JP2008266871A - 耐熱性に優れるポリプロピレン繊維 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなるポリプロピレン繊維であって、走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、且つ繊維強度が7cN/dtex以上であるポリプロピレン繊維。
【選択図】 なし
Description
また、ポリプロピレン繊維製の布帛をフィルターとして用いることが行われており、当該フィルターは高温環境下で用いられることもあることから、耐熱性の向上が求められている。
しかしながら、このポリプロピレン繊維は、吸熱ピーク形状が、ブロードなダブル形状またはシングル形状であって、結晶が不均一であるため、耐熱性が未だ十分に高いとはいえない。
しかしながら、このポリプロピレン繊維では、2つのDSC吸熱ピークのうちで低温側の吸熱ピークがポリプロピレン繊維の耐熱性の指標をなし、しかも吸熱ピーク形状がブロードであって、結晶が不均一であるため、耐熱性が十分ではない。
(1) アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなるポリプロピレン繊維であって、走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、且つ繊維強度が7cN/dtex以上であることを特徴とするポリプロピレン繊維である。
さらに、本発明のポリプロピレン繊維は、高い繊維強度を有している。
本発明のポリプロピレン繊維は、前記した優れた特性を活かして、短繊維、長繊維、繊維束などの形態で、または織編物、不織布、網状体、紙などの繊維構造体の形態にして、種々の用途に有効に使用することができる。
本発明のポリプロピレン繊維は、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)(以下単に「IPF」ということがある)が94%以上のポリプロピレンよりなっていることが必要あり、IPFが95〜99%のポリプロピレンよりなっていることが好ましく、IPFが96〜99%のポリプロピレンよりなっていることがより好ましい。
ポリプロピレンのIPFが94%未満であると、均一な結晶構造を有するポリプロピレン繊維が得られにくくなり、ポリプロピレン繊維に十分な強度および耐熱性が付与できなくなる。一方、IPFが99%を超えるポリプロピレンは工業的には量産が困難であるため、コスト面などから実用性が低い。
また、本発明のポリプロピレン繊維は、ポリプロピレン繊維を構成するプロピレン系重合体全体でのIPFが前記した値を満たすものであれば、2種類以上のプロピレン単独重合体および/またはプロピレン共重合体が、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型などの形態で複合または混合してなる複合紡糸繊維または混合紡糸繊維であってもよい。
したがって、本発明において、本発明のポリプロピレン繊維を形成する「ポリプロピレン」とは、プロピレン単独重合体、プロピレン共重合体、前記した単独重合体および/または共重合体の2種以上の混合物或いは複合物の総称を意味する。
ここで、本発明におけるDSC測定による前記した「吸熱ピーク形状」および「融解エンタルピー変化量(△H)」は、以下の実施例に記載する方法で行ったDSC測定による吸熱ピーク形状および融解エンタルピー変化量(△H)をいう。
それに対して、本発明のポリプロピレン繊維は、DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有する、幅の狭い(シャープな)シングル形状をなしており、均一な結晶構造をなしている。
しかも、本発明のポリプロピレン繊維は、DSC測定による融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上と高くて、結晶性が高い(結晶の生成が十分に行われている)ため、耐熱性に優れている。
まず、図1は、ポリプロピレン繊維におけるDSC測定による吸熱ピーク形状を模式的に示した図である。
図1において、(a)は本発明のポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線の代表例に相当し、唯一の吸熱ピーク(シングルピーク)を有し、当該シングルピークはシャープでしかも大きなピークをなし、融解エンタルピー変化量(△H)も、従来のポリプロピレン繊維に比べて大きな値をなす。
一方、図1において、(b)は従来のポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線の一例であって、2つの吸熱ピーク(ダブルピーク)を有し、ピークの幅(半価幅)は大きく、融解エンタルピー変化量(△H)は小さい。
また、図1において、(c)は従来のポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線の他の例であり、吸熱ピークは1個(シングルピーク)ではあるが、融解エンタルピー変化量(△H)は小さい。
次に、図2は、ポリプロピレン繊維のDSC測定による吸熱ピークにおける半価幅の求め方を示した図である。
図2には、本発明のポリプロピレン繊維のDSC測定による吸熱特性(融解特性)の代表例を示しており、唯一の吸熱ピーク(シングルピーク)の頂点Xから温度軸に下ろした垂線と、吸熱ピークのベースラインとの交点をYとしたときに、線分X−Yを二等分する点をMとし、Mを通り温度軸に平行な直線と吸熱曲線との交点をそれぞれN1およびN2としたときに、線分N1−N2の長さ(温度幅)が本明細書でいう「半価幅(℃)」に相当する。
そして、吸熱ピーク曲線において、吸熱ピークのベースライン(図2を参照)と、当該ベースラインよりも上の吸熱ピーク曲線によって包囲される部分の面積が、本明細書における「融解エンタルピー変化量(△H)」に相当する。
それに対して、本発明のポリプロピレン繊維は、DSC測定時の昇温速度1〜50℃/分の範囲では、昇温速度が異なっても、その吸熱ピーク曲線は1個の吸熱ピークのみを有する、シャープで大きなシングルピーク形状をなし、高い融解エンタルピー変化量(△H)を有している。そのことは、本発明のポリプロピレン繊維が、均一で高い結晶性を有し、その結果として、高い耐熱性を備えていることを裏付けている。
