JP2009040244A - 車両用サスペンションシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】電源の充電状態の適切化を図ることによって、電磁式アクチュエータを備えたサスペンションシステムの実用性を向上させることを課題とする。
【解決手段】アクチュエータのモータを流れる通電電流の目標である目標通電電流iUA *,iVA *,iWA *の決定において、電源からモータへ電流が供給される状況下において、目標通電電流の成分であって、モータの磁石によって生じる磁界の方向と平行な方向であるd軸方向の成分であるd軸電流成分idA *を、電源の充電状態に基づいて増大可能に構成する(S28)。モータに流れる通電電流のd軸電流成分idA *は、磁石の磁界の方向に平行であることから、モータが発生させる力、つまり、アクチュエータ力への影響は小さい。本サスペンションシステムによれば、アクチュエータ力を大きく変化させることなくモータへの供給電流を増大させて、電源の過充電を回避することが可能である。
【選択図】図9

Description

本発明は、ばね上部とばね下部とに対してそれらが接近・離間する向きの力を発生させる電磁式のアクチュエータを含んで構成される車両用サスペンションシステムに関する。
近年では、車両用のサスペンションシステムとして、電磁式モータの力に依拠してばね上部とばね下部とに対してそれらが接近・離間する向きの力を発生させる電磁式のアクチュエータを含んで構成される電磁式サスペンションシステムが検討されており、例えば、下記特許文献に記載のシステムが存在する。その下記特許文献に記載のサスペンションシステムは、アクチュエータが、ばね上部とばね下部との間に配設されて電磁式のショックアブソーバとして機能するものであり、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づく振動減衰特性を容易に実現できる等の利点から、高性能なシステムとして期待されている。
特開2001−311452号公報
上述の振動減衰のためにショックアブソーバとして機能するアクチュエータは、走行中において常時作動させられることから、システムの電力消費は比較的多くなる。そこで、上記特許文献1に記載のサスペンションシステムでは、アクチュエータに発生させるべき減衰力の大きさと電源の充電状態に基づいて、モータが発電(回生)する状態と、電磁式モータに電流が供給されて力を発生させる状態とを切り換えるように構成され、消費電力を低減するようにされている。また、電源に電流が回生される場合を考えれば、上記のような電源の残存エネルギ量(いわゆる充電量)の低下だけでなく、過充電も問題となる。特に、電磁式サスペンションシステムが、モータによって発電された電流を電源に回生可能に構成される場合に、電源の過充電は問題となる。つまり、電源の充電状態の適切化を図ることによって、電磁式アクチュエータを備えたサスペンションシステムの実用性を向上させ得るのである。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用的な電磁式サスペンションシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明のサスペンションシステムは、アクチュエータのモータを流れる通電電流の目標である目標通電電流の決定において、電源からモータへ電流が供給される状況下において、目標通電電流の成分であってモータの磁石によって生じる磁界の方向と平行な方向であるd軸方向の成分であるd軸電流成分を、電源の充電状態に基づいて増大可能に構成されたことを特徴とする。
アクチュエータのモータに流れる通電電流のd軸電流成分は、磁石の磁界の方向に平行であることから、モータが発生させる力、つまり、アクチュエータが発生させるアクチュエータ力への影響は小さい。本発明のサスペンションシステムによれば、アクチュエータ力を大きく変化させることなくモータへの供給電流を増大させて、電源の過充電を回避することが可能である。そのような作用を奏することから、本発明の車両用サスペンションシステムは、電源の充電状態を適切化する機能を備えたものとなり、実用的なサスペンションシステムが実現することとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(3)項,(4)項の各々が請求項2,請求項3の各々に、(6)項ないし(9)項の各々が請求項4ないし請求項7の各々に、(18)項が請求項8に、(21)項が請求項9に、(23)項,(24)項の各々が請求項10,請求項11の各々に、それぞれ相当する。
(1)ばね上部とばね下部との間に配設され、電磁式モータを有し、その電磁式モータが発生させる力に依拠してばね上部とばね下部とに対してそれらが接近・離間する方向の力であるアクチュエータ力を発生可能なアクチュエータと、
前記電磁式モータと電源とを接続するとともに、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を制御する制御装置であって、前記電磁式モータを流れる電流である通電電流の目標となる目標通電電流を決定する目標通電電流決定部を有し、通電電流をその目標通電電流となるように調整することで、アクチュエータ力を制御する通電電流調整制御を実行可能な制御装置と
を備えた車両用サスペンションシステムであって、
前記目標通電電流決定部が、電源から前記電磁式モータへ電流が供給される状況下において、前記目標通電電流の成分であって、前記アクチュエータモータが有する磁石によって生じる磁界の方向と平行な方向であるd軸方向の成分であるd軸電流成分を、電源の充電状態に基づいて増大させるd軸電流成分増大部を有し、
前記制御装置が、前記d軸電流成分を増大させることで前記電磁式モータへの供給電流を増大させる電流増大制御を実行可能に構成されたことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
一般的に、車両に採用されるモータは、三相以上を有する複雑な構造のものが多く、それらの相を流れる電流や磁束等をそれぞれに制御するのは困難である。そこで、それらの複雑なモータを制御する手段として、例えば、電流や磁束等を、モータの磁石によって生じる磁界の方向と平行なd軸方向と、その磁界に直交するq軸方向とに分けて制御する方法が存在する。そして、モータが発生させる力は、磁界に直交する通電電流の成分であるq軸電流成分に大きく依存し、その磁界に平行なd軸電流成分の影響は小さい。本項に記載の態様は、アクチュエータのモータを流れる通電電流を目標通電電流となるように調整することでアクチュエータ力を制御するように構成され、電源からモータへ電流が供給される状況下において、目標通電電流のd軸電流成分を、電源の充電状態に基づいて増大させることが可能に構成される。つまり、本項の態様によれば、アクチュエータ力を大きく変化させることなくモータへの供給電流を増大させることが可能であり、電源を放電させて過充電を回避することが可能である。なお、本項にいう「d軸電流成分を増大させる」には、d軸電流成分を0から0ではない何らかの値とすることも含まれる。
本項に記載の「電源の充電状態」に関する指標として、例えば、いわゆる充電量,残存エネルギ量,残存電気量,充電容量を基準とした残存エネルギ量の割合等を採用可能であり、本項の態様は、それらのいずれかに基づいてd軸電流成分が増大されるような態様とすることが可能である。具体的には、充電量,残存エネルギ量,残存電気量等に関する指標として、例えば、電源電圧やその電圧変動を採用することが可能である。
本項の態様における「アクチュエータ」は、例えば、後に説明するような電磁式ショックアブソーバとすることが可能である。また、一端部がばね上部とばね下部との一方に連結される弾性体を備え、アクチュエータが、その弾性体の他端部とばね上部とばね下部との他方との間に配設されて、モータ力に依拠して自身が発生させる力を弾性体に作用させることで、自身の動作位置に応じて弾性体の変形量を変化させるとともに、その力を弾性体を介してばね上部とばね下部とに作用させて、それらが接近・離間する向きの力を発生させる構造の装置、いわゆる左右独立型のスタビライザ装置の一構成要素とすることも可能である。アクチュエータの動力源である「電磁式モータ」も、その形式等は特に限定されず、ブラシレスDCモータを始めとして、ACモータ等の種々の形式のモータを採用可能である。
(2)前記制御装置が、
前記電磁式モータと電源との間に配設され、前記電磁式モータを流れる通電電流を調整しつつその電磁式モータを駆動するとともに、起電力に依拠して前記電磁式モータによって発電された電流を電源に回生可能な構造とされた駆動回路を有する(1)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、アクチュエータの作動によって電源の残存エネルギ量(充電量)が増加させられる場合があるため、前記電流増大制御が、特に有効な態様である。
(3)前記電流増大制御が、電源の残存エネルギ量が放電必要閾量より多い状況下において実行される制御である(1)項または(2)項に記載の車両用サスペンションシステム。
電源の残存エネルギ量が多い状況下、つまり、充電状態が高い場合には、放電させることが望ましい。本項に記載の態様は、そのような場合に電流増大制御が実行される態様であり、例えば、残存エネルギ量が比較的多くなった時にのみ電流増大制御を実行する態様とすることが可能である。本項の態様によれば、必要度の高い場合にのみ、放電量を多くする、あるいは、強制的に放電させることが可能である。
(4)前記制御装置が、
前記電磁式モータと電源との間に配設され、前記電磁式モータを流れる通電電流を調整しつつその電磁式モータを駆動するとともに、起電力に依拠して前記電磁式モータによって発電された電流を電源に回生可能な構造とされた駆動回路を有し、
前記d軸電流成分増大部が、前記放電必要閾量を、車両が走行している路面の状態であって当該車両用サスペンションシステムの回生効率の高さが依存する路面の状態に基づいて変更するように構成された(3)項に記載の車両用サスペンションシステム。
