[遊技機の構成]
最初に図1〜図3を用いて、本実施例に係わる遊技機の外観構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機10の全体構成を示す斜視図であり、図2はパチンコ遊技機10の分解斜視図、図3は遊技盤14の正面図である。
パチンコ遊技機10は図1、図2に示すように、ガラスドア11、木枠12、ベースドア13、遊技盤14、皿ユニット21、画像と可動演出部材とを用いて遊技状態に応じた演出を行う演出表示装置601、遊技球を発射する発射装置130、基板ユニット400、遊技価値を付与する球払出ユニット500などから構成されている。
演出表示装置601はベースドア13に配されており、演出表示装置601に画像を表示することにより遊技状態に応じて演出を行う前後2枚の液晶表示装置32と、表示されている画像と共に遊技状態に応じた演出を行う可動演出部材600D,600Hとが含まれている。
前後2枚の液晶表示装置32は、遊技者側に配置された手前側表示装置32Fと、手前側表示装置32Fよりも奥側に配置された奥側表示装置32Rとから構成されている。図1に示す可動演出部材600Dは、可動手段610の働きにより下降した状態となっており、手前側表示装置32Fの背後に隠れているために、遊技者からは見えない。他方の可動演出部材600Hは、可動手段610の働きにより上昇しており、手前側表示装置32Fの上端縁から出現した状態になっている。
そして、遊技者から見ると奥側表示装置32Rの一部と重なって見えている。なお、図1に示す状態では、手前側表示装置32Fを下方側に配置し、奥側表示装置32Rを上方側に配置した実施形態を示しているが、手前側表示装置を上方側に配置するとともに、奥側表示装置を下方側に配置する構成を採用することもできる。
ガラスドア11は、ベースドア13に対して開閉自在に軸着されており、ガラスドア11の中央には、図1に示すように、開口11aが形成されている。そして、開口11aには、透過性を有する保護ガラス19が配設されている。保護ガラス19は、ガラスドア11が閉鎖された状態で、後述する遊技盤14の前面に対して対面するように配設されている。保護ガラス19は、遊技球の飛び出しを防止するために、少なくとも遊技領域15の全域と対面するように配設しておくことが必要である。保護ガラス19は、遊技盤14のうち遊技領域15に該当しない、遊技領域外16も併せて覆うように構成しておくこともできる(図2参照。)。
また、ガラスドア11における開口11aの下方には、コントロールパネル67(図1参照。)が配設されている。コントロールパネル67には、遊技球の貸出用操作部68、メニュー画面表示、メニュー選択、決定、取り消しなどのメニュー操作部69、遊技の進行や演出の進行に関する操作などを行うゲーム操作部70などが含まれている。
図1、図2に示すように、パチンコ遊技機10の正面に設けられている皿ユニット21は、ガラスドア11の下方に位置するように、ベースドア13に配設されている。皿ユニット21としては、上方に上皿20が設けられており、上皿20の下方には下皿22が設けられている。上皿20内には、遊技領域15内に打込むための遊技球を貯留しておくことができる。また、上皿20及び下皿22には、遊技球の貸し出し、遊技球の払出し(賞球)を行うための払出口20a,22aが形成されており、所定の払出条件が成立した場合には、後述する球払出ユニット500に貯留されている遊技球が払出されてくることになる。
パチンコ遊技機10の発射装置130は、皿ユニット21の側方に位置するように、ベースドア13に配設されている。この発射装置130には、遊技者によって操作可能な発射ハンドル26が配設されている。発射ハンドル26は回動自在に設けられており、遊技者によって発射ハンドル26の回動操作が行われると、遊技球の発射が行われパチンコ遊技が開始される。
発射ハンドル26の裏側には、発射強度制御手段98(図13参照。)、球送りソレノイド(図示せず。)などが設けられている。この構成によって、遊技を行う遊技者は、パチンコ遊技機10の前方側から発射ハンドル26等の操作を行って、遊技球を所定の速度で遊技領域15内に向けて打込むことができる。
発射ハンドル26の周縁には、タッチセンサ(図示せず。)、発射停止スイッチ(図示せず。)などが設けられている。このタッチセンサが触接されたときには、遊技者により発射ハンドル26が握持されたと検知される。発射ハンドル26が遊技者によって握持され、かつ、回動操作されたときに、発射強度制御手段98に電力を供給して、上皿20に貯留された遊技球を遊技領域15内に向けて順次発射するように構成することができる。
なお、発射ハンドル26に設けられるタッチセンサは、遊技者が発射ハンドル26を握持している状態を判別できるセンサであればよく、光学的に検知するセンサや、熱により検知するセンサ等、タッチセンサとして用いることのできるものであればセンサの種類は問わない。
図2に示すように、ガラスドア11、遊技盤14、皿ユニット21、発射装置130が配設されたベースドア13は、木枠12に軸着されている。ベースドア13の中央には開口13aが形成され、上方にはスピーカ46L、46Rが配設されている。
遊技盤14は、ガラスドア11における保護ガラス19の奥側に位置するように、ベースドア13の前方に配設されている。遊技盤14は、その全部が透過性を有する板形状の樹脂によって形成されており、遊技盤14の後方に配置されている演出表示装置601の一部又は全部を、遊技盤14の前方からベースドア13の開口13aを介して視認可能にしている。なお、図2に示す実施形態では、演出表示装置601を遊技盤14の奥側に配置した実施形態を示しているが、本発明はこの構成に限定するものではなく、演出表示装置601を遊技盤14の一部に形成してもよい。透過性を有する遊技盤14の素材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、メタクリル樹脂などを用いることができる。
遊技盤14の前面には、発射された遊技球が転動可能な遊技領域15が形成されている。遊技領域15は、案内レール30などによって囲まれた領域であって、遊技球が落下しながら転動する領域となっている。案内レール30は、遊技領域15を取囲んだ連続したレールとして構成されており、遊技領域内を転動する遊技球を外れ球として遊技領域外に排出する排出口24まで延設されている。また、遊技領域15の左下方には、遊技領域15内において向かって左側の領域を落下してきた外れ球を排出口24に案内するための内レール31が配設されている。
内レール31と案内レール30との間には、発射装置130によって発射された遊技球が通過する案内通路29が形成されている。案内通路29の下流側には、同案内通路29から飛び出した遊技球が再び案内通路29内に戻らないように規制する、可撓性のゲート部材28が配設されている。
遊技盤14の前面中央には、図3に示すように、始動口44、シャッタ40などが設けられている。この始動口44に遊技球が入球したことを条件として、特別図柄(識別情報の一例。)の可変表示が実行されることになる。また、詳しくは後述するが、この特別図柄の可変表示の結果に応じて、通常遊技状態よりも遊技者にとって相対的に有利な大当り遊技状態(特定遊技状態、所謂、「大当り」。)となる。この大当り遊技状態となった場合には、シャッタ40が開放状態に制御され、大入賞口39に遊技球が受け入れ容易な開放状態となる。
遊技盤14の上部中央には、図3に示すように、特別図柄表示装置33が配設されている。この特別図柄表示装置33は、7セグメント表示が可能な表示装置であり、特別図柄ゲームにおいて特別図柄の可変表示を行うものである。この特別図柄表示装置33における特別図柄は、一列の図柄列で構成されているが、この構成に限定されるものではなく、例えば、複数の図柄列で構成されていてもよい。
この特別図柄は、数字や記号等からなる図柄であり、本実施例においては7セグメントの各セグメントを適宜組合わせて表示させることで、“0"から“9"の数字、“−"の絵柄を用いることができる。特別図柄表示装置33としては、遊技領域15における始動口44(始動領域の一例。)を遊技球が通過したことを条件として、識別情報の可変表示を行うこととなる。
「可変表示」とは、変動可能に表示される概念であり、例えば、実際に変動して表示される「変動表示」、実際に停止して表示される「停止表示」等を可能とするものである。また、「可変表示」としては、特別図柄ゲームの結果として識別情報が表示される「導出表示」を行うことができる。また、変動表示が開始されてから導出表示されるまでを一回の可変表示と称する。
この特別図柄表示装置33において、特別図柄の導出表示が行われ、導出表示された特別図柄が特定の表示態様(例えば、“0"から“9"のいずれかの数字が導出表示される態様、所謂「大当り表示態様」。)になったことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な大当り遊技状態(特定遊技状態。)に移行することとなる。また、導出表示された特別図柄が非特定の表示態様(例えば、“−"が導出表示される態様、所謂「はずれ態様」。)になった場合には、大当り遊技状態には移行しない。
また、導出表示された特別図柄が、特定の表示態様のうちの特別の表示態様(例えば、“1"、“3"、“5"、“7"、“9"が導出表示される態様、所謂「特別大当り表示態様」。)になったことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な大当り遊技状態に移行し、その大当り遊技状態が終了した場合に、確変状態に移行することとなる。
一方、導出表示された特別図柄が、特定の表示態様のうち、特別の表示態様ではない非特別の表示態様(例えば、“0"、“2"、“4"、“6"、“8"が導出表示される態様、所謂「通常大当り表示態様」。)になったことに基づいて、遊技状態を遊技者にとって有利な大当り遊技状態に移行し、その大当り遊技状態が終了した場合に、遊技者に相対的に有利な時短状態に移行することとなる。そして、時短状態に移行した後に、大当り遊技状態に移行することなく100回の識別情報の可変表示が行われた場合には、遊技者にとって特に有利な遊技状態ではない通常遊技状態に移行することとなる。
確変状態では、通常遊技状態よりも相対的に大当り遊技状態に移行する確率が向上する。また、時短状態では、通常遊技状態よりも、識別情報の可変表示時間が短くなり、羽根部材48が開放状態となる時間が長くなるように制御されることになる。このため時短状態では、通常遊技状態よりも相対的に大当り遊技状態に移行する可能性が向上する。
なお、導出表示された特別図柄が特別の表示態様となった場合に大当り遊技状態に移行し、その大当り遊技状態の終了後に確変状態に移行する遊技状態を、特別大当り遊技状態と称する。また、導出表示された特別図柄が非特別の表示態様となった場合に大当り遊技状態に移行し、その大当り遊技状態の終了後に通常遊技状態に移行する遊技状態を、通常大当り遊技状態と称する。
また、大当り遊技状態となった後に、確変状態となる特別大当りにおいては、大当り遊技状態中におけるラウンド制御の上限ラウンド数が15ラウンドとなる。つまり、遊技者に相対的に有利な第一の大当り遊技状態に遊技状態が移行されることとなる。一方、大当り遊技状態となった後に、確変状態とならない通常大当りにおいては、大当り遊技状態中におけるラウンド制御の上限ラウンド数が2ラウンドとなる。
遊技盤14の遊技領域15には、各種の役物が設けられている。各種の役物の一例として図3を用いて以下に説明するが、これに限定されるものではない。
例えば、遊技盤14の遊技領域15内の中央上方には、特別図柄表示装置33が設けられている。また、特別図柄表示装置33の右側方には、普通図柄の可変表示を行う普通図柄表示装置35が設けられている。この普通図柄は、数字や記号等からなる情報であり、例えば“○"、“×"等の記号である。
また、遊技盤14の上方には、特別図柄ゲームにおける保留個数を表示する特別図柄保留表示装置34、普通図柄ゲームにおける保留個数を表示する普通図柄保留表示装置37がそれぞれ設けられている。
また、遊技盤14の右上方には、大当り遊技状態における上限ラウンド数を表示する不図示の大当りラウンド数表示装置が設けられている。
また、遊技盤14の遊技領域15内の上方には、球通過検出器54a及び54bが設けられている。この球通過検出器54a及び54bは、その近傍を遊技球が通過したことを検出したときには、普通図柄表示装置35における普通図柄(図示せず。)の変動表示が開始され、所定の時間が経過した後、普通図柄の変動表示を停止する。この普通図柄は、数字や記号等からなる情報であって、例えば“○"、“×"等の記号で表示される。
この普通図柄が所定の図柄、例えば“○"が停止表示されたときには、後述する始動口44の左右の両側に設けられている羽根部材(所謂、普通電動役物、以降、普通電役と称することがある。)48が閉鎖状態から開放状態となり、始動口44に遊技球が入りやすくなる。また、羽根部材48を開放状態とした後、所定の時間が経過したときには、羽根部材48を閉鎖状態として、始動口44に遊技球が入りにくい状態に戻す。
遊技盤14の遊技領域15内の下方には、遊技球の一般入賞口56aから56dが設けられている。また、遊技盤14の遊技領域15の下方には、大入賞口39に対して開閉自在なシャッタ40が設けられている。
上述したように、導出表示された特別図柄が特定の表示態様である場合には、遊技状態が大当り遊技状態に移行され、このシャッタ40が遊技球を受け入れやすい開放状態(第一の状態)となるように駆動される。また、この大入賞口には、カウントセンサ104(図13参照。)を有する一般領域(図示せず。)があり、その領域を遊技球が所定個数(例えば10個。)通過するか、又は、所定時間(例えば30秒。)が経過するまでシャッタ40が開放状態に維持される。
