JP2000281402A - 高強度組成物補強用鋼繊維 - Google Patents

高強度組成物補強用鋼繊維

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JP2000281402A
JP2000281402A JP11093311A JP9331199A JP2000281402A JP 2000281402 A JP2000281402 A JP 2000281402A JP 11093311 A JP11093311 A JP 11093311A JP 9331199 A JP9331199 A JP 9331199A JP 2000281402 A JP2000281402 A JP 2000281402A
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steel
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Shuzo Nakamura
秀三 中村
Makoto Katagiri
誠 片桐
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    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B14/00Use of inorganic materials as fillers, e.g. pigments, for mortars, concrete or artificial stone; Treatment of inorganic materials specially adapted to enhance their filling properties in mortars, concrete or artificial stone
    • C04B14/38Fibrous materials; Whiskers
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度コンクリート等において、優れた補強
効果を発揮する鋼繊維を提供する。 【解決手段】 繊維直径が0.05mm〜0.5mm、繊維長
さが繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)で30〜2
00であり、表面に繊維直径の0.1倍以上の突起ない
し窪みを有しない湾曲した形状、好ましくは、螺旋また
は波形の形状であり、その振幅が繊維直径の0.3〜3
倍、周期が繊維長さの0.1〜0.5倍である高強度組成
物補強用鋼繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度のコンクリ
ートやモルタルなどに混合され、これを補強する鋼繊維
に関する。より詳細には、圧縮強度150MPa以上の高
強度コンクリートや高強度モルタルを補強する鋼繊維に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】コンクリートの曲げや引張に対する強
度、およびこれらに対する粘り強さを高める目的で、コ
ンクリートに繊維を混入させた繊維補強コンクリートが
知られている。この補強用繊維には鋼や合成樹脂あるい
はガラスなどの繊維を短く切断したものが一般に用いら
れている。この場合、コンクリートのひび割れに対する
強度を高めるには、補強用繊維のヤング率がコンクリー
トマトリックスのヤング率よりも大きいものが効果的で
あるので、補強用繊維としてはヤング率の大きい炭素繊
維、鋼繊維、ガラス繊維、などが適する。これらの繊維
のうち鋼繊維は比較的安価であり、普通強度のコンクリ
ートの強化用繊維として実用化しつつある。
【0003】繊維によるコンクリートの補強効果は、繊
維とコンクリートマトリックスの付着強度に大きく影響
を受ける。鋼繊維を補強用繊維として用いた場合、繊維
の引張強度よりも付着強度が小さいため、付着強度を向
上させるべく、繊維断面を一定の間隔で変形させたイン
デントや、繊維全体あるいは端部を折り曲げた形状にす
るなどの工夫が従来なされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、高強度のコン
