JP2000169203A - 繊維補強セメント成形体 - Google Patents

繊維補強セメント成形体

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JP2000169203A
JP2000169203A JP33827198A JP33827198A JP2000169203A JP 2000169203 A JP2000169203 A JP 2000169203A JP 33827198 A JP33827198 A JP 33827198A JP 33827198 A JP33827198 A JP 33827198A JP 2000169203 A JP2000169203 A JP 2000169203A
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cement molded
cement
reinforced cement
propylene
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Tetsuya Takahashi
哲也 高橋
Takeshi Sano
毅 佐野
Satoshi Maruyama
敏 丸山
Tadatoshi Kurozumi
忠利 黒住
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Japan Polyolefins Co Ltd
Resonac Holdings Corp
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Showa Denko KK
Japan Polyolefins Co Ltd
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    • C04B16/00Use of organic materials as fillers, e.g. pigments, for mortars, concrete or artificial stone; Treatment of organic materials specially adapted to enhance their filling properties in mortars, concrete or artificial stone
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    • C04B16/06Macromolecular compounds fibrous
    • C04B16/0616Macromolecular compounds fibrous from polymers obtained by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
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    • C04B16/0633Polypropylene

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安価でありながら、強度および寸法安定性等
が高く、アスベストの添加を削減もしくは不要としたセ
メント成形体。 【解決手段】 (a)25℃のキシレン抽出不溶部(X
I)が99.0重量%以上、(b)13C核磁気共鳴スペ
ルトルによるアイソタクチックペンタッド分率(IP)
が98.5%以上、(c)アイソタクチック平均連鎖長
(N)が500以上、(d)キシレン不溶部のカラム分
別法による各フラクションの平均連鎖長(Nf)が80
0以上であるフラクションの合計が全体の10重量%以
上、の各要件を満足するプロピレン系重合体からなるポ
リプロピレン繊維を含有することを特徴とする繊維補強
セメント成形体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアスベストの添加量
が少量にもかかわらず、シャルピー衝撃強度、曲げ破壊
強度に優れたセメント成形体に関する。さらに詳しくは
力学物性に優れているばかりではなく、寸法安定性にも
優れた新生瓦、サイディングなどの土木建築用のセメン
ト成形体に関する。
【0002】
【従来の技術】新生瓦、サイディング、スレート板など
の土木建築用のセメント成形体は衝撃強度、曲げ破壊強
度に優れ、しかも寸法安定性に優れていることが求めら
れる。従来、これらの性能を満たすためにはアスベスト
を補強繊維としていたセメント成形体が用いられてい
た。しかし、アスベストは、建物の解体時に飛散し、そ
の使用はあまり望ましくない。そこで、アスベストの代
替として、アクリル繊維、ポリエステル繊維、ビニロン
繊維、ガラス繊維などの各種の繊維の使用が検討されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の繊維は概して耐アルカリ性に劣るものである。他方、
セメントは強い塩基性物質で、アルカリ性を呈し、セメ
ント補強繊維には高い耐アルカリ性が必要とされ、これ
ら耐アルカリ性に劣る繊維はセメント中で劣化してしま
うという問題があった。そこで、耐アルカリ性に優れて
いるポリプロピレン繊維を用いることが検討されたが、
耐熱性が十分でないため、セメントを成形する際に必要
な165℃以上の養生工程に耐えられず、その結果、シ
ャルピー衝撃強度、曲げ破壊強度等の低いセメント成形
体しか製造できず、また、セメント成形体の表面にひび
割れなどが生じ易いなどの問題が多くあった。特に、新
生瓦、サイディング、スレート板には、アスベストが依
然として不可欠とされており、これらにも適用できる繊
維補強セメント成形体は急務とされている。本発明は前
記課題を解決するためになされたもので、安価でありな
がら、強度および寸法安定性等が高く、アスベストの添
加を削減もしくは不要としたセメント成形体を目的とす
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の繊維補強セメン
ト成形体は、下記(a)〜(d)の各要件を満足するプ
ロピレン系重合体からなるポリプロピレン繊維を含有す
ることを特徴とするものである。 (a)25℃のキシレン抽出不溶部(XI)が99.0
重量%以上 (b)13C核磁気共鳴スペルトルによるアイソタクチッ
クペンタッド分率(IP)が98.5%以上 (c)アイソタクチック平均連鎖長(N)が500以上 (d)キシレン不溶部のカラム分別法による各フラクシ
ョンの平均連鎖長(Nf)が800以上であるフラクシ
ョンの合計が全体の10重量%以上 特に、165℃以上の温度で養生処理されてなるものが
