JP7151962B2 - セメント硬化体補強用鋼繊維及びセメント組成物 - Google Patents

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Description

本開示は、セメント硬化体補強用鋼繊維及びセメント組成物に関する。
土木構造物、建築構造物に適用される水硬性材料、特にセメント、モルタルおよびコンクリート等の水硬性材料は種々の目的に使用され、水硬性材料の硬化体は、高い圧縮強度を有することで建築構造物などに汎用される。しかしながら水硬性材料硬化体は、優れた圧縮強度に対し、引張強度は充分ではなく、鉄筋コンクリート等の構造物では、コンクリートは圧縮力だけを負担し、引張力を負担しない使用態様で設計されていることが一般的であった。
引張強度を向上させる目的で、従来、水硬性材料に補強用の鋼繊維を混合することが行われており、種々の改良が検討されている。鋼繊維がセメント硬化体と密着し、セメント硬化体に曲げ応力、引張応力等が付加された場合でも、鋼繊維のセメントからの引抜きが抑制されることで補強効果が実現すると考えられる。
このため、例えば、両端が折れ曲がった鋼繊維を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、さらに高強度のコンクリートやモルタルに使用される補強用鋼繊維であって、繊維直径が0.05mm~0.5mm、繊維長さが繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)で30~150であり、表面に繊維直径の0.1倍を超える突起ないし窪みを有しない螺旋形状であって、螺旋形状の振幅が繊維直径の0.3~3倍であり、螺旋形状の周期が繊維長さの0.1~0.5倍であり、ヤング率150GPa以上、引張強度1GPa以上であることを特徴とする高強度組成物補強用鋼繊維(例えば、特許文献2参照)、コンクリートに添加混合されるアスペクト比が26~126の補強用鋼繊維であって、補強繊維が、直径0.07mm~0.30mmの2本~4本の鋼線を束ねた第1グループと、1本又は2本の鋼線からなる第2グループとを、繊維直径Dの25倍~100倍のピッチで相互に撚り合わせた撚り構造体からなる補強用鋼繊維(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
特開平5-262544公報 特許第4711196号公報 特許第4288013号公報
通常、鋼繊維が引張補強効果を発揮するのは、繊維補強コンクリートに引張力が作用し、コンクリートにひび割れが発生した際に、ひび割れに架橋する繊維がコンクリートとの付着力と、引張り力が作用しても繊維が切れないだけの引張強度を有することにより、引張補強効果を発揮する。そのような観点からは、通常のストレート型の繊維による付着力は十分ではないため、特許文献1に記載の如き両端が折れ曲がった鋼繊維、即ち、両端にフックがついているフック型鋼繊維が開発された。
特許文献1に記載のフック型鋼繊維は、コンクリートに対する付着力が大きいものの、フック型繊維を大量に混入すると、鋼繊維のフック同士が絡まりあい、ファイバーボールができたり、フック型鋼繊維を含むコンクリート組成物の流動性が低下したりするという問題がある。従って、所望の引張強度耐性に十分なフック型鋼繊維を使用するとコンクリート組成物調製時の作業性が低下し、実用上の問題が生じる場合がある。
また、特許文献2に記載される如き、螺旋形状の鋼繊維は、製造が困難である。
さらに、特許文献1に記載のフック型鋼繊維と同様に、繊維同士が絡まり合い易く、ファイバーボールができたり、鋼繊維を含むコンクリート組成物の流動性が低下したりするという問題がある。
一方、特許文献3に記載の鋼繊維は、細径の鋼繊維を撚り合わせて作製するため、製造工程が煩雑である。また、細径鋼繊維を撚り合わせることにより、鋼繊維の表面積が向上し、セメント硬化体におけるセメントとの付着面積が大きくなるが、撚り合わせによる表面の凹凸が小さいために、セメントマトリックスとの密着力は、表面積の増加に比較して充分ではないことが判明した。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、セメント硬化体に用いた場合、セメント硬化体の変形時における鋼繊維の引抜きが抑制され、セメント硬化体に対し、優れた補強効果を付与しうるセメント硬化体補強用鋼繊維を提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、セメント硬化体の変形時における鋼繊維の引抜きが抑制され、セメント硬化体に対し、優れた補強効果を付与しうるセメント組成物を提供することである。
本開示は以下の実施形態を含む。
<1> 断面積が0.01mm~1mmの鋼繊維であって、レーザー顕微鏡を用いて、前記鋼繊維実表面の断面曲線を測定し、断面曲線にλf輪郭曲線フィルタで鋼繊維の概形からくる長波長成分を遮断し、且つ、短波長成分をカットオフ値3.0μmにて遮断して得られるうねり曲線において、下記(I)及び(II)で示す条件の少なくとも一方を満たすセメント硬化体補強用鋼繊維。
(I)うねり曲線におけるうねり曲線要素の平均高さWcが0.40μm~10.00μmである。
(II)うねり曲線におけるうねり曲線要素の平均長さWSmが10.0μm~80.0μmである。
ここで、λfは測定波長を表し、うねり曲線要素の平均高さWc及びうねり曲線要素の平均長さWSmは、JIS B0601(2013年)に定義されたパラメータである。
<2>前記(I)で示す条件、及び前記(II)で示す条件の双方を満たす<1>に記載のセメント硬化体補強用鋼繊維。
<3> 前記補強用鋼繊維は、形状が直線状であって、前記補強用鋼繊維の断面を円形に近似して算出された平均径に対する前記補強用鋼繊維の長さの比が10~120である<1>又は<2>に記載のセメント硬化体補強用鋼繊維。
<4> <1>~<3>のいずれか1項に記載のセメント硬化体補強用鋼繊維を含むセメント組成物。
本発明の一実施形態によれば、セメント硬化体に用いた場合、セメント硬化体の変形時における鋼繊維の引抜きが抑制され、セメント硬化体に対し、優れた補強効果を付与しうるセメント硬化体補強用鋼繊維を提供することができる。
本発明の他の実施形態によれば、セメント硬化体の変形時における鋼繊維の引抜きが抑制され、セメント硬化体に対し、優れた補強効果を付与しうるセメント組成物を提供することができる。
