JP2008275074A - 環状部材の圧入固定方法及びモータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】環状部材(10)は、被圧入部材(8)の熱膨張率よりも大きい熱膨張率の材料で形成され、被圧入部材は、圧入する穴の内周面(8d1)に、開口側から順に圧入部(ANB)及び環状部材の外周面(8d1)と間隙をもって対向する対向部(KTB)を有すると共に、対向部はそこで最小径なる頂部(TB)を有して圧入部からその頂部までの第1対向部(KT1)と、頂部に対して圧入部と反対側の第2対向部(KT2)とを備え、圧入固定工程は、第1対向部に加熱硬化型接着剤(17)を塗布する接着剤塗布工程と、環状部材をその外周面(10d)が第2対向部と対向するように穴に圧入する圧入工程と、接着剤を硬化させる加熱工程と、を有する。
【選択図】図3
Description
この併用は、環状部材が薄い場合には、相手部材との圧入深さが短くなるために、特に有効である。
例えば、環状部材がHDD(ハードディスクドライブ)などに用いられるモータの軸受部材である場合には、薄肉化に加えて外部からの衝撃に耐える固定強度が要求されるので、この方式が多用される。
その例として、特許文献1に、環状部材としての軸受部材であるスラストリングがハブフランジ部に圧入されるモータが記載されている。
しかしながら、前者の場合には環状部材や被圧入部材が変形してモータの性能が低下し、後者の場合には、例えばYAGレーザなどを用いたスポット溶接時には、部材を融解するため温度が300℃近くまで上昇するため、嵌め合い部材の寸法変化や熱膨張により所定の位置へ正しく固着できない可能性があり、また、溶接時のスパッタなどが軸受部材に付着する可能性もある。
溶接においては、部材は昇温された後に急激に冷却される。そのため急激な冷却時の収縮により、部材が傾いて取り付いてしまう可能性がありスラストリング(軸受)の取り付けには不向きである。
さらには、溶接痕から発塵してモータやハードディスクに悪影響を及ぼす可能性が高くなるので、方法として好ましくない。
そのため、モータの軸受部材として環状部材を圧入固定する場合には、圧入は軽度(圧入しろが小さい)にして接着剤を併用する方法が行われている。
例えば、図13(a)に示すように、被圧入部材101の孔101aに環状部材102を圧入固定する場合に、被圧入部材101と直接接触している圧入方向ADに沿う長さAN(以下、圧入深さANとも称する)を長くすることが困難になり、所定の強度を得るためには接着剤103を併用することが必要である。
また、図13(b)に示されるような、両部材101,102の端面が揃うように圧入固定する場合には、接着剤103端面からはみ出て盛り上がってしまう。また、接着剤103の粘度が小さい場合には、硬化前に図中の矢印で示すように外側や内側に流れてしまう場合もある。
環状部材が軸受部材である場合、この接着剤103が他の部位に流れると、軸受のロック現象が引き起こされる可能性が高い。
これは、特にモータの軸受部材に関して重要であるが、他の環状部材が薄肉である場合の圧入固定においても、併用した接着剤が外部にはみ出して盛り上がることなく、他の部位に流れていくことなく、高い強度で固定できることは、外観品位が向上することも相まって強く望まれるところである。
また、モータの軸受である場合に、それが薄肉化しても、併用した接着剤がはみ出すことなく、他の部位に流れていくことなく、高い強度で他の軸受部材に対して圧入固定ができる、モータを提供することにある。
1) 環状部材(10)を、被圧入部材(8)に開口した穴に圧入して固定する環状部材の圧入固定方法において、
前記環状部材(10)は、前記被圧入部材(8)の熱膨張率よりも大きい熱膨張率を有する材料で形成され、
前記被圧入部材(8)は、その前記穴の内周面(8d1)に、前記開口した側から順に、前記環状部材(10)と直接接触する圧入部(ANB)及び前記環状部材(8)の外周面(8d1)と間隙をもって対向する対向部(KTB)を,有すると共に、該対向部(KTB)は、その対向部(KTB)で最小径となる頂部(TB)を有して前記圧入部(ANB)から前記頂部(TB)までの第1対向部(KT1)と、該頂部(TB)に対して前記圧入部(ANB)と反対側の第2対向部(KT2)とを備え、
