JP4990827B2 - 水硬性組成物および水硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は、水硬性組成物および当該水硬性組成物を用いて形成した水硬化物に関する。
より詳細には、本発明は、耐熱性および強度に優れ、しかも保水性が高くて水硬化物との親和性に優れるポリプロピレン繊維を含有する水硬性組成物および当該水硬性組成物を用いて製造した水硬化物に関する。本発明の水硬性組成物を用いることによって、常温下での自然養生を行った場合に強度に優れる水硬化物を円滑に製造することができ、更に高温でのオートクレーブ養生などを行うことによって強度に優れる水硬化物を短縮された時間で生産性よく製造することができる。
セメント、石膏、水滓スラグなどの水硬性物質を含む水硬性組成物を水和硬化(以下「水硬化」ということがある)させることによって形成される水硬化物は、一般に強度が低く、しかも乾燥収縮時にクラックが発生し易い。
そこで、セメントなどの水硬性物質に補強用繊維を加えることが従来から行われており、水硬性物質の補強繊維としては従来石綿が使用されてきた。しかし、石綿は人体に有害であって安全面や衛生面から望ましくないことから、現在その使用が規制されている。
近年、石綿に替わる水硬性物質の補強用繊維として種々の無機繊維、合成繊維が使用されるようになっており、合成繊維としてはポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、アクリル繊維などが主として用いられている。中でもポリプロピレン繊維は、耐アルカリ性、耐衝撃性に優れ、かつ軽量であり、オートクレーブ養生が可能であることから、近年特に使用量が増えている。
セメントなどの水硬性物質から水硬化物を製造する際のオートクレーブ養生の温度が高いほど短時間で養生できることが知られており、かかる点から、耐熱性の高い補強用繊維を使用することができれば、養生時間が短くなることから、養生スペースが狭くてすみ、しかも型枠等の冶具の回転率も向上するため、水硬化物の生産にとって有利である。また、オートクレーブ養生の温度は水硬化物の寸法安定性にも大きな影響を及ぼすことが知られている。そして、養生温度が高いほど、得られる水硬化物の寸法安定性が向上する傾向にある。
しかしながら、高温でのオートクレーブ養生に十分に耐えるような高い耐熱性を備え、しかも強度が大きく、セメントなどの水硬性物質との親和性に優れる、水硬性物質補強用のポリプロピレン繊維は未だ得られていないのが現状である。
例えば、アイソタクチックペンタッド分率が96%以上98.5%未満で、メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が0.1〜30g/10分であるホモポリプロピレン樹脂を溶融成形後に延伸して製造した、170℃、10分間における熱収縮率が10%以下で、融解ピーク温度が178℃以上であるポリプロピレン繊維をセメント補強材として用いることが知られている(特許文献1を参照)。
しかしながら、ここで用いられているポリプロピレン繊維は、吸熱ピーク形状がブロードなダブル形状またはブロードなシングル形状であって、結晶が不均一であり、耐熱性が未だ十分に高くないため、高温でのオートクレーブ養生、特に150℃を超すような温度、更には170℃以上の高温でのオートクレーブ養生には十分に適しておらず、前記したような高い温度でオートクレーブ養生すると、ポリプロピレン繊維の強度低下や劣化などが生じ易い。
また、セメントなどの水硬性物質との親和性を向上させるために、表面に凹凸を形成した水硬性物質補強用のポリプロピレン繊維が知られている。
具体的には、ポリプロピレン繊維に電離性放射線を照射して表面に凹凸を形成させた水硬性物質用の補強繊維(特許文献2を参照)、溶融紡糸したポリプロピレン繊維にエンボス加工および延伸処理を施して表面に凹凸を形成したセメント配合用のポリプロピレン繊維(特許文献3を参照)、押出機により溶融押し出ししたポリプロピレン繊維の引き取り速度を変化させて凹凸を付与した後に延伸処理を施して製造した表面に凹凸を有するセメント配合用のポリプロピレン繊維(引用文献4を参照)などが知られている。
しかしながら、特許文献2〜4のポリプロピレン繊維は、いずれも単繊維繊度が50〜100000デニールであって繊度が大きいために、水硬性物質に対するポリプロピレン繊維の親和性が不十分になり易く、しかもそれらのポリプロピレン繊維を水硬性物質全体に均一に分散させて十分な補強を行うためには多量(多質量)のポリプロピレン繊維の配合が必要である。
その上、特許文献2〜4の記載されている凹凸の形成方法を単繊維繊度が10dtex以下の細繊度のポリプロピレン繊維に適用した場合には、繊維の損傷が著しく、細繊度のポリプロピレン繊維に対しては事実上適用が困難である。
なかでも、引用文献2には、50〜50000デニール、特に3000〜12000デニールのポリオレフィンモノフィラメントに電離性放射線を照射して表面に凹凸を形成させた水硬性物質用の補強繊維が記載されているが、この補強繊維は繊度が大きく、水硬性物質に対して十分な補強効果を発揮しにくい。しかも、引用文献2に記載されている電離線放射線による凹凸形成方法を細繊度のポリプロピレン繊維、特に単繊維繊度が10dtex以下、更には3dtex以下のポリプロピレン繊維に実施した場合には、強度低下、毛羽の多発、形状ムラなどが激しく、工程通過性、品質、品位のいずれにおいても問題を抱えることになる。
さらに、ポリプロピレン未延伸糸を、熱風槽で125〜155℃で延伸して製造した、9cN/dtex以上の単糸強度を有し、繊維表面の曲面に添って筋状の粗面構造を有するコンクリート補強用のポリプロピレン繊維が知られている(特許文献5)。しかしながら、このポリプロピレン繊維では、繊維表面に存在する筋状の粗面構造の間隔および高さが共に小さいため、繊維が十分な保水性を有しておらず、水硬性物質との親和性が不十分である。
また、ポリプロピレン未延伸糸を3.0〜5.0kg/cm2(温度133〜151℃)の加圧飽和水蒸気により1段で延伸して、光学的に明部と暗部を有する延伸糸を製造する方法が提案されており(特許文献6)、この特許文献6には前記で得られた延伸糸の用途の1つとしてセメント用の補強繊維として用いることが開示されている。しかしながら、この方法により得られるポリプロピレン延伸糸(ポリプロピレン繊維)は、繊維表面における凹凸の形成が不十分で、凹凸の間隔および高さが小さく、十分な保水性を有していないため、マトリックスをなす水硬性物質との親和性が十分ではない。
特開2002−302825号公報 特公昭61−26510号公報 特開昭56−9268号公報 特公昭61−301号公報 特開2003−293216号公報 特許第3130288号公報 「Macromolecules」、第6巻、1973年、p925 「Macromolecules」、第8巻、1975年、p687
本発明の目的は、強度が高く、しかも均一な結晶構造を有していて耐熱性に優れるポリプロピレン繊維を補強繊維として含有し、養生温度の高低に拘わらず強度および耐久性に優れる水硬化物を形成することができ、特に高温でオートクレーブ養生した場合にもポリプロピレン繊維の劣化や強度低下がなく、強度および耐久性に優れる水硬化物を短縮された養生時間で製造することのできる水硬性組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、耐熱性および強度に優れるだけでなく、保水性が高くてマトリックスをなす水硬性物質との親和性に優れるポリプロピレン繊維を含有していて、強度や耐久性に優れる水硬化物を形成することのできる水硬性組成物を提供することである。
そして、本発明の目的は、前記した水硬性物質を用いて強度、耐久性などの特性に優れる水硬化物を短い時間で生産性よく製造する方法を提供することである。
本発明者は、前記した目的を達成するために鋭意検討を重ねてきた。そして、特定以上のアイソタクチックペンタッド分率(IPF)を有するポリプロピレンを用いて溶融紡糸した後に冷却固化してポリプロピレン未延伸繊維を製造し、それにより得られるポリプロピレン未延伸繊維を特定の条件下で前延伸および後延伸することで、走査示差熱量測定(DSC)において特定の吸熱・融解特性を示し、均一な結晶構造を有していて、耐熱性に優れ、しかも強度にも優れる、従来にないポリプロピレン繊維を得ることができた。
さらに、本発明者は、前記した特定の方法を採用して単繊維繊度が3dtex以下、特に0.1〜3dtexのポリプロピレン繊維を製造することで、繊維表面に、大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在した所定の平均間隔および平均高さの凹凸を有していて保水性に優れ、しかも強度に優れるポリプロピレン繊維を得ることができた。しかもその際に、当該ポリプロピレン繊維における走査示差熱量測定(DSC)による吸熱・融解特性を特定のものにすることで、結晶構造が均一であり且つ高保水性および高強度であると共に耐熱性にも優れるポリプロピレン繊維を得ることができた。
そこで、本発明者は、上記で得られたポリプロピレン繊維をセメントなどの水硬性物質に配合して水硬性組成物を調製し、当該水硬性組成物を用いて水硬化物を製造することを試みた。その結果、上記で得られたポリプロピレン繊維を含有する水硬性組成物に水を混合した混合物を成形し、それを養生して得られる水硬化物(水硬化成形物)が極めて高い強度を有することを見出した。特に、上記で得られたポリプロピレン繊維を含有する水硬性組成物を用いて水硬化成形物などの水硬化物を製造するに当たっては、養生温度に関係なく高い強度を有する水硬化物が得られ、100℃を超える高温での養生、常温での養生、それらの間の温度での養生のいずれによっても水硬化物の強度は高いものとなること、特に100℃を超える高温、そのうちでも150℃を超える高温で、特に170℃以上の高温でオートクレーブ養生を行った場合には、水硬性組成物中のポリプロピレン繊維の劣化や強度低下を生ずることなく当初の高い強度を維持しつつ、ポリプロピレン繊維表面の特定の凹凸構造に伴う水硬化物との高い親和性によって、常温で養生した場合と同等の高い強度を有する水硬化物を、常温養生に比べて大幅に短縮した養生時間で生産性よく製造できることを見出し、それらの種々の知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
(1) 水硬性物質と共に、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、且つ走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるポリプロピレン繊維を含有することを特徴とする水硬性組成物;
(2) 水硬性物質と共に、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、且つ単繊維繊度が0.1〜3dtexで、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するポリプロピレン繊維を含有することを特徴とする水硬性組成物;および、
(3) 水硬性物質と共に、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、単繊維繊度が0.1〜3dtexで、走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するポリプロピレン繊維を含有することを特徴とする水硬性組成物;
である。
そして、本発明は、
(4) 前記(1)〜(3)のいずれかの水硬性組成物を用いて形成した水硬化物;および、
(5) 成形物である前記(4)の水硬化物;
である。
アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンからなる、本発明で用いるポリプロピレン繊維は、走査示差熱量測定(DSC)における吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、その融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるという特有のDSC特性を備えているために、結晶性が高く、均一な結晶構造を有し、耐熱性に極めて優れており、高温に曝されても簡単に融解せずに、繊維形状および繊維強度を良好に維持することができる。そのため、当該ポリプロピレン繊維を含有する本発明の水硬性組成物を用いた場合には、100℃を超える高温、特に150℃以上の高温、更には170℃以上の高温で養生した場合にも当該水硬性組成物に含まれるポリプロピレン繊維が繊維形状および優れた強度を維持し、短縮された養生時間で強度および耐久性に優れる水硬化物を円滑に生産性良く製造することができる。
さらに、本発明の水硬性組成物は、7cN/dtex以上の高い繊維強度を有し、しかも繊維の表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に位置してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの特定の凹凸を有していて保水性に優れるポリプロピレン繊維を含有し、当該ポリプロピレン繊維は前記した特定の凹凸を有することによって10%以上という高い保水率を有するためセメントなどの水硬性物質との親和性が高く、更には前記特定の凹凸形状から繊維/セメント界面における摩擦力も高く、水硬化物の破壊時などのポリプロピレン繊維の強度が有効に利用されるので、当該ポリプロピレン繊維を含有する本発明の水硬化性組成物を用いることにより、強度の高い水硬化物を円滑に得ることができる。
