JP5457565B2 - 繊維補強セメント系混合材料 - Google Patents

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Description

本発明は、粗骨材を含まないセメント系マトリックスに繊維を混入して製造される強度が高い繊維補強セメント系混合材料に関するものである。
最大骨材粒径が1−2mmの骨材粒子にセメントとポゾラン反応粒子(ポゾラン材)とを混合したセメント系マトリックスに、金属繊維や有機繊維などの補強繊維を混入した超高強度繊維補強コンクリートが知られている(特許文献1−3など参照)。
このような超高強度繊維補強コンクリートは、緻密で超高強度なセメント系マトリックスに引張強度の高い繊維を組み合わせることにより、ひび割れ発生後においても引張強度とじん性(ねばり強さ)をある程度確保できるという特性を有している。すなわち、材料に引張応力が作用してセメント系マトリックスにひび割れが発生した際に、セメント系マトリックスに代わって繊維が引張力を負担する、いわゆる架橋効果によるものであると考えられている。
このため、このような超高強度繊維補強コンクリートは、従来の鉄筋コンクリートとは異なり、鉄筋による補強が不要となる。そして、このような超高強度繊維補強コンクリートを使って構築されるコンクリート構造物は、部材を薄肉化、軽量化することができる。
また、このような超高強度繊維補強コンクリートは、セメント系マトリックスが熱養生される際の水和反応過程において更なる緻密な水和組織に形成されるので、耐久生を大幅に向上させることができる。
特開平11−246255号公報 特表平9−500352号公報 特表2002−514567号公報 特開平11−116297号公報 特開2000−302494号公報
しかしながら、特許文献1−3に開示された従来の超高強度繊維補強コンクリートは、セメント系マトリックスと繊維との間の付着が充分であるとは言えない。これに対して、上述した架橋効果を充分に発揮させるには、セメント系マトリックスと繊維との間の付着力が充分に確保されていなければならない。
この点について検証してみると、特許文献1,2は、緻密で超高強度のセメント系マトリックスの材料を鋼繊維によって補強する発明であり、セメント系マトリックスと繊維との付着に関しては、鋼繊維の長さと径との関係を示すことにより最低限必要とされる付着長を提示しているに過ぎない。
ここで、繊維の付着強度を増大させるには、繊維長を長くして付着面積を増大させる方法と繊維径を大きくして付着面積を増大させる方法とが容易に考えられる。しかし、繊維長を長くした場合、セメント系マトリックス中の繊維の分散を悪化させ、また長い繊維は繊維同士が絡み合う確率が高まるために、セメント系マトリックス中の繊維は分離するリスクが増大する。その結果、長い繊維を含む超高強度繊維補強コンクリートは流動性が低下するので、繊維長を長くするには限界がある。
一方、繊維径を大きくする方法では、繊維強度に関係する繊維断面積は直径の二乗に比例し、付着強度に関係する付着面積は直径の一乗に比例するので、付着強度と繊維強度の比率で考えると、繊維直径の拡大は付着強度の増大にとって効果的な方法とはいえない。
また、特許文献3には、補強繊維が有機繊維の場合や、有機繊維と金属繊維とを組み合せた場合が開示されているが、セメント系マトリックスと繊維との間の付着力に関しては、上述した特許文献1,2と同様に、繊維の長さと径の関係を提示しているに過ぎない。
このため、従来の超高強度繊維補強コンクリートでは、繊維が持つ引張強度よりも低い引張力で繊維の抜け出し(又はセメント系マトリックスと繊維との間のすべり)が生ずることになり、混入した繊維が本来保有する引張強度を充分に生かすことができていなかった。
さらに、セメント系マトリックスと繊維との間のすべりが一旦生ずると、急激に付着力が低下するために、ひび割れ幅が急激に拡大する現象が起きて架橋効果も発揮されなくなり、充分なじん性(ねばり強さ)を確保することができなかった。
他方、鉄筋コンクリートを補強するために混入される有機繊維であれば、表面処理を施すことによって従来のコンクリートと有機繊維との付着力を増加させることができることが知られている(特許文献4,5など参照)。
ここで、特許文献4には、繊維の表面をエンボス加工によって凹凸形状にするとともに、繊維表面に表面処理剤を付与することによって、付着力と親水性とを向上させてコンクリートと繊維との化学的付着力を増加させる技術が開示されている。
また、特許文献5には、繊維そのものを直線ではなく波形形状にすることによって付着力を増加させる技術が開示されている。ここで、特許文献4又は5において繊維補強されるコンクリート材料は、粗骨材が配合された従来のコンクリートである。このように従来のコンクリートを対象とする場合は、繊維とコンクリートとの間の初期付着力の向上を主たる目的としており、繊維とコンクリートとの間の付着が一旦切れた後の付着力の回復が期待できるようなものではないため、じん性の大幅な改善を期待することはできない。
従来のコンクリートには、その使用目的に応じて土木・建築構造物に適用する通常のコンクリートから高流動コンクリート、高強度コンクリート、マスコンクリート、水中コンクリートなどがあるが、基本的には鉄筋による補強を前提とした材料である。しかし、近年、これら従来のコンクリートに鉄筋補強の補助的役割や部材の角欠け防止、乾燥収縮によるひび割れ防止の目的で短繊維が混入された、いわゆる繊維補強鉄筋コンクリート(FRC=Fiber Reinforced Concrete)が適用される傾向にある。これらのコンクリートの配合における骨材粒子は、細骨材と粗骨材とから構成されている。一般的に従来のコンクリートでは、コンクリート単位体積中に含まれる骨材の単位重量は、粉体の単位重量(=セメントの単位重量+混和材の単位重量)に比べて大きい。例えば、骨材単位重量/粉体単位重量の比率で示すと、最も一般的に使用されるコンクリートでは、400−700%であり、粉体を多く含むとされる粉体系の高流動コンクリートでさえも250−300%程度である。
また、従来のコンクリートに使用する粗骨材の最大粒径は、一般の構造物への適用では、20mmや25mmに限定されるものが最も多く、ダムなどの適用では40mmや80mmの限定がある。従って、従来の繊維補強鉄筋コンクリートにおける繊維とコンクリートとの付着機構は、コンクリートに配合された骨材を介した機械的付着力に期待するものではなく、コンクリート水和物(セメントペースト)と繊維との化学的付着力や摩擦力に期待するものである。あるいは、繊維表面にエンボス加工をおこなった場合や、繊維全体を波型形状とする場合においては、コンクリート水和物を繊維の周囲を覆うように充填させて、主に化学的付着力に期待するものである。なお、一部には機械的付着力も働くと思われるが、前述のように骨材粒径の多くは繊維の凹凸形状に比べて大きいために、機械的付着力における骨材粒子による噛み合わせのような効果は期待できない。従来のコンクリート水和物の圧縮や引張強度は、後述する本発明の繊維補強セメント系混合材料に比べて相当に低いために、エンボス加工を施した繊維であっても大きな化学的付着力を期待できないだけでなく、付着が一旦切れると繊維が容易に抜け出してしまい充分なじん性を期待することはできない。
そこで、本発明は、ひび割れ発生後も高い引張強度と高いじん性を確保することができる繊維補強セメント系混合材料を提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本発明の繊維補強セメント系混合材料は、セメント(重量C)と、混和材(重量A)と、水と、混和剤と、前記セメントと前記混和材の合計重量(Y(=C+A))に対する重量比率WR(=S/Y)で50−95%の割合で含まれる骨材粒子(重量S)と、繊維とを含有する繊維補強セメント系混合材料であって、前記繊維の少なくとも一部を表面に凹凸が形成された凹凸繊維にするとともに、その凹凸繊維の凹凸の凹部の深さhを最小断面径Hに対する比率(h/H)が0.05−0.8となるように成形したことを特徴とする。
このように構成された本発明の繊維補強セメント系混合材料は、緻密で超高強度なセメント系マトリックスに引張強度の高い繊維を組み合わせた材料である。そして、混入する繊維の少なくとも一部を表面に凹凸が形成された凹凸繊維にしている。さらに、凹凸繊維の凹凸の凹部の深さhを所定の範囲に規定している。
