JP2013001583A - 複合部材 - Google Patents
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Abstract
本発明は、製造が容易で、耐荷力や耐久性に優れる複合はり部材を提供することを目的とする。
【解決手段】
(A)セメント、BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末、細骨材、繊維、水、及び減水剤を含む配合物の硬化体からなるU字型埋設型枠と、
(B)普通コンクリート、を一体化してなる複合はり部材であって、
前記U字型埋設型枠の底面部に鉄筋が配置されていることを特徴とする複合はり部材、を提供する。さらに、配合物が、ブレーン比表面積3500〜10000cm2/gの無機粉末を含む上記複合はり部材、を提供する。
【選択図】図1
Description
このような特徴に着目して、せん断補強された鉄筋コンクリートはりと超高強度繊維補強コンクリートを一体化させ、引張縁が超高強度繊維補強コンクリートとなる複合はり部材が提案されており、破壊挙動や変形挙動に有意性があることが報告されている(非特許文献1)。
そこで、本発明は、製造が容易で、耐荷力や耐久性に優れる複合はり部材を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供するものである。
(B)普通コンクリート、を一体化してなる複合はり部材であって、
前記U字型埋設型枠の底面部に鉄筋が配置されていることを特徴とする複合はり部材。
本発明の複合はり部材を構成するU字型埋設型枠について説明する。
早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントを使用することができる。
本発明において、配合物の硬化後の早期強度を向上させようとする場合には、早強ポルトランドセメントを使用することが好ましく、配合物の流動性を向上させようとする場合には、中庸熱ポルトランドセメントや低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
微粉末のBET比表面積が上記範囲外では、硬化後の強度、緻密性や耐久性等が低下することがあり、複合はり部材の耐荷力や耐久性も低下するおそれがある。また、BET比表面積が25m2/gを越えるものは入手が困難である。
上記微粉末の配合量は、セメント100質量部に対して、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。配合量が上記範囲外では、硬化後の強度、緻密性や耐久性等が低下することがあり、複合はり部材の耐荷力や耐久性も低下するおそれがある。
本発明においては、細骨材としては、配合物の流動性や硬化体の強度、緻密性や耐久性等から、最大粒径が2.0mm以下、より好ましくは1.5mm以下のものを用いることが好ましい。また、流動性や作業性等から、細骨材中の0.15mm未満の粒子の割合が5.0質量%以下であることが好ましい。
細骨材の配合量は、配合物の流動性や施工性、硬化後の強度、耐久性の観点、さらには、自己収縮や乾燥収縮の低減、水和発熱量の低減等の観点から、セメント100質量部に対して、好ましくは50〜250質量部、より好ましくは80〜180質量部である。
本発明において、水/セメント比は、配合物の流動性や施工性、硬化体の強度、緻密性や耐久性等から、12〜30質量%が好ましく、15〜25質量%がより好ましい。
減水剤の配合量は、配合物の流動性や分離抵抗性、硬化体の緻密性、強度や耐久性、コスト等の面から、セメント100質量部に対して固形分換算で、0.1〜2.0質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。減水剤の配合量が上記範囲外では、硬化後の強度、緻密性や耐久性等が低下することがあり、複合はり部材の耐荷力や耐久性も低下するおそれがある。
本発明で使用する繊維は、直径0.01〜1.0mm、長さ2〜30mmのものが好ましく、直径0.1〜0.5mm、長さ10〜20mmのものがより好ましい。直径が0.01mm未満では、繊維自身の強度が不足し、張力を受けた際に切れ易くなる。直径が1.0mmを超えると、同一配合量での本数が少なくなり、硬化体の曲げ強度等を向上する効果が低下する。長さが2mm未満では、マトリックスとの付着力が低下して、曲げ強度等を向上する効果が低下する。長さが30mmを超えると、混練の際にファイバーボールが生じ易くなる。
繊維の配合量は、流動性と硬化後の曲げ強度や破壊エネルギーの観点から定められる。すなわち、一般に、繊維の含有量が多くなると、曲げ強度や破壊エネルギーが向上する反面、流動性を確保するために単位水量が増大する。そのため、繊維の配合量は、上記の数値範囲内とするのが好ましい。
末、フライアッシュ、火山灰、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。な
