JP6941434B2 - 繊維補強セメント系組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、鋼繊維を混入した繊維補強セメント系組成物に関する。
従来より、コンクリートの補強材として繊維補強材を混入することで引張強度や曲げ強度等の性状を改善した、繊維補強コンクリートが広く知られている。繊維補強コンクリートを製造するにあたっては、例えば特許文献1にて開示されているように、繊維補強材の繊維長や繊維径、もしくはコンクリート1m3に混入される繊維補強材の容積比率である繊維混入率を調整し、曲げ強度の増加を図っている。
特開2000−264708号公報
一般に、繊維補強材と、繊維補強材が混入されるセメントマトリックスとにより構成される繊維補強コンクリートは、セメントマトリックス1m3に対する繊維補強材の繊維混入率を増加させると、曲げ強度が向上する傾向にあることが知られている。
しかし、繊維混入率が増加するに従って、セメントマトリックス中に繊維補強材を均一に分散させることが困難となる。このため、繊維混入率を大きく設定すると、繊維補強コンクリートに設計時の曲げ強度を発現できない事態が生じたり、繊維同士が絡み合ってファイバーボールを形成することで部分的な欠陥が生じる、もしくは流動性が低下し、施工性に支障をきたすこととなりやすい。
一方で、繊維混入率を増加させても、繊維補強材とセメントマトリックスとの付着性が悪い場合には、繊維補強材のすり抜けが生じ繊維補強材が補強材として機能しない。このため、繊維長を長くしてセメントマトリックスとの接触面を増加させる等、繊維補強材の物性を変えて曲げ強度を向上させる方法も知られている。しかし、繊維長を長くした場合には、繊維補強材のセメントマトリックス中への分散性が低下するだけでなく、混練作業自体が困難となりやすい。
本発明は、かかる課題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、所望の曲げ強度を発現させることの可能な、繊維補強セメント系組成物を提供することである。
かかる目的を達成するため本発明の繊維補強セメント系組成物は、少なくともセメント系硬化材を含む結合材と水と骨材とが含有されたセメント系マトリックスに、繊維補強材を混入する繊維補強セメント系組成物であって、前記セメント系マトリックスが、水結合材比(W/B)15.5%以上30%以下であり、前記繊維補強材が、繊維径0.5mm以上0.55mm以下、繊維長さ35mm以上40mm以下、及び引張強度1850N/mm2以上1900N/mm2以下の鋼繊維よりなり、該繊維補強材の混入量は、前記セメント系マトリックス1m あたり48万本以上400万本以下であって、発現させようとする曲げ強度に対応するよう、少なくとも前記セメント系マトリックスと接着する前記繊維補強材全体の表面積に基づいて調整した本数が混入されていることを特徴とする。
本発明の繊維補強セメント系組成物は、曲げ強度が、5.5N/mm 2 以上であることを特徴とする。
本発明の繊維補強セメント系組成物は、前記セメント系マトリックスが、水結合材比(W/B)15.5%以上25.0%以下であり、曲げ強度が、20.0N/mm 2 以上であることを特徴とする。
本発明の繊維補強セメント系組成物は、セメント系マトリックスとの接着面を有する繊維補強材の混入量を混入本数で管理するから、製造しようとする繊維補強セメント系組成物の曲げ強度に影響を与えるセメント系マトリックスと接着する繊維補強材の全体の表面積や、セメント系マトリックス中に分散する繊維補強材の粗密状況等を、混入本数を増減させることにより調整できる。
したがって、繊維補強セメント系組成物の圧縮強度や繊維補強材の引抜き抵抗力にかかわらず、繊維補強セメント系組成物に発現させようとする曲げ荷重に対応した適切な混入量の繊維補強材を、セメント系マトリックスに混入させることができ、精度よくかつ経済的な繊維補強セメント系組成物を製造することが可能となる。
