JP2008277173A - 燃料電池発電システム用防振装置 - Google Patents

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末良 水野
Kenzo Tonojo
賢三 殿城
Norihito Togashi
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Abstract

【課題】単純な構造で地震と輸送振動に対する耐性を具備した上で、動作振動数が異なる複数の補機が発生する振動を抑制することが可能な、経済性・信頼性に優れた燃料電池発電システム用防振装置を提供する。
【解決手段】パッケージ床2に設置された弾性体1には振動減衰機能を有するフロート床3が取り付けられており、弾性体1によってフロート床3が支持されている。フロート床3上には補機11、12が一括して配置されている。弾性体1は低周波補機10の振動を低減することを主眼に置いて構成され、フロート床3は高周波補機11の振動を減衰するようにその剛性が設定されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、発電システムを機能させるために必要な流体を搬送するための補機が設けられた燃料電池発電システムに係り、特に、補機に起因する振動を低減させるための燃料電池発電システム用防振装置に関するものである。
燃料電池は、燃料処理装置により生成された水素を燃料とし、これと酸化剤である酸素を電気化学的に反応させて直接電気を取り出すものである。つまり、水素と酸素の結合エネルギを直接電気エネルギに変換するようになっている。このような燃料電池では、化学反応で発電するため、発電効率が高く、汚染物質の排出が少なく、環境性に優れているとして高い評価を得ている。中でも、電解質に固体高分子電解質膜を組み込んだ固体高分子形燃料電池(PEFC)は小型化に適しており、小規模事業用や家庭用として期待されている。
家庭用の燃料電池発電システムは通常、燃料処理装置、燃料電池本体、インバータ、制御装置、熱交換装置やその他のサブシステム機能をコンパクトに纏めたパッケージに収納されている。このパッケージの中には、システムを構成する主機以外にも、発電システムを機能させる流体を搬送するための補機が複数配置されている。
これらの補機は、回転式または往復式の駆動構造を有しており、動作時に振動が発生する。このとき、各補機の動作振動数が互いに異なるので、高周波が発生する場合もあれば、商用周波数近傍の動作周波数を有する比較的低周波が発生する場合もある。このような補機からの発生振動は、補機の支持固定構造を介してパッケージの床面に伝播し、面振動が生じる。その結果、パッケージの床面から騒音を発生することがある。都市部では隣接住宅との距離が近いため、燃料電池発電システムの騒音レベルを極めて低くすることが要求されている。したがって、燃料電池発電システムには、高性能の防振装置を設置することが強く望まれている。
従来の防振装置としては、例えば、特許文献1記載の技術のようにコンプレッサの防振装置がある。この技術では、両端部を密に中間部を粗に巻いた支持スプリングの上端部にてコンプレッサ本体を支持し、さらに、弾性を有するスプリングキャップにて前記支持スプリングの端部を覆うようにしている。このような技術によれば、支持スプリングへの振動伝達が低減すると共に共振振動を抑制し、発生振動を低減することができる。
ところで、防振系の共振周波数以下の領域では防振効果が得られないことが知られている。そこで、共振周波数を低減するために電磁石による非接触支持構成を採用した技術(例えば、特許文献2等)も提案されている。なお、特許文献2の技術では、磁気回路だけではなく、回路駆動用の電源や制御系が設けられている。
特開2004−301035号公報 特開平5−125819号公報
しかしながら、以上の従来技術には次のような課題が指摘されていた。まず、特許文献1に記載された防振装置は単純振動であるコンプレッサの防振を目的としたものである。そのため、動作振動数が互いに異なる補機を複数配置している燃料電池発電システムに適用する場合は、防振効果が十分に得られない。特に、高周波振動を発生する補機に対する防振対策には不向きである
前述したように、隣接住宅との距離が近い都市部では、極低騒音化の要求が強いため、床面騒音の低減が急務となっており、家庭用の燃料電池発電システムでは振動や騒音をいかに抑えるかという点が、コスト低減と共に、普及の鍵を握っていると言っても過言ではない。したがって、燃料電池発電システム用防振装置には極めて高い防振性能が求められている。
