JP2008275755A - 加熱装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 フランジの、フィルム内面との摺動摩擦抵抗を低減し、さらに通紙耐久による摺動摩擦抵抗の増加を抑制する。
【解決手段】 フランジの、フィルムの内面と接触する摺動部面に独立した凹部又は溝を設けることで、潤滑剤を保持し、フィルム内で循環させる。溝は、フィルムの回転方向を0°とした場合、フィルムの長手方向の内面に向かって0°〜45°の直線、又は曲線である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被加熱材を加圧・加熱する加熱装置、及び前記加熱装置を被記録材に形成担持させた未定着像を加熱定着処理する像加熱装置として具備した電子写真装置・静電記録装置等の画像形成装置に関する。
便宜上、複写機・プリンター等の画像形成装置に具備させる、トナー画像を被記録材に加熱定着させる像加熱装置(加熱装置)を例にして説明する。
画像形成装置において、電子写真プロセス・静電記録プロセス・磁気記録プロセス等の適宜の画像形成プロセス手段部で被記録材(転写材シート・エレクトロファックスシート・静電記録紙・OHPシート・印刷用紙・フォーマット紙など)に転写方式あるいは直接方式にて形成担持させた画像情報の未定着画像(トナー画像)を被記録材面に永久固着画像として加熱定着させる加熱装置としては熱ローラ方式の装置が広く用いられていた。近時は、クイックスタートや省エネルギーの観点からフィルム加熱方式の装置が実用化されている。
<フィルム加熱方式>
フィルム加熱方式の加熱装置は、例えば特開昭63−313182号公報・特開平2−157878号公報・特開平4−44075号公報・特開平4−204980号公報等に提案されている。
即ち、加熱体としての一般にセラミックヒータと、加圧部材としての加圧ローラとの間に耐熱性フィルム(定着フィルム、定着ベルト)を挟ませて定着ニップ部を形成させ、前記定着ニップ部の定着フィルムと加圧ローラとの間に定着すべき未定着トナー画像を形成担持させた被記録材を導入して定着フィルムと一緒に挟持搬送させることで、定着ニップ部においてセラミックヒータの熱を定着フィルムを介して被記録材に与え、また定着ニップ部の加圧力にて未定着トナー画像を被記録材面に熱圧定着させるものである。
このフィルム加熱方式の加熱装置は、セラミックヒータ及び定着フィルムとして低熱容量の部材を用いてオンデマンドタイプの装置を構成することができ、画像形成装置の画像形成実行時のみ熱源としてのセラミックヒータに通電して所定の定着温度に発熱させた状態にすればよく、画像形成装置の電源オンから画像形成実行可能状態までの待ち時間が短く(クイックスタート性)・スタンバイ時の消費電力も大幅に小さい(省電力)等の利点がある。
フィルム加熱方式の加熱加熱装置において、回転体としての円筒状もしくはエンドレスフィルム状の定着フィルムの駆動方法としては、定着フィルム内周面を案内するフィルムガイド部材(フィルム支持部材)と加圧ローラとで圧接された定着フィルムを加圧ローラの回転駆動によって従動回転させる方法(加圧ロ−ラ駆動方式)や、逆に駆動ローラとテンションローラによって張架されたエンドレスフィルム状の定着フィルムの駆動によって加圧ロ一ラを従動回転させるもの等がある。
定着フィルム内面とフィルムガイド部材には、定着フィルムとフィルムガイド部材との摩擦による回転トルクの影響を軽減するために、耐熱性グリース等の潤滑剤を介在させる等している。
フィルム加熱方式の装置においては、特開平5ー27619号公報に提案されているように、定着フィルムとフィルムガイド部材との間に潤滑剤(グリース)を介在させることにより定着フィルムとフィルムガイド部材との間の摺動性を確保していた。