(5)前記d軸電流成分増大部が、前記放電必要閾量を、車両が走行している路面が回生効率の高い路面である場合において、回生効率の低い路面である場合に比較して小さくするように構成された(4)項に記載の車両用サスペンションシステム。
上記2つの項に記載の態様は、前記放電必要閾量を変更可能とされた態様である。上記2つの項における「回生効率」とは、所定時間走行した場合における回生エネルギ量、あるいは、所定距離走行した場合における回生エネルギ量を意味し、その回生効率が高い路面である場合においては、過充電となる可能性が高くなるため、後者の態様のように、放電必要閾量を小さくして、放電され易い状態とすることが望ましい。本項に記載の態様は、例えば、ナビゲーションシステムと連係させて、実際に走行した時の回生エネルギ量が多かった場所、つまり、回生効率の高かった場所を記憶させ、その場所を次に走行する場合に放電必要閾量を変更する態様とすることが可能である。
(6)前記d軸電流成分増大部が、前記d軸電流成分を、電源の残存エネルギ量が多い場合に、少ない場合に比較して大きくするものである(1)項ないし(5)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、残存エネルギ量が多い場合に、供給電流を大きくして、放電量を大きくする態様である。本項の態様には、例えば、残存エネルギ量がある閾値より多くなった場合に、通常の状態におけるd軸電流成分より大きくする態様や、残存エネルギ量が多くなる程、d軸電流成分が大きくなるような態様を採用することが可能である。本項に記載の態様によれば、d軸電流成分を適切な大きさに変更して、放電量を適切な大きさとすることが可能となる。
(7)前記制御装置が、前記アクチュエータの温度が閾温度より高くなった場合に、前記電流増大制御の実行を禁止するように構成された(1)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の「アクチュエータの温度」は、例えば、電磁式モータの温度,ねじ機構を有するアクチュエータにおけるねじ機構の温度等、アクチュエータの特定の部位の温度であってもよく、また、電磁式モータが駆動回路によって駆動される場合における駆動回路の温度、アクチュエータに接触してアクチュエータから熱が伝達される部材,機器の温度、アクチュエータの周囲の環境温度等から推定されるものであってもよい。本項の態様は、それらの各種温度うち少なくとも1つに基づいて、電流増大制御を実行するか否かが判断されればよい。
本項に記載の態様には、上記のようなアクチュエータの温度を直接検出するセンサを設けた態様を採用可能である。ただし、そのような態様に限定されるのではなく、アクチュエータの温度が推定されるように構成された態様も採用可能である。例えば、電磁式モータに流れる電流が大きくなれば、電磁式モータの発熱量も大きくなり、電磁式モータの温度が高くなっていると想定される。つまり、電磁式モータの温度を、電磁式モータの通電電流に基づいて推定することが可能である。一般的に、電磁式のサスペンションシステムには、電磁式モータに流れる電流を検出する電流センサが設けられる場合が多く、その電流センサの検出結果を用いて電磁式モータの温度が推定されれば、アクチュエータの温度を検出するセンサ等を余計に設ける必要がない。つまり、アクチュエータの通常の制御に必要とされるセンサに基づいて、アクチュエータの温度が推定されるように構成すれば、システムが複雑化することを防止できる。
アクチュエータの温度が高い場合には、アクチュエータの発熱量が多くなっていることが予測され、アクチュエータへの負担が大きいと考えることができる。また、電流増大制御は、モータを流れる通電電流を増大させるため、モータの発熱量が多くなることが予測される。本項の態様によれば、アクチュエータの負担が継続して大きい場合に、さらに負担となる電流増大制御が禁止されるため、アクチュエータの過熱による損傷を防止することが可能である。
(8)前記制御装置が、停車中であることを条件として、前記電流増大制御を実行するように構成された(1)項ないし(7)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
停車中であれば、アクチュエータは作動していないため、通常の制御によってアクチュエータの負担はそれ以上大きくならないと予測される。つまり、本項の態様は、通常の制御によってアクチュエータの負担が大きくならないと想定される場合に電流増大制御が実行されるようになっているため、アクチュエータの過熱を防止するのに好適である。
(9)前記制御装置が、
前記電磁式モータと電源との間に配設され、前記電磁式モータを流れる通電電流を調整しつつその電磁式モータを駆動するとともに、起電力に依拠して前記電磁式モータによって発電された電流を電源に回生可能な構造とされた駆動回路を有し、
前記通電電流調整制御に代えて、前記電磁式モータによって発電された電流の電源への回生を禁止する制御である回生禁止制御を実行可能に構成された(1)項ないし(8)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様によれば、回生禁止制御によって電源に回生される電流を0として、電源が充電されることを禁止することが可能である。本項に記載の態様は、例えば、残存エネルギ量が最大に近い場合に、回生禁止制御が実行される態様を採用することが可能である。
(10)前記制御装置が、
前記通電電流調整制御に代えて、前記電磁式モータの各相の通電端子間を導通させる導通制御を実行可能に構成された(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、電磁式モータの各相の通電端子間に何らかの抵抗を存在させて導通させるものであってもよく、また、通電端子間を短絡させるようにして導通させるものであってもよい。本項の態様によれば、電源に回生される電流が0とされ、充電を禁止することが可能である。つまり、本項の態様は、前述の回生禁止制御を実行可能な態様の一態様と考えることも可能である。
(11)前記電流増大制御が、電源の残存エネルギ量が放電必要閾量より多い状況下において実行される制御であり、
前記導通制御が、電源の残存エネルギ量が、前記放電必要閾量より大きい値に設定された過充電閾量より多い状況下において実行される制御である(10)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、電源への回生を禁止するための閾量を設けた態様である。本項の態様によれば、電流増大制御が充分に実行されずに残存エネルギ量が増えてしまった場合であっても、電磁式モータの各相の通電端子間を導通させることで電源への回生を禁止して、過充電を防止することが可能である。なお、一般的に、電源には、アクチュエータ以外の装置等も接続されており、そのアクチュエータ以外の装置等を駆動するために、電源から電流が供給されることになる。つまり、本項の態様では、電源への回生が禁止されるとともに、電流の消費も0となるが、アクチュエータ以外の装置等に電流が供給されて、電源の残存エネルギ量は減少することになる。
(12)前記目標通電電流決定部が、前記d軸電流成分と、前記目標通電電流の成分であって前記電磁式モータが有する磁石によって生じる磁界の方向と直交する方向であるq軸方向の成分であるq軸電流成分とを決定し、前記目標通電電流を、それらd軸電流成分とq軸電流成分とに基づいて決定する(1)項ないし(11)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、電磁式モータの制御が、いわゆるベクトル制御される態様である。本項の態様によれば、目標通電電流の決定の際に、常時、d軸電流成分とq軸電流成分とが求められるため、電流増大制御の実行が容易である。
(13)前記目標通電電流決定部が、前記電流増大制御が実行されない場合に、前記d軸電流成分を0に決定し、前記目標通電電流を決定するものである(12)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、通常時に、d軸電流成分を常に0に保つ制御であり、例えば、d軸電流成分を0として、q軸電流成分を目標となるアクチュエータ力に比例させる態様を採用可能である。本項の態様によれば、通常の制御時におけるモータの通電電流を小さくすることができ、システムの電力消費をできるだけ少なくすることが可能である。なお、本項の態様は、電磁式モータが発生させる力がq軸電流成分にのみ依存する場合に好適である。ちなみに、本項の態様においては、d軸電流成分を0ではない何らかの値に決定するだけで、電流増大制御が実行されることになる。
(14)前記電磁式モータが、複数のコイルを有し、それらコイルのインダクタンスの前記d軸方向の成分と、前記q軸方向の成分とが等しくされたものである(1)項ないし(13)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、電磁式モータが発生させる力が、q軸電流成分に比例することになるため、d軸電流成分はアクチュエータが発生させる力に影響がない。つまり、本項の態様は、前述のd軸電流成分を0とするベクトル制御が、有効な態様である。
(15)前記電磁式モータが、ブラシレスDCモータである(1)項ないし(14)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
ブラシレスDCモータは、制御性が良好であるため、アクチュエータの動力源として好適である。なお、ブラシレスDCモータの構造を限定することで、コイルのインダクタンスのd軸方向の成分とq軸方向の成分とを等しくすることが可能である。その場合には、本項の態様は、先に述べた電磁式モータがコイルのインダクタンスのd軸方向の成分とq軸方向の成分とが等しくされたものである態様の一態様となる。
(16)制御装置が、前記電磁式モータを、正弦波駆動するように構成された(15)項に記載の車両用サスペンションシステム。
正弦波駆動されるブラシレスDCモータは、一般的に、モータの制御に前述のd軸電流成分を0とするベクトル制御が用いられることから、電流増大制御を実行可能なシステムに好適である。
(17)前記アクチュエータが、