また、特許文献2等のように磁気回路を用いる防振装置は、防振装置自体を駆動するための電源が不可欠であり、構造が複雑化し易い。しかも、システム内に複数の補機を配置した場合には磁気回路も大型化する。さらには、制御系を有するのでシステムが高価となっていた。
なお、燃料電池発電システムにおいては、地震の振動や、システムを輸送する際の振動を受けることを想定しておかなくてはならない。これらの振動を受けた場合、共振によりパッケージの内容物が損傷したり、補機に接続した流体搬送管が外れたりするおそれがある。そのため、燃料電池発電システムの防振に関しては、上述した補機の発生振動を抑制するだけではなく、運用時に受ける可能性がある地震の主たる周波数およびトラックに代表される輸送時の振動にも耐えなければならないという課題がある。
本発明は、前述したような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、単純な構造で地震と輸送振動に対する耐性を具備した上で、動作振動数が異なる複数の補機が発生する振動を抑制することが可能な、経済性・信頼性に優れた燃料電池発電システム用防振装置を提供することにある。
上記の目的を達成するために、本発明は、流体搬送用の補機から発生する振動を抑えるための燃料電池発電システム用防振装置において、前記燃料電池発電システムをまとめて収納したパッケージの床面に弾性体を設置し、前記弾性体に振動減衰機能を有するフロート床を取り付けて該弾性体にて前記フロート床を支持し、前記フロート床上に前記補機を一括して配置したことを特徴とするものである。
上記の構成を有する本発明では、パッケージの床面に補機を直接配置するのではなく、振動減衰機能を有するフロート床に補機を一括して配置し、このフロート床を弾性体で支持してパッケージの床面から浮かせている。したがって、高周波振動を発生する補機の振動に関しては、このフロート床で減衰させることができる。また、商用周波数近傍の動作周波数を有する比較的低周波の補機の振動については、フロート床を支持する弾性体で減衰させることが可能である。これにより、広い範囲の動作周波数に対応して、補機の発生振動を抑制可能であり、地震や輸送振動も含めて、パッケージの床面に振動が伝播することを確実に防ぐことができる。
本発明の燃料電池発電システム用防振装置によれば、弾性体で支持したフロート床に補機を一括配置するといった極めて簡単な構成により、地震と輸送振動に対する耐性を確保すると共にフロート床に配置した複数の補機の振動伝播を抑制でき、燃料電池発電システムにおける振動および騒音の低減に寄与することができる。
以下、本発明の実施形態について、図1〜図7を参照して具体的に説明する。下記の実施形態はいずれも、パッケージ20に収納された燃料電池発電システムに用いるものであって、回転式または往復式の駆動構造を有する流体搬送用の補機11、12(便宜上、ここでは2つだけとした)が設けられている。なお、補機11は高周波振動を発生する高周波補機であり、補機12は商用周波数近傍の動作周波数を有する比較的低周波を発生する低周波補機である。
(1)第1の実施形態
[構成]
図1は第1の実施形態の構成図である。図1に示すように、パッケージ20のパッケージ床2には一対の弾性体1が設置されている。弾性体1には振動減衰機能を有するフロート床3が取り付けられており、弾性体1によってフロート床3が支持されている。フロート床3上には補機11、12が一括して配置されている。なお、弾性体1は低周波補機10の振動を低減することを主眼に置いて構成されており、フロート床3は高周波補機11の振動を減衰するようにその剛性が設定されている。
[作用効果]
以上の構成による第1の実施形態によれば、パッケージ床2に補機11、12を直接置いて固定するのではなく、弾性体1によって支持されたフロート床3上に補機11、12の両方を配置しており、補機11、12はパッケージ床2から浮いた状態にある。このとき、高周波補機11から発生する高周波振動はフロート床3で減衰でき、低周波補機10からの低周波振動はフロート床3を支持する弾性体1にて減衰することが可能である。
これにより、パッケージ床2に伝播する補機11、12からの振動を確実に抑制することができ、パッケージ床2の振動により発生する騒音を低減することが可能である。したがって、極低騒音化の要求が高い都市部に採用される燃料電池発電システムに好適であり、家庭用燃料電池発電システムの普及に大きく寄与することができる。
(2)第2の実施形態
[構成]