前記第1の対向部(KT1)に加熱硬化型接着剤(17)を塗布する接着剤塗布工程と、
前記環状部材(10)を、該環状部材(10)の外周面(10d)が前記第2対向部(KT2)と対向するように前記穴に圧入する圧入工程と、
前記接着剤(17)を加熱して硬化させる加熱硬化工程と、を有することを特徴とする環状部材の圧入固定方法である。
2) 前記加熱硬化工程は、前記第1対向部(KT1)に塗布された前記接着剤(17)を前記第2対向部(KT2)まで広げて硬化させることを特徴とする1)に記載の環状部材の圧入固定方法である。
3) 環状部材(72)を、被圧入部材(71)に開口した穴(71a)に圧入して固定する環状部材の圧入固定方法において、
前記環状部材(72)は、前記被圧入部材(71)の熱膨張率よりも大きい熱膨張率を有する材料で形成され、
前記被圧入部材(71)は、その前記穴の内周面(71b)に、前記開口した側から順に、前記環状部材(72)と直接接触する圧入部(ANB),前記環状部材(72)の外周面(72a)と第1の間隙(d2)で対向する第1対向部(KT1),及び該第1の間隙(d2)よりも狭い第2の間隙(d1)で対向する第2対向部(KT2)を,有しており、
前記第1の対向部(KT1)に加熱硬化型接着剤(73)を塗布する接着剤塗布工程と、
前記環状部材(72)を、該環状部材(72)の外周面(72a)が前記第2対向部(KT2)と対向するように前記穴(71a)に圧入する圧入工程と、
前記接着剤(73)を加熱して硬化させる加熱硬化工程と、を有することを特徴とする環状部材の圧入固定方法である。
4) 前記加熱硬化工程は、前記第1対向部(KT1)に塗布された前記接着剤(73)を前記第2対向部(KT2)まで広げて硬化させることを特徴とする3)に記載の環状部材の圧入固定方法である。
5) 周壁部(8d)を有するハブ(8),及び前記周壁部(8d)の内面(8d1)に圧入固定されたスラストリング(10)を有するロータ(R)と、
一端側にフランジ部(4a)を有するスリーブ(4),該スリーブ(4)の外周部に固定されたハウジング(3),及び該ハウジング(3)を固定したベース(2)を有するステータ(S)と、
前記ハブ(8)に固定されたシャフト(1)と、を備え、
前記シャフト(1)を前記スリーブ(4)で軸支すると共に、前記フランジ部(4a)と前記ハウジング(3)の端部(3a)とで前記スラストリング(10)を挟んだスラスト動圧軸受(SB1,SB2)が構成されて、前記ロータ(R)が前記ステータ(S)に対して回転自在に支持されたモータにおいて、
前記スラストリング(10)は、前記ハブ(8)の熱膨張率よりも大きい熱膨張率を有する材料で形成されており、
前記スラストリング(10)の外周面(10d)と対向する前記周壁部(8d)の外周面(8d1)は、前記ハウジング(3)側から順に、前記スラストリング(10)と直接接触する圧入部(ANB)及び前記スラストリング(10)の外周面(10d)と間隙をもって対向する対向部(KTB)を,有すると共に、該対向部(KTB)は、その対向部(KTB)で最小径となる頂部(TB)を有して前記圧入部(ANB)から前記頂部(TB)までの第1対向部(KT1)と、該頂部(TB)に対して前記圧入部(ANB)と反対側の第2対向部(TK2)と、を備え、
前記第1の対向部(KT1)から前記第2対向部(KT2)にわたって加熱硬化型接着剤(17)で固定されていることを特徴とするモータ(50)である。
6) 周壁部(8d)を有するハブ(8),及び前記周壁部(8d)の内面(8d1)に圧入固定されたスラストリング(10)を有するロータ(R)と、
一端側にフランジ部(4a)を有するスリーブ(4),該スリーブ(4)の外周部に固定されたハウジング(3),及び該ハウジング(3)を固定したベース(2)を有するステータ(S)と、
前記ハブ(10)に固定されたシャフト(1)と、を備え、
前記シャフト(1)を前記スリーブ(4)で軸支すると共に、前記フランジ部(4a)と前記ハウジング(3)の端部(3a)とで前記スラストリング(10)を挟んだスラスト動圧軸受(SB1,SB2)が構成されて、前記ロータ(R)が前記ステータ(S)に対して回転自在に支持されたモータにおいて、