このため、繊維表面に付与された凹凸とセメント系マトリックス中の骨材粒子との間で機械的な噛み合わせが起き、凹凸繊維と骨材粒子との機械的付着力(mechanical bond)を増大させることができる。
このように機械的付着力が増大されると、一旦、繊維表面とセメント系マトリックスとの化学的付着力(chemical bond)が切れたとしても、繊維とセメント系マトリックスとの間での大変形の付着ずれ(すべり)に対して繊維表面に付与された凹凸とセメント系マトリックス中の骨材粒子との間の機械的な噛み合わせによる抵抗力が発生し、持続的付着力(sustainable bond)を保持することができる。このため、ひび割れ幅が増大しても、引張力を負担している凹凸繊維の架橋効果が持続し、引張強度の増加とじん性の向上を図ることができる。
また、大きく変形しても耐力の低下が少なく、じん性に優れた性能を示すことができる繊維補強セメント系混合材料を使って構築された構造物は、最終耐力の増大を見込むことができる。
さらに、高いじん性を確保できれば、従来の鉄筋コンクリートに比較して地震エネルギーを大幅に吸収することができるため、耐震構造物の材料としても最適である。
本発明による実施の形態の繊維補強セメント系混合材料に混入する凹凸繊維の構成を説明する斜視図である。 凹凸繊維と骨材粒子との機械的付着力を説明する説明図である。 実施例1で説明する凹凸繊維の構成を示した斜視図である。 実施例1で説明する別の凹凸繊維の構成を示した斜視図である。 実施例1で説明する別の凹凸繊維の構成を示した斜視図である。 実施例1で説明する別の凹凸繊維の構成を示した斜視図である。 実施例1で説明する別の凹凸繊維の構成を示した斜視図である。 実施例2の付着抵抗実験を説明するための断面図である。 実施例2の付着抵抗実験の結果(実施例−1から実施例−3、比較例−1から比較例−3)を説明するグラフである。 実施例2の付着抵抗実験の結果(実施例−1から実施例−3、比較例−4から比較例−6)を説明するグラフである。 実施例2の曲げタフネス実験の結果(実施例−T1,実施例−T2、比較例−T1,比較例−T7,比較例−T8)を説明するグラフである。 実施例2の曲げタフネス実験の結果(実施例−T3から実施例−T6、比較例−T2から比較例−T4)を説明するグラフである。 実施例2の曲げタフネス実験の結果(実施例−T7、比較例−T5,比較例−T6)を説明するグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態の繊維補強セメント系混合材料としての超高強度繊維補強コンクリートは、セメントと、混和材と、水と、混和剤と、骨材粒子と、繊維とを含有している。
ここで、セメントには、ポルトランドセメント(普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメントなど)が使用できる。
また、混和材には、シリカフューム、沈降シリカ、高炉水砕スラグ微粉末(高炉スラグ微粉末)、高炉徐冷スラグ微粉末、フライアッシュ、分級フライアッシュ、石炭ガス化フライアッシュ、火山灰、珪藻土、珪酸白土、トラス、膨張材、石灰石微粉末、無水石こう系などのエトリンガイト生成系混和材、ポリマーディスパーションやそれを粉末とした再乳化樹脂などが使用できる。ここで、混和材とは、セメントの存在下で化学反応する材料であり、その化学反応としては、混和材とセメント構成化合物との相互化学反応および混和材自体の化学反応に大別できる。また、これらの混和材は、単独で使用したり複数の組み合せで使用したりすることができる。
さらに、混和剤は、流動性や強度発現性の向上、凝結コントロール、耐久性の向上などの多くの目的で使用される添加剤で、少なくとも1種類を使用する。この混和剤には、高性能減水剤、高性能AE減水剤、流動化剤、消泡剤、凝結促進剤、凝結遅延剤、増粘剤、収縮低減剤、急結剤、発泡剤、防錆剤などを単独で使用したり複数の組み合せで使用したりすることができる。
また、骨材粒子には、砕砂、川砂、海砂、珪砂、石灰石の砕砂、再生骨材の砂、ボーキサイトの粉砕物、鉄鉱石の粉砕物、スラグの粉砕物など、コンクリートの骨材として使用可能なものはすべて使用することができる。
この骨材粒子(重量S)は、セメント(重量C)と混和材(重量A)の合計重量(Y(=C+A))に対する重量比率WR(=S/Y)で50−95%の割合で超高強度繊維補強コンクリートに配合される。また、この骨材粒子の平均粒径φは、0.2−0.8mmとするのが好ましい。ここで、骨材粒子の平均粒径φとは、骨材粒子の粒径加積曲線において、通過重量百分率(あるいは通過率)の重量比が50%にあたる粒径(直径)であり、いわゆる平均粒径D50に相当するものである。
また、超高強度繊維補強コンクリートに混入される繊維としては、有機繊維(例えば、ポリプロピレン(PP)繊維、ポリビニールアルコール(PVA)繊維、アラミド繊維、ポロエチレン繊維、超高強力ポリエチレン繊維、ポリエチレンテレフタラート(PET)繊維、レーヨン繊維、ナイロン繊維、ポリ塩化ビニール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、耐アルカリガラス繊維など)、又は無機繊維(鋼繊維、高張力鋼繊維、ステンレス繊維、チタン繊維、アルミニューム繊維、炭素繊維、バサルト繊維、鉱物繊維など)などを使用することができる。さらに、使用する繊維は、1種類だけでなく複数種類を組み合わせても良い。
この繊維の断面形状は、図1に示すような扁平な楕円形、円形、長方形などのいずれの形状であっても良い。なお、同じ断面積に対して円形断面は付着面積が最小となる。これに対して扁平断面は、同じ断面積に対して付着面積が円形断面よりも大きくなるため、扁平な楕円断面や長方形断面の方が付着に対して有利となる。
また、混入する繊維の合計容積量は、全容積の0.7−8%にするのが好ましい。すなわち、0.7%の繊維混入率があれば、超高強度繊維補強コンクリートとして繊維の架橋効果は小さいものの期待できる量である。一方、繊維混入率8%は繊維の架橋効果を充分に期待できる量であるが、これ以上の量の繊維をセメント系マトリックスに混入すると、練りあがりのフレッシュ性状が保てなくなって自己充填が難しくなり、実質的に構造材として適用することができないおそれがある。混入する繊維の合計量は、より好ましくは全容積の1.0−5.5%とすることができる。
そして、超高強度繊維補強コンクリートに混入する繊維の少なくとも一部は、図1に示すように表面に凹凸が形成された凹凸繊維1とする。この凹凸繊維1は、複数の凹部11,・・・が繊維表面に間隔を置いて千鳥配置され、凹部11,11間が凸部12となる。この凹凸形状は、繊維表面に例えばエンボス加工を施すことによって成形できる。なお、凸部12は、凹部11の底面に対して突出していれば良いので、凹部11,11間が平坦であっても、ドーム状に盛り上がっていても凸部12になる。
この凹部11は、本実施の形態では、深さがhの平面視菱形に成形される。ここで、凹部11の深さhとは、図2に示すように凸部12の最も高い高さから凹部11の最も低い高さ(底面)までの距離をいう。また、図1に示すように凹凸繊維1の断面における重心点をGとすると、最大断面径Bは重心点Gを通る最大径となり、最小断面径Hは重心点Gを通る最小径となる。なお、断面に凹部11が現れる場合は、最小断面径Hは図1に示すように凹部11の底面を外周面として計測される。
そして、凹凸の凹部11の深さhは、凹凸繊維1の最小断面径Hに対する比率h/Hが0.05−0.8となるように成形する。また、凹凸繊維1の長さ方向における凹凸の凹部11のピッチp(凹部11とそれに隣接する凹部11との長さ方向の距離)は、凹凸繊維1の最大断面径Bに対する比率p/Bが0.3−10.0となるように調整される。
また、凹凸繊維1の平均断面径dは、最小断面径Hと最大断面径Bの平均としてd=(H+B)/2で示される。さらに、凹凸繊維1の1本の長さLiは、1mm以上とする。そして、凹凸繊維1の長さLiの平均断面径dに対する比率(アスペクト比)AR(=Li/d)は、10-500とする。
次に、本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートの作用について説明する。