また、繊維補強材に、従来より繊維補強材として採用されている鋼繊維よりも細い繊維径の鋼繊維を採用することから、繊維混入率に換算すると同じ繊維混入率であっても、従来の鋼繊維を採用する場合よりも多量の本数が含まれるため、小さい繊維混入率で高い曲げ強度を発現させることが可能となる。
これに伴い、繊維補強セメント系組成物を製造する際の混練作業を困難にしたり流動性を低下させる等、施工性の低下を抑制することができるとともに、セメント系マトリックス中に繊維補強材を均一に分散させることができ、高品質な繊維補強セメント系組成物を製造することが可能となる。
さらに、繊維補強材が高い引張強度を備えることから、繊維補強セメント系組成物に曲げを生じさせる荷重が作用した際に、セメント系マトリックスと繊維補強材との付着が切れて引き抜けが生じる前に、繊維補強材が先行して切断する現象を抑制できるため、繊維補強材の混入本数によって調整した曲げ強度を確実に保持することが可能となる。
本発明によれば、繊維補強材に繊維径の細い鋼繊維を採用するとともに、繊維補強材を本数で管理することにより、曲げ強度に影響を与えるセメント系マトリックスと接着する繊維補強材の全体の表面積や、セメント系マトリックス中に分散する繊維補強材の粗密状況等を調整でき、精度よくかつ経済的に、繊維補強セメント系組成物に対して所望の曲げ強度を発現させることが可能となる。
本発明の繊維補強コンクリートの概要を示す図である。 本発明の繊維補強材を示す図である。 本発明の繊維補強材の性能を示す図である。 本発明の繊維補強材の本数と曲げ強度の関係を示す図である(その1)。 本発明の繊維補強材の本数と曲げ強度の関係を示す図である(その2)。
本発明の繊維補強セメント系組成物は、繊維補強材として繊維径0.6mm以下であり繊維長さが25mm以上40mm以下の鋼繊維を採用するとともに、所望の曲げ強度を発現させるべく、鋼繊維の混入量を混入本数で管理・調整するものである。以下に、図1〜図5を参照しつつ、その詳細を説明する。
図1で示すように、繊維補強セメント系組成物1は、結合材2と骨材3と水4とが含有されたセメント系マトリックス5に、繊維補強材6を混入してなる硬化物であり、この硬化物は、骨材3に細骨材31のみを採用したモルタルであってもよいし、細骨材31と粗骨材32を採用したコンクリートであってもよい。
セメント系マトリックス5をなす結合材2は、セメント系硬化材と混和材とを混合したものであり、セメント系硬化材の種類および混和材の種類は、なんら限定されるものではなく、また混和材は必ずしも含まれていなくてもよい。
繊維補強材6は、鋼繊維を採用しており、その物性は、少なくとも繊維径0.6mm以下、引張強度1300N/mm2以上、繊維長さ25mm以上40mm以下の直線状素材である。
繊維径は、より好ましくは0.5mm以上0.6mm以下である。これは、0.5mm未満では、製造コストが増大し不経済であるとともに、繊維径が細いことに伴って繊維混入の本数が増大し、未硬化時の流動性が低下しやすい。一方、0.6mmを超えると繊維混入の本数が減少することから、繊維補強材6における全体の表面積が低下するため付着荷重が低下し、ある範囲以上で曲げ強度が頭打ちになることが想定されることを考慮している。
引張強度は、より好ましくは1300N/mm2以上1900N/mm2以下である。これは、1900N/mm2を超えると、加工に手間を要し製造が煩雑となるため、コストが増大し不経済となりやすいことを考慮している。なお、1300N/mm2については、後述する。
繊維長さは、25mm未満ではセメント系マトリックス5に対する十分な付着長が確保できない場合が想定され、繊維補強セメント系組成物1に曲げを生じさせるような荷重が作用した際に、引抜けを生じる可能性がある。一方、繊維長さが40mmを超えると、繊維同士が絡み合ってファイバーボールを形成し部分的な欠陥を生じやすいことを考慮している。