つまり、開放状態において大入賞口への所定数の遊技球が入賞したこと又は所定時間が経過したことのいずれかの条件が成立すると、大入賞口を、遊技球を受け入れ難い閉鎖状態(第二の状態。)に戻すことになる。
また、続いて、開放状態から閉鎖状態となったシャッタ40は、上限ラウンド数に至っていないことを条件にして、再度開放状態に駆動される。
シャッタ40の上方には、始動入賞球センサ116(図13参照。)を有する始動口44が設けられている。この始動口44に遊技球が入賞した場合には、後述する特別図柄ゲームが開始され、特別図柄を変動表示する変動表示状態に移行する。所定の可変表示開始条件としては、本実施例においては、始動口44に遊技球が入賞したこと(始動領域を遊技球が通過したこと。)を条件としている。
つまり、所定の可変表示開始条件が成立したときに(始動領域を遊技球が通過したことを条件に。)特別図柄の可変表示を行うこととなる。なお、実施形態においては、始動口44に遊技球が入賞したことを所定の可変表示開始条件とした例を説明したが、これに限らず、別の態様であってもよい。
特別図柄ゲームにおける特別図柄の可変表示中に遊技球が始動口44へ入賞した場合には、可変表示中の特別図柄が導出表示されるまで、当該始動口44への遊技球の入賞に基づく特別図柄の可変表示の実行(開始)が保留される。つまり、所定の可変表示実行条件が成立したが、所定の可変表示開始条件が成立していない場合(所定の可変表示保留条件が成立した場合。)には、所定の可変表示開始条件が成立するまで、特別図柄の可変表示の実行(開始)が保留されることとなる。
特別図柄の可変表示の実行が保留されている状態で、特別図柄が導出表示された場合には、保留されている特別図柄の可変表示の実行が開始される。また、特別図柄が導出表示された場合に実行される特別図柄の可変表示の実行は一回分である。例えば、特別図柄の可変表示の実行が三回分保留されている状態で、特別図柄が導出表示された場合には、保留されている特別図柄の可変表示のうち一回分が実行され、残りの二回分は保留される。
特別図柄の可変表示の実行が保留される回数には上限が設定されており、例えば、四回を上限として特別図柄の可変表示が保留される。このように特別図柄ゲームにおける識別情報の可変表示が保留された場合には、特別図柄保留表示装置34は、その保留個数を表示することとなる。
また、普通図柄ゲームにおいても同じように、普通図柄の変動表示中において球通過検出器54a、54bの近傍を遊技球が通過した場合には、変動表示中の普通図柄が導出表示されるまで、当該球通過検出器54a、54bへの遊技球の通過に基づく普通図柄の可変表示の実行(開始)が保留される。普通図柄の可変表示の実行が保留されている状態で、普通図柄が導出表示された場合には、所定時間経過後、保留されている普通図柄の可変表示が開始される。
また、普通図柄が導出表示された場合に実行される普通図柄の可変表示の実行は一回分である。この保留された普通図柄の可変表示の実行回数(所謂、「普通図柄に関する保留個数」、「普通図柄ゲームにおける保留個数」。)は、普通図柄保留表示装置37によって表示される。また、普通図柄の可変表示の実行が保留される回数にも上限が設定されており、例えば、四回を上限として普通図柄の可変表示が保留される。このように普通図柄ゲームにおける識別情報の可変表示が保留された場合には、普通図柄保留表示装置37は、その保留個数を表示することとなる。
なお、本実施例においては、四回を上限として特別図柄の可変表示を保留するように構成し例を説明したが、これに限らず、別の態様であってもよく、例えば、一回又は複数回を上限として、特別図柄の可変表示を保留するように構成することもできる。更には、上限を設定することなく幾らでも保留することができるように構成することもできる。もちろん、特別図柄の可変表示を保留しないように構成しておくこともできる。
次に、図2に示した演出表示装置601の詳細について、図4及び図5を用いて説明する。
図4(a)及び図5(a)は、図2に示した可動演出部材600D、可動手段610、及び奥側表示装置32Rを遊技者側から見た正面図であり、図4(b)及び図5(b)は、それぞれ図4(a)及び図5(b)の右側面図である。また、図4(a)及び図4(b)に示す可動演出部材600Dは、手前側表示装置32F(図4(b)参照。)の背後に隠れるように没入した状態を示す図である。一方、図5(a)及び図5(b)に示す可動演出部材600Dは、手前側表示装置32F(図5(b)参照。)の背後から出現して、遊技者から視認可能となっている状態を示す図である。
可動演出部材600Dの外観は、角刈りの頭に鉢巻きを巻き、体には祭用の半纏を着て、足には草履を履き、左手に団扇を持ち、右手でピースサインを出している花火師の男子の姿を正面から表した人形である。図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)に示す実施例では、男子の目602及び男子が持っている団扇604の扇部分は、透光性を有する開口部(可変表示部の一形態。)として形成してある。これらの開口部は、可動演出部材600Dを上昇させて遊技者から視認可能なように出現した際には、遊技状態に応じて男子の目の表情や団扇の模様を背面の奥側表示装置32Rに表示して、多様な演出を可能にするための部分である。
図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)に示す実施例では、可変表示部の実施形態として男子の目602及び団扇604には開口部を形成してあるが、男子の目602又は団扇604の部分に透明の部材を用いた透光部を形成してもよいし、この男子の目602又は団扇604の部分に液晶表示装置(可変表示部の一形態。)を配設して、演出の範囲を広げるように構成することもできる。
また、図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)に示すように、可動手段610は、可動演出部材600Dを上下させるためのパンタグラフ式の表裏一対のXリンク612,612と、一対の支点P,Pを中心に回動させることによって端部に連接した前記Xリンク612,612を畳んだり延ばしたりする左右一対のアーム614,614とを備えている。また、可動手段610は、前記アーム614,614を支点Pにて枢支するとともに、プランジャヘッド619を上下させるためのソレノイド618を固定するベース板616を備えている。
図4(a)及び図4(b)に示す状態では、ソレノイド618のプランジャヘッド619は上昇しており、これにより支点P,Pの近傍におけるアーム614,614の爪も上昇している。したがって、左右一対のアーム614,614は開いた状態になり、アーム614,614の先端に連接されているXリンク612,612は畳まれた状態となっている。これにより、Xリンク612,612の他端に摺動自在に保持されている可動演出部材600Dは、下降した状態となる。可動演出部材600Dが下降した状態では、可動演出部材600Dは手前側表示装置32Fの背後に隠れてしまうために、遊技者からは見えていない。
一方、図5(a)及び図5(b)に示す状態では、ソレノイド618のプランジャヘッド619を下降させることにより、支点P,Pの近傍におけるアーム614,614の爪を支点Pを中心に下降させる方向に回動させている。したがって、左右一対のアーム614,614は閉じた状態となる。すると、アーム614,614の先端に連接されているXリンク612,612は延びた状態となる。
これにより、Xリンク612,612の他端に摺動自在に保持されている可動演出部材600Dは、上昇した状態となる。可動演出部材600Dが上昇した状態では、可動演出部材600Dが手前側表示装置32Fの背後から出現して、遊技者から見えるようになる。併せて、奥側表示装置32Rの所定の位置に、遊技状態に応じた可動演出部材600Dにおける男子の目602の表示を行う。
この男子の目602の表示として、これからの遊技に関して期待が持てそうな表情を表示するとともに、団扇604に、当りである旨の演出表示を行うことによって、遊技の興趣を向上させることができる。
上述した液晶表示装置32の表示領域には、特別図柄ゲームにおける特別図柄の可変表示に伴って可変表示を行う装飾図柄、遊技に係る背景画像、演出画像等、各種の遊技に関する画像を表示して、遊技に関連した演出画像を表示することができる。更に、本発明では、この演出画像と併せて、実体のある可動演出部材600D,600Hを出現させた演出を行うことが可能となっている。
液晶表示装置32には、特別図柄表示装置33における特別図柄の可変表示に合わせて、複数の図柄列(本実施例においては3列。)に対応する装飾図柄が可変表示される。言い換えると、液晶表示装置32は、複数の図柄列(表示列)のそれぞれにおいて装飾図柄の可変表示を行うことができる。
これら複数の図柄列において装飾図柄の導出表示が行われ、特別図柄表示装置33における特別図柄の可変表示の結果が特定の表示態様となる場合には、導出表示された複数の装飾図柄の組合せが特定の組合せ(例えば、複数の図柄列のそれぞれに“0"から“9"のいずれかが全て揃った状態で導出表示される態様、所謂「大当り表示態様」。)となり、遊技状態を遊技者にとって有利な大当り遊技状態に移行することとなる。
また、特別図柄表示装置33における特別図柄の可変表示の結果が特別大当り表示態様となる場合には、導出表示された複数の装飾図柄の組合せが、特定の組合せのうちの特別の組合せ(例えば、複数の図柄列のそれぞれに“1"、“3"、“5"、“7"、“9"のうちいずれかが全て揃った状態で導出表示される態様、所謂「特別大当り表示態様」。)となり、遊技状態を遊技者にとって有利な大当り遊技状態に移行し、その大当り遊技状態が終了した場合には、確変状態に移行することとなる。
一方、特別図柄表示装置33における特別図柄の可変表示の結果が通常大当り表示態様となる場合には、導出表示された複数の装飾図柄の組合せが、特定の組合せのうちの特別の組合せではない非特別の組合せ(例えば、複数の図柄列のそれぞれに“0"、“2"、“4"、“6"、“8"のうちいずれかが全て揃った状態で導出表示される態様、所謂「通常大当り表示態様」。)となり、遊技状態を遊技者にとって有利な大当り遊技状態に移行し、その大当り遊技状態が終了した場合には、通常遊技状態に移行することとなる。
液晶表示装置32は、上述の装飾図柄の他にも、背景画像、演出用の演出画像等を表示することができる。そして、可動演出部材600D,600Hと併せて、大当り遊技状態に移行させるか否かの判定の結果を表示したり、リーチ演出や予告演出等の演出を行うことも可能となっている。
遊技者によって、パチンコ遊技機10の前方から遊技が行われている場合、つまり、ガラスドア11が閉鎖した状態である場合には、透過性を有する遊技盤14の背面側に液晶表示装置32を含む演出表示装置601が配設されるとともに、遊技盤14の前面側に透過性を有する保護ガラス19が配設された構成となる。これによって、液晶表示装置32おける表示領域に表示された画像は、透過性を有する遊技盤14及び保護ガラス19を介して遊技者が視認することができる。
次に、演出表示装置における手前側表示装置32Fと奥側表示装置32Rの境目を、遊技者から視認し辛くするための実施例について、図6〜図12を用いて説明する。
図6は、互いに平行な手前側表示装置32Fの表示画面及び奥側表示装置32Rの表示画面を、遊技者から見て上り傾斜面として配設した実施例を示す右側面図である。
図6に示すように、可動手段610を動作させて、可動演出部材600Dを手前側表示装置32Fと奥側表示装置32Rとの間から上昇させると、図6の左方から見ている遊技者は、液晶表示装置32の中央部からいきなり立体的な可動演出部材600Dが出現したかのように視認する。
図6に示すように、手前側表示装置32Fの表示画面及び奥側表示装置32Rの表示画面が、遊技者から見て上り傾斜面として配設されているので、手前側表示装置32Fの手前側表示装置上端縁32FEが遊技者から視認し辛らくなっている。これにより、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rが、あたかも単一の平面的な液晶表示装置32であるかのように、遊技者に視認させておくことができる。
そして、単一の平面的な液晶表示装置32の中央部から、いきなり立体的な可動演出部材600Dが出現したかのような、臨場感を備えた斬新な演出を行うことによって、遊技の興趣の向上を図ることができる。
図7は、図6に示した実施例とは逆に、手前側表示装置32Fの表示画面及び奥側表示装置32Rの表示画面を、遊技者から見て下り傾斜面として配設した実施例を示している右側面図である。
図7に示すように、手前側表示装置32Fの表示画面及び奥側表示装置32Rの表示画面を、遊技者から見て下り傾斜面として配設することによっても、手前側表示装置32Fの手前側表示装置上端縁32FEを遊技者から視認し辛らくすることができる。これにより、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rが、あたかも単一の平面的な液晶表示装置32であるかのように、遊技者に視認させておくことができる。
そして、単一の平面的な液晶表示装置32の中央部から、いきなり立体的な可動演出部材600Dが出現したかのような、臨場感を備えた斬新な演出を行って、遊技の興趣の向上を図ることができる。
図8は、透明な遊技盤14の裏側に、プリズム等で構成される屈折体606Aを配置し、その奥に手前側表示装置32F、奥側表示装置32R、及び可動演出部材600を配置した構成を示す側面断面図である。