本開示の補強用鋼繊維の一例である断面形状が円形の補強用鋼繊維の長さ方向に垂直な概略断面図及びその部分拡大図である。 図1に示す補強用鋼繊維断面の部分拡大図におけるうねり曲線の部分拡大断面図において、うねり曲線要素よりうねり曲線要素の平均高さWcを算出するための補助線を付した態様を示し、且つ、鋼繊維の表面に形成された凹部にセメント粒子が保持された状態を模式的に示す概略図である。 図1に示す補強用鋼繊維断面の部分拡大図におけるうねり曲線の部分拡大断面図において、うねり曲線要素よりうねり曲線要素の平均長さWSmを算出するための補助線を付した態様を示し、且つ、鋼繊維の表面に形成された凹部にセメント粒子が保持された状態を模式的に示す概略図である。 従来の補強用鋼繊維の一例である補強用鋼繊維断面におけるうねり曲線の部分拡大断面図において、補強用鋼繊維と該補強用鋼繊維の周辺に存在するセメント粒子とを模式的に示す概略図である。 断面形状が円形であり、表面の凹凸が補強用鋼繊維の長さ方向に並行に形成された一例を示す斜視図及びその断面における部分拡大図である。 断面形状が円形であり、表面の凹凸が補強用鋼繊維の周方向に形成された一例を示す斜視図及びその断面における部分拡大図である。 (A)~(G)は、本開示の補強用鋼繊維の断面形状の変型例を示す概略図である。 実施例1、実施例2及び比較例1の補強用鋼繊維の、セメント硬化体からの引抜強度を測定した結果を示すグラフである。
以下、本開示のセメント硬化体補強用鋼繊維について詳細に説明する。
本開示において「~」を用いて記載した数値範囲は、「~」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を表す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示における「セメント硬化体」の文言は、セメントにさらに粗骨材を含む「コンクリート硬化体」及び細骨材を含み粗骨材を含まない「モルタル硬化体」を包含する意味で用いられる。セメント硬化体とは、水を含むセメント組成物を混合して型枠に投入し、硬化させてなる硬化体を指す。
なお、セメント硬化体の材料となる硬化前の「セメント組成物」も同様に、「コンクリート組成物」及び「モルタル組成物」を包含する意味で用いられる。
本開示では、以下、セメント硬化体補強用鋼繊維を、単に「補強用鋼繊維」と称することがある。
〔セメント硬化体補強用鋼繊維:補強用鋼繊維〕
本開示の補強用鋼繊維は、断面積が0.01mm~1.0mmの鋼繊維であって、レーザー顕微鏡を用いて、前記鋼繊維実表面の断面曲線を測定し、断面曲線にλf輪郭曲線フィルタで鋼繊維の概形からくる長波長成分を遮断し、且つ、短波長成分をカットオフ値3.0μmにて遮断して得られるうねり曲線において、下記(I)及び(II)で示す条件の少なくとも一方を満たすセメント硬化体補強用鋼繊維である。
(I)うねり曲線におけるうねり曲線要素の平均高さWcが0.40μm~10.00μmである。
(II)うねり曲線におけるうねり曲線要素の平均長さWSmが10.0μm~80.0μmである。
ここで、λfは測定波長を表し、うねり曲線要素の平均高さWc及びうねり曲線要素の平均長さWSmは、JIS B0601(2013年)に定義されたパラメータである。
本開示の作用は明確ではないが、以下のように考えている。
一般に、セメント硬化体に曲げ応力、引張応力等が与えられると、セメント硬化体の変形に伴い、セメント硬化体にひび割れが入り、ひび割れ面にある鋼繊維は引抜かれる。
本開示の補強用鋼繊維は、レーザー顕微鏡を用いて、実表面の断面曲線を測定し、断面曲線から円筒状など補強用鋼繊維の概形からくる成分波長をλf輪郭曲線フィルタによって除去し、またレーザー顕微鏡の最小解像度を考慮して、断面曲線から短波長成分を、カットオフ値を3μmとして遮断して得られるうねり曲線において、うねり曲線要素の平均高さWcが0.40μm~10.00μmであること(条件(I))及びうねり曲線要素の平均長さWSmが10.0μm~80.0μmであること(条件(II))の少なくとも一方を満たすことで、セメント組成物中におけるセメント粒子の1つ1つが、セメント組成物の硬化前に、うねり曲線におけるうねりの頂部同士の間に形成された凹部の空隙に入り込み、セメントの水和反応が進んだ時に補強用鋼繊維とセメント組成物とのなじみが良好になる。セメント粒子が補強用鋼繊維の表面におけるうねり曲線の凹部の空隙内に入り込んだ状態でセメント組成物が硬化し、繊維混入セメント硬化体が形成される。形成された繊維混入セメント硬化体の内部では、補強用鋼繊維の表面のうねり曲線の凹部に入り込み、その後、硬化によりセメント硬化体内に固定化されたセメント粒子が、補強用鋼繊維に対してアンカー効果を発揮し、セメント硬化体に引張応力が掛った場合において、これまでには実現できなかった補強用鋼繊維のセメント硬化体からの引抜き耐性を発揮する。
このため、補強用鋼繊維がセメント硬化体から引抜かれることに起因するセメント硬化体の強度低下が抑制され、本開示の補強用鋼繊維を用いることで、セメント硬化体に対し、優れた補強効果を付与しうると考えている。
本開示の補強用鋼繊維は、断面積が0.01mm~1.0mmの範囲にあることで、未硬化のセメント組成物に配合された場合にも、流動性を著しく低下させることがなく、セメント組成物とのなじみがより良好となり、且つ、鋼繊維としての必要な強度を発揮できる。
なお、本開示は上記推定機構に何ら制限されない。
図1は、本開示の補強用鋼繊維の一例の、繊維の長さ方向に垂直な概略断面図及びその部分拡大図を示す。図1に示す態様では、補強用鋼繊維10の断面形状は円形である。また、部分拡大図に示す如き、補強用鋼繊維10の表面におけるうねり曲線は、図示はされていないが、繊維の長さ方向に垂直に、断面の表面の全周囲に亘り形成されている。
なお、図1では、うねり曲線の凹凸は補強用鋼繊維の表面の全面に亘り形成された態様を示している。しかし、本開示の補強用鋼繊維の凹凸の形成態様は、図1に示すものには限定されず、凹凸は補強用鋼繊維の表面の少なくとも一部に形成されていればよい。
本開示における補強用鋼繊維のうねり曲線は、以下のようにして得る。
即ち、JIS B0601(2013年)を参考にして、レーザー顕微鏡を用いて、補強用鋼繊維の実表面の断面曲線を測定する。図1に示す態様では、凹凸は補強用鋼繊維の周縁部である円周に添って形成されている。このような場合には、断面曲線から円筒状など補強用鋼繊維の補強用鋼繊維の概形からくる成分波長をλf輪郭曲線フィルタによって除去し、また、レーザー顕微鏡の最小解像度の波長を除去した断面曲線から、カットオフ値を3μmとして短波長成分を遮断して、粗さ曲線とうねり曲線にわけて、うねり曲線を得る。ここで、粗さ曲線は、補強用鋼繊維の概形を示すうねり曲線に沿って形成された微細な凹凸を測定した曲線であり、補強用鋼繊維の性能に影響を与え難い凹凸を示す。
後述の図4に示す如き鋼繊維では、凹凸が補強用鋼繊維の周方向に形成されており、曲面ではなく平面上に形成されている態様を示す。このため、図4に示す凹凸の形成態様においては、λf輪郭曲線フィルタによる長波長成分の除去は必ずしも必要ではないが、長波長成分による測定誤差を小さくし得るという観点からは、λf輪郭曲線フィルタによる長波長成分の除去は有用であると考えている。