特開昭63−313182号公報 特開平2−157878号公報 特開平4−44075号公報 特開平4−204980号公報 特開平5ー27619号公報
上述したようなフィルム加熱方式の加熱加熱装置においては、定着ニップ部で定着フィルム内面とフィルムガイド部材が摺動するために、摺動部面に耐熱グリースを塗布していたが、定着フィルムが回転すると、定着ニップ部形成のための加圧力により潤滑剤が定着フィルムの両端に追いやられてしまい、フランジの突き当て部から潤滑剤が掃き出されて定着フィルム内に殆ど残らくなった。
また、定着フィルムの内面とフランジの摺動部は、一般的に長手のニップ幅には含まれていない部分が多いが、フィルムの回転中は常に接触して摺動しているため、耐久により、室温などの低温時に定着フィルムの内面との摺動部面の密着力が増し、トルクが上昇するため駆動ローラ(駆動モータ)の脱調や、定着フィルムスリップによる定着ジャム等の不具合が発生することがあった。更に、定着フィルムの内面とフランジが接触摺動することで、耐久により定着フィルムの内面が削れて定着フィルム端部の強度が弱くなり、定着フィルムのフランジ突き当て部から亀裂が生じて最終的に破壊してしまうことがあった。
そこで本発明は、定着フィルム加熱方式の加熱装置において、定着フィルム内面とフランジの摺動部面との密着力増大の問題点を解決し、室温などの低温時からの回転起動時のトルクを低く抑えることを目的とする。
本発明は下記の構成を特徴とする加熱装置および画像形成装置である。
(1)加熱部材と、該加熱部材に接触摺動する回転自在なフィルムと、該フィルムを介して前記加熱部材と圧接してニップを形成し回転駆動する加圧回転体と、前記フィルムの移動方向と直交する方向のフィルム端部を規制するフィルム保持部材とを有し、前記定着ニップで未定着トナー像が形成された記録材を挟持搬送して加熱部材の熱で未定着トナー像を定着させる定着手段を有する画像形成装置において、前記フィルム保持部材の、フィルムの内面と接触する摺動部面に、独立した凹部を設けることを特徴とする加熱装置。
(2)前記フィルム保持部材は、前記加熱部材と圧接しないことを特徴とする(1)に記載の加熱装置。
(3)前記凹部を、前記フィルム保持部材の、フィルムの内面と接触する摺動部の面積の20〜60%を占めるように形成したことを特徴とする(1)又は(2)に記載の加熱装置。
(4)前記凹部は、フィルムの移動方向に対して幅0.1〜2.0mm、深さ0.01mm以上であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の加熱装置。
(5)前記フィルムの内部に潤滑剤を介在させる構成において、前記フィルム保持部材の凹部は潤滑剤を保持することを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の加熱装置。
(6)加熱部材と、該加熱部材に接触摺動する回転自在なフィルムと、該フィルムを介して前記加熱部材と圧接してニップを形成し回転駆動する加圧回転体と、前記フィルムの移動方向と直交する方向のフィルム端部を規制するフィルム保持部材とを有し、前記定着ニップで未定着トナー像が形成された記録材を挟持搬送して加熱部材の熱で未定着トナー像を定着させる定着手段を有する画像形成装置において、前記フィルム保持部材の、フィルムの内面と接触する摺動部面に、複数の溝を設けたことを特徴とする加熱装置。
(7)前記フィルム保持部材は、前記加熱部材と圧接しないことを特徴とする(6)に記載の加熱装置。
(8)前記フィルムの回転方向を0°とした場合、前記溝はフィルム長手方向の内面に向かって0°〜45°の直線、又は婉行を成す曲線であることを特徴とする(6)又は(7)に記載の加熱装置。
(9)前記溝を、前記第2部材摺動部の面積の20〜60%を占めるように形成したことを特徴とする(6)乃至(8)に記載の加熱装置。
(10)前記溝は、幅0.1〜1.0mm、溝と溝の距離0.1〜3.0mm、深さ0.01以上であることを特徴とする(6)乃至(9)に記載の加熱装置。