このように構成された本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートは、緻密で超高強度なセメント系マトリックスに引張強度の高い繊維を組み合わせた材料である。
本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートでは、混入する凹凸繊維1の凹凸形状とセメント系マトリックスに配合される骨材粒子の平均粒径と骨材粒子が配合される重量比率WR(=S/Y)とによって、繊維とセメント系マトリックスとの間の付着抵抗力を大幅に増大させている。
そして、実施例2で説明する曲げタフネス実験によって、本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートは、非常に大きな引張強度やじん性の値を示すことが確認できた。
ここで、本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートの付着力が増大されるメカニズムについて、図2を参照しながら説明する。この図2は、凹凸繊維1の拡大された上半部断面と、セメント系マトリックスに含有される骨材粒子2,・・・及びセメント水和物4とを模式的に描いた図である。この図2に示すように、凹凸繊維1の凹部11と凸部12に沿って形成されるセメント系マトリックスには骨材粒子2,・・・が点在しており、一部の骨材粒子2,・・・は凹凸繊維1の凹部11に入り込んでいる。
そして、超高強度繊維補強コンクリートによって構築された構造物にひび割れが発生するなどして架橋効果が生じて凹凸繊維1に引張力が作用すると、凹部11に充填された骨材粒子2,・・・を含むセメント系マトリックスが、凹凸繊維1に対するアンカー部となる。これに対して、凹凸繊維1の凹部11と凹部11との間の凸部12が、セメント系マトリックスに対するアンカー部となる。
このように本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートのセメント系マトリックスには、適切な大きさと量の骨材粒子2,・・・が含まれているために、従来の超高強度繊維補強コンクリートと比べて、セメント系マトリックス内部の相互のせん断伝達抵抗が骨材粒子2,・・・の噛み合せにより大きくなっている。
それに加えて、セメント系マトリックスによって形成される上述したアンカー部に含まれる骨材粒子2,・・・の一部が、図2に示すように、凹凸繊維1の凹部11に噛み合わされるために、凹凸繊維1の架橋効果に伴って凹部11周辺に発生するずれせん断力に対して、高いずれ剛性と、高いずれせん断抵抗力を発揮させることができる。
その主な理由として、配合された骨材粒子は、セメント系マトリックス中の骨材粒子を除いたセメント水和物4と比較すると、一般的に弾性係数や圧縮強度が高いために、高いずれ剛性と高いずれせん断抵抗力を期待できるものと考えられる。
また、本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートでは、凹凸繊維1の表面の凹凸形状に関するパラメータと骨材粒子の混入量とを規定している。
骨材粒子の混入量に関する重量比率WR(=S/Y)は50−95%とするのが好ましい。図2を参照しながら説明すると、WR=50%未満の場合には、凹凸繊維1の凹部11のセメント系マトリックスに含まれる骨材粒子2が少なすぎて、骨材粒子2が凹部11に噛み合わされる確率が減少し、結果として凹部11周辺に発生するずれせん断力に対して、高いずれ剛性と高いずれせん断抵抗力を期待できなくなる。一方、重量比率WRが95%を超えた場合には、セメント系マトリックス中の粉体材料(=セメント+混和材)(結合材料)が大幅に減少するので、超高強度繊維補強コンクリート自身の圧縮強度や引張強度など、必要とされる力学的特性値を実現することが困難となる。つまり骨材粒子2を取り囲んでいるセメント系マトリックスの占める割合が低下するので、骨材粒子2が凹部11に引っ掛かっても周囲のセメント水和物4が骨材粒子2からのずれ力を充分に伝達できないので、結局、高いずれ剛性と高いずれせん断抵抗を期待できなくなる。骨材粒子の混入量に関する重量比率WR(=S/Y)は、55−95%とするのがより好ましい。
セメント系マトリックスの骨材粒子2と凹凸繊維1の付着相互作用を考慮して、凹凸繊維1の凹部11の深さhに関しては、凹凸繊維1の最小断面径Hに対する比率h/Hをパラメータとして設定している。この比率h/Hが小さくなると、凹部11の深さhが浅くなり、そのために機械的付着力(mechanical bond)が低下する傾向となる。
反対に、この比率h/Hを大きくすると、機械的付着力(mechanical bond)は増大するが、凹凸繊維1の断面欠損が大きくなり、凹凸繊維1自体の引張強度や繊維の剛性が低下して、セメント系マトリックスがずれせん断破壊する前に、凹凸繊維1が途中で破断するリスクが増大したり、繊維の引張剛性が低下することによりひび割れ幅が増大したりすることが考えられる。
そこで、比率h/Hを0.05−0.8の範囲にすることによって、凹凸繊維1の凹部や凸部に噛み合わされる適量の骨材粒子により生ずる機械的付着力(mechanical bond)の大幅な向上を期待することができ、さらに繊維が切れる可能性や繊維の剛性低下を最小限に抑えることができる。
比率h/Hが0.05未満の場合には、凹凸繊維1における凹部11の相対深さが小さくなるために、骨材粒子2の平均粒径φが小さな組み合せの場合でも、凹凸繊維1の凹部11における骨材粒子2が大きすぎて骨材粒子2が凹部11に有効に噛み合わされる確率が減少し、高いずれせん断剛性や高いずれせん断抵抗を期待できなくなる。他方、比率h/Hが0.8を超えるような場合には、骨材粒子2との噛み合わせ効果は増大すると考えられるが、凹凸繊維1の断面欠損が大きくなるために、骨材粒子2を介したずれせん断力による機械的付着力(mechanical bond)が増大する前に、凹凸繊維1の凹部11付近の断面において凹凸繊維1が破断するリスクが増大する。また、凹凸繊維1の断面欠損が大きくなると、凹凸繊維1の引張剛性が低下するので、凹凸繊維1とセメント系マトリックスとの間の機械的付着力が充分であっても、繊維自身が伸び変形するので、セメント系マトリックスのひび割れ幅が増大して、繊維補強効果の目的を達成できなくなる。凹凸繊維1の凹部11の深さhに関する比率h/Hのパラメータは、0.05−0.5の範囲とするのがより好ましい。
骨材粒子2の平均粒径φは、0.2−0.8mmの範囲が好ましい。骨材粒子2の平均粒径φが0.2mm未満の場合には、凹凸繊維1の凹部11における骨材粒子2が小さすぎて骨材粒子2が凹部11に直接的に噛み合わされる確率が減少し、結果として凹凸繊維1の凹部11周辺における、高いずれ剛性や高いずれせん断抵抗の効果が減少する。また、平均粒径φが小さい場合には、骨材粒子2の1個当たりのずれせん断力抵抗力は、直径の自乗に比例して小さくなる。しかし、平均粒径φが大きい場合はこれとは逆に、直径の自乗に比例して大きくなる。他方、平均粒径φが0.8mmを超えるような場合には、骨材粒子2の1個当たりのずれせん断力抵抗力は増大するものの、凹凸繊維1の凹部11における骨材粒子2が大きすぎて骨材粒子2が凹部11に直接的に噛み合わされる確率が減少するために、結局、高いずれせん断剛性や高いずれせん断抵抗が低下する。すなわち、骨材粒子2の平均粒径φを0.2−0.8mmとすることによって、骨材粒子2を凹凸繊維1の凹部11や凸部12に噛み合わせる確率を高めることができる。骨材粒子2の平均粒径φは、0.2−0.6mmの範囲がより好ましい。
また、凹凸繊維1の長さ方向における凹凸のピッチpに関しては、凹凸繊維1の最大断面径Bに対する比率p/Bを0.3−10.0に設定している。この比率p/Bが0.3未満になると、長さ方向の凹凸のピッチpが短くなるので、すなわち凸部12の長さが短くなることになる。この結果、上述した凹凸繊維1のアンカー部の抵抗長さが減少することになるので、凹凸繊維1とセメント系マトリックスとの間に発生するずれせん断力に対して、凹凸繊維1の凸部12におけるずれせん断剛性の低下とずれせん断耐力の低下が生ずることになる。ずれせん断剛性の低下は、超高強度繊維補強コンクリートのひび割れ幅の増大とじん性の低下となり、またずれせん断耐力の低下は、超高強度繊維補強コンクリートの引張強度の低下となる。
