JP2004018352A - コンクリート補強材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリオレフィン系繊維又はポリアミド系繊維のモノフィラメントからなり、その形状が扁平状であり、その片面又は両面に平面状底部を有する窪みが複数形成されており、かつ、該モノフィラメントの繊度の平方根X((dtex)1/2)と窪みの深さY(mm)との関係が、式
0.011618X−0.43230≦Y≦0.011618X−0.02477 (I)
(式中、窪みの深さYは、該扁平状モノフィラメントの最大厚さ(T1)と窪みの平面状底部における最小厚さ(T2)との差(T1−T2)で示される。)を満足することを特徴とするコンクリート補強材。
【選択図】なし。
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規なコンクリート補強材に関する。本明細書において、コンクリートとは、コンクリートのみならず、モルタル、セメントモルタル、セメントペースト等を包含する概念である。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートは種々の構造物に用いられているが、これを単体で用いた場合、破壊が脆性的であるという欠点を有している。これは一面、コンクリートの力学的性質すなわち、圧縮には強いが、引張には弱いという性質−一般にコンクリートの引張強度は圧縮強度の1/10以下−に起因するものであって、コンクリートに引張力が作用し、ひび割れが生じた場合、これが急速に進展し、破壊に至る。一般のRC構造物では、これを補うために、部材の引張縁に補強鉄筋を配置して、外力によりコンクリートにひび割れが生じた場合でも、補強鉄筋が、部材に作用している引張力を分担することにより、ひび割れの進展を防止している。
【0003】
しかしながら、コンクリートに発生するひび割れは外力のみによって生ずる訳ではない。例えば、コンクリート中に塩分が進入し、内部の補強鉄筋が錆びると発錆時の膨張圧により、かぶり部分(鉄筋からコンクリート表面間の部分)のコンクリートにひび割れが生じる。また、コンクリートの乾燥収縮が進行した場合にも、コンクリート表面にひび割れが発生する。この種のひび割れは、ランダムに発生し、発生位置が予測しにくい、もしくはコンクリート構造物の全面にわたり発生するという特徴を有しており、その進展を補強鉄筋等により、防止することは出来ない。
【0004】
この種のひび割れの進展を防止するためには、コンクリート中に無機系、有機系の短繊維を混入することが有効である。すなわち、あらかじめコンクリート中に通常長さ5〜60mm程度の短繊維を混入しておけば、コンクリートにひび割れが生じた場合でも、ひび割れを横断する位置に短繊維を配置することが可能で、その位置の短繊維がひび割れ部に作用する引張力を分担し、ひび割れの進展を防止、もしくは遅延させることが出来る。
【0005】
この種の短繊維としては、無機系、有機系の各種繊維が使用されている。無機系繊維の代表例は、鋼繊維、ガラス繊維、炭素繊維等である。また、有機系繊維としては、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維等を挙げることが出来る。
【0006】
無機系の繊維は、一般に引張強度や弾性係数が高いため、ひび割れ発生直後の補強効果に優れているが、伸び能力が低いため、ひび割れが進展した場合の補強効果は低い。
【0007】
また、鋼繊維は、水や大気中の酸素等によって、発錆するため、コンクリート表面の美観を損ね、場合によっては、コンクリート表面のポップアウトを引き起こす。また、繊維の剛性が高いため、練混ぜ時にファイバーボールとなったり、攪拌翼と混和槽内壁との間隙に詰まりやすい等の欠点がある。ガラス繊維には、セメント中のアルカリによって、劣化し、補強効果が徐々に低下するという欠点がある。炭素繊維には、耐久性上の問題は発生しないが、破断伸度が低く、コンクリートの練混ぜ中に繊維自体が損傷し、補強効果が低下する、さらに高価であるという欠点を有する。
【0008】
無機系の繊維に比べて、有機系の繊維は引張強度及び弾性係数は低いが、伸び能力が高いという特徴を有しており、これをコンクリートと組み合わせた場合には、ひび割れ発生直後の補強効果は無機系繊維の場合と比べて低いが、ひび割れが大きく進展した後でも補強効果を期待できる。
【0009】
しかし、従来のビニロン繊維の場合には、通常、数十μ程度の太さのモノフィラメント繊維を物理的に収束したものであるため、マルチフィラメント状態では有していた大きな表面積が減じられ、結果的にコンクリートマトリックスとの間の付着強度が低下する。その結果として、繊維補強コンクリートとした場合の補強効果が低下するという欠点を有している。