特に、本発明の水硬化性組成物において、ポリプロピレン繊維として、単繊維繊度が0.1〜3dtex、繊維強度が7cN/dtex以上、走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、且つ表面に前記した特定の凹凸特性を兼ね備える、高耐熱性、高保水性および高強度のポリプロピレン繊維を配合したものは、100℃を超える高温、特に150℃以上、更には170℃以上の高温での養生、常温養生、自然養生(例えば80℃以下)、或いはその中間温度での養生いずれの養生を行った場合にも、強度に優れる水硬化物を形成する。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明の水硬性組成物では、水硬性物質として、水と反応して硬化する無機物質のいずれもが使用でき特に制限されない。水硬性物質の好ましい例としては、各種ポルトランドセメント、早強セメント、中庸セメント、高炉セメント、アルミナセメント、これらに高炉スラグ、フライアッシュ、シリカなどを混合した混合セメント、石膏、水滓スラグ、水酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウムなどを挙げることができる。本発明の水硬化性組成物は、前記した水硬性物質の1種類のみを含有してもよいし、または2種以上を含有してもよい。そのうちでも、本発明の水硬化性組成物は、水硬性物質としてセメントを少なくとも含有することが好ましい。
本発明の水硬性組成物における水硬性物質の含有量は特に制限されず、水硬性物質の種類、水硬性物質と共に用いられる他の材料の種類、水硬性組成物を水硬化して得られる水硬化物の種類や用途などに応じて決めることができる。一般的には、本発明の水硬性組成物は、水を加える前の水硬性組成物の全質量に対して、水硬性物質を10〜99質量%の割合で含有することが好ましく、20〜98質量%の割合で含有することがより好ましく、30〜97質量%の割合で含有することが更に好ましい。
本発明の水硬性組成物は、前記した水硬性物質と共に特定のポリプロピレン繊維を含有する。
本発明で用いるポリプロピレン繊維は、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)(以下単に「IPF」ということがある)が94%以上のポリプロピレンよりなるポリプロピレン繊維であり、IPFが95〜99%のポリプロピレンよりなることが好ましく、IPFが96〜99%のポリプロピレンからなることがより好ましい。
ポリプロピレンのIPFが94%未満であると、ポリプロピレン繊維に均一な結晶構造を形成されにくくなって、十分な強度および耐熱性を有する、本発明で用いるポリプロピレン繊維が得られなくなる。一方、IPFが99%を超えるポリプロピレンは工業的には量産が困難であるため、コスト面などから実用性が低い。
本発明で用いるポリプロピレン繊維は、ポリプロピレンとして、IPFが前記した値を満たすものであれば、1種類のプロピレン単独重合体から形成されていてもよいし、またはプロピレンと他の共重合性単量体からなるプロピレン共重合体から形成されていてもよい。或いは、混合物全体でのIPFが前記した値を満たすものであれば、2種類以上のプロピレン単独重合体の混合物、1種または2種以上のプロピレン単独重合体と1種または2種以上のプロピレン共重合体の混合物、または2種類以上のプロピレン共重合体の混合物から形成されていてもよい。
また、本発明に用いるポリプロピレン繊維は、ポリプロピレン繊維を構成するプロピレン系重合体全体でのIPFが前記した値を満たすものであれば、2種類以上のプロピレン単独重合体および/またはプロピレン共重合体を用いて形成された芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型などの複合形態または混合形態を有する複合紡糸繊維または混合紡糸繊維、さらにポリプロピレンと他の重合体が芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型などの形態で複合した複合繊維などであってもよい。
ポリプロピレンにおけるIPFは、その立体規則性を表わす指標であり、ポリプロピレンを繊維化した際の結晶性に影響を及ぼす。一般には、IPFが高いポリプロピレンほど立体規則性が高い。ポリプロピレンにおけるIPFは、13C−NMRのシグナルから求めることができ、本明細書におけるポリプロピレンのIPF値は、以下の実施例に記載する方法で求めた値をいう。
ポリプロピレン繊維を製造する際の溶融紡糸性、延伸性などが良好になり、さらに本発明で用いる上記した特定の特性を備えるポリプロピレン繊維が円滑に得られる点から、本発明で用いるポリプロピレン繊維は、JIS K 7210に従って温度230℃、荷重2.16kg、時間10分の条件で測定したときのメルトフローレート(MFR)が5〜70g、更には10〜50g、特に15〜40gのポリプロピレンから形成されていることが好ましい。
本発明で用いるポリプロピレン繊維は7cN/dtex以上の繊維強度を有しており、9〜13cN/dtexの繊維強度を有することが好ましい。
ここで、本明細書におけるポリプロピレン繊維の繊維強度(単繊維繊度強度)は、以下の実施例に記載した方法で測定した繊維強度をいう。
本発明で用いるポリプロピレン繊維は、前記した繊維強度を有することにより、水硬性物質に配合して水硬化物を製造したときに、強度の高い水硬化物を形成する。ポリプロピレン繊維の繊維強度が前記よりも小さいと、セメントなどの水硬性物質に配合して水硬性組成物を調製し、当該水硬性組成物を硬化させて水硬化物を製造したときに、十分な補強効果を発揮し得ない場合がある。一方、繊維強度が13cN/dtexを超えるポリプロピレン繊維は、その製造に当たって、量産性の低い条件を採用する必要があるため、実用面で難がある。
本発明で用いるポリプロピレン繊維のうち、上記した7cN/dtex以上の繊維強度と共に、『走査示差熱量測定(DSC)(以下単に「DSC測定」ということがある)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上である』という特定のDSC特性を備えているポリプロピレン繊維は、かかる特性を備えていることによって、耐熱性に優れている。
DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有する幅の狭い(シャープな)シングル形状をなしていて且つ融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるポリプロピレン繊維を水硬性物質に配合して本発明の水硬性組成物を調製し、当該水硬性組成物を硬化して水硬化物を製造すると、ポリプロピレン繊維が耐熱性に優れていることにより、100℃を超える高温、特に150℃以上、更には170℃以上の高温でオートクレーブ養生してもポリプロピレン繊維の劣化や強度が生じないため、高温で短時間オートクレーブ養生を行って、水硬化物を短縮された時間で生産性よく製造することができる。
ここで、本発明におけるDSC測定による前記した「吸熱ピーク形状」および「融解エンタルピー変化量(△H)」は、以下の実施例に記載する方法で行ったDSC測定による吸熱ピーク形状および融解エンタルピー変化量(△H)をいう。
アイソタクチックポリプロピレン繊維のDSC測定において、160℃以上で観察される吸熱ピークは一般にα晶の融解に由来する。吸熱ピークの温度が160℃以上、場合によっては175℃以上であるポリプロピレン繊維は、従来から知られているが(特許文献6を参照)、そのような従来のポリプロピレン繊維では結晶化が未だ十分に行われていないため、その吸熱ピークの形状はダブルピーク形状であったり、幅の広い(ブロードな)シングルピーク形状であり、その結晶構造は全体として均一性に欠ける。
それに対して、本発明で用いる「DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上である」というDSC特性を備えているポリプロピレン繊維は、DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有する幅の狭い(シャープな)シングル形状をなしていて、且つ融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であることにより、結晶性が高く、均一な結晶構造をなしており、耐熱性に優れている。
ここで、本明細書でいう「DSC測定による吸熱ピーク形状」と「半価幅」について説明する。
まず、図1は、ポリプロピレン繊維におけるDSC測定による吸熱ピーク形状を模式的に示した図である。
図1において、(a)は、唯一の吸熱ピーク(シングルピーク)を有し、当該シングルピークはシャープでしかも大きなピークをなし、大きな融解エンタルピー変化量(△H)を有する本発明に含まれる本発明のポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線の代表例を示したものである。
一方、図1において、(b)は従来のポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線の一例であって、2つの吸熱ピーク(ダブルピーク)を有し、ピークの幅(半価幅)は大きく、融解エンタルピー変化量(△H)は小さい。
また、図1において、(c)は従来のポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線の他の例であり、吸熱ピークは1個(シングルピーク)ではあるが、融解エンタルピー変化量(△H)は小さい。
次に、図2は、DSC曲線にピーク形状がシングルピークである場合を例に挙げて、本発明で用いるポリプロピレン繊維のDSC測定による吸熱ピークにおける半価幅の求め方を示した図である。
図2において、吸熱ピーク(シングルピーク)の頂点Xから温度軸に下ろした垂線と、吸熱ピークのベースラインとの交点をYとしたときに、線分X−Yを二等分する点をMとし、Mを通り温度軸に平行な直線と吸熱曲線との交点をそれぞれN1およびN2としたときに、線分N1−N2の長さ(温度幅)が本明細書でいう「半価幅(℃)」に相当する。
ポリプロピレン繊維の吸熱ピーク曲線が、図1の(b)に示すように2つの吸熱ピークを有するダブルピークである場合や、3つ以上の吸熱ピークを有する場合は、最も高い吸熱ピークの頂点をXとし、当該頂点Xから温度軸に下ろした垂線と、吸熱ピークのベースラインとの交点をYとし、線分X−Yを二等分する点をMとし、Mを通り温度軸に平行な直線と吸熱曲線との交点のうち、温度の最も低い交点をN1とし、温度の最も高い交点をN2としたときに、線分N1−N2の長さ(温度幅)が本明細書でいう「半価幅(℃)」に相当する。この場合には、半価幅(℃)は一般に広いものとなる。
そして、吸熱ピーク曲線において、吸熱ピークのベースライン(図2を参照)と、当該ベースラインよりも上の吸熱ピーク曲線によって包囲される部分の面積が、本明細書における「融解エンタルピー変化量(△H)」に相当する。
ポリプロピレン繊維における結晶形成が不十分であると、DSC測定時の結晶の再配列などによって吸熱ピークや発熱ピークが新たに発現して複雑なDSC曲線になる場合がある。さらに、ポリプロピレン繊維における結晶形成が不十分であると、DSC測定時の昇温速度の違いによって、同じ試料であっても、吸熱ピークや発熱ピークの発現や消失が生じて吸熱ピーク曲線が変化することがある。
それに対して、本発明で用いるポリプロピレン繊維のうち、「DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上である」というDSC特性を備えているポリプロピレン繊維は、当該DSC特性を備えていることによって、DSC測定時の昇温速度1〜50℃/分の範囲では、昇温速度が異なっても、その吸熱ピーク曲線は1個の吸熱ピークのみを有する、シャープで大きなシングルピーク形状をなし、高い融解エンタルピー変化量(△H)を有している。そのことは、本発明で用いるポリプロピレン繊維のうち、前記したDSC特性を有するポリプロピレン繊維が、均一で高い結晶性を有し、その結果として、高い耐熱性を備えていることを裏付けている。
ポリプロピレン繊維の融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g未満であると、耐熱性が不十分になることがある。
但し、常温や100℃以下の低い温度で養生を行って水硬化物を製造する場合には、「DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上である」という要件を備えていないポリプロピレン繊維であっても、IPFが94%以上のポリプロピレンよりなる、単繊維繊度が0.1〜3dtexおよび繊維強度が7cN/dtex以上で、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有する」という特性を備えるポリプロピレン繊維であれば、水硬性物質に配合して水硬化物を製造したときに、十分に強度の高い水硬化物を得ることは可能である。