望ましい。また、ポリプロピレン繊維の引張強度が、5
g/d以上のものが望ましい。さらに、プロピレン系重
合体は、DSC測定における昇温速度10℃/分での融
点が169.5℃以上であることが望ましく、また、1
75℃の乾式オーブンにて30分間熱処理後の融点が、
DSC測定における昇温速度10℃/分での測定で、1
73℃以上であることが望ましい。ポリプロピレン繊維
の含有量は、0.01〜30重量%が望ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の繊維補強セメント成形体
は、通常一般にセメント成形体の主成分として使用され
ている無機耐熱性物質に、特定のプロピレン系重合体か
らなるポリプロピレン繊維を添加してなるものである。
無機耐熱性物質としては、用途等に応じた周知のものを
適用でき、例えば、ポルトランドセメント、高炉セメン
ト、シリカセメント、アルミナセメントフライアッシ
ュ、半水石膏、二水石膏スラグ、石膏、シリカ等の水硬
性材料または気硬性材料を単独又は混合して使用でき
る。また、目的に応じて種々の添加剤を混ぜてもよい。
無機骨材としては、フライアッシュ、ミクロシリカ、エ
アロシリカ、エアロゾル等を添加できる。一般的に分散
性の向上と粘度性を調整するのに、界面活性剤を添加す
る。界面活性剤は、スルホン酸系塩や高級多価アルコー
ル系の界面活性剤とメチルセルロース、ヒドロキシエチ
ルセルロース等のセルロース誘導体の混合物が使用でき
る。コンクリートとして使用する際の骨材も、粗骨材及
び細骨材ともに限定されるものではなく、目的に応じて
種々選択できる。例えば、天然骨材と人工骨材を併用す
ることができる。
【0006】本発明において添加するポリプロピレン繊
維は、下記(a)〜(d)の各要件を満足するプロピレ
ン系重合体からなる。 (a)25℃のキシレン抽出不溶部(XI)が99.0
重量%以上 (b)13C核磁気共鳴スペルトルによるアイソタクチッ
クペンタッド分率(IP)が98.5%以上 (c)アイソタクチック平均連鎖長(N)が500以上 (d)キシレン不溶部のカラム分別法による各フラクシ
ョンの平均連鎖長(Nf)が800以上であるフラクシ
ョンの合計が全体の10重量%以上
【0007】ここで用いられるプロピレン系重合体とし
ては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン及
び/又は炭素数4〜12のα−オレフィンとのランダム
共重合体あるいはブロック共重合体等が挙げられる。中
でも、プロピレン単独重合体が好ましい。α−オレフィ
ンの具体例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−
オクテン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−
ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−ジメチル−
1−ペンテン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘ
キサン等が用いられる。これらのα−オレフィンは1種
類あるいは2種以上を混合して用いることもできる。
【0008】このプロピレン系重合体は、(a)25℃
のキシレン抽出不溶部(以下、XIと云う)が99.0
重量%以上である。キシレン抽出不溶部は、プロピレン
系重合体を135℃のキシレンに完全溶解させた後、2
5℃まで冷却し、その際に析出した量の全重合体に対す
る重量比率を表すもので、本発明においては99.0重
量%以上である。XIが99.0重量%未満の場合は繊
維の融点が低く、熱収縮率が大きく、繊維の弾性率が小
さくなる傾向がある。
【0009】さらに、(b)13C核磁気共鳴スペルトル
によるアイソタクチックペンタッド分率(以下、IPと
云う)が98.5%以上である。99%以上であればよ
り好ましい。98.5%に満たない場合は繊維の融点が
低く、熱収縮率が大きくなる傾向がある。ここで、アイ
ソタクチックペンタッド分率とは、13C核磁気共鳴(13
C−NMR)を用いて測定されるポリプロピレン分子鎖
中のペンタッド単位でのアイソタクチック分率であり、
周知の方法(参照:例えば、A. Zambelli; Macromolecu
les, 6, p625(1973)、同8, p687(1975))で測定される
もので、13C−NMRスペクトルのメチル炭素領域の全
吸収ピーク中mmmmピークの強度分率により測定され
る。
【0010】また、(c)アイソタクチック平均連鎖長
(N)が500以上である。700以上であればより好
ましく、800以上であればさらに好ましい。Nが50
0未満では繊維の強度、弾性率、耐熱性が劣る。尚、ア
イソタクチック平均連鎖長(N)とは、ポリプロピレン
分子内のメチル基のアイソタクチック部分の平均の長さ
を表すものであり、周知の方法(参照:J. C. Randall;
Polymer Sequence Distribution, Academic Press, Ne
w York 1977, Chapter 2)により測定される。具体的に
は、まず、ポリプロピレンを1,2,4−トリクロロベン
ゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に、ポリマー濃度が
10重量%となるように温度130℃に加熱して溶解す
る。この溶液を10mmφのガラス製試料管に入れ、I
Pと同様の方法で13C−NMRスペクトルを測定する。
このスペクトル図の例を図1に示す。図1中、a線が、
ポリプロピレンにおけるメチル基領域のスペクトルであ
り、b線はそのスペクトルを縦軸方向に拡大したもので
ある。スペクトルは、ペンタッド単位すなわち隣接する
メチル基5個をひとつの単位として測定され、メチル基
のアイソタクチシティー(構造的にはmmmm、mmm
rなどの10種類がある)によって吸収ピークが異な
る。
【0011】一方、重合理論として、Shan-Nong ZHU et
al.; Polymer Journal, Vol.No.12, p859-868(1983)に
記載された2サイトモデルがある。即ち、重合時の活性
種が触媒側とポリマー末端の2種類あるとするものであ
り、触媒側は触媒支配重合、もう一方は末端支配重合と
呼ばれるものである(参照:古川淳二;高分子のエッセ
ンスとトピックス2「高分子合成」p73(株)化学同
人発行(1986))。2サイトモデルは、ペンタッド
単位でのアイソタクチシティーの異なる10種類のアイ
ソタクチック強度を理論的に計算できる。これは、NM
Rによる測定強度と、理論強度とが一致するように、
α、σ及びωを最小自乗法で求め、次式により各ペンタ