(11)前記フィルムの内部に潤滑剤を介在させる構成において、前記フィルム保持部材の溝は潤滑剤をフィルム内部で循環することを特徴とする(6)乃至(10)のいずれかに記載の加熱装置。
(作用)
即ち、フィルム保持部材の、フィルムの内面と接触する摺動部面に独立した凹部を設けることにより、フィルム保持部材の、フィルム内面との接触面積が少なくなって摺動摩擦抵抗を低減し、さらに通紙耐久による摺動摩擦抵抗の増加を抑制することが出来て装置の長寿命化を図ることができる。よって、被加熱材のスリップを防止できるので、安定した被加熱材の搬送を確保することができ、画像加熱加熱装置にあっては、高品位な画像と安定した被記録材の搬送を確保することが可能となる。
さらに、加熱装置の駆動モータとして、駆動トルクのより小さなものを使用することができるので、製品コストの低減につながる。
また、フィルムの内面に潤滑剤を介在させた場合には、その潤滑剤がフィルム保持部材に設けた複数の独立した凹部内に安定に保持されて、摺動摩擦抵抗の低減効果も長期に渡って維持させることが可能となる。
さらに、フィルムの内面と接触する摺動部面に、フィルムの回転方向を基準として0°〜45°の方向に直線、又は曲線上の溝を設けることにより、潤滑剤を保持させるだけでなく、フィルム内部で循環させることが可能になる。これにより、耐久による摺動摩擦抵抗の低減効果もさらに長期に渡って維持させることが可能となる。
以上説明したように、本発明によれば、例えばフィルム加熱方式の加熱装置のように、加熱部材と、該加熱部材に接触摺動する回転自在なフィルムと、該フィルムを介して前記加熱部材と圧接してニップを形成し回転駆動する加圧回転体と、前記フィルムの移動方向と直交する方向のフィルム端部を規制するフィルム保持部材とを有し、前記定着ニップで未定着トナー像が形成された記録材を挟持搬送して加熱部材の熱で未定着トナー像を定着させる定着手段を有する画像形成装置において、フィルム保持部材の、フィルムの内面と接触する摺動部面に独立した凹部を設けることにより、フィルム保持部材の、フィルム内面との接触面積が少なくなって摺動摩擦抵抗を低減し、さらに通紙耐久による摺動摩擦抵抗の増加を抑制することが出来て装置の長寿命化を図ることができる。よって、被加熱材のスリップを防止できるので、安定した被加熱材の搬送を確保することができ、画像加熱加熱装置にあっては、高品位な画像と安定した被記録材の搬送を確保することが可能となる。
さらに、加熱装置の駆動モータとして、駆動トルクのより小さなものを使用することができるので、製品コストの低減につながる。
また、フィルムの内面に潤滑剤を介在させた場合には、その潤滑剤がフィルム保持部材に設けた複数の独立した凹部内に安定に保持されて、摺動摩擦抵抗の低減効果も長期に渡って維持させることが可能となる。
さらに、フィルムの内面と接触する摺動部面に、フィルムの回転方向を基準として0°〜45°の方向に直線、又は曲線上の溝を設けることにより、潤滑剤を保持させるだけでなく、フィルム内部で循環させることが可能になる。これにより、耐久による摺動摩擦抵抗の低減効果もさらに長期に渡って維持させることが可能となる。
<第1の実施形態例>
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
(1)画像形成装置例
図2は本実施例における電子写真方式のレーザービームプリンターの構成を示す概略図である。同図において、3は露光手段たるレーザースキャナーであり、不図示のホストコンピュータより送られた画像情報信号に基づき該スキャナー3によりレーザー光Lの強度を変調し、帯電手段たる帯電ローラ2によりその表面を一様に帯電された像担持体たる感光ドラム1上に照射して静電潜像を形成している。
