JP2008263241A - 静電チャック - Google Patents

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Abstract

【課題】絶縁破壊し難く、浅くて被覆性も良い静電チャックを実現する。
【解決手段】伝熱用ガス供給孔43の形成された電極12の基板1乗載面に設けられ、導電層55およびこれを挟む絶縁層を有する静電チャック500であって、絶縁層のうち電極12側のもの53でなく基板1側のものが複数の薄膜層571,573を含む。薄膜層571,573の一方に欠損部分があっても絶縁破壊が生じない。また、電極12は、基板1乗載面に伝熱用ガス送給孔43に通じる溝が網状に形成され、導電層55および絶縁層53,571〜573は、溝の底も含めて基板1乗載面に対し密着しており且つ伝熱用ガス供給孔43によって貫通される。溝510の底にも、絶縁層53,571〜573が存在する。
【選択図】図1

Description

この発明は、ICやLCDなど高精度の製造工程における基板処理に好適な静電チャックに関し、詳しくは、真空チャンバ内で発熱を伴う又は加熱を要するような処理を施す際に処理対象基板を放熱等の熱伝達可能な状態で保持する静電チャックに関する。
真空チャンバ内で発熱を伴う処理を施すものとしては、エッチングやアッシング等のプラズマ処理が挙げられ、加熱を要するものとしてはプラズマCVD等の成膜処理が挙げられる。そして、これらの処理に用いられるプラズマ処理装置の例としては、対向電極となる一対の平行平板を設けておいてこれらの平行平板間にプラズマ処理空間を形成してシリコンウエハ等の基板を対象にエッチング処理を行ういわゆる平行平板形エッチャー(RIE)や成膜処理を行う平行平板形PCVD等が知られている。
図2(a)に縦断面構造図を示したが、平行平板形のプラズマ処理装置は、一対の平行平板が真空チャンバ内に設けられていて、両平板間に形成されたプラズマ処理空間にプラズマを発生させ又は導入するとともにそのプラズマ処理空間内に所定の処理ガス等も導入する。そして、プラズマ処理空間にてプラズマ反応を行わせ、これによってプラズマ処理空間内の基板表面に対してエッチング処理等を施すようになっている。
エッチャーを例に詳述すると、この装置は、真空チャンバ本体部2の上に真空チャンバ蓋部3が開閉可能に取着された真空チャンバを備えており、プラズマ処理の対象物である基板1が平板状をしていることから、水平に置かれたカソード部12が真空チャンバ本体部2内のほぼ中央に設けられ、このカソード部12の上面が平坦に形成されていて、基板1を乗載しておくことが可能なようになっている。真空チャンバ本体部2の内底中央には筒状のローアーサポート12aが貫通して立設されており、カソード部12はこのローアーサポート12aの上端に固着して支持されており、これらによって構成された基板支持体は、真空チャンバ内に植設され上面が基板乗載可能に形成されたものとなっている。
真空チャンバ蓋部3内のほぼ中央であってカソード部12の上方にはアノード部11が筒状のアッパーサポート11aによって真空チャンバ蓋部3に垂設されており、アノード部11とカソード部12とを互いに対向した電極としてRF電源31によって高周波が印加されると所定の真空圧の下でアノード部11とカソード部12との間にプラズマが発生する。そこに、所定の処理ガスが供給されるとカソード部12上面に載置された基板1にガス状態等に応じたプラズマ処理がなされる。これにより、アノード部11の下面とカソード部12の上面との間にプラズマ処理空間13が形成され、そこに置かれた基板1の表面に対してプラズマ処理が施されるようになっている。
真空チャンバ本体部2には真空チャンバ内ガスを吸い出して適度な真空度を保つために内外貫通した吸引口2aが加工形成され、この吸引口2aに対し順にゲートバルブ4a、可変バルブ4、真空ポンプ5が連結されている。ゲートバルブ4aは保守時等に仕切るための手動弁であり通常動作時には開状態にされる。これとターボポンプ等の真空ポンプ5とに介挿された可変バルブ4は、バルブ開度を可変駆動するモータ等が付設されていてこれを電気信号で制御することで遠隔制御可能な通過流体の可変絞りとして機能する。そして、図示しない適宜のPID制御回路等の制御に従って可変バルブ4による絞り量が可変駆動されることで、真空チャンバ内の真空圧がプラズマ処理に適した設定圧力になるように自動制御される。