前記スラストリング(10)は、前記ハブ(8)の熱膨張率よりも大きい熱膨張率を有する材料で形成されており、
前記スラストリング(10)の外周面(10d)と対向する前記周壁部(8d)の外周面(8d1)は、前記ハウジング(3)側から順に、前記スラストリング(10)と直接接触する圧入部(ANB),前記スラストリング(10)の外周面(10d)と第1の間隙(d2)で対向する第1対向部(KT1),及び該第1の間隙(d2)よりも狭い第2の間隙(d1)で対向する第2対向部(KT2)を,有し、
前記第1の対向部(KT1)から前記第2対向部(KT2)にわたって加熱硬化型接着剤(17)で固定されていることを特徴とするモータ(50)である。
また、環状部材がモータの軸受部材である場合に、それが薄肉化しても、併用した接着剤がはみ出すことなく、他の部位に流れていくことなく、高い強度で他の軸受部材に圧入固定ができる、という効果を奏する。
という効果を奏する。
このモータ50は、半断面を図1に示すように、ロータRと、ステータSとロータRに固定されたシャフト1とを有し、このシャフト1がラジアル及びスラスト動圧軸受RB1,RB2,SB1,SB2に支持されて、ロータRがステータSに対して回転自在に支持されるよう構成されている。
シャフト1と貫通孔4bの内周面4b1との間には、潤滑剤12が充填されている。
また、その一端面10aは、ハブ8の内面8fの一部が図2の下方側に突出して形成された段部8gに当接して、スラストリング10の軸CL方向の位置が規定されている。
一方、シャフト1の端面1bとスリーブ4の端面4cとを覆うように、シールプレート13が、ハウジング3の端部3dに取り付けられている。
スラスト動圧溝14aと、これに対向するフランジ部4aの他端面4a2と、両者の間に充填された潤滑剤12と、により、スラスト動圧軸受部SB1が構成され、スラスト動圧溝14bと、これに対向するハウジング3の一端面3aと、両者の間に充填された潤滑剤12と、により、スラスト動圧軸受部SB2が構成されている。
このテーパシール部TSにより、ロータRの回転に伴い、潤滑剤12を奥側に向かわせるような遠心力が発生するので、潤滑剤12の外部への漏出が防止される。
また、このモータ50において、ハードディスク(図示せず)は、ハブ8のフランジ部8e上に載置され、さらに図示しないクランパで固定される。
従って、動圧軸受としての性能を十分に発揮させるために、スラストリング10の変形は可能な限り避けなければならず、そのため、ハブ8への圧入も、その圧入しろをかなり小さくして行なっている。例えば、スラストリング10の外径φ6.6mmに対して圧入しろは約5μmである
この近接対向部KTBは、軸CL方向の中央部に、最も小径となる頂部TBを有して内側にわずかに突出するように形成されている。
d1=60μm
d2=70μm
である。この例に対しては、図3は理解容易のために誇張されている。
具体的例として、以下の組み合わせがある。
スラストリング:SUS303(熱膨張係数:17.2×10-6 /℃)
ハブ:SUS430(熱膨張係数:10.6×10-6 /℃)
これについて、モータの組み立て工程に沿って以下に説明する。
軸受ユニットの組み立てについて、図4及び図5を用いて説明する。
次に、エポキシ系接着剤15をスリーブ4の端面4c近くの外周面に、周状に塗布し、ハウジング3を装着する。ハウジング3の内径とスリーブ4の外径との隙間は、極めて小さく設定されているので、これにより、ハウジング3の内周面3cのほぼ全面にエポキシ系接着剤15がのばされる。
ハウジング3の端部3dに、シールプレート13を載置し、両者の境界部分にエポキシ系接着剤16を塗布する(図5参照)。そして、この状態で加熱し、エポキシ系接着剤を硬化させる。
以上により、軸受ユニットJUは組み立てられる。
次にロータRの組み立てについて説明する。
このハブ−シャフト組立体HSTに対して軸受ユニットJUを取り付ける。この取り付け工程は、常温下で行われる。