ポリプロピレン繊維の融解エンタルピー変化量(△H)が高いほど、耐熱性が高くなるが、165J/gを超えるポリプロピレン繊維は、製造速度を大幅に低下しないと製造が困難であり、またIPFが100%に近いポリプロピレンを用いて製造することが必要であるため、工業的には実効性が低い。
かかる点から、本発明で用いるポリプロピレン繊維は、融解エンタルピー変化量(△H)が125〜165J/gであることが好ましく、130〜165J/gであることがより好ましく、135〜165J/gであることが更に好ましく、140〜165J/gであることが一層好ましい。
本発明で用いるポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度)は特に制限されないが、ポリプロピレン繊維を製造する際の製造の容易性(特に延伸のし易さ)、水硬性組成物への適用性、耐久性などの点から、ポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度)は、一般的に0.01〜500dtexであることが好ましく、0.05〜50dtexであることがより好ましく、0.1〜5dtexであることが更に好ましい。
ポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度)が小さ過ぎると、水硬性物質に配合して水硬性組成物を調製した際に、混合時の摩擦によって溶融、断糸して補強効果を発揮しないことがあり、一方大きすぎると、ポリプロピレン繊維を得るための延伸物性が低下して、高強度で、高度に結晶化したポリプロピレン繊維が得られないことがある。
本発明は、水硬性物質に配合するポリプロピレン繊維として、7cN/dtex以上の繊維強度と共に、または7cN/dtex以上の繊維強度および本発明で規定する上記したDSC特性[DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるという特性]と共に、「単繊維繊度が0.1〜3dtexで、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有する」という特性を有するポリプロピレン繊維を用いる態様を包含する。
7cN/dtex以上の繊維強度と共に、または7cN/dtex以上の繊維強度および前記した特定のDSC特性と共に、前記した特定の凹凸特性を有するポリプロピレン繊維を用いる場合は、当該凹凸特性を有するポリプロピレン繊維を円滑に製造するために、ポリプロピレン繊維の単繊維繊度は0.1〜3dtexであることが好ましく、0.2〜2.5dtexであることがより好ましく、0.3〜2.4dtexであることが更に好ましい。
ここで、本明細書における「ポリプロピレン繊維が、表面に、大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に位置してなる凹凸を有する」とは、図3の模式図に示すように、ポリプロピレン繊維が長さ方向に沿って均一の径を有しておらず、径の大きな隆起部(凸部)(図3におけるA1,A2,A3,A4,・・・・)と、それよりも径の小さな非隆起部(凹部)(図3におけるB1,B2,B3,B4,・・・・)が、繊維軸(繊維の長さ方向)に沿って交互に形成されていて、繊維表面が凹凸をなしていること意味する。
そして、本明細書における前記「平均間隔」とは、繊維軸に沿って形成された多数の凹凸(隆起部と非隆起部)のうち、隣り合う2つの隆起部(凸部)の間の間隔(距離)(図3におけるA1−A2,A2−A3,A3−A4,・・・の長さ)の平均値を意味する。
また、前記「平均高さ」は、繊維軸に沿って形成された多数の凹凸(隆起部と非隆起部)のうち、隣り合う2つの非隆起部(凹部)の最小径部分を結ぶ仮想直線(図3におけるB1とB2を結ぶ直線,B2とB3を結ぶ直線,B3とB4を結ぶ直線,・・・)への、当該隣り合う2つの非隆起部(凹部)の間にある隆起部(凸部)の頂点からの垂線の長さ(図3におけるh1,h2,h3,h4,・・・)の平均値を意味する。
ポリプロピレン繊維の繊維軸に沿って形成された前記凹凸の平均間隔および平均高さは、ポリプロピレン繊維を走査型電子顕微鏡などを用いて撮影した写真から求めることができ、本明細書における凹凸の前記平均間隔および平均高さは以下の実施例に記載する方法で求められる値をいう。
前記した凹凸特性を有するポリプロピレン繊維において、ポリプロピレン繊維の繊度が0.1dtexよりも小さいと、量産性を維持するために紡糸孔数の極めて多い口金を用いて紡糸することになり、それに伴って口金での紡糸孔の間隔を十分に確保するために紡糸装置の規模を大きくするなどの大幅な設備の改良が必要になり、しかも繊度が小さいために延伸工程で断糸トラブルや毛羽が発生し易くなる。一方、ポリプロピレン繊維の繊度が3dtexを超えると、繊維の外周に上記した特定の凹凸を発現させにくくなり、また繊維の比表面積が小さくなるため十分な保水性を確保できなくなり、更に延伸性が低下して十分な繊維強度が得られにくくなる。
前記した特定の凹凸特性を有するポリプロピレン繊維では、その繊度(単繊維繊度)は、0.2〜2.5dtexであることが好ましく、0.3〜2.4dtexであることがより好ましい。
ポリプロピレン繊維として前記した凹凸特性を有するポリプロピレン繊維を用いた場合には、ポリプロピレン繊維の表面に、平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmである前記した凹凸を繊維軸に沿って有していることにより、当該ポリプロピレン繊維は高い保水性を有しているため、セメントなどの水硬性物質に配合したときに水硬性物質と高い親和性を有し、強度の高い水硬化物を形成する。
表面に凹凸を有するポリプロピレン繊維において、前記した凹凸の平均間隔が6.5μm未満であると、および/または平均高さが0.35μm未満であると、繊維表面の凹凸が微細になり過ぎて、保水性が低下する。一方、凹凸の平均間隔が20μmを超えるか、および/または平均高さが1μmを超えるポリプロピレン繊維は、ポリプロピレン繊維の製造速度を大幅に低下しないと製造できず、またIPFが100%に近いポリプロピレンを使用する必要があるため、実用性に乏しい。
前記した凹凸特性を有するポリプロピレン繊維を用いる場合には、繊維軸方向に沿って形成された凹凸の平均間隔が6.6〜20μm、特に6.8〜20μmで、平均高さが0.40〜1μm、特に0.45〜1μmであるポリプロピレン繊維を用いることが好ましい。
表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有する、単繊維繊度が0.1〜3dtexのポリプロピレン繊維は、繊維表面に前記した平均間隔および平均高さの凹凸を有することによって、保水性が高く、一般に10%以上の高い保水率を有する。ポリプロピレン繊維の保水率が10%未満であると、セメントなどの水硬性物質に配合した際に、水硬性物質との親和性が低くなり、水硬性物質と十分に接着せず、得られる水硬化物の機械的強度が不十分になり易い。
本発明で用いるポリプロピレン繊維は、保水率が10.5%以上であることが好ましく、11〜50%であることがより好ましく、12〜50%であることが更に好ましい。保水率が50%を超えるポリプロピレン繊維は、繊維表面の凹凸を極めて大きなものとしなければならず、現実には、生産性よく製造することが困難である。
なお、本明細書におけるポリプロピレン繊維の保水率は、以下の実施例に記載する方法で測定した保水率をいう。
本発明で用いるポリプロピレン繊維の形状(横断面形状)は特に制限されず、中実の円形断面形状であってもよいし、それ以外の異形断面形状であってもいずれでもよい。繊維の横断面が異形断面形状である場合の具体例としては、偏平形、十字形、Y字形、T字形、V字形、星形、多葉形、アレイ形、中空形などを挙げることができる。ポリプロピレン繊維の横断面形状が表面積の大きい異形断面形状、特に多葉形などであると、水硬性物質との接着強度が高くなり、強度の高い水硬化物を得ることができる。
本発明の目的を妨げない範囲で、本発明で用いるポリプロピレン繊維は、例えば、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、滑剤、充填剤、帯電防止剤などの1種または2種以上を含有していてもよい。ポリプロピレン繊維は比重が一般に水よりも小さく、そのままでは水に浮くため、ポリプロピレン繊維中に、浮遊防止のために、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、シリカ、メタクリル酸カリウムなどを含有させて比重を適宜調整することで、水硬性組成物中にポリプロピレン繊維を均一に分散させることができる。
本発明で用いるポリプロピレン繊維は、表面処理を施してなくてもよいし、または水硬性組成物の調製に用いる水硬性物質やその他の材料との親和性を向上させるために表面処理を施してあってもよい。限定されるものではないが、本発明で用いるポリプロピレン繊維に用い得る表面処理剤の具体例としては、ポリオキシエチレンソフタノール、脂肪酸カリウム石鹸、アルキルホスフェートカリウム塩、ジアルキルチオジプロピオネート、ジ−2−エチルヘキシルスルフォサクシネートナトリウム塩、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンデシルエーテルホスフェートカリウム塩、ポリオキシエチレンひまし油エーテル、アルカンスルフォネートナトリウム塩、イソオクチルパルミテート、イソオクチルステアレート、イソセチルホスフェートカリウム塩、ヤシ脂肪酸アマイド、オレイルアルコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ジオクチルフルフォサクシネートナトリウム塩、ポリオキシエチレンデシルエーテルホスフェートアミン塩、ポリエチレングリコールヤシ脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
水硬性物質などと混合して本発明の水硬化性組成物を調製する際のポリプロピレン繊維の繊維長は、水硬性物質の種類、水硬性物質と共に用いられる他の材料の種類、水硬性組成物の配合組成、水硬性組成物を水硬化して得られる水硬化物の種類や用途などに応じて決めることができるが、ポリプロピレン繊維による補強効果、水硬性物質や他の材料との均一混合性、繊維生産性などの点から、一般的には、1〜30mmであることが好ましく、2〜25mmであることがより好ましく、3〜20mmであることが更に好ましい。
ポリプロピレン繊維の繊維長が短すぎると補強作用が不十分になり易く、一方ポリプロピレン繊維の繊維長が長すぎると、水硬性組成物中に均一に混合、分散しなくなり、しかも配管詰まりなどを起こし易い。
本発明の水硬性組成物におけるポリプロピレン繊維の含有量は、水硬性物質の種類、水硬性物質と共に用いられる他の材料の種類、水硬性組成物の配合組成、水硬性組成物を水硬化して得られる水硬化物の種類や用途などに応じて決めることができるが、ポリプロピレン繊維による補強効果、工程通過性、コストなどの点から、水を加える前の水硬性組成物の質量(ポリプロピレン繊維を含めた水を加える前の水硬性組成物の全質量)に対して、ポリプロピレン繊維の含有量が0.05〜10質量%であることが好ましく、0.1〜8質量%であることがより好ましい。
本発明で用いるポリプロピレン繊維の製法は特に制限されず、繊維強度が7cN/dtex以上であると共に上記したDSC特性[DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるという特性]を備えるポリプロピレン繊維、前記した繊維強度と共に、前記したDSC特性および上記した単繊維繊度と凹凸特性(単繊維繊度が0.1〜3dtexおよび表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するという特性)を備えるポリプロピレン繊維、或いは前記した繊維強度、DSC特性および凹凸特性を備えるポリプロピレン繊維を製造し得る方法であれば、いずれの方法で製造してもよい。
そのうちでも、本発明で用いるポリプロピレン繊維は、IPFが94%以上のポリプロピレンを溶融紡糸してポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を製造し、それを冷却固化した後に、その冷却固化した未延伸ポリプロピレン繊維を特定の条件下で前延伸および後延伸する以下で説明する方法により、円滑に製造することができる。
まず、ポリプロピレンを溶融紡糸してポリプロピレン未延伸繊維を製造するに当たっては、IPFが94%以上のポリプロピレンを200〜3500m/分、特に300〜2000m/分の紡糸速度で溶融紡糸した後に冷却固化する方法が好ましく採用される。
ポリプロピレンの溶融紡糸および溶融紡糸したポリプロピレン繊維の冷却固化は、通常の方法で行うことができ、一般的にはポリプロピレンを200〜300℃で溶融混練した後、それを220〜280℃の紡糸口金から吐出させ、それに5〜50℃の冷却用気体(空気など)を吹き付けて冷却固化する方法が採用される。