ッド単位を求める。ここで、α、σ及びωは以下に示す
ものである。 α:触媒支配重合(エナンチオモルフィック過程)によ
る重合末端にD体及びL体が付加する確率、即ち、アイ
ソタクチック連鎖中の乱れ程度の指標。 σ:末端支配重合(ベルヌーイ過程)により重合末端と
同じものが付加するメソ体ができる確率。 ω:αサイトの割合。
【0012】
【表1】
【0013】次に、前記J. C. Randallの文献に記載さ
れている平均連鎖長(N)の定義式(N=メソ体の連鎖
数/メソ体のユニット数)に当てはめ、具体的には次式
により求めることができる。 N=1+(A1+A2+A3)/0.5(A4+A5+A6
7
【0014】さらに、(d)キシレン不溶部のカラム分
別法による各フラクションの平均連鎖長(Nf)が80
0以上であるフラクションの合計が全体の10重量%以
上である。30重量%以上であればより好ましく、50
重量%以上であればさらに好ましい。Nfが800以上
であるものの合計量が10重量%未満では繊維の耐熱性
が劣る。ここでカラム分別法とは、キシレン抽出不溶部
をパラキシレンに温度130℃で溶解後、セライトを加
え、10℃/時間の降温速度で温度30℃に下げ、セラ
イトに付着させ、次に、スラリー状セライトをカラムに
充填し、パラキシレンを展開液として温度30℃から
2.5℃毎に段階的に温度を上昇し、ポリプロピレンを
フラクション別に分取する方法である(参照:Masahiro
Kakugo et al.; Macromolecules, Vol.21, p314-319(1
988))。分取したポリプロピレンのNfは、上記Nの測
定法を各フラクション毎に用いて測定される。
【0015】本発明におけるプロピレン系重合体は上記
(a)〜(d)の条件を満足するものであるなら特に制
限はないが、特に以下の触媒を用いて重合された重合
体、あるいは、これらを過酸化物の存在下で加熱処理し
分子量の調製を行ったものを用いることが好ましい。
【0016】触媒の好ましい例としては、例えば、マグ
ネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与性化合物を必須
成分とする固体触媒を一般式:TiXa・Zb(式中、X
はCl、Br、Iのハロゲン原子、Zは電子供与性化合
物、aは3若しくは4、bは3以下の整数をそれぞれ示
す。)で示されるチタン化合物で処理後、ハロゲン含有
化合物で洗浄し、さらに炭化水素で洗浄して得られる改
良固体触媒が挙げられる。式中のTiXaは、一般に電
子供与性化合物とは容易に錯体を形成することが知られ
ている(参照:R. P. S. Coutts et al., Advan. Organ
ometal. Chem.,Vol.9, p135(1970)、第4版新実験化学
講座17 無機錯体・キレート錯体p35、日本化学会
丸善(1991)、H. K. Kakkonen et al. J. Organ
omet. Chem., Vol.453, p175(1993))。
【0017】XはCl、Br、Iのハロゲン原子である
が、中でもClが好ましい。aは3若しくは4である
が、4が好ましい。Zとしては、一般に含酸素化合物、
含窒素化合物、含リン化合物、含硫黄化合物などが挙げ
られる。含酸素化合物としては、例えば、アルコール
類、エーテル類、エステル類、酸ハライド類、酸無水物
などが挙げられる。さらに具体的には、メチルアルコー
ル、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルア
ルコール、ペンチルアルコール、ヘキシルアルコール、
ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアル
コール、デシルアルコール、2−エチルアルコール、オ
レイルアルコール、ベンジルアルコール、フェニルエチ
ルアルコール、フェノール、クレゾール、エチルフェノ
ール、ナフトール等のアルコール類;メチルエーテル、
エチルエーテル、プロピルエーテル、ブチルエーテル、
アミノエーテル、ヘキシルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、アニソール、ジフェニルエーテル等のエーテル類お
よびジエーテル類;酢酸エチル、クロル酢酸エチル、プ
ロピオン酸エチル、酪酸エチル、アクリル酸エチル、ク
ロトン酸エチル、オレイン酸エチル、ステアリン酸エチ
ル、フェニル酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エ
チル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、トルイル酸
メチル、トルイル酸エチル、トルイル酸プロピル、トル
イル酸ブチル、エチル安息香酸メチル、アニス酸メチ
ル、アニス酸エチル、エトキシ安息香酸メチル、エトキ
シ安息香酸エチル、ケイ皮酸エチル、フタル酸ジメチ
ル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸
ジ−n−ブチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジヘ
キシル、フタル酸ジオクチル、γ−ブチロラクトン、δ
−バレロラクトン、炭酸エチレン等のエステル類;アセ
チルクロリド、ベンゾイルクロリド、トルイル酸クロリ
ド、フタル酸クロリド等の酸クロリド類;無水マレイン
酸、無水フタル酸などの酸無水物などが挙げられる。ま
た、これら電子供与性化合物は、1種でもよいが、2種
以上を併用してもよい。これらの中でもエステル類が好
ましく、特にフタル酸エステル類が好ましい。Zのbは
aが3のときは1〜3、aが4のときは1または2が好
ましく、特に好ましいのは、aが4、bが1の場合であ
る。
【0018】改良固体触媒は、トリメチルアルミニウ
ム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウ
ムなどの有機アルミニウム化合物と、第2の電子供与性
化合物の共存下で重合することが好ましい。第2の電子
供与性化合物は、第1の電子供与性化合物と同一でも良
いが、芳香族カルボン酸エステル化合物、Si−O−C
またはSi−N−C結合を有するケイ素化合物、アセタ
ール化合物、Ge−O−C結合を有するゲルマニウム化
合物、アルキル置換基を有する窒素または酸素の複素環
化合物等が挙げられる。これらの中でも、Si−O−C
結合を有する第2の電子供与性化合物と前述の改良固体
触媒を組合わせて用いると良い。Si−O−C結合を有
する第2の電子供与性化合物の中でも、ジシクロペンチ
ルジメトキシシラン、テキシルトリメトキシシラン、シ
クロペンチル−t−ブチル−ジメトキシシラン、n−プ
ロピル−t−ブチル−ジメトキシシラン、ジフェニルジ