図8に示す実施例では、同図の左方から見ている遊技者は、パチンコ遊技機10Aの保護ガラス19と、障害釘17が植えられている透明な遊技盤14と、屈折体606Aとを介して、手前側表示装置32F、奥側表示装置32R、及び可動演出部材600を見ることになる。
屈折体606Aは、遊技者の視線を、図8に示す上方へ屈折させる(すなわち、前面側から入射した光を、奥側表示装置32Rの方向に向けて屈折させる。)働きをする。したがって、遊技者からは、手前側表示装置32Fの手前側表示装置上端縁32FEが視認し辛らくなり、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rがあたかも単一の平面的な液晶表示装置32として見えることになる。これによって、平面的な液晶表示装置32の中央部から、いきなり立体的な可動演出部材600が出現したかのような、臨場感を備えた斬新な演出を行うことができるので、遊技の興趣の向上を図ることができる。
また、透明な遊技盤14の裏面に屈折体606Aを形成することにより、遊技球の流下領域とは異なる別の領域に屈折体606Aを配設しておくことができる。しかも、遊技球が屈折体606Aに接触することによって、屈折体606Aの表面が損傷してしまうことを確実に防止できる。
図9は、透明な遊技盤14の裏側に、プリズム等で構成される横長の屈折体606Bを複数段配置し、その奥に手前側表示装置32F、奥側表示装置32R、及び可動演出部材600を配置した構成を示す側面断面図である。なお、図8に示した構成と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図8に示した実施例では、単一のプリズム状の屈折体606Aを、透明な遊技盤14の裏側に配置した実施例を示したが、図9に示す実施例では、横長の屈折体606Bを複数段配置した実施例を示している。図9に示す実施例においても、同図の左方から見ている遊技者は、パチンコ遊技機10Bの保護ガラス19と、障害釘17が植えられている透明な遊技盤14と、屈折体606Bとを介して、手前側表示装置32F、奥側表示装置32R、及び可動演出部材600を見ることになる。
屈折体606Bは、遊技者の視線を、図9に示す上方へ屈折させる働きをする。したがって、遊技者からは、手前側表示装置32Fの手前側表示装置上端縁32FEが視認し辛らくなり、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rがあたかも単一の平面的な液晶表示装置32として見える。そして、この平面的な液晶表示装置32の中央部から、いきなり立体的な可動演出部材600が出現したかのような錯覚を与えることで、臨場感を備えた斬新な演出を行うことができ、遊技の興趣の向上を図ることができる。
なお、透明な遊技盤14の裏側に、横長の屈折体606Bを複数段配置することにより、図8に示した屈折体606Aと比較して、屈折体606Bを薄く構成することができる。したがって、遊技盤14から奥側表示装置32Rまでの間の厚さを薄く構成しておくことができる。また、横長の屈折体606Bを、手前側表示装置上端縁32FEと平行に配置することによって、更に遊技者は手前側表示装置32Fと奥側表示装置32Rとの境目を認識し辛らくなる。
また、透明な遊技盤14の裏面に屈折体606Bを形成することにより、遊技球が流下する領域とは異なる別の領域に屈折体606Bを配設しておくことができる。しかも、遊技球が屈折体606Bと接触することによって、屈折体606Bの表面が損傷してしまうことを確実に防止できる。
図10は、透明な遊技盤14の裏側に、凸レンズ等で構成される屈折体606Cを配置し、その奥に手前側表示装置32F、奥側表示装置32R、及び可動演出部材600を配置した構成を示す側面断面図である。なお、図8に示した構成と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図10に示す実施例においても、同図の左方から見ている遊技者は、パチンコ遊技機10Cの保護ガラス19と、障害釘17が植えられている透明な遊技盤14と、屈折体606Cとを介して、手前側表示装置32F、奥側表示装置32R、及び可動演出部材600を見ることになる。屈折体606Cは、光軸Cよりも下方に存在する遊技者の視線を、図10に示す上方へ屈折させる働きをする。
したがって、遊技者からは、手前側表示装置32Fの手前側表示装置上端縁32FEが視認し辛らくなり、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rがあたかも単一の平面的な液晶表示装置32として見える。そして、この平面的な液晶表示装置32の中央部から、いきなり立体的な可動演出部材600が出現したかのような錯覚を遊技者に与えることができるので、臨場感を備えた斬新な演出を行うことができ、遊技の興趣の向上を図ることができる。
また、手前側表示装置32F、奥側表示装置32R、及び可動演出部材600の前面に、凸レンズ等で構成される屈折体606Cを配置することによって、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rの表示や、可動演出部材600を拡大して遊技者に見せることができるようになり、より一層臨場感のある演出を提供することができる。
なお、図10に示す実施例では、屈折体606Cとして凸レンズの形状を表してあるが、凹レンズその他のレンズを用いることもできる。また、複数のレンズを組み合わせて用いることもできる。
図11は、透明な遊技盤14の裏側に、凸型のフレネルレンズで構成される屈折体606Dを配置し、その奥に手前側表示装置32F、奥側表示装置32R、及び可動演出部材600を配置した構成を示す側面断面図である。なお、図8に示した構成と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図11に示す実施例においても、同図の左方から見ている遊技者は、パチンコ遊技機10Cの保護ガラス19と、障害釘17が植えられている透明な遊技盤14と、屈折体606Dとを介して、手前側表示装置32F、奥側表示装置32R、及び可動演出部材600を見ることになる。屈折体606Dは、光軸Cよりも下方に存在する遊技者の視線を、図11に示す上方へ屈折させる働きをする。
したがって、遊技者からは、手前側表示装置32Fの手前側表示装置上端縁32FEが視認し辛らくなり、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rがあたかも単一の平面的な液晶表示装置32として見える。そして、この平面的な液晶表示装置32の中央部から、いきなり立体的な可動演出部材600が出現したかのような錯覚を遊技者に与えることができるので、臨場感を備えた斬新な演出を行うことができ、遊技の興趣の向上を図ることができる。
屈折体606Cとして、フレネルレンズを用いることにより、図10に示した屈折体606Cと比較して屈折体606Dを薄く構成しておくことができるので、遊技盤14から奥側表示装置32Rまでの間の厚さを薄く構成することができる。
図12は、透明な遊技盤14の裏側に、凸レンズ等で構成される屈折体606Eを、遊技者から見て上り方向にθ2の角度だけ傾斜させて配設し、その奥に手前側表示装置32F、奥側表示装置32R、及び可動演出部材600を、同じ方向に更にθ1の角度だけ傾斜させて配設した構成を示す側面断面図である。なお、図8に示した構成と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図12に示す実施例では、手前側表示装置32Fの表示画面及び奥側表示装置32Rの表示画面が遊技者から見て上り傾斜面として配設されていることに加え、屈折体606Eが遊技者の視線を、図12に示す上方へ屈折させる働きをすることにより、一層手前側表示装置32Fの手前側表示装置上端縁32FEを遊技者から視認し辛らくすることができる。
更に、角度θ1及び角度θ2を適宜選ぶことにより(例えばθ1≦θ2。)、手前側表示装置32Fと奥側表示装置32Rとにおける合焦位置や拡大率を調節して、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rが傾斜面として配設されているにもかかわらず、遊技者の目から等しい距離に平面が存在しているかのように見せることができる。したがって、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rが、あたかも垂直な面であるかのように見せることができ、垂直な液晶表示装置32の中央部から、いきなり立体的な可動演出部材600Dが出現したかのような錯覚を遊技者に与えることができる。そして、臨場感を備えた斬新な演出を行うことができ、遊技における興趣の向上を図ることができる。
このようにして、透過性を有する遊技盤14の背面に、大型の手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rと、可動演出部材600D、600Hとを含む演出表示装置を配置して各種の演出を行うことによって、あたかも単一の液晶表示装置32の中央部分から、いきなり可動演出部材600D、600Hが飛び出してきたかのような印象を遊技者に与えることができる。これにより、従来の遊技機にはなかった斬新な演出を提供することができ、興趣の向上を図ることができる。
また、従来の遊技機においては、演出効果を高めるために表示領域のサイズを大きくすると、遊技領域のサイズが小さくなってしまう可能性があった。そこで、各種の表示演出を、遊技盤14の裏側に配置した2枚の液晶表示装置を構成に含む演出表示装置601において実行することで、多種多様な演出を実行することができ、興趣の向上を図ることができる。
また、図8〜図12に示したように、遊技盤14と、その遊技盤14の後方に配設される手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rとの間に隙間を設けておくことによって、障害釘の調整を行う際などにおいて、障害釘に加える衝撃が手前側表示装置32F又は奥側表示装置32Rにまで伝搬するのを防止することができる。
また、手前側表示装置32F又は奥側表示装置32R、が障害釘の先端や障害釘に加えた衝撃によって傷ついてしまうことを防止でき、手前側表示装置32F又は奥側表示装置32Rの製品寿命を永らえることができる。なお、手前側表示装置32Fに、役物、入賞口、球流路、リールの配置等のための孔を設けておくこともできる。
なお、本実施例において、画像を表示する部分として液晶ディスプレイパネルからなる液晶表示装置32を採用したが、これに限らず、他の態様であってもよく、例えば、ドットLED(Light Emitting Diode)、セグメントLED、EL(Electronic Luminescence)、プラズマ、FED(Field Emission Display)等からなる表示装置を用いることも可能である。
上述した木枠12は、木製の枠体であり、その前方にベースドア13が軸着される。なお、本実施例においては、木製の木枠12を用いた構成を例示したが、これに限らず、別の態様であってもよく、例えば、金属製、樹脂製の枠体を用いた構成としてもよい。木枠12の中央には、開口12aが形成されており、この間口12aには、上述したベースドア13、演出表示装置601、詳しく後述する基板ユニット400、球払出ユニット500などが配置される。
上述した基板ユニット400は、ベースドア13の後方に軸着されている。基板ユニット400には、パチンコ遊技機10を制御するための回路が形成された各種の基板(図示せず。)などが内蔵されており、それらの基板が基板ケース(図示せず。)によって覆われている。
上述した球払出ユニット500は、ベースドア13の後方に軸着されている。球払出ユニット500は、遊技球を貯留するための球貯留タンク(図示せず。)と、球通路ケース(図示せず。)とから構成され、球貯留タンクに貯留されている遊技球を、上述した払出口20a、22aへと導くことができる。
[遊技機の電気的構成]
本実施例におけるパチンコ遊技機10の制御回路を示すブロック図を図13に示す。
パチンコ遊技機10は、主に、遊技制御手段としての主制御回路60と、演出制御手段としての副制御回路200とから構成される。主制御回路60は、遊技の制御を行うものである。副制御回路200は、遊技の進行に応じた演出の制御を行うものである。
主制御回路60は、図13に示すように、制御手段であるメインCPU63、メインROM(読み出し専用メモリ)64、メインRAM(読み書き可能メモリ)65を備えている。この主制御回路60は、遊技の進行を制御する。
メインCPU63には、メインROM64、メインRAM65等が接続されており、このメインROM64に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。このように、このメインCPU63は、後述する各種の手段として機能することとなる。
メインROM64には、メインCPU63によりパチンコ遊技機10の動作を制御するためのプログラムが記憶されており、その他には、乱数抽籤によって大当り判定をする際に参照される大当り判定テーブルや、演出を選択する際に参照される演出条件選択テーブル等の各種のテーブルも記憶されている。具体的なプログラムについては後述する。
なお、本実施例においては、プログラム、テーブル等を記憶する媒体としてメインROM64を用いるように構成したが、これに限らず、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体に記録されていてもよい。これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にこれらのプログラムをダウンロードしてメインRAM65等に記録されるものでもよい。