未延伸ポリプロピレン繊維の単繊維繊度は特に制限されず、延伸工程での延伸倍率、最終的に得られるポリプロピレン繊維の用途などに応じて決めることができるが、一般的には0.3〜90dtex、特に1〜60dtexであることが、延伸のしやすさ、強度などの点から好ましい。
本発明で用いるポリプロピレン繊維の製造に当って、溶融紡糸を低紡糸速度で行った場合(一般に紡糸速度が200〜1000m/分程度の場合)には、溶融紡糸後に冷却固化して得られるポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を、次の延伸工程で高倍率で延伸する(一般に総延伸倍率5〜20倍)ことで、高強度および高耐熱性を有するポリプロピレン繊維、特に繊維強度が7cN/dtex以上で、且つDSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるポリプロピレン繊維を円滑に製造することができる。
一方、溶融紡糸を高紡糸速度で行った場合(一般に紡糸速度が1000〜3500m/分程度の場合)には、溶融紡糸後に冷却固化して得られるポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を延伸する際の延伸倍率が低くても(一般に総延伸倍率3.9〜7倍)、溶融紡糸した繊維を冷却固化する段階での配向が高くなるため、結果として繊維強度が7cN/dtex以上で且つ前記したのと同じDS特性を有する強度および耐熱性に優れるポリプロピレン繊維を円滑に製造することができる。
ポリプロピレン繊維の製造にあたって、冷却固化したポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)は、巻き取らずにそのまま引き続いて延伸処理を行ってもよいし、または一旦巻き取った後に、巻き出しながら次の延伸処理を行ってもよく、そのうちでも、一旦巻き取った後に巻き出しながら次の延伸処理を行うことが、延伸条件の制御や管理が容易である点から好ましい。
本発明で用いるポリプロピレン繊維は、冷却固化したポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を、総延伸倍率(前延伸と後延伸の合計延伸倍率)が3.9〜20倍になるようにして、温度120〜150℃および延伸倍率3〜10倍で前延伸した後、温度170〜190℃で、変形速度1.5〜15倍/分および延伸張力1.0〜2.5cN/dtexの条件下に延伸倍率1.2〜3.0倍で後延伸することによって円滑に製造することができる。
前記した前延伸および後延伸は、熱風炉または熱プレートを用いて行うことが、延伸処理が円滑に行われる点から好ましい。前延伸および後延伸の両方を熱風炉を用いて行ってもよいし、前延伸と後延伸の両方を熱プレートを用いて行ってもよいし、前延伸を熱風炉を用いて行い、後延伸を熱プレートを行ってもよいし、または前延伸を熱プレートを用いて行い、後延伸を熱風炉を用いて行ってもよい。
前延伸および/または後延伸を熱風炉を用いて行う場合は、前延伸時の上記温度および後延伸時の上記温度は熱風炉の雰囲気温度をいい、また前延伸および/または後延伸を熱プレートを用いて行う場合は、前延伸時時の上記温度および後延伸時の上記温度は熱プレートの温度をいう。
冷却固化してなるポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)の前延伸は、1段で行ってもよいし、または多段で行ってもよく、一般的には1段〜3段で行うことが好ましい。
また、前延伸したポリプロピレン延伸繊維(延伸糸)の後延伸は、1段で行ってもよいし、または多段で行ってもよく、一般的には1段〜5段で行うことが好ましい。
延伸処理を行うに当たっては、前延伸して得られるポリプロピレン延伸繊維(延伸糸)を巻き取らずにそのまま引き続いて後延伸する方法を採用してもよいし、または前延伸して得られるポリプロピレン延伸繊維(延伸糸)を冷却(一般に室温程度)して巻き取った後に再度巻き出して後延伸する方法を採用してもよい。そのうちでも、前延伸して得られるポリプロピレン延伸繊維(延伸糸)を一旦巻き取った後に巻き戻して後延伸する後者の方法が、本発明で用いる上記した特性を備えるポリプロピレン繊維をより円滑に得ることができる点から好ましい。
前延伸は、冷却固化してなるポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を、温度(雰囲気温度)が120〜150℃、特に125〜140℃の熱風炉に導入するか、または温度が120〜150℃、特に125〜140℃の熱プレートに接触させて、1段または多段で延伸倍率3〜10倍、特に3〜5倍で行うことが好ましい。
また、後延伸は、前記した条件下で前延伸して得られるポリプロピレン延伸繊維(延伸糸)を、温度(雰囲気温度)が170〜190℃、更には170〜185℃、特に170〜180℃の熱風炉に導入するか、または温度が170〜190℃、更には170〜185℃、特に170〜180℃の熱プレートに接触させて、1段または多段で延伸倍率1.2〜3.0倍、特に1.3〜2.5倍で行うことが好ましい。
熱風炉または延伸プレートを用いて後延伸を行う際には、熱風炉の雰囲気温度または延伸プレート温度を、後延伸処理を施す直前のポリプロピレン繊維のDSC曲線での吸熱開始温度+10℃以上の温度にして後延伸を行うことが好ましい。
前延伸および後延伸の総延伸倍率は3.9〜20倍であることが好ましく、4.5〜11倍であることがより好ましく、4.7〜10.5倍であることが更に好ましい。
また、ポリプロピレン未延伸繊維(未延伸糸)を製造するための溶融紡糸速度をA(m/分)とし、前記した前延伸および後延伸を行った後の総延伸倍率をB(倍)としたときに、A×Bの値が、3000〜17000(m・倍/分)、特に3500〜15000(m・倍/分)の範囲になるようにして、ポリプロピレンの溶融紡糸と前記した前延伸および後延伸を行うと、目的とするポリプロピレン繊維を円滑に製造することができる。
ここで、前延伸における前記した延伸倍率は、前延伸工程から排出された直後の繊維(糸)の長さを前延伸工程に導入された未延伸繊維(未延伸糸)の長さで除した値をいい、また後延伸における前記した延伸倍率は、後延伸工程から排出された直後の繊維(糸)の長さを後延伸工程に導入された繊維(糸)の長さで除した値をいう。
また、前記した前延伸および後延伸の総延伸倍率とは、後延伸工程から排出された直後の繊維(糸)の長さを前延伸工程に導入された未延伸繊維(未延伸糸)の長さで除した値をいう。
後延伸は、前記した温度(170〜190℃)および延伸倍率(1.2〜3.0倍)を採用すると共に、変形速度1.5〜15倍/分および延伸張力1.0〜2.5cN/dtexという条件を採用して行う。かかる後延伸条件を採用することによって、本発明で用いる上記した特性を備えるポリプロピレン繊維を得ることができる。
後延伸時の変形速度は1.6〜12倍/分であることが好ましく、1.7〜10倍/分であることがより好ましい。
また、後延伸時の延伸張力は、1.1〜2.5cN/dtexが好ましく、1.3〜2.5cN/dtexがより好ましい。
ここで、後延伸における前記した変形速度とは、後延伸での延伸倍率(倍)を後延伸に要した時間(分)[熱風炉で後延伸する場合は繊維(糸)が熱風路内に存在していた時間、、延伸プレートで後延伸する場合は繊維(糸)が延伸プレートに接触していた時間]で除した値をいい、後延伸を多段で行った場合は、後延伸での最終延伸倍率(合計延伸倍率)を後延伸に要した延伸処理時間の合計で除した値をいう。
また、後延伸における前記延伸張力は、後延伸における最終段の延伸を行った直後の糸の張力を、張力計を用いて測定する。
また上記した条件下でポリプロピレン繊維を延伸した後、熱固定あるいは収縮処理を施してもよい。その際の処理温度、収縮率は、本発明で用いるポリプロピレン繊維の特性を損なわない範囲において、特に限定されるものではない。
IPFが94%以上のポリプロピレンを溶融紡糸した後に冷却固化してなるポリプロピレン未延伸繊維を、上記した条件下で前延伸した後に更に上記した条件下で後延伸してポリプロピレン繊維を製造する上記した方法により、耐熱性および強度に優れるポリプロピレン繊維、特に、DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、且つ繊維強度が7cN/dtex以上である、耐熱性および強度に優れるポリプロピレン繊維を円滑に製造することができる。
さらに、IPFが94%以上のポリプロピレンを溶融紡糸した後に冷却固化してなるポリプロピレン未延伸繊維を、上記した条件下で前延伸した後に更に上記した条件下で後延伸してポリプロピレン繊維を製造する際に、前延伸工程に供給するポリプロピレン未延伸繊維の単繊維繊度、前延伸および/または後延伸における延伸倍率などを調整することによって、最終的に単繊維繊度が3dtex以下、特に0.1〜3dtexのポリプロピレン繊維が得られるようにすることによって、上記した7cN/dtex以上の繊維強度、上記した特定のDSC特性[DSCによる吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であるという特性]と共に、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有する」という特定の凹凸構造を有するポリプロピレン繊維を得ることができる。このポリプロピレン繊維は、耐熱性および強度に優れると共に表面に前記した特定の凹凸を有することによって保水性にも優れ、通常10%以上の高い保水率を有している。
本発明の水硬性組成物は、水硬性物質および上記特定のポリプロピレン繊維と共に、水硬性組成物において広く用いられている骨材、無機フィラーまたは有機フィラー、その他の混和剤などを必要に応じて含有することができる。
本発明の水硬性組成物で用いることのできる骨材またはフィラーとしては、例えば砂利、砕砂、川砂、海砂、山砂、粉末珪砂、各種軽量骨材(例えばガラスバルーン、シラスバルーン、ポリスチレンビーズ)、炭酸カルシウム、カオリン、セピオライト、ベントナイト、アタパルジャイト、マイカ、ワラスナイト、各種パルプなどを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
前記したパルプとしては広範なものが使用でき、具体例としては、針葉樹、広葉樹、マニラ麻、ミツマタ、コウゾ、ガンピ、サラゴ、桑、ワラ、竹、アシ、サバイ、ララン草、エスパルト、バガス、サイザル、ケナフ、リンター、バナナ、故紙などを挙げることができ、前記したパルプのうちの晒したものまたは未晒しのものの1種または2種以上を含有すればよく、パルプの叩解度は適宜制御して使用すればよい。その際に、前記針葉樹としては、スギ科、マツ科、ヒノキ科、ナンヨウスギ科などの針葉樹を挙げることができ、また前記広葉樹としては、ニレ科、ブナ科、フトモモ科、カツラ科、モクセイ科、ミカン科、カバノキ科、カエデ科、クルミ科、シナノキ科、ウコギ科、アカテツ科、ニシキギ科、キョウチクトウ科、クマツヅラ科、モクテン科、アオギリ科などを挙げることができる。
また、前記したその他の混和剤としては、減水剤、増粘剤、起泡剤、膨張剤、収縮低減剤などを挙げることができる。
また、本発明の水硬性組成物は、必要に応じて、ポリプロピレン繊維以外の有機繊維や無機繊維を含有してもよい。
水硬性物質に必要に応じて混合される骨材、フィラー、その他の上記した種々の材料は、水硬化物の物性を向上させる効果、例えば耐凍結融解性の向上、腐食性物質(塩素、硫酸などの各種酸)の侵入抑制、ポリプロピレン繊維と水硬性物質との付着性の改善、懸濁液の粘性を適度に調節して未硬化成形物や抄造体製造時の効率を向上させる効果や、成形物や抄造体の乾燥収縮制御を行う効果、水硬化物の強度向上効果などを発現する効果を有し、水硬化物を製造する際の工程通過性、成形性の向上効果などを有する。
本発明の水硬性組成物の調製に当たっては、水硬性物質および上記特定のポリプロピレン繊維以外の他の材料(骨材、フィラー、その他の混和剤など)の使用量は、特に制限されず、水硬性物質の種類、骨材、フィラー、その他の混和剤の種類、水硬性組成物の養生(硬化)方法、水硬性組成物を硬化して得られる水硬化物の種類や用途などに応じて、適宜調整して用いるとよい。
水硬性組成物における水の混合量は、水硬性物質やその他の材料の種類、それらの使用量、製造を目的とする水硬化物の種類などに応じて異なり得るが、一般的には、水硬化性組成物の調製に用いられる、水以外の全材料の合計質量100質量部に対して、水を10〜10000質量部、更には15〜8000質量部、特に20〜6000質量部の割合で混合することが、工程通過性、得られる水硬化物の強度などの点から好ましい。
本発明の水硬性組成物を用いて、コンクリート、モルタル、スレートなどの種々の水硬化物が製造することができる。