具体的には、図8(a)及び図8(b)に示すように、予めハブ8の内周面8d1における、第1対向部KT1の圧入部ANB側に、接着剤17を一周にわたり塗布しておく。
接着剤17はエポキシ系の加熱硬化型を用いることができ、例えば、Epoxy Technology社製の光学接着剤353ND(粘度:5000cPs)である。
この粘度においては、接着剤17は、圧入部ANBよりも内側に盛り上がって塗布される。
さらに挿着を進め、スラストリング10の一端面10a(スラストリング10における挿着方向の先頭面)がハブ8の段部8gに当接するまで、スラストリング10の外周面10dをスリーブ4の圧入部ANBに圧入する(図9参照)。
この圧入に伴い、あらかじめ塗布された接着剤17は、圧入部ANBよりも内側に盛り上がった部分が削がれて頂部TBに向けて伸延され、第1対向部KT1とスリーブ4との間の間隙にほぼ充填される。その際、接着剤17の一部が頂部TBを乗り越えても支障はない。
この図10において、接着剤17は、第1対向部KT1に充填されており、一部が頂部TBを越え第2対向部KT2側に侵入している場合もある。
この加熱硬化工程は、上述した接着剤353ND、90℃で1時間以上である。
従って、スラストリング10の外周面10dとハブ8の近接対向部KTBとの間隙は、高温放置状態では常温時よりも狭くなっている。
そのため、頂部TBとその近傍における毛細管現象も加わり、第1対向部KT1の接着剤17は、頂部TBを越えて第2対向部KT2側に移動し、接着剤17の充填範囲、すなわち、スラストリング10及びハブ8との接触範囲が増加する。
この接触範囲が増加した状態で接着剤17は硬化するので、接着面積が増加してスラストリング10とハブ8との固定強度が向上する。
これにより、塗布された接着剤17が圧入に伴って近接対向部KTB外にはみ出してしまうことを防止でき、このはみ出しがないことから塗布量を必要最小限にすることができる。
従って、接着剤17のはみだしに伴う軸受の不具合発生を防止すると共に、接着剤が無駄に消費されるのを防止することができる。
接着剤17がスラストリング10及びハブ8に接触している接触範囲の軸CL方向長さはL17aである。
また、近接対向部KTBとスラストリング10の外周面10dとの距離はdm1aである。
上述したように、熱膨張係数の差により、距離dm1aが縮まり、距離dm1bとなっている。これにより、図11(a)で網掛けで示す範囲V1の接着剤17はクロスハッチングで示す範囲V2に移行し、接着剤17の接触範囲はL17bに拡大する。
この場合、接着剤17がスラストリング10及びハブに接触している接触範囲の軸CL方向長さはL17aである。
また、近接対向部KTBは、第1対向部KT1及び頂部TBを含む第2対向部TK2の2つの領域を有している。
第1対向部KT1とスラストリング10の外周面10dとの距離はdm1aである。
頂部TBと第2対向部とは、理解容易のため、軸CLに対して同一径として示してあり、外周面10dとの間隙はdm2である。
また、理想形態として、第1対向部KT1と外周面10dとの間隙に接着剤17がほぼ充填されているものとする。
この場合も同様に、熱膨張係数の差により、距離dm1aが縮まり、距離dm1bとなっている。これにより、図11(d)において網掛けで示す範囲V1の接着剤17はクロスハッチングで示す範囲V3に移行し、接着剤17の接触範囲はL17dに拡大する。
ここで、この接着剤が移行する部分には、外周面10dにより接近した頂部TB及び第2対向部KTが設けられているので、範囲V1の接着剤17が移行するとその接触範囲はL17bよりも長いL17dとなる。
このL17dは、V1=L17a×(dm1a−dm1b)であることから、
L17d=V1/dm2b と表される。
従って、頂部TBを設け、第1対向部KT1において昇温により狭くなった間隙分の接着剤17を、この頂部TBと外周面10dとの間隙に移行させることで、接着範囲を広くすることができる。
・スラストリングの外径:6.595mm
・第1対向部KT1の内径:6.655mm
・dm1a=60μm,dm2a=15μm,L17a=0.2mm とし、
スラストリング:SUS303(熱膨張係数:17.2×10-6 /℃)