また、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。更には、本実施例においてはメインCPU63、メインROM64及びメインRAM65を別々に設けたが、これらが一体となっているワンチップマイコンを使用してもよい。
メインRAM65は、メインCPU63の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。メインRAM65に記憶されるデータの具体例としては、以下のようなものがある。
メインRAM65には、制御状態フラグ、高確率フラグ、大当り判定用乱数カウンタ、大当り図柄決定用乱数カウンタ、演出条件選択用乱数カウンタ、大入賞口開放回数カウンタ、大入賞口入賞カウンタ、待ち時間タイマ、大入賞口開放時間タイマ、特別図柄ゲームにおける保留個数を示すデータ等が存在する出力に関する変数、後述する副制御回路200にコマンドを供給するためのデータ、変数等が位置付けられている。制御状態フラグは、特別図柄ゲームの制御状態を示すものである。
高確率フラグは、大当り遊技状態に移行する確率を相対的に高めるか否かを示すものである。
大当り判定用乱数カウンタは、特別図柄の大当りを判定するためのものである。大当り図柄決定用乱数カウンタは、特別図柄の大当りを判定した場合に、導出表示される特別図柄を決定するためのものである。演出条件選択用乱数カウンタは、特別図柄及び装飾図柄の変動表示パターンを決定するためのものである。これらのカウンタは、メインCPU63により順次“1"増加するように記憶更新されており、所定のタイミングで各カウンタから乱数値を抽出することにより、メインCPU63の各種の機能を実行することとなる。
なお、本実施例においては、このような乱数カウンタを備え、プログラムに従って、メインCPU63が、乱数カウンタを“1"増加させるように記憶更新する構成としたが、これに限らず、別個に、乱数発生器のような装置を備えるように構成してもよい。また、リーチとするか否かを判定するためのリーチ判定用乱数カウンタを設けてもよい。
待ち時間タイマは、主制御回路60と副制御回路200とにおいて実行される処理の同期を取るためのものである。また、大入賞口開放時間タイマは、シャッタ40を駆動させ、大入賞口39を開放する時間を計測するためのものである。なお、本実施例におけるタイマは、メインRAM65において、所定の周期で、その所定の周期だけ減算されるように記憶更新されるが、これに限らず、CPU等自体がタイマの機能を実現するようにしてもよい。
大入賞口開放回数カウンタは、大当り遊技状態における大入賞口39の開放回数(所謂、「ラウンド数」。)を示すものである。また、大入賞口入賞カウンタは、1ラウンド中に大入賞口39に入賞し、カウントセンサ104を通過した遊技球の数を示すものである。更には、保留個数を示すデータは、始動口44へ遊技球が入賞したが、特別図柄の可変表示が実行できないときに、当該可変表示を保留するが、その保留されている特別図柄の可変表示回数を示すものである。
なお、本実施例においては、メインCPU63の一時記憶領域としてメインRAM65を用いているが、これに限らず、読み書き可能な記憶媒体を用いることもできる。
また、この主制御回路60は、所定の周波数のクロックパルスを生成するリセット用クロックパルス発生回路61、電源投入時においてリセット信号を生成する初期リセット回路62、後述する副制御回路200に対してコマンドを供給するためのシリアル通信用IC66を備えている。これらのリセット用クロックパルス発生回路61、初期リセット回路62、シリアル通信用IC66は、メインCPU63に接続されている。
なお、このリセット用クロックパルス発生回路61は、後述するシステムタイマ割込処理を実行するために、所定の周期(例えば2ミリ秒。)毎にクロックパルスを発生する。また、このシリアル通信用IC66は、各種のコマンドを副制御回路200(副制御回路2000に含まれる各種の手段。)へ送信する送信手段に相当する。
主制御回路60には、各種の装置が接続されており、例えば、図13に示すように、特別図柄表示装置33、特別図柄保留表示装置34、普通図柄表示装置35、普通図柄保留表示装置37、大当りラウンド数表示装置41、カウントセンサ104、一般入賞球センサ106,108,110,112、通過球センサ114,115、始動入賞球センサ116、普通電動役物ソレノイド118、大入賞ロソレノイド120、バックアップクリアスイッチ124などが接続されている。
特別図柄表示装置33は、主制御回路60からの信号に応じて、特別図柄ゲームにおける特別図柄の可変表示を行うものである。特別図柄保留表示装置34は、主制御回路60からの信号に応じて、特別図柄ゲームにおける特別図柄の可変表示の保留個数を表示するものである。普通図柄表示装置35は、主制御回路60からの信号に応じて、普通図柄ゲームにおける識別情報としての普通図柄の可変表示を行うものである。普通図柄保留表示装置37は、主制御回路60からの信号に応じて、普通図柄ゲームにおける普通図柄の可変表示の保留個数を表示するものである。
大当りラウンド数表示装置41は、主制御回路60からの信号に応じて、移行した大当り遊技状態における上限ラウンド数を表示する。カウントセンサ104は、大入賞口39内に設けられている。このカウントセンサ104は、大入賞口39における領域を遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
一般入賞球センサ106,108,110,112は、一般入賞口56a〜56dに設けられている。この一般入賞球センサ106,108,110,112は、各一般入賞口56a〜56dを遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
通過球センサ114,115は、球通過検出器54a及び54bに設けられている。この通過球センサ114,115は、球通過検出器54a,54bを遊技球が通過した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
始動入賞球センサ116は、始動口44に設けられている。この始動入賞球センサ116は、始動口44を遊技球が入賞した場合に、所定の検知信号を主制御回路60に供給する。
普通電動役物ソレノイド118は、リンク部材(図示せず。)を介して羽根部材48に接続されており、メインCPU63から供給される駆動信号に応じて、羽根部材48を開放状態又は閉鎖状態とする。
大入賞ロソレノイド120は、図1に示すシャッタ40に接続されており、メインCPU63から供給される駆動信号に応じて、シャッタ40を駆動させ、大入賞口39を開放状態又は閉鎖状態とする。
バックアップクリアスイッチ124は、パチンコ遊技機10に内蔵されており、電断時等におけるバックアップデータを遊技場の管理者の操作に応じてクリアする機能を有する。
主制御回路60には、払出・発射制御回路126が接続されている。この払出・発射制御回路126には、遊技球の払出を行う払出装置128、遊技球の発射を行う発射装置130、カードユニット150が接続されている。具体的には、払出・発射制御回路126には、その払出・発射制御回路126を制御するためのCPU(図示せず。)と、CPUに処理を実行させるためのプログラムが記憶されているROM(図示せず。)と、CPUの作業領域であるRAM(図示せず。)と、が少なくとも備えられている。また、カードユニット150には、貸出用操作部68が接続されており、その操作に応じて、カードユニット150に操作信号が供給される。
この払出・発射制御回路126は、主制御回路60から供給される賞球制御コマンド、カードユニット150から供給される貸し球制御信号を受け取り、払出装置128に対して所定の信号を送信することにより、払出装置128に遊技球を払出させる。また、払出・発射制御回路126は、発射装置130に対して発射信号を供給することにより、遊技球を発射させる制御を行う。
なお、払出装置128は、発射(投入)された遊技媒体が所定の領域を通過することにより遊技媒体を払出す払出手段の一例として採用されている。また、払出・発射制御回路126は、払出手段の駆動制御を行う払出制御手段の一例として採用されている。
また、発射装置130には、上述した発射強度制御手段98、タッチセンサ等の遊技球を発射させるための装置が備えられている。発射ハンドル26が遊技者によって握持され、かつ、時計回り方向へ回動操作されたときには、発射強度制御手段98に電力が供給され、上皿20に貯留された遊技球が発射強度制御手段98により遊技領域15内に一定の発射強度で順次発射される。
なお、このような発射装置130は、遊技者の操作に応じて遊技媒体を発射する発射手段の一例として採用されている。また、払出・発射制御回路126は、発射手段の駆動制御を行う発射制御手段の一例として採用されている。
更には、シリアル通信用IC66には、副制御回路200が接続されている。この副制御回路200は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに応じて、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rにおける表示制御、スピーカ46(図1においては46L及び46R。)から発生させる音声に関する制御、装飾ランプ(図示せず。)などを含むランプ132、可動手段610,610の動作に関する制御等を行う。
なお、本実施例においては、主制御回路60から副制御回路200に対してコマンドを供給するとともに、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を供給できないように構成したが、この構成に限定されるものではなく必要に応じて、副制御回路200から主制御回路60に対して信号を送信できるように構成することもできる。
副制御回路200は、サブCPU206、記憶手段としてのプログラムROM208、画像に関するデータが記憶された画像データROM209、一時記憶領域としてのワークRAM210、液晶表示装置32における表示制御を行うための表示制御回路250、スピ一カ46から発生させる音声に関する制御を行う音声制御回路230、装飾ランプなどを含むランプ132の制御を行うランプ制御回路240、可動手段610,610を駆動するドライバ262を制御するI/O260から構成されている。
副制御回路200は、主制御回路60からの指令に応じて遊技の進行に応じた演出を実行する。また、副制御回路200には、遊技者によって操作可能なメニュー操作部69、ゲーム操作部70などが接続されており、その操作(操作状態)に応じて操作信号が副制御回路200に伝達される。
サブCPU206には、プログラムROM208、画像データROM209、ワークRAM210等が接続されている。サブCPU206は、このプログラムROM208に記憶されたプログラムに従って、各種の処理を実行する機能を有する。特に、サブCPU206は、主制御回路60から供給される各種のコマンドに従って、副制御回路200の制御を行う。サブCPU206は、後述する各種の手段として機能することとなる。
プログラムROM208には、サブCPU206によりパチンコ遊技機10の遊技演出を制御するためのプログラムが記憶されており、その他には、演出に関する決定を行うためのテーブル等の各種のテーブルも記憶されている。また、このプログラムROM208には、遊技に関する複数種類の演出パターンが記憶されており、特に、識別情報の可変表示中に、複数段階に亘って表示されるステップアップ予告演出画像(連続演出画像)を表示するステップアップ予告演出を含む演出パターン(連続演出パターン)が記憶されている。
本実施例においては、プログラム、テーブル等を記憶する記憶手段としてプログラムROM208を用いるように構成したが、これに限らず、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体に記録されていてもよい。もちろん、記憶手段としてメインROM64を用いてもよい。
また、これらのプログラムは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にこれらのプログラムをダウンロードし、ワークRAM210等に記録されるものでもよい。更にまた、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。
画像データROM209には、画像に関するデータが記憶されている。具体的には、画像データROM209には、立体画像を描画するためのオブジェクトに閲するデータ(例えば、オブジェクトを構成するポリゴンのデータや、テクスチャの種類を示すデータ、テクスチャデー夕など。)や、視点位置、視点方向に関するデータなどが記憶されており、サブCPU206によって、電源投入後に、後述する表示制御回路250のバッファ254に供給されることとなる。
なお、本実施例においては、この画像データROM209は、パチンコ遊技機10に着脱可能としたが、これに限らず他の周知の構成を採用することもできる。また、本実施例においては、画像に関するデータ等を記憶する記憶手段として画像データROM209を用いるように構成したが、これに限らず、制御手段を備えたコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体であれば別態様であってもよく、例えば、ハードディスク装置、CD−ROM及びDVD−ROM、ROMカートリッジ等の記憶媒体に記録されていてもよい。
