JP2004277940A - 高伸度ポリオレフィン繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】後加工の必要がなくコスト面で有利であり、かつ製造が容易な高伸度ポリオレフィン繊維、及びそれを用いた高伸度不織布を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂を主体として構成され、少なくとも1種類以上の熱可塑性樹脂を1〜20wt%含有し、かつ、該ポリオレフィン系樹脂と該熱可塑性樹脂の溶融流量比が、0.05〜1.5の範囲であるポリオレフィン繊維であって、該ポリオレフィン繊維の単糸断面が海島構造であり、該ポリオレフィン系樹脂が海部を形成し、該熱可塑性樹脂が島部を形成しており、該ポリオレフィン繊維の単糸断面の直径D1と島部の直径D2の比(D2/D1)が0.01〜0.3の範囲であることを特徴とする高伸度ポリオレフィン繊維、および不織布。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高伸度を有するポリオレフィン繊維及び不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン樹脂及び繊維は、その価格の安さと軽量さから、ポリエステルやナイロン素材ほど耐熱性を必要としない用途で代替が進み、多種多様の所で使用されているが、伸縮性繊維が使用されている伸縮性分野への代替までは広がっていない。その理由としては、伸度不足および回復性がないということが挙げられる。しかし、たとえ伸縮性がなくとも、使用条件によっては大きく伸びる性質を付与出来れば、伸縮性用途または成形性用途にも使用が可能である。
【0003】
従来からポリオレフィンのポリマーブレンドについて数々の研究が行われているが、単に非相溶系のポリマー同士を混合しただけでは安定して紡糸することは難しく、また、その特徴を発揮させることは、一部の例外的な場合を除き難しいとされてきた。
【0004】
例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6等には、混合する樹脂に対して、その他の成分として必ず相溶化剤を添加することによりポリマー同士の相溶性を改良し、ほぼ同一の島成分を形成させることにより、特徴のある樹脂及び繊維を製造することが記載されている。また、特許文献7や特許文献8等には、2成分のポリマーを用い、2基の押出機を用いて各ポリマーを別々に一旦溶解後、紡口付近で混合又は張り合わせを行い、海島型繊維や芯鞘型繊維、サイドバイサイド型繊維などの繊維を作る方法が記載されている。
【0005】
これらの方法で繊維化する場合は、相溶化剤などのポリマー以外の成分を用いなければならないこと、設備的に大きくなることなど、コスト面や製造面からも複雑な方法となってしまう。また、単にポリマーをブレンドして繊維化する場合は、特殊な条件を必要とするため、非相溶性のポリマーを単に混合して繊維化することは、これ迄難しいとされてきた。
【0006】
合成繊維を高伸度化する方法として、特許文献9には、未延伸状態の繊維のままで捲縮をかける方法、特許文献10には、半延伸または未延伸状態の繊維を溶剤処理または熱処理する方法、特許文献11には、延伸された繊維を炭素数1〜3のn−アルコールで処理する方法、特許文献12には、断面積が繊維軸方向に沿って変動する太細加工糸とする方法、特許文献13には、粘度差を有する2種類のポリマーをサイドバイサイド型に配置して潜在捲縮糸とする方法等が記載されている。しかし、これらの方法では、未延伸糸を用いるために、寸法安定性が低下したり、後加工や特殊な製法を必要とする等の問題がある。
【0007】
また、耐薬品性に優れたポリオレフィン系繊維を高伸度化するための方法として、特許文献14には、低紡速で紡糸して、再延伸、クリンプ処理により高伸度化繊維を製造する方法が記載されている。しかし、この方法では、繊維はほとんど未延伸糸に近いため、紡糸条件や巻き取り条件が複雑となったり、再延伸やクリンプ処理を行うため、設備的に高コストとなるなど、コスト及び生産性の問題が生じる。
【0008】
【特許文献1】
特開昭62−299511号公報
【特許文献2】
特開平4−272219号公報
【特許文献3】
特開平5−262930号公報
【特許文献4】
特開平6−158431号公報
【特許文献5】
特開平6−257016号公報
【特許文献6】
特開平7−3532号公報
【特許文献7】
特開平2−127520号公報
【特許文献8】
特開平6−2267号公報
【特許文献9】
特許第3394187号公報
【特許文献10】