かでも、スラグ、フライアッシュ、石灰石粉末、石英粉末は、コストの点や硬化後の品質
安定性の点で好ましく用いられる。
化学式(3)で、Rは、炭素数8〜14のアルキル基であり、直鎖又は分岐のオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基及びデトラデシル基等が挙げられる。化学式(3)の具体例としては、2−エチル−1−ヘキサノールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
上記のように、収縮低減剤の添加で、複合はり部材の耐荷力(特にひび割れ発生荷重)を向上することができる。
繊維状粒子もしくは薄片状粒子の平均粒度は1mm以下である。前記粒度の繊維状粒子もしくは薄片状粒子を配合することによって、配合物の硬化後の靭性が向上し、複合はり部材の耐荷力や耐久性も向上する。平均粒度が1mmを超えると、配合物の流動性や硬化後の強度が低下するので好ましくない。なお、本発明における粒子の粒度とは、その最大寸法の大きさ(特に、繊維状粒子ではその長さ)である。
繊維状粒子もしくは薄片状粒子の配合量は、配合物の流動性、硬化後の強度や靭性等の面から、セメント100質量部に対して35質量部以下が好ましく、1〜25質量部がより好ましい。
なお、繊維状粒子においては、硬化後の靭性を高める観点から、長さ/直径の比で表される針状度が3以上のものを用いるのが好ましい。
また、混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを使用することができる。
上記混練した配合物を成形し、養生・硬化させることによって、U字型埋設型枠を製造することができる。
養生方法も特に限定されるものではなく、常温養生や蒸気養生等を行なえばよい。
なお、上記材料を混練して得られる配合物は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定したフロー値が、200mm以上と流動性に優れるものであり、型枠への投入等の作業性に優れるものである。
鉄筋の量は、底面部の断面積に対する鉄筋面積が2〜15%とするのが好ましく、2〜10%とするのがより好ましい。
上記凸部分及び/又は凹部分を形成する方法としては、例えば、特定の凹形状及び/又は凸形状を備えた型枠内に、上記本体部を構成する配合物を打設し硬化して、脱型することによって、硬化体(U字型埋設型枠)内面に凸部分及び/又は凹部分を形成する方法が挙げられる。
凸部分の高さ又は凹部分の深さが3mm未満では、U字型埋設型枠と後打ちコンクリートとの付着力が低下し、1N/mm2以上の付着強度が得られ難い。凸部分の高さ又は凹部分の深さが10mmを超えても、U字型埋設型枠と後打ちコンクリートとの付着力は、それほど向上しない。そればかりか、凸部分の高さが10mmを超えると、運搬や工事現場に設置の際に、凸部分に欠け等が生じやすくなる。また、凹部分の深さが10mmを超えると、U字型埋設型枠の強度を保つために、部材(本体部)を厚くする必要があり、コスト高になる。
なお、付着強度が1N/mm2未満では、後打ちコンクリートの厚さにもよるが、後打
ちコンクリートの剥離が生じる可能性があり、好ましくない。
上記数値が、10%未満では、U字型埋設型枠と後打ちコンクリートとの付着力が低下し、1N/mm2以上の付着強度が得られ難い。上記数値が80%を超えるものは、製造が困難であるうえに、凸部分又は凹部分を有する面に欠けやひび割れ等が生じやすくなる。
上記凸部分の3mmの高さ又は凹部分の3mmの深さにおける切断面とは、上記凸部分の高さが3mm以上又は凹部分の深さが3mm以上の場合に、各々の凸部分の3mmの高
さ又は凹部分の3mmの深さにおける切断面の面積を合計した面積(Ca)をいう。また
、上記凸部分の高さが3mmであり又は上記凹部分の深さが3mmである場合の表面積と
は、各々の凸部分の3mmの高さ又は凹部分の3mmの深さにおける表面積を合計した面
積(Sa)をいう。
なお、本明細書においては、便宜上、上記凸部分の3mmの高さ又は凹部分の3mmの深さにおける切断面(但し、上記凸部分の高さが3mm又は上記凹部分の深さが3mmの場合は、表面積)の面積(Ca又はSa)と、上記凸部分又は凹部分を有する内面(全体)の投影面積(S2)との比を断面積率(Ca/S2×100%、又は、Sa/S2×100%)と称する。
m2以上の付着強度が得られ難い。面積比が7.0を超えるものは、製造が困難であるうえに、凸部分又は凹部分を有する面に欠けやひび割れ等が生じやすくなる。
面積比=(凸部分及び/又は凹部分を有する内面の全表面積;S1)/(凸部分又は凹部分を有する内面の投影面積;S2)
なお、U字型埋設型枠の凸部分又は凹部分を有する内面の投影面積(S2)は、凸部
分又は凹部分を有しない場合のU字型埋設型枠の内面(全体)の面積と同一である。
