JP2008273356A - 車両用サスペンションシステム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ばね上部が上下方向に絶対動作する向きであるばね上絶対動作方向とばね上部がばね下部に対して動作する向きであるばね上相対動作方向とが逆向きである場合に、ショックアブソーバが有する電磁式モータの各相の通電端子間を開放させて電磁式モータに電流が流れない非通電状態とし、ばね上絶対動作方向とばね上相対動作方向とが同じ向きである場合に、各相の通電端子間を相互に導通させることによって電磁式モータに電流が流れる特定通電状態とすることで、ばね上部の振動を抑制する。電源からの電力供給も必要とせずに、各相の通電端子間を開放させた状態と導通させた状態との切り換えだけの簡便な制御によって、効果的なばね上部の振動減衰が可能となる。
【選択図】図4
Description
そのサスペンションスプリングと並列的に配設されるとともに、電磁式モータを有してその電磁式モータの力に依拠してばね上部とばね下部との相対動作に対する力であるアブソーバ力を発生可能な電磁式のショックアブソーバと、
そのショックアブソーバを制御する制御装置であって、ばね上部の絶対動作する向きであるばね上絶対動作方向とばね上部がばね下部に対して動作する向きであるばね上相対動作方向とが逆向きである場合に、前記電磁式モータの各相の通電端子間を開放させることによって前記電磁式モータに電流が流れない状態である非通電状態とし、前記ばね上絶対動作方向と前記ばね上相対動作方向とが同じ向きである場合に、前記電磁式モータの各相の通電端子間を相互に導通させることによって前記電磁式モータに電流が流れる状態である特定通電状態とすることで、ばね上部の振動を抑制する振動抑制制御を実行可能な制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステム。
前記アブソーバ力を、ばね上部の前記ばね上絶対動作方向の速度であるばね上絶対速度に基づいて制御しつつばね上部の振動に対する減衰力として発生させる第2の振動抑制制御を実行可能とされるとともに、その第2の振動抑制制御と前記振動抑制制御とを切り換え可能に構成された(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
電源の高電位側端子と前記電磁式モータの各相の通電端子との間に設けられた高電位側スイッチング素子と、電源の低電位側端子と各相の通電端子との間に設けられた低電位側スイッチング素子とからなるスイッチング素子対を、前記電磁式モータの相数に対応して複数対有し、それらのスイッチング素子の作動を制御して前記電磁式モータに流れる電流量を調整する駆動回路を有する(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
前記アブソーバ力を、少なくとも前記ばね上絶対速度に基づいて決定して少なくともばね上部の振動に対する減衰力として発生させる第2の振動抑制制御を実行可能とされるとともに、その第2の振動抑制制御と前記振動抑制制御とを切り換え可能に構成され、
前記駆動回路によって前記電磁式モータに流れる電流量を調整することで、前記第2の振動抑制制御における前記アブソーバ力を制御する(3)項に記載の車両用サスペンションシステム。
前記電磁式モータの各相の通電端子間を開放させた状態と導通させた状態とを切り換える開放・導通切換器を有し、その開放・導通切換器の作動を制御することで、前記非通電状態と前記特定通電状態とを実現して前記振動抑制制御を実行可能とされた(1)項ないし(4)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
電源の高電位側端子と前記電磁式モータの各相の通電端子との間に設けられた高電位側スイッチング素子と、電源の低電位側端子と各相の通電端子との間に設けられた低電位側スイッチング素子とからなるスイッチング素子対を、前記電磁式モータの相数に対応して複数対有し、それらのスイッチング素子の作動を制御して前記電磁式モータに流れる電流量を調整する駆動回路を有し、
前記複数のスイッチング素子対のスイッチング素子の作動を制御することによって前記非通電状態と前記特定通電状態とを実現して前記振動抑制制御を実行可能とされることで、前記駆動回路を前記開放・導通切換器として機能させる(5)項ないし(8)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
電源の高電位側端子と前記電磁式モータの各相の通電端子との間に設けられた高電位側スイッチング素子と、電源の低電位側端子と各相の通電端子との間に設けられた低電位側スイッチング素子とからなるスイッチング素子対を、前記電磁式モータの相数に対応して複数対有し、それらのスイッチング素子の作動を制御して前記電磁式モータに流れる電流量を調整する駆動回路を有し、
その駆動回路とは別に前記開放・導通切換器を有する(5)項ないし(8)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
図1に、請求可能発明の実施例である車両用サスペンションシステム10を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、前後左右の車輪12の各々に対応する独立懸架式の4つのサスペンション装置を備えており、それらサスペンション装置の各々は、サスペンションスプリングとショックアブソーバとが一体化されたスプリング・アブソーバAssy20を有している。車輪12,スプリング・アブソーバAssy20は総称であり、4つの車輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
