JP2008215545A - 流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置 - Google Patents

流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置 Download PDF

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賢一 矢野
Toshinori Takasuka
俊徳 高須賀
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和憲 前川
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Abstract

【課題】シャフトとスリーブとの間に充填された潤滑剤の液面低下や漏れ出し等の問題の発生を防止することが可能な流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置を提供する。
【解決手段】流体軸受装置では、スリーブ11の軸受孔に挿入されたシャフト12と、シャフト12の一方の端部に取り付けられたロータハブ15との接合部分に内包される隙間部Sに、樹脂31を充填している。シャフト12とロータハブ15との接合部分における軸方向上端部には、円周方向に沿ってレーザ溶接による溶接部32が形成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、ハードディスク駆動装置等に搭載される動圧流体軸受およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置に関する。
近年、ハードディスク駆動装置(以下、HDD)等のディスク駆動装置に搭載されるスピンドルモータは、非接触回転によって低NRRO(Non-Repetitive Run Out)や低騒音が実現できる動圧流体軸受(以下、流体軸受装置と示す。)が用いられている。
流体軸受装置は、静止部と回転部の間に流体(以下、潤滑剤と示す)を充填した構造であり、精度よく動作させるために、潤滑剤の漏洩や蒸発による液面の低下を防ぐことが重要である。
例えば、特許文献1には、シャフト外周部やシャフトとロータとの間の隙間からの潤滑油の滲み出しを防止するために、シャフトの一方の端部にオイル漏れ防止用の接着剤を塗布した流体軸受装置が開示されている。
また、特許文献2には、シャフトをロータボスに圧入接合する前に、径大内径部に接着剤を塗布することで、両部材を強固に固定する流体軸受装置について開示されている。また、本公報には、接着剤を塗布する替わりに、シャフトとロータボスとの接合部分にレーザ溶接を施して両部材を強固に接合することが開示されている。
特開2003−092851号公報(平成15年3月28日公開) 特開2002−136031号公報(平成14年5月10日公開)
しかしながら、上記従来の流体軸受装置では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記特許文献1に開示された流体軸受装置では、単に、開放されているシャフトの一方の端部側から接着剤を塗布した構成に過ぎないため、仮にシャフトとハブとの接合部分に内包される閉空間が形成されている場合には、高温時に潤滑剤の膨張等による液面上昇によってその空間に潤滑剤が侵入して保持されてしまうおそれがある。この場合には、例えば、潤滑剤が常温に戻ったとしても上記隙間へ侵入した潤滑剤はシャフトとスリーブとの間の隙間へは戻らないため、必然的に潤滑剤の液面低下を招いてしまう。この結果、シャフトとスリーブとの間に形成される軸受部を含む隙間に十分に潤滑剤が行き渡らなくなり、軸受としての機能が低下してしまうおそれがある。
また、上記特許文献2に開示された流体軸受装置でも、シャフトとロータボスとの間の隙間に充填された接着剤によって潤滑剤の漏れ出しについては防止できるものの、レーザ溶接された溶接部分に発生した細かいひび割れ(マイクロクラック)から潤滑剤が漏れ出すおそれがある。この場合、上記と同様に、シャフトとロータボスとの間に形成される軸受部を含む隙間に十分に潤滑剤が行き渡らなくなり、軸受としての機能が低下してしまうおそれがある。
本発明の課題は、シャフトとハブとの接合部分を溶接によって固定した構成において、シャフトとスリーブとの間に充填された潤滑剤の液面低下や漏れ出し等の問題の発生を防止することが可能な流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータ、記録再生装置を提供することにある。
第1の発明に係る流体軸受装置は、スリーブと、シャフトと、潤滑剤と、ハブと、隙間部と、樹脂と、を備えている。スリーブは、軸受穴を有している。シャフトは、軸受穴内に相対回転可能な状態で配置されている。潤滑剤は、スリーブとシャフトとの間の隙間に充填されている。ハブは、シャフトの一方の端部に固定されている。隙間部は、シャフトとハブとの接合部分に内包される。樹脂は、隙間部に充填されている。
ここでは、スリーブの軸受穴に挿入された状態でシャフトが相対回転する流体軸受装置において、シャフトとハブとを接合した部分に形成される隙間部に樹脂を充填している。そして、シャフトとハブとの接合部における外端部は、レーザ等を用いた溶接によって接合されている。