【0010】
さらに、従来のポリプロピレン繊維の扁平状モノフィラメントに凹凸を付与してカットした補強材が、特開平11−116297号公報に開示されている。しかしながら、該公報には、凹凸の程度に関する具体的な開示はなく、コンクリートの引っ張りに対する補強効果を向上させるためには、更なる開発が望まれる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コンクリートの補強効果等に優れた新規なコンクリート補強材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記従来技術の現状に鑑み、特定の扁平状モノフィラメントに複数の窪みを形成してなるコンクリート補強材について鋭意研究したところ、該モノフィラメントの繊度の平方根Xと窪みの深さYの関係について特定の式を満足する場合には、該モノフィラメントの最大の補強効果が発揮できること、窪みが特定形状で特定数形成されている場合には更に補強効果が向上すること等を見出し、更に検討を重ねて、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、以下のコンクリート補強材に係る。
【0014】
1.ポリオレフィン系繊維又はポリアミド系繊維のモノフィラメントからなり、その形状が扁平状であり、その片面又は両面に平面状底部を有する窪みが複数形成されており、かつ、該モノフィラメントの繊度の平方根X((dtex)1/ 2)と窪みの深さY(mm)との関係が、式
0.011618X−0.43230≦Y≦0.011618X−0.02477 (I)
(式中、窪みの深さYは、該扁平状モノフィラメントの最大厚さ(T1)と窪みの平面状底部における最小厚さ(T2)との差(T1−T2)で示される。)を満足することを特徴とするコンクリート補強材。
【0015】
2.引張強度が、2.0〜6.0cN/dtexの範囲である上記項1に記載の補強材。
【0016】
3.引張強度が、2.0〜5.5cN/dtexの範囲である上記項2に記載の補強材。
【0017】
4.(1)その最大幅(W)が0.30〜2.00mmで、扁平率が最大厚さ(T1)と最大幅(W)との比(W/T1)で1.5〜8の範囲であり、
(2)その両面に、平面状底部を有する窪みが長手方向2.54cm当たり合計で12〜48個形成されており、
(3)片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と窪みの平面状底部(平面状底部に通じる斜面部分を含まず)の合計面積(S2)との比(S2/S1)が0.02〜0.42の範囲であり、
(4)片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と該平面図面積から窪み部分(平面状底部及び斜面部分の合計)を除いた面積(S3)との比(S3/S1)が0.20〜0.85の範囲であり、且つ
(5)最大厚さ(T1)と窪みの平面状底部における最小厚さ(T2)との比(T2/T1)が0.10〜0.82の範囲である、上記項1に記載のコンクリート補強材。
【0018】
5.(1)その最大幅(W)が0.35〜1.80mmで、扁平率が最大厚さ(T1)と最大幅(W)との比(W/T1)で2〜5の範囲であり、
(2)その両面に、平面状底部を有する窪みが長手方向2.54cm当たり合計で14〜44個形成されており、
(3)片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と窪みの平面状底部(平面状底部に通じる斜面部分を含まず)の合計面積(S2)との比(S2/S1)が0.03〜0.35の範囲であり、
(4)片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と該平面図面積から窪み部分(平面状底部及び斜面部分の合計)を除いた面積(S3)との比(S3/S1)が0.25〜0.80の範囲であり、且つ
(5)最大厚さ(T1)と窪みの平面状底部における最小厚さ(T2)との比(T2/T1)が0.10〜0.70の範囲である、上記項4に記載の補強材。
【0019】
6.モノフィラメントが、ポリプロピレン系繊維である上記項1に記載の補強材。
【0020】
7.長手方向の長さが、5〜60mmの範囲の短繊維である上記項1に記載の補強材。
【0021】
【発明の実施の形態】
コンクリート補強材の素材
本発明のコンクリート補強材の素材は、ポリオレフィン系繊維又はポリアミド系繊維のモノフィラメントである。モノフィラメントの材質としては、補強材をセメント、骨材と混合する際の剛性の点から、ポリオレフィン系繊維が好ましく、ポリプロピレン系繊維がより好ましい。
【0022】