反対に、比率p/Bが10.0を超えるようになると、上記の問題は改善されるが、凹凸繊維1の凹部11,・・・の数が減少することになり、上述したセメント系マトリックスのアンカー部の数が減少して、セメント系マトリックスのずれせん断破壊するリスクが増大して全体としてもずれせん断抵抗力、つまり機械的付着力が低下することになる。
そこで、比率p/Bを0.3−10.0とすることにより、セメント系マトリックスのアンカー部と凹凸繊維1のアンカー部とがバランスよく配置されることになり、大きなずれせん断変位(付着抜出し)が生じても、付着機構のアンバランスにより発生する付着抵抗力の大きな減少は生じなくなる。凹凸繊維1の長さ方向における凹凸の凹部11のピッチpに関する比率p/Bは、より好ましくは0.5−7.0の範囲にするのがよい。
このように本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートは、ある範囲で規定された配合重量の骨材粒子が配合されたセメント系マトリックスに、繊維表面の凹凸形状がある範囲で規定された凹凸繊維1を混入して組み合わせることにより、それぞれの単独では得られなかった凹凸繊維1とセメント系マトリックスとの付着効果及び繊維補強コンクリートとしての架橋効果を得ることができる。すなわち、凹凸繊維1の凹凸形状と骨材粒子の配合重量との組み合せの相乗効果によって、従来の超高強度繊維補強コンクリートでは得られなかった高い引張強度と、ひび割れ発生後の高いじん性を得ることができるようになった。
また、凹凸繊維1を含む超高強度繊維補強コンクリートに混入される繊維の長さLiの平均断面径dに対する比率であるアスペクト比AR(=Li/d)は、繊維とセメント系マトリックスが最小限の付着を満足させるための条件であり、この比率AR(=Li/d)を10-500にすることによって、本実施の形態の骨材粒子と組み合せた際に、充分な付着を確保することができる。
比率ARを10未満とした場合、本実施の形態による凹凸繊維1の凹凸形状と骨材粒子2の平均粒径φ及び配合重量の組み合せ条件を満足した場合においても、付着面積が少なすぎて充分な付着性能を確保することはできない。他方、比率ARが500を超えるような場合には、凹凸繊維1とセメント系マトリックスとの間には充分な付着性能を確保することはできる。しかし、繊維の長さが長くなりすぎることにより、セメント系マトリックスと混合した際に繊維同士が絡み合うようになり、ファイバーボールができるリスクが急激に増大する。このためにセメント系マトリックス中に繊維が均等に分散することが困難となり、超高強度繊維補強コンクリートとしての機能が果たせなくなる。本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートのアスペクト比ARについては、繊維の材料やセメント系マトリックスの流動性能に依存して幅を有するが、付着性能の向上が図れるために従来の超高強度繊維補強コンクリートに比べれば、アスペクト比ARを小さく設定することができ、凹凸繊維1の混入量を増やすことが可能となる。アスペクト比AR(=Li/d)の設定は、より好ましくは15−300にすることができる。
さらに、凹凸繊維1の平均長さLmの骨材粒子2の最大粒径Dmaxに対する比率DR(=Lm/Dmax)は、骨材粒子2の最大骨材粒径に対する凹凸繊維1の長さである。この比率DRを2-20とする。ここで、骨材粒子2の最大粒径Dmaxとは、骨材粒子2の粒径加積曲線において、通過重量百分率(あるいは通過率)の重量比が100%にあたる粒径(直径)の中での最小値である。
この比率DRが2未満の場合には、凹凸繊維1の平均長さLmが最大粒径Dmaxの2倍未満となるために、骨材近傍における繊維による架橋効果を期待できなくなる。その理由は、一般的に骨材粒子2はセメント系マトリックスよりも強度や剛性が高く、セメント系マトリックス中の骨材粒子2周囲のマトリックスは、剥離しやすい状態にあるためである。他方、この比率DRが20を超えるような場合は、繊維による架橋効果を充分に期待できるようになるが、繊維長が長くなりすぎて、繊維をセメント系マトリックスに混入した際に繊維同士が絡み合ってファイバーボールが発生してしまうリスクが急激に増大する。そのために、超高強度繊維補強コンクリートとしての機能を果たせなくなる。凹凸繊維1の平均長さLmの骨材粒子2の最大粒径Dmaxに対する比率DR(=Lm/Dmax)の設定は、より好ましくは4−20にすることができる。
上述したように繊維の混入量を制御することにより、繊維の分散性やフレッシュ性状を所望する特性に調整した超高強度繊維補強コンクリートにすることができる。さらに、凹凸繊維1の長さ及び直径を制御することによっても、繊維の分散性や流動性などのフレッシュ性状を所望する特性に調整することができる。
以下、この実施例1では、前記した実施の形態とは別の実施の形態について図3−図7を参照しながら説明する。なお、前記実施の形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
この実施例1では、様々な形態の凹凸繊維1A−1Eについて説明する。凹凸繊維1A−1Eの断面形状は、円形、楕円形、潰れた円形、長方形、多角形などのいずれであっても良い。
また、凹凸形状を成形する方法としては、エンボス加工が一般的であるが、これに限定されるものではなく、切り込み加工、折り加工などいずれの加工方法であってもよい。さらに、凹凸形状は、例えば繊維の対向する両面(上面と下面)に設けるが、以下では主に繊維上面に設けられた凹凸形状について説明する。
また、後述するように凹部11A−11E,13A,13Bの形状に制限はなく、平面視菱形、平面視三角形、平面視円形、平面視楕円、平面視多角形、スリット形などいずれの形状であってもよい。また、底面が平らに成形されたものだけでなく、すり鉢状や角錐状など傾斜面に成形されていてもよい。
まず、図3に示した凹凸繊維1Aは、前記実施の形態で説明した凹凸繊維1と扁平な楕円断面である点で一致している。また、凹凸繊維1Aの表面中央には、長さ方向に間隔を置いて平面視菱形の凹部11A,・・・が一列に成形されている。さらに、凹部11A,・・・が成形された両側には、平面視二等辺三角形の凹部13A,・・・がそれぞれ列をなして成形されている。
この2種類の凹部11A,13Aは、いずれも同じ深さhである。そして、凹凸繊維1Aの凸部12Aを挟んだ凹部11A,13A間のピッチpは、図3に示すように、凹部11Aとそれに隣接する凹部13Aとの長さ方向の距離になる。
また、この凹凸繊維1Aは、図3の断面に示すように、下面の中央の凹部11Aの位置と上面の側方の凹部13Aの位置とがずれているため、最小断面径Hは、凹凸繊維1Aの厚みから凹部11Aと凹部13Aの深さ(h+h)を引いた値となる。
一方、図4に示した凹凸繊維1Bは、長方形断面であって、繊維表面に直線状の凹部11B,13B,・・・が波状に成形されている。なお、凹部11B,13Bは直線状でなくても、曲線でも連続した正弦波状であってもよい。
また、この凹部11B,13Bは、エンボス加工又は切り込み加工によって深さhの四角形断面に成形される。なお、凹部11B,13Bの断面は、四角形に限定されるものではなく、半円や逆三角形などであってもよい。
この凹部11Bは第1方向に傾いて繊維表面を横断する溝であり、凹部13Bは凹部11Bの端部から第1方向とは逆方向に傾いて繊維表面を横断する溝である。そして、凹部11Bと凹部13Bとの間には、平面視二等辺三角形状の凸部12Bが成形される。
そして、凹凸繊維1Bの凹凸の凹部11B,13Bのピッチpは、図4に示すように、凹部11Bの端部とそれと同じ側の凹部13Bの端部との長さ方向の距離になる。また、この凹凸繊維1Bの最大断面径Bは、図4の断面に示すように、重心点Gを通る断面の最大の対角の長さとなる。さらに、最小断面径Hは、重心点Gを通る長方形の短辺の長さから上面の凹部11Bと下面の凹部13Bの深さ(h+h)を引いた値となる。
また、図5に示した凹凸繊維1Cは、長方形断面であって、繊維表面を横断する直線状の凹部11C,・・・が長さ方向に間隔を置いて成形されている。なお、凹部11Cは直線状でなくても、曲線でも波形でもよい。
さらに、この凹部11Cは、エンボス加工又は切り込み加工によって深さ(高さ)hの逆三角形断面に成形される。なお、凹部11Cの断面は、逆三角形に限定されるものではなく、半円や四角形などであってもよい。