ハブ:SUS430(熱膨張係数:10.6×10-6 /℃)
とした場合、常温の20℃から硬化過程の90℃に70℃昇温することで、
スラストリングの外周面10dの半径は、
(6.595/2)×17.2×10-6×70=0.0040mm 増加して、
3.302mmとなる。
第1対向部KT1の内径は、
(6.655/2)×10.6×10-6×70=0.0027mm 増加して、
3.330mmとなる。
ここで、L17aが0.2mmであるから、
頂部TB及び第2対向部KT2がない場合は、
0.2×0.0013/(3.330−3.302)=0.0093mm
接着剤の軸方向接触範囲が拡大する。
ΔL=0.2×0.0013/0.015=0.0173mm 拡大する。
(0.2+0.0173)/(0.2+0.0093)=1.038 倍
すなわち、3.8%拡大することがわかる。
Δh=2σ・COSθ/ρg(r0−r1) ・・・(式1)
ただし、Δh:液面の変化量,σ:表面張力係数,θ:接触角,ρ:接着剤密度,r0:頂部または第2対向部KT2径,r1:外周面10d径 である。
具体的な数値例で説明すると、上述したように、スラストリング:SUS303(熱膨張係数:17.2×10-6 /℃),ハブ:SUS430(熱膨張係数:10.6×10-6 /℃)で約φ6.6mmの嵌めあい部品であって、例えば90℃において、嵌め合い部品間の隙間が5μmから3μmに減少したとすると、式(1)から、
すなわち、90℃における表面張力による接着剤界面の上昇距離は、接着剤充填時(常温下)における表面張力による界面の上昇距離の1.5倍に増加する。
図12に、この例を示す。各部材や接着剤の種類は実施例で説明したものである。
貫通孔71aの内周面71bにおける、環状部材72の外周面72aと対向する範囲には、貫通孔71aの開口部側から、環状部材82と直接接触して圧入される圧入部ANB,環状部材72の外周面72aに対して、距離d2を隔てた内周面を有して対向する第1対向部KT1,外周面72aに対して、距離d2よりも短い距離d1を隔てた対向面を有して対向する第2対向部KT2,第2対向部KT2から深さd3でえぐられた凹部KT3とが形成されている。
上述したように、熱膨張係数の違いから両部材の隙間が減少すると共に減少して狭くなった間隙により毛細管現象が発揮されて、第1対向部KT1にたまっていた接着剤73は、第2対向部KT2にも広がって充填され、その状態で硬化する。
従って、図13に示すように、第1対向部KT1から第2対向部KT3にわたり、広い範囲が接着範囲となって固定強度がより向上し、また、凹部KT3により接着剤73が外部に流れ出るのが防止されている。
実施例の圧入固定構造によれば、同じ量の接着剤を用いても、さらに約4%強度を向上させることができる。
また、圧入作業によって接着剤が所定の塗布範囲からはみ出しにくく、他の部位に悪影響が及ぶのを防止することができる。
1a 外周面
1b 端面
2 モータベース
3 ハウジング
3a 一端面
3b 外周面
3c 内周面
3d 端部
4 スリーブ
4a フランジ部
4a1 一端面
4a2 他端面
4b 貫通孔
4b1 内周面
4c 端面
4d 対向面
5 コイル
6 コア
7 FPC
8 ハブ
8a 貫通孔
8b 基部
8c 周壁部
8d 内周壁部
8d1 内周面
8e フランジ部
8f 内面
8g 段部
9 マグネット
10 スラストリング
10a 一端面
10b 他端面
10c 内周面
10d 外周面
11 ラジアル動圧溝
12 潤滑剤
12a 液面
13 シールプレート
14a,14b スラスト動圧溝
15,16 エポキシ系接着剤
17 接着剤
50 モータ
ANB 圧入部
CL 軸
d1, 隙間
HST ハブ−シャフト組立体
JU 軸受ユニット
KM 傾斜面
KTB 近接対向部
R ロータ
RB1,RB2 ラジアル動圧軸受部
S ステータ
SB1,SB2 スラスト動圧軸受部
TB 頂部
TS テーパシール部
Claims (6)
- 環状部材を、被圧入部材に開口した穴に圧入して固定する環状部材の圧入固定方法において、
前記環状部材は、前記被圧入部材の熱膨張率よりも大きい熱膨張率を有する材料で形成され、
