本発明の好ましい一実施例のフレキシブルコンテナ1は、図1の(a)及び(b)にその上部1a及び1bを模式的斜視図で示したように、円筒状のコンテナ本体10と、注入筒50と、排出筒60と、吊ベルト80とを有する。コンテナ本体10は、円筒状(横断面が円形)の代わりに、角筒状等他の形状でもよい。
コンテナ本体10は、円筒状周壁20と、環状頂壁30と、環状底壁40とを有する。環状底壁40の内周縁部42には複数の花弁状片部(フラップ状部)43が形成され、該花弁状片部43の先端には過剰締付抑制用パイプ44が嵌合された排出筒ロープ45が取付けられている。環状頂壁30にも環状底壁40と同様な花弁状片部やロープがあってもよい。
注入筒50は円筒状の注入筒本体51と結束用の結紐55,55とを有し、排出筒60は円筒状の排出筒本体61と結束用の結紐65,65とを有する。吊ベルト80は、アオリ止め用の補強バンド82及び一対の力布83,83を介してコンテナ本体10の外周に取付けられた一対の吊ベルト素体81,81を有する。84はフック掛部である。
コンテナ本体10の円筒状周壁20、環状頂壁30及び環状底壁40、注入筒本体51並びに排出筒本体61は、夫々、特許文献1に記載の特定構造の基布Aからなる。すなわち、円筒状周壁20、環状頂壁30、環状底壁40、注入筒本体51及び排出筒本体61は、夫々、特定構造の基布A1,A2,A3,A4,A5(総称するとき又は相互に区別しないときは符号Aで表す)からなる。なお、注入筒本体51及び排出筒本体61を形成する基布A4,A5は、コンテナ本体10を形成する基布A1,A2,A3より薄く、典型的には、数10μm程度の薄い樹脂フィルムで内張りされている。
基布Aは、例えば、図5に示したように、PE(ポリエチレン)又はPP(ポリプロピレン)の如き樹脂からなる帯状体素体Bを二つ折りにしてなるフラットヤーンDを経糸E及び緯糸Fとして、織成してなる。図5では、見易さのために、経糸E,E相互間及び緯糸F,F相互間にフラットヤーンDの幅Wと比較して無視し得ない程度の隙間gがあるかの如く示されているけれど、典型的にはこの間隙gは幅Wと比較してきわめて小さく無視し得る程度である。この例では、基布Aは、帯状体素体Bを長手方向に沿って二つ折りに折り曲げると共に該折曲部B1,B2の間に導電性糸Cを挟んでなる導電性帯状構造体Deの形態の導電性フラットヤーンDeを、約2.5cm(1インチ)以下の間隔で、経糸Eの一部として有する。以下では、フラットヤーンDのうち導電性糸Cの挟まれていないものを非導電性フラットヤーンとして符号Diで表す。ここで、帯状体素体Bは、導電性糸Cよりも機械的強度が高く且つ該導電性糸Cよりも電気伝導度が低い。典型的には、帯状体素体Bないし非導電性フラットヤーンDiのバルク抵抗はきわめて高い。但し、該帯状体素体Bないし非導電性フラットヤーンDiの表面抵抗はそのバルク抵抗と比較すると小さい。
なお、導電性フラットヤーンDeが経糸Eを構成するフラットヤーンDの少なくとも一部として用いられる代わりに、緯糸Fの少なくとも一部を構成するフラットヤーンDとして用いられていても、経糸Eと緯糸Fとの両方のフラットヤーンDの少なくとも一部をなしていてもよい。
図5では、フラットヤーンDを構成する帯状体素体Bが同じ向きに折り曲げられている(同じ側に開口を有する)例について示しているけれども、規則的に又は不規則的に分布する一部の帯状体素体Bが反対向きに折り曲げられていてもよい。
なお、吊ベルト80のベルト素体81及びアオリ止め用補強バンド82は、高い引張強度を有するように織成された高強度織布Y1,Y2(総称するとき又は区別しないときには符号Yで表す)からなる(例えば、図3の(e)参照)。この高強度基布Yは、例えば、複数枚のフラットヤーン素体を積層してなるフラットヤーンを経糸とし柔軟な素材からなる細いフラットヤーンを緯糸として織成してなる織布素体と該織布素体の長手方向に導電性糸を複数列縫い込んでなる。但し、十分な機械的強度と曲げに対する柔軟性を与え得るかぎり、吊ベルト80のベルト素体81及びアオリ止め用補強バンド82の織布が前記のような特定構造の基布からなっていてもよい。一方、力布83は、典型的には、前記特定構造の基布Amからなる(図3の(e)参照)。但し、力布83の基布が、吊ベルト80のベルト素体81及びアオリ止め用補強バンド82と同様な基布Yからなっていてもよい。
フレキシブルコンテナ1では、円筒状周壁20、環状頂壁30、環状底壁40、注入筒本体51及び排出筒本体61の夫々を構成する基布A1,A2,A3,A4,A5のうちの隣接する二枚の基布Ai,Aj(但し、i,jは1〜5のいずれかで、i≠j)は、相互に対面する側縁部において、図6の(a)に示したように、復元性のある導電性織布Gを間に挟んだ状態で、導電性縫合糸Kにより縫製されている。なお、図6の(a)では、基布Aiとして図1の円筒状部20の基布A1を想定すると共に基布Ajとして底壁部40の基布A3を想定していることから、底壁部40の外周縁の縫合部Qにおける円周方向の縫合線に沿った断面展開図に相当することを考慮して、基布AjのフラットヤーンDの実効幅が変動するように図示している。基布Aiにおいて導電性糸Cを備えた導電性フラットヤーンDeのある部位と基布Ajにおいて導電性糸Cを備えた導電性フラットヤーンDeのある部位との厚さ方向(重合方向)の相対位置は、種々の場合があり得、例えば、基布Aiが図6の(a)と同じ状態であっても、基布Ajは、図6の(b)や図6の(c)に示したような種々の相対位置を採り得る。すなわち、この観点では、図6の(a)〜(c)はいずれも単なる例示である。なお、縫合糸Kは、できるだけ導電性糸Cのあるところに挿通されることが好ましいけれども、量産条件下では実際には相当程度のズレやバラツキが生じるのを避け難いことを考慮して、図6の(a)〜(c)ではその一例が示されている。すなわち、縫合糸Kの挿通位置についても同様に単なる例である。