メトキシシランを用いることが好ましい。また、これら
を混合して用いてもよい。このような改良固体触媒と第
2の電子供与性化合物の組合わせを用い、重合温度を高
めて行なうと、さらに高剛性のものが得られて好まし
い。重合に際しては、重合の前に少量のモノマーを重合
する予備重合を行なってもよい。
【0019】本発明でのポリプロピレン繊維となるプロ
ピレン系重合体には、結晶化造核剤を配合しておくこと
が望ましい。結晶化造核剤は繊維の弾性率または融点を
向上させることができ、タルク、ソルビトール化合物、
キナクリドン化合物、有機リン酸化合物、有機カルボン
酸金属塩、アミド系化合物等がある。ソルビトール化合
物の代表的なものとしては1・3または2・4−ジ(P
−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3または2
・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3または2・
4−ジ(P−エチルジベンジリデン)ソルビトール等で
商品名としてゲルオールMD、ゲルオールMDR(以上
新日本理化社製)、EC−1(イーシー化学社製)、N
C−4(三井化学社製)が挙げられる。キナクリドン化
合物としてはキナクリドンキノン等が挙げられる。有機
リン酸化合物の代表的なものとしては、リン酸ビス(4
−t−ブチルフェニル)ナトリウム(例えば、旭電化社
製「MARKNA−10」)、リン酸−2,2'−メチレ
ンビス(4,6―ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム
(例えば、旭電化社製「MARKNA−11」)、ある
いは環状有機リン酸エステル塩基性多価金属塩とアルカ
リ金属カルボン酸塩、アルカリ金属β−ジケトナート及
びアルカリ金属β−ケト酢酸エステル塩有機カルボン酸
金属塩の1種とから選ばれる混合物(例えば、旭電化社
製「MARKNA−21」)が挙げられる。有機カルボ
ン酸金属塩の代表的なものとしてはヒドロキシ−ジ−
(t−ブチル安息香酸)アルミニウム(シェル化学社製
「Al-PTBBA」)等が挙げられる。アミド系化合物として
は、二塩基系またはアミノ酸系ジアミドであるN,N'−
ジシクロヘキシルテレフタルアミド、N,N'−ジシクロ
ヘキシル−1,4シクロヘキサンカルボキシアミド等が
挙げられる。造核剤は0.001〜3重量%、より好ま
しくは0.05〜0.5重量%添加することにより繊維の
耐熱性、弾性率が向上し、熱収縮率がさらに小さくな
り、セメント補強繊維において有効である。また特に細
い繊維においては造核剤の粒径の小さなものを使用する
と紡糸安定性が低下せず好ましい。
【0020】本発明における繊維は、太さが2〜100
0μm程度のものが好ましい。また、その繊維の断面積
は3.0×10-6〜1.0mm2程度が好ましい。このポ
リプロピレン繊維は、例えばマルチフィラメント溶融紡
糸/延伸法、モノフィラメント溶融紡糸/延伸法、スパ
ンボンド法、メルトブローン法等によって製造される。
あるいはインフレーション成形やTダイ成形により得ら
れたフイルムを延伸するスプリットヤーン法等によって
も製造される。
【0021】本発明のプロピレン系重合体を繊維に加工
する際には、フェノール系、リン系、イオウ系等の酸化
防止剤、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸金属塩やハイドロ
タルサイト等の中和剤や加工助剤、各種帯電防止剤を適
宜配合して行われる。また、セメントとの親和性を向上
させるために、鉄、銅、ニッケル、亜鉛等の金属などの
表面処理剤や無機充填剤を配合することが好ましい。中
でも、酸化第二鉄はセメントとの親和性が高いため、セ
メント成形体の力学的特性の向上に特に有効である。
【0022】このポリプロピレン繊維は、紡糸性に優
れ、延伸倍率とともに強度が著しく向上し、しかも、耐
熱性、弾性率、強度に優れ、熱収縮率が小さく、このポ
リプロピレン繊維を含有するセメント成形体は、その剛
性、寸法安定性が向上する。ポリプロピレン繊維には、
延伸倍率が5倍以上の延伸処理を施しておくことが好ま
しい。このポリプロピレン繊維は、強度が5g/d以上
となることができる。また、繊維の長さとしては0.5
mm以上30mm未満が好ましく、さらに好ましくは
1.0mm以上10mm未満である。0.5mm未満であ
ると補強効果があまり無く、30mm以上であると繊維
の分散性が悪く期待する物性が得られない虞がある。
【0023】セメントは、一般に160〜200℃程度
で長時間加熱されて養生される。特に165℃以上、さ
らに170℃以上190℃未満で行われたものが好まし
く、より好ましくは173℃以上185℃未満、さらに
好ましくは174℃以上183℃未満である。特に18
0℃で養生するとセメントがトべルモライトという結晶
形となり強度が飛躍的に向上すると共に、格段に寸法安
定性が増す。上述したポリプロピレン繊維は、このよう
な高温度下においても耐熱性に優れているため熱収縮を
起こさず強度の低下が起こらず、しかも、ビニロン繊維
等と異なり、耐アルカリ性であることから、セメント中
でも劣化をおこさず、セメント成形体の強度はきわめて
高いものとなる。すなわち、本発明によれば、165℃
以上の温度で養生処理することが可能となり、シャルピ
ー衝撃強度、曲げ破壊強度等が高く、かつ寸法安定性の
良いセメント成形体となる。養生によっても耐えられる
繊維としては、融点のより高いものが好適である。繊維
の融点が169.5℃以上であれば180℃の養生に耐
えられるものの、繊維の融点が169.5℃未満である
と養生に耐えられず、セメントの品質を高くすることは
困難である。したがって、繊維の融点は、169.5℃
以上であることが好ましく、より好ましくは、170℃
以上、さらに好ましくは170.5℃以上、さらに好ま
しくは、171.0℃以上、さらに好ましくは171.5
℃以上、特に好ましくは172.5℃以上である。尚、
ここで融点とは、JIS K7121に準じて示差走査熱量計
(DSC)にて10℃/分の速度で昇温し、融解ピーク
の最大となる温度である。
【0024】また、175℃の乾式オーブンにて30分
間熱処理後の融点が、DSC測定における昇温速度10
℃/分での測定で、173℃以上であることが好まし
く、さらに好ましくは174℃以上、より好ましくは1
77℃以上、特に好ましくは178℃以上である。これ
らの条件を満足することによって、オートクレーブでの
養生に充分耐えられ、繊維の強度の低下が小さいものが
容易に得られる。
【0025】また、セメントに対する繊維の添加量は、
0.01重量%以上30重量%未満が好ましく、さらに
好ましくは0.5重量%以上20重量%未満である。0.