ここで、上記シャフトのタイプとしては、一方の端部にハブを固定するための段差部を有する段付きシャフトや、段差部のないストレートシャフトも含まれる。また、シャフトとハブとの接合については、軽圧入や接着剤、溶接等による固定方法が採用される。さらに、上記隙間部は、シャフトとハブとの接合部分の内側に形成される閉空間であって、シャフトやハブの加工跡のように意図しないで形成される空間であってもよいし、樹脂充填用としてシャフトやハブに対して意図的に形成された空間であってもよい。また、上記隙間部に充填される樹脂としては、例えば、シャフトとハブとの軽圧入前に接合部分に塗布された熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、接着剤等を用いることができる。
通常、このようなシャフトとハブとを接合してスリーブに対して相対回転する流体軸受装置では、例えば、シャフトの段差部に加工跡等によって、ハブとの接合部に空間(隙間部)が形成される場合がある。このような構成において、例えば、装置の温度上昇等によって潤滑剤が膨張してシャフトとスリーブとの間の隙間に充填された潤滑剤の液面が一時的に上昇したり、衝撃が加えられて潤滑剤が上記隙間部へ侵入したりした場合には、シャフトとハブとの間の空間(隙間部)まで潤滑剤が入り込んでその空間に潤滑剤が保持されてしまうおそれがある。さらに、シャフトとハブとの接合部分を溶接によって固定した場合でも、溶接部分にはマイクロクラックと呼ばれる微小なひび割れが発生し、そこから潤滑剤が漏れ出すおそれがある。このとき、潤滑剤の膨張がおさまったとしても、シャフトとハブとの接合部分に内包される空間に入り込んだ潤滑剤は隙間に残ったままとなり、かつ漏れ出した潤滑剤を軸受部分に戻すことはできない。このため、シャフトとハブとの間の隙間における潤滑剤が不足して、液面が正常時よりも下がってしまい、動圧発生溝が形成された軸受部に潤滑剤が十分に供給されない等の問題を生じるおそれがある。
本発明の流体軸受装置では、シャフトとハブとの接合部分を溶接によって固定する構成において、このように膨張した潤滑剤を溜め込んでしまうおそれがあるシャフトとハブとの隙間部に、予め樹脂を充填している。
これにより、上述した潤滑剤が膨張してシャフトとスリーブとの間の隙間における液面が上昇した場合でも、シャフトとハブとの接合部分に内包される隙間部には樹脂が充填されているため、潤滑剤が入り込む余地はない。この結果、溶接部分にマイクロクラックが発生した場合でも、隙間に充填された樹脂によって潤滑剤の漏れ出しを効果的に防止することができる。よって、潤滑剤の膨張が終息した後の液面低下を防止するとともに、シャフトとハブとの接合部分からの潤滑剤の滲み出しも効果的に防止することができる。さらに、シャフトとハブとを、接着剤等の樹脂の充填と溶接とを組み合わせて接合することで、より強固な接合を行うことができる。
なお、このような隙間部に充填された樹脂は、溶接部を形成した後で硬化処理がなされることが好ましい。これにより、溶接部にマイクロクラックが発生した場合でも、完全に硬化していない樹脂が毛細管現象によってマイクロクラック内へ浸入し、その後で硬化させることができる。この結果、マイクロクラック内まで樹脂を充填させた状態で、樹脂を硬化させることで、シャフトとハブとの接合部分における潤滑剤の滲み出しをより効果的に防止することができる。
第2の発明に係る流体軸受装置は、第1の発明に係る流体軸受装置であって、隙間部は、シャフトの一方の端部に形成された段差部の加工跡によって形成される。
ここでは、シャフトとハブとの接合部分に内包される隙間が、いわゆる段付きシャフトの段差部分を形成する際の刃物の加工跡(凹部)とハブの当接面との間に形成される。
ここで、上記刃物の加工跡は、段付きシャフトの段差部のフラット面を形成するために必要なものであって、一般的にシャフトの軸方向に交差する方向に凹んだ凹部として形成される。
これにより、意図なくシャフトとハブとの接合部分に形成される隙間部に対する潤滑剤の侵入を予測して、ここに樹脂を充填しておくことで、潤滑剤が膨張した際等における潤滑剤の侵入を防止して、潤滑剤の液面低下や潤滑剤の滲み出し問題の発生を効果的に防止することができる。
第3の発明に係る流体軸受装置は、第1または第2の発明に係る流体軸受装置であって、シャフトとハブとは、圧入によって互いに接合されている。
ここでは、シャフトの外径とハブの内径とを同程度の大きさとして圧入(軽圧入)する方法によって、シャフトとハブとを仮固定している。
これにより、互いの取付精度を向上させた状態で、互いの接合を行うことができる。また、上述したレーザ溶接や接着剤を用いた接合方法と組み合わせることで、位置精度も高く、強固に固定されたシャフトとハブとを得ることができる。
第4の発明に係る流体軸受装置は、第1から第3の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、樹脂は、熱硬化性の樹脂である。
ここでは、上述したシャフトとハブとの間に形成される空間(隙間部)に形成される樹脂として、熱硬化性の樹脂を用いている。
ここで、上記隙間部へ充填される熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が考えられる。
これにより、例えば、シャフトとハブとの接合部分に熱硬化性樹脂を塗布して軽圧入した後、シャフトの一端からレーザ溶接等によって溶接部を形成した場合でも、レーザ溶接の熱によって隙間部へ充填された樹脂が悪影響を受けることはない。また、シャフトとスリーブとの間の隙間へ充填された潤滑剤が高温になっても、潤滑剤と接触した樹脂の一部が溶融したりすることもない。この結果、シャフトとハブとの間の隙間を充填する樹脂が、装置や潤滑剤の高温化による影響を受けることなく、潤滑剤の侵入防止という機能を損なうことを回避することができる。
第5の発明に係る流体軸受装置は、第1から第4の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、樹脂は、接着剤である。
ここでは、上述したシャフトとハブとの間に形成される空間(隙間部)に形成される樹脂として、接着剤を用いている。