ポリプロピレン繊維の融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g未満であると、耐熱性が不十分となり、各種用途に用いたときに、問題が生じ易くなる。
例えば、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g未満のポリプロピレン繊維は、ロープにしたときに摩擦によって溶融して切断し易くなり、スポーツウエアとして用いた場合には摩擦時に繊維表面が溶融するトラブルが生じ易くなる。さらに、紙用原料として用いた場合には、乾燥用のヤンキードライヤーへの繊維に付着などトラブルが生じ易くなり、またニードルパンチ不織布にしてエアフィルターとして用いた場合に高温空気による溶融トラブルが生じ易くなる。
ポリプロピレン繊維の融解エンタルピー変化量(△H)が高いほど、耐熱性が高くなるが、165J/gを超えるポリプロピレン繊維は、製造速度を大幅に低下しないと製造が困難であり、またIPFが100%に近いポリプロピレンを用いて製造することが必要であるため、工業的には実効性が低い。
かかる点から、本発明のポリプロピレン繊維では、融解エンタルピー変化量(△H)は、125〜165J/gであることが好ましく、128〜165J/gであることがより好ましく、130〜165J/gであることが更に好ましく、133〜165J/gであることが一層好ましい。
ここで、本明細書におけるポリプロピレン繊維の繊維強度(単繊維繊度強度)は、以下の実施例に記載した方法で測定した繊維強度をいう。
本発明のポリプロピレン繊維は、前記した繊維強度を有することにより、各種用途に有効に使用することができる。ポリプロピレン繊維の繊維強度が7cN/dtex未満であると、ポリプロピレン繊維を用いて強度に優れる各種製品を製造することが困難になったり、所定の強度を得るためにポリプロピレン繊維を多量に使用することが必要になり、ポリプロピレン繊維が本来有する軽量であるという特性を活かせなくなる。例えば、繊維強度が7cN/dtex未満のポリプロピレン繊維からロープを製造すると、強力の大きなロープが得られにくくなり、十分な強力のロープを得るためにポリプロピレン繊維を多く用いて太繊度のロープとせざるを得ず、軽量性が損なわれる。
一方、繊維強度が13cN/dtexを超えるポリプロピレン繊維は、その製造に当たって、量産性の低い条件を採用する必要があるため、実用面で難がある。
ポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度)が小さ過ぎると、構造体などに用いた際に、摩耗によって溶融、断糸して構造体の劣化を招くことがあり、一方大きすぎると、ポリプロピレン繊維を得るための延伸処性が低下して、高強度で、高度に結晶化したポリプロピレン繊維が得られないことがある。
なお、前延伸における前記した延伸倍率は、前延伸工程から排出された直後の糸の糸長を前延伸工程に導入された糸(未延伸糸)の糸長で除した値をいい、また後延伸における前記した延伸倍率は、後延伸工程から排出された直後の糸の糸長を後延伸工程に導入された糸の糸長で除した値をいう。
また、ポリプロピレンの溶融紡糸速度をA(m/分)とし、前記した前延伸および後延伸を行った後の総延伸倍率をB(倍)としたときに、A×Bの値が、3000〜17000(m・倍/分)、特に3500〜15000(m・倍/分)の範囲になるようにして、ポリプロピレンの溶融紡糸と前記した前延伸および後延伸を行うと、本発明のポリプロピレン繊維を円滑に得ることができる。
ここで、前記した変形速度とは、後延伸での延伸倍率(倍)を後延伸に要した時間(分)(熱風炉で後延伸する場合は糸が熱風路内にあった時間、延伸プレートで後延伸する場合は糸が延伸プレートに接触していた時間)で除した値をいい、後延伸を多段で行った場合は、後延伸での最終延伸倍率(合計延伸倍率)を後延伸に要した延伸処理時間の合計で除した値をいう。
また、後延伸を行う際の延伸張力は、1.0〜2.5cN/dtexであることが好ましく、1.1〜2.5cN/dtexがより好ましく、1.3〜2.5cN/dtexが更に好ましい。ここで、後延伸における前記延伸張力は、後延伸における最終段の延伸を行った直後の糸の張力を張力計を用いて測定する。
また、本発明のポリプロピレン繊維は、織編物、不織布、網状物、紙などの繊維構造体として使用することができる。また、本発明のポリプロピレン繊維または当該繊維を用いた繊維構造体を、繊維補強プラスチック成形体、繊維補強ゴム成形体、繊維補強水硬性物質成形体(コンクリート、モルタル、スレート、瓦など)などにおける繊維補強材として用いることができる。また、本発明のポリプロピレン繊維は、耐熱性に優れるため、コード、ロープに使用することができ、当該コード、ロープを用いて、耐摩耗性および軽量性に優れるスリングロープ、漁網、養生ネット、ゴルフボールネットなどを製造することができる。
本発明のポリプロピレン繊維を用いて得られる不織布や紙は、耐熱性および耐薬品性に優れるため、工業用フィルターなどとして有効に使用することができる。
本発明のポリプロピレン繊維を、ポリオレフィンなどの重合体シートの補強用に用いる場合には、ポリプロピレン繊維を織編物にして用いるよりも、一方向プリプレグ状にして用いると、ポリプロピレン繊維の強度利用率を高くすることができる。
そして、それにより得られるポリプロピレン繊維補強オレフィン系重合体成形体は、軽量性、リサイクル性に優れているため、自動車部品、電気・電子部品、衛生用品、その他の用途に広く用いることができる。
コンクリートやモルタル用原料へのポリプロピレン繊維の混合は、例えば、パンミキサー、アイリッヒミキサー、傾動式ミキサー、強制二軸ミキサー、オムニミキサー、ホバートミキサー、ハンドミキサーなどの各種ミキサーを用いて行うことができる。その際の原料としては、水硬性材料、骨材、フィラー、ポリプロピレン繊維、それ以外の補強用繊維、その他の混和剤などを挙げることができる。前記水硬性材料としては、普通ポルトランドセメント、早強セメント、中庸セメント、高炉セメント、シリカフューム、フライアッシュなどの1種または2種以上を使用することができる。前記骨材としては、砂利、砕砂、川砂、海砂、山砂、粉末珪砂、各種軽量骨材などを、またフィラーとしては炭酸カルシウム、カオリンなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を使用することができる。また、前記したその他の混和剤としては、減水剤、増粘剤、起泡剤、膨張剤、収縮低減剤などを挙げることができる。