01重量%未満であると補強効果があまり無く、30重
量%以上であると繊維の分散性が悪くなるばかりで期待
する物性が得られなかったり、コスト高になるおそれが
ある。ポリプロピレン繊維は、長繊維状、もしくは織
物、編み物、不織布の状態で使用しても繊維補強セメン
ト成形体が得られる。
【0026】本発明のセメント成形体には、上述したポ
リプロピレン繊維の他、目的に応じて無機繊維や有機繊
維を補強材として添加してもよい。例えば、次に挙げる
ものが例示できる。 天然有機物:パルプ、木綿、セルロース、羊毛、種子皮
繊維、麻、ラミー、マニラ麻、亜麻、サイザル麻、モヘ
ア、カシミア 人工鉱物:スラグウール、ロックウール、ガラス繊維、
カーボン繊維、金属繊維、アルミ、シリカアルミナ、シ
リカ等のセラミックファイバー、チタン酸カリウム等の
ウィスカー 天然鉱物:雲母、ワラストナイト、ゼオライト、アタパ
ルジャイト 半人工繊維:レーヨン、アセテート ポリオレフィン:ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
ブテン、ポリメチルペンテン その他の合成繊維:ポリビニルアルコール、ポリアクリ
ルニトリル、ナイロン-6、ナイロン-66、ポリエステ
ル、ポリ塩化ビニル 本発明のセメント成形体においては、アスベストを添加
せずとも、衝撃強度、曲げ破壊強度に優れ、しかも寸法
安定性に優れているので、アスベストが不要で、また
は、たとえ添加するとしても、5重量%も添加すれば実
用的に問題のないレベルにすることができる。
【0027】本発明のセメント成形体は、セメントミル
ク、セメントスラリー、モルタル、コンクリートを始め
とするセメント成形体全般に使用できる。本発明のセメ
ント成形体は、抄造法、押出成形法により製造使用でき
る。
【0028】ここで、押出成形法とは、ミキサーによ
り、セメント、珪砂、水からなる主成分に要求に応じ
て、少量の無機あるいは有機補強剤、パルプ、増粘剤等
を添加した水性混合物を、押出機により押し出して成形
する方法で、成形後に適当な長さに切断して所定の温度
で養生し使用されるものである。この成形法によるもの
は、比較的、肉厚の成形体が製造できるために大きな力
に耐えられることができる。そのため、大きな荷重が加
わることが予測される用途に用いられ、例えばサイディ
ング、新生瓦等の用途に用いらる。また、抄造法とは、
セメント、珪砂、および必要によりパルプ、補強剤等を
混合後、さらに水を添加しスラリー状とし、メッシュ上
に流し込んで下方より水分を吸引することによりシート
状に成形し(フローオン方式)、その後、プレスし、所
定の温度で養生するものである。この方法によるもの
は、比較的、薄肉の成形体が製造できるメリットがある
ので、主としてスレート板などの用途に用いられる。
【0029】本発明によれば、押出成形法によるセメン
ト成形体として、アスベストが無添加でも、シャルピー
衝撃強度を1.7kgf-cm/cm2以上、曲げ破壊強
度が56kgf-cm/cm2以上とすることができる。
ここで、シャルピー衝撃強度の測定法は、JIS-B-7722に
よる方法で測定されるものある。曲げ破壊強度の測定法
は、JIS-A-1408による方法で測定されるものである。本
発明によって、シャルピー衝撃強度を1.7kgf-cm
/cm2以上、曲げ破壊強度を56kgf-cm/cm2
以上とすることによって、荷重が加わったり、飛散物に
よる衝撃が加わったりしても破壊しにくくなり、サイデ
ィング、新生瓦などの土木・建築用部材への使用に適し
たものとなる。
【0030】また、本発明によれば、抄造法によるセメ
ント成形体として、アスベストが無添加でも、シャルピ
ー衝撃強度を1.5kgf-cm/cm2以上、曲げ破壊
強度を61kgf-cm/cm2以上とすることができ
る。シャルピー衝撃強度を1.5kgf-cm/cm2
上、曲げ破壊強度を61kgf-cm/cm2以上とする
ことによって、スレート板などの土木・建築用部材への
使用に適したものとなる。
【0031】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。なお、本発明は実施例により限定されるもので
はない。 [プロピレン系重合体の調製] 固体成分の調製 無水エタノール1.0kg(1.74mol)と、ワセリ
ンオイル(出光興産(株)製「CP15N」)5.0L
およびシリコーン油(信越シリコーン(株)製「KF9
6」)5.0Lの混合物中に、無水塩化マグネシウム5
68g(5.97mol)を窒素雰囲気下、120℃で
完全に溶解させた。この混合物をTKホモミキサー(特
殊機化工業(株)製)を用いて120℃、3000回転
/分で3分間撹拌した。撹拌を保持しながら、20Lの
無水ヘプタン中に0℃を越えないように移送した。得ら
れた白色固体は無水ヘプタンで十分に洗浄し室温下で真
空乾燥した。得られたMgCl2・2.5C25OHの球
状固体300gを無水ヘプタン2.0L中に懸濁させ
た。そして、0℃で撹拌しながら、四塩化チタン5.0
L(45mol)を1時間かけて滴下した。次に加熱を
始めて、40℃になったところで、フタル酸ジイソブチ
ル49.6g(178mmol)を加えて、100℃ま
で約1時間で昇温させた。100℃で2時間反応させた
後、熱時ろ過にて固体部分を採取した。その後、この反
応物に四塩化チタン5.0L(45mol)を懸濁させ
た後、120℃で1時間反応させた。反応終了後、再
度、熱時ろ過にて固体部分を採取した。次いで、60℃
のヘキサン10Lで7回、室温のヘキサン10Lで3回
洗浄し、固体成分を得た。
【0032】TiCl4[C64(COOi
492]の調製 四塩化チタン190g(1.0mol)を含むヘキサン
10Lの溶液にフタル酸ジイソブチル278g(1.0
mol)を0℃に維持しながら、約30分間で滴下し