そして、凹凸繊維1Cの凹凸の凹部11Cのピッチpは、図5に示すように、凹部11C,11Cの谷間の長さ方向の距離になる。また、凹部11C,11C間には、平面視長方形状の凸部12Cが成形される。
また、この凹凸繊維1Cの最大断面径Bは、図5に示すように凹部11Cが断面に現れない位置の重心点Gを通る長方形の対角の長さとなる。さらに、凹凸繊維1Cは、上面の凹部11Cの位置と下面の凹部11Cの位置とがずれているため、最小断面径Hは、凹凸繊維1Cの厚みから凹部11Cの深さhを引いた値となる。
続いて、図6に示した凹凸繊維1Dは、長方形の対角が最大断面径Bとなり短辺が最小断面径Hとなる長方形断面であって、繊維の両側面にのこぎりの刃形状になるように凹部11Dと凸部12Dとが交互に成形されている。また、一方の側面に凹部11Dが成形された対向する位置の他方の側面には凸部12Dが成形されるというように、繊維の両側面で凹凸の位置がずれているため、凹凸繊維1Dの断面積は長さ方向に常に一定になる。なお、この刃形状は平面で形成されていなくても、曲面で形成されていてもよい。
さらに、この凹部11Dは、切り込み加工又は折り加工によって深さhの平面視三角形に成形される。なお、凹部11Dが曲面で形成される場合は平面視ドーム状になる。
そして、凹凸繊維1Dの凹凸の凹部11Dのピッチpは、図6に示すように、凹部11D,11Dの谷間の長さ方向の距離になる。また、凹部11D,11D間には、平面視二等辺三角形状の凸部12Dが成形される。
さらに、図7に示した凹凸繊維1Eは、長方形断面であって、繊維表面に複数の四角柱状の凹部11E,・・・が長さ方向及び幅方向に一定の間隔を置いて格子状に成形されている。なお、凹部11Eは四角柱状でなくても、円柱状でも多角柱状でもよい。
さらに、この凹部11Eは、エンボス加工又は切り込み加工によって一定の深さhに成形される。なお、凹部11Eは、一定の深さhの柱状でなくても、すり鉢状や角錐状などであってもよい。
そして、凹凸繊維1Eの凹凸の凹部11Eのピッチpは、図7に示すように、凹部11Eと長さ方向にそれに隣接する凹部11Eとの距離になる。また、凹部11E,11E間には平面視四角形状の凸部12Eが成形される。なお、凹部11E,・・・の配置は、格子状でなくても千鳥配置でもよい。
また、この凹凸繊維1Eの最大断面径Bは、図7の断面に示すように、重心点Gを通る断面の最大の対角の長さとなる。さらに、凹凸繊維1Eは、上面の凹部11Eの位置と下面の凹部11Eの位置とがずれているため、最小断面径Hは、凹凸繊維1Eの厚みから凹部11Eの深さhを引いた値となる。
なお、他の構成及び作用効果については、前記実施の形態と略同様であるので説明を省略する。
以下、この実施例2では、前記した実施の形態又は実施例1で説明した超高強度繊維補強コンクリートの性能を確認するためにおこなった実験の結果について説明する。なお、前記実施の形態又は実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
上述した超高強度繊維補強コンクリートの力学的特性は、同じ配合のセメント系マトリックスを使用する場合でも、以下に示すように混入する凹凸繊維1,1A−1Eの材質や表面形状に依存して、強度特性に関してある程度の幅が生ずる。
具体的には、本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートは、圧縮強度(φ10×20cmの円柱供試体による試験結果)が100−250N/mm2、曲げ引張強度(4×4×16cmの曲げ供試体による試験結果)が20−80 N/mm2、初期ひび割れが発生する引張強度(φ10×20cmの円柱供試体による割裂試験結果)が5−20 N/mm2、曲げ引張りに対する破壊エネルギーが5−150N/mmであるような力学的特性を有する。
また、セメント系マトリックスの配合は、水セメント比が20−26%と非常に小さく、セメント以外の混和材や骨材粒子の配合に対して最密充填技術が適用されるので、緻密な水和反応物となり100年のオーダーで耐久性が保たれる材料となる。
ここで、最密充填技術とは、セメント系マトリックスに配合される材料が、最大の密度となるように各々の材料の粒度分布と配合容積(重量)比率を求める技術である。すなわち、最大密度になるように材料をパッキング(充填)する技術である。例えば、セメント粒子よりも粒径の小さなシリカフュームや高炉スラグ微粉末などの混和材を配合することにより、セメント粒子間の隙間に、これらの微粒子がパッキングされて密度が増加することになる。
そして、このような最密充填により当然、セメント系マトリックスは密実な構造となり、その細孔構造は、毛細管空隙が減少しゲル空隙に移行することが知られている。そのために耐久性が大幅に向上し、この耐久性を数値で表すと、塩分拡散係数は1.0×10-3 −5.0×10-3 cm2/yearとなり、透水係数は、2×10-17−8×10-17cm/secとなる。また、凍結融解試験(JIS A 1148 水中凍結融解試験法)による500回以上の凍結融解サイクルに対しても相対動弾性係数の低下が見られない。さらに、中性化に対する抵抗性は、500年後の中性化深さが2mm以下となり、中性化に対する検証を必要としない特性を示す。
また、最密充填により配合されたセメント系マトリックスは、セメント粒子より小さな粒径の混和材の配合や、粒度調整された骨材粒子2の骨材配合により、フィラー効果やベアリング効果を期待することができるために、セメント系マトリックスの流動性が大幅に増大する。さらに混和剤として高性能減水剤などを適用するために、小さな水セメント比(W/C比)であっても、自己充填性を実現できる。例えば、練り混ぜ後のコンシステンシーとしては、JIS R5201フロー試験(落下なし)によるフロー値が25±3cmであり、充分な自己充填性を有しているためにバイブレータによる締め固めの必要がなく、流し込むだけで充分に密実なコンクリートとなる。
[付着抵抗実験]
本実施の形態又は実施例1の超高強度繊維補強コンクリートの引張特性に影響を与える要因としては、(1)セメント系マトリックスのひび割れ発生強度、(2)セメント系マトリックスの引張強度(付着強度)、(3)凹凸繊維1,1A−1Eを含む補強用に混入する繊維の引張剛性、(4)同繊維の引張強度、(5)同繊維とセメント系マトリックスとの付着強度、などが考えられる。
これらの要因の中で、(1)から(4)はセメント系マトリックス材料と繊維材料の特性が結果を直接左右するが、(5)の「繊維とセメント系マトリックスとの付着強度」は、それぞれの材料による相互の組み合せが影響すると考えられ、本発明に至った。そして、以下では本発明の一実施形態の超高強度繊維補強コンクリートの性能を証明するためにおこなった付着抵抗実験の詳細について説明する。
[付着抵抗実験の実験方法]
セメント系マトリックスと凹凸繊維1,1A−1E(以下、「1」の符号で代表して説明する。)との付着抵抗を調べるために、図8に示すように対象とする凹凸繊維1を埋め込んだセメント系マトリックスの供試体3を作成して、繊維の引抜き載荷実験を行った。
この供試体3は、12cm×12cm×2cmの直方体で、その直方体の中心部の厚さが6mmとなるように底部にφ20mmの筒部3aを設け、その中心に凹凸繊維1を鉛直に埋め込んで作成した。
そして、凹凸繊維1を埋め込んだセメント系マトリックスの供試体3を所定の温度環境及び時間で熱養生した後、供試体3の両端を載荷試験機(この実験ではインストロン試験機を使用)の固定具35,35に固定し、供試体3の上部から突出している凹凸繊維1に対して引抜き載荷した。よって、この凹凸繊維1の付着長は、以下で説明するすべての実験例で6mm(筒部3a上方の供試体3中心部の厚さ)となる。
また、凹凸繊維1の引抜け量を計測するために、図8に示すように筒部3aの真下に計測孔36を設け、その中に垂れ下がった凹凸繊維1の下端に反射板32をターゲットとして取り付けた。そして、その反射板32の真下にレーザ変位計33を設置し、レーザを照射する反射板32の変位量を測定した。また、凹凸繊維1の引抜け量の測定と同時に、凹凸繊維1の引抜き荷重も測定した。