クリートやモルタル、例えば圧縮強度が150MPa以上
のコンクリートやモルタルでは、既存の鋼繊維を使用す
ると十分な補強効果が得られない問題がある。すなわ
ち、未硬化の高強度組成物マトリックスの流動性が高い
場合には、既存の鋼繊維は一般に繊維径が太く、繊維長
さも比較的長いので鋼繊維がマトリックス中で沈降しや
すい。また、繊維に大きく折り曲げなどの加工が施され
ているものは混練時に繊維どうしが絡みあうためマトリ
ックス中に均一に分散し難い。さらに、硬化した高強度
組成物はマトリックスが密実堅牢なので、従来のインデ
ントや折り曲げ加工が施された鋼繊維は大きな負荷が加
わったときに繊維表面とマトリックスとの界面の滑りが
抑制されるために鋼繊維が破断してしまうなどの問題が
ある。このように、既存の鋼繊維を配合した高強度組成
物は、繊維の補強効果が十分ではないため、曲げ強度や
引張強度は必ずしも飛躍的には向上しない。
【0005】本発明は、高強度組成物に用いる補強用繊
維について、このような従来の問題を解決したものであ
り、高強度組成物に配合した場合、飛躍的に高い曲げ強
度や引張強度を付与することができる鋼繊維を提供する
ものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、繊
維直径が0.05mm〜0.5mm、繊維長さが繊維のアスペ
クト比(繊維長/繊維直径)で30〜200であり、表面
に繊維直径の0.1倍以上の突起ないし窪みを有しない
湾曲した形状であることを特徴とする高強度組成物補強
用鋼繊維に関するものである。
【0007】本発明の高強度組成物補強用鋼繊維は、好
ましくは、湾曲した形状が螺旋または波形の形状であ
り、その振幅が繊維直径の0.3〜3倍であって、その
周期が繊維長さの0.1〜0.5倍のものである。また、
ヤング率150GPa以上、引張強度1GPa以上のものであ
る。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施形態に即して
詳細に説明する。コンクリートに短繊維を混入して曲げ
や引張に対する強度を補強する場合、混入する補強用繊
維の形状や混入量、補強用繊維のヤング率や引張強度な
どの機械的特性、およびマトリックスの機械的特性はも
とより、補強用繊維とマトリックスとの付着強度などの
界面特性の制御が重要である。
【0009】これは、マトリックスに亀裂が生じていな
い場合でも補強用繊維が荷重を負担し、その負担の割合
は、マトリックスと補強用繊維のヤング率の比に支配さ
れるからである。この時、補強用繊維の強度や補強用繊
維とマトリックスとの付着強度に関連して補強用繊維の
荷重負担の限界が決定される。すなわち、補強用繊維の
強度が付着強度に比べて小さいと補強用繊維が破断し、
また付着強度が小さいと補強用繊維とマトリックスとの
界面が剥離や滑りを生じ、何れの場合も結果的に補強用
繊維の荷重負担が減少するからである。
【0010】一方、マトリックスに亀裂が生じた場合に
は、荷重は亀裂部分を橋渡ししている繊維のみが負担す
ることになるため、同様に、繊維強度やマトリックスと
の付着強度に関連して補強用繊維の荷重負担の限界が決
定される。
【0011】従って、コンクリートやモルタルなどの流
動性に富む高強度組成物を補強し、その高い圧縮強度に
加えて飛躍的に高い曲げ強度や引張強度を得るには、マ
トリックスの機械的特性とよく合致する機械的特性の補
強用繊維を選定すると共にその補強用繊維とマトリック
スとの界面特性の最適化を図ることが不可欠である。
【0012】このためには、補強用繊維としては炭素鋼
製あるいはステンレス鋼製の鋼繊維が適している。鋼繊
維のヤング率は150GPa以上のものが望ましい。また
鋼繊維の引張強度は1GPa以上のものが望ましく、1.5
GPa以上のものがさらに望ましい。鋼繊維のヤング率が
150GPa未満ではコンクリートマトリックスのヤング
率に近づくため、繊維の荷重分担が減り、高強度組成物
のひび割れ荷重を高めることができない。
【0013】鋼繊維の直径は0.05mm〜0.5mmが望ま
しい。この直径が0.05mm未満では混練時に繊維どう
しが干渉して塊状になりやすい。また、鋼繊維の直径が