た。滴下終了後、40℃に昇温し30分間反応させた。
反応終了後、固体部分を採取し、ヘキサン5.0Lで3
回洗浄し目的物を得た。 TiCl4[C64(COOi492]による処理 上記で得られた固体成分400gをトルエン6.0L
に懸濁させ、25℃でTiCl4[C64(COOi4
92]を103g(220mmol)と1時間処理して担
持させた。担持終了後、ろ過にて固体部分を採取し、そ
の後、この反応物にトルエン6.0L、四塩化チタン2
00ml(1.8mol)を懸濁させた後、90℃で2
時間反応させた。反応終了後、再度熱時ろ過にて固体部
分を採取した。次いで、90℃トルエン10Lで5回、
室温のヘキサン10Lで3回洗浄し、オレフィン重合用
固体触媒成分を得た。 予備重合 窒素雰囲気下、内容積50Lのオートクレーブ中に、n-
ヘプタン10L、トリエチルアルミニウム120g
(1.6mol)、ジシクロペンチルジメトキシシラン
78g(340mmol)、および上記で得られたオレフ
ィン重合用固体触媒成分200gを投入し、0〜5℃の
温度範囲で5分間撹拌した。次に、固体触媒成分あたり
10gのプロピレンが重合するようにプロピレンをオー
トクレーブ中に供給し、0〜5℃の温度範囲で1時間予
備重合した。得られた予備重合触媒は、n-ヘプタン10
Lで3回洗浄を行ない、以下のポリプロピレン系樹脂の
製造に使用した。
【0033】プロピレンの重合 内容積290Lの撹拌機付き反応器に、プロピレン95
kg/時間、上記予備重合触媒10g/時間、トリエチ
ルアルミニウム59g/時間(520mmol/時間)、ジシ
クロペンチルジメトキシシラン35.3g/時間(15
5mmol/時間)および水素を所望とするMFRになるよ
うに調節しながら供給した。反応器は80℃に保持し、
液化四塩化チタン、トリエチルアルミニウム系触媒によ
りプロピレンによる塊状スラリー重合を行ない2種類の
プロピレン系重合体(試料No.1、試料No.2)を得
た。物性は表2に示した。なお、MFRを3g/10分に
するにあたっては、2500molppmの水素を供給し、M
FRを15g/10分にするにあたっては、9000molp
pmの水素を供給した。
【0034】[実施例1]上記試料No.1のプロピレ
ン系重合体について、40mmφのマルチフィラメント
溶融紡糸装置を用い、1.0mmφのノズルより溶融温
度260℃にて溶融押出を行った。20℃の冷却風によ
り固化させ、ロール速度200m/min.にて未延伸糸を
巻き取った。その未延伸糸を110℃に加熱した熱ロー
ルにより延伸倍率6倍の条件で延伸を行い断面積7.5
×10-4mm2のポリプロピレン繊維を作製した(繊維
の物性を表2に示す)。そして、得られた繊維を5mm
長にカットした。別途、オムニミキサーにて、ポルトラ
ンドセメント36.5重量%、珪砂36.5重量%、水2
7.0重量%からなる主成分に少量の無機繊維、パル
プ、増粘剤を添加して水性混合物を調製した。そして、
その水性混合物中に、上記ポリプロピレン繊維をセメン
ト成形体に対して1.2重量%添加した。ニーダー撹拌
機にてさらに撹拌した後、押出機にて厚さ12mm、幅
50mmの押出成形法によるセメント成形体を得た。さ
らに、長さ25mmに切断して175℃で10時間のオ
ートクレーブ養生を行った。温度20℃、湿度60%の
恒温室内で28日間放置し、衝撃強度、曲げ破壊強度等
の測定を行った。その結果を表4に示す。
【0035】[実施例2]普通ポルトランドセメント5
0重量%、珪砂41重量%、パルプ8重量%、上記実施
例1でのポリプロピレン繊維1重量%を混合し、その混
合物に対して水を添加し、スラリー濃度が10%になる
ようにセメントスラリーを調整した。次に、このスラリ
ーをフローオン方式により1層に成形しプレスし、厚み
10mm、幅90cmの抄造法によるセメント成形体を
得た。さらに、長さ180cmに切断して、170℃で
10時間のオートクレーブ養生を行った。温度20℃、
湿度60%の恒温室内で28日間放置し、曲げ破壊強
度、衝撃強度等の測定を行なった。
【0036】[実施例3]試料No.1のプロピレン系
重合体について、40mmφのマルチフィラメント溶融
紡糸装置を用い、0.6mmφのノズルより溶融温度2
80℃にて溶融押出を行った。20℃の冷却風により固
化させ、ロール速度200m/min.にて未延伸糸を巻き
取った。その未延伸糸を110℃に加熱した熱ロールに
より延伸倍率8倍の条件で延伸を行い断面積3.2×1
-4mm2のポリプロピレン繊維を作製した(繊維の物
性を表2に示す)。得られたポリプロピレン繊維を4m
m長にカットした。その繊維を用いて、養生温度を17
0℃として、実施例1と同様にして押出成形法によるセ
メント成形体を製造した。 [実施例4]上記実施例3と同様にして、ポリプロピレ
ン繊維を作成し、その繊維を用いて上記実施例2と同様
にして抄造法によるセメント成形体を製造した。
【0037】[実施例5]上記試料No.2のプロピレ
ン系重合体について、50mmφの単軸スクリュー押出
機を用い、220℃の押出温度でインフレーションフイ
ルム成形し、5mm幅にスリット後、110℃の熱板に
よる加熱で8倍に延伸し、針刃ロールによりスプリット
させることにより開繊し、断面積5.1×10-2mm2
スプリットヤーンであるポリプロピレン繊維を作製し
た。繊維の物性を表2に示す。そして、得られた繊維を
3mm長にカットした。その繊維を用いて、養生温度を
170℃にしたこと以外は上記実施例1と同様にして押
出成形法によるセメント成形体を製造した。 [実施例6]上記試料No.2のプロピレン系重合体に
ついて、50mmφの単軸スクリュー押出機を用い、2
20℃の押出温度でインフレーションフイルム成形し、
10mm幅にスリット後、110℃の熱板による加熱で
4倍に延伸し、針刃ロールによりスプリットさせること
により開繊し、断面積1.2×10-1mm2のスプリット