なお、フレキシブルコンテナ1の各縫合部Qは、好ましくはより複雑な折曲ないし折重ね状態になっているけれども、まず、原理的な構成について詳しく説明し、後で、個々の縫合部について、図2から図4に基づいて詳しく説明する。
シート状導電性織物若しくは編物又は不織布としての復元性のある導電性織布Gは、
(1)粒径の小さい粉粒体に対する密封性が高いこと、及び
(2)十分な導電性を有すること
の二つの要請を同時に満足する。
(1)織布Gが小粒径の粉粒体に対して高い密封性を有するためには、該織布Gは、
(ア)二枚の基布Ai,Ajの間にあって、基布Ai,Aj間を塞ぐこと
(イ)縫合部Qにかかる引張荷重ないし引張応力によって織布Gに対する導電性縫合糸Kの相対位置が一時的にずれることにより該ズレの方向に一時的に孔(開口すなわち織目や編目等)が拡がっても、該荷重がなくなって縫合糸Kが元の位置に戻ると、織布Gの孔も実際上塞がれること、
(ウ)導電性縫合糸Kが挿通されたところにおいて、該挿通部位の周囲に生じる間隙が小さいこと(例えば、縫合部Qにかかる引張荷重ないし引張応力によって織布Gに対する導電性縫合糸Kの相対位置がずれることにより該ズレの方向に孔が拡がる場合、例えば、該縫合糸Kが元あった場所の孔が該孔の両側に位置する織布Gの素材により相当程度塞がれること)
が好ましく、特に、(ア)及び(イ)の条件をできるだけ満たすことが望まれ、(ウ)の条件が満たされることがより好ましい。
なお、(ア)の条件を満たすためには、織布Gは、厚いこと(過度に薄くないこと)が好ましく、このためには、織布Gを構成する糸自体が太くて弾力性があるものであってもよいけれども、むしろ、織布Gを構成する糸自体は細くても一方では織成による構造的弾力性を有すること、及び実際上多層に重なることによる構造的弾力性を有することが好ましい。布Gの構造的弾力性を高めるために、布Gを織布によって形成する代わりに、編布によって形成してもよい。
一方、(イ)の条件を満たすためには、織布Gを構成する糸自体は細くても、織布Gが、一方では織成により構造的弾力性を有すること、及び実際上多層に重なることにより構造的弾力性を有することが好ましく、全体として織布の拡がり方向(面内)での復元性が高いことが好ましい。厚さ方向の弾力性はある方が好ましいけれども、必須ではない。
ここで、織布Gに関して、「復元性」は、いわゆる弾性体の弾性変形とは異なる。すなわち、弾性材では、該弾性材に弾性限界を超える応力が局所的にかかって該弾性材が局所的に破壊されて孔が一旦できると当該孔は十分には塞がれない。これに対して、織布Gでは、孔は該織布Gを構成する糸の間に元々ある隙間(例えば、織布では織目、編布では編目)であり該孔の拡大は該孔を規定する糸(該孔のまわりの糸)の相対的な位置ズレによるものである。従って、該孔のまわりの糸が元の位置にもどるだけで、孔が実際上塞がれ得る。即ち、織布Gでは、該織布Gを構成する糸又は該糸の織成構造体が不規則に変位することにより、結果として孔の閉塞が確実に行われ得る。
なお、導電性縫合糸Kは非導電性縫合糸よりも機械的強度が小さいので、導電性縫合糸Kが十分な機械的強度を有するためには、導電性縫合糸Kは非導電性縫合糸よりも太くなることから、該導電製縫合糸Kの挿通された部分には比較的大きな孔ができ、この孔からの粉粒体の漏洩の虞れは無視し難くなる。
次に、図7の(a)〜(c)及び(d)〜(f)に基づいて、復元性のある織布Gの役割をより詳しく説明する。
図7の(a)〜(c)の断面図では、フレキシブルコンテナ1のコンテナ本体10の円筒状周壁20の下端部24と、環状底壁40の外周縁部41との縫合部Qの一部が示され、図7の(d)〜(f)の断面図では、特許文献2のフレキシブルコンテナP1のコンテナ本体P10の円筒状周壁P20の下端部P24と、環状底壁P40の外周縁部P41との縫合部PQの一部が示されている。なお、従来のフレキシブルコンテナ及びその要素については、本発明の一実施例のフレキシブルコンテナ及びその対応する要素の符号の前に符号「P」を付して表す(以下同)。