これらを鑑みて、繊維補強材6の最も好適な態様は、繊維径0.55mm、引張強度1850N/mm2、繊維長さ35mmおよび両端にフック形状を備える、図2(a)で示すような径小鋼繊維6Aである。
上記のセメント系マトリックス5と繊維補強材6を混練して打設・養生することにより製造される繊維補強セメント系組成物1に、所望の曲げ強度を発現させるべく配合設計を行うにあたり、繊維補強材6の混入量を繊維混入率ではなく、混入本数で管理することとした。これは、繊維補強セメント系組成物1に採用する繊維補強材6の繊維径が変化すると、繊維混入率が同じであっても、繊維補強材6の混入本数も変化するため、曲げ強度の発現に影響を与えることに着目したものである。
つまり、繊維補強材6の混入本数が変化すると、繊維補強材6のセメント系マトリックス5と接着する全体の表面積も変化する。これにより、セメント系マトリックス5に対する繊維補強材6全体の付着荷重も増減するため、繊維補強セメント系組成物1に発現する曲げ強度に大きな影響を及ぼす。
また、繊維補強セメント系組成物1に曲げを生じさせるような荷重が作用した際に、セメント系マトリックス5中に混入分散された繊維補強材6は、近接した位置に存在する繊維補強材6どうしが互いに荷重を負担しあう。
したがって、繊維補強材6は混入本数が多いほど、セメント系マトリックス5中に密な状態で分散されることから、1本の繊維補強材6で負担する荷重は小さくなり、繊維補強材6全体で負担できる曲げ荷重が増大するものと期待できる。一方、繊維補強材6は混入本数が少ないほど、セメント系マトリックス5中に疎な状態で分散されることから、1本の繊維補強材6で負担する荷重が大きくなり、繊維補強材6全体で負担できる曲げ荷重の増大は期待できない。
このように、繊維補強材6の混入量を混入本数で管理することにより、製造しようとする繊維補強セメント系組成物1の曲げ強度に影響を与えるセメント系マトリックス5と接着する繊維補強材6の全体の表面積や、セメント系マトリックス5中に分散する繊維補強材6の粗密状況等を、混入本数で調整することができる。
したがって、繊維補強セメント系組成物1に発現させようとする曲げ荷重に対応した適切な混入量の繊維補強材6を、セメント系マトリックス5に混入させることができ、精度よくかつ経済的な繊維補強セメント系組成物1を製造できる。これにより、引抜き抵抗力の高い繊維補強材を採用したり、繊維補強セメント系組成物1の圧縮強度が高くなるよう配合設計を行う等の手間を省略することもできる。
また、繊維補強材6の繊維径が0.6mm以下と、従来より繊維補強材6として採用されている鋼繊維よりも細いことから、繊維混入率に換算すると同じ繊維混入率であっても、従来の鋼繊維を採用する場合よりも多量の本数が含まれることとなり、小さい繊維混入率で高い曲げ強度を発現させることが可能となる。
このように、高い曲げ強度を発現できることによって、曲げ靱性も大幅に向上できる。これにより、曲げ方向の力が作用することにより繊維補強セメント系組成物1に変形が生じた際にも、より確実に微細なひび割れを分散して生じさせて、大きなひび割れの発生を抑制することが可能となる。
さらに、繊維補強セメント系組成物1を製造する際の混練作業を困難にしたり流動性を低下させる等、施工性の低下を抑制することができるとともに、セメント系マトリックス5中に繊維補強材6を、隅々まで均一に分散させることができる。これにより、製造後の繊維補強セメント系組成物1を、何らかの外力が生じた際にも割れ欠けや・剥離剥落等の発生を防止できる、高品質なセメント系組成物とすることが可能となる。
以下に、第1の実施の形態として、5.5N/mm2を超える曲げ強度を確保する繊維補強セメント系組成物1、第2の実施の形態として、20N/mm2を超える曲げ強度を確保する繊維補強セメント系組成物1、を事例に挙げ、好適な繊維補強材6の混入本数を以下に説明する。