ヤーンであるポリプロピレン繊維を作製した。繊維の物
性を表2に示す。そして、得られた繊維を5mm長にカ
ットした。その繊維を用いて、養生温度を180℃にし
たことの他は上記実施例1と同様にして 押出成形法に
よるセメント成形体を製造した。 [実施例7]上記試料No.2のプロピレン系重合体に
ついて、40mmφのモノフィラメント溶融紡糸装置を
用い、1.0mmφのノズルより溶融温度240℃にて
溶融押出を行った。30℃の冷却水槽を通すことにより
固化させ、ロール速度10m/min.にて未延伸糸を巻き
取り、100℃に加熱した熱水槽により延伸倍率8倍の
条件で延伸を行い断面積5.1×10-2mm2のポリプロ
ピレン繊維を作製した(繊維の物性を表2に示す)。そ
して、得られた繊維を5mm長にカットした。その繊維
を用いて、養生温度170℃にて実施例1と同様にして
押出成形法によるセメント成形体を作製した。
【0038】[実施例8]実施例1と同じ繊維を用い
て、養生温度を160℃としたこと以外は実施例1と同
様にして、押出成形法によるセメント成形体を製造し
た。 [実施例9]実施例1と同じ繊維を用いて、養生温度を
160℃としたこと以外は実施例2と同様にして、抄造
法によるセメント成形体を製造した。 [実施例10]実施例1と同じ繊維について、延伸倍率
4倍の延伸処理を施した繊維を用いて、養生温度175
℃にて実施例1と同様にして、押出成形法によるセメン
ト成形体を製造した。 [実施例11]実施例10と同じ繊維を用いて、養生温
度175℃にて実施例2と同様にして、抄造法によるセ
メント成形体を製造した。 [実施例12]オートクレーブ養生を163℃で行った
以外は、実施例6と全く同様の操作を行い、押出成形法
によるセメント成形体を製造した。
【0039】[比較例1]表3に示した物性を有するプ
ロピレン単独重合体(試料No.3)を用い、実施例1
と同様の成形方法で繊維の製造を行った。その繊維を用
いて、養生温度175℃で実施例1と同様にして押出成
形法によるセメント成形体を製造した。 [比較例2]上記比較例1のポリプロピレン繊維を用い
て、養生温度170℃としたこと以外は実施例2と同様
にして抄造法によるセメント成形体を製造した。 [比較例3]表3に示した物性を有するプロピレン単独
重合体(試料No.4)を用い、実施例5と同様の方法
でポリプロピレン繊維を製造した。但し、繊維のカット
長は5mmとした。その繊維を用いて、養生温度170
℃にて実施例1と同様にしてセメント成形体を製造し
た。 [比較例4]上記比較例3のポリプロピレン繊維を用い
て、養生温度180℃で実施例2と同様にして抄造法に
よるセメント成形体を製造した。 [比較例5]表3に示した物性を有するプロピレン単独
重合体(試料No.5)を用い、実施例1と同様の方法
でポリプロピレン繊維を作成した。その繊維を用いて、
養生温度175℃にて実施例1と同様にしてセメント成
形体を作製した。
【0040】[比較例6]表3に示した物性を有するプ
ロピレン単独重合体(試料No.2)を用い、繊維の添
加量を35重量%とした以外は、実施例6と同様の操作
を行い、養生温度180℃で押出成形法によるセメント
成形体を製造した。 [比較例7]断面積7.5×10-4mm2のビニロン繊維
(繊維の物性を表3に示す)を5mm長にカットした。
その繊維を用いて、養生温度170℃にて実施例1と同
様にして押出成形法によるセメント成形体を製造した。 [比較例8]断面積7.5×10-4mm2のアクリル繊維
(繊維の物性を表3に示す)を5mm長にカットした。
その繊維を用いて、養生温度170℃にて実施例1と同
様にして押出成形法によるセメント成形体を作製した。 [比較例9]上記比較例8のアクリル繊維を用いて、養
生温度175℃で実施例2と同様にして抄造法によるセ
メント成形体を製造した。 [比較例10]繊維を添加することなく、実施例1と同
様にして175℃で養生して押出成形法によるセメント
成形体を製造した。 [比較例11]繊維を添加することなく、養生温度17
5℃にて実施例2と同様にして、抄造法によるセメント
成形体を製造した。
【0041】上記各実施例および比較例のセメント成形
体において用いた各繊維について、諸物性を表2,3に
示した。各物性の測定方法は次の通りである。 〔強度、弾性率〕チャック間300mmとし、引張速度
300mm/min.にて引張試験機を用いて測定した。繊
維が破断する際の強度を計測し、また、弾性率を算出し
た。 〔融点〕繊維2mgをアルミパンに封入し、DSCにて
10℃/min.の速度で昇温し、融解ピークの温度を融点
とした。 〔熱収縮率(S)〕130℃のオーブンにて10分間放
置し、熱処理を行い、熱処理前の繊維の長さ(L)と熱
処理後の繊維の長さ(L‘)より以下の式により求め
た。
【数1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】上記各実施例および比較例のセメント成形
体について、諸性能を評価した。各評価方法を以下に示
す。 〔シャルピー衝撃強度〕供試体から長さ70mm、幅1
5mm、厚み12mmのサンプル10個を切断し、ハン
マーエネルギーが5kgf・cmで、JIS-B-7722に準じ
て測定した。 〔繊維のスラリーでの分散〕スラリー状態に繊維を加え
て撹拌した後の繊維の分散状態を目視により次の3段階
で評価した。 ○:繊維が良く分散している。 △:繊維が表面に集まるが、表面は湿った状態である。 ×:繊維が充分に分散していない。 〔表面のひび割れ状態〕オートクレーブ養生後、セメン
ト成形体の表面状態を目視により次の3段階で評価し
た。 ○:表面にひび割れは全く見られない。 △:表面が多少ひび割れしている。 ×:表面が明らかにひび割れしている。 ××:ひび割れが多い。 〔成形体の曲げ破壊強度、ひび割れ強度〕オートクレー