特開昭52−74018号公報
【特許文献11】
特開昭57−66181号公報
【特許文献12】
特開平8−209472号公報
【特許文献13】
特開2000−27031号公報
【特許文献14】
特許第3349187号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記のような従来技術の問題を解決しようとするものであり、非相溶性のポリマーを混合するに際し、相溶化剤を用いずに、大きな設備を必要とせず、後加工を必要とせずに高伸度ポリオレフィン繊維を提供することを目的とするものである。さらに、本発明は、充分な伸度を有し、3次元追従性及び成型性に優れる高伸度ポリオレフィン不織布を提供することを目的とするものである。本発明においては、後加工の必要がないためコスト面で有利であり、かつ安定な生産が可能である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の通りである。
【0011】
1.ポリオレフィン系樹脂を主体として構成され、少なくとも1種類以上の熱可塑性樹脂を1〜20wt%含有し、かつ、該ポリオレフィン系樹脂と該熱可塑性樹脂の溶融流量比が、0.05〜1.5の範囲であるポリオレフィン繊維であって、該ポリオレフィン繊維の単糸断面が海島構造であり、該ポリオレフィン系樹脂が海部を形成し、該熱可塑性樹脂が島部を形成しており、該ポリオレフィン繊維の単糸断面の直径D1と島部の直径D2の比(D2/D1)が0.01〜0.3の範囲であることを特徴とする高伸度ポリオレフィン繊維。
【0012】
2.ポリオレフィン繊維の複屈折率Δnが0.02未満であり、かつ、沸水収縮率が4%未満であることを特徴とする上記1に記載の高伸度ポリオレフィン繊維。
【0013】
3.上記1又は2記載の高伸度ポリオレフィン繊維からなる不織布。
【0014】
以下、本発明につき詳述する。
【0015】
本発明に用いるポリオレフィン系樹脂は、以下のようなものを使用することが出来る。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリメチルペンテンなど単一重合樹脂やその共重合体物などが挙げられ、ポリプロピレンとポリエチレンのランダム共重合体も使用することが出来る。
【0016】
混合する熱可塑性樹脂としては、上記のポリオレフィン系樹脂でも良く、それ以外としては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ナイロン612などのポリアミド系樹脂物やその共重合体樹脂物、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂物やその共重合体樹脂物等が挙げられる。しかしこれらに限定されるものではない。
【0017】
本発明において、ポリオレフィン系樹脂と熱可塑性樹脂との溶融流量比は0.05〜1.5の範囲である。つまり、0.05≦[(熱可塑性樹脂の溶融流量)/(ポリオレフィン系樹脂の溶融流量)]≦1.5である。溶融流量比のより好ましい範囲は0.1〜1.4である。溶融流量比が1.5を越えると、高伸度化された繊維を得ることが難しく、0.05未満では、高伸度化された繊維は得られるものの、紡糸が困難となり、糸切れや紡口付近での糸曲がりが起き、安定して連続した糸が得られ難く生産性が低下する。
【0018】
ポリオレフィン系樹脂に対して、熱可塑性樹脂の混合比は1〜20wt%の範囲であり、好ましくは3〜15wt%である。熱可塑性樹脂の混合比が1wt%未満であると、熱可塑性樹脂の混合量が少なく、目的とする高伸度化された繊維が得られない。混合比が20wt%を越えると、高伸度化された繊維は得られるものの、紡糸中に糸切れが多発し、安定して連続した繊維が得られにくくなり生産性が低下する。
【0019】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維の単糸断面形状は、円形や楕円形、三角や四角等の多角形、扁平や中空等の異型断面形状でもよい。
【0020】
繊度については、特に制限はなく、必要とする特性に応じて任意に設定することが出来る。また、繊維の形態についても、モノフィラメント、マルチフィラメント、ステープル等のいずれの形態でも良い。
【0021】
本発明において、高伸度ポリオレフィン繊維の単糸断面構造は海島構造であり、ポリオレフィン系樹脂が海部を形成し、混合された熱可塑性樹脂が島部を形成している。
【0022】