このような処理に際しては、均一な処理結果を得るために、プラズマ処理空間13の真空圧だけでなく、基板1の温度も適宜の設定温度に維持する必要がある。しかも、基板1全体の温度をできるだけ均一な分布状態に保つ必要がある。ところが、真空状態の下では、気体を媒介とした対流等による熱伝達がほとんど行われない。しかも、微視的にみると、基板1とカソード部12との真実接触面積が少ないばかりか、接触部はランダムに点在している。このため、直接的な熱伝導と僅かな輻射に頼っていたのでは、放熱量等が不足するうえ、熱分布も不均一となってしまう。
そこで、真空チャンバ内のプラズマ処理空間等に設置される処理対象基板乗載用電極の基板乗載面に、すなわち図2の例で言えばカソード部12の上面に、基板1をカソード部12側へ静電力によって引きつける静電チャック50が、薄く広がった膜状に設けられるとともに(図2(b)参照)、この静電チャック50とその上の基板1との間にヘリウム(He)等の冷却ガス(伝熱用ガス)が供給されるようになっている。
その冷却ガス供給手段は、真空チャンバ本体部2の外部から送り込んだ冷却ガスが静電チャック50側から基板1の下面・裏面へ向けて吹き出すように、ローアーサポート12aの内腔を通ってカソード部12内へ延びた又は連通した冷却ガス送給管41と、基板乗載面に対応した広がりを持ってカソード部12内に形成された冷却ガス送給腔42と、静電チャック50を貫いて冷却ガス送給腔42に届くように穿孔され而も多数穿孔されてカソード部12上面に点在・散在する冷却ガス送給孔43とを具える。これにより、静電チャック50は、冷却ガス供給孔43の形成された電極12の基板乗載面(上面)に設けられたものとなっている。
このような従来の静電チャック50は、図3(a)に平面図を示したが、多数の冷却ガス送給孔43のうち最外周のもの同士を連ねるように溝51が形成されている。溝51は、幾つかの円弧部分に分割・分離して設けられ、全体でほぼ一周分をカバーするようになっている。図3(b)に、溝51のうち冷却ガス送給孔43の穿孔された部分について縦断面拡大模式図を示したが、静電チャック50は、静電気を帯びさせるための導電層と、その静電気を逃がさないようにするためにその導電層を上下両側から挟む一対の絶縁層とを有している。
このような静電チャック50は、一般に次のようにして作られる。先ず、銅箔等の導電層55の上面に対してポリイミドフィルム等の絶縁性樹脂シートからなる上部絶縁層57を接着層56にて貼り付けるとともに、その導電層55の下面に対してもやはりポリイミドフィルム等の絶縁性樹脂シートからなる下部絶縁層53を接着層54にて貼り付けて、一枚の絶縁シートを形成しておく。次に、プレス等によって、溝51のところを打ち抜く。それから、溝51と冷却ガス送給孔43との相対位置を整合させながら、接着層52にてカソード部12の上面に貼り付ける。こうして、幅Wが1〜2mmで深さDが150μm程度の溝51を持つ静電チャック50ができあがる。
このような構造の静電チャック50を持ったカソード部12の上に基板1が乗せられると、導電層55に帯電させることで或いはプラズマ処理に伴う帯電が基板1に生じることで、基板1は静電チャック50を介してカソード部12の上面に付勢力を伴って保持される。そして、冷却ガス送給管41に冷却ガスを送り込むと、その冷却ガスは、冷却ガス送給腔42及び多数の冷却ガス送給孔43を介して基板1の下側へ供給される。
こうして、真空雰囲気中であっても、カソード部12上面における静電チャック50の上に基板1が保持されるととも、基板1の裏面・下面と静電チャック50との隙間に冷却ガスが充填される。この冷却ガスは、その隙間内で外向き半径方向へ広がり、基板1の最外周直下のところからプラズマ処理空間13へ放出されるので、真空状態に影響しないよう、少量だけ供給される。
そのような流れに際して、冷却ガスは、溝51のところで同一の圧力にされ、基板1及び静電チャック50間に広がる隙間において、ほぼ均一に分布することとなる。そして、この冷却ガスを媒体として、基板1の裏面ほぼ全域に亘って、基板1とカソード部12との熱伝達が行われる。
しかしながら、このような従来の静電チャックでは、静電チャックにおける上部絶縁層に用いられる樹脂シートにボイドや傷等があると、そこを起点に絶縁破壊が発生し易く、しかも一旦生じた絶縁破壊はたちまち広がって、使用に耐えない状態に至ってしまうことがある。かかるボイドや傷を持ったシートは使用されないが検査で微小なものまで見つけだすことは難しいうえ、絶縁特性に優れているシートは傷つきやすくて取り扱いが困難であった。そこで、ボイドや傷が全く無い完全無欠な静電チャックを望むのは無理としても、ボイドや傷等の欠損が例え有ったとしても、絶縁破壊が起こり難いような静電チャックを案出することが課題となる。