この静電潜像は、感光ドラム1の矢印方向の回転により、現像装置4と感光ドラム1との対向部へと搬送され、該現像装置4によって順次現像される。
そして、現像されたトナー像は、記録材供給手段たる給紙装置5から転写部位Tに送られてきた記録材たるコピー用紙Pに転写ローラ6によって順次転写される。
トナー像を転写された用紙は感光ドラム1の回転と共に分離され、加熱装置7へと送り出される。
(2)加熱装置7
そして、以上のような本実施例における加熱装置7は、以下のように構成されており、ニップ内の圧を確保して定着性を上げている。以下、本実施例における加熱装置7の構成について説明する。
該加熱装置7は、フィルム加熱方式、加圧回転体駆動方式の所謂テンションレスタイプであり、図3、図4は、それぞれ本発明に係る加熱装置の横断面図と縦断面図を示している。加熱装置7には、耐熱性・剛性を有するフィルム内面ガイド部材21と、このフィルム内面ガイド部材21の下面に、該部材の長手に沿って設けた凹溝部に嵌め入れて固定された、通電により発熱するヒータ22がある。ヒータ22は例えば所謂セラミックヒータ等である。そして、ヒータ22が嵌め込まれたフィルム内面ガイド部材21には、外周長が約57mmで円筒型の耐熱性樹脂製の定着フィルム23がルーズに外嵌されている。定着フィルム23は例えばポリイミド等の耐熱性樹脂製である。定着フィルム23の内周長は、ヒータ22を含むフィルム内面ガイド部材21の外周長より3mm大きくしてあり、従って、フィルム23はヒータ22を含むフィルム内面ガイド部材21に対して周長に余裕を持たせてルーズに外嵌されている。20はフィルム保持部材としてのフランジであり、フィルム内面ガイド部材21の長手方向両端部側に装着されてフィルム23の両端部を規制する役目をする。即ち、フィルム23の長手方向への移動を規制する規制部材である。詳細については後で説明する。上記の部材20〜23等で加熱部材が構成されている。
24は加圧回転体としての加圧ローラ(圧接ローラ、駆動ローラ)であり、この加圧ローラ24とヒータ22を含むフィルム内面ガイド部材21との間にフィルム23が挟まれている。加圧ローラ24は、芯金25と、該芯金上に同心一体に形成具備されたシリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱性ゴムあるいはシリコーンゴム等を発泡して形成された弾性層とから成る回転体である。
27は加熱装置7の筐体であり、この筐体間に加圧ローラ24や加熱部材を装着して保持させている。即ち筐体27に設けた嵌合用溝に、PEEK、PPS、液晶ポリマー等の耐熱性樹脂よりなる軸受け部材26が装着され、該軸受け26に加圧ローラ24の芯金25の両端部を嵌合させることで、加圧ローラ24を回転自由に軸受け保持させて配設してある。
加熱部材は、フランジ20に具備させた保持筐体嵌合部20aを筐体27の嵌合用溝に係合させて加圧ローラ24の上側に配置してある。そして、加熱部材の両端部においてフィルム内面ガイド部材21に装着してあるフランジ20の上に加圧用板金30を設置し、この加圧用板金30と不動のバネ引掛け部材29との間に加圧バネ28を引掛けることで定着部材を所定の加圧力を持って押圧させて所定幅の定着ニップNを形成させている。
加圧ローラ24は、不図示の回転制御手段により所定の周速度で回転駆動される。この加圧ローラ24の回転駆動による該加圧ローラ24の外面とフィルム23との、定着ニップ部Nにおける圧接摩擦力により円筒状のフィルム23に回転力が作用して、該フィルム23が、その内面側がヒータ22の下向き面に密着して摺動しながらフィルム内面ガイド部材21の外周を従動回転する。