ばね上部に連結されるばね上部側ユニットと、ばね下部に連結されてばね上部とばね下部との接近・離間に応じた前記ばね上部側ユニットとの相対移動が可能なばね下部側ユニットとを有し、前記電磁式モータの力に依拠して前記ばね上部側ユニットと前記ばね下部側ユニットとの相対移動に対する力を発生させる電磁式のショックアブソーバである(1)項ないし(16)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、アクチュエータの用途を、車両に発生している振動を減衰させる機能を発揮させるものに限定した態様である。ただし、本項の態様は、その振動を減衰させる機能のみを発揮させるものに限定されるのではなく、本項の態様には、例えば、その振動を減衰させる機能に加えて、車両の旋回,加減速等に起因する車体のロール,ピッチ等の抑制を目的として、車体の姿勢を制御する機能を発揮させるものを採用可能である。
(18)当該車両用サスペンションシステムが、車両が有する複数の車輪に対応して、それぞれが前記アクチュエータである複数のアクチュエータを備え、
前記制御装置が、前記電流増大制御を、前記複数のアクチュエータのうちの1以上のものに対して選択的に実行可能に構成された(1)項ないし(17)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、複数の車輪に対応してアクチュエータが配設された態様であり、例えば、継続して負担が大きくないアクチュエータのみ電流増大制御が実行される態様とすることが可能である。
(21)当該車両用サスペンションシステムが、
前記アクチュエータとは別に、電磁式モータを有してその電磁式モータが発生させる力に依拠して作動する電磁式作動装置を備えた車両に搭載され、
前記制御装置が、
前記電磁式作動装置の電磁式モータと電源とを接続するとともにその電磁式モータを流れる通電電流を調整することで、前記電磁式作動装置の作動を制御することが可能とされ、
前記アクチュエータに対する供給電流を増大させる前記電流増大制御である対アクチュエータ電流増大制御に加え、
電源から前記電磁式作動装置の電磁式モータへ電流が供給される状況下において、その電磁式モータの目標となる通電電流の成分であって、その電磁式モータが有する磁石によって生じる磁界の方向と平行な方向であるd軸方向の成分であるd軸電流成分を増大させることで前記電磁式作動装置の電磁式モータへの供給電流を増大させる対作動装置電流増大制御を実行可能に構成された(1)項ないし(18)項のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、サスペンションシステムが備えた制御装置が、アクチュエータとは別に、電磁式モータが発生させる力に依拠して作動する装置の目標通電電流のd軸電流成分をも増大可能に構成された態様である。本項の態様によれば、他の装置をも利用して放電可能であることから、より確実に電源の過充電を回避することが可能である。本項の態様は、サスペンションシステムが備えた制御装置が、アクチュエータおよび電磁式作動装置の両者を常時制御可能な単一のものとされた態様であってもよく、また、サスペンションシステムを備えた車両が、アクチュエータを制御する制御ユニットの他に、通常時に電磁式作動装置を制御する制御ユニットをも備えた態様であってもよい。後者の場合には、対作動装置電流増大制御の実行時に、その電磁式作動装置を制御する制御ユニットに代えてアクチュエータを制御する制御ユニットが電磁式作動装置を制御する態様であってもよく、アクチュエータを制御する制御ユニットが電磁式作動装置を制御する制御ユニットに指令を出力するような態様であってもよい。つまり、本項の態様における「制御装置」は、アクチュエータを制御する制御ユニットと、他の制御ユニットのすべてあるいは一部を含んで構成されてもよい。なお、本項に記載の「対作動装置電流増大制御」には、前述の対アクチュエータ電流増大制御に採用可能な各態様を、同様に採用することが可能である。
(22)前記電磁式作動装置が、前記電磁式モータが発生させる力に依拠して車輪を転舵させる力を発生させる転舵力発生装置である(21)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、例えば、モータが発生させる力が、それのみで車輪を転舵させる力とされる態様、つまり、電磁式作動装置が、いわゆるステアバイワイヤ型のステアリング装置とされた態様を採用可能である。また、例えば、モータが発生させる力が、操作力を助勢する力とされる態様、つまり、電磁式作動装置が、いわゆる電動式パワーステアリング装置とされた態様を採用可能である。
(23)制御装置が、
前記対アクチュエータ電流増大制御と、前記対作動装置電流増大制御とを選択的に実行可能に構成された(21)項または(22)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、例えば、アクチュエータと電磁式作動装置とのうちモータの負担が小さいものに増大制御が実行される態様を採用可能であり、そのような態様とすれば、アクチュエータおよび電磁式作動装置の過熱による損傷を防止することが可能である。
(24)前記制御装置が、
前記アクチュエータの温度が閾温度より高くなった場合に、前記対アクチュエータ電流増大制御の実行を禁止するように構成され、
前記対アクチュエータ電流増大制御の実行が禁止された場合に、前記対作動装置電流増大制御を実行するように構成された(21)項ないし(23)項に記載の車両用サスペンションシステム。
本項に記載の態様は、すべてのアクチュエータの負担が継続して大きい場合に、電磁式作動装置の電磁式モータへの供給電流を増大させる態様、換言すれば、優先して対アクチュエータ電流増大制御を実行する態様である。本項の態様には、電磁式作動装置の温度が閾温度より高くなった場合に、対作動装置電流増大制御の実行が禁止される態様を採用可能である。そのような態様とすれば、アクチュエータおよび電磁式作動装置の両者の過熱による損傷を防止することが可能である。
以下、請求可能発明の実施例とその変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪サスペンションシステムの構成≫
図1に、請求可能発明の実施例であるサスペンションシステム10を備えた車両を模式的に示す。本サスペンションシステム10は、前後左右の車輪12の各々に対応する独立懸架式の4つのサスペンション装置を備えており、それらサスペンション装置の各々は、サスペンションスプリングとショックアブソーバとが一体化されたスプリング・アブソーバAssy20を有している。車輪12,スプリング・アブソーバAssy20は総称であり、4つの車輪のいずれに対応するものであるかを明確にする必要のある場合には、図に示すように、車輪位置を示す添え字として、左前輪,右前輪,左後輪,右後輪の各々に対応するものにFL,FR,RL,RRを付す場合がある。
スプリング・アブソーバAssy20は、図2に示すように、車輪12を保持してばね下部の一部分を構成するサスペンションロアアーム22と、車体に設けられてばね上部の一部分を構成するマウント部24との間に、それらを連結するようにして配設された電磁式のアクチュエータ26と、それと並列的に設けられたサスペンションスプリングとしてのエアスプリング28とを備えている。
アクチュエータ26は、アウタチューブ30と、そのアウタチューブ30に嵌入してアウタチューブ30の上端部から上方に突出するインナチューブ32とを含んで構成されている。アウタチューブ30は、それの下端部に設けられた取付部材34を介してロアアーム22に連結され、一方、インナチューブ32は、それの上端部に形成されたフランジ部36においてマウント部24に連結されている。アウタチューブ30には、その内壁面にアクチュエータ26の軸線の延びる方向(以下、「軸線方向」という場合がある)に延びるようにして1対のガイド溝38が設けられるとともに、それらのガイド溝38の各々には、インナチューブ32の下端部に付設された1対のキー40の各々が嵌まるようにされており、それらガイド溝38およびキー40によって、アウタチューブ30とインナチューブ32とが、相対回転不能、軸線方向に相対移動可能とされている。ちなみに、アウタチューブ30の上端部には、シール42が付設されており、後に説明する圧力室44からのエアの漏れが防止されている。
また、アクチュエータ26は、ねじ溝が形成された雄ねじ部としてのねじロッド50と、ベアリングボールを保持してそのねじロッド50と螺合する雌ねじ部としてのナット52とを含んで構成されたボールねじ機構と、動力源としての電磁式モータ54(以下、単に「モータ54」という場合がある)とを備えている。モータ54はモータケース56に固定して収容されるとともに、そのモータケース56の鍔部がマウント部24の上面側に固定されており、モータケース56の鍔部にインナチューブ32のフランジ部36が固定されていることで、インナチューブ32は、モータケース56を介してマウント部24に連結されている。
モータ54は、モータ軸58を有しており、そのモータ軸58の外周部には、周方向に複数の永久磁石60が固定されて配設されており、それらは、モータ54のロータを構成している。永久磁石60に対向するように、複数の極体62(コアにコイルが巻回されたもの)が、モータケース56の内面に固定されて配設され、それらの極体62の各々がステータ極とされることで、それらはステータを構成している。このような構造とされることで、モータ54は、いわゆるブラシレスDCモータとされているのである。また、モータ軸58は、ねじロッド50の上端部と一体的に接続されている。つまり、ねじロッド50は、モータ軸58を延長する状態でインナチューブ32内に配設され、モータ54によって回転させられる。一方、ナット52は、ねじロッド50と螺合させられた状態で、アウタチューブ30の内底部に付設されたナット支持筒64の上端部に固定支持されている。