また、本実施例においては、この画像データROM209をパチンコ遊技機10に着脱可能としたが、これに限らず、例えば、着脱不可能としてもよい。また、記憶手段として表示制御回路250内部に設けてもよい。もちろん、記憶手段としてメインROM64を用いてもよい。
これらの画像に関するデータは、予め記録されているものでなくとも、電源投入後にこれらのプログラムをダウンロードし、ワークRAM210や後述するバッファ254等に記録されるものでもよい。更にまた、プログラムの各々が別々の記憶媒体に記録されていてもよい。また、上述したプログラムROM208、画像データROM209を一体としてもよいし、更に、プログラム、テーブル、画像データ等を別の記憶媒体に記憶させてもよい。
また、本実施例において、メインCPU63及びメインROM64を含む主制御回路60と、サブCPU206及びプログラムROM208を含む副制御回路200と、を別々に構成したが、これに限らず、メインCPU63及びメインROM64を含む主制御回路60のみで構成してもよく、この場合には、上述したプログラムROM208や画像データROM209に記憶されているプログラム等をメインROM64に記憶させ、メインCPU63により実行されるように構成してもよい。
もちろん、サブCPU206及びプログラムROM208を含む副制御回路200のみで構成するようにしてもよく、この場合には、上述したメインROM64に記憶されているプログラムをプログラムROM208に記憶させ、サブCPU206により実行されるように構成してもよい。
ワークRAM210は、サブCPU206の一時記憶領域として種々のフラグや変数の値を記憶する機能を有する。例えば、演出パターンを選択するための表示演出選択用乱数カウンタ等各種の変数等が位置付けられている。
なお、本実施例においては、サブCPU206の一時記憶領域としてワークRAM210を用いているが、これに限らず、読み書き可能な記憶媒体であれば他の構成のものを採用することもできる。
表示制御回路250は、液晶表示装置32の表示制御を行う回路であり、画像データプロセッサ(以下、VDPと称する。)252、画像データをバッファするバッファ254、画像データを画像信号として変換するD/Aコンバータ(図示せず。)などから構成されている。表示制御回路250は、サブCPU206から供給されるデータに応じて、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rに画像を表示させるための種々の処理を行うことができる装置である。
上述したサブCPU206は、電源投入時(リセット時)において、画像データROM209に記憶された画像に関する画像データの全部又は一部(例えば、複数のオブジェクトのデータなど。)を表示制御回路250に供給し、表示制御回路250においては、VDP252が画像データの全部又は一部を受け取り、バッファ254の一部に記憶する。
そして、サブCPU206は、仮想空間内に配置するオブジェクトの種類及びその配置位置、操作手段における操作に応じて視点位置及び視点方向を決定し、所定のタイミングで、画像を表示させる旨の画像表示命令(例えば、オブジェクトの種類、配置位置や、視点位置及び視点方向などを含むデータ。)を表示制御回路250に供給する。また、表示制御回路250において、VDP252は、受け取った画像表示命令に基づいて、バッファ254に一時的に記憶されたオブジェクトのデータを読み出し、仮想空間内にオブジェクトや視点を配置する。
更には、VDP252は、オブジェクトに設定されるテクスチャを決定する。VDP252は、このように決定したオブジェクトと、視点との位置関係によって、視点から見たオブジェクトなどの立体画像データを生成する。そして、VDP252は、生成した立体画像データや、装飾図柄を示す装飾図柄画像データ、可動演出部材600Dにおける目602の表情データ、団扇604の図柄データ、その他各種の画像データなど、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rに表示させるための画像データを一時的にバッファ254に格納する。
そして、VDP252は、所定のタイミングで、バッファ254に格納された画像データをD/Aコンバータに供給する。このD/Aコンバータは、画像データを画像信号として変換し、所定のタイミングでこの画像信号を液晶表示装置32に供給することにより、液晶表示装置32に画像が表示される。つまり、表示制御回路250は、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rに遊技に関する画像を表示させる制御を行うこととなる。
このように、サブCPU206は、仮想空間内に配置されるオブジェクトの種類、そのオブジェクトの位置、オブジェクトに設定するテクスチャ、視点位置及び視点方向を決定する。また、表示制御回路250は、決定された種類のオブジェクトを、決定された配置位置に配置するとともに、決定された視点位置に、決定された視点方向で視点を配置する。
また、表示制御回路250は、オブジェクトにテクスチャを設定する。そして、表示制御回路250は、そのテクスチャが設定されたオブジェクトと視点位置との仮想空間内における位置関係を所定の時間毎に算出することによって、視点位置から見た立体画像を生成することとなる。
表示制御回路250は、生成された立体画像を液晶表示装置32に表示させる制御を行うこととなる。画像データROM209には、仮想空間内に配置される複数種類のオブジェクトや、それらオブジェクトに対して設定され、明度、色相、彩度が異なる複数種類のテクスチャが予め記憶されており、バッファ254には、それらデータが一時的に記憶されることとなる。
本実施例においては、オブジェクトの種類、そのオブジェクトの位置、オブジェクトに設定するテクスチャ、視点位置などを示すデータが画像データROM209やバッファ254に記憶されていたが、これに限らず、例えば、画像データROM209やバッファ254とは別の記憶媒体(例えば、プログラムROM208など。)に記憶されていてもよい。
音声制御回路230は、音声に関する制御を行う音源IC、各種の音声データを記憶する音声データROM、音声信号を増幅するための増幅器(以下、AMPと称する。)などから構成されている。
この音源ICは、スピーカ46から発生させる音声の制御を行う。音源ICは、サブCPU206から供給される音声発生命令に応じて、音声データROMに記憶されている複数の音声データから一つの音声データを選択する。また、音源ICは、選択された音声データを音声データROMから読み出し、音声データを所定の音声信号に変換し、その音声信号をAMPに供給する。AMPは、音声信号を増幅させ、スピーカ46から音声を発生させる。
ランプ制御回路240は、ランプ制御信号を供給するためのドライブ回路、複数種類のランプ装飾パターンが記憶されている装飾データROMなどから構成されている。
I/O260は、ドライバ262に対して、可動手段610,610を駆動するための制御指令を出力するポートである。図4(a)及び図5(a)に示した可動手段610に使用されているアクチュエータはソレノイド618であるので、I/O260は、ドライバ262に対してソレノイド618のON指令又はOFF指令を出力する。可動演出部材600Dを駆動制御するアクチュエータとして、ステッピングモータを使用する場合には、I/O260は、ステッピングモータ駆動用のパルスをドライバ262に出力するとともに、可動手段に用いられている原点センサ等の信号を取得してサブCPU206に伝達する。
ドライバ262は、I/O260から取得したON指令又はOFF指令に基づいて、可動手段610のソレノイド618に対する電力の供給と遮断とを行う。例えば、リーチ演出中に可動手段610のソレノイド618に電力を供給すると、リーチ演出の表示を行っている手前側表示装置32Fと奥側表示装置32Rとの間から可動演出部材600Dが出現する。これにより、遊技者が一つの表示画面として視認していた液晶表示装置32の中央部から、いきなり可動演出部材600Dが飛び出してきたかのような、臨場感を備えた斬新な演出を行って、遊技の興趣の向上を図ることができる。
そして、例えばリーチ演出が終了した場合や、大当り遊技状態が終了した場合には、可動手段610のソレノイド618に供給していた電力を遮断する。すると、手前側表示装置32Fと奥側表示装置32Rとの間に可動演出部材600Dが没入して、液晶表示装置32のみによる演出表示状態に戻る。
[特別図柄ゲームの説明]
図1に示す特別図柄表示装置33には、特別図柄が可変表示される。具体的には、特別図柄の導出表示がされている場合において、所定の可変表示開始条件が成立したときには、特別図柄の可変表示が実行される。
そして、停止表示され、その導出表示された特別図柄が、非特定の表示態様(例えば、“0"から“9"などにならない態様“−"。)となったことを条件に、大当り遊技状態に移行せず、通常遊技状態等、現在の遊技状態が維持され、特定の表示態様(例えば、“0"から“9"など。)となったことを条件に、遊技状態が大当り遊技状態に移行されることとなる。
[遊技機の動作]
パチンコ遊技機10で実行される処理を図14から図22、及び図24に示す。
[メイン処理]
最初に、図14に示すように、RAMアクセス許可、バックアップ復帰処理、作業領域を初期化等の初期設定処理を実行する(ステップS11)。そして、詳しくは図16を用いて後述するが、特別図柄ゲームの進行、液晶表示装置32、特別図柄表示装置33に表示される特別図柄、装飾図柄に関する特別図柄制御処理を実行する(ステップS15)。
そして、メインCPU63は、普通図柄ゲームの進行、普通図柄表示装置35に表示される普通図柄に関する普通図柄制御処理を実行する(ステップS16)。また、メインCPU63は、ステップS15、ステップS16の実行の結果に従って、特別図柄、普通図柄などの可変表示の表示制御を行う図柄表示装置制御処理を実行する(ステップS19)。
このように、メイン処理においては、ステップS11の初期設定処理が終了した後、ステップS15、ステップS16及びステップS19の処理を繰り返し実行することとなる。
[システムタイマ割込処理]
メインCPU63は、メイン処理を実行している状態であっても、メイン処理を中断させ、システムタイマ割込処理を実行する場合がある。リセット用クロックパルス発生回路61から所定の周期(例えば2ミリ秒。)毎に発生されるクロックパルスに応じて、以下のシステムタイマ割込処理を実行する。このシステムタイマ割込処理について図15を用いて説明する。
最初に、図15に示すように、メインCPU63は、大当り判定用乱数カウンタ、大当り図柄決定用乱数カウンタ等の各カウント値を“1"増加するように乱数更新処理を実行する(ステップS42)。そして、この処理において、メインCPU63は、始動口44等への遊技球の入賞又は通過を検知する入力検出処理を実行する(ステップS43)。この処理においては、メインCPU63は、各種の入賞口に遊技球が入賞したことを条件として、遊技球を払出す旨のデータをメインRAM65の所定領域に記憶することとなる。
そして、主制御回路60と副制御回路200との同期をとるための待ち時間タイマ、大当りが発生した際に開放する大入賞口39の開放時間を計測するための大入賞口開放時間タイマ等、各種のタイマの更新処理を実行する(ステップS44)。そして、各種の変数に基づいて駆動制御するための信号をソレノイド、モータ等に供給するために、出力処理を実行する(ステップS46)。この処理が終了した場合には、ステップS47に処理を移す。
ステップS47においては、コマンド出力処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、各種のコマンドを副制御回路200に供給する。これらの各種のコマンドとしては、具体的には、デモ表示コマンド、導出表示される特別図柄の種類を示す導出図柄指定コマンド、特別図柄の変動表示パターンを示す変動パターン指定コマンド等が含まれる。この処理が終了した場合には、ステップS49に処理を移す。
ステップS49の処理では、メインCPU63は、払出装置128に賞球を行わせるための賞球制御コマンドを払出・発射制御回路126へ送信する等の払出処理を実行する。具体的には、メインCPU63は、各種の入賞口に遊技球が入賞することで予め設定された所定数の賞球払出を行うための賞球制御コマンドを払出・発射制御回路126へ供給する。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了し、割込発生前のアドレスへ復帰し、メイン処理を実行させる。
[特別図柄制御処理]
図14のステップS15において実行されるサブルーチンについて図16を用いて説明する。なお、図16において、ステップS72からステップS80の側方に描いた数値は、それらのステップに対応する制御状態フラグを示し、その制御状態フラグの数値に応じて、その数値に対応する一つのステップが実行され、特別図柄ゲームが進行することとなる。
最初に、図16に示すように、制御状態フラグをロードする処理を実行する(ステップS71)。この処理において、メインCPU63は、制御状態フラグを読み出す。この処理が終了した場合には、ステップS72に処理を移す。
なお、後述するステップS72からステップS80において、メインCPU63は、後述するように、制御状態フラグの値に基づいて、各ステップにおける各種の処理を実行するか否かの判断を行うことになる。この制御状態フラグは、特別図柄ゲームの遊技の状態を示すものであり、ステップS72からステップS80における処理のいずれかを実行可能にするものである。また、それに加えて、メインCPU63は、各ステップに対して設定された待ち時間タイマ等に応じて決定される所定のタイミングで各ステップにおける処理を実行する。