ここで、上記隙間部へ充填される接着剤としては、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂接着剤や、ウレタン樹脂系等の熱可塑性樹脂接着剤等が考えられる。
これにより、シャフトとハブとの接合について、例えば、軽圧入による仮固定と接着剤とを併用することで、シャフトとハブとの接合部分に形成された隙間部や溶接部のマイクロクラックの充填という機能とともに、シャフトとハブとの接合という機能も発揮することができる。なお、上述したように、シャフトとハブとの固定にレーザ溶接等を採用する場合には、熱の影響による変形等を考慮して、エポキシ樹脂等のような熱硬化性の接着剤を用いることがより好ましい。
第6の発明に係る流体軸受装置は、第1から第5の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置であって、シャフトとハブとの接合部分の近傍であって、ハブおよびスリーブが互いに対向する少なくとも一方の面に配置された撥油剤を、さらに備えている。
ここでは、シャフトとハブとの接合部分の近傍におけるハブとスリーブとの対向面のうちの少なくとも一方に、潤滑剤を塗布している。
これにより、例えば、潤滑剤が膨張したり飛散したりして、シャフトとハブとの接合部分に形成された隙間部へ潤滑剤が侵入しようとした場合でも、隙間部へ充填された樹脂によってその侵入を防止することができる。そして、この場合、行き場のなくなった潤滑剤がハブとスリーブとの対向面の間の隙間から外部へ漏れ出してしまうことを、撥油剤の塗布によって防止することができる。この結果、潤滑剤の液面低下や漏れ出しをさらに効果的に防止することができる。
第7の発明に係るスピンドルモータは、第1から第6の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置と、ハブに取り付けられた回転磁石と、回転磁石に対して磁束を付与するステータコイルが巻回されたステータと、を備えている。
これにより、流体軸受装置に充填された潤滑剤の液面低下や外部への潤滑剤の漏れ出しを防止して、流体軸受部分における性能の低下を防止することが可能なスピンドルモータを得ることができる。
第8の発明に係る記録再生装置は、第7の発明に係るスピンドルモータと、ハブに装着された記録媒体に対して情報の記録再生を行う記録再生ヘッド部と、を備えている。
これにより、流体軸受装置に充填された潤滑剤の液面低下や外部への潤滑剤の漏れ出しを防止して、流体軸受部分における性能の低下を防止することが可能な記録再生装置を得ることができる。
第9の発明に係る流体軸受装置の製造方法は、第1から第6の発明のいずれか1つに係る流体軸受装置の製造方法であって、第1から第3のステップを備えている。第1のステップでは、シャフトおよびハブの少なくとも一方における所定の接合部分に樹脂を塗布する。第2のステップでは、シャフトとハブとを接合する。第3のステップでは、シャフトとハブとの接合部品を、所定温度以上の恒温室に所定時間以上放置する。
ここでは、上述した構成を備えた流体軸受装置の製造を、第1から第3のステップに従って行う。具体的には、所定の位置に樹脂を塗布してからシャフトとハブとを接合し、その後でレーザ溶接等で溶接部を形成する。そして、この接合部品を樹脂の硬化温度に応じた所定温度以上の恒温室に所定時間以上放置する。
ここで、シャフトとハブとに塗布された樹脂は、接合後の溶接時において熱が付与されるが、一時的なものであるため完全には硬化しない。このため、樹脂を完全に硬化させるために、溶接後に恒温室へ所定時間以上放置する必要がある。
これにより、シャフトとハブとの接合部分に形成される隙間に樹脂を充填することができるとともに、溶接後に恒温室において樹脂を硬化させることで、硬化前に一旦粘度が下がった樹脂によって、毛細管現象によるマイクロクラックへの浸入をより効果的に行うことができる。この結果、溶接部に生じたマイクロクラックへの樹脂の浸入をさらに促進して、マイクロクラック部分からの樹脂の滲み出しを効果的に防止することができる。さらに、接合前に予め塗布された樹脂によってシャフトとハブとの接合部分の隙間が充填されるため、潤滑油の減少という問題も回避することができる。
第10の発明に係る流体軸受装置の製造方法は、第9の発明に係る流体軸受装置の製造方法であって、第3のステップにおいて形成された溶接部に、樹脂を潤填する第5のステップをさらに備えている。
ここでは、レーザ溶接等によって溶接部を形成した後、所定温度以上に保たれた恒温室にシャフトとハブとの接合部品を置く前に、溶接部の部分に樹脂を潤填する。
これにより、溶接部にマイクロクラックが生じた場合でも、毛細管現象によってマイクロクラック内へ樹脂を浸入させることができる。さらに、潤填された樹脂は、恒温室へ置かれることにより、硬化前に一旦粘度が低い状態へ移行する。このため、毛細管現象によって樹脂をマイクロクラック内へさらに効果的に浸入させて、溶接部からの潤滑油の漏れ出しをさらに効果的に防止することができる。
本発明に係る流体軸受装置によれば、シャフトとスリーブとの間に充填された潤滑剤の液面低下や漏れ出し等の問題の発生を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る流体軸受装置を搭載したスピンドルモータ10について、図1〜図6を用いて説明すれば以下の通りである。
[スピンドルモータ10全体の構成]
本実施形態に係るスピンドルモータ10は、図1に示すように、ロータハブ(ハブ)15、ロータマグネット(回転磁石)16、ステータ17、ベース18および流体軸受装置20等を備えている。
そして、流体軸受装置20は、スリーブ11、シャフト12、スラストフランジ13、スラスト板14を有している。