加圧ローラ24が回転駆動され、それに伴って円筒状のフィルム23が従動回転状態になり、またヒータ22に通電がなされ、該ヒータ22が昇温して所定の温度に立ち上がり温調された状態において、定着ニップ部Nのフィルム23と加圧ローラ24との間に未定着トナー像を担持した記録材Pが導入され、定着ニップ部Nにおいて記録材Pのトナー像担持面側がフィルム23の外面に密着してフィルム23と一緒に定着ニップ部Nを挟持搬送されていく。この挟持搬送過程において、ヒータ22の熱がフィルム23を介して記録材Pに付与され、記録材P上の未定着トナー像tが記録材P上に加熱・加圧されて溶融定着される。定着ニップ部Nを通過した記録材Pはフィルム23から曲率分離される。
(3)フランジ20
本実施例においては、フィルム内面とフランジ20の摺動部面との相互摺動摩擦力を低減化させるために、図5のように、独立した凹部を複数個設けた構成にしてある。
本実施例において、個々の凹部はφ0.5mm、深さ0.1mmの凹形状部である。凹部はφ0.1〜2.0mm、深さ0.01mm以上で、凹部の総面積がフィルム内面と摺動する面積の20〜60%となるように進行方向(周方向)に一定の間隔をもって形成するとよい。凹部の中心間のピッチは任意で良いが、フィルム23の進行方向に対して、必ず凹部が存在するように配設することが好ましい。本発明では凹部の面積の算出方法として、凹部の深さの1/2の位置における投影面積を凹部の面積とする。
定着ニップ部N内で、長手に対する凹部の配列はニップ幅内で凹部が必ず存在するように配列するとよい。
比較例として、長手に連続する凹部を設けた場合、凹部のエッジ部に線状に加圧力が集中するためトルク上昇の原因となった。本例のように格子点上に凹部を配置することで、凹部のエッジ部への加圧力は分散し、トルクの上昇をさせることなく、フィルム内面とフランジ20の摺動部面との接触面積を減少させることができ、密着力を減少させることができる。このため、凹部がない構成と比較して室温などの低温時からの回転起動時のトルクを低く抑えることができる。
図6はフランジ20の平面部20bと凹部の接続部の一形態である。(b)に示すように、フランジ20の平面部20bと凹部は曲面で連続的に接続するとさらによい。曲面で接続することによりフィルム23との接触部における摺動摩擦力の低下を図ることができるとともに、凹部のエッジがフィルム内面を傷つけることを防止することができる。
また、凹部には潤滑剤を保持する効果がある。従来のように凹部がない場合、フィルム23が回転すると、定着ニップ部形成のための加圧力により、潤滑剤がフィルム23の両端に追いやられてしまい、フランジ20の突き当て部から掃き出されてフィルム内に殆ど残らなかった。しかし、凹部があることで潤滑剤がこの凹部に保持されるので、フィルム内面とフランジ20の摺動部面との相互摺動摩擦力のさらなる低減を図ることができる。したがって、耐久によるトルクアップを防止することができ、駆動ローラ(駆動モータ)の脱調や、定着ジャム等の不具合の発生することなく、装置を高寿命化することが可能となる。
なお、凹部の形状や総面積比率等は、加圧力や定着フィルム23、フランジ20の材質等によって適宜決定されるものとする。
本例の効果の確認として、本例の加熱装置7を用いて、A4用紙5000枚ごとに室温時の回転起動トルクの測定を行った。定着ニップ部Nには13.5kgfで加圧し、ニップ幅は約7mmを確保した。
比較例(従来例)として、フランジ20の摺動部面に凹部を設けていないものを用いた場合の回転起動トルクを測定した。
従来の凹部を設けていないフランジ20では、初期の回転起動トルク(駆動口一ラとしての加圧ローラ24の軸におけるトルク)が2.0kgf・cmであったものが、5万枚通紙あたりから回転起動トルクの上昇率が大きくなり、10万枚を越えると3.0kgf・cm以上となって、加圧ローラ24の脱調等が発生するようになった。
これに対し、本例のようにフランジ20の摺動部面に凹部41を設けた場合、初期の回転起動トルクは1.8kgf・cmで、従来よりもトルクが低い結果が得られ、5万枚通紙時点でも2.2kgf・cmを維持し、20万枚通紙した時点でも2.7kgf・cm以下を維持することができた。