0.5mmより大きいと、高強度組成物が硬化するまでの
間に繊維が沈降しやすい。このため何れの場合も高強度
組成物中に配合した鋼繊維の分散が均一にならないの
で、十分な補強効果が得られない。
【0014】鋼繊維の長さは、そのアスペクト比(繊維
長/繊維直径)が30〜200のものが望ましい。な
お、アスベクト比が50〜150であれば、混練時の流
動性の低下も殆ど無く、繊維混入量を比較的大きくで
き、その結果、十分な補強効果が得られるのでさらに望
ましい。一方、鋼繊維のアスペクト比が30未満では、
亀裂の開口が広がる際に、亀裂箇所を橋渡ししている鋼
繊維が引抜けやすく、繊維の補強効果が低下するので望
ましくない。また、鋼繊維のアスペクト比が200を越
えると混練時に流動性が低下するので、型枠に流し込む
などの作業性が劣るばかりでなく、気泡も抜け難くな
る。因みに、繊維混入量を減少すれば流動性の低下は抑
えられるが、繊維量が少ないので繊維が負担する荷重が
小さくなり、やはり繊維補強した高強度組成物の強度は
低下するので望ましくない。
【0015】鋼繊維の表面は繊維直径の0.1倍以上の
突起や窪みが無く、滑らかであることが望ましい。繊維
直径の0.1倍以上の突起や窪みが無ければ、コンクリ
ートの亀裂箇所を橋渡ししている鋼繊維とコンクリート
マトリックスとの界面が剥離した後も、鋼繊維とマトリ
ックスとの相対的な移動が拘束されないため鋼繊維が破
断し難くなり、高強度組成物を高靭化できる。一方、繊
維直径の0.1倍を越える突起や窪みがあると、鋼繊維
とマトリックスとの付着強度のピーク値は大きくなる
が、鋼繊維とマトリックスとの滑りが抑制されるため、
繊維の破断やマトリックスの破壊を生じやすくなり、従
って、コンクリートに亀裂が生じると直ちに亀裂箇所を
橋渡ししている鋼繊維の付着力が急減する。この結果、
高強度組成物の脆性的な破壊を生じるようになる。
【0016】鋼繊維は湾曲した形状であるものが良く、
例えば、螺旋状または波形の形状のものが好ましい。こ
のような湾曲した形状のものは、亀裂を橋渡ししている
鋼繊維とマトリックスとの界面が剥離した場合にも、鋼
繊維とマトリックスとの相対的な移動時に適切な摩擦力
を鋼繊維とマトリックスとの界面に生じ、結果として繊
維補強した高強度組成物の靱性を高めることができる。
【0017】鋼繊維が螺旋状または波形の形状である場
合、その螺旋または波形の振幅は繊維直径の0.3〜3
倍であることが望ましい。螺旋または波形の振幅が繊維
直径の0.3倍未満では繊維とマトリックスとの相対移
動時に発生する摩擦力が小さくなるので好ましくない。
一方、この振幅が繊維直径の3倍を越えると高強度組成
物の混練時に繊維が絡み合うので、繊維を均一に分散し
難い。
【0018】また、螺旋または波形の周期は繊維長さの
0.1〜0.5倍であることが望ましい。この周期が繊維
長さの0.5倍を越えると、繊維とマトリックスとの相
対移動時に繊維に十分な抗力が作用せず、繊維とマトリ
ックスとの界面に発生する摩擦力は急減する。また、こ
の周期が繊維長さの0.1倍未満であると摩擦力が大き
くなり過ぎて繊維とマトリックスとの相対的な移動を拘
束するようになる。これらの結果として、鋼繊維による
十分な補強効果が得られず、繊維補強した高強度組成物
は脆性的な破壊をするようになるので、何れも望ましく
ない。なお、螺旋ないし波形の振幅または周期は繊維中
心を基準としたものである。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に示
す。なお、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0020】(実施例1)マトリックスとなる高強度組成
物(高強度コンクリート)の原料として、中庸熱セメント
2246g、シリカフューム250g、砂(山形県産の
珪砂:4号)1880g、および混和剤(ポリカルボン酸系
高性能減水剤62.4gおよび消泡剤0.6g)を含む水
450gを秤量した。また、鋼製の繊維を用意した。こ
の鋼繊維は直径0.05mm、アスペクト比120(長さ6m
m)、顕微鏡で評価した表面凹凸は0.005mmの螺旋状
のものであり、螺旋の形状は振幅0.1mm(繊維直径の2
倍)および周期2.4mm(繊維長さの0.4倍)であって、