フレキシブルコンテナP1の場合、縫合糸PKが挿通された状態(図7の(d))で、その両側の基布PXi,PXjに図7の(e)に示したように粉粒体内容物PUの荷重に起因する張力PTがかかると、縫合糸PKが基布PXi,PXjを貫通する部位(相対位置)が多少ずれるので、該縫合糸PKによって基布PXi,PXjに長孔PHi,PHjが形成され且つその間に位置する中間層PGmにも長孔PHmが形成される虞れがある。特許文献2の場合、中間層PGmは樹脂製のフィルムPGmからなる。その場合、該フィルムPGmの厚さや柔軟性にかかわらず、該フィルムPGmのうち縫合糸PKの挿通・位置ズレ部には長孔PHmが形成され、この長孔PHmは張力PTが実際上なくなって、縫合糸PKの位置がずれてもそのまま残る(図7の(f))。この孔PHmは開口表面に多少なりとも窪みPJを伴う。従って、フレキシブルコンテナの長孔PHmのうち縫合糸Kのなくなった部分に残る孔PHm,PHi,Phjから粒径の小さい粉粒体が漏れる虞れが高くなる。このような張力状態の変動は、後で図10を参照して詳述するように、例えば、吊ベルトによるフレキシブルコンテナP1の吊上げやフレキシブルコンテナP1の載置等によって生じる。
中間層PGmが樹脂製のフィルムPGmからなる代わりにゴム製の膜ないしフィルムからなる場合であっても、縫合糸PKが相対的には細いことから縫合糸PKによる大きな局所的応力が中間層PGmにかかるので、該中間層PGmのうち縫合糸PKの通っている孔の周壁のうち該局所的応力を受ける部分が弾性限界を超えて破壊されて長孔が形成されることは樹脂製フィルムPGmの場合と同様であり、むしろ、局所的応力による損傷ないし破壊はより大きくなり易い。なお、縫合糸PKが縫合糸である代わりに特許文献2のように非導電性縫合糸からなる場合には、該縫合糸が通常より細いから、縫合糸PKにより形成される長孔は長くなり易い。
フレキシブルコンテナ1では、基布Ai,Ajが夫々樹脂製帯状体ないし帯状体素体Bを二つ折りにしてなるフラットヤーンDを織成してなるので、折曲部の存在に起因して、フラットヤーンDの剛性が高くなり易い。従って、フラットヤーンDの剛性が一枚の帯状体からなるフラットヤーンと同程度になるように二つ折りにされるべき帯状体Bを薄くすると、帯状体自体が比較的薄くなるので、該帯状体Bの孔が大きくなり易い一面があることから、織布Kによる密封がより重要になる。
フレキシブルコンテナ1では、中間の層が復元性の高い織布Gからなるので、粉体内容物Uの荷重に起因する張力Tにより導電性縫合糸Kが基布A1,A3及び織布Gに対して位置ズレし、図7の(b)に示したように、基布A1,A3に孔H1,H3が生じると共に織布Gを構成する糸の隙間Hgが細長くなっても、織布Gの隙間Hgは織糸の位置ズレによって一時的に拡がっただけであるから、図7の(c)に示したように、張力が小さくなると、その隙間Hgは実際上又は殆どなくなる。即ち、織布Gでは、実際上隙間Hgが張力下で一時的に変形するだけであって、隙間Hgが長孔になって残るわけではない。その結果、基布Ai,Aj(即ち、A1,A3)の孔Hi,Hj(即ち、H1,H3)が織布Gによって相当程度隠され得るので、フレキシブルコンテナ1の縫合部にかかる張力の状態の変動によって粉粒体が漏れる虞れが低減され得る。
以上においては、筒状部20と底壁部40との縫合部Qを例にとって説明したけれども、他の縫合部(例えば、頂壁部30と筒状部20との縫合部Q)の場合も同様である。
次に、導電性の観点で、フレキシブルコンテナ1の特徴を説明する。
まず、本発明の好ましい一実施例のフレキシブルコンテナ1の一部を示した図6の(a)、図8の(a)及び図9の(a)を、特許文献1や出願人自身が製造・販売している従来のフレキシブルコンテナP1の一部を示した図11の(a)及び特許文献2等で知られている従来のフレキシブルコンテナP1a,P1b,P1cを示した図12の(a)〜(c)とを対比させながら、説明する。
図12の(a)は、特許文献2の図7等に示されている従来のフレキシブルコンテナP1aの一部を示している。この従来のフレキシブルコンテナP1aは、樹脂製帯状体PB1の形態のフラットヤーンPD1を経糸PE1及び緯糸PF1として織成してなる基布PA1,PA2を有する。各基布PA1,PA2のうちの一方の表面PS1,PS2側には、導電性糸状体PC1,PC2が打込まれている。図12の(a)に示した従来のフレキシブルコンテナP1aでは、重合された基布PA1,PA2のうち、基布PA1に導電性糸状体PC1が打込まれている表面PS1と基布PA2に導電性糸状体PC2が配設されている表面PS2とは、反対側に位置し、導電性帯状体PG1が重合された基布PA1,PA2の表面PS1,PS2に重なり合うように両表面PS1,PS2の外側に被せられ、更に、その積層体PM1の全体が、縫合糸PK1によって、縫合されている。ここで、導電性帯状体PG1は、導電性の付与された樹脂製又はゴム製のフィルムないし膜からなる。
この図12の(a)に示したフレキシブルコンテナP1aでは、基布PA1,PA2及び導電性帯状体PG1が密接状態で積層されるだけで、基布PA1の各導電性糸状体PC1及び基布PA2の各導電性糸状体PC2が導電性帯状体PG1と接触し、各導電性糸状体PC1,PC2は相互に電気的に接続され得る。但し、フレキシブルコンテナP1aでは、導電性糸状体PC1,PC2が表面PS1,PS2に露出することによる短所(切断され易いこと等)及び導電性糸状体PC1,PC2を該表面PS1,PS2に打込むに要する製造上の難点を避け難いだけでなく、図7の(d)〜(f)に基づいて説明したように、縫合糸PK1の挿通孔PHが張力PTの作用下で拡がることにより、粒径の小さい粉粒体PUの漏洩が生じ易い。