高伸度化された繊維を得るためには、ポリオレフィン系樹脂で形成されている海部よりも、混合された熱可塑性樹脂で形成されている島部の大きさ、長さに大きな影響を受ける。島部が本発明で規定する範囲内であると、海部であるポリオレフィン系樹脂の結晶化が遅延される傾向があり、そのため、形成された繊維が高伸度化される。しかし、島部が本発明の範囲を逸脱すると、高伸度と言いうるレベルまでは達しない。
【0023】
本発明において、高伸度ポリオレフィン繊維の単糸断面の直径D1と島部の直径D2の比は、0.01≦D2/D1≦0.3の範囲であり、好ましくは0.02≦D2/D1≦0.2、さらに好ましくは0.02≦D2/D1≦0.15である。D2/D1が0.01未満であると、目的とする高伸度繊維が得られないことがある。なお、得られた繊維の単糸断面が円形でない場合は、最大径と最小径の平均をD1として用いる。
【0024】
島部は、その1本が連続した繊維状となっていることが好ましく、たとえ1本が連続した繊維状となっていなくとも他の島部との重なりで繊維状となっていれば、繊維は高伸度化されるのである。
【0025】
その理由は次の通りである。紡糸工程での繊維の延伸時に、島部を形成する熱可塑性樹脂の変形が先に終了し、海部を形成するポリオレフィン系樹脂の延伸配向が阻害される。それゆえ、海部は、配向が抑制されて低結晶性のまま延伸が終了し、その結果、高伸度化が可能となるのである。
【0026】
本発明において、島部の長さは、溶解法により測定することができる。その測定方法は、20本のフィラメントを1つの繊維束とし、7cmの繊維束をデカリン又はo−ジクロロベンゼン中に浸漬して、海部であるポリオレフィン系樹脂を溶解した後、島部の長さを測定する。
【0027】
高伸度を得るためには、溶解後の島部の長さが3cm以上で存在することが好ましく、より好ましくは4cm以上、さらに好ましくは6cm以上である。島部の長さが3cm以上であると、島部の連続性が大きくなり、高伸度化に有効である。
【0028】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維の複屈折率Δnは、0.02未満が好ましく、より好ましくは0.001〜0.017の範囲である。複屈折率が0.02未満であると、繊維の配向が適度で、海部の配向が抑制されるため、高伸度の繊維が得られる。
【0029】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維の沸水収縮率は、好ましくは4%未満であり、より好ましくは3%未満である。4%未満であると、繊維中に存在する島部がつながっており、適度に延伸された状態になる。
【0030】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維の破断伸度は約300%にも達し、通常のポリオレフィン繊維の1.5倍以上に相当するので、従来は伸度不足で破断が起こりやすいために、使用不可能であった各種用途にも広く供することが可能である。
【0031】
本発明で得られる高伸度ポリオレフィン繊維は、低モジュラスであり、20%伸長時のモジュラス値は従来のポリオレフィン繊維の2分の1以下であり、小さな変形応力での加工が可能である。
【0032】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の常用の各種添加剤成分、例えば、衝撃性改良剤、着色防止剤、ヒンダードフェノールやヒンダードアミンなどの酸化防止剤、エチレンビスステアリルアミドや高級脂肪酸エステルなどの離型剤、ハロゲン化銅に代表される銅化合物などの耐熱剤、エポキシ化合物、滑剤、耐候剤、難燃剤、着色剤などの添加剤を添加、付着させることが出来る。
【0033】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維は、公知の方法を用いて製造することができ、製造方法には特に制限はなく、ポリオレフィン系樹脂を主体として構成され、少なくとも1種類以上の熱可塑性樹脂を所定量含有させればよく、例えば、以下の様な方法で得られる。
【0034】
繊維の形成には、通常使用される紡糸口金を用いて溶融紡糸を行う。ポリオレフィン系樹脂と少なくとも1種類以上の熱可塑性繊維を混合させるには、ポリオレフィン系樹脂にマスターバッチ化する方法、ドライブレンドにより混合する方法等が考えられるが、コスト面からドライブレンド法を採用することが好ましい。紡糸された糸条は、冷却した後に延伸や熱処理を施し、巻き取る。このとき、紡糸された糸条を一旦巻き取った後に延伸、熱処理を行う二工程法でも、一旦巻き取ることなく延伸、熱処理を行う一工程法のどちらを採用してもよい。