ここで、インストロン試験機による凹凸繊維1の上端の引上げ速度は、1.0mm/分とした。また、凹凸繊維1の先端を引上げるにあたり、凹凸繊維1を直接鋼製のエアーチャック34で保持することは困難であるために、凹凸繊維1の上端の周囲をエポキシ系樹脂により補強して把持部31を形成し、この把持部31をエアーチャック34に挟ませて引抜き荷重をかけた。
[実施例の各諸元について]
表1に、付着抵抗実験に使用したセメント系マトリックスの特性などの諸元を示す。
Figure 0005457565

この表1に示したセメント系マトリックスの強度特性は、90℃で30時間の熱養生を行い、強度を100%発現させた状態のものである。すなわち熱養生後は、強度増加の傾向はなく、また乾燥収縮による収縮も発生しない。
また、表1に示す圧縮強度は、φ5×10cmの円柱供試体を使用した繊維を混入させないセメント系マトリックスのみの圧縮強度である。同様に曲げ強度は、繊維を混入させないセメント系マトリックスにより製作した4×4×16cmの四角柱供試体による曲げ試験(JIS A 1106)により求められた曲げ強度である。この曲げ強度は、セメント系マトリックスの引張強度と強い正の相関を示す。
表1に示した3種類のセメント系マトリックスの圧縮強度や曲げ強度は、いずれもほぼ同程度の性能を示している。これらの相違点は、繊維との相互付着抵抗を表す骨材粒子2の平均粒径φと骨材粒子(重量S)のセメント(重量C)と混和材(重量A)の合計重量(Y)に対する配合重量比率WR(=S/Y)である。
一方、表2に、付着抵抗実験に使用した繊維の特性などの諸元を示す。
Figure 0005457565

この表2に示したように、実験に使用した繊維の材質は、ポリプロピレン繊維(PP繊維)とポリビニールアルコール繊維(PVA繊維)である。また、繊維の断面積と繊維の引張強度との積により、繊維の引張耐力を求めることができる。また、繊維の周長と付着長(=6mm)との積により付着面積を求めることができる。なお、比較例f-1,f-2は、凹凸が無い場合の比較例であるため、図1,3を参考図とする場合は凹部11,11Aが無いものとして参照する。
そして、表3には、表1のセメント系マトリックスと表2の繊維との組み合せを示す。
Figure 0005457565

この表3に示したセメント系マトリックスと繊維との組み合せにおいて、実施例−1から実施例−3が、本発明の一実施形態の繊維補強セメント系混合材料に含まれるものであって、比較例−1から比較例−6は、本発明の一実施形態の効果を確認するための比較例である。
[付着抵抗実験の結果]
図9及び図10に、表3に示した組み合せによる付着抵抗実験の結果を示す。ここで、図9には、実施例−1から実施例−3を、比較例−1から比較例−3までと比較した結果を示す。
図9に示したグラフは、縦軸に示す付着応力と、横軸に示す繊維の引抜け量との関係を表したグラフである。ここで、付着応力は、繊維を引き上げる際の引抜き抵抗力を繊維の付着面積(=繊維の周長×付着長(6mm))で除した値である。
この図9の比較から、実施例(実施例−1、実施例−2、実施例−3)の付着応力は、いずれの比較例(比較例−1、比較例−2、比較例−3)よりも明らかに高い付着応力を示していることがわかる。また、実施例−1と実施例−2は、セメント系マトリックスの種類は異なっているが、混入する凹凸繊維1は同じ形状及び同じ材質のものを使用している。一方、実施例−1と実施例−3は、セメント系マトリックスの種類は同じであるが、混入する凹凸繊維1は異なる形状(材質は同じ)のものを使用している。
この図9の結果を見ると、実施例の付着応力は引抜け量の増大とともに波状に変動はするものの、低下することはない。また、実施例は、引抜け量が6mm(=付着長)を超えても付着応力が低下しないので、凹凸繊維1の付着面と接しているセメント系マトリックスの付着劣化ゾーンにおいて、セメント系マトリックスの致命的となるようなずれせん断破壊が発生していないものと考えられる。
また、実施例が比較例に比べて大きな付着応力を発生させることができるのは、セメント系マトリックスに適度の量で含まれる適度の粒径の骨材粒子が、凹凸繊維1の表面に設けられている適度の凹凸形状(凹部11と凸部12)と相互に噛み合って機械的付着力(mechanical bond)が卓越して付着特性が向上する結果が得られたものと考えられる。さらに引抜け量が増大した場合においても、繊維表面に付与された凹凸とセメント系マトリックス中の骨材粒子との間に新たに機械的噛み合わせによる抵抗力が発生し、持続的付着力(sustainable bond)が作用し続けた結果と考えられる。
一方、比較例−1と比較例−2は、実施例−1又は実施例−2とそれぞれ同じ種類のセメント系マトリックスであるが、混入させる繊維は、それぞれの実施例と同じ材質のPP繊維であるものの、比較例の繊維表面には凹凸形状が設けられていない。
この図9に示した比較例−1と比較例−2の付着応力は、実施例−1と実施例−2の付着応力よりもかなり小さな値を示している。この理由は、セメント系マトリックスに適度の粒径の骨材粒子が適量混入されていても、PP繊維の表面形状が平坦(平滑面)であれば、機械的付着力(mechanical bond)の作用を期待することができず、残すところはセメント系マトリックス自体が有している付着強度や摩擦抵抗力による付着応力しか期待できなかったためであると考えられる。
他方、比較例―3の付着応力は引抜け量の増大とともに波状に変動する挙動を示し、実施例(実施例−1、実施例−2、実施例−3)と類似している。しかし、比較例−3は、混入させる繊維としては実施例f-2の凹凸形状を有するPP繊維を適用しているが、セメント系マトリックスは比較例m-1であるために、配合した骨材粒子の平均粒径が本発明の一実施形態の数値限定範囲外となっている。このような比較例−3は、図9に示すように実施例(実施例−1、実施例−2、実施例−3)に比べると低い付着応力を示している。
この理由として、比較例−3は、繊維表面に凹凸形状を有する繊維を使用しているために、比較例−1や比較例−2よりは機械的付着力(mechanical bond)が期待できるものの、セメント系マトリックスに配合されている骨材粒子の平均粒径が小さいために、セメント系マトリックスの骨材粒子と繊維表面の凹凸形状とが強力に噛み合うことが困難となり、所望する機械的付着力(mechanical bond)を得ることができなかったと考えられる。
実施例−3と比較例−3は、両方共に混入させる繊維として同じ種類の実施例f-2の凹凸形状を有するPP繊維を適用しているが、実施例−3のセメント系マトリックスは実施例m-1であるのに対して、比較例―3のセメント系マトリックスは比較例m-1であって配合した骨材粒子の平均粒径が本発明の一実施形態の数値限定範囲外となっている。そのために、比較例−3はセメント系マトリックスの骨材粒子と繊維表面の凹凸形状とが強力に噛み合うことが困難となり、その結果、実施例−3よりも低い付着応力の結果となった。
しかしながら、セメント系マトリックスの比較例m-1における骨材粒子の混入量に関する重量比率WR(=S/Y)は49%であり、これは好ましい範囲の比率に近い。つまり、このことはセメント系マトリックスの骨材粒子の重量比率(S/Y)と凹凸繊維の凹部の深さhに関する比率(h/H)の条件の両方が満足されることによって、本発明の一実施形態が想定した効果が発揮されることを示している。
図10に示したグラフは、実施例(実施例−1、実施例−2、実施例−3)と比較例(比較例−4、比較例−5、比較例−6)との比較を示す。比較例の繊維は、いずれも凹凸形状が設けられていないPVA繊維である。そのために、比較例の結果にみられるように、セメント系マトリックスと繊維との付着が一旦切れると付着応力は引抜け量の増大とともに急激に低下する結果となった。
なお、比較例−4と比較例−5は、セメント系マトリックスが実施例m-1と実施例m-2の場合であり、初期の付着応力は、実施例よりも大きくなる結果となった。これは、PVA繊維の親水性が働いてセメント系マトリックスとの化学的付着力(chemical bond)が作用したものと思われる。
[曲げタフネス実験]
上述した付着抵抗実験により、本実施の形態又は実施例1の超高強度繊維補強コンクリートは、セメント系マトリックスと繊維の凹凸形状との組み合せにより付着強度が向上し、さらに凹凸繊維1とセメント系マトリックスとの初期付着が一旦低下して凹凸繊維1がセメント系マトリックスから抜け出した場合でも、付着応力は大幅に低下することなく保持されることが確認できた。