うねり曲線を得るための実施例表面の断面曲線の測定は、公知のレーザー顕微鏡により測定することができる。
本開示では、うねり曲線は、レーザー顕微鏡として、KEYENCE(株)製、形状測定レーザマイクロスコープ VK-X200(商品名)を用い、バイオレットレーザー(波長:408nm)で測定した結果を採用している。なお、うねり曲線は、KEYENCE(株)製、コントローラ VK-X250(商品名)及び同等の精度を有する装置によっても測定可能である。
補強用鋼繊維10に対し、レーザー顕微鏡を用いて、補強用鋼繊維の実表面の断面曲線を測定し、上記手順において得られた補強用鋼繊維表面のうねり曲線において、うねり曲線要素(JIS B0601:2013 3.1.7:うねり曲線要素、及び3.2.7:輪郭曲線要素の項参照)とは、例えば、図2Aに示すうねり曲線に付された平均線(うねり曲線の凹凸の平均値から求められる平均値を示す直線)とうねり曲線とが3回交差して区画された、平均線より上(平均線よりも目視にて上方)の部分と、平均線より下の部分が1回ずつ現れる領域を指す。即ち、うねり曲線要素には、うねり曲線の平均線を跨いだ凸部と凹部とがそれぞれ1つ含まれる領域である。
うねり曲線要素の平均高さWc及びうねり曲線要素の平均長さWSmは、JIS B0601(2013年)に定義されたパラメータである。
図2Aに、うねり曲線要素の平均高さWcの測定方法の概要を示す。図2Aに示す概略断面図において、補強用鋼繊維の表面と平行に記載された平均線とうねり曲線とが3回交差し、平均線より上の部分と、平均線より下の部分が1回ずつ現れる領域であって、平均線と直交する直線で区画された領域がうねり曲線要素である。図2A及び後述の図2Bにおける前記平均線と直交する直線は、うねり曲線要素の領域を明示するために記載した補助線である。
図2Aにおいて、直線で区画されたうねり曲線要素の領域のそれぞれにおけるうねり曲線の高さ(Zt)は、うねり曲線要素の領域内における曲線の凸部の最高点と凹部の最低点との距離を指す。そして、うねり曲線の平均高さWcは、測定対象距離内におけるZtの平均値であり、例えば、図2Aに記載された高さZt1、Zt2、Zt3、Zt4、Zt5、・・・の平均値である。下記式によれば、高さZt1、Zt2、・・・Ztmの平均値である。
Figure 0007151962000001
図2Bに、うねり曲線要素の平均長さWSmの測定方法の概要を示す。図2Bに示す概略断面図においても、既述の図2Aと同様に、補強用鋼繊維の表面と平行に記載された平均線とうねり曲線とが3回交差し平均線より上の部分と、平均線より下の部分が1回ずつ現れる領域であって、平均線と直交する直線で区画された領域がうねり曲線要素である。それぞれのうねり曲線要素の領域内における長さ(Xs)は、うねり曲線要素の長さ、即ち、うねり曲線要素を区画する、平均線と直交する隣接する線同士の距離を指す。そして、うねり曲線の平均高さWSmは、測定対象距離内におけるXsの平均値であり、例えば、図2Bに記載された長さXs1、Xs2、Xs3、Xs4、・・・の平均値である。下記式によれば、長さXs1、Xs2、・・・Xsmの平均値である。
Figure 0007151962000002
鋼繊維の断面積は、0.01mm~1.0mmの範囲であり、0.05mm~0.8mmが好ましく、0.1mm~0.5mmがより好ましい。
セメント硬化体中の補強用鋼繊維の断面積を算出する目的で、直径を測定する場合、セメント硬化体を湿式カッター等で切り出し、切断面に露出した繊維における直径を測定する方法と、セメント硬化体をウォータージェット、電動はつり等により微粉砕し、セメント硬化体から補強用鋼繊維を取り出して、直接測定する方法の2種類のいずれかにより行う。
補強用鋼繊維の断面形状は、上記断面積を満たす限り任意である。後述するように、補強用鋼繊維の断面形状は、例えば、円形、楕円形、三角形、多角形、及び星型多角形などが想定される。
補強効果を高めるためには、セメント組成物中に細径の補強用鋼繊維が大量に入っていることが好ましいが、セメント組成物の流動性の観点からは、太径の補強用鋼繊維が大量に入っている方が好ましく、両者は相反する作用を示す。両者のバランスを考慮した結果、補強用鋼繊維の断面積が0.01mm~1.0mmの範囲において、セメント硬化体に対する補強効果が充分に得られることを見出し、補強用鋼繊維の断面積を上記の如く規定したものである。
補強用鋼繊維の表面に形成された凹凸のうねり曲線の凹部にセメント粒子が入り込むことにより、セメント硬化体からの補強用鋼繊維の引抜き耐性が向上する。図2A及び図2Bは、補強用鋼繊維のうねり曲線の頂部間の空隙にセメント粒子16が入り込んだ状態を表す模式図である。補強用鋼繊維の凹部中に、セメント硬化体の強度発現に寄与する結合材であるセメント粒子16が入り込んだままの状態でセメント組成物が硬化してセメント硬化体が形成されると、セメント硬化体と補強用鋼繊維10との密着性が充分に発現する。
なお、模式的に示すセメント粒子16の態様に明らかなように、セメント粒子16は、補強用鋼繊維10の凹部の空間に必ずしも全体が収まらなくても、セメント粒子16の少なくとも一部が補強用鋼繊維10の凹部の空間に進入して固定化されれば本開示の効果を発現しうる。
本明細書において、補強用鋼繊維表面におけるうねり曲線及びうねり曲線要素は、既述の方法により測定することができる。
図3は、従来の補強用鋼繊維の一例である補強用鋼繊維断面におけるうねり曲線の部分拡大断面図において、補強用鋼繊維と該補強用鋼繊維の周辺に存在するセメント粒子とを模式的に示す概略図である。図3に示す従来の補強用鋼繊維20のうねり曲線の部分拡大断面図において、補強用鋼繊維20と該補強用鋼繊維の周辺に存在するセメント粒子16とが模式的に示されている。図3に示すように、従来の補強用鋼繊維20は、その製造方法に由来して、何らの加工を行わなくても、表面に微細な凹凸を有することがある。表面加工を行っていない補強用鋼繊維(従来品)20の表面のうねり曲線におけるうねり曲線要素の高さWc及びうねり曲線要素の長さWSmは、いずれも通常は0.3μm以下であり、セメント粒子を保持し得ないサイズである。
一般的には、表面積の増加に伴い、固体と、固体を含むマトリックスとの密着性が向上することが知られている。しかし、セメント硬化体と補強用鋼繊維との密着性向上効果は、硬化に寄与する結合材であるセメント粒子を、その少なくとも一部においても保持し得ない空隙を有する微細な凹凸が形成されている場合には、たとえ、加工前の比表面積に対して、加工後の比表面積がより大きくなった場合でも、セメント硬化体と補強用鋼繊維との密着性向上には殆ど寄与しないことが、本発明者らの検討から明らかになった。