【0035】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の常用の後加工、例えば、難燃剤、消臭剤、抗菌剤、防ダニ剤などの付与をしてもよいし、染色、撥水加工、透湿防水加工などを施してもよい。
【0036】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維は、単独で用いてもよく、あるいは他の繊維と混用して、製編織してもよい。他の繊維と混用する方法としては、混繊、合糸、合撚、交織、交編、混紡などの種々の方法を用いることができる。
【0037】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維からなる不織布は、その製造方法には特に制限はない。例えば、本発明の高伸度ポリオレフィン繊維を用いて不織布を製造する際に、繊維をシート状に形成させてウェブ化する工程と、ウェブ内の繊維を接着あるいは絡み合わせて布形化する工程とを、二工程で行ってもよいし、一工程で行ってもよい。
【0038】
また、ウェブを構成する繊維として短繊維あるいは長繊維のいずれを用いてもよく、その形成方法としても、カーディングやエアレイなどの乾式法、抄紙法などの湿式法、スパンボンド法とメルトブロー法に代表される紡糸直結法、また上記方法を組み合わせた方法などのいずれの方法を用いても良い。さらに、ウェブを接着あるいは絡み合わせる方法としても、接着剤又は熱融着繊維を混合してウェブ中の繊維を接着させる化学的接着法、カレンダー法、エアースルーヒーティング法などの熱的接着法、ニードルパンチ法、水流交絡法、ステッチボンド法などの機械的接着法などのいずれの方法を用いても良い。
【0039】
なかでも、スパンボンド法で得られる不織布は、短繊維を経ることなく直接長繊維をウェブ化することにより作られるので、布強度が強く且つボンディング部の破損による短繊維の脱落がないなどの物性上の特徴を有しており、また、低コストで生産性が高く、短繊維を使用する乾式及び湿式不織布に比較して長所が多いため、衛生、土木、建築、農業・園芸を中心に広範な用途で使用されており、本発明の高伸度ポリオレフィン繊維からなる不織布としては好適である。
【0040】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維からなる不織布の形状、形態、目付等についても、必要とする特性に応じて任意に設定することが出来る。
【0041】
なお、本発明の高伸度ポリオレフィン繊維からなる不織布に、印刷、染色、コーティング加工などを施すことも可能であるし、種類の異なる素材、製法、製品を複合化しても何ら差し支えない。
【0042】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維からなる不織布は、従来のポリオレフィン不織布が用いられている用途に広く使用可能である。例えば、衣料部材、ディスポ衣料、靴部材などの衣料用途、保護衣、防護用品などの防護用途、手術着、マスク、ハップ剤基布などの医療用途、ルーフィング、タフト・カーペット基布、結露防止シートなどの建築用途、補強材、保護材、地中埋設管の補修材などの土木用途、自動車内装、自動車部品などの車両用途、救急用品、洗浄用品、おしぼりなどの衛生用途、カーペット、家具部材、壁紙などの家具・インテリア用途、ウェットワイパー、クリーニング材などのワイパー用途、空気フィルター、バグフィルター、エレクトレットフィルターなどのフィルター用途、布団、布団袋、枕カバーなどの寝装用途、べた掛けシート、防草シート、園芸プランターなどの農業・園芸用途、収納用品、包装資材、台所用品などの生活資材用途、電気材料、製品材料、機器部材などの工業資材用途などが挙げられる。
【0043】
特に、本発明の高伸度ポリオレフィン繊維からなる不織布は、低モジュラスで破断伸度が高いので、大きな伸長や複雑な形状変形を伴う高度な成型部材として適している。例えば、ドアトリム、天井成型材、シート内張布などの自動車内装材、緑茶、紅茶、コーヒーなどの食品用フィルターバッグ、防虫剤、芳香剤などの揮発性薬剤容器などが挙げられる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0045】
なお、測定方法、評価方法等は下記の通りである。
【0046】
1)溶融流量比
メルトインデクサー(東洋精機社製:MELT INDEXER S−101)溶融流量装置を用い、オリフィス径1.0475mm、オリフィス長0.8mm、荷重2160gの条件で、10分間当たりの溶融ポリマーの吐出量(g)を求め下記式より算出した。尚、測定温度は紡糸温度とした。
【0047】
溶融流量比=[(ポリオレフィン系樹脂)/(熱可塑性樹脂)]