コンクリートまたはモルタル用の原材料の混合方法、添加順序、撹拌時間などは特に制限されず、適宜調整することができる。また、コンクリートまたはモルタルを形成させる際の成形方法としては、流し込み成形、振動成形、遠心成形、サクション成形、押出成形、プレス成形などの従来から用いられている成形方法を採用することができる。また、養生方法も特に制限されず、例えば、気中養生、水中養生、湿布養生、オートクレーブ養生、それらの2つ以上の組み合わせる方法などを採用することができる。
スレートを製造する際の原料スラリーを調製する際の添加順序、撹拌時間などは適宜調整することができる。また、スレートを製造する際の養生方法も特に制限されず、コンクリートやモルタル成形体の場合と同様に、例えば、気中養生、水中養生、湿布養生、オートクレーブ養生、それらの2つ以上の組み合わせる方法などを採用することができる。
超伝導核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製「Lambda500」)を使用して、非特許文献1に記載されている「13C−NMRスペクトル法」に従ってポリプロピレンのIPFを求めた。具体的には、ポリプロピレン中における、13C−NMRスペクトルにおいてプロピレン単量体単位が5個連続してアイソタクチック結合したプロピレン単位(アイソタクチックペンタッド単位)の含有割合(分率)(%)を求めてIPFとした。その際に、13C−NMRスペクトルにおけるピークの帰属に関しては、非特許文献2に記載されている方法に従って決定した。
荷重張力計測器(日本電産シンポ社製「DTMX−5B」)を使用して、延伸炉(熱風炉)から出た直後の糸、または延伸プレートから離れた直後の糸の張力を測定して延伸張力(cN/dtex)とした。
ポリプロピレン繊維を温度20℃および相対湿度65%の雰囲気下に5日間放置して調湿した後、長さ1mmに切断し、その5mgを量り採ってアルミパン(容量100μL)(METTLER TOLEDO社製「No.51119872」)に入れ、アルミパンカバー(METTLER TOLEDO社製「No.51119871」)を用いてシールし、走査示差熱量測定器(TA Instuments社製「DSC2010」)を使用して、窒素雰囲気中で、昇温速度10℃/分で測定した1st runのDSC曲線から、吸熱ピークの半価幅(℃)および融解エンタルピー変化量(△H)(J/g)を、図1および図2(特に図2)を参照して前述した方法で求めた。
ポリプロピレン繊維を温度20℃および相対湿度65%の雰囲気下に5日間放置して調湿した後、ポリプロピレン繊維(単繊維)を長さ60mmに切断して試料とし、当該試料(長さ60mmのポリプロピレン単繊維)の両端を把持して(両端から10mmまで把持)、繊維強度測定装置(Textechno製「FAFEGRAPH M」)を使用して、温度20℃、相対湿度65%の環境下で、引張速度60mm/分で伸張して、切断時の応力を測定し、その値をポリプロピレン単繊維の繊度で除して繊維強度(cN/dtex)を求めた。なお同じポリプロピレン繊維について同じ操作を10回行って繊維強度を求め、その平均値を採ってポリプロピレン繊維(ポリプロピレン単繊維)の繊維強度とした。
(i) 以下の実施例または比較例で得られたポリプロピレン繊維を束ねて1000dtexのマルチフィラメント糸にし、そのマルチフィラメント糸を用いて、基布密度が経30本/25.4mmおよび緯30本/25.4mmの平織生地を作製した。
(ii) 上記(i)で得られた平織生地から試験片(幅×長さ=3.5cm×8.5cm)を切り出し、試験片を1800rpmで回転しているローラー(材質:桜木)に1134g(2.5ポンド)の荷重で押し当て、試験開始から試験片の溶融が始まるまでの時間の長さを測定した。測定に当たっては、摩擦音が大きくなった瞬間を試験片の溶融開始時点とした。同じ試料(平織生地)について同じ試験を3回行って、平均値を採って、摩擦防融性の指標とした。試験片が摩擦により溶融を開始するまでの時間が長いほど、耐熱性に優れていることを示す。
(1) ポリプロピレン[プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%、MFR=18g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を溶融紡糸装置の押出機に投入して240℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度245℃の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]から22.3g/分の量で吐出し、800m/分の引き取り速度でポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=288dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸してポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取り、室温で保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=63dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=153.5℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力1.18cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=48dtex/24フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) 