セメントの粒子は均一ではなく、ある程度のばらつきを持つ粒子の集合体である。セメント粒子の平均粒子径が小さい、言い換えれば、セメントの比表面積が大きい程、反応性が高くなり、強度発現が早期に行われる。一方で、セメントの比表面積はおなじでも粒度分布は異なることがある。
一般に、セメント粒子の粒度分布は文献値〔例えば、技術情報誌CEM’S 70号,pp14-15、太平洋セメント株式会社(2016年)〕によれば、分布がシャープなセメントでも、分布が比較的広いセメントでも、粒径が1μm未満のセメント粒子及び粒径が50μmを超えるセメント粒子は、いずれも殆ど存在しないことがわかる。
従って、本開示の補強用鋼繊維においては、表面のうねり曲線要素の平均高さWcを0.4μm~1.0μmとすること(条件(I))、及びうねり曲線要素の平均長さWSmを10.0μm~80.0μmとすること(条件(II))の少なくとも一方の条件を満たすことで、うねり曲線の隣接する頂部間に形成された凹部にセメント粒子が入り込み易くなる。
前記文献に記載のセメントの粒子の粒度分布〔図-1〕では、分布がシャープなセメント粒子の最頻値は10μm~20μm程度であり、分布が比較的広いセメント粒子の最頻値は20μm~30μm程度である。〔図-1〕によれば、セメント粒子のうち大部分の粒子径は、1μm~50μmの範囲に包含されることがわかる。このため、凸部間の距離を、本開示において、既述のうねり曲線要素の平均長さWSmを10.0μm~80.0μmとすることで、積算分布から、セメント粒子のうち60%以上の粒子がうねり曲線の頂部間の空隙に入り込むことができ、より確実な密着性向上効果を得ることができると考えている。
本開示の補強用鋼繊維では、うねり曲線要素の平均高さWcが0.40μm~10.00μmであり、且つ、補強用鋼繊維の長さが1mm~60mmであることが好ましい。
補強用鋼繊維の少なくとも一部に形成されたうねり曲線要素の平均高さWcを、セメント粒子16のサイズ分布に適合させたサイズである0.40μm~10.00μmとすることで、うねり曲線要素の平均高さが、セメント粒子16が入り込みやすいサイズである、多くのセメント粒子16の直径に対して同等以上の高さの凹凸を有することとなる。このため、うねり曲線の凹部にセメント粒子16が入り込んだ場合、セメント粒子16が凹部の空隙内に保持され易くなり、セメント硬化体と補強用鋼繊維との密着性がより向上する。一方、うねり曲線要素の平均高さの上限値があまり大きくなりすぎると、補強用鋼繊維において局部的に直径が小さくなるところができる場合がある。
本開示の補強用鋼繊維は、断面積が0.01mm~1.0mmであり、断面を円形と想定すると、約0.1mm~1mmの直径が想定されるため、1本当たりの鋼繊維における欠陥をより少なくするという観点から、うねり曲線要素の平均高さWcの上限値を10.00μmとした。
既述の観点から、図2Aにおける凹凸の深さの平均値であるうねり曲線要素の平均高さWcは、0.40μm~10.00μmであり、1.00μm~9.50μmであることが好ましく、2.00μm~9.00μmであることがさらに好ましい。
補強用鋼繊維におけるうねり曲線において、図2Bにて示すうねり曲線要素の平均長さWSmは10.0μm~80.0μmである。補強用鋼繊維の少なくとも一部に形成されたうねり曲線要素の平均長さWSmを、セメント粒子16のサイズ分布に適合させたサイズである10.0μm~80.0μmとすることで、セメント粒子が、補強用鋼繊維のうねり曲線におけるうねりの頂部同士の間に形成された凹部の空隙に入り込み、補強用鋼繊維とセメント組成物とのなじみが良好になる。その結果としてセメント硬化体内における補強用鋼繊維のアンカー効果が十分に発揮されると考えられる。
うねり曲線要素の平均長さWSmは、20.0μm~75.0μmが好ましく、30.0μm~70.0μmがより好ましい。
本開示の補強用鋼繊維は、断面積が0.01mm~1mmの範囲であれば、断面形状には特に制限はなく、例えば、図1に示す断面が円形の鋼繊維以外にも、種々の変型例をとることができる。
図6(A)~(G)は、本開示の補強用鋼繊維の断面形状の変型例を示す概略図である。断面形状として、楕円形、三角形、四角形、星形などの変形例をとることができる。
また、複数本の鋼繊維が撚り合わされた形状であってもよい。複数本の鋼繊維が撚り合わされた補強用鋼繊維の断面積は、撚り合わされた細線の断面積の合計値である。
複数本の鋼繊維を撚り合わせることで、それぞれの繊維表面のうねり曲線における凹部と、撚り合わされた鋼繊維間の空隙との双方にセメント粒子が保持され、セメント硬化体と補強用鋼繊維との密着性が良好となる。
なお、本開示の補強用鋼繊維の条件に当てはまらない鋼繊維を複数本撚り合わせても、撚り合わされた鋼繊維間の空隙に入り込んだセメント硬化体のみでは、本開示の補強用鋼繊維の如き耐引抜き性は達成し得ない。これは、撚り合わされた鋼繊維間に形成された空隙がセメント粒子によるアンカー効果を発現するには大きすぎるためであり、各々の鋼繊維のミクロ構造であるうねり曲線の条件を満たすことがアンカー効果の発現に重要なためと考えられる。
図4は、図1に概略断面図にて示す如き、断面形状が円形であり、表面の凹凸が補強用鋼繊維の周方向に並行に形成された態様を示す斜視図である。
図4に示す如き補強用鋼繊維の製造方法は任意であり、まず、鋼繊維を製造し、繊維の表面を、長さ方向に切削又は研磨して凹凸を形成してもよく、鋼製の薄板を作製し、両面を切削して凹凸を形成し、裁断して鋼繊維としてもよく、溶鋼から鋼繊維を抽出する際に用いる先端がねじやま状のディスクとして、溶鋼が接するディスクの溝部分の表面に凹凸を形成したものを用いて、鋼繊維を抽出してもよく、まず、鋼繊維を製造し、表面を化学薬品で溶かして凹凸を形成してもよい。
なかでも、鋼繊維の表面を長さ方向に切削または研磨する方法が、所望の条件を満たすうねり曲線を形成しやすいという観点から好ましい。
本開示の補強用鋼繊維の他の態様として、鋼繊維の表面の凹凸が、補強用鋼繊維の長さ方向に並行に形成された態様を挙げることができる。図5は、鋼繊維の表面において、うねり曲線を鋼繊維の長さ方向に並行に有する補強用鋼繊維の一例22を示す斜視図である。
なお、うねり曲線の態様は、図4及び図5に示す態様に限定されず、鋼繊維の長さ方向に間隔を置いて周方向のうねり曲線が複数本ずつ形成された態様でもよく、螺旋状の凹部が連続的に形成され、1本のうねり曲線が連続的に鋼繊維の表面に形成されることで表面における長さ方向に並行なうねり曲線が形成された態様であってもよい。
また、鋼繊維表面にブラスト処理等により不連続な凹部を多数形成する粗面化処理によっても、鋼繊維の表面にうねり曲線を形成することができる。
なお、既述のうねり曲線要素の測定方法におけるうねり曲線の検出方法は任意であり、例えば、ブラスト処理を行なって凹凸を形成した場合には、断面曲線のうねり曲線の測定方向はランダムであってもかまわない。