また、上記モノフィラメントの引張強度は、平面状底部を有する窪みの形成後において、2.0〜6.0cN/dtexの範囲であることが好ましい。6.0cN/dtexより高い強度のものを用いても、コンクリートマトリックスに埋め込まれた状態で引張力を受けた場合、引抜け抵抗力に大きな増加は見られず、強度を不必要に高めることは生産を効率よく行う観点から好ましくない。引抜け抵抗力に大きな増加が認められなくなる原因としては、高強度を得るための高延伸によって、フィラメントの分子配向による結晶化が進んで硬くなるため、高強度の繊維に大きな凹凸を形成し難くなり、所望する繊維とコンクリートマトリックスとの付着力を確保できず、繊維の引抜けが発生し易くなること、過度に凹凸を付与した場合には、凹凸を付与する過程で繊維内部に欠陥が生じ易くなり、所望の強度が得難いことが挙げられる。また、2.0cN/dtex未満ではモノフィラメント自身の強度が不十分である。2.0〜6.0cN/dtexの範囲であれば、上記繊維内部の欠陥が生じにくい範囲であると共に、延伸倍率がそれほど大きくないために無理がかからず適した範囲の窪みを作れ、生産工程が安定するため、コンクリートマトリックスに埋め込まれたものについて好ましい引抜け抵抗力が得られる。
【0023】
上記モノフィラメントの引張強度は、より好ましくは2.0〜5.5cN/dtexの範囲、特に好ましくは2.2〜4.5cN/dtexの範囲である。
【0024】
コンクリート補強材を構成するモノフィラメントの繊度と窪みの深さの関係
本発明の扁平状モノフィラメントに複数の窪みを形成してなるコンクリート補強材は、該モノフィラメントの繊度の平方根Xと窪みの深さYの関係について、前記式(I)を満足することにより、該モノフィラメントの最大の補強効果が発揮される。
【0025】
即ち、本発明者の研究によれば、モノフィラメントの繊度の平方根X((dtex)1/2)と窪みの深さY(mm)の関係が、式
Y=0.011618X−0.19461 (II)
の近傍となるように窪みを形成したときに、そのモノフィラメントをコンクリートやモルタルに埋め込んだ状態から引っ張り荷重を加える試験における最大荷重である引抜け抵抗力が極大となることが見出された。この式(II)よりも、窪みの深さYが小さい場合は補強材の引き抜けが支配的に生じ、窪みの深さYが大きい場合は補強材の破断が支配的に生じる。従って、式(II)の近傍では、補強材とコンクリートマトリックス間の付着力と、補強材を構成するモノフィラメントの繊度とのバランスがとれた状態であると考えられる。
【0026】
図1は、本発明補強材を構成するモノフィラメントの繊度の平方根X((dtex)1/2)と窪みの深さY(mm)の上記関係式(II)の直線を示したグラフである。この式(II)で表される直線を、実験の振れ幅を考慮して、上下に平行移動した範囲として、Yの範囲を決定して得られた該モノフィラメントの繊度の平方根Xと窪みの深さYの関係が前記式(I)である。
【0027】
従って、前記式(I)を満足する場合には、その補強材を混合したコンクリートにおいて、補強材を構成するモノフィラメントの最大の引抜け抵抗力が得られることになる。
【0028】
コンクリート補強材の形態
本発明のコンクリート補強材の形態を、図面を参照しつつ、説明する。図2は、本発明コンクリート補強材の一例を示す模式図である。図2の(a)は補強材の扁平面の一方を示す平面図であり、(b)及び(c)は(a)のA1−A2切断線における断面図である。ここで、扁平面とは補強材の最大幅を有する面を意味する。断面図(b)は、A1−A2切断線の位置において、扁平面の一方のみに窪みが有る場合の断面であり、断面図(c)は、A1−A2切断線の位置において、扁平面の両方に窪みが有る場合の断面である。図2の(a)における上端及び下端の波線は、それぞれ、同様の形状が、長手方向に更に続いていることを示す。
【0029】
図2において、1は偏平状のモノフィラメント繊維を、2は窪みの平面状底部に通じる斜面部分を、3は窪みの平面状底部を、4はエンボス加工等により窪みを形成したときに生じる膨らみ部分を、それぞれ示す。また、2の斜面部分及び3の平面状底部を合わせたものが窪み部分である。また、図2の(b)及び(c)におけるT2は窪みの平面状底部における最小厚さを、又T1は補強材の最大厚さを、それぞれ示す。更に、図2のWは補強材の最大幅を示す。ここで、補強材の最大幅とは、膨らみ部分がある場合は該部分を含んだ幅を意味する。
【0030】
図2から明らかなように、本発明のコンクリート補強材は、扁平状のモノフィラメントの扁平面に、平面状底部を有する窪みが複数形成されているものである。ここで、個々の窪み部分の平面的な大きさに関係なく、平面状底部を有する窪みである限り、1つの窪みとして扱う。
【0031】