実施例1の(1)において、未延伸糸の引き取り速度を3000m/分に変えた以外は実施例1の(1)と同じ操作を行って、ポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=214dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で3.1倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=69dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=155.3℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.8倍/分および延伸張力1.34cN/dtexの条件下に、3段で1.5倍に後延伸して、総延伸倍率が4.7倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=46dtex/24フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレンを溶融紡糸装置の押出機に投入して240℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度245℃の紡糸口金[孔数48個(十字形孔)、孔径0.2mm]から20.2g/分の量で吐出し、800m/分の引き取り速度でポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=436dtex/48フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度138℃の熱風炉に導入して、2段で3.9倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=112dtex/48フィラメント、吸熱開始温度=155.2℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度2.1倍/分および延伸張力1.12cN/dtexの条件下に、1段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が5.1倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=86dtex/48フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレンを用いて実施例1の(1)と同じ条件を採用してポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、実施例1の(2)と同じ条件を採用して前延伸を行って、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取った。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度180℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力1.06cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=50dtex/24フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) ポリプロピレン[プライムポリマー社製「ZS1337A」、IPF=96%、MFR=20g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を用いて、実施例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=288dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度135℃の熱風炉に導入して、2段で4.8倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造しボビンに巻き取って室温に保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=60dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=152.0℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.6倍/分および延伸張力1.33cN/dtexの条件下に、3段で1.8倍に後延伸して、総延伸倍率が8.6倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=50dtex/24フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) ポリプロピレン[IPF=98%、MFR=16g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を用いて、実施例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った(未延伸糸の総繊度=293dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸してポリプロピレン前延伸糸を製造しボビンに巻き取って室温に保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=64dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=156.4℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度178℃の熱風炉に導入して、変形速度2.8倍/分および延伸張力1.54cN/dtexの条件下に、4段で2.2倍に後延伸して、総延伸倍率が10.1倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=29dtex/24フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) ポリプロピレン[IPF=98%、MFR=16g/10分(230℃、荷重2.16kg)]およびポリプロピレン[プライムポリマー社製「Y3002G」、IPF=93%、MFR=30g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を1:1の質量比で混合した混合物(混合物のIPF=95.5%)を用いて、実施例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=288dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温に保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=63dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=152.5℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力1.20cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=48dtex/24フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) 