スリーブ11は、軸受孔11aを有しており、鉄、鉄合金、銅、銅合金等の金属材料等によって形成され、ベース18に固定されている。また、スリーブ11には、スラストフランジ13の外径部分に対向する段部11bが設けられており、スラストフランジ13の外径部分が段部11bと隙間を介して位置している。さらに、スリーブ11には、段部11bより径が大きな段部11cが設けられており、円板状のスラスト板14が段部11cに接着、カシメ、圧入、溶接等の工法によって固定される。また、スリーブ11上部における軸受孔11a側の端面には、径方向内側に向かって下方傾斜する傾斜面11d(図2参照)が形成されている。この傾斜面11dは、軸方向下向きにシャフト12との間隔が狭くなるように配置されているため、テーパシール部として機能し、潤滑油26をシャフト12とスリーブ11との間の隙間に安定して保持している。
さらに、スリーブ11の軸受孔11aの内周面側には、ヘリングボーン形状のラジアル動圧発生溝が軸線方向に並んで形成されている。なお、ラジアル動圧発生溝は、スパイラル形状であってもよい。また、スリーブ11は、表面にニッケルメッキ処理などを行っていてもよい。
シャフト12は、焼結体ではない金属材料で構成された、直径が約3.0mmの円筒状の外周面を有する部材(例えば、円柱状部材、円筒状部材)であって、軸受孔11aに回転可能な状態で挿入されている。また、シャフト12の下端部には、段差が形成されており、この段差部分に、中心部分に円形の開口を有する円板状のスラストフランジ13が所定の溶接位置に沿って溶接によって接合される。なお、シャフト12は回転中心の軸として用いられることから、例えば、SUS等の素材的には硬いものが使われており、成型バイト等によって加工される。また、シャフト12の上端部には、ロータハブ15を取り付けるための段差部12a(図3(b)参照)が設けられている。なお、シャフト12とロータハブ15との接合については、後段にて詳述する。
スラストフランジ13は、略円板状の部材であって、上述のように、シャフト12の下端部に形成された段差に対して溶接によって取り付けられている。そして、スラストフランジ13は、スリーブ11の段部11bとスラスト軸受部材であるスラスト板14とで囲まれた空間に配置されている。スラストフランジ13の下面は、スラスト板14に対向し、上面の周辺部はスリーブ11の段部11bに対向している。また、スラストフランジ13の上面に対向するスリーブ11の段部11bの面には、スラスト動圧発生溝が形成されている。
スラスト板14は、流体軸受装置20の底面を覆うように取り付けられた略円板状の部材であって、その上部表面にはスラスト動圧発生溝が形成されている。なお、スラスト動圧発生溝が形成される面は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、軸方向に隙間を形成しつつ対向する面のいずれか一方に形成されていればよい。すなわち、スラストフランジ13の下面、あるいはスラストフランジ13の上面にスラスト動圧発生溝が形成されていてもよい。
ロータハブ15は、略お椀状の形状を有し、略中心部分には貫通孔が形成されており、シャフト12の上端部が圧入接着工法等によって固着されている。ロータハブ15の内周面側には、略円環状のロータマグネット16が取り付けられており、ステータ17に対して半径方向において対向している。ロータハブ15の上面には、ディスク載置面が形成されており、図6に示すように、磁気記録ディスク(記録媒体)D1,D2等が固定され、磁気記録ヘッド(記録再生ヘッド部)51,51等の他の部材とともにハードディスク装置のような磁気記録再生装置(記録再生装置)50を構成する。
また、ラジアル動圧発生溝およびスラスト動圧発生溝を含むシャフト12とスリーブ11の軸受孔11aとの間の隙間、およびスラストフランジ13とスリーブ11との間およびスラストフランジ13とスラスト板14との間の隙間には、潤滑油(潤滑剤)26が充填されている。
ロータマグネット16は、ロータハブ15の内周面側において、円周方向に等間隔で取り付けられており、ステータコイル17aが巻回された対向するステータ17との間において引き付け、反発を繰り返すことで、シャフト12を中心としてロータハブ15を回転させる。
ベース18は、ステータ17やロータマグネット16等を含むモータ部を収容する凹部18aが形成されている。そして、その凹部18aの略中心部分には、スリーブ11を固着するための穴18bが設けられている。そのベース18の穴18bを形成する部分には、ステータコイル17aが巻線されたコアを含むステータ17が接着等の工法によって固定されている。
[シャフト12とロータハブ15との接合部]
ここで、シャフト12とロータハブ15との接合部およびその接合方法について、図2〜図5を用いて詳しく説明すれば以下の通りである。
すなわち、シャフト12の上端部に形成された段差部12aに対して、上述した略お椀型のロータハブ15が取り付けられると、図2に示すように、シャフト12の段差部12aに形成された加工跡(凹部)12b(図3(b)参照)とロータハブ15の内周面に形成された凹部15a(図3(a)参照)との間に閉空間である隙間部Sが形成される。
隙間部Sは、シャフト12の段差部12aにおける、シャフト12とロータハブ15との接合部分に内包されるように形成される。
シャフト12の段差部12aに形成される加工跡12bは、シャフト12の段差部12aを、加工工具を用いて形成する際に、軸方向に略垂直な平面を形成するために加工工具の刃先の形状によって意図なく形成されるものである。また、この加工跡12bは、シャフト12の軸方向に沿った面に対して凹状になるように形成される。
本実施形態では、このようなシャフト12とロータハブ15との接合部分に内包されるように形成される隙間部Sに、隙間充填用の樹脂31を充填している。