<第1の実施の形態:5.5N/mm2を超える曲げ強度を確保する繊維補強セメント系組成物>
5.5N/mm2程度の曲げ強度を備えた繊維補強セメント系組成物1を製造するべく、以下の試験を行った。
まず、水結合材比(W/B)を、配合設計時の一般的な上限値よりやや小さい50%に設計したセメント系マトリックス5に、繊維補強材6として、図2(a)で示す径小鋼繊維6Aを、約24万本、約48万本、約72万本混入した3つの供試体を製作し、曲げ試験を行った。なお、径小鋼繊維6Aは、先にも述べた最も好適な態様である、繊維径0.55mm、引張強度1850N/mm2、繊維長さ35mmおよび両端にフック形状を備えた鋼繊維である。
また、比較例として繊維補強材6に、図2(b)で示す径大鋼繊維6Bを、水結合材比(W/B)を50%に設計したセメント系マトリックス5に、約66万本混入した1つの供試体を製作し、曲げ強度を測定した。径大鋼繊維6Bは、繊維径0.62mm、引張強度1270N/mm2、繊維長さ30mmで、両端にフック形状を備えた鋼繊維である。
なお、本実施の形態では、評価基準となるよう繊維補強材6を混入しない供試体も製作し、曲げ試験を行った。また、水結合材比(W/B)とは、セメント系マトリックス5中の結合材2に対する水4の割合をいう。さらに、曲げ試験は、JSCE−G552「鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法」に基づいて実施した。
曲げ試験の結果を、横軸に繊維補強材6の混入本数、縦軸に曲げ強度を取ったグラフにプロットした図3で示す。なお、グラフ中に記載した数値(%)は、繊維補強材6の混入本数を繊維混入率に換算したものである。これをみると、繊維径の異なる径小鋼繊維6Aと径大鋼繊維6Bとでは、繊維混入率が同じであっても、その混入本数が異なる様子がわかる。
図3(a)をみると、繊維補強材6を混入しない供試体および繊維補強材6として径大鋼繊維6Bを採用した供試体は、ともに曲げ強度が4.8N/mm2となっており、繊維補強材6を混入してもその効果が表れていない。一方、繊維補強材6として径小鋼繊維6Aを採用した供試体は、曲げ強度が約48万本混入で5.1N/mm2、約72万本混入で5.4N/mm2と、下限目標値の5.5N/mm2に到達しないものの、曲げ強度が上昇している。
次に、水結合材比(W/B)を小さくすると、繊維補強セメント系組成物1の曲げ強度が上昇するとの一般的な知見に鑑み、水結合材比(W/B)を30%に減少させた供試体を製作し、曲げ強度を測定した結果を図3(b)に示す。なお、供試体には、繊維補強材6として径小鋼繊維6Aおよび径大鋼繊維6Bを、水結合材比(W/B)50%の場合と同じ条件で、混入させている。
図3(b)をみると、繊維補強材6として径大鋼繊維6Bを採用した供試体は、曲げ強度が約66万本混入で6.2N/mm2と下限目標値5.5N/mm2を超えており、繊維補強材6を混入した効果が表れている。一方、繊維補強材6として径小鋼繊維6Aを採用した供試体は、曲げ強度が約24万本混入で6.0N/mm2と、少ない混入本数で下限目標値5.5N/mm2を超え、約48万本混入で8.7N/mm2、約72万本混入で10.2N/mm2と、径小鋼繊維6Aの混入本数が増大するにつれて曲げ強度も上昇している。
上記のとおり、繊維補強材6に繊維径が0.6mm以下であり繊維長さが25mm以上40mm以下の径小鋼繊維6Aを採用すると、セメント系マトリックス5の水結合材比(W/B)を50%から30%の間で調整することにより、径小鋼繊維6Aを約20万本以上混入すれば、曲げ強度を5.5N/mm2以上発現させることの可能な繊維補強セメント系組成物1を製造することが可能となる。
<第2の実施の形態:20N/mm2を超える曲げ強度を確保する繊維補強セメント系組成物>
次に、曲げ強度が20N/mm2を超える、高曲げ強度の繊維補強セメント系組成物1を製造するべく、以下の試験を行った。