溶融紡糸装置の紡糸ヘッドに芯鞘型複合繊維製造用の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]を取り付け、ポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y3002G」、IPF=93%)を芯成分およびポリプロピレン[IPF=98%、MFR=16g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を鞘成分として用いて、芯成分:鞘成分=1:2の質量比で、240℃で溶融混練し、紡糸口金(口金温度245℃)から22.3g/分の量で吐出し、800m/分の引き取り速度でボビンに巻き取って芯鞘型のポリプロピレン未延伸糸を製造して、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=287dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸してポリプロピレン前延伸糸を製造しボビンに巻き取って室温に保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=62dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=152.2℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力1.25cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=48dtex/24フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレンを用いて実施例1の(1)と同じ条件を採用してポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、1段で4.6倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温に保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=63dtex/24フィラメント)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱プレートに接触させて、変形速度13.8倍/分および延伸張力1.43cN/dtexの条件下に、1段で1.6倍に後延伸して(熱プレートへの接触時間=15秒)、総延伸倍率が7.4倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=39dtex/24フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) ポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y3002G」、IPF=93%)を用いて、実施例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取って、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=288dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温に保存し(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=68dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=151.8℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力0.96cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=48dtex/24フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
実施例1の(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%)を用いて、実施例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度143℃の熱風炉に導入して、1段で6.9倍に延伸して、ポリプロピレン延伸糸(総繊度=42dtex/24フィラメント)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%)を用いて、実施例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度90℃の熱水槽に導入して、1段で3.7倍に前延伸した後、巻き取らずに引き続いて温度138℃の熱風炉に導入して1.2倍に後延伸して、総延伸倍率が4.4倍の延伸糸(総繊度=65dtex/24フィラメント)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%)を用いて、実施例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度90℃の熱水槽に導入して、1段で3.7倍に前延伸した後、巻き取らずに引き続いて温度172℃の熱風炉に導入して1.2倍に後延伸して、総延伸倍率が4.4倍の延伸糸(総繊度=65dtex/24フィラメント)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)は、毛羽が多く、使用できるものではなかったため、DSC測定、繊維強度および摩擦防融性の測定を行わなかった。