凸部分同士又は凹部分同士の間隔が大きすぎると、U字型埋設型枠と後打ちコンクリートとの付着力が低下し、1N/mm2以上の付着強度が得られ難いので、凸部分同士及び/又は凹部分同士の間隔は、20mm以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、凸部分同士の間隔とは、凸部分と凸部分の間の空隙の距離をいう。また、凹部分同士の間隔とは、凹部分と凹部分の間の距離をいう。
1.U字型埋設型枠用材料
以下に示す材料を使用した。
(a)セメント:低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)
(b)微粉末:シリカフューム(BET比表面積11m2/g)
(c)無機粉末:石英粉末(ブレーン比表面積7000cm2/g)
(d)細骨材:珪砂(粒径0.15〜0.6mm)
(e)減水剤:ポリカルボン酸系高性能減水剤
(f)水:水道水
(g)補強用繊維:鋼繊維(直径0.2mm、長さ15mm)
(h)収縮低減剤:2−エチル−1−ヘキサノールのエチレンオキサイド3.5モル付加物
上記材料を使用して、以下の2配合の配合物を調製した。
(a)配合物1:低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、石英粉末30質量部、細骨材105質量部、高性能減水剤0.5質量部(固形分換算)、水24質量部、及び鋼繊維(配合物の全量中で2体積%)を強制パン型ミキサに投入し、混練した。
(b)配合物2:低熱ポルトランドセメント100質量部、シリカフューム30質量部、石英粉末30質量部、細骨材105質量部、高性能減水剤0.5質量部(固形分換算)、水22質量部、収縮低減剤2質量部、及び鋼繊維(配合物の全量中で2体積%)を強制パン型ミキサに投入し、混練した。
なお、配合物1の圧縮強度(20℃で48時間封緘養生後、さらに90℃で48時間蒸気養生)は220N/mm2、配合物2の圧縮強度は205N/mm2である。
上記各配合物を型枠に投入し、20℃で48時間封緘養生後、さらに90℃で48時間蒸気養生して、図1の寸法(単位はmm)のU字型埋設型枠11を製造した。
なお、U字型埋設型枠には、図2に示すように、底面部に鉄筋13(D13 SD295A)を3本配置した(底面部の断面積に対する鉄筋面積は6.3%である)。
また、U字型埋設型枠の内面の全面に、直径15mmで高さ10mmの突起111を設けて、凸部を形成した(なお、突起の中心間間隔は30mmである)。
上記U字型埋設型枠内に、普通コンクリートを打ち込み、20℃で7日間封緘養生して、複合はり部材10を製造した。
なお、普通コンクリート12の配合は、早強ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)100質量部、細骨材(山砂)245質量部、粗骨材(硬質砂岩)297質量部、AE減水剤1.0質量部、水50質量部であり、該コンクリートの圧縮強度(標準養生材齢7日)は38N/mm2である。
非特許文献1の「2.3載荷試験」の方法で、複合はり部材の載荷試験を行った。図1中の矢印は、載荷試験の荷重力の方向を示す。即ち、試験体幅は、150mmであり、スパンの3等分点に載荷する2点載荷方式とした。
その結果、配合物1のU字型埋設型枠を使用した複合はり部材のひび割れ発生荷重は30(kN)、最大荷重は140(kN)であった。また、配合物2のU字型埋設型枠を使用した複合はり部材のひび割れ発生荷重は48(kN)、最大荷重は143(kN)であった。
さらに、両複合はり部材とも、せん断補強筋を配置していないにもかかわらず、延性的挙動を示すことが確認された。
なお、圧縮強度が38N/mm2のコンクリートで本実施例と同寸法・同鉄筋量のはり部材(RCはり)を製造した場合、該RCはりのひび割れ発生荷重は8.5(kN)、最大荷重は82(kN)と算出される。
また、配合物が収縮低減剤を含むことにより、複合はり部材のひび割れ発生荷重が大幅に向上した。
11 U字型埋設型枠
111 突起部
12 普通コンクリートを用いた後打ちコンクリート
13 U字型埋設型枠底面部鉄筋
Claims (4)
- (A)セメント、BET比表面積が3〜25m2/gの微粉末、細骨材、繊維、水、及び減水剤を含む配合物の硬化体からなるU字型埋設型枠と、
(B)普通コンクリート、を一体化してなる複合はり部材であって、
前記U字型埋設型枠の底面部に鉄筋が配置されていることを特徴とする複合はり部材。 - 配合物が、ブレーン比表面積3500〜10000cm2/gの無機粉末を含む請求項1記載の複合はり部材。
- 配合物が、収縮低減剤を含む請求項1又は2に記載の複合はり部材。
- 上記U字型埋設型枠が、内面の全面に略均一に、高さが3mm以上である複数の凸部分及び/又は深さが3mm以上である複数の凹部分を有する請求項1〜3のいずれかに記載の複合はり部材。
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