窪み部分の平面的な輪郭形状は、図2の(a)に示した例では、正方形であるが、これに限られず、円形、楕円形、長方形、平行四辺形、菱形、これらの形状の種々の組み合わせ等の、いずれの形状であってもよい。また、窪み部分の平面的な大きさも、窪み自体が本発明特定の面積比の範囲内である限りにおいて限定されず、同じ大きさの窪みが連続的に形成されていても、異なる大きさの窪みが周期的に又は適宜の順で形成されていてもよい。更に、窪みの深さも、本発明特定の最大厚さ(T1)と最小厚さ(T2)との比の範囲内である限りにおいて限定されず、同じ深さの窪みが連続的に形成されていても、異なる深さの窪みが周期的に又は適宜の順で形成されていてもよい。
【0032】
また、窪み部分における平面状底部の平面状とは、SEM(走査型電子顕微鏡)により観察して、概ね平面とみなせる状態を意味する。該平面状には、数学的意味での平面のみならず、曲面部分を有するもの、うねりのような起伏を有するもの、微細な凹凸を有するもの等が包含される。
【0033】
また、窪み部分の全体的な立体形状としては、コンクリートの微細な容器としての役割を果たし、コンクリートが充填されてアンカー効果が発現できる形状であればよく、例えば、箱状、トレイ状、茶碗状、什器状、皿状等の各種容器形状が挙げられる。
【0034】
窪みは、補強材を構成する扁平状モノフィラメントの片面又は両面に形成される。補強効果の観点からは、両面に形成することが、好ましい。窪みを両面に形成する場合、両面に形成された窪みの位置は、一致している必要はなく、異なっていても構わない。
【0035】
本発明のコンクリート補強材の好ましい形態は、次の通りである。該補強材を構成するモノフィラメントは、その形状が扁平状であり、最大幅(W)が0.30〜2.00mmの範囲であるのが好ましい。2.00mm以上に大きくなると、吹きつけ工法での跳ね返りが増えてくると共に、例えば1m3中に同一補強材料を同一体積%分投入する時に、補強材の本数が少なくなり、コンクリート補強効果やモルタル剥落抑制効果が低下する傾向にある。一方、補強材の本数を多くするために、0.30mmよりも細くしすぎると柔らかくなりすぎてファイバーボール現象を起こしてセメントや骨材とうまく混ざらない傾向がある。最大幅は、0.35〜1.80mmの範囲がより好ましく、0.50〜1.60mmの範囲が特に好ましく、0.70〜1.40mmの範囲が最も好ましい。最大幅は、例えば、ノギス、マイクロスコープ等により、容易に測定できる。
【0036】
また、扁平状モノフィラメントの最大厚さ(T1)は、通常、好ましくは0.2〜0.6mm程度、より好ましくは0.25〜0.55mm程度であるのが望ましい。
【0037】
また、扁平状モノフィラメントの扁平率としては、通常、最大厚さ(T1)と最大幅(W)との比(W/T1)で好ましくは1.5〜8程度、より好ましくは2〜5程度の範囲であるのが望ましい。
【0038】
本発明のコンクリート補強材においては、上記扁平状モノフィラメントの扁平面に、平面状底部を有する窪みが、長手方向2.54cm当たり、両面の合計で12〜48個形成されているのが好ましい。ここで、2.54cmの長さは、1インチの長さを意味する。窪みの数は、例えば、目盛り付きのルーペ等により、容易に測定できる。
【0039】
窪みの個数が、48個/2.54cmを超えると、窪みの斜面部分が近づきすぎて斜面部分に対してモノフィラメントの長手方向にかかる剪断力により該斜面部分が削り取られ易くなったり、延ばされ易くなって大きな引抜け抵抗力が得られなくなってしまい、補強や剥落防止の効果は少なくなる。一方、12個/2.54cmを下回ると、窪みの斜面数が少なすぎて大きな摩擦力が発生しないばかりかコンクリートとの接触面積も少なくなって抜け易くなる。窪みの数は、14〜44個/2.54cmの範囲がより好ましく、20〜40個/2.54cmの範囲が特に好ましい。
【0040】
また、モノフィラメントの扁平面の片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と窪みの平面状底部の合計面積(S2)との比(S2/S1)が0.02〜0.42の範囲であるのが好ましい。平面図面積とは、モノフィラメントの扁平面の片面を真上から見たとき時の面積を意味する。ここで、S1は2.54cm当たりの窪み部分を含めた扁平面全体の平面図面積を、又S2は2.54cm当たりの扁平面に形成された複数の窪みの平面状底部の各面積の合計面積を、それぞれ意味する。S2/S1が0.42を超えると窪みの平面状底部面積が増大し、窪み部分以外の平滑部分が縮小することになり、引抜け時にコンクリートやモルタルとの摩擦で該平滑部分が削られやすくなるために引抜け抵抗力が減少する方向になる。一方、S2/S1が0.02未満では窪みの平面状底部面積が狭くてアンカー効果が出ず、引抜け抵抗力が減少する。S2/S1は、0.03〜0.35の範囲がより好ましく、0.05〜0.25の範囲が特に好ましい。