図2に示す第2の実施形態では、弾性体21に支持されるフロート床30の固有振動数を限定した点に特徴がある。すなわち、弾性体21は、フロート床30の固有振動数が10Hz以上45Hz以下になるように構成されており、このような弾性体21によってフロート床30が支持されている。
[作用効果]
以上のような第2の実施形態によれば、フロート床30の固有振動数を10Hz以上45Hz以下と設定したことで、10Hz未満が主たる振動周期である地震振動より高くし、トラックを用いた輸送中に受ける一般的な振動周波数45Hzよりも低くすることができる。したがって、地震発生時やトラック輸送時でも、共振現象によりフロート床3が過剰に振動することがなく、パッケージ20の内容物が損傷したり、補機11、12に接続した流体搬送管(図2では図示せず)が外れたりするといった被害の心配がない。したがって、高い安全性を維持することができ、信頼性が向上する。
(3)第3の実施形態
[構成]
図3は第3の実施形態の構成図である。図3に示すように、第3の実施形態は、フロート床31が2枚の鋼板3a、3cの間に樹脂板3bを充填した複合板材であることを構成上の特徴としている。
[作用効果]
このような第3の実施形態では、フロート床31を3層の複合板材としたことで、単板の鋼材で構成したフロート床よりも、高い振動減衰効果が得られる。したがって、高周波振動を発生する補機11に起因してフロート床31を伝播する振動を、さらに低減できるといった作用効果がある。
(4)第4の実施形態
[構成]
第4の実施形態は、図4に示すように、フロート床32を、難燃性を有する樹脂材料から構成したことを特徴とする。
[作用効果]
上記第4の実施形態において、難燃性樹脂材料からなるフロート床32を採用したことで、火災に対する安全性を高めることができ、可燃ガスを扱う補機のフロート床としても有効である。また、フロート床32は全体を樹脂材料から構成したので軽量化が容易であり、これを支持する弾性体1への負荷質量も低減することができる。したがって、弾性体1の小型化も実現可能であり、システム全体から見てもコストの削減が可能となる。なお、フロート床32を構成する難燃性樹脂材料に関しては、振動エネルギの損失が大きい材料を用いることにより、高周波補機11の振動伝播をいっそう抑制でき、パッケージ床2方向に放射される直接音に対する遮音性を高めることが可能である。
(5)第5の実施形態
[構成]
図5に示すように、第5の実施形態は、フロート床33が吸音材3dを空隙に充填したハニカムパネルであることを特徴とている。
[作用効果]
このような第5の実施形態では、フロート床33をハニカム構造としたので複数の空隙が存在し、空隙がある分だけ軽量化を進めることができる。したがって、前記第4の実施形態と同様、弾性体1の小型化およびコストの削減が実現できる。しかも、空隙に吸音材3dを充填したので、パッケージ床2方向に放射される直接音に対する遮音性をいっそう向上することができる。さらに、ハニカムパネルであるフロート床33は剛性が高く、固有振動数を高めることができる。そのため、地震と輸送時における共振の防止を容易に図ることが可能である。
(6)第6の実施形態
[構成]
図6に示すように、第6の実施形態では、フロート床3の周辺部にはクッション34が設置されている。クッション34は衝撃吸収用の樹脂材料から構成されている。また、フロート床3周辺部に近接して、フロート床3の水平方向の変位を拘束する拘束壁35が配置されている。拘束壁35はフロート床3と独立しており、外部から水平方向に振動が加わった際、前記クッション34が接触するようになっている。
[作用効果]
以上のような第6の実施形態においては、外的な水平方向振動が加わると、拘束壁35にクッション34が衝突するので、地震や輸送時に過大な振動が発生した場合でも、フロート床3に配置した補機11、12に対し衝撃的な加速度を与えることなく、水平方向の衝撃耐性を高めることができる。
(7)第7の実施形態
[構成]
図7に第7の実施形態の構成図を示す。図7に示すように、第7の実施形態は、フロート床3に配置した補機11、12に接続する流体搬送管について、フレキシブル管15で形成したことに特徴がある。
[作用効果]
以上の第7の実施形態においては、補機11、12に接続したフレキシブル管15がフロート床3の振動振幅を拘束することがない。したがって、フロート床3の拘束を除去することができ、流体搬送管を通じた振動伝播の抑制が可能である。これにより、防振効果をいっそう高めることができる。
(8)第8の実施形態
[構成]