他方、図4に示す如き凹凸の形成方向の断面を有する場合には、断面曲線の測定方向は、鋼繊維の円周に添う方向であることが、より正確なうねり曲線を測定できる。また、図5に示す如き凹凸の形成方向の断面を有する場合には、断面曲線の測定方向は、鋼繊維の長さ方向に添う方向であることが、より正確なうねり曲線を測定できる。
従って、凹凸の凹部が直線状に形成されている場合には、連続して形成された凹部の形成方向と直交する方向にて断面曲線を測定することが好ましい。この方向にて測定することで、うねり曲線要素の平均長さWsmは最小となり、より効果に則した測定が可能となる。
図5に示す如き補強用鋼繊維の製造方法は任意であり、まず、鋼繊維を製造し、繊維の表面を、周方向に切削または研磨して凹凸を形成してもよく、鋼繊維を回転させながら螺旋状の凹部を切削して凹凸を形成してもよく、溶鋼から鋼繊維を抽出する際に溶出口を拡大縮小させながら凹凸を形成してもよく、鋼繊維を回転させながら化学薬品を用いて鋼繊維を溶かして凹凸を形成してもよい。
なかでも、鋼繊維の表面を周方向に切削または研磨する方法が、所望の条件を満たす凹凸を形成しやすいという観点から好ましい。
既述のように、例えば、より太い直径を有する両端フック型鋼繊維などは、鋼繊維自体の強度が大きく、応力に対する変形への抵抗力も大きいが、含有量が多くなるとセメント組成物の流動性に影響を与える場合がある。
本開示の補強用鋼繊維は、セメント組成物の流動性に影響を与え難い、断面積が0.01mm~1.0mmの範囲であっても、表面に形成された所定のうねり曲線要素の平均長さWSm及び平均高さWcに起因して、セメント硬化体との充分な密着強度を発現できる。
本開示の補強用鋼繊維の形状について、直線状(ストレート)の鋼繊維について述べたが、補強用鋼繊維の形状は直線状に限定されず、上記条件を満たす鋼繊維であれば、例えば、両端にフックが形成された鋼繊維であってもよく、波形の曲線状の鋼繊維であってもよい。
なかでも、セメント組成物の調製時における流動性がより良好であるという観点から、補強用鋼繊維は、形状が端部にフックを有しない直線状であることが好ましい。
なお、セメント組成物の流動性がより良好であるという観点からは、補強用鋼繊維の長さ(全長)は60mm以下であることが好ましく、30mm以下であることがより好ましい。
補強用鋼繊維の長さの下限値には特に制限はないが、取り扱い性の観点からは長さが1mm以上であることが好ましい。
さらに、補強用鋼繊維は、形状が端部にフックを有しない直線状であって、補強用鋼繊維の断面を円形に近似して算出された平均径に対する前記補強用鋼繊維の長さの比が10~120であることが、効果を損なわず、且つ、セメント組成物の調製がより容易であるという観点から好ましい。
補強用鋼繊維の断面を円形に近似して算出された平均径に対する前記補強用鋼繊維の長さの比は、20~110であることがより好ましく、30~110であることがさらに好ましい。
また、補強用鋼繊維(素線)の引張強度としては、400MPa以上であることが好ましく、500MPa以上であることがより好ましく、1000MPa以上であることがさらに好ましい。
一般に、素線の強度が高いほど補強繊維としては有効であり、上限値には特に制限はない。しかし、加工性などを考慮すれば、引張強度は5000MPa以下とすることができる。
補強用鋼繊維を構成する鋼繊維(素線)の引張強度は、土木学会「コンクリート用鋼繊維品質規格(案)(JSCE-E101-2007)の付属書(規定)「鋼繊維の引張強度試験方法」に準じて評価している。
載荷試験にはインストロン社製万能試験機モデル55R1125を用い、変位速度をクロスヘッド速度で0.2mm/minで引張って試験した。5本の試験結果の平均値を試験値とした。本開示の補強用鋼繊維の規格においては平板用チャックで固定する。補強用鋼繊維の断面積は最大値で1.0mm(断面形状を円形とすれば、半径は約564μm)であり、既述の方法で正確な強度を測定できる。しかし、補強用鋼繊維の断面積が約0.03mm(断面形状を円形とすれば、直径は約200μm)程度以下の場合には、平板用チャックによる固定では細線である補強用鋼繊維が破断しやすくなり、測定に支障をきたす場合がある。そのような場合には、補強用鋼繊維を、空気キャプスタン型糸つかみ具(島津製作所製)を用い、引っ張り方向に対して円筒部分を半周回った位置に補強用鋼繊維の固定部を設けて、つかみ部分で破断しないようにして試験することができる。
このような引張強度を達成する補強用鋼繊維を構成する鋼繊維(素線)の素材としては、目的に応じた引張強度を達成しうる限り、特に制限はない。
鋼繊維(素線)の具体例としては、例えば、JIS G 7305「ばね用鋼線-第2部:冷間引抜炭素鋼線(ISO仕様)」、JIS G 7306「ばね用鋼線-第3部:オイルテンパー線(ISO仕様)」、JIS G 3522「ピアノ線」、JIS G 3521「硬鋼線」等を使用することが好ましい。しかし、既述のように、これらの具体例に限定されない。
また、耐食性の観点からは、まず、鋼繊維表面に凹凸を形成し、その後、形成された凹凸形状を保持し得る条件にて、表面にブラスメッキ、亜鉛メッキ等のメッキ塗装、防錆剤の塗付、防錆剤への浸漬等による防錆処理を施した素材を用いてもよい。
〔セメント組成物〕
本開示のセメント組成物は、既述の本開示の補強用鋼繊維を含む。
本開示のセメント組成物における本開示の補強用鋼繊維の使用方法には特に制限はなく、公知のセメント硬化体補強用鋼繊維と同様に、未硬化のセメント組成物に含有させて使用することができる。
セメント組成物における補強用鋼繊維の含有率は、目的に応じて適宜選択することができる。通常は、セメント組成物全量に対し、0.2容量%~3.0容量%とすることができ、1.0容量%~3.0容量%の範囲であることがより好ましい。
セメント組成物に対する本開示の補強用鋼繊維の含有量が上記範囲において、未硬化のセメント組成物の流動性を損なうことなく、得られるセメント硬化体に対する有効な補強効果が達成される。
本開示の補強用鋼繊維が適用されるセメント組成物には特に制限はなく、一般的に用いられるセメント組成物に適宜使用することができる。
セメント組成物の一例を挙げれば、セメント、所望により含有される各種骨材、シリカフューム、フライアッシュ、水、及び既述の本開示の補強用鋼繊維を所定の含有量で含むセメント組成物が挙げられる。
(セメント組成物の各成分)
以下、本開示の補強用鋼繊維が適用されるセメント組成物に用いられる材料について述べる。
また、少なくとも、水、及びセメントを含み、さらに、その他に、シリカフューム、フライアッシュなどのその他の結合材を含有し、目的に応じて、さらに、細骨材、粗骨材などの骨材、及び、減水剤などを含有する。
本明細書において結合材とは、セメント硬化体の主成分であるセメント、及び一般にセメントと共に用いられるシリカフューム、スラグ、フライアッシュなどのセメント組成物中において水和反応し、セメント硬化体の硬化に関与する微粉末等の固形分材料を包含する意味で用いられる。なお、骨材、流動化向上のために添加される界面活性剤は本発明における結合材には包含されない。