繊維の引張強度およびヤング率はそれぞれ2GPaおよび
200GPaである。この繊維316gを秤量した。な
お、このコンクリートに対する繊維混入率は2体積%で
ある。
【0021】秤量した原料をホバート型ミキサを用いて
混練した。水、セメントとシリカフュームを予め混合さ
せたものを混練し、次ぎに砂、繊維を投入して試料を作
製した。この試料は、曲げ強度測定用の供試体を作製す
るため、縦160mm×横40mm×深さ40mmの型枠に流し込ん
で成型した。また、引張強度測定用の供試体を作製する
ため、縦300mm×横50mm×深さ10mmの型枠に試料を流し
込みんで成型した。この成型24時間後、脱型し、引き
続き、80℃、48時間の蒸気養生を行い、供試体を得
た。
【0022】この供試体について、曲げ強度の測定は、
インストロン型試験機を用い、下部支点間距離120mmと
して三点曲げ試験を行い、その荷重の最大値から算出し
た。また引張強度の測定は、供誠体の両端にアルミニウ
ム板(50mm角、1.5mm厚)をエポキシ樹脂で固着した後、
インストロン型試験機を用いて一軸引張試験を行い、そ
の荷重の最大値から引張強度を算出した。いずれの試験
においても、試験速度はクロスヘッド速度0.5mm/min
とした。
【0023】また、混練直後の試料の流動性を評価する
フロー値は、水平な350mm角のガラス板上に置いたJISモ
ルタル用のリングに試料を流し込み、リング上端を擦り
切り後、リングを静かに引き上げ、流れ出た試料が静止
した時の長径とそれに直交する径を測定し、両者の平均
値をフロー値とした。
【0024】その結果、フロー値は230mmと良好な流
動性を示し、また三点曲げ強度は50MPa、一軸引張強
度は20MPaと極めて高い値であった。
【0025】(実施例2)使用した鋼繊維が直径0.5m
m、アスペクト比50(長さ25mm)の螺旋形繊維であり、
螺旋の振幅1mm(直径の2倍)、螺旋の周期5mm(長さの
0.2倍)、繊維の混合量554g(繊維混入率3.5体積%)、
砂の配合量1802gとした以外は実施例1と同様にし
て、そのフロー値、三点曲げ強度および一軸引張強度を
測定した。これらの結果、フロー値250mm、三点曲げ
強度45MPa、一軸引張強度20MPaであり、何れも良好
な値を示した。
【0026】(実施例3)使用した鋼繊維が直径0.1m
m、アスペクト比200(長さ20mm)の波形繊維であり、
波形の振幅0.2mm(直径の2倍)、波形の周期6mm(長さ
の0.3倍)、繊維の混合量158g(繊維混入率1体積
%)、砂の配合量1935gとした以外は実施例1と同
様にしてそのフロー値、三点曲げ強度および一軸引張強
度を測定した。これらの結果、フロー値240mm、三点
曲げ強度45MPa、一軸引張強度20MPaであり、何れも
良好な値を示した。
【0027】(実施例4)使用した鋼繊維が直径0.3m
m、アスペクト比30(長さ9mm)の螺旋形繊維であり、
螺旋の振幅0.6mm(直径の2倍)、螺旋の周期1.8mm
(長さの0.2倍)、繊維の混合量1264g(繊維混入率8
体積%)、砂の配合量1564gとした以外は実施例1
と同様にして、そのフロー値、三点曲げ強度および一軸
引張強度を測定した。これらの結果、フロー値230m
m、三点曲げ強度42MPa、一軸引張強度18MPaであ
り、何れも良好な値を示した。
【0028】(実施例5)使用した鋼繊維が直径0.4m
m、アスペクト比50(長さ20mm)の波形繊維であり、波
形の振幅0.4mm(直径の1倍)、波形の周期5mm(長さの
0.25倍)、繊維の表面凹凸0.04mm、繊維の混合量79
0g(繊維混入率5体積%)、砂の配合量1722gとし
た以外は実施例1と同様にして、そのフロー値、三点曲
げ強度および一軸引張強度を測定した。これらの結果、
フロー値235mm、三点曲げ強度40MPa、一軸引張強
度18MPaであり、何れも良好な値を示した。
【0029】(実施例6)使用した鋼繊維が直径0.1m
m、アスペクト比150(長さ15mm)の螺旋形繊維であ
り、螺旋の振幅0.03mm(直径の0.3倍)、螺旋の周期3
mm(長さの0.2倍)とした以外は実施例1と同様にして、
そのフロー値、三点曲げ強度および一軸引張強度を測定
した。これらの結果、フロー値230mm、三点曲げ強度