エアスプリング28は、マウント部24に固定されたハウジング70と、アクチュエータ26のアウタチューブ30に固定されたエアピストン72と、それらを接続するダイヤフラム74とを備えている。ハウジング70は、概して有蓋円筒状をなし、蓋部76に形成された穴にアクチュエータ26のインナチューブ32を貫通させた状態で、蓋部76の上面側においてマウント部24の下面側に固定されている。エアピストン72は、概して円筒状をなし、アウタチューブ30を嵌入させた状態で、アウタチューブ30の上部に固定されている。それらハウジング70とエアピストン72とは、ダイヤフラム74によって気密性を保ったまま接続されており、それらハウジング70とエアピストン72とダイヤフラム74とによって圧力室44が形成されている。その圧力室44には、流体としての圧縮エアが封入されている。このような構造から、エアスプリング28は、その圧縮エアの圧力によって、ロアアーム22とマウント部24、つまり、車輪12と車体とを相互に弾性的に支持しているのである。
上述のような構造から、ばね上部とばね下部とが接近・離間する場合、アウタチューブ30とインナチューブ32とは、軸線方向に相対移動が可能とされている。その相対移動に伴って、ねじロッド50とナット52とが軸線方向に相対移動するとともに、ねじロッド50がナット52に対して回転する。モータ54は、ねじロッド50に回転トルクを付与可能とされ、この回転トルクによって、ばね上部とばね下部との相対動作(ストローク動作)に対して、そのストローク動作を阻止する抵抗力を発生させることが可能とされている。この抵抗力をばね上部とばね下部とのストローク動作に対する減衰力として作用させることで、アクチュエータ26は、いわゆるアブソーバ(「ダンパ」と呼ぶこともできる)として機能するものとなっている。言い換えれば、アクチュエータ26は、自身が発生させる軸線方向の力であるアクチュエータ力によって、ストローク動作に対して減衰力を付与する機能を有しているのである。また、アクチュエータ26は、アクチュエータ力を、ストローク動作に対する推進力つまり駆動力として作用させる機能をも有している。この機能により、ばね上部の動作に対してばね上絶対速度に比例する減衰力を作用させるいわゆるスカイフックダンパ理論に基づく制御、および、ばね下部の動作に対してばね下絶対速度に比例する減衰力を作用させる擬似的なグランドフック理論に基づく制御を実行することが可能とされている。さらに、アクチュエータ26は、アクチュエータ力によって上下方向におけるばね上部とばね下部との距離(以下、「ばね上ばね下間距離」という場合がある)を積極的に変更し、また、ばね上ばね下間距離を所定の距離に維持する機能をも有している。この機能によって、旋回時の車体のロール,加速・減速時の車体のピッチ等を効果的に抑制すること、車両の車高を調整すること等が可能とされているのである。
図1に示すように、サスペンションシステム10は、各スプリング・アブソーバAssy20が有するエアスプリング28に対して流体としてのエア(空気)を流入・流出させるための流体流入・流出装置、詳しく言えば、エアスプリング28の圧力室44に接続されて、その圧力室44にエアを供給し、圧力室44からエアを排出するエア給排装置80を備えている。詳しい説明は省略するが、本サスペンションシステム10は、エア給排装置80によって、各エアスプリング28の圧力室44内のエア量を調整することが可能とされており、エア量の調整によって、各エアスプリング28のばね長を変更し、各車輪12についてのばね上ばね下間距離を変化させることが可能とされている。具体的に言えば、圧力室44のエア量を増加させてばね上ばね下間距離を増大させ、エア量を減少させてばね上ばね下間距離を減少させることが可能とされている。
本サスペンションシステム10は、図1に示すように、サスペンション電子制御ユニット140(以下、「サスペンションECU140」という場合がある)によって、ススプリング・アブソーバAssy20の作動、つまり、アクチュエータ26およびエアスプリング28の制御が行われる。詳しくは、アクチュエータ26のモータ54およびエア給排装置80の作動の制御が行われる。サスペンションECU140は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたコントローラ142と、エア給排装置80の駆動回路としてのドライバ144と、各アクチュエータ26が有するモータ54に対応する駆動回路としてのインバータ146とを有している。そのドライバ144およびインバータ146は、コンバータ148を介してバッテリ150に接続されており、エア給排装置80が有する各制御弁,ポンプモータ等、および、各アクチュエータ26のモータ54には、そのコンバータ148とバッテリ150とを含んで構成される電源から電流(電力)が供給される。
図3に示すように、各アクチュエータ26のモータ54は、コイルがスター結線(Y結線)された三相ブラシレスDCモータであり、上述したようにインバータ146によって制御駆動される。そのインバータ146は、図に示すような一般的なものであり、high側(高電位側),low側(低電位側)のそれぞれに対応し、かつ、モータ54の3つの相であるU相,V相,W相のそれぞれに対応する6つのスイッチング素子HUS,HVS,HWS,LUS,LVS,LWSを備えている。また、インバータ146が有するスイッチング素子制御回路160には、モータ54に設けられてモータ54の回転角を検出するレゾルバ[θ]162と,インバータ146内に設けられて実際にモータ54を流れる電流である通電電流を測定する通電電流センサ[I]164とが接続されている。そのスイッチング素子制御回路160は、レゾルバ162によりモータ回転角(電気角)を判断し、そのモータ回転角に基づいてスイッチング素子を開閉作動させる。インバータ146は、いわゆる正弦波駆動によってモータ54を駆動するのであり、モータ54の3つの相の各々に流れる電流が、それぞれが正弦波状に変化し、その位相差が電気角で120°ずつ異なるように、スイッチング素子が制御される。そのスイッチング素子の制御は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われる。
モータ54が発生する回転トルクの方向は、モータ54が実際に回転している方向と同じ方向である場合もあり、また、逆の場合もある。モータ54が発生する回転トルクの方向とモータ54の回転方向が逆となる場合、つまり、アクチュエータ26が、アクチュエータ力を車輪と車体との相対動作に対する抵抗力として作用させている場合には、モータ54の発生させる力は、必ずしも、電源から供給される電力に依存したものとはならない。詳しく言えば、モータ54が外部からの力によって回転させられることで、そのモータ54に起電力が生じ、モータ54は、その起電力に依存したモータ力を発生させる場合、つまり、アクチュエータ26が起電力に依存したアクチュエータ力を発生させる場合もある。
図4に、モータ54の回転速度ωとモータ54が発生させる回転トルク(モータ54の通電電流)との関係を概念的に示す。この図における領域(a)が、モータ54の回転トルクの方向と回転方向が同じ方向となる領域であり、領域(b)および領域(c)が、モータ54の回転トルクの方向と回転方向が逆となる領域である。領域(b)と領域(c)とを区画する線は、モータ54の各相の通電端子間を短絡させた場合の特性線、すなわち、いわゆる短絡制動させた場合に得られるモータ54の回転速度ωと回転トルクとの関係を示す短絡特性線である。回転速度ωに対してモータ54が発生させる回転トルクがその短絡特性線における回転トルクより小さい領域(c)が、モータ54が発電機として機能し、モータ54が起電力に依存した抵抗力となる回転トルクを発生させる領域である。ちなみに、領域(b)は、モータ54がバッテリ150から電流の供給を受けて抵抗力となるトルクを発生させる領域、いわゆる逆転制動領域であり、領域(a)は、モータ54がバッテリ150から電流の供給を受けて駆動力となるトルクを発生させる領域である。
なお、インバータ146は、起電力よって発電された電流をバッテリ150に回生可能な構造とされている。つまり、モータ54の回転速度ωとモータ54が発生する回転トルクとの関係が上記領域(c)となる場合に、起電力に依拠した発電電流が回生されるのである。また、モータ54が発生する回転トルクとモータ54の回転方向が逆となる場合においては、前述したスイッチング素子のPWM制御は、起電力によってモータ54の各コイルに流れる電流を調整するものとなっており、デューティ比を変更することで、モータ54が発生する回転トルクの大きさが変更されることになる。すなわち、インバータ146は、電源からの供給電流であるか、あるいは、起電力によって生じる発電電流であるかに拘わらず、モータ54のコイルを流れる電流、つまり、モータ54の通電電流を調整して、モータ力を制御する構造とされているのである。
≪ステアリングシステムの構成≫
本サスペンションシステム10を備えた車両には、ステアリングシステム180も搭載される。そのステアリングシステム180は、パワーステアリングシステムであり、大きくは、操作装置182と、転舵装置184と、ステアリング電子制御ユニット186(以下、「ステアリングECU186」略す場合がある)とに区分することができ、それらを構成要素として含んで構成されている。
操作装置182は、ステアリング操作部材としてのステアリングホイール190と、一端部にステアリングホイール190が接続されたステアリングシャフト192とを含んで構成され、詳細な図は省略するが、そのステアリングシャフト192が、後に説明する転舵装置184が有する入力軸としてのピニオン軸200に他の部材等を介して連結されることで、操作装置182が転舵装置184に接続される。
転舵装置184について、図5をも参照しつつ説明する。図5は、転舵装置184を下方から見た断面図である。転舵装置184は、車体(詳しくは、シャーシ)に固定されたハウジング210と、ハウジング210に軸方向(車両の左右方向)に移動可能に設けられた転舵ロッド212を主体として構成されている。上述したように、転舵装置184は、操作装置182側からの操舵力が入力されるピニオン軸200を有している。転舵ロッド212には、ピニオン軸200に形成されたピニオン216と噛合するラック218が形成され、ピニオン軸200と転舵ロッド212とは、ラックアンドピニオン機構によって連結されている。そのような構造により、ピニオン軸200の回転によって転舵ロッド212が軸方向に移動するようにされている。また、転舵ロッド212の両端部の各々は、左右の前輪12FL,12FRに連結されている。