本発明の水硬性組成物が、スレート製造用の水硬性組成物である場合には、普通ポルトランドセメントやその他の水硬性物質に、上記したパルプや必要に応じて凝集剤、珪石粉末などの無機フィラーやその他の材料を混合すると共に、本発明で規定する上記した特性を備えるポリプロピレン繊維を、上記したように、水を加える前の水硬性組成物の質量(ポリプロピレン繊維を含めた水硬性組成物の全質量)に対して、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%の割合で加え、それに水を混合することによって、スレート製造用の水硬性組成物を円滑に得ることができ、当該水硬性組成物を硬化して得られるスレートは強度や耐久性に優れている。
スレート製造用の水硬性組成物における水硬性物質、パルプ、凝集剤、無機フィラーなどの含有量および水の混合量は、通常のスレート製造用の水硬性組成物におけるのと同程度の量とすればよい。
また、本発明の水硬性組成物が、コンクリート製造用の水硬性組成物である場合には、普通ポルトランドセメントやその他の水硬性物質に、上記した砂利、砂などの骨材や無機フィラー、必要に応じて他の材料を混合すると共に、本発明で規定する上記した特性を備えるポリプロピレン繊維を、水を加える前の水硬性組成物の質量(ポリプロピレン繊維を含めた水硬性組成物の全質量)に対して、好ましくは0.05〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%の割合で加え、それに水を混合することによって、コンクリート製造用の水硬性組成物を円滑に得ることができ、当該水硬性組成物を硬化して得られるコンクリートは強度や耐久性に優れている。
コンクリート製造用の水硬性組成物における水硬性物質、パルプ、凝集剤、無機フィラーなどの含有量および水の混合量は、通常のコンクリート製造用の水硬性組成物におけるのと同程度の量とすればよい。
さらに、本発明の水硬性組成物が、モルタル製造用の水硬性組成物である場合には、普通ポルトランドセメントやその他の水硬性物質に、上記した砂などの無機フィラー、増粘剤、減水剤、他の材料を混合すると共に、本発明で規定する上記した特性を備えるポリプロピレン繊維を、水を加える前の水硬性組成物の質量(ポリプロピレン繊維を含めた水硬性組成物の全質量)に対して、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜8質量%の割合で加え、それに水を混合することによって、モルタル製造用の水硬性組成物を円滑に得ることができ、当該水硬性組成物を硬化して得られるコンクリートは強度や耐久性に優れている。
モルタル製造用の水硬性組成物における水硬性物質、砂などの充填材、増粘剤、減水剤、その他の材料の含有量および水の混合量は、通常のモルタル製造用の水硬性組成物におけるのと同程度の量とすればよい。
本発明の水硬性組成物の調製に当たっては、前記した各材料の添加順序、混合方法、混合条件などは特に制限されず、水硬性組成物を調製するために従来から採用されているのと同様にして行うことができる。
本発明の水硬性組成物の調製に用いる混合装置は特に制限されず、水硬性組成物の調製に当たって使用されている混合装置のいずれもが使用でき、例えば、パンミキサー、アイリッヒミキサー、傾動式ミキサー、強制二軸ミキサー、オムニミキサー、ホバートミキサー、ハンドミキサーなどの各種混合装置を使用して混合することができる。
本発明の水硬性組成物を用いて水硬化物を製造するための方法は特に制限されず、目的とする水硬化物の種類、用途などに応じて、従来から採用されているのと同様の方法を採用することができる。
本発明の水硬性組成物がコンクリートまたはモルタル製造用の組成物である場合は、水硬性組成物を用いてコンクリートまたはモルタルを製造するのに従来から採用されている方法、例えば、流し込み成形、振動成形、遠心成形、サクション成形、押出成形、プレス成形などの成形方法を採用することができる。また、前記した成形方法によって得られる未硬化成形物の養生方法も特に制限されず、例えば、気中養生、水中養生、湿布養生、オートクレーブ養生、それらの2つ以上の組み合わせる方法などを採用して養生することができる。前記したように、養生温度も特に制限されず、低温での養生(例えば冬季や寒冷地などでの低温時期における養生)、常温での養生、100℃を超える常温での養生、常温と100℃の間の温度での養生などを採用することができる。
また、本発明の水硬性組成物がスレート製造用の組成物である場合は、水硬性組成物を用いてスレートを製造するのに従来から採用されている方法、例えば、円網や長網を用いて抄造して抄造物を製造する方法、フローオンなどによって成形物を製造する方法などを採用することができる。また、前記した方法によって得られる未硬化の抄造物や成形物の養生方法は特に制限されず、例えば、気中養生、水中養生、湿布養生、オートクレーブ養生、それらの2つ以上の組み合わせる方法などを採用して養生することができる。
コンクリート、モルタル、スレートなどを製造する際に前記した養生は自然環境下での温度で行ってもよいし、室温下で行ってもよいし、室温より高く100℃以下の温度で行ってもよいし、100℃を超える高温下で行ってもいずれでもよい。
本発明で用いるポリプロピレン繊維のうち、「DSC測定による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上である」という特性を備えるポリプロピレン繊維は、耐熱性に優れていて、100℃を超える高温、特に150℃以上、更に170℃以上の高温下においても溶融、劣化、切断などが生じず、繊維形状およびその優れた繊維強度を維持することができる。そのため、当該DSC特性を有するポリプロピレン繊維を水硬性物質などに混合して水硬性組成物を調製し、当該水硬性組成物を用いて水硬化物を製造する場合は、100℃を超える温度、特に150℃以上、更には170℃以上の高温でオートクレーブ養生などを行うことで、強度に優れる水硬化物を短縮された養生時間で生産性よく製造することができる。
以下に実施例などにより本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。以下の実施例などにおいて、ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率(IPF)、延伸時の延伸張力、ポリプロピレン繊維のDSC特性、単繊維繊度、繊維強度、繊維表面の凹凸の平均間隔および平均高さ、ポリプロピレン繊維の保水率、並びに水硬化物(スレートおよびモルタル)の曲げ強度は、以下に記載した方法で測定または算出した。
(1)ポリプロピレンのアイソタクチックペンタッド分率(IPF):
超伝導核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製「Lambda500」)を使用して、非特許文献1に記載されている「13C−NMRスペクトル法」に従ってポリプロピレンのIPFを求めた。具体的には、ポリプロピレン中における、13C−NMRスペクトルにおいてプロピレン単量体単位が5個連続してアイソタクチック結合したプロピレン単位(アイソタクチックペンタッド単位)の含有割合(分率)(%)を求めてIPFとした。その際に、13C−NMRスペクトルにおけるピークの帰属に関しては、非特許文献2に記載されている方法に従って決定した。
(2)延伸時の延伸張力:
荷重張力計測器(日本電産シンポ社製「DTMX−5B」)を使用して、延伸炉(熱風炉)から出た直後の糸、または延伸プレートから離れた直後の糸の張力を測定して延伸張力(cN/dtex)とした。
(3)ポリプロピレン繊維のDSC測定:
ポリプロピレン繊維を温度20℃および相対湿度65%の雰囲気下に5日間放置して調湿した後、長さ1mmに切断し、その5mgを量り採ってアルミパン(容量100μL)(METTLER TOLEDO社製「No.51119872」)に入れ、アルミパンカバー(METTLER TOLEDO社製「No.51119871」)を用いてシールし、走査示差熱量測定器(TA Instuments社製「DSC2010」)を使用して、窒素雰囲気中で、昇温速度10℃/分で測定した1st runのDSC曲線から、吸熱ピークの半価幅(℃)および融解エンタルピー変化量(△H)(J/g)を、図1および図2(特に図2)を参照して前述した方法で求めた。
(4)ポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度):
ポリプロピレン繊維を、温度20℃および相対湿度65%の雰囲気下に5日間放置して調湿した後、調湿したポリプロピレン繊維(単繊維)の一定長(900mm)を採取し、その質量を測定して繊度を算出した。同じ調湿ポリプロピレン繊維について、前記と同じ測定操作を10回行い、その平均値を採ってポリプロピレン繊維の繊度(単繊維繊度)とした。なお、繊維が細くて一定試長の質量測定により繊度が測定できない場合は、同じ調湿繊維について、繊度測定装置(Textechno製「VIBROMAT M」)を使用して繊度を測定した。
(5)ポリプロピレン繊維の繊維強度:
ポリプロピレン繊維を温度20℃および相対湿度65%の雰囲気下に5日間放置して調湿した後、ポリプロピレン繊維(単繊維)を長さ60mmに切断して試料とし、当該試料(長さ60mmのポリプロピレン単繊維)の両端を把持して(両端から10mmまで把持)、繊維強度測定装置(Textechno製「FAFEGRAPH M」)を使用して、温度20℃、相対湿度65%の環境下で、引張速度60mm/分で伸張して、切断時の応力を測定し、その値をポリプロピレン単繊維の繊度で除して繊維強度(cN/dtex)を求めた。なお同じポリプロピレン繊維について同じ操作を10回行って繊維強度を求め、その平均値を採ってポリプロピレン繊維(ポリプロピレン単繊維)の繊維強度とした。
(6)ポリプロピレン繊維の繊維表面の凹凸の平均間隔および平均高さ:
走査型電子顕微鏡(HITACHI製「S−510」)を使用して、ポリプロピレン繊維(単繊維)を、繊維軸に対して垂直方向から1000倍の倍率で写真撮影し、得られた写真について、図3に基づいて先に説明した方法にしたがって、繊維表面の凹凸の平均間隔および平均高さを求めた。平均間隔および平均高さの算出に当たっては、10本のポリプロピレン繊維(単繊維)について、1本の繊維につき、5箇所(各測定箇所の間隔10cm)ずつを選んでその箇所での凹凸の間隔および高さを測定し(延べ50箇所)、その平均値を採って、凹凸の平均間隔(μm)および平均高さ(μm)とした。
(7)ポリプロピレン繊維の保水率:
ポリプロピレン繊維1gを105℃で5時間乾燥させた後、質量(M1)を測定する。
その乾燥ポリプロピレン繊維をイオン交換水30ml中に浸漬して、20℃で10分間静置した後、取り出して露出状態(他の材料で包まずに)のまま卓上遠心機(KOKUSAN社製「H−27F」)に入れて、温度20℃の温度で、3000rpmの回転速度で5分間遠心脱水し、その質量(M2)を測定し、下記の数式(1)から保水率(%)を求めた。

ポリプロピレン繊維の保水率(%)={(M2−M1)/M1}×100 (1)
(8)スレートの曲げ強度:
(i) 下記の実施例または製造例で得られたスレート成形物(スレート成形板)から、幅25mm、長さ80mmの長方形の試験片を切り出し、オートクレーブ養生して得られたスレート成形板から採取した試験片の場合は20℃の水中に3日間浸漬し、表面水のみ拭き取った後に、また自然養生して得られたスレート成形板から採取した試験片の場合は40℃で3日間乾燥した後に、試験装置として島津製作所製「オートグラフAG5000−B」を使用して、中央載荷曲げ試験を行って最大曲げ荷重を求めて、以下の数式(1)を用いて最大曲げ強度を算出した。
具体的には、この中央載荷曲げ試験では、前記した試験片を、2つの固定装置で固定装置における下部支点間距離(曲げスパン)が50mmになるようにして両端近傍で固定し、その状態で試験片の長さ方向の中央部に載荷ヘッドによって荷重を負荷し(中央載荷曲げスパン=50mm)、当該載荷ヘッドを2mm/分の速度で徐々に下降させ、試験片が破断するまで載荷し、それまでの最大曲げ荷重(A)(単位:N)を読み取って、下記の数式(1)に従って最大曲げ強度を求めた。
なお、最大曲げ荷重の算出に当たっては、同一のスレート成形体について同じ試験を5回行い、その平均値を採って最大曲げ荷重とした。

最大曲げ強度(N/mm2)=1.5×A×B/(W×D2) (1)

式(1)中、A=最大曲げ荷重(N)
B=中央載荷曲げスパン(mm)
W=試験片の幅(mm)
D=試験片の厚さ(mm)

(ii) 次いで、上記の数式(1)で求めた最大曲げ強度を用いて、以下の数式(2)から、スレートの嵩密度を1.45に規格化した補正曲げ強度を求めて、当該補正曲げ強度をスレートの曲げ強度とした。

補正曲げ強度(N/mm2)=最大曲げ強度(N/mm2)×(1.45/C)2 (2)

式(2)中、
C=スレート嵩密度(g/cm3
[但し、上記のスレート嵩密度(C)(g/cm3)は、養生後のスレート成形体を前記した方法で切り出して前記と同サイズの試験片を採取し、当該試験片を105℃で12時間乾燥させた後の質量[乾燥質量(g)]を、当該乾燥後の試験片の体積[厚さ(cm)×幅(cm)×長さ(cm)]で除した値である。]
(9)モルタルの曲げ強度:
下記の実施例または製造例で得られたモルタル成形物(モルタル成形板)から、幅50mmおよび長さ180mmの長方形の試験片を切り出し、当該試験片を40℃で3日間乾燥した後、上記(8)で使用したのと同じ装置(島津製作所製「オートグラフAG5000−B」)を使用して、中央載荷曲げ試験を行って最大曲げ荷重を求めて、上記の数式(1)を用いて最大曲げ強度を算出した。
具体的には、この中央載荷曲げ試験では、前記した試験片試験片を、2つの固定装置で固定装置における下部支点間距離が150mm(曲げスパン)になるようにして両端近傍で固定し、その状態で試験片の長さ方向の中央部に載荷ヘッドによって荷重を負荷し(中央載荷曲げスパン=150mm)、当該載荷ヘッドを2mm/分の速度で徐々に下降させ、初期ひび割れが発生した後の最大曲げ荷重(A)(単位:N)を読み取って、上記の数式(1)に従って最大曲げ強度を求めた。
なお、最大曲げ荷重の算出に当たっては、同一のモルタル成形体について同じ試験を5回行い、その平均値を採って最大曲げ荷重とした。
《製造例1》[ポリプロピレン繊維(a−1)の製造]
(1) ポリプロピレン[プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%、MFR=18g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を溶融紡糸装置の押出機に投入して240℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度245℃の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]から22.3g/分の量で吐出し、800m/分の引き取り速度でポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=288dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸してポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取り、室温で保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=63dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=153.5℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力1.18cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=48dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−1)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−1)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
また、上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−1)]を走査型電子顕微鏡(HITACHI製「S−510」)を使用して写真撮影(倍率1000倍)したところ、図4に示すとおりであった。
《製造例2》[ポリプロピレン繊維(a−2)の製造]
(1) 製造例1の(1)において、未延伸糸の引き取り速度を3000m/分に変えた以外は製造例1の(1)と同じ操作を行って、ポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=214dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で3.1倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=69dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=155.3℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.8倍/分および延伸張力1.34cN/dtexの条件下に、3段で1.5倍に後延伸して、総延伸倍率が4.7倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=46dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−2)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−2)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例3》[ポリプロピレン繊維(a−3)の製造]
(1) 製造例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレンを溶融紡糸装置の押出機に投入して240℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度245℃の紡糸口金[孔数48個(十字形孔)、孔径0.2mm]から20.2g/分の量で吐出し、800m/分の引き取り速度でポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=436dtex/48フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度138℃の熱風炉に導入して、2段で3.9倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=112dtex/48フィラメント、吸熱開始温度=155.2℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度2.1倍/分および延伸張力1.12cN/dtexの条件下に、1段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が5.1倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=86dtex/48フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−3)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−3)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例4》[ポリプロピレン繊維(a−4)の製造]
(1) 製造例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレンを用いて製造例1の(1)と同じ条件を採用してポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、製造例1の(2)と同じ条件を採用して前延伸を行って、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取った。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度180℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力1.06cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=50dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−4)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−4)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例5》[ポリプロピレン繊維(a−5)の製造]
(1) ポリプロピレン[プライムポリマー社製「ZS1337A」、IPF=96%、MFR=20g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を用いて、製造例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=288dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度135℃の熱風炉に導入して、2段で4.8倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造しボビンに巻き取って室温に保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=60dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=152.0℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.6倍/分および延伸張力1.33cN/dtexの条件下に、3段で1.8倍に後延伸して、総延伸倍率が8.6倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=50dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−5)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−5)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例6》[ポリプロピレン繊維(a−6)の製造]
(1) ポリプロピレン[IPF=98%、MFR=16g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を用いて、製造例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った(未延伸糸の総繊度=293dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸してポリプロピレン前延伸糸を製造しボビンに巻き取って室温に保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=64dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=156.4℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度178℃の熱風炉に導入して、変形速度2.8倍/分および延伸張力1.54cN/dtexの条件下に、4段で2.2倍に後延伸して、総延伸倍率が10.1倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=29dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−6)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−6)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例7》[ポリプロピレン繊維(a−7)の製造]
(1) ポリプロピレン[IPF=98%、MFR=16g/10分(230℃、荷重2.16kg)]およびポリプロピレン[プライムポリマー社製「Y3002G」、IPF=93%、MFR=30g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を1:1の質量比で混合した混合物(混合物のIPF=95.5%)を用いて、製造例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=288dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温に保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=63dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=152.5℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力1.20cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=48dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−7)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−7)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例8》[ポリプロピレン繊維(a−8)の製造]