図3に示すように、各アクチュエータ26のモータ54は、コイルがスター結線(Y結線)された3相ブラシレスDCモータであり、上述したようにインバータ146によって制御駆動される。そのインバータ146は、図に示すような一般的なものであり、high側(高電位側),low側(低電位側)のそれぞれに対応し、かつ、モータ54の3つの相であるU相,V相,W相のそれぞれに対応する6つのスイッチング素子HUS,HVS,HWS,LUS,LVS,LWSを備えている。また、インバータ146が有するスイッチング素子制御回路190には、モータ54に設けられてモータ54の回転角を検出するレゾルバ[θ]192と,インバータ146内に実際にモータ54を流れる電流量である実通電電流量を測定する通電電流センサ[I]194とが接続されている。そのスイッチング素子制御回路190は、レゾルバ192によりモータ回転角(電気角)を判断し、そのモータ回転角に基づいてスイッチング素子を開閉作動させる。インバータ146は、いわゆる正弦波駆動によってモータ54を駆動するのであり、モータ54の3つの相の各々に流れる電流量が、それぞれが正弦波状に変化し、その位相差が電気角で120°ずつ異なるように、スイッチング素子が制御される。そして、インバータ146は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によってモータ54に通電するようにされており、スイッチング素子制御回路190がパルスオン時間TONとパルスオフ時間TOFFとによって定まるデューティ比Rduty(=TON/(TON+TOFF))を変更することで、モータ54を流れる電流量(通電電流量)を変更して、モータ54が発生させる回転トルクの大きさを変更する。詳しくは、デューティ比が大きくされることで、通電電流量が大きくされて、モータ54の発生する回転トルクは大きくされ、逆に、デューティ比が小さくされることで、通電電流量が小さくされて、モータ54の発生する回転トルクは小さくされる。
本サスペンションシステム10では、4つのスプリング・アブソーバAssy20の各々を独立して制御することが可能となっている。それらスプリング・アブソーバAssy20の各々において、アクチュエータ26のアクチュエータ力が独立して制御されて、車体および車輪12の振動、つまり、ばね上振動およびばね下振動に対する減衰力を発生させる制御(以下、「振動抑制制御」という場合がある)が実行される。また、車両の旋回に起因する車体のロールを抑制するための制御(以下、「ロール抑制制御」という場合がある),車両の加減速に起因する車体のピッチを抑制するための制御(以下、「ピッチ抑制制御」という場合がある)が実行される。上記振動抑制制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御は、各制御ごとのアクチュエータ力の成分である振動抑制成分,ロール抑制成分,ピッチ抑制成分を合計して目標アクチュエータ力が決定され、アクチュエータ26がその目標アクチュエータ力を発生させるように制御されることで、総合的に実行される。なお、以下の説明において、アクチュエータ力およびそれの成分は、ばね上部とばね下部とを離間させる方向(リバウンド方向)の力に対応するものが正の値,ばね上部とばね下部とを接近させる方向(バウンド方向)の力に対応するものが負の値となるものとして扱うこととする。
振動抑制制御の実行によって、ばね上部の振動を減衰するためにばね上部の絶対動作の速度に応じたアクチュエータ力を発生させる制御、つまり、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御(以下、「スカイフック制御」と呼ぶ場合がある)が実行されるようになっている。例えば、本サスペンションシステム10を備えた車両が、図4に示すような起伏のある路面を走行した場合を考える。車両が上りの路面に入ると、まず、ばね下部が上向きに絶対動作し始め、エアスプリング28によって弾性的に連結されたばね上部も上向きに絶対動作する状態となる。また、その時のばね上部の上方への動作は、ばね下部の上方への動作より遅い。つまり、ばね上部が上方に絶対動作しつつばね上部とばね下部とが接近する状態となる(第1状態)。その後、路面の上りの勾配が緩やかになることによって、ばね下部の上方への動作は、ばね上部の上方への動作より遅くなる。つまり、ばね上部が上方に絶対動作しつつばね上部とばね下部とが離間する状態となる(第2状態)。また、下りの路面に入ると、ばね下部が下向きに動作し始め、エアスプリング28によって連結されたばね上部も下向きに動作する状態となる。その時のばね上部の下方への動作は、ばね下部の下方への動作より遅い。つまり、ばね上部が下方に絶対動作しつつばね上部とばね下部とが離間する状態となる(第3状態)。その後、路面の下りの勾配が緩やかになることによよって、ばね下部の下方への動作は、ばね上部の下方への動作より遅くなる。つまり、ばね上部が下方に絶対動作しつつばね上部とばね下部とが接近する状態となる(第4状態)。スカイフック制御では、ばね上部が上方に動作する第1状態,第2状態においては、下向きの力を作用させ、ばね上部が下方に動作する第3状態,第4状態においては、上向きの力を作用させる制御、つまり、ばね上部が絶対動作する向きであるばね上絶対動作方向とは逆向きの力を、ばね上部に作用させて、ばね上部の振動を抑制する制御である。