【0041】
また、モノフィラメントの扁平面の片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と該平面図面積から窪み部分を除いた面積(S3)との比(S3/S1)が0.20〜0.85の範囲であるのが好ましい。ここで、S3は2.54cm当たりの扁平面に形成された複数の窪み部分を除いた平面図面積(片面)を意味する。S3/S1が0.20未満であると窪み部分以外の平滑部分が縮小することになり、引抜け時にコンクリートやモルタルとの摩擦で該平滑部分が削られやすくなるために引抜け抵抗力が減少することになる。また、0.85を超えると窪み部分が少なくなるのでアンカー効果が低くなり引抜け抵抗力も低くなる。S3/S1は、0.25〜0.80の範囲であるのがより好ましく、0.30〜0.75の範囲であるのが特に好ましい。
【0042】
ここで、上記S1、S2及びS3の各面積は、SEM(走査型電子顕微鏡)による表面写真より窪み部分とそれ以外の部分との境界部及び窪みの平面状底部に通じる斜面部分と該平面状底部との境界部に線を引いて求めた。
【0043】
また、補強材の最大厚さ即ちモノフィラメントの最大厚さ(T1)と窪みの平面状底部における最小厚さ(T2)との比(T2/T1)が0.10〜0.82の範囲であるのが好ましい。T2/T1が0.82を超える浅い窪みではコンクリートと補強材との間の引抜け時摩擦に大きな値は期待できず、一方、T2/T1が0.10未満の深い窪みとなるとモノフィラメント自身の強度低下を生じる。T2/T1は、0.10〜0.70の範囲であるのがより好ましく、0.14〜0.60の範囲であるのが特に好ましい。ここで、上記T1及びT2の各厚さは、SEM(走査型電子顕微鏡)による断面写真及びダイヤルゲージ式の厚み計を用いて、測定した。
【0044】
本発明のコンクリート補強材は、扁平状モノフィラメントに特定形態の窪みが形成されたままの長い繊維状であってもよいし、これを使用時の形態である長手方向の長さが、5〜60mm程度の範囲、好ましくは10〜50mm程度の範囲になるように幅方向に切断した短繊維状であってもよい。
【0045】
コンクリート補強材の製造方法
本発明のコンクリート補強材は、例えば、ポリオレフィン系樹脂又はポリアミド系樹脂を紡糸してモノフィラメントとし、これを熱延伸及び熱弛緩処理後に、エンボス加工等により、窪みを形成し、同時に扁平状とすることにより、好適に製造することができる。また、必要に応じて、更に、幅方向に切断して、短繊維とすることができる。
【0046】
原料のポリオレフィン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸アルキル等のポリエチレン系樹脂、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、プロピレン単独重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン−1等を挙げることができ、これらの一種を又は二種以上をブレンドして使用できる。これらの中では、耐熱性、耐久性等の点でポリプロピレン系樹脂が好ましい。エチレン−プロピレン共重合体の場合における共重合割合としては、通常、両者の合計量に対して、エチレン1〜20モル%程度、プロピレン99〜80モル%程度とするのが好ましい。また、ポリプロピレン系樹脂に、紡糸性向上等のためにポリエチレン樹脂等を5〜40重量%程度ブレンドすることもできる。ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(JIS K 7210法に準拠、以下「MFR」という)としては、0.1〜30g/10minが好ましく、1〜10g/10minであるのがより好ましい。
【0047】
また、原料のポリアミド系樹脂としては、例えば、6−ナイロン、66−ナイロン等を挙げることができ、これらの一種を又は二種以上をブレンドして使用できる。
【0048】
紡糸は、例えば、ポリオレフィン系樹脂又はポリアミド系樹脂を、押出機等に投入して、円形、楕円形、扁平形等のノズルから紡糸し、冷却することにより、行うことができる。
【0049】
また、紡糸を行う際に、例えば、芯層及び鞘層からなる複合モノフィラメント等となるようにして、これを使用することもできる。
【0050】
熱延伸及び熱弛緩処理は、例えば、原料のポリオレフィン系樹脂又はポリアミド系樹脂を溶融紡出し、原料樹脂の融点以下〜軟化点以上の温度にて延伸する。
この際、モノフィラメントの軽量化のため、発泡剤を混入することもできる。
【0051】