<第2の実施形態例>
本実施形態例は、上記の第1の実施形態例において、フランジ20の摺動部面に設ける凹部の形状を図7のように水滴型で、その水滴型の円弧形状側が定着ニップ部Nにおけるフィルム23の進行方向に対して上流側になるように配設したものである。水滴型の凹部はフィルム23の進行方向に対して最も摺動抵抗が小さい形状であるため、第1の実施形態例よりも摺動抵抗を小さくすることができるので、起動時と定常回転時の回転トルクをさらに下げることができた。
その他の装置構成等は第1の実施形態例の加熱装置7と同様であるので再度の説明は省略する。
<第3の実施形態例>
本実施例においては、フランジ20の摺動部面に潤滑剤を保持させるだけでなく、フィルム内で潤滑剤を循環させる為に、フランジ20に図1のような直線、或いは曲線上の溝を設ける構成をとっている。ここでは(b)の曲線上の構成を用いる。
まず、フィルム回転方向に主軸となる溝m1を設ける。そして、この方向を0°とした時に、溝m1からフィルム内面方向に向かって40°の方向に婉行を成す曲線上の溝m2を設ける。m3は、主軸となる溝m1からではなく、フィルム周方向の上流側の辺からm2同様の婉行を成す曲線上の溝である。個々の溝は幅0.5mm、深さ0.1mmとしている。
溝は幅0.1〜1.0mm、深さ0.01mm以上で、溝と溝との間の距離は0.1〜3.0mmがよい。また、フィルム回転方向を0°とした場合、溝の向きはフィルム長手方向の内面に向かって0°〜45°がよい。45°以上になると潤滑剤の保持力はあるものの、フィルム内で潤滑剤が循環しづらくなってしまう。また、溝の総面積はフィルム内面と摺動する面積の20〜60%となるように進行方向に一定の間隔をもって形成するとよい。本発明では溝の面積の算出方法として、溝の深さの1/2の位置における投影面積を溝の面積とする。
溝の断面は、第1の実施形態例と同様に、図6ような曲面接続の構成となっている。これにより、フィルム23との接触部における摺動摩擦力の低下を図ることができるとともに、溝のエッジがフィルム内面を傷つけることを防止することができる。
本実施例で用いる溝には、潤滑剤を保持するだけでなく、フィルム端部に追いやられた潤滑剤をフィルム長手方向の内面側に戻して循環させる効果がある。第1の実施形態例の構成では、凹部に潤滑剤を保持させることで、フィルム内面とフランジ20の摺動部面との相互摺動摩擦力の低減を図ることができたが、本実施例のように、フィルムの回転方向に対して、0°〜45°の点と点を結ぶ直線、または曲線上の溝mを複数個設けた構成にすることで、相互摺動摩擦力を低減するだけでなく、回転中フィルム端部から掃き出されそうになった潤滑剤を、フィルム長手方向の内面側に戻してやる効果もある。これにより、ニップ圧のかかっているフィルム長手方向内面側と、ニップ圧のかかっていない端部側とで潤滑剤が循環されることになり、常に安定して低いトルクを保つことが出来るようになる。
なお、溝の形状や総面積比率等は、加圧力や定着フィルム23、フランジ20の材質等によって適宜決定されるものとする。
本例の効果の確認として、第1の実施形態例と同じ加熱装置7を用いて、A4用紙5000枚ごとに室温時の回転起動トルクの測定を行ったところ、初期の回転起動トルクは1.8kgf・cmで、表面に凹みを入れたときと同じであったのに対し、5万枚通紙時点では2.0kgf・cm、20万枚通紙した時点では2.4kgf・cm以下を維持することができた。
ここで、第1〜第3の実施形態例において、摺動部材40の面に対する凹部41や溝42は従動部材上に切削して形成したり、凹部以外または溝以外の部分にマスキングをしサンドブラストで形成することもできる。また摺動部材の成型時に凹部または溝を型で成形することも可能である。また、スクリーン印刷により耐熱基板上に凹部以外または溝以外の部分を形成することも可能である。この場合、ガラスなどの材料が有効である。