(セメント)
セメント硬化体の製造に用いられるセメントには特に制限はなく、目的に応じて、各種セメント類の中から、適宜選択することができる。セメントとしては、普通ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメントなどの公知のセメントはいずれも好適に使用しうる。
また、予めシリカフュームを含有するポルトランドセメントを用いてもよい。シリカフュームを含有するポルトランドセメントは市販品としても入手可能であり、例えば、宇部三菱セメント社製、商品名:シリカフュームセメントスーパー、シリカフュームセメント、太平洋セメント社製:シリカフュームプレミックスセメント等が挙げられる。
(結合材)
セメント硬化体を製造するに際して、本開示の効果を損なわない限りにおいて、調製されるセメント組成物の用途に応じて、他の結合材を適宜選択して、適切な使用量で使用してもよい。
その他の結合材としては、シリカフューム、結晶質のシリカを微粉砕したシリカ微粉末、高炉スラグ微粉末などのスラグ、石灰石微粉末、フライアッシュなどが挙げられる。
(骨材)
セメント硬化体を製造するためのセメント組成物には、骨材を含有する。
(細骨材)
細骨材は、良質で堅固な天然砂、砕砂、加工砂などが使用される。細骨材の種類と、含有量とは、目標とするセメント硬化体の強度に応じて適宜選定すればよい。
(粗骨材)
骨材として、細骨材に加えて、さらに粗骨材を使用する場合には、良質で堅固な粗骨材を用いればよい。粗骨材の最大寸法は粒径(最大粒径)が20mm以下であることを要する。なお、本明細書における「セメント組成物」の文言は、骨材として粗骨材をさらに含む「コンクリート組成物」をも包含する意味で用いられる。
(その他の成分)
セメント組成物には、目的に応じて、さらに、減水剤、遅延剤など、コンクリート組成物に通常用いられる他の成分を含むことができる。
セメント硬化体は、既述のような各成分を適宜含有するセメント組成物を硬化させ、所望により養生を行うことで得られる。
以下、本開示の補強用鋼繊維について、実施例を挙げてさらに詳細に説明するが、本開示は以下の具体例に何ら制限されるものではない。
(実施例1、2、比較例1、2、3)
以下の実施例では、下記モルタル組成物を用いた例を挙げる。
〔モルタル組成物1の配合〕
(使用材料)
セメント:シリカフュームセメント 1530kg/m
(商品名:宇部三菱社製、密度3.04g/cm、略称:SFC)
水:水道水 185kg/m
細骨材:三河珪砂R6号
(粒度D50 212μm、密度2.6g/cm) 765kg/m
混和剤:SSP-104改良品:(商品名:竹本油脂社製、固形分3.5質量%)
60kg/m
消泡剤:AFK-2(商品名:竹本油脂社製 密度:1g/cm
0.5kg/m
本開示の補強用鋼繊維(C):
(C-1)断面積0.0314mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-1)を作製した。
補強用鋼繊維(C-1)表面のうねり曲線は、KEYENCE(株)製、形状測定レーザマイクロしコープ VK-X200(商品名)を用いて測定した実表面の断面曲線を、円筒状など繊維の外径の成分を除去するため、λf輪郭曲線フィルタで鋼繊維の概形からくる長波長成分を遮断した。さらに、本開示の効果であるセメント粒子のアンカー効果に寄与しない、うねり曲線における長い周期の波長を削除するため、基準長さを80μmとし、80μm以上の長波長を除去した。また、レーザー顕微鏡の最小解像度である0.1μm以下の波長を除去した断面曲線から、カットオフ値を3.0μmとして、粗さ曲線とうねり曲線にわけてうねり曲線を得た。得られたうねり曲線から測定したC-1のうねり曲線要素の平均長さWSmは32.5μm、うねり曲線要素の平均高さWcは2.87μmであり、表面積比は1.34であった。
なお、上記補強用鋼繊維における表面積比は、全く凹凸がない円柱繊維を基準として、凹凸の度合いを下記式により規定した値である。
即ち、凹凸が無い円柱状の繊維の表面積をA、凹凸が無い円柱状の繊維と同じ径の繊維に対して、表面に凹凸を与えて表面積を増加させた繊維の表面積をBとして、下記式により規定した値である。下記式にて表される表面積比の数値が大きいほど、凹凸が多いと評価する。
(式) 表面積比=ln(A/B)
(C-2)断面積0.0314mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-2)を作製した。
補強用鋼繊維(C-2)表面のうねり曲線要素の平均長さWSmと平均高さWcとを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは20.5μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcは0.45μmであり、表面積比は1.54であった。
比較補強用鋼繊維(D-1):
(D-1)断面積0.0314mmの鋼繊維の表面を何ら加工することなく、そのまま比較補強用鋼繊維(D-1)とした。
補強用鋼繊維(D-1)表面のうねり曲線及び表面積比を、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、9.5μmであり、うねり曲線の平均高さWcは0.29μmあり、表面積比は1.55であった。
比較補強用鋼繊維(D-2):
(D-2)断面積0.0314mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(D-2)を作製した。
補強用鋼繊維(D-2)表面のうねり曲線要素の平均長さWSmと平均高さWcとを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは95.0μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcは0.25μmであり、表面積比は1.44であった。
比較補強用鋼繊維(D-3):
(D-3)断面積0.0314mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(D-3)を作製した。
補強用鋼繊維(D-3)表面のうねり曲線要素の平均長さWSmと平均高さWcとを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは100.0μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcは14.00μmであり、表面積比は1.51であった。
(補強用鋼繊維の評価)