一方、図12の(b)に示した従来のフレキシブルコンテナP1b(実質的に特許文献2の図10に対応)では、重合された基布PA1,PA2のうち、基布PA1に導電性糸状体PC1が打込まれている表面PS1と基布PA2に導電性糸状体PC2が打込まれている表面PS2とが相互に向き合い、且つ導電性帯状体PG1と同様な導電性帯状体PG2が重合された基布PA1,PA2の対向表面PS1,PS2の間に積層配設されて両表面PS1,PS2に接触している点で図12の(a)のフレキシブルコンテナP1aと異なるけれども、他の点では、図12の(a)のフレキシブルコンテナP1aと同様に構成されている。すなわち、その積層体PM2の全体が、縫合糸PK1によって、縫合されている点でも同様である。
従って、この図12の(b)に示したフレキシブルコンテナP1bも、フレキシブルコンテナP1aと同様に、基布PA1,PA2及び導電性帯状体PG2が積層されるだけで、基布PA1の各導電性糸状体PC1及び基布PA2の各導電性糸状体PC2が実際上必ず導電性帯状体PG2と接触し、各導電性糸状体PC1,PC2は相互に電気的に接続され得る。なお、フレキシブルコンテナP1bも、フレキシブルコンテナP1aと同様に、導電性糸状体PC1,PC2が表面PS1,PS2に露出することによる短所(切断され易いこと等)及び導電性糸状体PC1,PC2を該表面PS1,PS2に打込むに要する製造上の難点を避け難いだけでなく、前述のように、縫合糸PK1の挿通孔が張力PTの作用下で拡がることにより、粒径の小さい粉粒体PUの漏洩が生じ易い問題があることも同様である。
なお、図12の(b)に示したフレキシブルコンテナP1bの基布PA1,PA2のように導電性糸PC1を基布の一方の表面PS1,PS2に打込む代わりに、図12の(c)に示した通り、導電性糸PC2を経糸PE1と同様に基布PA3及びPA4の両方の表面PS1,PS3及びPS2,PS4に露出するように織込み、基布PA3,PA4の間に導電性樹脂フィルムの形態の導電性帯状体PG3を配置して積層体PM3を形成し、該積層体PM3を縫合糸PK2で縫合してなるフレキシブルコンテナP1cも知られている。このフレキシブルコンテナP1cは、図12の(b)に示したフレキシブルコンテナP1bと実際上同様な長所・短所がある。このタイプのフレキシブルコンテナP1cには、縫合糸PK2として導電性縫合糸が用いられているものがあるけれども、積層体PK3を構成する基布PA3,PA4が縫合によりその間にある導電性帯状体PG3と電気的に接続されていることから、縫合糸PK2が導電性であることによるメリットはほとんどない。
これに対して、図11の(a)に示したように夫々がフラットヤーンDからなる経糸Eと緯糸Fとを織成してなる特定構造の基布Ai,Ajの側縁部を直接積層した積層体PM4を縫合する特許文献1のような場合、例えば、基布Aiについてみれば、縫合糸PK4の位置に応じた該縫合糸PK4と最近接導電性糸Cとの間の電気抵抗PRは、図11の(b)において実線で示したように変動する。ここで、基布Aのバルク抵抗は大きくて該バルクを通る導電路は実際上ないとみなし且つ基布Aを構成する帯状体Bの表面に沿って比較的高抵抗の導電路が形成されるとみなしている。より詳しくは、図11の(a)のような基布Aでは、縫合糸PK4が導電性糸Cのところを貫通する際に縫合糸PK4と導電性糸Cとの間の電気抵抗PRが実際上ゼロになり、隣接する二つの導電性糸C,Cのほぼ中間部において、より詳しくは、折曲開口部Baが該中間部に向かって開口している折曲帯状体Bよりも折曲部Bbが該中間部に向いている折曲帯状体Bに近接する位置XMにおいて抵抗PRが最大になる。すなわち、縫合糸PK4が積層体PM4を貫通する位置に応じて、縫合糸PK4と導電性糸Cとの間の電気抵抗PRが大きく変動する。重合された基布Ai,Ajの導電性糸C,C間の平均的電気抵抗についてもほぼ同様である(なお、図8の(a)では、基布Aiとして図1の円筒状部20の基布A1と同様な基布(A1)を想定すると共に基布Ajとして図1の底壁部40の基布A3と同様な基布(A3)を想定していることから、図1の底壁部40の外周縁と同様な外周縁の縫合部PQにおける円周方向の縫合線に沿った断面展開図に相当することを考慮して、基布AjのフラットヤーンDの実効幅が変動するように図示している。)。従って、特定構造の基布Aでは、電気抵抗が比較的小さいとはいえ、該基布AすなわちAi,Aj等により形成されるフレキシブルコンテナP1dの平均的な面積抵抗が相当変動する。その結果、例えば、図1のフレキシブルコンテナ1に対応させていえば、吊ベルト(80)とコンテナ本体(10)の底壁部(40)のところにあるアースタグ(87)との間の電気抵抗にもバラツキが生じる。
これに対して、本発明の好ましい一実施例のフレキシブルコンテナ1では、例えば、図8の(a)に示したように、特定構造の基布Ai,Ajの縁部の間に弾力性のある導電性織布Gが配設されて積層体Mが形成されている。従って、縫合糸Kと導電性糸Cとの間の電気抵抗は、一方では、図11の(b)の実線PRと同様に、縫合糸Kの位置に応じて図8の(b)の実線R1のように変動する。ところが、他方では、導電性織布Gと各導電性糸Cとの間の実効距離が実際上フラットヤーンDの幅W程度であることから、各導電性糸Cの導電性織布Gに対する電気抵抗は、図8の(b)において大きさRfの実線R2以下に保たれることになる。