FV=Cs・Vs−Cg・Vg
ここで、Csは、車体のマウント部24の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインであり、Cgは、車輪12の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインである。つまり、Cs,Cgは、いわゆるばね上,ばね下絶対振動に対する減衰係数と考えることができる。
車両の旋回時においては、その旋回に起因するロールモーメントによって、旋回内輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、旋回外輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ロール抑制制御では、その旋回内輪側の離間および旋回外輪側の接近を抑制すべく、旋回内輪側のアクチュエータ26にバウンド方向のアクチュエータ力を、旋回外輪側のアクチュエータ26にリバウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制力として発生させる。具体的に言えば、まず、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度として、ステアリングホイールの操舵角δと車速vとに基づいて推定された推定横加速度Gycと、横加速度センサ174によって実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、ロール抑制成分FRが、次式に従って決定される。
FR=K3・Gy* (K3:ゲイン)
車体の制動時等、減速時に発生する車体のノーズダイブに対しては、そのノーズダイブを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが接近させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが離間させられる。また、車体の加速時に発生する車体のスクワットに対しては、そのスクワットを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ピッチ抑制制御では、それらの場合の接近・離間距離を抑制すべく、アクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる。具体的には、車体が受けるピッチモーメントを指標する前後加速度として、前後加速度センサ172によって実測された実前後加速度Gxが採用され、その実前後加速度Gxに基づいて、ピッチ抑制成分FPが、次式に従って決定される。
FP=K4・Gx (K4:ゲイン)
なお、ピッチ抑制制御は、スロットルセンサ180によって検出されるスロットルの開度、あるいは、ブレーキ圧センサ182によって検出されるマスタシリンダ圧が、設定された閾値を超えることをトリガとして実行される。
アクチュエータ26の制御は、それが発生させるべきアクチュエータ力である目標アクチュエータ力に基づいて行われる。詳しく言えば、上述のようにして、アクチュエータ力の振動抑制成分FV,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPが決定されると、それらに基づき、次式に従って制御目標値である目標アクチュエータ力FA *が決定される。
FA *=FV+FR+FP
そして、上述のように決定された目標アクチュエータ力FA *が、インバータ146のスイッチング素子制御回路190に送信され、その目標アクチュエータ力FA *に基づいて目標となるデューティ比Rdutyが決定される。インバータ146は、その適切なデューティ比Rdutyの下、スイッチング素子の開閉が制御してモータ54を流れる電流を調整することで、目標アクチュエータ力を制御するのである。
上述したように、本サスペンションシステム10では、通常、場合によってバッテリ150からの電力供給を受けて力を発生させるアクティブ制御が実行されている。本サスペンションシステム10は、そのアクティブ制御が実行不能となった場合、例えば、バッテリ150の充電量(残存容量)が少なくなった場合、バッテリ150の電圧が閾値より低下した場合等の失陥が生じた場合に対処するために、上記振動抑制制御とは異なる振動抑制制御である特定時振動抑制制御が実行されるようになっている。その特定時振動抑制制御は、バッテリ150からの電力供給を必要としないパッシブな制御であり、その制御について、以下に詳しく説明する。
図4に示した第1状態,第3状態、つまり、ばね上部が絶対動作する向きであるばね上絶対動作方向と、ばね上部がばね下部に対して動作する向きであるばね上相対動作方向とが逆向きである場合、アクチュエータ26が発生させるストローク動作に対する抵抗力は、ばね上絶対動作方向と同じ向きの力となる。そのため、その場合には、ばね上部の動作を助長しないように、アクチュエータ26は力を発生させないことが望ましい。一方、上記の第2状態,第4状態、つまり、ばね上絶対動作方向とばね上相対動作方向とが同じ向きである場合、アクチュエータ26が発生させる抵抗力は、ばね上絶対動作方向と逆向きの力となる。そのため、その場合には、アクチュエータ力によってばね上部の動作が抑制されることとなる。そのことを考慮して、特定時振動抑制制御は、ばね上絶対動作方向とばね上相対動作方向とが一致する場合にモータ54の各相の通電端子間を開放させ、ばね上絶対動作方向とばね上相対動作方向とが逆向きである場合に通電端子間を短絡させることで、ばね上部の振動を減衰させることによって、ばね上部の振動を抑制する制御とされているのである。つまり、本サスペンションシステム10は、アクティブ制御が実行不能な状態であっても、特定時振動抑制制御によって、モータ54の各相の通電端子間を開放させた状態と短絡させた状態との切換だけの簡便な制御によって、いわゆるスカイフック理論に基づく振動減衰特性に類似する振動減衰特性が得られるようになっている。