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%)を溶融紡糸装置の押出機に投入して270℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度295℃の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]から9.5g/分の量で吐出し、1500m/分で引き取ってポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取り、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=65dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度130℃の熱風炉に導入して、1段で1.5倍に延伸して、ポリプロピレン延伸糸(総繊度=44dtex/24フィラメント)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%)を溶融紡糸装置の押出機に投入して230℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度300℃の紡糸口金[孔数30個(円形孔)、孔径0.8mm]から20g/分の量で吐出し、300m/分で引き取ってポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=535dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度110℃の熱ローラーで、1段で3.7倍に延伸して、ポリプロピレン延伸糸(総繊度=145dtex/24フィラメント)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸の両端を固定した後、165℃のエアーオーブン中に30分間入れて熱処理を施した。
(4) 上記(3)で得られた熱処理後のポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) ポリプロピレン[プライムポリマー社製「ZS1337A」、IPF=96%、MFR=20g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を溶融紡糸装置の押出機に投入して300℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度320℃の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]から22.3g/分の量で吐出し、600m/分の引き取り速度でポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の「総繊度=304dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度90℃の加熱ロールにより1段で1.5倍に前延伸した後、ボビンに巻き取って室温に保存し(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=203dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=150.8℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度138℃の熱風炉に導入して、1段で4.9倍に後延伸して、総延伸倍率が7.4倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=40.8dtex/24フィラメント)を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
(1) 実施例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン[プライムポリマー社製「Y2000Gv」、IPF=97%、MFR=18g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を溶融紡糸装置の押出機に投入して255℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度260℃の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]から35.4g/分の量で吐出し、600m/分の引き取り速度でポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の「総繊度=635dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度145℃のスチーム槽により1段で11.5倍に延伸して、ポリプロピレン延伸糸(総繊度=55.2dtex/24フィラメント)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および摩擦防融性の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
これに対して、比較例1〜4および8〜9のポリプロピレン繊維は、DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃を超える半価幅を有するブロードな形状であって、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/gよりも低いことにより(118J/g以下)、摩擦防融性試験での摩擦溶融開始時間が4.1秒以下で、実施例1〜9に比べて大幅に短く、耐熱性に劣っている。
また、比較例6および7のポリプロピレン繊維は、繊維強度が7cN/dtexよりも低く、しかもDSC測定による融解エンタルピー変化量(△H)が125J/gよりも低いことにより(75J/gまたは82J/g)、摩擦防融性試験での摩擦溶融開始時間が実施例1〜9に比べて大幅に短く、耐熱性に劣っている。
Claims (1)
- アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなるポリプロピレン繊維であって、走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、且つ繊維強度が7cN/dtex以上であることを特徴とするポリプロピレン繊維。
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