従って、積層体Mが導電性縫合糸Kによって縫合されるフレキシブルコンテナ1の場合、これらを総合してみると、各導電性糸Cと導電性織布Gとの間の電気抵抗は、導電性縫合糸Kの位置に応じて、図8の(b)において実線Rで示したように変動する。なお、各導電性糸C間の電気抵抗は、実線Rのうちの実線部分R2で示される大きさRfの二倍以下であり、導電性縫合糸Kが導電性糸CのあるフラットヤーンDすなわち導電性フラットヤーンDeを貫通する場合には、当該導電性縫合糸Kに関する電気抵抗は、2Rfよりも小さくなる。すなわち、このフレキシブルコンテナ1では、図12の(a)〜(c)に示した従来のフレキシブルコンテナP1a,P1b,P1cの場合と異なり、縫合糸Kが導電性であることにより導電性糸Cの平均的な電気抵抗が低減され得る。導電性織布Gを挟んで重合される基布Ai,Ajの導電性糸C,C間の平均的電気抵抗についてもほぼ同様である(なお、図9の(a)では、基布Aiとして図1の円筒状部20の基布A1を想定すると共に基布Ajとして底壁部40の基布A3を想定していることから、底壁部40の外周縁の縫合部Qにおける円周方向の縫合線に沿った断面展開図に相当することを考慮して、基布AjのフラットヤーンDの実効幅が変動するように図示している。)。従って、フレキシブルコンテナ1では、多少太くなっても、縫合糸Kとしては、導電性縫合糸Kが用いられる。なお、図9において、導電性縫合糸Kが重合体ないし積層体Mを貫通している部位は、単なる例示であって、実際には、フレキシブルコンテナ1の全周において導電性フラットヤーンDeに対して種々の位置に縫合貫通部ができることになる。
なお、フレキシブルコンテナ1において、上限抵抗RfはフラットヤーンDの幅Wに依存することから、フラットヤーンDの幅Wを細くすることにより、抵抗値Rfを下げてもよく、場合によっては、むしろフラットヤーンDの幅Wを多少太くすることにより、基準抵抗Rfが過度に低下するのを避け、比較的高い基準抵抗Rfを与えるようにしてもよい。
以上のとおり、フレキシブルコンテナ1では、導電性織布Gが、特定構造の基布Ai,Ajの縁部の間に挟まれて積層体Mが形成され且つ該積層体Mが導電性縫合糸Cで縫合されているので、フレキシブルコンテナ1が、実際上適度の導電性ないし適度の面積抵抗を有し得る。また、フレキシブルコンテナ1では、導電性織布Gが、特定構造の基布Ai,Ajの縁部の間に挟まれて積層体Mを形成する導電性帯状体が復元性のある織布Gからなるので、図7の(a)〜(c)に基づいて説明したようにフレキシブルコンテナ1の特定構造の基布Ai,Ajの間に働く張力Tの変動に伴って、基布Ai,Ajのうち導電性縫合糸Kの挿通部分の孔H1,H3等が拡がっても、該基布Ai,Aj間に位置する織布G自体の孔Hは該張力Tの解除に伴って実際上閉じるので、基布Ai,Ajの拡張した孔部分H1,H3等が織布Gによって実際上塞がれ得る。しかも、上述のように縫合糸Kが導電性であることによりその機械的強度を確保すべく太くなっていてもこの閉塞は確実に行われ得る。
以上の如き原理的な縫合部Qの構成を備えたフレキシブルコンテナ1に関し、次に、その個々の縫合部の具体的な構成について、図2から図4に基づいて、より詳しく説明する。
注入筒50の本体51の上端部52及び排出筒60の本体61の下端部62は、夫々、図2においてIIIA及びIIIHの想像線の円で示した部位を断面図で拡大して示した図3の(a)及び(h)からわかるように、巻縫いされている。縫合糸Ka,Khは夫々導電性の糸からなる。但し、非導電性の糸であってもよい。
図2においてIIICの想像線の円で示した断面部位を拡大して示した図3の(c)からわかるように、注入筒50の下端部53は、横断面で見て「6」の字状に折り曲げられ、横断面で見て「U」字状に折り曲げられた復元性のある導電性帯状織布Gcがこの「6」字状折曲部54に重ねられている。更に、導電性帯状織布Gcの「U」の上側脚部Gc1の上にコンテナ本体10の頂壁部30の内周縁部31が重合されて形成された積層体Mcが導電性縫合糸Kcによって縫合されることにより、縫合部Qcが形成されている。
この縫合部Qcは、図9の(a)及び(b)に基づいて説明した前述の全ての条件を備えているので、注入筒50の本体51の下端部53とコンテナ本体10の頂壁部30の内周縁部31との間の縫合部Qcからの粉粒体の漏洩の虞れを最低限に抑え得るだけでなく、注入筒50の本体51の特定構造の基布A4の導電性糸C4とコンテナ本体10の頂壁部30の特定構造の基布A2の導電性糸C2との間の電気抵抗を所定レベル以下に確実に抑え得る。
なお、縫合部Qcでは、注入筒50の下端部53が単に重合される代わりに「6」字状に折返されその間にU字状に折返された復元性のある導電性帯状織布Gcが重合されているので、粉粒体Uの漏洩に対するその密封性及び静電気の放電を助ける電気導電性の両方が更に高められ得る。