特定時振動抑制制御は、上述したように、モータ54の各相の通電端子間を開放させた状態と、短絡させた状態とを切り換えるものである。具体的には、インバータ146に失陥が生じた場合を除いて、インバータ146によって開放状態と短絡状態との切換が行われる。まず、その前提として、特定時振動抑制制御が実行される場合には、ECU140が有する開閉スイッチ200がOFF状態とされ、バッテリ150とインバータ146との接続が切り離される。ちなみに、この場合、2つの開放・短絡切換スイッチ202,204は、OFF状態のままである。そして、インバータ146のすべてのスイッチング素子をOFF状態とすることでモータ54の各相の通電端子間を開放させた状態とし、インバータ146のhigh側のスイッチング素子HUS,HVS,HWSのすべてをON状態,low側のスイッチング素子LUS,LVS,LWSのすべてをOFF状態とすることで、通電端子間を相互に短絡させた状態とするのである。
また、例えば、インバータ146のスイッチング素子の故障や、スイッチング素子制御回路190の異常等によって、インバータ146が制御できない場合には、インバータ146とモータ54との間に設けられた2つの開放・短絡切換スイッチ202,204によって、開放状態と短絡状態との切換が行われる。それら2つの開放・短絡切換スイッチ202,204は、先に述べたようにフィルタ処理によって求められたばね上速度Vs'およびストローク速度Vst'によって、ばね上動作方向とばね上作用力方向とが判断され、開放状態であるOFF状態と、短絡状態であるON状態とが切り換えられる。
上述のようなアクチュエータ26の制御は、図6にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムが、イグニッションスイッチ160がON状態とされている間、短い時間間隔Δt(例えば、数msec〜数十msec)をおいてECU140により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、それら制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、アクチュエータ制御プログラムは、4つの車輪12にそれぞれ設けられたスプリング・アブソーバAssy20のアクチュエータ26の各々に対して実行される。以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのアクチュエータ26に対しての本プログラムによる処理について説明する。
上述のアクチュエータ制御プログラムを実行するECU140は、そのプログラムに従う各種の処理を実行する各種の機能部を有していると考えることができる。詳しく言えば、図8に示すように、ECU140は、S2の処理を実行して振動抑制成分FVを決定する機能部として、振動抑制制御部250を、S3の処理を実行してロール抑制成分FRを決定する機能部として、ロール抑制制御部252を、S4の処理を実行してピッチ抑制成分FPを決定する機能部として、ピッチ抑制制御部254を、それぞれ有している。また、S8の特定時振動抑制制御サブルーチンを実行してばね上部の振動を抑制する機能部として、特定時振動抑制制御部256を有している。さらに、ECU140は、上記振動抑制制御部250によって決定された振動抑制成分FVを含んだアクチュエータ力を発生させる制御と、特定時振動抑制制御部256による制御とのいずれを採用するかを判定する処理、つまり、S1の処理を実行する機能部として、制御判定部258を有している。
上記実施例のサスペンションシステム10は、特定時振動抑制制御の開放状態と短絡状態とをインバータ146によって切り換える際に、デューティ比を経過時間に応じて徐々に変化させることでアクチュエータ力の急変を抑制するように構成されていた。そのような制御に代えて、開放状態と短絡状態との間に、モータ54の3つの相のうち1つの相に電流が流れないように、high側のスイッチング素子1つと、そのhigh側のスイッチング素子とは異なる相のlow側のスイッチング素子1つとをON状態とし、モータ54の回転角に応じてそれらのスイッチング素子を切り換えるようにインバータ146を制御することで、アクチュエータ力の急変を抑制するように構成してもよい。また、開放・短絡切換スイッチ202,204によって開放状態と短絡状態とを切り換える際には、2つの開放・短絡切換スイッチ202,204のうちいずれか1つを切り換えて、3つの相のうち2つの相の通電端子間を短絡させ、その後、ある程度の時間をおいて、もう1つの開放・短絡切換スイッチを切り換えるようにすることで、アクチュエータ力の急変を抑制するようにしてもよい。
Claims (10)
- ばね上部とばね下部とを弾性的に連結するサスペンションスプリングと、