また、この所定のタイミングに至る前においては、各ステップにおける処理を実行することなく終了することとなり、他のサブルーチンを実行することになる。もちろん、所定の周期でシステムタイマ割込処理も実行される。
ステップS72においては、特別図柄記憶チェック処理を実行する。詳しくは図17を用いて後述するが、メインCPU63は、制御状態フラグが特別図柄記憶チェックを示す値(00)である場合に、保留個数のチェックを行い、保留個数がある場合に、大当り判定、導出特別図柄、特別図柄の変動パターン等の決定を行う。また、メインCPU63は、特別図柄変動時間管理を示す値(01)を制御状態フラグにセットし、今回の処理で決定された変動パターンに対応する変動時間を待ち時間タイマにセットする。
つまり、今回決定された変動パターンに対応する変動時間を経過した後、ステップS73の処理を実行するように設定するのである。一方、保留個数がない場合には、デモ画面を表示するためのデモ表示処理を行う。この処理が終了した場合には、ステップS73に処理を移す。
ステップS73においては、特別図柄変動時間管理処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、制御状態フラグが特別図柄変動時間管理を示す値(01)であり、変動時間が経過した場合に、特別図柄表示時間管理を示す値(02)を制御状態フラグにセットし、確定後待ち時間〈例えば1秒〉を待ち時間タイマにセットする。つまり、確定後待ち時間が経過した後、ステップS74の処理を実行するように設定するのである。この処理が終了した場合には、ステップS74に処理を移す。
ステップS74においては、特別図柄表示時間管理処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、制御状態フラグが特別図柄表示時間管理を示す値(02)であり、確定後待ち時間が経過した場合に、大当りか否かを判断する。メインCPU63は、大当りである場合に、大当り開始インターバル管理を示す値(03)を制御状態フラグにセットし、大当り開始インターバルに対応する時間(例えば10秒。)を待ち時間タイマにセットする。
つまり、大当り開始インターバルに対応する時間が経過した後、ステップS75の処理を実行するように設定する。また、メインCPU63は、移行する大当り遊技状態の種類を示す遊技状態コマンドを示すデータをメインRAM65の所定領域にセットする。このように記憶された遊技状態コマンドを示すデータは、図15のステップS47の処理により、主制御回路60のメインCPU63から副制御回路200のサブCPU206に遊技状態コマンドとして供給される。副制御回路200のサブCPU206は、受信した遊技状態コマンドに基づいて、大当り遊技状態に移行されることと、移行される大当り遊技状態の種類が認識可能となる。
一方、メインCPU63は、大当りではない場合に、特別図柄ゲーム終了を示す値(08)をセットする。つまり、ステップS80の処理を実行するように設定するのである。
ステップS75においては、大当り開始インターバル管理処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、制御状態フラグが大当り開始インターバル管理を示す値(03)であり、その大当り開始インターバルに対応する時間が経過した場合に、大入賞口39を開放させるために、メインROM64から読み出されたデータに基づいて、メインRAM65に位置付けられた変数を更新する。
メインCPU63は、大入賞口開放中を示す値(04)を制御状態フラグにセットするとともに、開放上限時間(例えば30秒。)を大入賞口開放時間タイマにセットする。つまり、ステップS77の処理を実行するように設定するのである。この処理が終了した場合には、ステップS76に処理を移す。
ステップS76においては、大入賞口再開放前待ち時間管理処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、制御状態フラグが大入賞口再開放待ち時間管理を示す値(06)であり、ラウンド間インターバルに対応する時間が経過した場合に、大入賞口開放回数カウンタを“1"増加するように記憶更新する。メインCPU63は、大入賞口開放中を示す値(04)を制御状態フラグにセットする。メインCPU63は、開放上限時間(例えば30秒)を大入賞口開放時間タイマにセットする。そして、この処理が終了した場合には、ステップS77に処理を移す。
ステップS77においては、大入賞口開放中処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、制御状態フラグが大入賞口開放中を示す値(04)である場合に、大入賞口入賞カウンタが“10"以上であるという条件、開放上限時間を経過した(大入賞口開放時間タイマが“0"である。)という条件のいずれかを満たす(所定の閉鎖条件が成立した。)のか否かの判断を行う。
メインCPU63は、いずれかの条件を満たしていると判断した場合に、大入賞口39を閉鎖させるために、メインRAM65に位置付けられた変数を更新する。メインCPU63は、大入賞口内残留球監視を示す値(05)を制御状態フラグにセットする。メインCPU63は、大入賞口内残留球監視時間(例えば1秒。)を待ち時間タイマにセットする。つまり、大入賞口内残留球監視時間が経過した後、ステップS78の処理を実行するように設定するのである。
なお、メインCPU63は、いずれの条件も満たさない場合には、上述した処理を実行しない。この処理が終了した場合には、ステップS78に処理を移す。
ステップS78においては、大入賞口内残留球監視処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、制御状態フラグが大入賞口内残留球監視を示す値(05)であり、大入賞口内残留球監視時間が経過した場合に、大入賞口開放回数カウンタが大入賞口開放回数最大値以上である(最終ラウンドである、具体的には、確変大当り遊技状態においては15ラウンド、通常大当り遊技状態においては2ラウンド。)という条件を満たすか否かを判断する。
メインCPU63は、この条件を満たした場合に、大当り終了インターバルを示す値(07)を制御状態フラグにセットし、大当り終了インターバルに対応する時間を待ち時間タイマにセットする。つまり、大当り終了インターバルに対応する時間が経過した後、ステップS79の処理を実行するように設定するのである。一方、メインCPU63は、この条件を満たさない場合に、大入賞口再開放待ち時間管理を示す値(06)を制御状態フラグにセットする。
また、メインCPU63は、ラウンド間インターバルに対応する時間を待ち時間タイマにセットする。つまり、ラウンド間インターバルに対応する時間が経過した後、ステップS76の処理を実行するように設定するのである。この処理が終了した場合には、ステップS79に処理を移す。
ステップS79においては、大当り終了インターバル処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、制御状態フラグが大当り終了インターバルを示す値(07)であり、大当り終了インターバルに対応する時間が経過した場合に、特別図柄ゲーム終了を示す値(08)を制御状態フラグにセットする。つまり、ステップS80の処理を実行するように設定するのである。
そして、メインCPU63は、確変状態に移行させると決定された場合には、高確率フラグをセットすることによって、確変状態に移行させる制御を行い、大当り図柄が、確変状態に移行させないと決定された場合には、時短フラグをセットすることによって、時短状態に移行させる制御を行うこととなる。また、メインCPU63は、確変状態に移行させる場合には、確変状態に移行する旨の遊技状態コマンドを示すデータを、時短状態に移行させる場合には、時短状態に移行する旨の遊技状態コマンドを示すデータを、メインRAM65の所定領域にセットする。
このように記憶された遊技状態コマンドを示すデータは、図15のステップS47における処理により、主制御回路60のメインCPU63から副制御回路200のサブCPU206に遊技状態コマンドとして供給される。副制御回路200のサブCPU206は、受信した遊技状態コマンドに基づいて、確変状態、時短状態に移行されることが認識可能となる。この処理が終了した場合には、ステップS80に処理を移す。
ステップS80においては、特別図柄ゲーム終了処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、制御状態フラグが特別図柄ゲーム終了を示す値(08)である場合に、保留個数を示すデータ(始動記憶情報)を“1"減少するように記憶更新する。そして、メインCPU63は、次回の変動表示を行うために、特別図柄記憶領域の更新を行う。また、メインCPU63は、通常遊技状態に移行させる場合には、通常遊技状態に移行する旨の遊技状態コマンドを示すデータをメインRAM65の所定領域にセットする。
このように記憶された遊技状態コマンドを示すデータは、図15のステップS47の処理により、主制御回路60のメインCPU63から副制御回路200のサブCPU206に遊技状態コマンドとして供給される。副制御回路200のサブCPU206は、受信した遊技状態コマンドに基づいて、通常遊技状態に移行されることが認識可能となる。
また、メインCPU63は、時短状態である場合には、識別情報の可変表示の回数を計数し、その回数が所定回数(例えば、100回。)となった場合には、時短フラグをクリアし、時短状態から通常遊技状態に移行させる制御を行うこととなる。
メインCPU63は、特別図柄記憶チェックを示す値(00)をセットする。つまり、ステップS72の処理を実行するように設定するのである。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了する。
上述したように、制御状態フラグをセットすることにより、特別図柄ゲームが実行されることとなる。具体的には、メインCPU63は、大当り遊技状態ではない場合において、大当り判定の結果がハズレであるときには、制御状態フラグを“00"、“01"、“02"、“08"と順にセットすることにより、図16に示すステップS72、ステップS73、ステップS74、ステップS80の処理を所定のタイミングで実行することとなる。
また、メインCPU63は、大当り遊技状態ではない場合において、大当り判定の結果が大当りであるときには、制御状態フラグを“00"、“01"、“02"、“03"と順にセットすることにより、図16に示すステップS72、ステップS73、ステップS74、ステップS75の処理を所定のタイミングで実行し、大当り遊技状態への制御を実行することとなる。
更には、メインCPU63は、大当り遊技状態への制御が実行された場合には、制御状態フラグを“04"、“05"、“06"と順にセットすることにより、図16に示すステップS77、ステップS78、ステップS76の処理を所定のタイミングで実行し、特定遊技を実行することとなる。
なお、特定遊技が実行されている場合において、大当り遊技状態の終了条件(特定遊技終了条件)が成立した場合には、“04"、“05"、“07"、“08"と順にセットすることにより、図16に示すステップS77からステップS80の処理を所定のタイミングで実行し、大当り遊技状態を終了することとなる。なお、この特定遊技終了条件には、大当りラウンド最大継続数(上限ラウンド数、例えば、本実施例においては2又は15ラウンド。)が終了したことを条件として大当り遊技状態を終了することとなる。
[特別図柄記憶チェック処理]
図16のステップS72において実行されるサブルーチンについて図17を用いて説明する。
最初に、図17に示すように、制御状態フラグが特別図柄記憶チェックを示す値(00)であるか否かの判断を行い(ステップS101)、制御状態フラグが特別図柄記憶チェックを示す値であると判別した場合には、ステップS102に処理を移し、制御状態フラグが特別図柄記憶チェックを示す値であるとは判別しなかった場合には、本サブルーチンを終了する。
そして、ステップS102においては、保留個数が“0"であるか否かの判断を行い、保留個数を示すデータが“0"であると判別した場合には、ステップS103に処理を移し、保留個数を示すデータが“0"であるとは判別しなかった場合には、ステップS104に処理を移す。
ステップS103においては、デモ表示処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、デモ表示を行わせるために副制御回路200にデモ表示コマンドを供給するための変数をメインRAM65に記憶する。これによって、副制御回路200において、客待ち状態(所定の待機状態)となったことを認識することができる。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了する。
ステップS104においては、制御状態フラグとして特別図柄変動時間管理を示す値(01)をセットする処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、特別図柄変動時間管理を示す値を制御状態フラグに記憶する。この処理が終了した場合には、ステップS105に処理を移す。
そして、ステップS105においては、大当り判断処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、高確率フラグを読み出し、読み出した高確率フラグに基づいて、大当りの判定値(大当り判定値)の数が異なる複数の大当り判定テーブルから1つの大当り判定テーブルを選択する。例えば、通常時における大当り判定テーブルでは、2個の大当り判定値が設定されているが、高確率時における大当り判定テーブルでは、10個の大当り判定値が設定されており、高確率フラグに基づいて大当り判定テーブルを選択することによって、大当り遊技状態に移行する確率が異なることとなる。