(1) 溶融紡糸装置の紡糸ヘッドに芯鞘型複合繊維製造用の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]を取り付け、ポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y3002G」、IPF=93%)を芯成分およびポリプロピレン[IPF=98%、MFR=16g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を鞘成分として用いて、芯成分:鞘成分=1:2の質量比で、240℃で溶融混練し、紡糸口金(口金温度245℃)から22.3g/分の量で吐出し、800m/分の引き取り速度でボビンに巻き取って芯鞘型のポリプロピレン未延伸糸を製造して、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=287dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸してポリプロピレン前延伸糸を製造しボビンに巻き取って室温に保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=62dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=152.2℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力1.25cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=48dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−8)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−8)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例9》[ポリプロピレン繊維(a−9)の製造]
(1) 製造例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレンを用いて製造例1の(1)と同じ条件を採用してポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、1段で4.6倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温に保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=63dtex/24フィラメント)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱プレートに接触させて、変形速度13.8倍/分および延伸張力1.43cN/dtexの条件下に、1段で1.6倍に後延伸して(熱プレートへの接触時間=15秒)、総延伸倍率が7.4倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=39dtex/24フィラ
メント)[ポリプロピレン繊維(a−9)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(a−9)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例10》[ポリプロピレン繊維(a−10)の製造]
(1) 製造例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレンを用いて製造例1の(1)と同じ条件を採用してポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、製造例1の(2)と同じ条件を採用して前延伸を行って、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取った。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、製造例1の(3)と同じ条件を採用してポリプロピレン延伸糸を製造し、ボビンに巻き取った。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸をボビンから巻き出して、温度168℃の熱風炉に導入して、2%収縮させてポリプロピレン糸を[ポリプロピレン繊維(a−10)]製造した。
(5) 上記(4)で得られたポリプロピレン糸[ポリプロピレン繊維(a−10)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例11》[ポリプロピレン繊維(a−11)の製造]
(1) 溶融紡糸装置の紡糸ヘッドに芯鞘型複合繊維製造用の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]を取り付け、ポリエチレン(三菱化成製「HJ490」、MFR=20g/10分)を芯成分およびポリプロピレン[IPF=98%、MFR=16g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を鞘成分として用いて、芯成分:鞘成分=1:1の質量比で、240℃で溶融混練し、紡糸口金(口金温度245℃)から22.3g/分の量で吐出し、800m/分の引き取り速度でボビンに巻き取って芯鞘型のポリプロピレン未延伸糸を製造して室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=282dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸してポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=61dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=148.7℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力1.24cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=47dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(a−11)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン糸[ポリプロピレン繊維(a−11)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例12》[ポリプロピレン繊維(b−1)の製造]
(1) ポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y3002G」、IPF=93%)を用いて、製造例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取って、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=288dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度128℃の熱風炉に導入して、2段で4.6倍に前延伸して、ポリプロピレン前延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温に保存し(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=68dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=151.8℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度172℃の熱風炉に導入して、変形速度1.7倍/分および延伸張力0.96cN/dtexの条件下に、3段で1.3倍に後延伸して、総延伸倍率が6.0倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=48dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(b−1)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−1)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および保水率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。なお、この製造例12で得られたポリプロピレン繊維は、表面に凹凸を有していなかった。
《製造例13》[ポリプロピレン繊維(b−2)の製造]
(1) 製造例1の(1)および(2)と同じ操作を行ってポリプロピレン前延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−2)]を製造した。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン前延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−2)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度および保水率を上記した方法で測定したところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。なお、この製造例13で得られたポリプロピレン繊維は、表面に凹凸を有していなかった。
《製造例14》[ポリプロピレン繊維(b−3)の製造]
(1) 製造例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%)を用いて、製造例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度143℃の熱風炉に導入して、1段で6.9倍に延伸して、ポリプロピレン延伸糸(総繊度=42dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(b−3)]を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−3)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例15》[ポリプロピレン繊維(b−4)の製造]
(1) 製造例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%)を用いて、製造例1の(1)と同じ溶融紡糸条件を採用して、ポリプロピレン未延伸糸を製造してボビンに巻き取った。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度90℃の熱水槽に導入して、1段で3.7倍に前延伸した後、巻き取らずに引き続いて温度138℃の熱風炉に導入して1.2倍に後延伸して、総延伸倍率が4.4倍の延伸糸(総繊度=65dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(b−4)]を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−4)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例16》[ポリプロピレン繊維(b−5)の製造]
(1) 製造例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%)を溶融紡糸装置の押出機に投入して270℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度295℃の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]から9.5g/分の量で吐出し、1500m/分で引き取ってポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取り、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=65dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度130℃の熱風炉に導入して、1段で1.5倍に延伸して、ポリプロピレン延伸糸(総繊度=44dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(b−5)]を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−5)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例17》[ポリプロピレン繊維(b−6)の製造]