延伸温度は、通常、150〜90℃程度であり、延伸倍率は、通常、13〜5倍程度好ましくは10〜7倍程度である。熱延伸法としては、熱ロール式、熱風オーブン式、熱板式、沸水式、これらの方式の組み合わせ等により、行うことができる。
【0052】
ここで、得られたモノフィラメントの繊度は、通常、880〜5,500dtex程度の範囲、好ましくは1,100〜4,000dtex程度の範囲、より好ましくは1,650〜3,300dtex程度の範囲とするのが適当である。
【0053】
モノフィラメントのエンボス加工は、上記延伸工程後、例えば、複数本のモノフィラメントを並列に並べて、二個の金属製ロールの間を通過させて行うことができる。二個のロールは、その一方又は両方を、エンボスロールとする。エンボスロールの表面には、例えば、相交差する細い直線状斜線等の凹部等を設けておく。
【0054】
このエンボス加工により、モノフィラメントが、前記扁平率を有する扁平状になると共に、本発明特定の窪みが形成される。
【0055】
また、本発明補強材は、エンボス加工以外にも、例えば、平滑なモノフィラメント面に砂を一定時間叩きつけるという方法によっても、製造することができる。
【0056】
上記により得られた、扁平状モノフィラメントに特定形態の窪みが形成されたままの長い繊維状の本発明補強材は、使用に際して、幅方向に切断して、短繊維補強材とすることができる。短繊維補強材の長さとしては、通常、好ましくは5〜60mm程度、より好ましくは10〜50mm程度とするのが適当であるが、この範囲に限定されるものではない。
【0057】
また、上記本発明の長い繊維状補強材又は短繊維補強材は、必要に応じて、表面の親水化、活性化等の目的で、繊維表面を界面活性剤、分散剤、カップリング剤等で処理してもよいし、コロナ放電処理、紫外線照射、電子線照射等の処理をしてもよい。
【0058】
コンクリート補強材の使用方法
本発明のコンクリート補強材の使用は、それ自体、従来の補強材の使用方法と同様である。即ち、本発明のコンクリート補強材は、各種コンクリートの強度、特に引張強度、曲げ強度等を向上させるために、常法に従って、使用でき、これにより強化されたコンクリート構造物が得られる。また、トンネルのライニングや法面コンクリート等の吹き付けコンクリートに使用することにより、剥落を顕著に抑制することができる。
【0059】
本発明の補強材は、例えば、水、セメント、細骨材、粗骨材、混和剤等と共に、通常、コンクリート中の含有量が0.03〜5.0体積%程度、好ましくは0.1〜3.0体積%程度となるように、混合して使用することができる。これにより得られるコンクリート構造物は、クラックの生成及び進展を効果的に抑制でき、高い引張強度や曲げ強度を有するという特徴を有している。また、吹き付けコンクリートの剥落防止に極めて有効である。
【0060】
【実施例】
以下、実験例を挙げて、本発明をより一層具体的に説明する。
【0061】
実験例1
ポリプロピレン樹脂(MFR3.0g/10min、測定温度230℃)に紡糸性向上の目的でポリエチレン樹脂(MFR4.0g/10min、測定温度190℃)を25重量%混ぜた樹脂混合物を使用して、扁平ノズルにより、モノフィラメントを紡糸した。この際、延伸条件、延伸倍率を変えることにより、設定引張強度で約3.5cN/dtex(低強力タイプ)、約5cN/dtex(中強力タイプ)及び約7cN/dtex(高強力タイプ)の3種類、太さ(繊度)で1,600dtex、2,200dtex及び4,400dtexの3種類である、合計9種類のモノフィラメントを得た。
【0062】
次いで、各モノフィラメントを15本平行に並べた状態で二つのエンボスロールの間を通してエンボス加工を行った。即ち、各モノフィラメントについて、上記状態で、エンボス加工用ロールのニップ圧を変えて、平面状底部を有する浅い窪み又は深い窪みの2種類のエンボス加工を行い、その両面に窪みが形成された扁平状モノフィラメントを得た。窪み部分の平面的形状は、図2のような正方形である。また、エンボス加工用でない二つのロールを用いて、同様のニップ圧で、加圧加工を行い、窪みのない扁平状モノフィラメントを得た。このようにして窪みのないもの、浅い窪みを形成したもの及び深い窪みを形成したものの27種類の扁平状モノフィラメントを得た。
【0063】
得られた各サンプルの形態の測定を、SEM(走査型電子顕微鏡)写真、デジタルノギス(PEACOCK社製、DIAL THICK−NESS GAUGE、MODEL H.Mitutoyo Digimatic Ca−liper)及びルーペを使用して、行った。
【0064】