以下では、これらの結果を踏まえて、本実施の形態又は実施例1の超高強度繊維補強コンクリートが、高い引張強度と高いじん性(ねばり強さ)を示すことを実施例と比較例との比較により示す。
[曲げタフネス実験の実験方法]
曲げタフネス実験は、土木学会規準の「鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法」(JSCE-G 552-2010)に従って実施した。具体的には、10×10×40cmの四角柱供試体に対して3等分点荷重で載荷をおこない、中央点のたわみと載荷荷重を計測する実験方法である。また、載荷荷重Qから曲げ応力fbを以下の式により求めた。
fb = QL/bh2
ここで、fbは曲げ応力(N/mm2)、Qは載荷荷重(N)、Lは供試体の支点間距離(スパン)(=300 mm)、bは供試体の幅(=100 mm)、hは供試体の高さ(=100 mm)を示す。また、載荷荷重の速度は、曲げ応力の増加率が毎秒0.06±0.04 N/mm2になるように調整した。
一方、曲げじん性の性能を示す数値として、曲げじん性係数がある。そこで、曲げじん性係数を、土木学会規準の「鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法」(JSCE-G 552-2010)に準拠して求めた。
さらに、曲げじん性の性能を示す数値として、曲げによる破壊エネルギーがある。この曲げによる破壊エネルギーは、曲げタフネス実験で得られた曲線(後述する図11−13参照)で囲まれた面積を積分したものである。
[実施例の各諸元について]
表4に、曲げタフネス実験に使用したセメント系マトリックスの特性などの諸元を示す。
Figure 0005457565

この表4に示したセメント系マトリックスの強度特性は、すべて同じ養生条件により製作された供試体に対して実験をおこなって求めた結果である。ここで、圧縮強度は、繊維を混入させないセメント系マトリックスにより製作したφ10×20cmの円柱供試体による圧縮強度試験(JIS A 1108)により求められた圧縮強度である。
また、曲げ強度は、繊維を混入させないセメント系マトリックスにより製作した4×4×16cmの四角柱供試体による曲げ試験(JIS A 1106)により求められた曲げ強度である。この曲げ強度は、セメント系マトリックスの引張強度や付着強度と強い正の相関を示す。
一方、表5に、曲げタフネス実験に使用した繊維の特性などの諸元を示す。
Figure 0005457565

この表5には、凹凸形状のパラメータの他に、繊維の材質、繊維の容積混入率(混入率)、繊維の引張強度、弾性係数、繊維一本あたりの断面積、繊維の長さなど、超高強度繊維補強コンクリートの曲げタフネス実験の結果に影響を与える繊維の物性値を示した。ここで、実施例F-4と実施例F-5は、凹凸繊維1と凹凸の無い繊維(ここでは鋼繊維)との2種類の繊維を混合した配合である。
そして、表6には、表4のセメント系マトリックスと表5の繊維とを組み合せた超高強度繊維補強コンクリートを打設して、同じ養生条件で製作した供試体に対して、曲げタフネス実験をおこなった結果を示した。
Figure 0005457565

[曲げタフネス曲線について]
図11−図13は、曲げタフネス実験の結果を、縦軸を曲げ応力、横軸を中央点のたわみとしたグラフにプロットしたものである。この曲げタフネス実験の結果によって描かれる曲げタフネス曲線の共通した挙動として、以下のことが言及できる。
曲げタフネス曲線は、載荷荷重の初期段階においては、中央点のたわみに対して曲げ応力は直線的に増加し、その後、急激に曲げ応力が低下する挙動がある。この挙動を示すゾーンを「第一ゾーン」と称する。また、最初のピークを「第一ピーク」と称する。
その後、曲げ応力は再度、上昇する傾向にある。その上昇の程度は、最初の第一ピークに比べて大きくなる場合と、そうでない場合がある。上昇した曲げ応力は、中央点のたわみが増加するに伴い、再び緩やかに低下する傾向にある。この挙動を示すゾーンを「第二ゾーン」と称する。また、二番目のピークを「第二ピーク」と称する。
そして、第一ゾーンにおいて、初期段階の荷重上昇に伴い中央点のたわみが直線的に増加する挙動過程では、供試体にはひび割れが発生しておらず、弾性的挙動と考えられる。また、第一ピークを境に、曲げ応力が低下するが、これは供試体の中央付近の下端に曲げひび割れが発生したために、曲げ応力が急激に低下したものと考えられる。
この第一ピークにおける曲げ応力は、割裂試験により求められるセメント系マトリックスのひび割れ発生強度と正の相関関係にあると考えられる。また、第一ピーク以降に曲げ応力が急激に低下するのは、供試体の下端に曲げひび割れが発生するためであるが、その後、再び曲げ応力が増加する挙動が見られる。これは、ひび割れが発生したひび割れ面相互に架橋した繊維が引張力を負担したことによる挙動である。また、第一ピーク以降の曲げ応力の低下の程度は、繊維の剛性が高く、繊維の混入量が多くなるほど、またセメント系マトリックスと繊維の初期付着抵抗が大きいほど、低下量が小さくなる傾向を示す。
また、第二ゾーンにおいて、曲げ応力は再度、上昇する傾向にある。その上昇した第二ピークは、第一ピークに比べて大きくなる場合と、そうでない場合がある。このように曲げ応力が上昇するのは、ひび割れ面相互に架橋した繊維が引張力を負担するためである。
この第二ピークの曲げ応力は、超高強度繊維補強コンクリートの引張強度と強い正の相関があることが、実験データによって確認されている。この引張強度とは、超高強度繊維補強コンクリートに純引張力を作用させた際の最大の引張応力である。
超高強度繊維補強コンクリート材料の引張強度を試験により求める方法として、2つの方法が用いられている。一つは直接引張載荷試験により、引張強度のピークから直接求める方法である。この方法は、直接引張載荷試験そのものの試験制御の方法が難しく、試験結果にバラツキがでる課題がある。
もう一つは、曲げ載荷試験をおこない、その試験によって得られる荷重―切欠きひび割れ幅曲線、又は荷重―たわみ曲線から逆解析により引張応力とひび割れ幅の関係を求め、そこから引張強度を算出する方法である。曲げ載荷試験には、曲げ供試体の中央に切欠きを入れる場合と入れない場合がある。また、この方法は、曲げ試験方法が容易であり試験によるバラツキが少ない利点があるが、逆解析に時間と費用が必要となる。
そして、第二ピークを超えて、中央点のたわみが増加するに伴い、曲げ応力は再び緩やかに低下する傾向を示す。この挙動は、架橋している繊維が切れるか、あるいは繊維とセメント系マトリックスとの間の付着抵抗が徐々に低下するために起きる現象であると考えられる。
そして、曲げタフネス曲線で囲われた部分の面積は、その材料の破壊エネルギーを示していて、面積が大きいほど、じん性(又はねばり強さ)が高い材料といえる。
なお、表6に示した曲げじん性係数は、土木学会規準の「鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法」(JSCE-G 552-2010)に従って求めた。
[曲げタフネス実験の結果]
図11は、繊維の混入率がすべて3.0%となる同一条件下での比較であり、繊維混入量(混入率)が多いほど、曲げ強度が高くなるという影響要因を除いた比較結果である。
この実施例−T1と実施例−T2は、表5に示した実施例F-1の凹凸繊維1と、表4に示した実施例M-2と実施例M-5のセメント系マトリックスとの組み合せである。
一方、比較例−T1の繊維は、実施例−T1及び実施例−T2と同じ凹凸繊維1であるが、セメント系マトリックスは、表4に示した骨材粒子(重量S)のセメント(重量C)と混和材(重量A)の合計重量(Y)に対する配合重量比率WR(=S/Y)が小さい比較例M-1の材料を使用している。
また、比較例−T7と比較例−T8の繊維は、いずれも表5に示した比較例F-1の繊維であり、繊維の表面には凹凸形状が形成されていない。しかし、繊維の材質は親水性に富んだPVA繊維であるために、セメント系マトリックスとの付着力は高いものと考えられる。そして、比較例−T7のセメント系マトリックスは、比較例M-1に示した骨材粒子の平均粒径が小さいうえに配合重量比率WR(=S/Y)も小さい材料であるが、比較例−T8のセメント系マトリックスは、実施例−T1に使用したセメント系マトリックスで配合重量比率WR(=S/Y)=90%の実施例M-2を使用している。