このように、高確率フラグが所定の値(例えば“77"。)である場合、つまり遊技状態が確変状態である場合には、大当り遊技状態に移行する確率(特別図柄の可変表示の結果を特定の表示態様とする確率。)は、通常時よりも向上することとなるのである。そして、メインCPU63は、始動入賞時に抽出された大当り判定用乱数値と、選択された大当り判定テーブルとを参照する。
つまり、メインCPU63は、遊技頷域15における始動口44(始動領域)を遊技球が通過したことなどの所定の大当り判定条件の成立により、遊技者にとって有利な大当り遊技状態とするか否かの判定を行うこととなる。なお、本実施例において、このような処理を実行するメインCPU63は、大当り判定手段の一例に相当する。この処理が終了した場合には、ステップS106に処理を移す。
ステップS106においては、大当りであるか否かの判断を行う。この処理において、メインCPU63は、ステップS105の参照の結果に基づいて、大当りであるか否かを判断することとなる。メインCPU63は、大当りであると判別した場合には、ステップS107に処理を移し、大当りであるとは判別しなかった場合には、ステップS108に処理を移す。
ステップS107において、メインCPU63は、始動入賞時に抽出された大当り図柄決定用乱数値を抽出し、その大当り図柄決定用乱数値に基づいて、確変状態に移行させるか否かを決定する。そして、メインCPU63は、確変状態に移行させるか否かに基づいて、特別図柄を決定し、その特別図柄を示すデータをメインRAM65の所定領域に記憶する。また、メインCPU63は、確変状態に移行させると決定した場合には、上述したステップS79において確変状態に移行させる制御を行うこととなる。
このように記憶された特別図柄を示すデータは、特別図柄表示装置33に供給される。これによって、特別図柄表示装置33に、特別図柄が導出表示されることとなる。また、このように記憶された特別図柄を示すデータは、図15のステップS47の処理により、主制御回路60のメインCPU63から副制御回路200のサブCPU206に導出図柄指定コマンドとして供給される。
この導出図柄指定コマンドを副制御回路200が受信し、対応する処理を実行することによって、特別図柄に対応する装飾図柄が液晶表示装置32に導出表示されることとなる。更に、リーチ演出の種類、確変状態、又は大当り遊技状態等の遊技状態に応じて、可動演出部材600D,600Hを出没させる制御を行って、液晶表示装置32の表示演出と併せて効果的な演出を行うことができる。この処理が終了した場合には、ステップS109に処理を移す。
一方、ステップS108においては、はずれ図柄の決定処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、はずれ図柄を、特別図柄に決定し、その特別図柄を示すデータをメインRAM65の所定領域に記憶する。このように記憶された特別図柄を示すデータは、特別図柄表示装置33に供給される。
これによって、特別図柄表示装置33に、特別図柄が導出表示されることとなる。また、このように記憶された特別図柄を示すデータは、図15のステップS47の処理により、主制御回路60のメインCPU63から副制御回路200のサブCPU206に導出図柄指定コマンドとして供給される。
これによって、副制御回路200において、特別図柄に対応する装飾図柄が液晶表示装置32に導出表示されることとなる。更に、はずれリーチ演出の種類に応じて、可動演出部材600D,600Hを出没させる制御を行って、液晶表示装置32の表示演出と併せて、遊技に期待感を抱かせる演出を行うことができる。この処理が終了した場合には、ステップS109に処理を移す。
ステップS109においては、変動パターン決定処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、演出条件選択用乱数値を抽出する。メインCPU63は、ステップS107及びステップS108により決定された特別図柄に基づいて、変動パターンを決定するための図示せぬ変動パターン決定テーブルを選択する。
そして、メインCPU63は、演出条件選択用乱数カウンタから抽出した演出条件選択用乱数値と選択した変動パターン決定テーブルとに基づいて、変動パターンを決定し、メインRAM65の所定領域に記憶する。メインCPU63は、このような変動パターンを示すデータに基づいて、特別図柄の変動表示態様(特に、変動表示時間。)を決定することとなる。
つまり、サブCPU206は、大当り遊技状態に移行させるか否かの判定の結果に基づいて、識別情報の変動パターンを決定することとなる。なお、本実施例において、このようなメインCPU63は、変動パターン決定手段の一例に相当する。このように記憶された変動パターンを示すデータは、特別図柄表示装置33に供給される。
特別図柄表示装置33に供給された変動パターンを示すデータによって、特別図柄表示装置33では、特別図柄が決定した変動パターンに基づいた変動表示が行われることになる。つまり、メインCPU63は、特別図柄の可変表示を行う特別図柄表示装置33の表示制御を行うこととなる。
また、このように記憶された変動パターンを示すデータは、図15のステップS47の処理により、主制御回路60のメインCPU63から副制御回路200のサブCPU206に変動パターン指定コマンドとして供給される。副制御回路200のサブCPU206は、受信した変動パターン指定コマンドに応じた表示演出を実行することとなる。この処理が終了した場合には、ステップS110に処理を移す。
ステップS110においては、決定した変動パターンに対応する変動時間を待ち時間タイマにセットする処理を実行する。この処理において、メインCPU63は、ステップS109の処理により決定された変動パターンと、その変動パターンの変動時間を示す変動時間テーブルと、に基づいて、変動時間を算出し、その変動時間を示す値を待ち時間タイマに記憶する。そして、今回の変動表示に用いられた記憶領域をクリアする処理を実行する(ステップS111)。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了する。
[副制御回路メイン処理]
一方、副制御回路200は、副制御回路メイン処理を実行することとなる。この副制御回路メイン処理について図18を用いて説明する。なお、この副制御回路メイン処理は、電源が投入されたときに開始される処理である。
最初に、図18に示すように、サブCPU206は、RAMアクセス許可、作業領域を初期化等の初期設定処理を実行する(ステップS201)。この処理が終了した場合には、ステップS202に処理を移す。
ステップS202において、サブCPU206は、乱数更新処理を実行する。この処理において、サブCPU206は、ワークRAM210の所定領域に位置付けられた各種の乱数カウンタの乱数値を更新する。この処理が終了した場合には、ステップS203に処理を移す。
ステップS203において、サブCPU206は、コマンド解析処理を実行する。即ち、受信したコマンドを解析し、その解析したコマンドに応じた処理を実行することとなる。この処理が終了した場合には、ステップS204に処理を移す。
ステップS204において、サブCPU206は、表示制御処理を実行する。即ち、サブCPU206は、液晶表示装置32における画像の表示制御、及び可動演出部材600D,600Hの駆動制御を行う。そして、サブCPU206は、スピーカ46から発生させる音の制御を行う音声制御処理(ステップS205)、各種のランプ132の発光制御を行うランプ制御処理を実行する(ステップS206)。この処理が終了した場合には、再度、ステップS202に処理を移す。
このように、副制御回路メイン処理においては、ステップS201の初期設定処理が終了した後、ステップS202からステップS206の処理を繰り返し実行することとなる。
[コマンド割込処理]
副制御回路200では、所定のタイミング(例えば、コマンドを受信したタイミングなど。)によりコマンド割込処理を実行することとなる。このコマンド割込処理について図19を用いて説明する。
最初に、図19に示すように、サブCPU206は、レジスタの退避(ステップS221)を行い、主制御回路60から受信した各種の受信コマンドを、ワークRAM210の所定領域に位置付けられたコマンドバッファに格納する(ステップS222)。そして、サブCPU206は、ステップS221において退避させたレジスタを復帰させる(ステップS223)。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了する。
[VDP割込処理]
また、副制御回路200では、所定のタイミング(例えば、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rにおける垂直同期のタイミング(1/60s)などの一定の周期。)により、VDP割込処理を実行することとなる。このVDP割込処理について、図20を用いて説明する。
図20に示すように、サブCPU206は、レジスタの退避処理(ステップ231)を実行して、ワークRAM210の所定領域に確保したVDPカウンタを“1"増加させて記憶する(ステップS232)。このVDPカウンタは、1フレームの画像を表示させるためのカウンタであり、1フレームの画像を表示させるタイミングをカウントする。具体的には、垂直同期のタイミング毎に呼び出される本処理を実行する毎に、VDPカウンタを“1"増加させる。
これによって、後述する表示制御処理(図24参照。)において、サブCPU206は、VDPカウンタが“2"増加する毎に表示制御を行うためのデータを表示制御回路250に供給することとなる。つまり、本処理を実行するサブCPU206は、画像を標示するタイミングをカウントしている。そして、サブCPU206は、ステップS231において退避させたレジスタを復帰させる(ステップS233)。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了する。
[タイマ割込処理]
また、副制御回路200では、所定のタイミング(例えば、2msなど、一定の周期毎など。)によりタイマ割込処理を実行することとなる。このタイマ割込処理について図21を用いて説明する。
最初に、図21に示すように、サブCPU206は、レジスタの退避(ステップS241)を行い、各種タイマの更新処理を実行する(ステップS242)。そして、サブCPU206は、スイッチ入力処理を実行する(ステップS243)。この処理において、サブCPU206は、遊技者によるメニュー操作部69又はゲーム操作部70等(図1参照。)の操作に基づいた各種の処理を実行することとなる。
そして、サブCPU206は、ステップS241において退避させたレジスタを復帰させる(ステップS244)。この処理が終了した場合には、本サブルーチンを終了する。
[コマンド解析処理]
図18のS203において実行されるコマンド解析処理のサブルーチンについて、図22を用いて説明する。
図22に示すように、サブCPU206は、先ず所定のコマンドバッファに受信コマンドが記録されているか否かを判断する(ステップS401)。図19に示したコマンド割込処理のステップS222において、サブCPU206が受信したコマンドをコマンドバッファに格納する処理を行ったが、ステップS401にてサブCPU206は、このコマンドバッファに受信コマンドが格納されているか否かを判断している。
サブCPU206が、ステップS401において、受信コマンドがあると判断した場合には、ワークRAM210の所定領域に位置づけられたコマンドバッファから、コマンドデータを読み出し(ステップS402)、次のステップS403に処理を移す。一方、サブCPU206が、受信コマンドが無いと判断した場合には、本サブルーチンを終了する。
次のステップS402にてサブCPU206は、主制御回路60から送信されてきた各種のコマンド(例えば、デモ表示コマンド、変動パターン指定コマンド、導出図柄指定コマンドなど)を、ワークRAM210から読み出して、以降の処理で解析してフラグをセットする処理を行う。
次のステップS403にてサブCPU206は、受信したコマンドが変動パターン指定コマンドであるか否かの判断を行っている。もし、受信したコマンドが変動パターン指定コマンドである場合には、ステップS404に進み、演出パターンの決定を行う。一方、ステップS403にて、変動パターン指定コマンドを受信していないと判断した場合には、ステップS406に分岐する。
次の、ステップS406にてサブCPU206は、受信したコマンドが導出図柄指定コマンドであるか否かの判断を行っている。もし、受信したコマンドが、導出図柄指定コマンドである場合には、ステップS407に進み、導出装飾図柄決定処理を行う。一方、ステップS406にて、導出図柄指定コマンドを受信していないと判断した場合には、ステップS408に分岐する。
次の、ステップS408にてサブCPU206は、受信したコマンドが遊技状態コマンドであるか否かの判断を行っている。もし、受信したコマンドが、遊技状態コマンドである場合には、ステップS409に進み、遊技状態コマンドに対応するデータをワークRAM210の所定領域にセットする処理を行う。一方、ステップS408にて、遊技状態コマンドを受信していないと判断した場合には、ステップS410に分岐する。
次のステップS410にてサブCPU206は、デモ表示コマンド、変動パターン指定コマンド、及び導出図柄指定コマンド等の受信コマンドに対応した演出制御データをワークRAM210の所定の領域にセットし、本サブルーチンを終了する。具体的には、以下に説明する図23に示すような各演出パターンに応じた演出内容を決定して、対応するフラグをセットする処理を行う。