次に、長さ30mm×幅16mm×高さ11mmの直方体容器2個を使い、その内の1個の16mm×11mmの面の中央部に上記の各モノフィラメントの30mmカットサンプル1片の一端から15mmが埋設されるようにセメントを水で練り上げたものを詰めた。他端の15mm側にも同様に処し、2個の練り上げセメントの直方体が接する中央部を、未固化セメント同士が接触固化しないように薄い離型膜材で分離した。このようにして上記27種類の扁平状モノフィラメントのそれぞれについて、同様に埋め込み、7日間の固化日数経過後に、固化物の直方体部分をチャックで掴んだ状態で引張り試験機に掛けて、各水準サンプルの引抜け抵抗力を調べた。
【0065】
表1に、繊度1,600dtexのモノフィラメントを用いて得たサンプルの形態及び試験結果を記す。表1において、No.1〜3は低強力タイプのモノフィラメントを、No.4〜6は中強力タイプのモノフィラメントを、No.7〜9は高強力タイプのモノフィラメントを、それぞれ用いて得たサンプルである。また、表1における引張強度は、エンボス加工又は加圧加工後の測定値である。
【0066】
【表1】
【0067】
表1において、窪み数が片面当たり10個(両面で20個)形成されたサンプル(No.2、3、5、6、8及び9)は、いずれも、前記式(I)の関係を満足するものであった。
【0068】
表2に、繊度2,200dtexのモノフィラメントを用いて得たサンプルの形態及び試験結果を記す。表2において、No.1〜3は低強力タイプのモノフィラメントを、No.4〜6は中強力タイプのモノフィラメントを、No.7〜9は高強力タイプのモノフィラメントを、それぞれ用いて得たサンプルである。表2における引張強度は、エンボス加工又は加圧加工後の測定値である。
【0069】
【表2】
【0070】
表2において、窪み数が片面当たり10個(両面で20個)形成されたサンプルの内No.5以外のもの(No.2、3、6、8及び9)は、いずれも、前記式(I)の関係を満足するものであった。
【0071】
表3に、繊度4,400dtexのモノフィラメントを用いて得たサンプルの形態及び試験結果を記す。表3において、No.1〜3は低強力タイプのモノフィラメントを、No.4〜6は中強力タイプのモノフィラメントを、No.7〜9は高強力タイプのモノフィラメントを、それぞれ用いて得たサンプルである。表3における引張強度は、エンボス加工又は加圧加工後の測定値である。
【0072】
【表3】
【0073】
表3において、全てのサンプル(No.1〜9)は、いずれも、前記式(I)の関係を満足しないものであった。
【0074】
表1〜3の結果より、次の点が明らかである。引抜け抵抗力をみると、各繊度内における扁平状モノフィラメントの引張強度と引抜け抵抗力に正比例関係は無く、必ずしも低強力タイプより高強力タイプの方に高い値が出るとは限らない。
【0075】
また、扁平状モノフィラメントの片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と窪みの平面状底部の合計面積(S2)との比(S2/S1)の値が大きいほど抜けにくい結果(引抜け抵抗力が大きい値)になっている。これは、窪みがある程度の底面積を有する方が良いことを示す。これは、一定長中に同数の窪みが存在する時、V字窪みよりも底面積を有する窪みのほうがセメントとの接触面積が大きくなるためである。
【0076】
また、扁平状モノフィラメントの片面の長手方向2.54cm当たりの面積(S1)と窪み部分以外の平面部分の面積(S3)との比(S3/S1)が0.20〜0.85の範囲であるものがよい。これはモノフィラメントに引張力が作用すると、窪み部分に侵入したコンクリートから強い押し圧を受ける。このコンクリートの押し圧に削り取られにくくするには窪み部分と窪み部分との間の仕切り部(ここでは平滑部がそれに該当する)を厚くしたほうがよいからである。
【0077】
また、扁平状モノフィラメントの最大厚さ(T1)と窪みの平面状底部における最小厚さ(T2)との比(T2/T1)が0.7程度以下に高い引抜け抵抗力が出ている。これは、単に窪みを作っても浅い窪みでは効果が出ない領域があるということであり、窪みの深い方がコンクリートとの付着力が大きいことを示している。当然、窪み無しのモノフィラメントは境界面でアンカー効果が無いために滑りやすくて小さな引抜け抵抗力しか出ていない。また、T2/T1比が、0.1未満になっても引抜け抵抗力は低くなるが、これは窪みが深すぎるためにモノフィラメント強度が低下して引張力作用時にモノフィラメントが切断してしまうからである。
【0078】
従って、ポリオレフィン系樹脂等のモノフィラメントの強度について必ずしも高強度でなくても高い引抜け抵抗力が出せること、窪みを的確な範囲内の形状にすることによりコンクリートの補強効果や剥落抑制効果が顕著に向上することが判明した。
【0079】
【発明の効果】