また、図2においてIIIGの想像線の円で示した断面部位を拡大して示した図3の(g)からわかるように、排出筒60の上端部63は、横断面で見て「P」の字状に折り曲げられ、横断面で見て「U」字状に折り曲げられた復元性のある導電性帯状織布Ggがこの「P」字状折曲部64に重ねられ、更に、導電性帯状織布Ggの「U」の下側脚部Gg1の下にコンテナ本体10の底壁部40の内周縁部42が重合されて形成された積層体Mgが導電性縫合糸Kgによって縫合されることにより、縫合部Qgが形成されている。
この縫合部Qgも、前述の全ての条件を備えているので、排出筒60の本体61の上端部63とコンテナ本体10の底壁部40の内周縁部42との間の縫合部Qgからの粉粒体の漏洩の虞れを最低限に抑え得るだけでなく、排出筒60の本体61の特定構造の基布A5の導電性糸C5とコンテナ本体10の底壁部40の特定構造の基布A5の導電性糸C5との間の電気抵抗を所定レベル以下に確実に抑え得る。また、縫合部Qgでは、排出筒60の上端部63が単に重合される代わりに「P」字状に折返されその間にU字状に折返された復元性のある導電性帯状織布Ggが重合されているので、その密封性及び電気導電性の両方が更に高められ得ることも上記の場合と同様である。
特に、図2においてIIIBの想像線の円で示した部位を断面図で拡大して示した図3の(b)からわかるように、コンテナ本体10の円筒状部20の上端部21は、導電性帯状織布Gbを間に挟むように該コンテナ本体10の頂壁部30の外周縁部32と重合された状態で、ロール状に巻かれて積層体Mbとなされ、該積層体Mbが導電性縫合糸Kbによって縫合されることにより、縫合部Qbが形成されている。この縫合部Qbは、いわゆる巻縫の形態で、この例では、特に、円筒状部20の上端部21の先端部分22が頂壁部30の外周縁部32の先端縁33及び導電性帯状織布Gbの外周縁Gb1を包むように更に巻付けられ、且つ導電性縫合糸Kbの内周側部分Kb1が、縫合部Qbの内周側において、円筒状部20の上端部21の基端部分23と導電性帯状織布Gbの内周縁Gb2と頂壁部30の外周縁部32の基端部分34との非巻回重合部Mb1をも縫合して縫合部Qb1を形成している。ここで、縫合部Qbは、縫合部Qc,Qgと異なり充填内容物(典型的には粉粒体)Uの荷重を直接受けるので、縫合部Qc,Qgよりも十分に強くなるように巻縫が施され、且つ縫合部Qbの形成の便宜を兼ねて、非巻回重合部Mb1に縫合部Qb1が形成されている。但し、縫合部Qbが確実に且つ速やかに形成され得る場合には、縫合部Qb1はなくてもよい。
この縫合部Qb,Qb1は、前述の全ての条件を備えているので、コンテナ本体10の頂壁部30の外周縁部32と該コンテナ本体10の円筒状部20の上端部21との間の縫合部Qb,Qb1からの粉粒体Uの漏洩の虞れを最低限に抑え得るだけでなく、コンテナ本体10の頂壁部30の特定構造の基布A2の導電性糸C2とコンテナ本体10の円筒状部20の特定構造の基布A1の導電性糸C1との間の電気抵抗を所定レベル以下に確実に抑え得る。
なお、縫合部Qb,Qb1では、円筒状部20の上端部21と頂壁部30の外周縁部32とが単に重合される代わりに復元性のある導電性帯状織布Gbを間に挟んだ状態で巻回されているので、その密封性及び電気導電性の両方が更に高められ得る。
同様に、図2においてIIIFの想像線の円で示した部位を断面図で拡大して示した図3の(f)からわかるように、コンテナ本体10の円筒状部20の下端部24は、導電性帯状織布Gfを間に挟むように該コンテナ本体10の底壁部40の外周縁部46と重合された状態で、ロール状に巻かれて積層体Mfとなされ、該積層体Mfが導電性縫合糸Kfによって縫合されることにより、縫合部Qfが形成されている。この縫合部Qfも、いわゆる巻縫の形態で、この場合も、円筒状部20の下端部24の先端部分25が底壁部40の外周縁部46の先端縁47及び導電性帯状織布Gfの外周縁Gf1を包むように更に巻付けられ、且つ導電性縫合糸Kfの内周側部分Kf1が、縫合部Qfの内周側において、円筒状部20の下端部24の基端部分26と導電性帯状織布Gfの内周縁Gf2と底壁部40の外周縁部46の基端部分48との非巻回重合部Mf1を縫合して縫合部Qf1を形成している。ここで、縫合部Qfは、縫合部Qbと同様に、縫合部Qc,Qgと異なり充填内容物Uの荷重を直接受けるので、縫合部Qc,Qgよりも十分な機械的強度を有するように巻縫が施され、且つ縫合部Qfの形成の便宜を兼ねて、非巻回重合部Mf1に縫合部Qf1が形成されている。但し、この場合も、縫合部Qfが確実に且つ速やかに形成され得る場合には、縫合部Qf1はなくてもよい。
この縫合部Qf,Qf1も、前述の全ての条件を備えているので、コンテナ本体10の底壁部40の外周縁部46と該コンテナ本体10の円筒状部20の下端部24との間の縫合部Qf,Qf1からの粉粒体Uの漏洩の虞れを最低限に抑え得るだけでなく、コンテナ本体10の底壁部40の特定構造の基布A3の導電性糸C3とコンテナ本体10の円筒状部20の特定構造の基布A1の導電性糸C1との間の電気抵抗を所定レベル以下に確実に抑え得、静電気による帯電を最低限に抑え得る。