2)D2/D1比
繊維100本を1束とし、繊維断面方向に切断した。この断面を走査型電子顕微鏡にて4000倍で撮影し、単糸断面の直径D1と、島部の直径D2を測定し、D2/D1を算出した。値は、70本以上をランダムに抜き出し、その平均値とした。
【0048】
3)強度、伸度
東洋ボールドウィン社製のテンシロンSTM101型を用いて、つかみ間隔100mmで、2回/50mmの撚りを加え、引張速度200mm/minで伸長し、得られた切断時荷重を単位繊度当たりに換算して強度とし、測定回数5回の平均値を求めた。また、同様にして得られた切断時伸張率の平均値を伸度とした。
【0049】
4)複屈折率
OLYMPUS社製のBH2型偏光顕微鏡コンペンセーターを用いて、通常の干渉縞法によって、レターデーションと繊維径より複屈折率を求めた。
【0050】
5)沸水収縮率
繊維100本を1束とし、その長さL1を測定した後、沸騰した熱水の中に入れ5分間処理を行った。取り出した後、長さL2を測定し下記の式により収縮率を求めた。
【0051】
収縮率(%)={(L1−L2)/L1}×100
6)不織布の強伸度
島津製作所社製のオートグラフAGS−5G型を用いて、3cm幅の試料を、つかみ間隔100mm、引張速度200mm/minで伸長し、得られた切断時荷重を強度とし、不織布のタテ(MD)方向について10回づつ測定を行い、その総平均値を求めた。また、同様にして得られた切断時伸張率の総平均値を伸度とした。
【0052】
〔実施例1〕
溶融流量比=0.91であるポリプロピレン95wt%とナイロン6樹脂5wt%をドライブレンドにて混合し、常用の溶融紡糸装置に供給した。次に、250℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度3300m/分にて引き取り、2.8dtexのポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は372%と高伸度であった。
【0053】
〔実施例2〕
溶融流量比=0.52であるポリプロピレン95wt%とナイロン610樹脂5wt%をドライブレンドにて混合し、常用の溶融紡糸装置に供給した。次に、250℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度3000m/分にて引き取り、3.1dtexのポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は461%と高伸度であった。
【0054】
〔実施例3〕
実施例2において、ナイロン610樹脂の含有量が3wt%となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は352%と高伸度であった。
【0055】
〔実施例4〕
実施例2において、ナイロン610樹脂の含有量が10wt%となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は460%と高伸度であった。
【0056】
〔実施例5〕
実施例2において、ナイロン610樹脂の含有量が15wt%となるように混合したこと以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は465%と高伸度であった。
【0057】
〔実施例6〕
溶融流量比=0.12であるポリプロピレン97wt%とナイロン610樹脂3wt%をドライブレンドにて混合し、常用の溶融紡糸装置に供給した。次に、250℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度3300m/分にて引き取り、2.8dtexのポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は500%と高伸度であった。
【0058】
〔実施例7〕
溶融流量比=0.41であるポリプロピレン95wt%とナイロン12樹脂5wt%をドライブレンドにて混合し、常用の溶融紡糸装置に供給した。次に、250℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度3400m/分にて引き取り、2.7dtexのポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は363%と高伸度であった。
【0059】
〔実施例8〕