図23は、演出パターンとその演出内容を記録した図表である。
図23に示すように、例えば演出内容がデモンストレーション又はノーマルリーチの場合には、液晶表示装置32による演出表示のみを行って、可動演出部材600D,600Hは手前側表示装置32Fの背後に隠れた状態とする。
また、演出内容が、スーパーリーチA及びスーパーリーチBの場合には、可動演出部材600Dを手前側表示装置32Fの背後から出現させて、液晶表示装置32と可動演出部材600Dとを用いた演出を行うものとする。この場合に、可動演出部材600Dの目602には、半開きの目を表示する。そして、スーパーリーチAの場合には、団扇604に、奥側表示装置32Rを用いて「小」の文字を表示させ、スーパーリーチBの場合には、団扇602に「大」の文字を表示させる。
また、演出内容が、スーパーリーチC及び大当り遊技状態の場合には、可動演出部材600D及び可動演出部材600Hを、手前側表示装置32Fの背後から出現させて、液晶表示装置32と可動演出部材600D及び可動演出部材600Hとを用いた演出を行うものとする。この場合に、可動演出部材600Dの目602には、鋭く見開いた目を表示する。そして、スーパーリーチCの場合には、団扇604に、奥側表示装置32Rを用いて団扇の模様を表示させ、大当り遊技状態の場合には、団扇602に大当り遊技状態であることを意味する「当」の文字を表示させる。
[表示制御処理]
図18のステップS204にて実行される表示制御処理のサブルーチンについて、図24を用いて説明する。
図24に示すように、サブCPU206は、先ずVDPカウンタが“2"であるか否かを判断する(ステップS351)。この処理において、サブCPU206は、上述したVDP割込処理(図20参照。)のステップS232においてカウントされているVDPカウンタから、VDPカウンタ値を読み出して、“2"であるか否かの判断を行う。
上述したように、VDP割込処理において、1/60s毎にVDPカウンタを“1"増加させているため、サブCPU206は、1/30s経過したか否かを判断することとなる。この処理において、サブCPU206は、VDPカウンタ値が“2"であると判断した場合には、ステップS352に処理を移す。一方、VDPカウンタ値が“2"でないと判断した場合には、本サブルーチンを終了する。
ステップS352において、サブCPU206は、制御データ出力処理を実行する。この処理においてサブCPU206は、オブジェクトの種類及びその表示位置を示すデータなど、デモンストレーション、ノーマルリーチ、スーパーリーチA、スーパーリーチB、スーパーリーチC及び大当り遊技状態等の遊技状態に応じた演出の制御データを、表示制御回路250に出力する。これによって、表示制御回路250は、手前側表示装置32F及び奥側表示装置32Rに動画を表示することができる。
次のステップS353にて、サブCPU206は、VDPカウンタに“0"をセットする。そして、次のステップS354にて、バンク切替指示を表示制御回路250に出力する。
次のステップS356にて、サブCPU206は、スーパーリーチA、スーパーリーチB、スーパーリーチC及び大当り遊技状態等の遊技状態に応じた演出用の制御データを、I/O260に出力して、可動手段610の制御処理を実行する。ドライバ262は、制御指令をI/O260から取得し、取得した制御指令に応じたON指令又はOFF指令を、可動手段610のソレノイド618に出力する。このようにして、液晶表示装置32と可動演出部材600D、600Hとを用いた演出を行うことができる。ステップS356にて可動手段制御処理が終了すると、表示制御処理のサブルーチンを終了する。
次に、遊技状態に応じた可動演出部材600Dの演出態様について、図25〜図30を用いて説明する。
図25に示す可動演出部材600Dは、図4に示した花火師の男子の姿を正面から見た図であり、男子の目602及び男子が持っている団扇604の扇部分には何も表示していないブランク状態を表している。可動演出部材600Dが手前側表示装置32Fの背後に隠れている状態では、図25に示した態様となる。
図26〜図29に示す可動演出部材600Dは、手前側表示装置32Fの背後から出現した状態である。
図26に示す可動演出部材600Dは、図23示したスーパーリーチAにおける表示態様の一例を示している。図26に示すように、可動演出部材600Dにおける男子の目602は半開きの目を表示しており、団扇604には、奥側表示装置32Rを用いて「小」の文字を表示している。
図27に示す可動演出部材600Dは、図23示したスーパーリーチBにおける表示態様の一例を示している。図27に示すように、可動演出部材600Dにおける男子の目602は半開きの目を表示しており、団扇604には、奥側表示装置32Rを用いて「大」の文字を表示している。
図28に示す可動演出部材600Dは、図23示したスーパーリーチCにおける表示態様の一例を示している。図28に示すように、可動演出部材600Dにおける男子の目602は鋭く見開いた状態の目を表示しており、団扇604には、奥側表示装置32Rを用いて模様を表示している。
図29に示す可動演出部材600Dは、図23示した大当り遊技状態における表示態様の一例を示している。図29に示すように、可動演出部材600Dにおける男子の目602は鋭く見開いた状態の目を表示しており、団扇604には、奥側表示装置32Rを用いて「当」の文字を表示している。このように、男子の目602についての演出表示を行うことにより、可動演出部材600Dに表情を持たせることもできるようになり、可動演出部材600Dを用いた演出効果を多様化させることができる。
図30は、図23に示したスーパーリーチCにおける、演出表示装置601を用いた演出態様の一例を示す斜視図である。図30に示す実施例では、手前側表示装置32Fと奥側表示装置32Rとの間から、可動演出部材600Dを出現させ、奥側表示装置32Rを用いて花火師の男子の目602及び団扇604の部分に演出表示を行っている。
図31は、図23に示したスーパーリーチCにおける、演出表示装置601を用いた演出態様の一例を示す斜視図である。図31に示す実施例では、手前側表示装置32Fと奥側表示装置32Rとの間から、可動演出部材600Dに加えて可動演出部材600Hを出現させた状態を示している。可動演出部材600Dが好感を持つキャラクターの可動演出部材600Hを出現させて、可動演出部材600Dに対する応援を行うことにより、可動演出部材600Dによる働きをパワーアップさせて、大当り遊技状態を予告する旨の演出を行うことができる。
次に、パチンコ遊技機10の演出表示装置601による演出を、実際に遊技を行っている遊技者の視線から見た状態を図32及び図33を用いて説明する。
図32は、図23示したスーパーリーチCにおける連続した表示態様の一部を、遊技者の視線で見た状態を示す図である。
図32に示す実施例は、パチンコ遊技機10の始動口44に遊技球が入球したことを条件として装飾図柄の可変表示が実行され、手前側表示装置32Fにリーチ図柄「7 7」が停止表示され、中央の装飾図柄はまだ変動表示中「↓」の状態を示している。ここで、中央の装飾図柄が「7」で停止表示された場合には、3列の装飾図柄が全て揃った所謂「大当り表示態様」の表示がなさる。すると、シャッタ40が開放されて大入賞口39に遊技球が入賞しやすい大当り遊技状態となるので、この状態において遊技者は、以降多くの賞球を獲得できるか否かの岐路に立っている状況となる。
この状況であっても、遊技者は、発射ハンドル26を操作したり、ゲーム操作部70を操作することしかできず、直接大当り遊技状態に持ち込む手段は無いために、誰かに助けを乞いたい心境となる。そこで、中央の装飾図柄が変動表示中「↓」に、奥側表示装置32Rに「誰かいないか〜」の表示を行って、次の演出に繋ぐ状態を作る。
なお、図6〜図12にて図示したように、手前側表示装置32Fと奥側表示装置32Rの境目を、遊技者から視認しにくくする構造を採用することによって、手前側表示装置32Fの表示画面と奥側表示装置32Rの表示画面とが、正面視において略同一面として視認されるようにすることができる。すなわち、実際は2枚の手前側表示装置32Fと奥側表示装置32Rとから構成されている液晶表示装置32が、あたかも一枚の表示装置であるかのように見せることができる。
図33は、図32示した次の表示態様を、遊技者の視線で見た状態を示す図である。
図33に示す実施例では、図30に示した表示態様と同様に、サブCPU206の指令に基づいてドライバ262が、可動演出部材600Dの可動手段610に設けられているソレノイド618に電力を供給している(図13参照。)。すると、ソレノイド618のプランジャヘッド619が下降し、実体のある立体的な可動演出部材600Dが手前側表示装置32Fの背後から出現した状態となる。
図32に示す演出態様から、図33に示す演出態様に遷移させることによって、遊技者は、あたかも単一の平面的な表示装置の中央部から、いきなり立体的な可動演出部材600Dが出現してきたかのような臨場感を味わうことができる。なお、手前側表示装置32Fに表示されている中央の装飾図柄はまだ変動表示中「↓」であるために、遊技者は大当り遊技状態に移行するのか、又はハズレなのか判断できない状態である。
図33に示す実施例では、大当り遊技状態に移行させることを補助するかのように、奥側表示装置32Rを用いて「おいらの出番でえい!」の文字を表示するとともに、花火師の男子の目602として鋭く見開いた状態の目を表示し、団扇604には模様を表示して、演出効果を高めている。なお、この他にも、仕掛花火、大筒花火、手筒花火、ナイアガラ、仕掛花火、スターマイン、その他の花火演出を併用して表示することも可能である。
次に、可動演出部材600D,600Hを横方向に動かすことによって、更に演出効果を向上させるための演出表示装置の実施例を図34及び図35に示す。
図34は、手前側表示装置32F(図35参照。)と奥側表示装置32Rとの間からの可動演出部材600D,600Hを出没させるための可動手段620,620と、可動演出部材600D,600Hを遊技者から見て横方向に動かす横可動手段630とを備えた演出表示装置603の正面図である。
なお、説明の都合上、図34においては、手前側表示装置32Fを取り外した状態で示してある。また、図35は、図34に示した演出表示装置603のXXIX−XXIX矢視断面を示す側面断面図である。なお、可動手段620の構成のうち、図4(a)、図4(b)、図5(a)、及び図5(b)に示した構成と同一の構成については同一の符号を付して、その説明を省略する。
図34及び図35に示すように、可動演出部材600D及び可動演出部材600Hを可動手段620によって上下させ、手前側表示装置32F(図35参照。)の背後から、可動演出部材600D及び可動演出部材600Hを出没させることが可能となっている。可動手段620は、可動演出部材600D又は可動演出部材600Hを上下させるためのXリンク612と、アーム614と、プランジャヘッド619を上下させるソレノイド618を固定するベース板626とを備えている。可動手段620におけるベース板626の下方には、送り螺子634と螺合する雌螺子が形成されている。
横可動手段630は、可動演出部材600D及び可動演出部材600Hを独立して横方向に動かすための可動手段である。横可動手段630は、ベース板626の下部を三方から囲むようにして、ベース板626を遊技者から見て横方向に案内するガイドベース632と、ベース板626の下方に形成されている雌螺子と螺合させてベース板626を横方向に移動させる送り螺子634とを備えている。
送り螺子634は、ガイドベース632の両端に取り付けられている軸受633,633により軸支されている。可動演出部材600Dを遊技者から見て横方向に移動させる送り螺子634と、可動演出部材600Hを遊技者から見て横方向に移動させる送り螺子634とは、それぞれカップリング636,636を介してステッピングモータ638のロータに締結されている。
図34に示す実施例では、左側に配置されているステッピングモータ638のロータを時計方向に回転することによって、可動演出部材600Dを左方向に移動させ、同ステッピングモータ638のロータを反時計回りに回転することによって可動演出部材600Dを右方向に移動させることができる。
同様に、右側に配置されているステッピングモータ638のロータを回動することによって、可動演出部材600Hを左右方向に移動させることができる。2つのステッピングモータ638,638は、それぞれ専用のモータドライバを接続して、I/O260(図13参照。)から制御指令を入力する。そして、サブCPU206の指令に基づいた励磁電力を、モータドライバがステッピングモータ638,638に出力してロータを回動させ、可動演出部材600D及び可動演出部材600Hを独立して左右方向に動かすことができる。
なお、図34及び図35では、可動演出部材600D,600Hを遊技者から見て左右方向に動かすために、ステッピングモータ638と送り螺子634とを用いた実施例を示したが、他にもリニアモータ、超音波モータ、ソレノイド、その他の駆動手段を用いることができる。
また、可動演出部材600D,600Hを動かす方向についても、遊技者から見て横方向に動かす演出に限定するものではなく、可動演出部材600D,600Hを、遊技者から見て前後方向に動かす演出を行う構成を用いることもできるし、可動演出部材600D,600Hを回動させる演出を行うこともできる。また、可動演出部材600D,600Hの人形の手や足を動かすように構成して、更に演出の効果を向上させることもできる。