続いて図11の曲げタフネス曲線を見ると、実施例−T1及び実施例−T2は、比較例−T1、比較例−T7及び比較例−T8と比べて高い曲げ応力と高いじん性を示している。
他方、図11に示した5ケースは、いずれも第一ピークが似たような値を示している。しかしながら、実施例−T1と実施例−T2の第二ピークは、他の3つの比較例よりも明らかに高い値を示しているうえに、いずれの第二ピークも第一ピークよりもはるかに高い値を示している。このことは、この2つの実施例が、高い引張強度を有していることを示している。
また、実施例−T1及び実施例−T2は、第二ピーク以降も曲げ応力の低下が緩やかであり、大変形に至るまで曲げ抵抗力が低下しない、すなわち高いじん性性能を示していることがわかる。上記した表6には、それぞれの実験において第二ピークから推定した引張強度と、曲げタフネス曲線の面積から求められた破壊エネルギーを示してある。この表6に示した数値からも明らかなように、実施例の引張強度は比較例の引張強度の1.6倍−2.0倍あり、また破壊エネルギーは、2.5倍−3.6倍あることがわかる。
ここで、曲げタフネス実験における比較例−T7の材料の組み合せは、付着抵抗実験の比較例−6の材料の組み合せに類似している。そして、曲げタフネス実験の比較例−T7では、第二ピークが第一ピークよりも小さく、第二ピーク以降も急速に曲げ応力が低下している。一方、付着抵抗実験の比較例−6では、初期の付着応力が低く、引抜け量が0.5mm程度で繊維が抜け出す結果となっている。このことは、曲げタフネス実験において比較例−T7が第二ピーク以降に急速に曲げ応力を低下させていることと符合している。
続いて、図12に示した曲げタフネス実験の結果は、繊維表面が凹凸形状に形成されたPP繊維と凹凸形状の無い鋼繊維とのハイブリッド混合繊維である、表5の実施例F-4と実施例F-5に示した繊維を使用したものである。この実施例F-4及び実施例F-5は、繊維全体の混入率が2.8%であって、その繊維量(混入率2.8%)の内訳は、凹凸繊維1であるPP繊維が混入率2.7%、繊維表面に凹凸形状の無い鋼繊維が混入率0.1%となっている。
そして、図12の曲げタフネス曲線を見ると、いずれの実施例も比較例に比べて第二ピークが大きくなっており、また曲げタフネス曲線の面積も大きいことがわかる。また、実施例の第二ピークは第一ピークよりも大きくなっているが、比較例では第二ピークは第一ピークより小さくなっている。さらに、表6に示すように、引張強度と破壊エネルギーの数値も、実施例の方が比較例よりも大きくなっている。
図12に示した実施例−T3,T4,T5,T6に適用しているセメント系マトリックスはすべて配合重量比率WR(=S/Y)が50−95%の範囲に入っている実施例M-5,M-1,M-4,M-3である。しかし実施例M-4のみが骨材粒子の平均粒径が0.15と、好ましい0.2−0.8mmの範囲よりも小さい。つまり、図12及び表6において、実施例−T5を比較例−T2,T3,T4と比較すると引張強度やじん性が優れていることがわかるので、セメント系マトリックスの骨材粒子の重量比率(S/Y)と凹凸繊維の凹部の深さhに関する比率(h/H)の条件が、他のパラメータよりも重要であることがわかる。
また、図13に示した曲げタフネスの実験結果は、繊維の混入率を2.8%とし、それぞれ一種類の繊維を使用している。そして、実施例−T7と比較例−T5は、表5に示した実施例F-2という同じ繊維を混入している。しかしながら、比較例−T5で使用したセメント系マトリックスは比較例M-1を使用しており、これは骨材粒子の平均粒径が小さいうえに配合重量比率WR(=S/Y)も小さい材料である。その結果、実施例−T7と比較例−T5は、同じ種類の凹凸繊維1を使用しているにも関わらず、異なる曲げタフネス曲線を描くことになった。すなわち、実施例−T7は、第二ピークが第一ピークよりも大きくなっているが、比較例−T5は、第一ピークは大きいものの、第二ピークが小さくなる結果となった。そして、表6からも、実施例−T7が、比較例−T5及び比較例−T6に比べて明らかに引張強度が高く、高いじん性を示していることがわかる。なお、実施例−T7に適用しているセメント系マトリックスの骨材粒子の平均粒径は0.15mmと小さいものの、配合重量比率WR(=S/Y)は70%である。
以上の実験結果から、本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートは、セメント系マトリックスの骨材粒子の配合と、凹凸繊維1の表面の凹凸形状との組み合せにより、これまでには得られなかったような高い引張強度と高いじん性にできることがわかった。
また、その組み合せを作るためには、特別に高価な材料を混入するのではなく、従来から使用されている材料を選択して使用するだけなので、経済的である。
すなわち、本実施の形態の超高強度繊維補強コンクリートの特徴は、セメント系マトリックスと凹凸繊維1のいずれの材料についても、特定の材質に限定するのではなく、セメント系マトリックスでは骨材粒子の平均粒径と、骨材/(セメント+混和材)で表される重量比率を特定し、凹凸繊維1に関しては材質を特定するのではなく表面の凹凸形状を特定しているのみである。
そして、超高強度繊維補強コンクリートの引張強度が高くなるのは、凹凸繊維1とセメント系マトリックスとの間の付着抵抗応力が大幅に向上するためである。また、じん性が高くなるのは、凹凸繊維1とセメント系マトリックスとの間の付着抵抗応力が、繊維の抜け出しが増大しても低減しないことによるものであり、繊維表面の適切な凹凸形状と、適切なセメント系マトリックス中に含まれる骨材粒子の配合とを組み合せたことによりこれらの結果を得ることができたといえる。
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態及び実施例を詳述してきたが、具体的な構成は、この実施の形態又は実施例に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
例えば、前記実施の形態及び実施例では、有機繊維を凹凸繊維1にした場合について説明したが、これに限定されるものではなく、鋼繊維などの無機繊維を凹凸繊維にすることもできる。
[関連出願への相互参照]
本出願は、2011年2月18日に日本国特許庁に出願された特願2011−33090に基づいて優先権を主張し、その全ての開示は完全に本明細書で参照により組み込まれる。
1,1A−1E 凹凸繊維
11 凹部
11A−11E 凹部
13A,13B 凹部
12 凸部
12A−12E 凸部
2 骨材粒子
h 深さ
H 最小断面径
p ピッチ
B 最大断面径
C セメント重量
A 混和材重量
S 骨材粒子重量
WR 重量比率
φ 骨材粒子の平均粒径

Claims (4)

  1. セメントと、混和材と、水と、混和剤と、前記セメントと前記混和材の合計重量に対する重量比率で50−95%の割合で含まれる骨材粒子と、繊維とを含有する繊維補強セメント系混合材料であって、
    前記骨材粒子の平均粒径は0.2−0.8mmであり、
    前記繊維の少なくとも一部を表面に凹凸が形成された凹凸繊維にするとともに、その凹凸繊維の凹凸の凹部の深さhを最小断面径Hに対する比率(h/H)が0.05−0.8となるように成形したことを特徴とする繊維補強セメント系混合材料。
  2. 前記凹凸繊維の長さ方向における凹凸の凹部のピッチpを最大断面径Bに対する比率(p/B)が0.3−10.0となるように成形したことを特徴とする請求項1に記載の繊維補強セメント系混合材料。
  3. 前記繊維の長さLiは、1mm以上、かつ平均断面径dに対する比率(Li/d)が10-500であり、前記繊維の合計容積量が全容積の0.7−8%であることを特徴とする請求項1又はに記載の繊維補強セメント系混合材料。
  4. 前記凹凸繊維の平均長さLmは、前記骨材粒子の最大粒径Dmaxに対する比率(Lm/Dmax)が2−20であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の繊維補強セメント系混合材料。
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