45MPa、一軸引張強度17MPaであり、何れも良好な値
を示した。
【0030】(実施例7)使用した鋼繊維が直径0.3m
m、アスペクト比40(長さ12mm)の螺旋形繊維であり、
螺旋の振幅0.9mm(直径の3倍)、螺旋の周期1.8mm
(長さの0.15倍)、繊維の混合量790g(繊維混入率5体
積%)、砂の配合量1722gとした以外は実施例1と
同様にして、そのフロー値、三点曲げ強度および一軸引
張強度を測定した。これらの結果、フロー値230mm、
三点曲げ強度41MPa、一軸引張強度19MPaであり、何
れも良好な値を示した。
【0031】(実施例8)使用した鋼繊維が直径0.1m
m、アスペクト比80(長さ8mm)の螺旋形繊維であり、
螺旋の振幅0.1mm(直径の1倍)、螺旋の周期0.8mm
(長さの0.1倍)、繊維の表面凹凸0.01mm、繊維の混合
量554g(繊維混入率3.5体積%)、砂の配合量1802
gとした以外は実施例1と同様にして、そのフロー値、
三点曲げ強度および一軸引張強度を測定した。これらの
結果、フロー値240mm、三点曲げ強度58MPa、一軸
引張強度23MPaであり、何れも良好な値を示した。
【0032】(実施例9)使用した鋼繊維が直径0.2m
m、アスペクト比80(長さ16mm)の螺旋形繊維であり、
螺旋の振幅0.2mm(直径の1倍)、螺旋の周期8mm(長さ
の0.5倍)、繊維の表面凹凸0.01mm、繊維の混合量5
54g(繊維混入率3.5体積%)、砂の配合量1802gと
した以外は実施例1と同様にして、そのフロー値、三点
曲げ強度および一軸引張強度を測定した。これらの結
果、フロー値250mm、三点曲げ強度45MPa、一軸引
張強度20MPaであり、何れも良好な値を示した。
【0033】(比較例1)使用した鋼繊維が直径0.02m
mの螺旋形繊維であり、螺旋の振幅0.04mm(直径の2
倍)、螺旋の周期0.96mm(長さの0.4倍)、表面の凹凸
が0.002mmとした以外は実施例1と同様にしてその
フロー値、三点曲げ強度および一軸引張強度を測定し
た。この結果、繊維が細すぎたので、実施例1と比較す
ると脆性的な破断を示し、三点曲げ強度は16MPa、一
軸引張強度は7.2MPaと劣り、フロー値も180mmと流
動性が低くかった。
【0034】(比較例2)使用した鋼繊維が直径0.6mm
の螺旋形繊維であり、螺旋の振幅1.2mm(直径の2
倍)、螺旋の周期6mm(長さの0.2倍)とした以外は実施例
2と同様にしてそのフロー値、三点曲げ強度および一軸
引張強度を測定した。この結果、フロー値は240mmで
あり、流動性は低下しなかったが、繊維が太すぎたの
で、実施例2と比較すると脆性的な破断を示し、三点曲
げ強度は21MPa、一軸引張強度は8.3MPaと劣った。
【0035】(比較例3)使用した繊維をアスペクト比2
40(長さ24mm)とし、それに伴い波形の周期7.2mm
(長さの0.3倍)とした以外は実施例3と同様にしてその
フロー値、三点曲げ強度および一軸引張強度を測定し
た。この結果、繊維が長すぎたためフロー値は170mm
となり流動性が低下し、成型時の作業性にも劣った。ま
た、三点曲げ強度は20MPa、一軸引張強度は9.3MPa
であり、実施例3と比較すると劣るものとなった。
【0036】(比較例4)使用した繊維をアスペクト比2
0(長さ6mm)とし、それに伴い螺旋の周期1.2mm(長さ
の0.2倍)とした以外は、実施例4と同様にして、そのフ
ロー値、三点曲げ強度および一軸引張強度を測定した。
この結果、フロー値は235mmであり、流動性は低下し
ないが、繊維が短すぎるので供試体が脆性的な破断を示
した。この供試体の三点曲げ強度は22MPa、一軸引張
強度は8.5MPaであり、実施例4と比較すると劣るもの
となった。
【0037】(比較例5)使用した繊維が表面凹凸0.1m
mのインデント加工したものを用いた以外は実施例5と
同様にしてフロー値、三点曲げ強度および一軸引張強度
を測定した。この結果、繊維どうしの絡みが顕著である
ためフロー値は200mmとなり、流動性が低下した。ま
た強度試験中、繊維が引き抜ける時にマトリクスを破壊
する傾向があるため供試体は脆性的な破断を示した。こ
の供試体の三点曲げ強度は22MPa、一軸引張強度は8.