樹脂31は、低発ガス性のエポキシ系接着剤であって、隙間部Sの充填という機能とともにシャフト12とロータハブ15との接合強度を向上させるという機能も有している。
ここで、シャフト12とスリーブ11との間の隙間に充填されている潤滑油26は、高温条件下に置かれて膨張したり気泡が混入したりすること等によって、シャフト12とスリーブ11の傾斜面11dとの間に形成されるテーパシール部における液面が一時的に上昇する場合がある。このとき、潤滑油26は、シャフト12とロータハブ15との接合部分に侵入するおそれがあるが、本実施形態ではその接合部分に内包された隙間部Sへ樹脂31が充填されているため、隙間部Sへの潤滑油26の侵入を防止することができる。この結果、潤滑油26の液面上昇が解消された際に、潤滑油26の液面が下がってしまうことを防止するとともに、シャフト12とロータハブ15との間の隙間からの潤滑油26の滲み出しを効果的に防止することができる。
また、シャフト12とスリーブ11との間の隙間に形成されるテーパ部分の近傍であるロータハブ15の底面とスリーブ11の上面には、それぞれ撥油剤33a,33bが塗布されている。撥油剤33a,33bは、塗布された表面において、潤滑油26との接触角度が大きくなるような物質によって構成されており、例えば、HDDにおいてはパーフルオロ系の樹脂が用いられる。
これにより、シャフト12とスリーブ11の傾斜面11dとの間に形成されるテーパシール部において、潤滑油26の液面が一時的に上昇した場合でも、スリーブ11とロータハブ15との間の隙間を通って潤滑油26が外部へ漏れ出すことを効果的に防止することができる。特に、本実施形態では、潤滑油26が一時的に膨張して液面が上昇した場合でもシャフト12とロータハブ15との接合部分への潤滑油26の侵入を防止した構成となっており、行き場を失った潤滑油26がロータハブ15とスリーブ11との間に移動し易くなっている。このため、ロータハブ15の裏面側とスリーブ11の上面とにそれぞれ撥油剤33a,33bを塗布しておくことが特に望ましい。
<隙間部Sへの樹脂31の充填方法>
ここでは、上述したシャフト12とロータハブ15との接合方法について、図4、図5および図7を用いて説明すれば以下の通りである。
なお、以下で説明する充填方法では、ロータハブ15を上下反対にした状態で治具40にセットし、上方からシャフト12をロータハブ15の中心に形成された穴に差し込む方法を採用している。
すなわち、本実施形態の流体軸受装置20の組み立て工程では、まず、ステップS1(第1のステップ)において、シャフト12とロータハブ15とのそれぞれの接合部分における所定の位置へ、接着剤31a,31bを塗布する。
次に、ステップS2(第2のステップ)において、図4に示すように、治具40上にセットされたロータハブ15に対して、上方からシャフト12やスリーブ11等を含む流体軸受装置20を移動させ、ロータハブ15の中心に形成された穴にシャフト12の上端部の径小部分を差し込む。このとき、シャフト12の径小部分の外径は、ロータハブ15の穴の内径よりも若干大きい寸法となっており、両部材は軽圧入によって仮固定される。
ここで、軽圧入される前段階のステップS1において、シャフト12には、上述した段差部12aの加工跡12b部分に樹脂31aが塗布されている。一方、ロータハブ15にも、上述した凹部15aの部分に樹脂31bが塗布されている。そして、シャフト12の加工跡12bとロータハブ15の凹部15aとは、シャフト12とロータハブ15とが接合された状態において、隙間部Sをともに形成する面となる。これにより、隙間部Sを構成する面上に予め空間充填用の樹脂31a,31bを設けることで、図5に示すように、シャフト12とロータハブ15とを接合した状態においては効率よく隙間部Sへの樹脂31の充填が可能になる。
次に、ステップS3(第3のステップ)において、シャフト12とロータハブ15との接合部分における上端部に、レーザ溶接によって円周方向に沿って溶接部32(図2参照)を形成して、シャフト12とロータハブ15とを強固に固定する。なお、レーザ溶接時には、隙間部Sへ充填された樹脂31に対して一時的に熱が付与されるが、このような短時間では樹脂31はほとんど硬化せず、液体状(ゲル状)のままである。このため、その後、溶接部32に生じた微小な割れ目(マイクロクラック)へ、毛細管現象によって樹脂31を浸入させることができる。
次に、ステップS4(第5のステップ)において、溶接部32に発生したマイクロクラックに対して樹脂31を潤填する。このとき、溶接部32に生じたマイクロクラックには、毛細管現象によって樹脂31が入り込んでいく。
最後に、ステップS5(第4のステップ)において、接合部分に塗布された樹脂31a,31bや溶接部32に生じたマイクロクラックに潤填された熱硬化性の樹脂31を硬化させるために、80℃の恒温室へシャフト12とロータハブ15との接合部品を1.0h程度放置する。このとき、樹脂31は、高温環境下に置かれることで一時的に粘度が下がった後で硬化することになる。よって、一時的に粘度が下がった樹脂31は、溶接部32に生じたマイクロクラックに毛細管現象によって浸入していき、その後硬化する。
本実施形態では、以上のような製造方法によって流体軸受装置20を製造することにより、接合前に予めシャフト12およびロータハブ15に対して塗布された樹脂31a,31bによってシャフト12とロータハブ15との間に形成される隙間を充填するとともに、溶接部32に対して潤填された樹脂31によってマイクロクラックの割れ目を充填することができる。この結果、樹脂31とレーザ溶接とを組み合わせて接合されたシャフト12とロータハブ15との接合箇所について、強固な接合を実現しつつ、シャフト12をつたって潤滑油26が外部へ漏れ出すことを確実に防止することができる。