転舵装置184は、動力源としての助勢モータ230(電磁式モータである)の駆動力によって、車輪12の転舵に要する転舵力を助勢する助勢機構232を備えており、いわゆる電動式パワーステアリングシステムとされている。助勢機構232は、ボールねじ機構234も有しており、そのボールねじ機構は、転舵ロッド212に形成されたねじ溝(雄ねじ)236と、ベアリングボールを有してそのねじ溝236に螺合するボールナット238とを含んで構成されている。ボールナット238は、ハウジング210内に軸受240を介して回転可能に保持された中空のモータ軸である回転軸242にそれと同軸的に固定されており、転舵ロッド212は、この回転軸242内を挿通した状態でボールナット238と螺合させられている。その回転軸242の外周部には、周方向に複数の永久磁石244が固定されて配設されており、それらは、助勢モータ230のロータを構成している。永久磁石244に対向するように、複数の極体246(コアにコイルが巻回されたもの)が、ハウジング210の内面に固定されて配設され、それらの極体246の各々がステータ極とされることで、それらはステータを構成している。このような構造とされることで、助勢モータ230は、いわゆるブラシレスDCモータとされているのである。上記のような構造により、助勢モータ230によってボールナット238に回転力が付与され、転舵ロッド212に移動力が付与される。つまり、助勢モータ230の駆動力によって、転舵ロッド212の移動が助勢される構造とされているのである。
本ステアリングシステム180は、図1に示すように、ステアリングECU186によって、転舵装置184の制御、詳しくは、助勢モータ230の作動の制御が行われる。ステアリングECU186は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されたコントローラ260と、助勢モータ230を駆動するインバータ262とを有している。そのインバータ262は、図3に示したアクチュエータ26のインバータ146と同じ構成のものであり、助勢モータ230も、モータ54と同様の三相ブラシレスDCモータであり、インバータ262は、助勢モータ230を先に述べたように駆動する。なお、インバータ262は、アクチュエータ26のインバータ146の各々が接続されたものと同じバッテリ150に接続されており、そのバッテリ150から助勢モータ230に電流が供給される。その助勢モータ230が発生させる力に依拠した転舵装置184が発生させる助勢力は、専ら電源から供給される電流に依存した力であり、図4に示す(a)の領域の力となる。なお、ステアリングECU186と、前述のサスペンションECU140とは、相互に通信可能に接続されている。
≪車両に搭載されるセンサ≫
車両には、イグニッションスイッチ[I/G]280,車両走行速度(以下、「車速」と略す場合がある)を検出するための車速センサ[v]282,各車輪12についてのばね上ばね下間距離を検出する4つのハイトセンサ[h]284,車高変更指示のために運転者によって操作される車高変更スイッチ[HSw]286,ステアリングホイール190の操作角を検出するための操作角センサ[δ]288,トーションバーを主体として構成されたステアリングホイール20の操作力を検出する操作力センサ[Tq]290,車体に実際に発生する前後加速度である実前後加速度を検出する前後加速度センサ[Gx]292,車体に実際に発生する横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ[Gy]294,各車輪12に対応する車体の各マウント部24の縦加速度(上下加速度)を検出する4つのばね上縦加速度センサ[Gzs]296,各車輪12の縦加速度を検出する4つのばね下縦加速度センサ[Gzg]298,アクセルスロットルの開度を検出するスロットルセンサ[Sr]300,ブレーキのマスタシリンダ圧を検出するブレーキ圧センサ[Br]302,電源の充電状態に関する指標としてのバッテリ150の残存エネルギ量を検出するための充電量センサ[E]304等が設けられており、それらはサスペンションECU140,ステアリングECU186のコンピュータに接続されている。サスペンションECU140,ステアリングECU186は、それらのスイッチ,センサからの信号に基づいて、スプリング・アブソーバAssy20,転舵装置184の作動の制御を行うものとされている。ちなみに、[ ]内の文字は、上記スイッチ,センサ等を図面において表わす場合に用いる符号である。また、サスペンションECU140のコンピュータが備えるROMには、後に説明するところのアクチュエータ26の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶され、ステアリングECU186のコンピュータが備えるROMには、後に説明するところの転舵装置184の制御に関するプログラム,各種のデータ等が記憶されている。
≪サスペンションシステムの制御≫
本サスペンションシステム10では、4つのスプリング・アブソーバAssy20の各々を独立して制御することが可能となっている。それらスプリング・アブソーバAssy20の各々において、アクチュエータ26のアクチュエータ力が独立して制御されて、車体および車輪12の振動、つまり、ばね上振動およびばね下振動を減衰するための制御(以下、「振動減衰制御」という場合がある)が実行される。また、車両の旋回に起因する車体のロールを抑制するための制御(以下、「ロール抑制制御」という場合がある),車両の加減速に起因する車体のピッチを抑制するための制御(以下、「ピッチ抑制制御」という場合がある)が実行される。上記振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御は、各制御ごとのアクチュエータ力の成分である振動減衰成分,ロール抑制成分,ピッチ抑制成分を合計して目標アクチュエータ力が決定され、アクチュエータ26がその目標アクチュエータ力を発生させるように制御されることで、総合的に実行される。なお、以下の説明において、アクチュエータ力およびそれの成分は、ばね上部とばね下部とを離間させる方向(リバウンド方向)の力に対応するものが正の値,ばね上部とばね下部とを接近させる方向(バウンド方向)の力に対応するものが負の値となるものとして扱うこととする。
なお、本サスペンションシステム10では、エアスプリング28によって、路面の起伏が大きい道路の走行への対処等を目的として運転者の意思に基づいて車両の車高を変更する制御(以下、「車高変更制御」という場合がある)も実行される。その車高変更制御について簡単に説明する。車高変更制御は、運転者の意図に基づく車高変更スイッチ286の操作によって実現すべき設定車高である目標設定車高が変更された場合において、実行される。その目標設定車高の各々に応じて、各車輪12についての目標となるばね上ばね下間距離が設定されており、ハイトセンサ284の検出値に基づいて、それぞれの車輪12についてのばね上ばね下間距離が目標距離になるように、エア給排装置80の作動が制御され、各車輪12のばね上ばね下間距離が目標設定車高に応じた距離に変更されるのである。さらに、この車高変更制御では、例えば、乗員数の変化,荷物の積載量の変化等による車高の変動に対処することを目的とした、いわゆるオートレベリングと呼ばれる制御も行われる。
i)振動減衰制御
振動減衰制御では、車体および車輪12の振動を減衰するためにその振動の速度に応じた大きさのアクチュエータ力を発生させるべく、アクチュエータ力の振動減衰成分FVが決定される。つまり、いわゆるスカイフックダンパ理論に基づいた制御と、擬似的なグランドフック理論に基づいた制御との両者を行う制御である。具体的には、車体のマウント部24に設けられたばね上縦加速度センサ296によって検出されるばね上縦加速度から計算される車体のマウント部24の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね上速度Vsと、ロアアーム22に設けられたばね下縦加速度センサ298によって検出されるばね下縦加速度から計算される車輪12の上下方向の動作速度、いわゆる、ばね下速度Vgとに基づいて、次式に従って、振動減衰成分FVが演算される。
V=Cs・Vs−Cg・Vg
ここで、Csは、車体のマウント部24の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインであり、Cgは、車輪12の上下方向の動作速度に応じた減衰力を発生させるためのゲインである。つまり、Cs,Cgは、いわゆるばね上,ばね下絶対振動に対する減衰係数と考えることができる。
ii)ロール抑制制御
車両の旋回時においては、その旋回に起因するロールモーメントによって、旋回内輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、旋回外輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ロール抑制制御では、その旋回内輪側の離間および旋回外輪側の接近を抑制すべく、旋回内輪側のアクチュエータ26にバウンド方向のアクチュエータ力を、旋回外輪側のアクチュエータ26にリバウンド方向のアクチュエータ力を、それぞれ、ロール抑制力として発生させる。具体的に言えば、まず、車体が受けるロールモーメントを指標する横加速度として、ステアリングホイールの操作角δと車速vとに基づいて推定された推定横加速度Gycと、横加速度センサ294によって実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
そのように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、ロール抑制成分FRが、次式に従って決定される。
R=K3・Gy* (K3:ゲイン)
iii)ピッチ抑制制御
