麦汁を冷却する冷却器と、
    前記冷却器による冷却後の麦汁に酵母を添加して発酵させる発酵タンクと、
    前記煮沸釜から前記冷却器を介して前記発酵タンクに前記麦汁を圧送する麦汁搬送ラインと、
    前記冷却器の下流側において前記麦汁搬送ライン中の前記麦汁にエアを添加するエアレーション装置と、
    前記麦汁搬送ラインにおける前記エアレーション装置の下流側に設けられ、前記麦汁搬送ラインから前記麦汁の一部を取り出して当該麦汁中の溶存酸素量を測定する溶存酸素量測定装置と、を有し、
    前記溶存酸素量測定装置は、前記麦汁搬送ラインから取り出した麦汁を大気圧下で一旦貯留して液圧を除去するバッファタンクと、前記バッファタンクから送出される麦汁中の溶存酸素量を測定する溶存酸素計と、を備えることを特徴とする麦汁輸送システム。
  2. 前記冷却器の下流側であって前記発酵タンクの上流側には、前記麦汁中の不要物を分離するためのフローテーションタンクが配置され、
    前記エアレーション装置は、前記フローテーションタンクの上流側に配置される1次エアレーション装置と、前記フローテーションタンクの下流側に配置される2次エアレーション装置と、を有し、
    前記溶存酸素量測定装置は、前記1次エアレーション装置の下流側に配置される1次測定装置と、前記2次エアレーション装置の下流側に配置される2次測定装置と、を有することを特徴とする請求項1に記載の麦汁輸送システム。
  3. 前記溶存酸素量測定装置は、前記麦汁搬送ラインと前記バッファタンクを接続し、前記バッファタンクと前記溶存酸素計を接続する接続ラインと、前記バッファタンクに流入する麦汁量を調整する上流側調整弁と、前記バッファタンクから流出する麦汁量とを調整する下流側調整弁とを有し、前記各調整弁の開度を調整してバッファタンク内の麦汁量を略一定に制御することを特徴とする請求項1に記載の麦汁輸送システム。
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