既述のモルタル組成物を型枠に投入し、得られた補強用鋼繊維を短く裁断せず、伸線のまま用いて、投入したモルタル組成物に深さ1cmで埋め込み、モルタル組成物を型枠内で硬化後、蒸気養生72時間の条件で養生して硬化させ、脱型して評価用のモルタル硬化体を得た。
-鋼繊維の引抜き強度-
セメント硬化体を、引張試験機(島津製作所社製、万能試験機オートグラフ)の治具に固定し、セメント硬化体から突出している補強用鋼繊維の先端を平板用チャックで固定し、上記引張試験機を用いて、以下の条件で鋼繊維のセメント硬化体からの引抜き強度を測定した。結果を表1に示す。表1には、変位5.00mmにおける引抜き強度を示す。
また、代表例として、上記のうち、実施例1、実施例2及び比較例1については、セメント硬化体の変位と引抜応力との関連を測定したグラフを、図7に示す。
-引抜荷重増加指数-
対照例である表面未加工の各比較例の補強鋼繊維の引抜強度に対する、凹凸を形成した各実施例の補強用鋼繊維の引抜強度の抜強度増加指数を下記式により算出した。
抜強度増加指数=〔凹凸を形成した補強用鋼繊維の引抜強度/表面未加工の比較補強用鋼繊維の引抜強度〕
結果を表1に示す。なお、本発明においては、引抜荷重増加指数を1.40以上にすることを目標にした。
Figure 0007151962000003

表1に記載の補強用鋼繊維の引抜試験の結果、表面未加工の比較補強用鋼繊維(D-1)に比較して、実施例1及び実施例2の補強用鋼繊維(C-1)及び(C-2)は、引抜き強度が、例えば、変位5.00mmにおいて1.40倍以上となることがわかる(実施例1は3627MPa、実施例2は2215MPa、比較例1は1527MPa)。また、比較鋼繊維(D-1)は、実施例2の鋼繊維(C-2)と、表面積比が同等であるが、引抜き強度が大幅に改良されており、鋼繊維表面の表面積比よりも、鋼繊維表面に形成されたうねり曲線の形状が引抜き強度に大きく寄与することがわかる。
引抜荷重増加指数評価の結果より、引抜き強度に着目した場合、実施例の補強用鋼繊維をセメント硬化体の補強用として混入する場合、未加工の鋼繊維を混入する場合に比較し、繊維補強効果は1.40倍以上となり、従来の表面未加工の鋼繊維に比較し、セメント硬化体の引張応力耐性が大幅に改良されることが期待できる。
一方、表面加工した繊維の中でも、Wc、およびWSmが請求項1に記載の範囲を満たさない比較鋼繊維(D-2)や比較鋼繊維(D-3)では、引抜荷重増加指数が目標値を下回る結果となった。
(実施例3~13、比較例4、5)
以下の実施例では、下記モルタル組成物を用いた例を挙げる。
〔モルタル組成物2の配合〕
(使用材料)
セメント:普通ポルトランドセメント 863kg/m
(商品名:太平洋セメント社製、密度3.16g/cm、略称)
水:水道水 276kg/m
細骨材:大井川産川砂
(密度2.57g/cm) 1035kg/m
混和剤:HP-11:(商品名:竹本油脂社製)
3.5kg/m
本開示の補強用鋼繊維(C):
(C-3)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-3)を作製した。
補強用鋼繊維(C-3)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは8.5μm、うねり曲線要素の平均高さWcは0.99μmであった。
(C-4)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-4)を作製した。
補強用鋼繊維(C-4)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、41.0μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcが3.31μmであった。
(C-5)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-5)を作製した。
補強用鋼繊維(C-5)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、10.0μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcは0.34μmであった。
(C-6)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-6)を作製した。
補強用鋼繊維(C-6)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、26.5μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcが3.16μmであった。
(C-7)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-7)を作製した。
補強用鋼繊維(C-7)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、16.5μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcが1.19μmであった。
(C-8)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-8)を作製した。
補強用鋼繊維(C-8)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、48.0μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcが4.87μmであった。
(C-9)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-9)を作製した。
補強用鋼繊維(C-9)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、20.0μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcが1.20μmであった。
(C-10)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-10)を作製した。
補強用鋼繊維(C-10)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、33.0μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcが2.85μmであった。
(C-11)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-11)を作製した。