前記被圧入部材は、その前記穴の内周面に、前記開口した側から順に、前記環状部材と直接接触する圧入部及び前記環状部材の外周面と間隙をもって対向する対向部を,有すると共に、該対向部は、その対向部で最小径となる頂部を有して前記圧入部から前記頂部までの第1対向部と、該頂部に対して前記圧入部と反対側の第2対向部とを備え、
前記第1対向部に加熱硬化型接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記環状部材を、該環状部材の外周面が前記第2対向部と対向するように前記穴に圧入する圧入工程と、
前記接着剤を加熱して硬化させる加熱硬化工程と、を有することを特徴とする環状部材の圧入固定方法。 - 前記加熱硬化工程は、前記第1対向部に塗布された前記接着剤を前記第2対向部まで広げて硬化させることを特徴とする請求項1記載の環状部材の圧入固定方法。
- 環状部材を、被圧入部材に開口した穴に圧入して固定する環状部材の圧入固定方法において、
前記環状部材は、前記被圧入部材の熱膨張率よりも大きい熱膨張率を有する材料で形成され、
前記被圧入部材は、その前記穴の内周面に、前記開口した側から順に、前記環状部材と直接接触する圧入部,前記環状部材の外周面と第1の間隙で対向する第1対向部,及び該第1の間隙よりも狭い第2の間隙で対向する第2対向部を,有しており、
前記第1の対向部に加熱硬化型接着剤を塗布する接着剤塗布工程と、
前記環状部材を、該環状部材の外周面が前記第2対向部と対向するように前記穴に圧入する圧入工程と、
前記接着剤を加熱して硬化させる加熱硬化工程と、を有することを特徴とする環状部材の圧入固定方法。 - 前記加熱硬化工程は、前記第1対向部に塗布された前記接着剤を前記第2対向部まで広げて硬化させることを特徴とする請求項3記載の環状部材の圧入固定方法。
- 周壁部を有するハブ,及び前記周壁部の内面に圧入固定されたスラストリングを有するロータと、
一端側にフランジ部を有するスリーブ,該スリーブの外周部に固定されたハウジング,及び該ハウジングを固定したベースを有するステータと、
前記ハブに固定されたシャフトと、を備え、
前記シャフトを前記スリーブで軸支すると共に、前記フランジ部と前記ハウジングの端部とで前記スラストリングを挟んだスラスト動圧軸受が構成されて、前記ロータが前記ステータに対して回転自在に支持されたモータにおいて、
前記スラストリングは、前記ハブの熱膨張率よりも大きい熱膨張率を有する材料で形成されており、
前記スラストリングの外周面と対向する前記周壁部の外周面は、前記ハウジング側から順に、前記スラストリングと直接接触する圧入部及び前記スラストリングの外周面と間隙をもって対向する対向部を,有すると共に、該対向部は、その対向部で最小径となる頂部を有して前記圧入部から前記頂部までの第1対向部と、該頂部に対して前記圧入部と反対側の第2対向部とを備え、
前記第1の対向部から前記第2対向部にわたって加熱硬化型接着剤で固定されていることを特徴とするモータ。 - 周壁部を有するハブ,及び前記周壁部の内面に圧入固定されたスラストリングを有するロータと、
一端側にフランジ部を有するスリーブ,該スリーブの外周部に固定されたハウジング,及び該ハウジングを固定したベースを有するステータと、
前記ハブに固定されたシャフトと、を備え、
前記シャフトを前記スリーブで軸支すると共に、前記フランジ部と前記ハウジングの端部とで前記スラストリングを挟んだスラスト動圧軸受が構成されて、前記ロータが前記ステータに対して回転自在に支持されたモータにおいて、
前記スラストリングは、前記ハブの熱膨張率よりも大きい熱膨張率を有する材料で形成されており、
前記スラストリングの外周面と対向する前記周壁部の外周面は、前記ハウジング側から順に、前記スラストリングと直接接触する圧入部,前記スラストリングの外周面と第1の間隙で対向する第1対向部,及び該第1の間隙よりも狭い第2の間隙で対向する第2対向部を,有し、
前記第1の対向部から前記第2対向部にわたって加熱硬化型接着剤で固定されていることを特徴とするモータ。
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