ブ養生後の曲げ弾性率をJIS−A1408に準じて試験し、供
試体に荷重を加えたときの、荷重−撓み曲線を得た。ほ
ぼ直線的に上昇し荷重が降下し始める時の荷重W1(k
g)、及び荷重が再度上昇し最大に達した時の荷重W2
(kg)を荷重−撓み曲線から読み取り、W1、W2、ス
パン(Lcm)、供試体の幅(bcm)、供試体の厚み
(dcm)から、曲げ破壊強度、ひび割れ強度を以下の
式により求めた。 曲げ破壊強度(kgf/cm2)=3・W2・L/2・b・d2 ひび割れ強度(kgf/cm2)=3・W1・L/2・b・d2
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】表4、5から明らかなように、本実施例の
セメント成形体であると、強度の高いものである。但
し、実施例8、9、12では、養生温度が低いので、ス
ラリー中の繊維の分散状態は良好であったが、得られた
セメント成形体には、表面に細かなひび割れが生じ、シ
ャルピー衝撃強度、曲げ破壊強度が低いものであった。
また、実施例10、11では、繊維の強度が低いので、
スラリー中の繊維の分散状態は良好であったが、得られ
たセメント成形体には、表面に細かなひび割れが生じ、
曲げ破壊強度も低くなってしまった。対して、一般的な
ポリプロピレン繊維を使用した比較例1〜5では、強度
等が低かった。ポリプロピレン繊維の含有量の多い比較
例6のセメント成形体は、実施例6のセメント成形体に
比べてスラリー中での繊維の分散性が非常に悪く、また
著しく曲げ破壊強度が劣るなど物性上の欠点があった。
ビニロン繊維を用いた比較例7のセメント成形体は、ス
ラリー中の繊維の分散状態を目視により評価したところ
良好で、表面のひび割れもなかった。しかし、成形体の
曲げ破壊強度が殆ど測定できないほどに低いセメント成
形体しか得られなかった。アクリル繊維を用いた比較例
8,9のセメント成形体では、スラリー中の繊維の分散
状態を目視により評価したところ良好であったが、表面
に細かなひび割れを生じた。また、成形体の曲げ破壊強
度が殆ど測定できないほどに低いセメント成形体しか得
られなかった。補強繊維を含有しない比較例10,11
では、得られたセメント成形体には、表面に細かなひび
割れが多数生じていた。また、成形体の曲げ破壊強度が
殆ど測定できないほどに低い等、力学物性の低いもので
あった。
【0048】
【発明の効果】本発明の繊維補強セメント成形体である
と、耐アルカリ性および強度に優れているポリプロピレ
ン繊維により補強されているので、安価でありながら、
強度および寸法安定性等が高い。しかも、当該ポリプロ
ピレン繊維は耐熱性に優れていることから、高温度で養
生することができ、シャルピー衝撃強度や曲げ破壊強度
等にも優れ、実用に必要な物性の低下を招くことなく、
アスベストの使用を回避できる。本発明のセメント成形
体であると、特に、押出成形や抄造成形にも用いること
ができ、新生瓦、サイディング、スレート板等にも好適
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 メチル領域における核磁気共鳴スペクトル図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 哲也 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社川崎研究所 内 (72)発明者 佐野 毅 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社川崎研究所 内 (72)発明者 丸山 敏 神奈川県川崎市川崎区夜光二丁目3番2号 日本ポリオレフィン株式会社川崎研究所 内 (72)発明者 黒住 忠利 神奈川県川崎市川崎区大川町5番1号 昭 和電工株式会社総合研究所川崎研究室内 Fターム(参考) 4G012 PA04 PA24 PA34 PC12 PE06

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)〜(d)の各要件を満足する
    プロピレン系重合体からなるポリプロピレン繊維を含有
    することを特徴とする繊維補強セメント成形体。 (a)25℃のキシレン抽出不溶部(XI)が99.0
    重量%以上 (b)13C核磁気共鳴スペルトルによるアイソタクチッ
    クペンタッド分率(IP)が98.5%以上 (c)アイソタクチック平均連鎖長(N)が500以上 (d)キシレン不溶部のカラム分別法による各フラクシ
    ョンの平均連鎖長(Nf)が800以上であるフラクシ
    ョンの合計が全体の10重量%以上
  2. 【請求項2】 165℃以上の温度で養生処理されてな
    ることを特徴とする請求項1記載の繊維補強セメント成
    形体。
  3. 【請求項3】 前記プロピレン系重合体は、DSC測定
    における昇温速度10℃/分での融点が169.5℃以
    上であることを特徴とする請求項1または2記載の繊維
    補強セメント成形体。
  4. 【請求項4】 前記プロピレン系重合体は、175℃の
    乾式オーブンにて30分間熱処理後の融点が、DSC測
    定における昇温速度10℃/分での測定で、173℃以
    上であることを特徴とする請求項1、2、3のいずれか
    に記載の繊維補強セメント成形体。
  5. 【請求項5】 前記ポリプロピレン繊維の引張強度は、
    5g/d以上であることを請求項1〜4のいずれかに記
    載の繊維補強セメント成形体。
  6. 【請求項6】 前記ポリプロピレン繊維の含有量が、
    0.01〜30重量%であることを特徴とする請求項1
    〜5のいずれかに記載の繊維補強セメント成形体。
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