なお、縫合部Qf,Qf1では、円筒状部20の下端部24と底壁部40の外周縁部46とが単に重合される代わりに復元性のある導電性帯状織布Gfを間に挟んだ状態で巻回されているので、その密封性及び電気導電性の両方が更に高められ得ることも、縫合部Qb,Qb1と同様である。フレキシブルコンテナ1の通常の取扱い乃至利用では、この縫合部Qf,Qf1には、縫合部Qf,Qf1よりも大きな荷重や荷重変動がかかることから、他の縫合部Qよりも高い機械的強度を有するような形態の縫合が行われることが好ましい。例えば、図3の(f)において想像線Kfで示したように、縫合糸Kfによる縫合を、縫合糸Kf1による縫合部位に重なるように、径方向内側まで拡げておいてもよい。
更に、図2においてIIIDの想像線の円で示した部位を拡大して断面で示した図3の(d)からわかるように、コンテナ本体10の円筒状部20の基布A1とアオリ止め用の補強バンド82の基布Y2との間にも、復元性のある導電性帯状織布Gdが配設されて、導電性縫合糸Kdにより、バンド82が円筒状部20の外周に縫付けられている。
従って、円筒状部20の基布A1を構成する経糸Eの一部に挟み込まれた導電性糸C1は、上記のように所定の大きさ以下の抵抗で導電性織布Gdに電気的に接続されている。
また、図2においてIIIEの想像線の円で示した部位を拡大して断面で示した図3の(e)及び図2の想像円IIIEを含む部分を拡大して平面説明図として示した図4の(a)からわかるように、吊ベルト80の素体81の取付部位では、コンテナ本体10の円筒状部20の基布A1とアオリ止め用の補強バンド82との間には、力布83、フック掛部84及び吊ベルト素体81が配置されている。なお、フック掛部84の基布Y3も例えば吊ベルト素体81の基布Y1と同様に構成される。より詳しくは、コンテナ本体10の円筒状部20の基布A1と力布83との間に復元性のある導電性帯状織布Geが配置された状態で、該力布83、フック掛部84の基端部85及びベルト素体81の基端部86が配置されて、導電性縫合糸Keによって縫合され、その上に、上述の如く、導電性織布Gd及び補強バンド82が配置されて導電性縫合糸Kdによって縫合されている。
従って、吊ベルト素体81の基布Y1やフック掛部84の基布Y3に組み込まれた導電性糸は、導電性織布Gd,Geに直接接触して電気的に接続される。導電性織布Gd,Geの復元性が高いので、吊ベルト素体81の基端部86やフック掛部84の基端部85のところにかかる張力Tが変動して、導電性縫合糸Ke,Kdの挿通孔が基布A1,Am等のところで大きくなっても、粉粒体内容物の漏洩の虞れを最低限に抑え得る。
なお、図1の(b)からわかるように、フレキシブルコンテナ本体10の下端側を接地するためのアースタグ87が、円筒状部20の下端部24に取付けられている。より詳しくは、このフレキシブルコンテナ1では、アースタグ87は、図4の(b)において略図で示したように、円筒状部20の下端部24と底壁部40の外周縁部46との積層体Mfの巻縫接続部Qf(図3の(f))のまわりに被せられ且つ導電性縫合糸Kjによって、縫付けられている。アースタグ87は、例えば、導電性が付与された比較的厚い(例えば、0.5mm程度又はそれ以上、但し、より薄くてもよい)樹脂フィルムや導電性織布からなる。このアースタグ87の形態は、鰐口クリップ等でつまみ易い。88は、取扱説明や警告等が記載されたシートである。
次に、以上の如く構成されたフレキシブルコンテナ1を用いた粉粒体の充填や運搬や排出について、図10の(a)〜(c)に基づいて、より詳しく説明する。
フレキシブルコンテナ1に粉粒体Uを充填する場合、排出筒60を折畳んで結紐65,65を結束し排出筒ロープ45を縛って排出筒60を閉じた状態で、図10の(a)に示したように、フレキシブルコンテナ1を例えば適当な台座91上に載置し、鰐口クリップの如き接続端子92a,92a(図示せず)を両端に備えたケーブル92を介してアースタグ87を金属棒の如きアース体93等に接続する。これにより、フレキシブルコンテナ1の注入筒50や、頂壁部30と円筒状部20と底壁部40とからなるコンテナ本体10がアースタグ87を介して接地される。なお、典型的には、図10の(a)において想像線で示したように、充填装置の一部をなし接地された金属製のフレーム94等に吊ベルト80を吊下げることにより、フレキシブルコンテナ1を安定に支持すると共にフレキシブルコンテナ1の上部側での接地をより確実にする。
この状態で、注入筒50を介して、コンテナ本体10内に粉粒体Uを充填する。吊ベルト80で吊っている場合、充填の進行に伴いコンテナ本体10にかかる荷重により、縫合部Qb,Qfには徐々に大きな荷重がかかり、図7の(a)〜(c)に関連して説明したように、基布A2,A1,A3のうち縫合糸挿通孔が多少大きくなって長孔H1,H2等ができる。