本発明のコンクリート補強材によれば、特定の扁平状モノフィラメントに、特定の関係式を満足する深さの窪みを形成したことにより、更には窪みが特定形態であり、又該窪みを特定数形成したことにより、コンクリートとの付着性が著しく向上しており、これを用いたコンクリート構造物のクラックの進展を抑えたり、高い引抜け抵抗力や曲げ強度を有するコンクリート構造物が得られるという顕著な効果が奏される。
【0080】
また、本発明補強材は、コンクリートとのアンカー効果が高いことにより、コンクリート構造物に荷重がかかりひび割れが発生したときに、そのひび割れの進展を防ぐ効果が期待でき、ひいてはコンクリート構造体の破壊強度が向上する効果が期待出来る。更に、吹き付けコンクリートの剥落防止に極めて有効である。
【0081】
また、本発明補強材によれば、(1)セメント等と容易に混合でき、(2)安全面で問題がなく、(3)高強度を付与できるため、補強材使用量を減少でき、コスト的にも有利であり、(4)比較的高強度でない素材を有効に使用できるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明補強材を構成するモノフィラメントの繊度の平方根X((dtex)1/2)と窪みの深さY(mm)の関係式(II)の直線を示したグラフである。
【図2】図2は、本発明コンクリート補強材の一例を示す模式図であり、(a)は補強材の扁平面の一方を示す平面図であり、(b)及び(c)は(a)のA1−A2切断線における断面図である。図2の(a)における上端及び下端の波線は、それぞれ、同様の形状が、長手方向に更に続いていることを示す。
【符号の説明】
1 偏平状のモノフィラメント繊維
2 窪みの平面状底部に通じる斜面部分
3 窪みの平面状底部
4 補強材の膨らみ部分
T1 補強材の最大厚さ
T2 窪みの平面状底部における最小厚さ
W 補強材の最大幅。
Claims (7)
- ポリオレフィン系繊維又はポリアミド系繊維のモノフィラメントからなり、その形状が扁平状であり、その片面又は両面に平面状底部を有する窪みが複数形成されており、かつ、該モノフィラメントの繊度の平方根X((dtex)1/2)と窪みの深さY(mm)との関係が、式
0.011618X−0.43230≦Y≦0.011618X−0.02477 (I)
(式中、窪みの深さYは、該扁平状モノフィラメントの最大厚さ(T1)と窪みの平面状底部における最小厚さ(T2)との差(T1−T2)で示される。)を満足することを特徴とするコンクリート補強材。 - 引張強度が、2.0〜6.0cN/dtexの範囲である請求項1に記載の補強材。
- 引張強度が、2.0〜5.5cN/dtexの範囲である請求項2に記載の補強材。
- (1)その最大幅(W)が0.30〜2.00mmで、扁平率が最大厚さ(T1)と最大幅(W)との比(W/T1)で1.5〜8の範囲であり、
(2)その両面に、平面状底部を有する窪みが長手方向2.54cm当たり合計で12〜48個形成されており、
(3)片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と窪みの平面状底部(平面状底部に通じる斜面部分を含まず)の合計面積(S2)との比(S2/S1)が0.02〜0.42の範囲であり、
(4)片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と該平面図面積から窪み部分(平面状底部及び斜面部分の合計)を除いた面積(S3)との比(S3/S1)が0.20〜0.85の範囲であり、且つ
(5)最大厚さ(T1)と窪みの平面状底部における最小厚さ(T2)との比(T2/T1)が0.10〜0.82の範囲である、請求項1に記載のコンクリート補強材。 - (1)その最大幅(W)が0.35〜1.80mmで、扁平率が最大厚さ(T1)と最大幅(W)との比(W/T1)で2〜5の範囲であり、
(2)その両面に、平面状底部を有する窪みが長手方向2.54cm当たり合計で14〜44個形成されており、
(3)片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と窪みの平面状底部(平面状底部に通じる斜面部分を含まず)の合計面積(S2)との比(S2/S1)が0.03〜0.35の範囲であり、
(4)片面の長手方向2.54cm当たりの平面図面積(S1)と該平面図面積から窪み部分(平面状底部及び斜面部分の合計)を除いた面積(S3)との比(S3/S1)が0.25〜0.80の範囲であり、且つ
(5)最大厚さ(T1)と窪みの平面状底部における最小厚さ(T2)との比(T2/T1)が0.10〜0.70の範囲である、請求項4に記載の補強材。 - モノフィラメントが、ポリプロピレン系繊維である請求項1に記載の補強材。
- 長手方向の長さが、5〜60mmの範囲の短繊維である請求項1に記載の補強材。
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