車体の制動時等、減速時に発生する車体のノーズダイブに対しては、そのノーズダイブを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが接近させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが離間させられる。また、車体の加速時に発生する車体のスクワットに対しては、そのスクワットを生じさせるピッチモーメントによって、前輪側のばね上部とばね下部とが離間させられるとともに、後輪側のばね上部とばね下部とが接近させられる。ピッチ抑制制御では、それらの場合の接近・離間距離を抑制すべく、アクチュエータ力をピッチ抑制力として発生させる。具体的には、車体が受けるピッチモーメントを指標する前後加速度として、前後加速度センサ292によって実測された実前後加速度Gxが採用され、その実前後加速度Gxに基づいて、ピッチ抑制成分FPが、次式に従って決定される。
P=K4・Gx (K4:ゲイン)
なお、ピッチ抑制制御は、スロットルセンサ300によって検出されるスロットルの開度、あるいは、ブレーキ圧センサ302によって検出されるマスタシリンダ圧が、設定された閾値を超えることをトリガとして実行される。
iv)目標アクチュエータ力とモータの作動制御
アクチュエータ26は、それが発生させるべきアクチュエータ力である目標アクチュエータ力となるように制御される。詳しく言えば、上述のようにして、アクチュエータ力の振動減衰成分FV,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPが決定されると、それらに基づき、次式に従って制御目標値である目標アクチュエータ力FA *が決定される。
A *=FV+FR+FP
そして、アクチュエータ26に、その目標アクチュエータ力FA *を発生させるべく、モータ54の制御が、いわゆるベクトル制御法に従って行われる。ベクトル制御法は、図6に示すように、モータ54の三相における電流,電圧等を、モータ54の永久磁石60によって生じる磁界の方向と平行な方向であるd軸方向の成分と、その磁界の方向に直交する方向であるq軸方向の成分との二相における値に変換して扱う制御法である。なお、図に示すφは、固定された方向となるU相の方向と、回転座標系の軸の方向となるd軸方向とのなす角度(電気角)である。モータ54は、三相ブラシレスDCモータであり、三相のコイルのインダクタンスのd軸方向の成分とq軸方向の成分が等しくされたものである。そのことから、モータ54が発生させるトルクは、モータ54の通電電流のq軸方向の成分であるq軸電流成分に比例することとなる。つまり、モータ54の通電電流のd軸方向の成分であるd軸電流成分を0とすることにより、あるアクチュエータ力を発生させるのに必要なモータ54の通電電流が最小となる。したがって、通常時においては、目標となる通電電流のd軸電流成分を0として、q軸電流成分をFA *に比例させるように制御されるのである。
dA *=0
qA *=KA・FA * (KA:定数)
次いで、上記のように決定された目標通電電流のd軸電流成分と、q軸電流成分とが、図7に示す変換行列によって三相における電流に変換されることで、U相,V相,W相の目標通電電流iUA *,iVA *,iWA *が決定される。その決定された目標通電電流に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ146に送信される。インバータ146は、その適切なデューティ比の下、スイッチング素子の開閉を制御してモータ54を流れる電流を調整することで、アクチュエータ力を制御するのである。つまり、本サスペンションシステム10においては、通常時、モータ54の通電電流を目標通電電流となるように調整することで、アクチュエータ力を制御する通電電流調整制御が実行されるようになっている。
≪ステアリングシステムの制御≫
ステアリングECU186では、転舵助勢制御が実行される。その転舵助勢制御は、前述した転舵装置184の助勢機構232に関する制御であり、詳しくは、助勢モータ230の制御である。この制御では、車速センサ282によって検出された車速vが早くなるほど助勢力が小さくされるようになっており、その車速vと操作力センサ290によって検出されたステアリングホイール190に加えられた操作力としての操作トルクTqに基づいて目標となる助勢力FS *が決定され、その決定された目標助勢力FS *を発揮するように、助勢モータ230への目標となる供給電流が決定されるのである。具体的には、助勢モータ230は、上述したモータ54と同様に、ベクトル制御法に従って制御される。つまり、通常時においては、助勢モータ230への目標となる供給電流のd軸電流成分を0として、q軸電流成分を目標となる助勢力FS *に比例させるように制御されるのである。
dS *=0
qS *=KS・FS * (KE:定数)
次いで、上記のように決定された目標供給電流のd軸電流成分と、q軸電流成分とが、図7に示す変換行列によって三相の電流成分に変換されることで、助勢モータ230のU相,V相,W相の目標通電電流iUS *,iVS *,iWS *が決定される。その決定された目標供給電流に基づいて、目標となるデューティ比が決定され、そのデューティ比に基づいた指令がインバータ262に送信される。インバータ262は、その適切なデューティ比の下、スイッチング素子の開閉を制御して助勢モータ230への供給電流を調整することで、転舵力が助勢されるのである。
≪供給電流増大制御≫
本サスペンションシステム10では、4つのアクチュエータ26への供給電流を増大させる制御(以下、「対アクチュエータ電流増大制御」と呼ぶ場合がある)を実行可能とされている。詳しくは、モータ54への目標通電電流の決定の際に、バッテリ150からモータ54へ電流が供給される状況下における目標通電電流のd軸電流成分idA *を増大させることで、アクチュエータ26への供給電流を増大させる。先に述べたように、モータ54が発生させるトルクは、通電電流のq軸電流成分に比例するため、d軸電流成分を増大させても、アクチュエータ26が発生させるアクチュエータ力は変わらない。したがって、本システム10によれば、アクチュエータ力を変化させることなく、電源を放電させることが可能である。
上記の対アクチュエータ電流増大制御は、電源の充電状態に基づいて、詳しく言えば、充電量センサ304に検出されたバッテリ150の残存エネルギ量Eが、放電が必要となる放電必要閾量EDNより多い状況下において実行される。その場合のd軸電流成分idA *は、残存エネルギ量Eに応じて決定されるのであり、次式に従って決定される。
dA *=KE・(E−EDN
上記の式から分かるように、残存エネルギ量Eが多いほど、d軸電流成分idA *が大きくされるようになっている。
また、上記放電必要閾量EDNは、車両が走行している路面の状態であって回生効率の高さに依存する路面の状態に基づいて変更されるようになっている。本システム10では、その回生効率に関する指標として、実際に所定時間走行した場合における回生エネルギ量が採用され、その回生エネルギ量が規定量よりも多い場合に、回生効率が高い路面であると判断されるようになっている。本システム10を備えた車両は、ナビゲーションシステムも備えており、そのナビゲーションシステムと連係して、回生効率が高かった路面が記憶されるようになっている。そして、その回生効率が高かった路面を次に走行する場合に、放電必要閾量EDNが、通常の閾量EDN1から、それより小さい閾量EDN2に変更されるようになっている。
対アクチュエータ電流増大制御は、アクチュエータ26への供給電流を増大させることから、モータ54の発熱量が大きくなることが予測される。そこで、すでに、アクチュエータ26の温度が高い場合には、そのアクチュエータ26の発熱量が大きくなっていると想定することができ、そのアクチュエータ26への負担がさらに大きくなると考えられるため、その温度が高くなっているアクチュエータ26に対しては、対アクチュエータ電流増大制御の実行が禁止されるようになっている。アクチュエータ26の温度は、詳しい説明は省略するが、4つのアクチュエータ26の各々のモータ54の温度TAが、現時点から遡った設定時間内における通電電流センサ164によって検出されたモータ54の通電電流から推定されるようになっている。その推定されたアクチュエータ26の温度TAが、閾温度TA0より高くなっている場合に、対アクチュエータ電流増大制御の実行が禁止される。つまり、4つのアクチュエータ26のうち温度が高くなっているものだけ、対アクチュエータ電流増大制御の実行が禁止されるのである。
4つのアクチュエータ26のすべてのの温度TAが、閾温度TA0より高く、アクチュエータ26によってバッテリ150の放電ができない場合には、本サスペンションシステム10は、転舵装置184への供給電流を増大させる制御(以下、「対転舵装置電流増大制御」と呼ぶ場合がある)を実行可能とされている。対転舵装置電流増大制御は、助勢モータ230の目標通電電流の決定の際に、それのd軸電流成分idS *が、残存エネルギ量Eに応じて、次式に従って決定される。
dS *=KS・(E−EDN
そして、その決定された助勢モータ230の目標通電電流のd軸電流成分が、ステアリングECU186に送信される。なお、対転舵装置電流増大制御も、対アクチュエータ電流増大制御と同様に、助勢モータ230の温度TSが、閾温度TS0より高い場合に、実行が禁止されるようになっている。
≪短絡制動制御≫
上述したように、対アクチュエータ電流増大制御,対転舵装置電流増大制御は、それの実行が禁止されることがあるため、バッテリ150の放電が充分にできず、過充電となる虞がある。そこで、本サスペンションシステム10においては、残存エネルギ量Eが、前述の放電必要閾量EDNより大きい値に設定された過充電閾量EOCより多い状況下において、モータ54の各相の通電端子間を短絡させることによって、アクチュエータ力を制動力として発生させる短絡制動制御が実行されるようになっている。具体的に言えば、インバータ146のhigh側のスイッチング素子HUS,HVS,HWSのすべてをON状態(閉状態),low側のスイッチング素子LUS,LVS,LWSのすべてをOFF状態(開状態)とすることで、スイッチング素子HUS,HVS,HWSと、それらに並設された還流ダイオードとにより、モータ54の各相の通電端子間を、あたかも相互に短絡させられた状態とするのである。本短絡制動制御においては、バッテリ150からモータ54に電流が供給されず起電力に依存したアクチュエータ力を発生させるとともに、バッテリ150に回生される電流を0とすることができる。そのため、本短絡制動制御は、バッテリ150がそれ以上充電されることを防止することが可能である。ちなみに、そのアクチュエータ力は、モータ54の回転速度ωに応じて、図4に示した短絡特性線に従った特定の大きさの制動力、換言すれば、固定の減衰係数に従った大きさの制動力となる。ちなみに、この場合には、バッテリ150に接続された転舵装置184等の他の装置に、バッテリ150から電流が供給されるため、バッテリ150の残存エネルギ量は、徐々に減少することになる。なお、本短絡制動制御は、対アクチュエータ電流増大制御,対転舵装置電流増大制御の両者の実行が禁止された場合にも実行される。