なお、図5に示すように、接合後の状態において、隙間部Sから漏れ出してシャフト12の上端部側に露出した樹脂31dについては、両部材を接合後、エポキシ樹脂が硬化するまでにふき取ればよい。一方、スリーブ11側へ漏れ出した樹脂31cについては、スピンドルモータ10の内側となるため拭き取ることが困難である。本実施形態では、漏れ出した樹脂31cが潤滑油26に接触してしまうことを防止するために、図5に示すように、樹脂31cが漏れ出す部分における径方向の距離Gaが軸方向の距離Gbよりも大きくなるように設計している。これにより、シャフト12とロータハブ15とを接合した際に、内側へ漏れ出した樹脂31cを径方向に広がるように設計することで、図中点線部分まで液面が移動した場合でも、樹脂31cの軸方向に存在するテーパシール部に保持された潤滑油26に樹脂31cが混入してしまうことを防止することができる。この結果、スピンドルモータ10における回転ロック等の問題が発生することを容易に回避することができる。
[本流体軸受装置20の特徴]
(1)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2に示すように、スリーブ11の軸受孔11aに挿入されたシャフト12と、シャフト12の一方の端部に取り付けられたロータハブ15との接合部分に内包される隙間部Sに、樹脂31を充填している。そして、シャフト12とロータハブ15との接合部分における軸方向上端部には、円周方向に沿ってレーザ溶接による溶接部32が形成されている。
これにより、シャフト12とスリーブ11との間のテーパシール部に保持された潤滑油26の高温条件下による膨張等によって、潤滑油26の液面が一時的に上昇した場合でも、潤滑油26がシャフト12とスリーブ11との間の隙間を通って隙間部Sへ侵入してそこに溜まってしまうことはない。さらに、溶接部32にマイクロクラックが生じた場合でも、隙間部Sへの樹脂31の充填によってマイクロクラックから潤滑油26が漏れ出すこともない。この結果、シャフト12とスリーブ11との接合部分に形成される隙間部Sに潤滑油26が溜まってしまい潤滑油26の膨張が元の状態に戻ったとしても潤滑油26が不足して液面が低下してしまうといった問題の発生を回避することができる。よって、潤滑油26不足による動圧発生溝を含む軸受部における軸受不良の発生を防止することができる。さらに、隙間部Sを経由しての潤滑油26の外部への漏れ出しといった問題の発生についても効果的に防止することができる。
(2)
本実施形態の流体軸受装置20では、図1〜図3(b)に示すように、一方の端部に段差部15aを有する段付きのシャフト12を用いている。
これにより、段付きのシャフト12の段差部12aを形成する際に生じる加工跡12bによって、意図なく比較的大きな空間の隙間部Sが形成された場合でも、樹脂31の充填によって潤滑油26の侵入を防止することで、一時的な液面上昇後における液面低下や潤滑油26の外部への漏れ出し等を回避することができる。
(3)
本実施形態の流体軸受装置20では、図4に示すように、スピンドルモータ10の組立工程において、まず、ロータハブ15とシャフト12とを軽圧入によって仮固定している。
これにより、樹脂31による接着や溶接による固定前に、両部材を接合する際の位置精度を向上させることができる。この結果、シャフト12とロータハブ15との接合を高精度に行うことができる。
(4)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2に示すように、シャフト12とロータハブ15との接合部分に内包されるように形成された隙間部Sに対して、熱硬化性の樹脂31(エポキシ樹脂)を充填している。
これにより、シャフト12とロータハブ15とを軽圧入した後で、例えば、上述したようなレーザ溶接を行う場合でも、レーザ溶接時の熱によって隙間部Sに充填された樹脂31が溶融したり変形したりすることはない。この結果、レーザ溶接等のような熱を伴う固定方法を採用する場合でも、隙間部Sへ充填された樹脂31への熱による悪影響を排除して、潤滑油26の隙間部Sへの侵入といった不具合の発生を確実に防止することができる。
(5)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2に示すように、シャフト12とロータハブ15との接合部分に内包されるように形成された隙間部Sに対して、接着剤として機能する樹脂31(エポキシ樹脂)を充填している。
これにより、上述した軽圧入の後で、隙間部Sに充填された樹脂31の硬化によってもシャフト12とロータハブ15とを強固に固定することができる。
(6)
本実施形態の流体軸受装置20では、図2に示すように、シャフト12とスリーブ11の傾斜面11dとの間の隙間に形成されたテーパシール部の近傍であって、ロータハブ15におけるテーパシール部側の面、およびスリーブ11の上面に、それぞれ撥油剤33a,33bを塗布している。
これにより、潤滑油26の膨張による液面上昇時におけるシャフト12とロータハブ15との接合部分からの潤滑油26の漏れ出しを防止しつつ、スリーブ11とロータハブ15との間の隙間からの潤滑油26の漏れ出しについても、効果的に防止することができる。特に、隙間部Sへの潤滑油26の侵入を防止した構成では、行き場の無くなった潤滑油26がスリーブ11とロータハブ15との間の隙間へと流れ易くなると考えられることから、撥油剤33a,33bの塗布は特に効果的である。
(7)