一方、粉粒体Uの充填の際に、粉粒体Uがフレキシブルコンテナ1の基布Aその他に擦れる際の摩擦帯電により生じる静電気は、例えば、図10の(a)において矢印で示したような経路に沿って、アースタグ87を介して放電される。なお、想像線で示した吊ベルト80がフレーム94等に吊下げられている場合には、該吊ベルト80を介しても放電される。このフレキシブルコンテナ1では、上述のように、コンテナ本体10の円筒状部20の基布A1が、頂壁部30の基布A2や底壁部40の基布A3等と縫合部Qb,Qf等で低抵抗状態で電気的に接続されているので、この放電に際して、フレキシブルコンテナ1の各部で生じた静電気がアースタグ87や吊ベルト80を介して確実に放電され得る。また、フレキシブルコンテナ1では特定構造の基布Ai,Ajが導電性織布Gを挟んで積層され且つ導電性糸Kで縫合されているので、基布Ai,Aj間の電気抵抗のバラツキが最低限に抑えられ得るから、製品による電気抵抗のバラツキが最低限に抑えられ得る。従って、充填を補助又は監視する作業者がフレキシブルコンテナ1に触れても静電気の放電等による強い衝撃を受ける虞れが少なく、且つ該静電気の放電に伴う火災等が生じるのを避け得る。
充填の際に、該充填の進行に伴う吊ベルト80の吊下げ状態の変動により、縫合部Qb,Qfにかかる張力の増減変動が生じると、コンテナ本体10内に充填された粉粒体Uが長孔H1,H2等を介して漏洩しようとするけれども、このフレキシブルコンテナ1では、縫合基布Ai,Aj間に復元性の高い織布Gが配置されているので、粉粒体Uの漏洩が最低限に抑えられ得る。
フレキシブルコンテナ1への粉粒体Uの充填が完了すると、注入筒50が折畳まれると共に結紐55,55が結束されて注入筒50が閉じられる。
次に、フレキシブルコンテナ1は、例えば、図10の(b)に示したように、フォークリフトのような吊下げ運搬装置95によって吊ベルト80で吊下げられて、所望位置の集積場所に運ばれ、その後、再度、同様な又は別の吊下げ運搬装置95によって吊ベルト80で吊下げられて、そのまま又はコンテナに積込まれた後、車や船舶のような輸送手段によって所望の目的地に運ばれる。更に、同様な又は別の吊下げ運搬装置95によって吊ベルト80で吊下げられることが繰り返されるか又は直接的に工場その他の粉粒体Uの使用施設に持ち込まれる。
このような運搬の際に、フレキシブルコンテナ1の吊ベルト80を介する吊下げ及び床や地面や台座等の上への載置等が繰返される。従って、フレキシブルコンテナ1が吊下げられる毎に巻縫接続部Qb,Qf等に大きな引張応力がかかって孔H1,H3等の拡開が進行し、載置される毎に該孔H1,H3等から粉粒体Uが漏洩しようとするけれども、復元性の高い織布Gによって孔H1,H3等が実際上塞がれるので、粉粒体Uの漏洩の虞れが最低限に抑えられ得る。
また、上記のような運搬の際に、フレキシブルコンテナ1の基布Aと内容物たる粉粒体Uとの摩擦等によってフレキシブルコンテナ1の基布Aが帯電する虞れがあるけれども、フレキシブルコンテナ1では、上述のように、コンテナ本体10の円筒状部20の基布A1が、頂壁部30の基布A2や底壁部40の基布A3等と縫合部Qb,Qf等で低抵抗状態で電気的に接続されているので、フレキシブルコンテナ1の各部で生じた静電気がアースタグ87や吊ベルト80を介して確実に放電され得る。従って、運搬を補助又は監視する作業者がフレキシブルコンテナ1に触れても静電気の放電等による強い衝撃を受ける虞れが少なく、且つ該静電気の放電に伴う火災等が生じるのを避け得る。
目的の場所において、フレキシブルコンテナ1から粉粒体Uを排出する場合、例えば、図10の(c)に示したように、金属フレーム96を介して接地された吊上げ(吊下げ)装置97によりフレキシブルコンテナ1を吊ベルト80で吊上げる(吊下げる)。また、ケーブル92をアースタグ87と接地金属棒93との間に繋ぐ。これにより、フレキシブルコンテナ1は、吊ベルト80及びアースタグ87の両方を介して、接地される。なお、フレキシブルコンテナ1の円筒状部20の基布A1が頂壁部30の基布A2や底壁部40の基布A3や吊ベルト80にバラツキの少ない低抵抗状態で電気的に接続されているので、フレキシブルコンテナ1の各部が吊ベルト80及びアースタグ87の両方を介して、確実に接地される。次に、排出筒60が粉粒体Uの投入部98に対面する状態で排出筒ロープ45及び結紐44を解いてフレキシブルコンテナ1の排出筒60を開いて、粉粒体Uをフレキシブルコンテナ1から投入部98に排出する。もちろん、図10の(c)に示したような吊上げ装置97によって吊上げる代わりに、図10の(b)に示したように運搬装置95によって吊上げた状態で、図10の(b)において想像線で示したように、フレキシブルコンテナ1の排出筒60が投入部98に対面する所定排出位置までフレキシブルコンテナ1を運び、該所定位置において、アースタグ87を介してフレキシブルコンテナ1を接地した後、粉粒体Uを排出筒60から投入部98に投入してもよい。
いずれの場合でも、フレキシブルコンテナ1では、基布A自体が比較的導電性が高いだけでなく、巻縫縫合部Qb,Qf等の縫合部Qにおいて隣接基布Ai,Ajが導電性織布Gを介することにより且つ導電性縫合糸Kによって縫合されることにより、バラツキの少ない低抵抗状態で相互に電気的に接続され得るので、粉粒体Uの排出の際に生じる静電気が吊ベルト80及びアースタグ87を介して、速やかに放電ないし除電され得る。従って、排出を補助又は監視する作業者がフレキシブルコンテナ1に触れても静電気の放電等による強い衝撃を受ける虞れが少なく、且つ該静電気の放電に伴う火災等が生じるのを避け得る。