そのサスペンションスプリングと並列的に配設されるとともに、電磁式モータを有してその電磁式モータの力に依拠してばね上部とばね下部との相対動作に対する力であるアブソーバ力を発生可能な電磁式のショックアブソーバと、
そのショックアブソーバを制御する制御装置であって、ばね上部の絶対動作する向きであるばね上絶対動作方向とばね上部がばね下部に対して動作する向きであるばね上相対動作方向とが逆向きである場合に、前記電磁式モータの各相の通電端子間を開放させることによって前記電磁式モータに電流が流れない状態である非通電状態とし、前記ばね上絶対動作方向と前記ばね上相対動作方向とが同じ向きである場合に、前記電磁式モータの各相の通電端子間を相互に導通させることによって前記電磁式モータに電流が流れる状態である特定通電状態とすることで、ばね上部の振動を抑制する振動抑制制御を実行可能な制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
前記アブソーバ力を、ばね上部の前記ばね上絶対動作方向の速度であるばね上絶対速度に基づいて制御しつつばね上部の振動に対する減衰力として発生させる第2の振動抑制制御を実行可能とされるとともに、その第2の振動抑制制御と前記振動抑制制御とを切り換え可能に構成された請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
電源の高電位側端子と前記電磁式モータの各相の通電端子との間に設けられた高電位側スイッチング素子と、電源の低電位側端子と各相の通電端子との間に設けられた低電位側スイッチング素子とからなるスイッチング素子対を、前記電磁式モータの相数に対応して複数対有し、それらのスイッチング素子の作動を制御して前記電磁式モータに流れる電流量を調整する駆動回路を有する請求項1または請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
前記アブソーバ力を、少なくとも前記ばね上絶対速度に基づいて決定して少なくともばね上部の振動に対する減衰力として発生させる第2の振動抑制制御を実行可能とされるとともに、その第2の振動抑制制御と前記振動抑制制御とを切り換え可能に構成され、
前記駆動回路によって前記電磁式モータに流れる電流量を調整することで、前記第2の振動抑制制御における前記アブソーバ力を制御する請求項3に記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
前記電磁式モータの各相の通電端子間を開放させた状態と導通させた状態とを切り換える開放・導通切換器を有し、その開放・導通切換器の作動を制御することで、前記非通電状態と前記特定通電状態とを実現して前記振動抑制制御を実行可能とされた請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記開放・導通切換器が、前記電磁式モータの発電を制限することで、その電磁式モータに流れる電流量を調整する構造とされた請求項5に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記制御装置が、前記振動抑制制御の実行時において、前記開放・導通切換器が前記非通電状態と前記特定通電状態とを切り換える際に、前記電磁式モータに流れる電流量を漸変させるように前記開放・導通切換器を制御する請求項6に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記制御装置が、前記振動抑制制御の実行時において、ばね下共振周波数域の振動が検出された場合には、前記ばね上絶対動作方向と前記ばね上相対動作方向とが逆向きである場合であっても前記特定通電状態とし、その場合に前記電磁式モータに流れる電流量が、前記ばね上絶対動作方向と前記ばね上相対動作方向とが同じ向きである場合に前記電磁式モータに流れる電流量より小さくなるように前記開放・導通切換器を制御する請求項6または請求項7に記載の車両用サスペンションシステム。
- 前記制御装置が、
電源の高電位側端子と前記電磁式モータの各相の通電端子との間に設けられた高電位側スイッチング素子と、電源の低電位側端子と各相の通電端子との間に設けられた低電位側スイッチング素子とからなるスイッチング素子対を、前記電磁式モータの相数に対応して複数対有し、それらのスイッチング素子の作動を制御して前記電磁式モータに流れる電流量を調整する駆動回路を有し、
前記複数のスイッチング素子対のスイッチング素子の作動を制御することによって前記非通電状態と前記特定通電状態とを実現して前記振動抑制制御を実行可能とされることで、前記駆動回路を前記開放・導通切換器として機能させる請求項5ないし請求項8のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。 - 前記制御装置が、
電源の高電位側端子と前記電磁式モータの各相の通電端子との間に設けられた高電位側スイッチング素子と、電源の低電位側端子と各相の通電端子との間に設けられた低電位側スイッチング素子とからなるスイッチング素子対を、前記電磁式モータの相数に対応して複数対有し、それらのスイッチング素子の作動を制御して前記電磁式モータに流れる電流量を調整する駆動回路を有し、
その駆動回路とは別に前記開放・導通切換器を有する請求項5ないし請求項8のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
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