本実施形態の流体軸受装置20の製造方法では、図7に示すように、ステップS1において、シャフト12とロータハブ15とのそれぞれの接合部分における所定の位置へ、接着剤31a,31bを塗布する。次に、ステップS2において、ロータハブ15に対して、上方からシャフト12の上端部の径小部分を差し込む。次に、ステップS3において、シャフト12とロータハブ15との接合部分における上端部に、レーザ溶接によって円周方向に沿って溶接部32を形成して、シャフト12とロータハブ15とを強固に固定する。最後に、ステップS5において、80℃の恒温室へシャフト12とロータハブ15との接合部品を1.0h程度放置して、樹脂31を硬化させる。
これにより、接合前に予めシャフト12およびロータハブ15に対して塗布された樹脂31a,31bによってシャフト12とロータハブ15との間に形成される隙間を充填することができる。そして、溶接部32に対して潤填された樹脂31によってマイクロクラックの割れ目を充填することができる。この結果、樹脂31とレーザ溶接とを組み合わせて接合されたシャフト12とロータハブ15との接合箇所からの潤滑油26の漏れ出しを確実に防止することができる。
(8)
本実施形態の流体軸受装置20の製造方法では、図7に示すように、シャフト12とロータハブ15とを接合した後、接合部品を恒温室へ放置する前に、ステップS4において、溶接部32に発生したマイクロクラックに対して樹脂31を潤填する。
これにより、溶接部32にマイクロクラックが生じた場合でも、溶接部32に潤填された樹脂31の毛細管現象によってマイクロクラックを充填することができる。この結果、シャフト12をつたって潤滑油26が外部へ漏れ出すことを効果的に防止することができる。
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、図2等に示すように、シャフト12とロータハブ15との接合部分に内包される隙間部Sとして、シャフト12の段差部12aを形成する際の刃物の加工跡(凹部)12bによってロータハブ15との接合面との間に形成される隙間を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、シャフトとハブ(ロータハブ)との接合部に形成される隙間としては、ハブ側に形成された凹部とシャフトの接合面との間に形成される隙間であってもよい。
また、隙間部を形成するために、シャフトあるいはハブに形成された凹部は、上記実施形態の加工跡のように、意図しないものであってもよいし、意図的に形成された凹部や溝等であってもよい。
(B)
上記実施形態では、隙間部Sへ充填された樹脂31として、エポキシ樹脂(熱硬化性樹脂、接着剤)を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、エポキシ樹脂以外にも、フェノール樹脂やユリア樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂や、ウレタン樹脂やアクリル樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることもできる。
また、充填される樹脂としては、必ずしも接着剤である必要はなく、接着性能を持たない熱硬化性樹脂であってもよい。
ただし、上記実施形態のように、シャフトとハブとの接合部分をレーザ溶接するような構成では、充填された樹脂に対して熱の影響を考慮しなくてはならないため、エポキシ等の熱硬化性樹脂を用いることがより好ましい。さらに、シャフトをハブに対して軽圧入した後の接合強度を考慮すると、その間の隙間に充填される樹脂が接着性能を有することで、簡易な構成によりシャフトとハブとの接合強度を向上させることができるという点では、上記実施形態のように接着剤を用いることがより好ましい。
(C)
上記実施形態では、シャフト12とロータハブ15との接合部分に形成される隙間部Sに対して樹脂31を十分に充填させるために、図4に示すように、接合部分におけるシャフト12側およびロータハブ15側の双方に樹脂31a,31bを塗布してから軽圧入を行う例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、シャフトおよびロータハブのいずれか一方だけに樹脂を塗布してから軽圧入による接合を行ってもよい。
ただし、隙間部へ十分に樹脂の充填を行うという観点では、上記実施形態のように、シャフトとハブの双方に樹脂を塗布してから軽圧入による接合を行うことがより好ましい。
(D)
上記実施形態では、図4に示すように、シャフト12とロータハブ15とを軽圧入した後で、充填樹脂31による接着、レーザ溶接を行ってシャフト12とロータハブ15とを接合する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、軽圧入を行うことなく、接着剤およびレーザ溶接の組合せによって両部材を接合してもよい。
ただし、上述したように、軽圧入を行ってシャフトとハブとの仮固定を行うことにより、シャフトとハブとの位置決め精度を向上させることができるという点では、上記実施形態のように、軽圧入を他の接合方法と併用することがより好ましい。
(E)
上記実施形態では、図2および図3(b)等に示すように、ロータハブ15が固定されるシャフト12として、ロータハブ15が取り付けられる段差部12aを有する段付きシャフトを用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図7に示すように、段差部のないストレートシャフト112を含む流体軸受装置120を搭載したスピンドルモータ110であってもよい。
この場合でも、シャフト112とロータハブ(ハブ)115との接合部分に内包される隙間に樹脂を充填することで、潤滑剤の液面低下防止等のような上記と同様の効果を得ることができる。
(F)