(1) 製造例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン(プライムポリマー社製「Y2000GV」、IPF=97%)を溶融紡糸装置の押出機に投入して230℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度300℃の紡糸口金[孔数30個(円形孔)、孔径0.8mm]から20g/分の量で吐出し、300m/分で引き取ってポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の総繊度=535dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度110℃の熱ローラーで、1段で3.7倍に延伸して、ポリプロピレン延伸糸(総繊度=145dtex/24フィラメント)を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸の両端を固定した後、165℃のエアーオーブン中に30分間入れて熱処理を施して、熱処理ポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−6)]を得た。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−6)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例18》[ポリプロピレン繊維(b−7)の製造]
(1) ポリプロピレン[プライムポリマー社製「ZS1337A」、IPF=96%、MFR=20g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を溶融紡糸装置の押出機に投入して300℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度320℃の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]から22.3g/分の量で吐出し、600m/分の引き取り速度でポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の「総繊度=304dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度90℃の加熱ロールにより1段で1.5倍に前延伸した後、ボビンに巻き取って室温に保存し(ポリプロピレン前延伸糸の総繊度=203dtex/24フィラメント、吸熱開始温度=150.8℃)。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン前延伸糸をボビンから巻き出して、温度138℃の熱風炉に導入して、1段で4.9倍に後延伸して、総延伸倍率が7.4倍のポリプロピレン延伸糸(総繊度=40.8dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(b−7)]を製造した。
(4) 上記(3)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−7)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《製造例19》[ポリプロピレン繊維(b−8)の製造]
(1) 製造例1の(1)で使用したのと同じポリプロピレン[プライムポリマー社製「Y2000Gv」、IPF=97%、MFR=18g/10分(230℃、荷重2.16kg)]を溶融紡糸装置の押出機に投入して255℃で溶融混練し、紡糸ヘッドに取り付けた温度260℃の紡糸口金[孔数24個(円形孔)、孔径0.2mm]から35.4g/分の量で吐出し、600m/分の引き取り速度でポリプロピレン未延伸糸を製造し、ボビンに巻き取って、室温で保存した(ポリプロピレン未延伸糸の「総繊度=635dtex/24フィラメント)。
(2) 上記(1)で得られたポリプロピレン未延伸糸をボビンから巻き出して、温度145℃のスチーム槽により1段で11.5倍に延伸して、ポリプロピレン延伸糸(総繊度=55.2dtex/24フィラメント)[ポリプロピレン繊維(b−8)]を製造した。
(3) 上記(2)で得られたポリプロピレン延伸糸[ポリプロピレン繊維(b−8)]について、DSC測定[吸熱ピーク形状、半価幅、融解エンタルピー変化量(△H)の測定]、並びに繊維強度、表面の凹凸寸法(凹凸の平均間隔および平均高さ)および保水率の測定を上記した方法で行ったところ、下記の表1に示すとおりの結果であった。
《実施例1〜11および比較例1〜8》[自然養生スレートの製造]
(1) 普通ポルトランドセメント(株式会社太平洋セメント製)95質量部、叩解パルプ(バルテック株式会社製「セロファイバー])3質量部、製造例1〜19で得られたポリプロピレン繊維(a−1)〜(a−11)および(b−1)〜(b−8)のそれぞれを繊維長3〜20mmに切断したポリプロピレン短繊維2質量部、並びに水3000質量部を混合し、300rpm以上の回転数で撹拌してスレート用の水硬性組成物を調製した後、当該水硬性組成物を綿布上に流し込んで搾液してシート状物を得た。
(2) 上記(1)で得られたシート状物を10枚積層して、プレス機にて45kg/cm2で加圧脱水し、未硬化の成形シートを製造した。
(3) 上記(2)で得られた成形シートをポリエチレンシートに包んで、50℃、飽和湿度条件下で24時間予備養生し、次いで20℃、飽和湿度条件下で13日間養生して硬化したスレート成形物(スレート成形板)(厚さ約4.2mm)を得た。
(4) 上記(3)で得られたスレート成形板の曲げ強度を上記した方法で測定したところ、下記の表2に示すとおりであった。
上記の表2にみるように、実施例1〜11では、IPFが94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上で、DSC特性が本発明で規定する要件を満たすか、単繊維繊度と繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たすか、或いはDSC特性と単繊維繊度と繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たしていて耐熱性が高く、また保水率が高くて水硬化物との親和性に優れるポリプロピレン繊維(a−1)〜(a−11)のいずれかを用いてスレート用の水硬性組成物を調製し、当該水硬性組成物を水硬化してスレート成形物を製造したことにより、曲げ強度に優れるスレート成形物が得られている。
それに対して、比較例1〜8では、DSC特性および繊維表面における凹凸特性の両方が本発明の規定から外れていて、耐熱性、水硬化物との親和性に劣るポリプロピレン繊維(b−1)〜(b−8)のいずれかを用いてスレート用の水硬性組成物を調製し、当該水硬性組成物を水硬化してスレート成形物を製造したことにより、比較例1〜8で得られたスレート成形物の曲げ強度は、実施例1〜11で得られたスレート成形物に比べて大幅に低い。
《実施例12〜21および比較例9〜16》[オートクレーブ養生スレートの製造]
(1) 普通ポルトランドセメント(株式会社太平洋セメント製)57質量部、珪石粉末(啓和炉材株式会社製「#4000」)38質量部、叩解パルプ(バルテック株式会社製「セロファイバー」)3質量部、製造例1〜18で得られたポリプロピレン繊維(a−1)〜(a−10)および(b−1)〜(b−8)のそれぞれを繊維長3〜20mmに切断したポリプロピレン短繊維2質量部並びに水3000質量部を混合し、300rpm以上の回転数で撹拌してスレート用の水硬性組成物を調製した後、当該水硬性組成物を綿布上に流し込んで常温下に搾液してシート状物を得た。
(2) 上記(1)で得られたシート状物を10枚積層した後、プレス機にて75kg/cm2で加圧脱水して未硬化の成形シートを製造した。
(3) 上記(2)で得られた未硬化の成形シートを、ポリエチレンシートに包んで、50℃、飽和湿度条件下で24時間予備養生し、次いで170℃または175℃の温度でそれぞれ15時間オートクレーブで養生して硬化したスレート成形物(スレート成形板)(厚さ約4.0mm)を得た。
(4) 上記(3)で得られたスレート成形板の曲げ強度を上記した方法で測定したところ、下記の表3に示すとおりであった。
上記の表3にみるように、実施例12〜21では、IPFが94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上で、DSC特性が本発明で規定する要件を満たしていて耐熱性に優れ、繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たしていて保水率が高く、水硬化物との親和性に優れるポリプロピレン繊維(a−1)〜(a−10)のいずれかを用いてスレート用の水硬性組成物を調製し、当該水硬性組成物を170℃または175℃という高温でオートクレーブ養生していることによって、曲げ強度に優れるスレート成形物が短時間の養生で得られている。
それに対して、比較例9〜16では、DSC特性および繊維表面における凹凸特性の両方が本発明の規定から外れるポリプロピレン繊維(b−1)〜(b−8)のいずれかを用いてスレート用の水硬性組成物を調製し、当該水硬性組成物を170℃または175℃という高温でオートクレーブ養生しているが、水硬性組成物中に配合したポリプロピレン繊維(b−1)〜(b−8)が耐熱性に劣るため、比較例9〜16で得られたオートクレーブ養生後のスレート成形物の曲げ強度が、実施例12〜21で得られたスレート成形物に比べて大幅に低い。
《実施例22〜32および比較例17〜24》[モルタルの製造]
(1) 普通ポルトランドセメント(株式会社太平洋セメント製)68.7質量部、砂(珪砂7号)30質量部、メチルセルロース(信越化学工業株式会社製「90SH−4000」)0.1質量部、減水剤(株式会社ポゾリス物産製「レオビルドSP−8N」)0.2質量部、製造例1〜19で得られたポリプロピレン繊維(a−1)〜(a−11)および(b−1)〜(b−8)のそれぞれを繊維長3〜20mmに切断したポリプロピレン短繊維1質量部および水31質量部をホバートミキサーにより混合・混練した後、これを10mm×20mm×25mmの型枠に流し込み、20kg/cm2で加圧脱水し、未硬化の成形物とした。
(2) 上記(1)で得られた未硬化の成形物をポリエチレンシートに包んで50℃、飽和湿度条件下で24時間予備養生し、次いで20℃、飽和湿度条件下で13日間養生して水硬化したモルタル成形物(モルタル成形板)を得た。
(3) 上記(2)で得られてモルタル成形板の曲げ強度を上記した方法で測定したところ、下記の表4に示すとおりであった。
上記の表4にみるように、実施例22〜32では、IPFが94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上で、DSC特性が本発明で規定する要件を満たすか、単繊維繊度と繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たすか、或いはDSC特性と単繊維繊度と繊維表面の凹凸特性が本発明で規定する要件を満たしていて耐熱性が高く、また保水率が高くて水硬化物との親和性に優れるポリプロピレン繊維(a−1)〜(a−11)のいずれかを用いてモルタル用の水硬性組成物を調製し、当該水硬性組成物を水硬化してモルタル成形物を製造したことにより、曲げ強度に優れるモルタル成形物が得られている。
それに対して、比較例17〜24では、DSC特性および繊維表面における凹凸特性の両方が本発明の規定から外れていて、耐熱性、水硬化物との親和性に劣るポリプロピレン繊維(b−1)〜(b−8)のいずれかを用いてモルタル用の水硬性組成物を調製し、当該水硬性組成物を水硬化してモルタル成形物を製造したことにより、比較例17〜24で得られたモルタル成形物の曲げ強度が、実施例22〜32で得られたモルタル成形物に比べて大幅に低い。
本発明の水硬性組成物は、結晶性が高く、均一な結晶構造を有し、耐熱性に極めて優れ、更に高い繊維強度を有し、しかも保水性に優れる特定のポリプロピレン繊維を含有していて、水硬化することによって、耐熱性および強度に優れる水硬化物を生成するので、本発明の水硬性組成物およびそれから得られる水硬化物は、産業上有用である。
ポリプロピレン繊維におけるDSC測定による吸熱ピーク形状を模式的に示した図である。 ポリプロピレン繊維のDSC測定による吸熱ピークにおける半価幅の求め方を示した図である。 本発明で用いるポリプロピレン繊維の凹凸形状を模式的に示すと共に、凹凸の平均間隔および平均高さの求め方について説明した図である。 製造例1で得られたポリプロピレン繊維の走査型電子顕微鏡で撮影した写真である。

Claims (3)

  1. 水硬性物質と共に、アイソタクチックペンタッド分率(IPF)が94%以上のポリプロピレンよりなる、繊維強度が7cN/dtex以上であり、単繊維繊度が0.1〜3dtexで、走査示差熱量測定(DSC)による吸熱ピーク形状が10℃以下の半価幅を有するシングル形状で、融解エンタルピー変化量(△H)が125J/g以上であり、表面に大径の隆起部と小径の非隆起部が繊維軸に沿って交互に存在してなる平均間隔が6.5〜20μmで平均高さが0.35〜1μmの凹凸を有するポリプロピレン繊維を含有することを特徴とする水硬性組成物。
  2. 請求項に記載の水硬性組成物を用いて形成した水硬化物。
  3. 成形物である請求項に記載の水硬化物。
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