まず、水結合材比(W/B)を25%に設計したセメント系マトリックス5に、繊維補強材6として径小鋼繊維6Aを採用し、約60万本、約120万本、約240万本、約360万本混入した4つの供試体を製作し、曲げ試験を行った。
また、比較例として、繊維補強材6に径大鋼繊維6Bを採用し、同じく水結合材比(W/B)を25%に設計したセメント系マトリックス5に、約55万本、約110万本、約221万本、約332万本混入した4つの供試体を製作し、曲げ試験を行った。
次に、水結合材比(W/B)を15.5%に減少させたセメント系マトリックス5に、繊維補強材6として径小鋼繊維6Aおよび径大鋼繊維6Bを水結合材比(W/B)25%の場合と同じ条件で混入させて供試体を製作し、曲げ試験を行った。
上記の測定結果を図4(a)(b)に示す。なお、図3(a)(b)と同様に、グラフ中に記載した数値は、繊維補強材6の混入本数を、繊維混入率に換算した数量(%)を示している。また、曲げ試験の試験方法は、第1の実施の形態と同様である。
繊維補強材6として径大鋼繊維6Bを採用した供試体は、図4(a)をみると、水結合材比(W/B)25%で曲げ強度が約221万本で20.1N/mm2となり、目標値20.0N/mm2を超えるが、その後、混入本数を増加させても、曲げ強度がほぼ頭打ちとなっている。また、図4(b)をみると、水結合材比(W/B)15.5%の場合には、径大鋼繊維6Bを約332万本混入しても、曲げ強度が19.7N/mm2と、目標値20.0N/mm2に到達しない。
一方、径小鋼繊維6Aを混入した供試体は、図4(a)をみると、水結合材比(W/B)25%で曲げ強度が約240万本混入で22.5N/mm2と大きく目標値20.0N/mm2を超え、さらに約360万本混入で曲げ強度が29.3N/mm2と、径小鋼繊維6Aの混入本数が増大するつれて、曲げ強度も上昇する。そして、図4(b)をみると、水結合材比(W/B)15.5%の場合には、曲げ強度が約240万本混入で22.9N/mm2、約360万本混入で30.2N/mm2と、さらに大きく上昇する。
上記のとおり、繊維補強材6に繊維径が0.6mm以下であり繊維長さが25mm以上40mm以下の径小鋼繊維6Aを採用すると、水結合材比(W/B)を25%から15.5%の間で調整することにより、径小鋼繊維6Aを約200万本以上混入すれば、曲げ強度を20.0N/mm2以上を発現させることの可能な繊維補強セメント系組成物1を製造することが可能となる。
以上の結果をまとめると、繊維補強材6に繊維径が0.6mm以下であり繊維長さが25mm以上40mm以下の径小鋼繊維6Aを採用し、セメント系マトリックス5の水結合材比(W/B)を50%から15.5%の間で調整することにより、径小鋼繊維6Aを約20万本以上混入すると5.5N/mm2以上の曲げ強度を発現させることの可能な繊維補強セメント系組成物1を製造することができ、また、径小鋼繊維6Aを約200万本以上混入すると20.0N/mm2以上の曲げ強度を発現させることの可能な繊維補強セメント系組成物1を製造することが可能となる。
なお、一般に、1m3のセメント系マトリックス5に対して繊維補強材6の繊維混入率が3%を大幅に超えると、混練作業や打設時の流動性に課題が生じ、施工性が大幅に低下することが知られている。してみると、径小鋼繊維6Aの場合、約360万本が繊維混入率3%に相当することを考慮し、鋼繊維をセメント系マトリックス5に混入する際の上限混入本数は約400万本とすることが好ましい。
ところで、第1および第2の実施の形態において繊維補強材6として採用した繊維径が0.55mmの径小鋼繊維6Aと繊維径が0.62mmの径大鋼繊維6Bでは、引張強度が径小鋼繊維6Aで1850N/mm2、径大鋼繊維6Bで1270N/mm2と、径小鋼繊維6Aの方が引張強度が大きい。また、繊維長さは径小鋼繊維6Aで35mm、径大鋼繊維6Bで30mmと、径小鋼繊維6Aの方が長大である。さらに、セメント系マトリックス5に対する定着に寄与するフック形状は、径小鋼繊維6Aで両端それぞれに2段備えるのに対し、径大鋼繊維6Bで両端それぞれに1段備えるのみである。