上記実施形態では、図2に示すように、シャフト12とロータハブ15との接合部分の近傍における、ロータハブ15とスリーブ11との対向面にそれぞれ撥油剤33a,33bを塗布した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、撥油剤が塗布されていない構成の流体軸受装置を用いることもできる。あるいは、スリーブの上面だけに撥油剤を塗布した構成であってもよい。
この場合でも、シャフトとハブとの接合部分への潤滑剤の侵入による液面低下や接合部分からの潤滑剤の滲み出しといった不具合の発生を防止することができる。
ただし、上記隙間部への潤滑剤の浸入を防止したことにより行き場のなくなった潤滑剤が別の場所へ移動しようとするという意味では、上記実施形態のように、別ルート上に撥油剤を塗布して潤滑剤の移動を抑制することがより望ましい。
(G)
上記実施形態では、図6に示すように、本発明に係る流体軸受装置20を含むスピンドルモータ10を、記録ヘッド(記録再生ヘッド部)51を有する磁気記録再生装置(記録再生装置)50に搭載した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、本発明の流体軸受装置の搭載先としては、磁気記録再生装置に限らず、光ディスク等の他の記録再生装置に対しても当然に搭載可能である。
本発明の流体軸受装置は、シャフトとスリーブとの間に充填された潤滑剤の液面低下や漏れ出し等の問題の発生を防止することができるという効果を奏することから、流体軸受装置を内部に有する、例えば、HDD用スピンドルモータや高密度光ディスク用スピンドルモータ等に搭載される流体軸受装置に対して広く適用可能である。
本発明の一実施形態に係る流体軸受装置を搭載したスピンドルモータの構成を示す断面図。 図1のX部分を示す拡大図。 (a)は、図2のロータハブを示す拡大図。(b)は、図2のシャフトを示す拡大図。 図1の流体軸受装置の組立工程の一部であるシャフトとロータハブとの接合工程を示す拡大図。 図4の接合工程後におけるシャフトとロータハブとの接合部分を示す拡大図。 図1のスピンドルモータ(流体軸受装置)を搭載した磁気記録再生装置の内部構成を示す断面図。 図1のスピンドルモータに搭載された流体軸受装置の製造方法の流れを示すフローチャート。 本発明の他の実施形態に係る流体軸受装置の構成を示す断面図。
符号の説明
10 スピンドルモータ
11 スリーブ
11a 軸受孔
11b,11c 段部
11d 傾斜面
12 シャフト
12a 段差部
12b 加工跡(凹部)
13 スラストフランジ
14 スラスト板
15 ロータハブ(ハブ)
15a 凹部
16 ロータマグネット(回転磁石)
17 ステータ
17a ステータコイル
18 ベース
20 流体軸受装置
26 潤滑油(潤滑剤)
31 樹脂(エポキシ樹脂)
31a 樹脂
31b 樹脂
31c 樹脂
31d 樹脂
32 溶接部
33a,33b 撥油剤
40 治具
50 磁気記録再生装置(記録再生装置)
51 記録ヘッド(記録再生ヘッド部)
110 スピンドルモータ
112 シャフト
115 ロータハブ(ハブ)
120 流体軸受装置
D1,D2 磁気記録ディスク(記録媒体)
S 隙間部

Claims (10)

  1. 軸受穴を有するスリーブと、
    前記軸受穴内に相対回転可能な状態で配置されたシャフトと、
    前記スリーブと前記シャフトとの間の隙間に充填された潤滑剤と、
    前記シャフトの一方の端部に固定されたハブと、
    前記シャフトと前記ハブとの接合部分に内包される隙間部と、
    前記隙間部に充填された樹脂と、
    前記シャフトと前記ハブとの接合部における外端部に形成された溶接部と、
    を備えている流体軸受装置。
  2. 前記隙間部は、前記シャフトの一方の端部に形成された段差部の加工跡によって形成される、
    請求項1に記載の流体軸受装置。
  3. 前記シャフトと前記ハブとは、圧入によって互いに接合されている、
    請求項1または2に記載の流体軸受装置。
  4. 前記樹脂は、熱硬化性の樹脂である、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
  5. 前記樹脂は、接着剤である、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
  6. 前記シャフトと前記ハブとの接合部分の近傍であって、前記ハブおよび前記スリーブが互いに対向する少なくとも一方の面に配置された撥油剤を、さらに備えている、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の流体軸受装置と、
    前記ハブに取り付けられた回転磁石と、
    前記回転磁石に対して磁束を付与するステータコイルが巻回されたステータと、
    を備えているスピンドルモータ。
  8. 請求項7に記載のスピンドルモータと、
    前記ハブに装着された記録媒体に対して情報の記録再生を行う記録再生ヘッド部と、
    を備えている記録再生装置。
  9. 請求項1から6のいずれか1項に記載の流体軸受装置の製造方法であって、
    前記シャフトおよび前記ハブの少なくとも一方における所定の接合部分に前記樹脂を塗布する第1のステップと、
    前記シャフトと前記ハブとを接合する第2のステップと、
    前記シャフトと前記ハブとの接合部分における端部に溶接部を形成する第3のステップと、
    前記シャフトと前記ハブとの接合部品を、所定温度以上の恒温室に所定時間以上放置する第4のステップと、
    を備えている流体軸受装置の製造方法。
  10. 前記第3のステップにおいて形成された前記溶接部に、前記樹脂を潤填する第5のステップをさらに備えている、
    請求項9に記載の流体軸受装置の製造方法。
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