≪制御フロー≫
上述したように本サスペンションシステム10は、通常状態における通電電流調整制御に加えて、対アクチュエータ電流増大制御と対転舵装置電流増大制御とのいずれかが実行可能であり、また、通常の通電電流調整制御に代えて短絡制動制御を実行可能である。それらの制御のうちいずれを実行するかを判定するために、図8にフローチャートを示す実行制御判定プログラムが、イグニッションスイッチ160がON状態とされている間、短い時間間隔(例えば、数msec〜数十msec)をおいてサスペンションECU140により繰り返し実行されることによって行われる。また、先に述べたようなアクチュエータ26の制御は、図9にフローチャートを示すアクチュエータ制御プログラムが、実行制御判定プログラムと同じ期間、サスペンションECU140により繰り返し実行されることによって行われる。さらに、先に述べたような転舵装置184の制御は、図10にフローチャートを示す転舵助勢制御プログラムが、上記2つのプログラムと同じ期間、ステアリングECU186により繰り返し実行されることによって行われる。以下に、それら制御のフローを、図に示すフローチャートを参照しつつ、簡単に説明する。なお、アクチュエータ制御プログラムは、4つの車輪12にそれぞれ設けられたスプリング・アブソーバAssy20のアクチュエータ26の各々に対して実行されるため、以降の説明においては、説明の簡略化に配慮して、1つのアクチュエータ26に対しての本プログラムによる処理について説明する。
i)実行制御判定プログラム
サスペンションECU140において実行される実行制御判定プログラムにおいては、まず、ステップ1(以下、「S1」と略す、他のステップも同様である)において、バッテリ150の残存エネルギ量Eが、過充電閾量EOCより多いか否かが判定される。過充電閾量EOC以下である場合には、S2〜S4において、放電必要閾量EDNの決定が行われる。ナビゲーションシステムから、現在走行している路面が回生効率が高い路面であるか否かが判断され、回生効率が高い路面である場合には、通常状態における閾量EDN1より小さな閾量EDN2に変更される。次いで、S5において、残存エネルギ量Eが、その決定された放電必要閾量EDNより多いか否かが判定される。放電必要閾量EDNより多い場合には、供給電流増大制御を実行する必要があるため、S6において、4つのアクチュエータ26に対して、対アクチュエータ電流増大制御が実行可能であるか否かが、アクチュエータ26の各々の温度TAが閾温度TA0より高いか否かによって判定される。アクチュエータ温度TAが閾温度TA0以下のアクチュエータ26に対応するモータ54のd軸電流成分の増大分δidAが式δidA=KE・(E−EDN)によって決定され、その他のモータ54のd軸電流成分の増大分δidAおよび助勢モータ230のd軸電流成分の増大分δidSが0とされる。
S6において、4つのアクチュエータ26の各々の温度TAが閾温度TA0より高く、対アクチュエータ電流増大制御の実行ができない場合には、S7において、対転舵装置電流増大制御が実行可能であるか否かが判定される。転舵装置184の温度が閾温度以下である場合には、助勢モータ230のd軸電流成分の増大分δidSが式δidS=KS・(E−EDN)によって決定され、モータ54のd軸電流成分の増大分δidAが0とされる。なお、S5において、残存エネルギ量Eが放電必要閾量EDN以下である場合には、バッテリ150を放電させる必要がないため、モータ54のd軸電流成分の増大分δidAおよび助勢モータ230のd軸電流成分の増大分δidSがともに0とされる。
S1において、残存エネルギ量Eが過充電閾量EOCより多い場合、および、残存エネルギ量Eが放電必要閾量EDNより多いが対アクチュエータ電流増大制御と対転舵装置電流増大制御との両者の実行が禁止された場合には、S12において、短絡フラグがONにセットされ、後述するアクチュエータ制御プログラムにおいて、短絡制動制御が実行されるようになっている。以上の一連の処理の後、実行制御判定プログラムの実行が終了する。
ii)アクチュエータ制御プログラム
サスペンションECU140において実行されるアクチュエータ制御プログラムにおいては、S21において、上述した短絡フラグがONにセットされているか否かが判定され、通常の通電電流調整制御と短絡制動制御とのいずれを実行するかが判定される。通電電流調整制御が実行される場合には、S22〜S24において、先に説明したような手法で、振動減衰成分FV,ロール抑制成分FR,ピッチ抑制成分FPが決定され、S25において、それら3つの成分を足し合わせて、目標アクチュエータ力FA *が決定される。次に、S26において、モータ54の通電電流が供給電流か否かが、3つの通電電流センサ164の検出結果から判断される。供給電流でない場合には、d軸電流成分増大分δidAが0とされる。そして、S28において、その決定された目標アクチュエータ力FA *と、決定されたd軸電流成分増大分δidAとに基づいて、二相に変換したモータ54の目標通電電流の成分であるd軸電流成分idA *とq軸電流成分iqA *とが決定される。次いで、それらd軸電流成分idA *とq軸電流成分iqA *とが、モータ54のU相,V相,W相に対応する目標通電電流iUA *,iVA *,iWA *に変換され、その目標通電電流に基づいて目標デューティ比が決定され、その目標デューティ比に基づいた指令がインバータ146に送信される。また、短絡制動制御が実行される場合には、スイッチング素子のON/OFF状態を、前述したように、high側のスイッチング素子HUS,HVS,HWSのすべてをON状態(閉状態),low側のスイッチング素子LUS,LVS,LWSのすべてをOFF状態(開状態)とするように、制御信号がインバータ146に送信される。以上の一連の処理の後、アクチュエータ制御プログラムの1回の実行が終了する。
iii)転舵制御制御プログラム
ステアリングECU186において実行される転舵制御制御プログラムにおいては、S41,S42において、先に説明したような手法で、目標となる助勢力FS *が決定され、それに基づいて二相に変換した助勢モータ230の目標通電電流のq軸電流成分iqS *が決定される。また、d軸電流成分idS *が、実行制御判定プログラムにおいて決定されたd軸電流成分増大分δidSに基づいて決定される。次いで、それらd軸電流成分idS *とq軸電流成分iqS *とが、助勢モータ230のU相,V相,W相に対応する目標通電電流iUS *,iVS *,iWS *に変換され、その目標通電電流に基づいて目標デューティ比が決定され、その目標デューティ比に基づいた指令がインバータ262に送信される。以上の一連の処理の後、転舵制御制御プログラムの1回の実行が終了する。
≪サスペンションECUおよびステアリングECUの機能構成≫
上述の実行制御判定プログラムおよびアクチュエータ制御プログラムを実行するサスペンションECU140、および、転舵助勢制御プログラムを実行するステアリングECU186は、それらのプログラムに従う各種の処理を実行する各種の機能部を有していると考えることができる。詳しく言えば、図11に示すように、サスペンションECU140は、上記アクチュエータ力制御プログラムのS22〜S25の処理を実行する機能部として、目標アクチュエータ力決定部320を有している。この目標アクチュエータ力決定部320によって、4つのサスペンション装置の各々のアクチュエータ26が発生させるアクチュエータ力が決定されるのであり、先に説明した振動減衰制御,ロール抑制制御,ピッチ抑制制御が実行されるのである。
また、サスペンションECU140は、対アクチュエータ増大分決定部322,d−q軸電流決定部324,二相−三相変換部326を有している。具体的に言えば、対アクチュエータ増大分決定部322は、電源の充電状態に基づいて4つのアクチュエータ26に対する目標通電電流のd軸電流成分の増大分を決定する機能部であり、上記実行制御判定プログラムのS1〜S8の処理を実行する部分が相当する。d−q軸電流決定部234は、目標アクチュエータ力とd軸電流成分の増大分に基づいて二相の目標通電電流を決定する機能部であり、アクチュエータ力制御プログラムのS28の処理を実行する部分が相当する。二相−三相変換部326は、上記d−q軸電流決定部324において決定された二相の目標通電電流を三相の目標通電電流に変換する機能部であり、アクチュエータ力制御プログラムのS29の処理を実行する部分が相当する。そして、サスペンションECU140は、目標アクチュエータ力決定部320,対アクチュエータ増大分決定部322,d−q軸電流決定部324,二相−三相変換部326とを含んで、モータ54の目標となる通電電流を決定する目標通電電流決定部328が構成されている。なお、それら対アクチュエータ増大分決定部322,d−q軸電流決定部324とを含んで、モータ54のd軸電流成分を増大させるd軸電流成分増大部330が構成されている。
さらに、サスペンションECU140は、電源の充電状態に基づいて、転舵装置184が有する助勢モータ230に対する目標通電電流のd軸電流成分の増大分を決定する機能部として、対転舵装置増大分決定部340を有している。その対転舵装置増大分決定部340は、実行制御判定プログラムのS9,S10の処理を実行する部分が相当する。また、サスペンションECU140は、モータ54の通電電流を目標通電電流となるように調整する目標通電電流調整制御に代えて、モータ54の各相の通電端子間を導通(詳しくは、短絡)させる制御、換言すれば、モータ54によって発電された電流の電源への回生を禁止する回生禁止制御を実行する、つまり、アクチュエータ力制御プログラムのS30,S31の処理を実行する機能部として、短絡制動制御部342を有している。