そこで、繊維補強材6の物性値の一つである引張強度と、曲げ強度に影響をあたえる引抜け力との関係を把握するべく、JIS A 6208の付属書B「付着性試験方法」に基づき、引抜き抵抗に関する試験を行った。
図5を見ると、径小鋼繊維6Aは、径大鋼繊維6Bと比較して鋼繊維の引張強度が高くまた繊維長さが長大であるにも関わらず、最大引抜け荷重が小さい様子がわかる。これは、最大引抜け荷重を、繊維補強材6の引張強度や繊維長さおよびフック形状だけでなく、繊維補強材6とセメント系マトリックス5との付着によっても負担していることによるものと想定できる。
このように、繊維補強材6の引張強度と最大引抜け力は、必ずしも比例関係にあるとはいえない。一方で、繊維補強材6とセメント系マトリックス5との付着が切れる前に補強繊維が破断してしまうと、繊維補強材6とセメント系マトリックス5との付着力を大きくしても、これを活かすことができない。
したがって、本実施の形態では、繊維補強材6の引張強度について、セメント系マトリックス5と繊維補強材6の付着が切れる前に、繊維補強材6が先行して破断することのない程度の引張強度を確保することとした。
本実施の形態において、繊維補強材6と曲げ強度の関係を示した図3および図4のいずれの場合においても、径小鋼繊維6Aおよび径大鋼繊維6Bが先行して切断する様子は認められない。そこで、繊維補強材6の引張補強材の下限を、安全性を考慮し1300N/mm2に設定している。
本発明の繊維補強セメント系組成物1は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、本実施の形態では、繊維補強材6に断面が円形の鋼繊維を採用しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、いずれの断面形状を有する鋼繊維を採用してもよい。
また、本実施の形態では、繊維補強材6として採用した径小鋼繊維6Aに、両端部にフック形状を備えた鋼繊維を採用しているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、線状素材であればフック形状はあってもなくてもよい。
1 繊維補強セメント系組成物
2 結合材
3 骨材
31 細骨材
32 粗骨材
4 水
5 セメント系マトリックス
6 繊維補強材
6A 径小鋼繊維
6B 径大鋼繊維

Claims (3)

  1. 少なくともセメント系硬化材を含む結合材と水と骨材とが含有されたセメント系マトリックスに、繊維補強材を混入する繊維補強セメント系組成物であって、
    前記セメント系マトリックスが、水結合材比(W/B)15.5%以上30%以下であり、
    前記繊維補強材が、繊維径0.5mm以上0.55mm以下、繊維長さ35mm以上40mm以下、及び引張強度1850N/mm2以上1900N/mm2以下の鋼繊維よりなり、
    該繊維補強材の混入量は、前記セメント系マトリックス1m あたり48万本以上400万本以下であって、発現させようとする曲げ強度に対応するよう、少なくとも前記セメント系マトリックスと接着する前記繊維補強材全体の表面積に基づいて調整した本数が混入されていることを特徴とする繊維補強セメント系組成物。
  2. 請求項1に記載の繊維補強セメント系組成物であって、
    曲げ強度が、5.5N/mm2以上であることを特徴とする繊維補強セメント系組成物。
  3. 請求項1に記載の繊維補強セメント系組成物であって、
    前記セメント系マトリックスが、水結合材比(W/B)15.5%以上25.0%以下であり、
    曲げ強度が、20.0N/mm2以上であることを特徴とする繊維補強セメント系組成物。
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