また、上述のような従来の静電チャックでは、冷却ガス等の伝熱用ガスの充填状態の均一化のために溝が打ち抜き形成されているが、この溝の深さは溝の無いところの間隙に比べれば大きすぎることから、溝のところでは、伝熱用ガスによる熱伝導が悪くなるので、基板の熱分布の均一性・一様性が損なわれていた。しかも、溝底には、良電導体である電極面が露出しているため、溝内で異常放電が発生したり、バイアス電圧にばらつきが生じたり、プラズマ処理等に用いる反応性ガスの種類によっては電極面が腐食するといった問題もあった。そこで、溝深さが従来より浅くなり且つ電極面が露出しないような溝を如何にして形成するかが、課題となる。
さらに、溝が打ち抜き形成される静電チャックでは、溝が完全に一周していると溝で囲まれた部分が分離してバラバラになってしまうのを回避するために、溝の方を幾つかに分割して形成しなければならない。このため、溝の形状に関する設計自由度が制約されることから、電極への貼り付け等に際して取り扱い難いばかりか、伝熱用ガスの圧力分布の均一化についても、例えば中心部と辺縁部とで相違しやすい等、不満があった。しかも、そのような圧力分布の不均一性は、溝の深さを従来より浅くすると、悪化しがちである。そこで、溝の深さを従来より浅くしても、伝熱用ガス圧の均一度を悪化させないどころか、むしろ均一度を向上させるように工夫することも、更なる課題となる。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、絶縁破壊し難い静電チャックを実現することを目的とする。また、本発明は、溝が浅くて被覆性も良い静電チャックを実現することも目的とする。さらに、本発明は、溝が浅くても伝熱用ガス圧の均一度が良い静電チャックを実現することをも目的とする。
このような課題を解決するために発明された第1乃至第3の解決手段について、その構成および作用効果を以下に説明する。
[第1の解決手段]
第1の解決手段の静電チャックは、(真空チャンバ内のプラズマ処理空間等の真空雰囲気中に設置される処理対象基板乗載用)電極の基板乗載面に設けられ、導電層およびこれを挟む絶縁層を有する静電チャックにおいて、前記絶縁層のうち前記基板側のものが複数の薄膜層を含んだものである。
このような第1の解決手段の静電チャックにあっては、基板側の絶縁層は、それに含まれている複数の薄膜層の何れかにボイドや傷等の欠損があっても、それが局所的な小さいものであれば、共に積層された他の薄膜層における同様の欠損部分と重なり合うことが滅多に無いので、表裏を貫通するような欠損を生じることがほとんど無い。
これにより、絶縁特性に優れたシートを用いて静電チャックを作った場合でも、傷つきにくく、絶縁耐性に優れた静電チャックができあがり、その寿命が大幅に伸びることとなる。したがって、この発明によれば、絶縁破壊し難い静電チャックを実現することができる。
[第2の解決手段]
第2の解決手段の静電チャックは、(真空チャンバ内のプラズマ処理空間等の真空雰囲気中に設置される処理対象基板乗載用電極であって)伝熱用ガス供給孔の形成された電極の基板乗載面に設けられ、導電層およびこれを挟む絶縁層を有する静電チャックにおいて、前記電極は、前記伝熱用ガス送給孔に通じる溝が前記基板乗載面に形成されたものであり、前記導電層および前記絶縁層は、前記溝の底も含めて前記基板乗載面に対し密着しており且つ前記伝熱用ガス供給孔によって貫通されたものである。
このような第2の解決手段の静電チャックにあっては、電極の基板乗載面に形成された溝に対しても溝の無いところと同じように密着して、導電層および絶縁層からなる静電チャックが設けられることから、その電極表面の溝とほぼ同じ形状の溝が静電チャックの表面に現れる。そして、溝に、伝熱用ガス供給孔を介して伝熱用ガスが供給される。
これにより、電極表面に彫り込む溝を浅く形成しておけば容易に、静電チャック表面の溝を静電チャックの厚さよりも浅くすることができるうえ、その溝底には、打ち抜かれること無く溝形に沿って屈曲・曲折した静電チャックの層が、伝熱用ガス送給孔の貫通部分を除いて、残ることとなる。したがって、この発明によれば、浅くて被覆性も良い静電チャックを実現することができる。
[第3の解決手段]
第3の解決手段の静電チャックは、上記の第2の解決手段の静電チャックであって、前記溝が網状に(分布して形成されたものと)なっていることを特徴とする。
このような第3の解決手段の静電チャックにあっては、静電チャックのシートを打ち抜く必要が無いため、溝の分布形状等に関する制約から解放されたことに基づいて、溝が網状に分布して設けられる。そして、網状に分布した溝のところで伝熱用ガスが同圧にされることから、いたるところで圧力が等しくなるので、伝熱用ガスの均一度が向上する。その働きは、溝が浅くなったことによる圧力傾斜の増加を補って余りあるものとなる。したがって、この発明によれば、溝が浅くても伝熱用ガス圧の均一度が良い静電チャックを実現することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の第1の解決手段の静電チャックにあっては、一部の薄膜層に欠損があってもその貫通を他の薄膜層で抑制するようにしたことにより、絶縁破壊し難い静電チャックを実現することができたという有利な効果が有る。