図8に示した第8の実施形態は、前記第7の実施形態に改良を加えたものである。すなわち、フレキシブル管15端部に接続した配管サブシステム16が、フロート床3とパッケージ床2との間の空間36に収納された点に特徴がある。
[作用効果]
上記のような第8の実施形態において、フロート床3の下部には弾性体1の弾性要件から空間36が必ず発生する。そのため、補機11、12に関連する配管サブシステム16を、この空間36に収めることが可能である。したがって、フロート床3上方に配置されるサブシステムを少なくすることができる。その結果、フロート床3は一括して取り出し易くなり、メンテナンス性を向上させることができる。
(9)他の実施形態
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、各部材の構成や配置数、各実施形態の組合せ等は適宜選択自由であり、弾性体およびフロート床の形状や材料、さらには減衰させる周波数の設定等も適宜変更可能である。
例えば、上記第8の実施形態の変形例として、次のような実施形態も包含する。すなわち、補機11、12に接続した流体搬送管がフレキシブル管15ではなく、通常の配管であっても、この配管がフロート床3を貫通して、空間36内の配管サブシステム16につながっているのであれば、フロート床3の振動振幅を拘束することがなく、優れた防振効果を確保することができる。
本発明に係る第1の実施形態の構成図。 本発明に係る第2の実施形態の構成図。 本発明に係る第3の実施形態の構成図。 本発明に係る第4の実施形態の構成図。 本発明に係る第5の実施形態の構成図。 本発明に係る第6の実施形態の構成図。 本発明に係る第7の実施形態の構成図。 本発明に係る第8の実施形態の構成図。
符号の説明
1、21…弾性体
2…パッケージ床
3、30、31、32、33…フロート床
3a、3c…鋼板
3b…樹脂板
3d…吸音材
10…低周波補機
11…高周波補機
15…フレキシブル管
16…配管サブシステム
20…パッケージ
21…拘束壁
35…クッション
36…空間

Claims (8)

  1. 回転式または往復式の駆動構造を有する流体搬送用の補機が複数設けられた燃料電池発電システムに用いる装置であって、前記補機から発生する振動を抑えるための燃料電池発電システム用防振装置において、
    前記燃料電池発電システムをまとめて収納したパッケージの床面に弾性体が設置され、
    前記弾性体には振動減衰機能を有するフロート床が取り付けられて前記弾性体により支持され、
    前記フロート床上に前記補機が一括して配置されたことを特徴とする燃料電池発電システム用防振装置。
  2. 前記フロート床は固有振動数が10Hz以上45Hz以下になるように構成された前記弾性体により前記パッケージの床面に支持されたことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池発電システム用防振装置。
  3. 前記フロート床は複数の鋼板の間に樹脂板を充填した複合板材から構成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池発電システム用防振装置。
  4. 前記フロート床は難燃性の樹脂材料から構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム用防振装置。
  5. 前記フロート床は吸音材を空隙に充填したハニカムパネルから構成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム用防振装置。
  6. 前記フロート床の周辺部に衝撃吸収用樹脂材料が設置され、
    前記フロート床の周辺部に近接して、前記フロート床の水平方の変位を拘束する変位拘束部材が前記衝撃吸収用樹脂材料と衝突可能に配置されたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム用防振装置。
  7. 前記フロート床に配置した前記補機にフレキシブルな流体搬送管が接続されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム用防振装置。
  8. 前記フロート床と前記パッケージ床面との間の空間に、前記燃料電池発電システムに含まれる部材が収納されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料電池発電システム用防振装置。
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