溶融流量比=1.36であるポリプロピレン95wt%とナイロン6とナイロン12の共重合樹脂5wt%をドライブレンドにて混合し、常用の溶融紡糸装置に供給した。次に、250℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度2800m/分にて引き取り、3.3dtexのポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は343%と高伸度であった。
【0060】
〔実施例9〕
溶融流量比=0.57のポリプロピレン95wt%とポリブチレンテレフタレート樹脂5wt%をドライブレンドにて混合し、常用の溶融紡糸装置に供給した。次に、280℃にて均一に溶融混合し、円形断面の紡糸孔を有する紡糸口金から溶融紡出して速度3000m/分にて引き取り、3.0dtexのポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は350%と高伸度であった。
【0061】
〔実施例10〕
実施例2にて得られたポリオレフィン繊維を開繊分散してウェブを形成し、エンボスロールとフラットロール間で部分熱圧着して、40g/mの長繊維不織布を作成した。この不織布の不織布物性を表1に示す。得られた不織布は高伸度であった。
【0062】
〔実施例11〕
実施例7にて得られたポリオレフィン繊維を開繊分散してウェブを形成し、エンボスロールとフラットロール間で部分熱圧着して、40g/mの長繊維不織布を作成した。この不織布の不織布物性を表1に示す。得られた不織布は高伸度であった。
【0063】
〔比較例1〕
実施例1において、ナイロン6樹脂を添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は183%であった。
【0064】
〔比較例2〕
溶融流量比=2.6であるポリプロピレン99.5wt%とナイロン610樹脂0.5wt%をドライブレンドにて混合したこと以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン繊維を得た。得られたポリオレフィン繊維の物性を表1に示す。伸度は190%であり、ポリオレフィン100%の繊維とほとんど変わらなかった。混合量が少ないために高伸度化出来なかったことがわかる。
【0065】
〔比較例3〕
溶融流量比=2.6であるポリプロピレン70wt%とナイロン610樹脂30wt%をドライブレンドにて混合したこと以外は、実施例1と同様にしてポリオレフィン繊維を得ようとしたが、糸切れ多発と紡口付近での糸曲がりが発生し、連続した糸を得ることは出来なかった。
【0066】
〔比較例4〕
比較例1にて得られたポリオレフィン繊維を開繊分散してウェブを形成し、エンボスロールとフラットロール間で部分熱圧着して、40g/mの長繊維不織布を作成した。この不織布の不織布物性を表1に示す。得られた不織布は、実施例9、10で得られた不織布に比べ、低伸度であった。
【0067】
【表1】
Figure 2004277940
【0068】
なお、表1における略記の意味は下記の通りである。
【0069】
PP:ポリプロピレン、 N6:ナイロン6、 N610:ナイロン610、
N12:ナイロン12、 co−N:共重合ナイロン、
PBT:ポリブチレンテレフタレート。
【0070】
【発明の効果】
本発明の高伸度ポリオレフィン繊維及び不織布は、後加工の必要がなく、コスト面で有利であり、かつ、従来のポリオレフィン繊維及び不織布に比べ高い伸度を有しているため、伸度を要求する用途や易成型性を要求される用途に好適に利用できる。また、高伸度不織布の特性を活かして、ハップ剤基布等の医薬用途、ドアトリム等の自動車用途、成型素材等の産業資材用途、生理用品用途等、高伸度が必要とされる用途に好適である。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン系樹脂を主体として構成され、少なくとも1種類以上の熱可塑性樹脂を1〜20wt%含有し、かつ、該ポリオレフィン系樹脂と該熱可塑性樹脂の溶融流量比が、0.05〜1.5の範囲であるポリオレフィン繊維であって、該ポリオレフィン繊維の単糸断面が海島構造であり、該ポリオレフィン系樹脂が海部を形成し、該熱可塑性樹脂が島部を形成しており、該ポリオレフィン繊維の単糸断面の直径D1と島部の直径D2の比(D2/D1)が0.01〜0.3の範囲であることを特徴とする高伸度ポリオレフィン繊維。
  2. ポリオレフィン繊維の複屈折率Δnが0.02未満であり、かつ、沸水収縮率が4%未満であることを特徴とする請求項1に記載の高伸度ポリオレフィン繊維。
  3. 請求項1又は2記載の高伸度ポリオレフィン繊維からなる不織布。
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