ステアリングECU186は、上記転舵助勢制御プログラムのS41,S42の処理を実行して助勢モータ230が発生させる助勢力を決定する機能部として目標助勢力決定部350を、S43の処理を実行して、目標助勢力と、サスペンションECU140の対転舵装置増大分決定部340によって決定されたd軸電流成分の増大分とに基づいて二相の目標通電電流を決定する機能部としてd−q軸電流決定部352を、S44の処理を実行して、上記d−q軸電流決定部324において決定された二相の目標通電電流を三相の目標通電電流に変換する機能部として二相−三相変換部354を、それぞれ有している。なお、サスペンションECU140の対転舵装置増大分決定部340と、ステアリングECU186のd−q軸電流決定部352とを含んで、助勢モータ230のd軸電流成分を増大させるd軸電流成分増大部356が構成されているのである。
≪変形例≫
上記実施例のサスペンションシステム10において実行されていた図8の実行制御判定プログラムに代えて、図12にフローチャートを示す実行制御判定プログラムを採用することも可能である。本変形例においては、実行制御判定プログラムのS56において、停車中か否かが判定され、停車中である場合にのみ、対アクチュエータ電流増大制御が実行される。停車中であれば、アクチュエータ26は作動していないため、通常の制御によってアクチュエータ26の負担はそれ以上大きくならないと予測される。つまり、本変形例は、通常の制御によってアクチュエータ26の負担が大きくならないと想定される場合に供給電流増大制御が実行されるようになっているため、上記実施例に比較して、アクチュエータ26の過熱の防止が、より図られたシステムとなっている。
請求可能発明の実施例である車両用サスペンションシステムを備えた車両の全体構成を示す模式図である。 図1に示すスプリング・アブソーバAssyを示す正面断面図である。 図2のアクチュエータモータを駆動する駆動回路の回路図である。 図2のアクチュエータモータの回転速度と通電電流との関係を示す図である。 図1に示す転舵装置の断面図である。 d−q軸座標系を示す図である。 d−q軸座標系の二相のパラメータから三相のパラメータへの変換行列を示す。 図1に示すサスペンション電子制御ユニットによって実行される実行制御判定プログラムを表すフローチャートである。 図1に示すサスペンション電子制御ユニットによって実行されるアクチュエータ制御プログラムを表すフローチャートである。 図1に示すステアリング電子制御ユニットによって実行される転舵助勢制御プログラムを表すフローチャートである。 図1に示すサスペンション電子制御ユニットおよびステアリング電子制御ユニットの機能に関するブロック図である。 変形例の車両用サスペンションシステムが有するサスペンション電子制御ユニットによって実行される実行制御判定プログラムを表すフローチャートである。
符号の説明
10:車両用サスペンションシステム 12:車輪 20:スプリング・アブソーバAssy 22:ロアアーム(ばね下部) 24:マウント部(ばね上部) 26:アクチュエータ(ショックアブソーバ) 28:エアスプリング 50:ねじロッド(雄ねじ部) 52:ナット(雌ねじ部) 54:電磁式モータ 60:永久磁石 62:極体 80:エア給排装置 140:サスペンション電子制御ユニット(サスペンションECU) 146:インバータ(駆動回路) 148:コンバータ 150:バッテリ 162:レゾルバ 164:通電電流センサ 180:ステアリングシステム 182:操作装置 184:転舵装置(電磁式作動装置) 186:ステアリング電子制御ユニット(ステアリングECU) 190:ステアリングホイール(ステアリング操作部材) 230:助勢モータ 244:永久磁石 246:極体 262:インバータ(駆動回路) 282:車速センサ 288:操作角センサ 290:操作力センサ 292:前後加速度センサ 294:横加速度センサ 296:縦加速度センサ(ばね上) 298:縦加速度センサ(ばね下) 300:スロットルセンサ 302:ブレーキ圧センサ 304:充電量センサ 320:目標アクチュエータ力決定部 322:対アクチュエータ増大分決定部 324:d−q軸電流決定部 326:二相−三相変換部 328:目標通電電流決定部 330:d軸電流成分増大部(対アクチュエータ) 340:対転舵装置増大分決定部 342:短絡制動制御部 350:目標助勢力決定部 352:d−q軸電流決定部 354:二相−三相変換部 356:d軸電流成分増大部(対転舵装置)

Claims (11)

  1. ばね上部とばね下部との間に配設され、電磁式モータを有し、その電磁式モータが発生させる力に依拠してばね上部とばね下部とに対してそれらが接近・離間する方向の力であるアクチュエータ力を発生可能なアクチュエータと、
    前記電磁式モータと電源とを接続するとともに、前記アクチュエータが発生させるアクチュエータ力を制御する制御装置であって、前記電磁式モータを流れる電流である通電電流の目標となる目標通電電流を決定する目標通電電流決定部を有し、通電電流をその目標通電電流となるように調整することで、アクチュエータ力を制御する通電電流調整制御を実行可能な制御装置と
    を備えた車両用サスペンションシステムであって、
    前記目標通電電流決定部が、電源から前記電磁式モータへ電流が供給される状況下において、前記目標通電電流の成分であって、前記アクチュエータモータが有する磁石によって生じる磁界の方向と平行な方向であるd軸方向の成分であるd軸電流成分を、電源の充電状態に基づいて増大させるd軸電流成分増大部を有し、
    前記制御装置が、前記d軸電流成分を増大させることで前記電磁式モータへの供給電流を増大させる電流増大制御を実行可能に構成されたことを特徴とする車両用サスペンションシステム。
  2. 前記電流増大制御が、電源の残存エネルギ量が放電必要閾量より多い状況下において実行される制御である請求項1に記載の車両用サスペンションシステム。
  3. 前記制御装置が、
    前記電磁式モータと電源との間に配設され、前記電磁式モータを流れる通電電流を調整しつつその電磁式モータを駆動するとともに、起電力に依拠して前記電磁式モータによって発電された電流を電源に回生可能な構造とされた駆動回路を有し、
    前記d軸電流成分増大部が、前記放電必要閾量を、車両が走行している路面の状態であって当該車両用サスペンションシステムの回生効率の高さが依存する路面の状態に基づいて変更するように構成された請求項2に記載の車両用サスペンションシステム。
  4. 前記d軸電流成分増大部が、前記d軸電流成分の増大量を、電源の残存エネルギ量が多い場合に、少ない場合に比較して大きくするものである請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
  5. 前記制御装置が、前記アクチュエータの温度が閾温度より高くなった場合に、前記電流増大制御の実行を禁止するように構成された請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
  6. 前記制御装置が、停車中であることを条件として、前記電流増大制御を実行するように構成された請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
  7. 前記制御装置が、
    前記電磁式モータと電源との間に配設され、前記電磁式モータを流れる通電電流を調整しつつその電磁式モータを駆動するとともに、起電力に依拠して前記電磁式モータによって発電された電流を電源に回生可能な構造とされた駆動回路を有し、
    前記通電電流調整制御に代えて、前記電磁式モータによって発電された電流の電源への回生を禁止する制御である回生禁止制御を実行可能に構成された請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
  8. 当該車両用サスペンションシステムが、車両が有する複数の車輪に対応して、それぞれが前記アクチュエータである複数のアクチュエータを備え、
    前記制御装置が、前記電流増大制御を、前記複数のアクチュエータのうちの1以上のものに対して選択的に実行可能に構成された請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
  9. 当該車両用サスペンションシステムが、
    前記アクチュエータとは別に、電磁式モータを有してその電磁式モータが発生させる力に依拠して作動する電磁式作動装置を備えた車両に搭載され、
    前記制御装置が、
    前記電磁式作動装置の電磁式モータと電源とを接続するとともにその電磁式モータを流れる通電電流を調整することで、前記電磁式作動装置の作動を制御することが可能とされ、
    前記アクチュエータに対する供給電流を増大させる前記電流増大制御である対アクチュエータ電流増大制御に加え、
    電源から前記電磁式作動装置の電磁式モータへ電流が供給される状況下において、その電磁式モータの目標となる通電電流の成分であって、その電磁式モータが有する磁石によって生じる磁界の方向と平行な方向であるd軸方向の成分であるd軸電流成分を増大させることで前記電磁式作動装置の電磁式モータへの供給電流を増大させる対作動装置電流増大制御を実行可能に構成された請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の車両用サスペンションシステム。
  10. 制御装置が、
    前記対アクチュエータ電流増大制御と、前記対作動装置電流増大制御とを選択的に実行可能に構成された請求項9に記載の車両用サスペンションシステム。
  11. 前記制御装置が、
    前記アクチュエータの温度が閾温度より高くなった場合に、前記対アクチュエータ電流増大制御の実行を禁止するように構成され、
    前記対アクチュエータ電流増大制御の実行が禁止された場合に、前記対作動装置電流増大制御を実行するように構成された請求項9または請求項10に記載の車両用サスペンションシステム。
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