実施例3におけるフランジの概略構成図 実施例1〜3における画像形成装置の概略構成図 実施例1〜3における加熱装置の横断面図 実施例1〜3における加熱装置の縦断面図 実施例1におけるフランジの概略構成図 実施例1〜3におけるフランジの平面部と凹部の接続断面図 実施例2のフランジ摺動面の概略構成図
符号の説明
1 感光ドラム
2 帯電ローラ
3 レーザースキャナー
4 現像装置
5 給紙装置
6 転写ローラ
7 加熱装置
20 フランジ
21 フィルム内面ガイド部材
22 ヒータ
23 フィルム
24 加圧ローラ
25 加圧ローラ芯金
26 軸受け
27 筐体
28 加圧バネ
29 バネ引掛け部材
30 加圧用板金

Claims (11)

  1. 加熱部材と、該加熱部材に接触摺動する回転自在なフィルムと、該フィルムを介して前記加熱部材と圧接してニップを形成し回転駆動する加圧回転体と、前記フィルムの移動方向と直交する方向のフィルム端部を規制するフィルム保持部材とを有し、前記定着ニップで未定着トナー像が形成された記録材を挟持搬送して加熱部材の熱で未定着トナー像を定着させる定着手段を有する画像形成装置において、
    前記フィルム保持部材の、フィルムの内面と接触する摺動部面に、独立した凹部を設けることを特徴とする加熱装置。
  2. 前記フィルム保持部材は、前記加熱部材と圧接しないことを特徴とする請求項1記載の加熱装置。
  3. 前記凹部を、前記フィルム保持部材の、フィルムの内面と接触する摺動部の面積の20%以上60%以下を占めるように形成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱装置。
  4. 前記凹部は、フィルムの移動方向に対して幅0.1mm以上2.0mm以下、深さ0.01mm以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の加熱装置。
  5. 前記フィルムの内部に潤滑剤を介在させる構成において、前記フィルム保持部材の凹部は潤滑剤を保持することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の加熱装置。
  6. 加熱部材と、該加熱部材に接触摺動する回転自在なフィルムと、該フィルムを介して前記加熱部材と圧接してニップを形成し回転駆動する加圧回転体と、前記フィルムの移動方向と直交する方向のフィルム端部を規制するフィルム保持部材とを有し、前記定着ニップで未定着トナー像が形成された記録材を挟持搬送して加熱部材の熱で未定着トナー像を定着させる定着手段を有する画像形成装置において、
    前記フィルム保持部材の、フィルムの内面と接触する摺動部面に、複数の溝を設けたことを特徴とする加熱装置。
  7. 前記フィルム保持部材は、前記加熱部材と圧接しないことを特徴とする請求項6記載の加熱装置。
  8. 前記フィルムの回転方向を0°とした場合、前記溝はフィルム長手方向の内面に向かって0°以上45°以下の直線、又は婉行を成す曲線であることを特徴とする請求項6又は7に記載の加熱装置。
  9. 前記溝を、前記第2部材摺動部の面積の20%以上60%以下を占めるように形成したことを特徴とする請求項6乃至8に記載の加熱装置。
  10. 前記溝は、幅0.1mm以上1.0mm以下、溝と溝の距離0.1mm以上3.0mm以下、深さ0.01以上であることを特徴とする請求項6乃至9に記載の加熱装置。
  11. 前記フィルムの内部に潤滑剤を介在させる構成において、前記フィルム保持部材の溝は潤滑剤をフィルム内部で循環することを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の加熱装置。
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