補強用鋼繊維(C-11)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、65.0μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcが12.50μmであった。
(C-12)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-12)を作製した。
補強用鋼繊維(C-12)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、77.5μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcが8.82μmであった。
(C-13)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(C-13)を作製した。
補強用鋼繊維(C-13)表面のうねり曲線要素の平均長さと平均高さを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、93.0μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcが5.60μmであった。
比較補強用鋼繊維(D-4):
(D-4)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を何ら加工することなく、そのまま比較補強用鋼繊維(D-4)とした。
補強用鋼繊維(D-4)表面のうねり曲線及び表面積比を、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは、9.5μmであり、うねり曲線の平均高さWcは0.14μmであった。
比較補強用鋼繊維(D-5):
(D-5)断面積0.292mmの鋼繊維の表面を、繊維の長さ方向に研磨して、繊維の長さ方向に平行な凹凸を形成し、補強用鋼繊維(D-5)を作製した。
補強用鋼繊維(D-5)表面のうねり曲線要素の平均長さWSmと平均高さWcとを、補強用鋼繊維(C-1)と同様にして得たところ、うねり曲線要素の平均長さWSmは6.5μmであり、うねり曲線要素の平均高さWcは13.00μmであった。
(補強用鋼繊維の評価)
既述のモルタル組成物を型枠に投入し、得られた補強用鋼繊維を短く裁断せず、伸線のまま用いて、投入したモルタル組成物に深さ2cmで埋め込み、モルタル組成物を型枠内で硬化後、20℃95%RHで7日間養生して硬化させ、脱型して評価用のモルタル硬化体を得た。
セメント硬化体を、引張試験機(島津製作所社製、万能試験機オートグラフ)の治具に固定し、セメント硬化体から突出している補強用鋼繊維の先端を平板用チャックで固定し、上記引張試験機を用いて、以下の条件で鋼繊維のセメント硬化体からの引抜き強度を測定した。また、実施例1と同様にして引抜荷重増加指数を算出した。結果を表2に示す。
Figure 0007151962000004

実施例3~実施例12の補強用鋼繊維は、実施例1及び実施例2の補強用鋼繊維と比較して断面積がより小さく、且つ、引抜き強度試験に用いたモルタル組成物の組成が異なり、モルタル組成物1により得た硬化体に比較し、モルタル組成物2により得たセメント硬化体部分の強度が小さいことに起因して、引抜き強度が全体により低い傾向が見られた。
しかし、本水準における補強用鋼繊維の引抜試験の結果、本水準における対照例である表面未加工の比較補強用鋼繊維(D-4)に比較して、実施例3~実施例13の補強用鋼繊維(C-3)~(C-13)は、引抜き強度が、2倍以上となることがわかる。例えば、比較例2の46MPaに対し、実施例3は129MPa、実施例4は450MPa、実施例5は101MPaであった。
一方、比較例2、3と同様に、比較例5では、表面加工しているにも関わらず、引抜き強度はあまり増加せず、引抜荷重増加指数が目標とする1.40に達しなかった。
実施例1~実施例13、及び比較例1~比較例5の結果より、引抜荷重増加指数が目標とする1.40倍以上となるのは、本開示の条件(I)であるWcが0.40μm~10.00μmを満たすか、又は、本開示の条件(II)であるWSmが10.0μm~80.0μmである場合であることが確認された。
本開示の鋼繊維のうねり曲線における平均長さWSmの条件(II)に関しては、セメントの粒子が入り込む大きさと一致しており、平均高さWcの条件(I)に関しては、セメントの平均粒子径の半分の大きさと概ね一致しており、繊維の凹凸にセメント粒子が入り込んで付着を高めていると思われる。
また、いずれの補強繊維も直線状であり、未加工の鋼繊維と、研磨により凹凸を形成した鋼繊維との端部及び周縁部の形状には大きな変化がないため、セメント組成物を混練する際の、鋼繊維の含有に起因する施工不良が起きにくく、従来品と同程度の鋼繊維の大量混入が可能となることがわかる。
10、22 セメント硬化体補強用鋼繊維
20 従来のセメント硬化体補強用鋼繊維
16 セメント粒子

Claims (4)

  1. 断面積が0.01mm~1.0mmの鋼繊維であって、レーザー顕微鏡を用いて、前記鋼繊維実表面の断面曲線を測定し、断面曲線にλf輪郭曲線フィルタで鋼繊維の概形からくる長波長成分を遮断し、且つ、短波長成分をカットオフ値3.0μmにて遮断して得られるうねり曲線において、下記(I)及び(II)で示す条件の少なくとも一方を満たし、且つ、(I)で示す条件だけを満たすときは下記(III)で示す条件を満たし、(II)で示す条件だけを満たすときは下記(IV)で示す条件を満たすセメント硬化体補強用鋼繊維。
    (I)うねり曲線におけるうねり曲線要素の平均高さWcが0.40μm~10.00μmである。
    (II)うねり曲線におけるうねり曲線要素の平均長さWSmが10.0μm~80.0μmである。
    (III)うねり曲線におけるうねり曲線要素の平均長さWSmが1μm~93.0μmの範囲である。
    (IV)うねり曲線におけるうねり曲線要素の平均高さWcが0.34μm~50μmの範囲である。
    ここで、λfは測定波長を表し、うねり曲線要素の平均高さWc及びうねり曲線要素の平均長さWSmは、JIS B0601(2013年)に定義されたパラメータである。
  2. 前記(I)で示す条件、及び(II)で示す条件の双方を満たす請求項1に記載のセメント硬化体補強用鋼繊維。
  3. 前記補強用鋼繊維は、形状が直線状であって、前記補強用鋼繊維の断面を円形に近似して算出された平均径に対する前記補強用鋼繊維の長さの比が10~120である請求項1又は請求項2に記載のセメント硬化体補強用鋼繊維。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のセメント硬化体補強用鋼繊維を含有するセメント組成物。
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