8MPaであり、実施例5と比較すると劣るものとなっ
た。
【0038】(比較例6)使用した繊維を螺旋や波形のな
い直線状のものにした以外は実施例6と同様にして、そ
のフロー値、三点曲げ強度および一軸引張強度を測定し
た。この結果、フロー値は220mmとなり、混練後の試
料の流動性は低下しなかったが、強度試験においては、
繊維の付着強度が不足するためか、三点曲げ強度は21
MPa、一軸引張強度は9.1MPaであり、実施例6と比較
して低かった。
【0039】(比較例7)使用した繊維を螺旋の振幅1.
2mm(直径の4倍)とした以外は実施例7と同様にして、
そのフロー値、三点曲げ強度および一軸引張強度を測定
した。この結果、繊維どうしの絡みが顕著なためフロー
値は170mmとなり、流動性の低下が顕著であった。ま
た強度試験中、繊維が引き抜ける際にマトリクスを破壊
する傾向があるため供試体の強度は低く脆性的な破断を
示した。強度の測定結果は、三点曲げ強度20MPa、一
軸引張強度8.4MPaであり、実施例7と比較すると劣る
ものとなった。
【0040】(比較例8)使用した繊維を螺旋の周期0.
64mm(長さの0.08倍)とした以外は実施例8と同様にし
て、そのフロー値、三点曲げ強度および一軸引張強度を
測定した。この結果、繊維どうしの絡みが顕著なため、
混練作業もやや困難であり、フロー値は170mmとなり
流動性の低下が顕著であった。また、強度試験では、繊
維が引き抜ける際にマトリクスを破壊する傾向があるた
め供試体の強度は低く、脆性的な破断を示した。強度の
測定結果は、三点曲げ強度16MPa、一軸引張強度6.9
MPaであり、実施例8と比較すると劣るものとなった。
【0041】(比較例9)使用した繊維を螺旋の周期9.
6mm(長さの0.6倍)とした以外は実施例9と同様にし
て、フロー値、三点曲げ強度および一軸引張強度を測定
した。この結果、フロー値は250mmであり試料の流動
性は低下しないが、強度試験においては、繊維の付着強
度が不足するためか、三点曲げ強度21MPa、一軸引張
強度8.7MPaであり、実施例9と比較して低かった。
【0042】上記実施例1〜9および比較例1〜9の結
果を表1にまとめて示した。
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明の補強用鋼繊維は、高強度コンク
リート等の高強度組成物に対して優れたを補強効果を発
揮するものであり、その組成物の高い圧縮強度に加えて
飛躍的に高い曲げ強度や引張強度を付与することができ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維直径が0.05mm〜0.5mm、繊維長
    さが繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)で30〜2
    00であり、表面に繊維直径の0.1倍以上の突起ない
    し窪みを有しない湾曲した形状であることを特徴とする
    高強度組成物補強用鋼繊維。
  2. 【請求項2】 請求項1の鋼繊維において、湾曲した形
    状が螺旋または波形の形状であり、その振幅が繊維直径
    の0.3〜3倍であって、その周期が繊維長さの0.1〜
    0.5倍である高強度組成物補強用鋼繊維。
  3. 【請求項3】 ヤング率150GPa以上、引張強度1GPa
    以上である請求項1または2の高強度組成物補強用鋼繊
    維。
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