また、本発明の第2の解決手段の静電チャックにあっては、電極表面に彫り込んだ溝形状が静電チャック表面に転写されるようにしたことにより、溝が浅くて被覆性も良い静電チャックを実現することができたという有利な効果を奏する。
さらに、本発明の第3の解決手段の静電チャックにあっては、圧力勾配が解消されるような分布状態に溝を形成したことにより、溝が浅くても伝熱用ガス圧の均一度が良い静電チャックを実現することができたという有利な効果が有る。
このような解決手段で達成された本発明の静電チャックについて、これを実施するための形態を実施例により具体的に説明する。
図1は、実施例1の構成を示す模式図であり、(a)が平面図、(b)が縦断面拡大図である。なお、背景の技術の欄にて既述したこと及び図2はこの例についても同様に言えることであり、また、図1は従来例の図3に対応していて、同様の構成要素には同一の符号を付して示したので、重複する再度の説明は割愛し、以下、従来例との相違点を中心に説明する。
この静電チャック500が従来の静電チャック50と相違するのは、複数の同心円に複数の放射状直線が交差しあい連通しあって網状に分布した溝510を具える点と(図1(a)参照)、従来は一枚であった上部絶縁層57が第1薄膜層571と第2薄膜層573との二枚を含むものとなっている点(図1(b)参照)である。
このような静電チャック500は、次のようにしてカソード部12の上面(電極の基板乗載面)に作られる。先ず、銅箔等の導電層55の上面に対してポリイミドフィルム等の絶縁性樹脂シート望ましくは上部絶縁層57の半分以下の厚さのものからなる第1薄膜層571を接着層56にて貼り付ける。次に、その上面に対して、さらに、もう一枚の薄いポリイミドフィルム等の絶縁性樹脂シートからなる第2薄膜層573を層間接着層572にて貼り付ける。これにより、第1薄膜層571におけるボイドや傷等の欠損部は第2薄膜層573によって塞がれる一方、第2薄膜層573におけるボイドや傷等の欠損部は第1薄膜層571によって塞がれる。後は従来同様に下部絶縁層53も貼り付けて、多層の絶縁シートを一枚に形成しておく。なお、従来行っていたプレス等による打ち抜きは、行わない。こうして出来た絶縁シート(53〜573)は、上下の絶縁層のうち上の基板1側のものが複数の薄膜層571,573を含んだものとなる。
一方、カソード部12に対しては、その上面を平坦に磨きあげた後、そこに彫り込みを入れて、幅Wが1〜2mmで深さDが10〜50μm程度の浅い溝を形成しておく。それも網状になるよう多数形成しておく。それから、上記の絶縁シート(53〜573)を接着層52にてカソード部12の上面に貼り付けるとともに、上方から高圧気体で押しつける。この貼り付け作業は、絶縁シートに打ち抜き跡等の切れ目が無いので、楽に行える。これにより、導電層55および絶縁層53,571,573を有する静電チャック500は、溝の底も含めてカソード部12の基板乗載面に対し密着したものとなる。
そして、接着層52が固まったときには、カソード部12上面の溝が静電チャック500の表面に転写されて、同じ網状に分布した溝510ができあがる。このような溝510は、やはり幅Wが1〜2mmで深さが20〜50μm程度の浅いものとなっている。しかも、溝底までカソード部12を覆うものにもなっている。
最後に、溝510のところに対して上方から静電チャック500を貫いてカソード部12内の冷却ガス送給腔42に至る多数の冷却ガス送給孔43(伝熱用ガス送給孔)を穿つ。これにより、カソード部12の基板乗載面における溝が冷却ガス送給孔43に通じるとともに、静電チャック500の導電層および絶縁層が冷却ガス送給孔43によって貫通されて、静電チャック500表面の溝510も、至る所で冷却ガス送給孔43に通じたものとなる。
この実施例の静電チャックについて、その使用態様及び動作を説明する。上述した構造の静電チャック500を持ったカソード部12の上に基板1が乗せられると、導電層55に帯電させることで或いはプラズマ処理に伴う帯電が基板1に生じることで、基板1は静電チャック500を介してカソード部12の上面に付勢力を伴って保持される。そして、冷却ガス送給管41に冷却ガス(伝熱用ガス)を送り込むと、その冷却ガスは、冷却ガス送給腔42及び多数の冷却ガス送給孔43を介して基板1の下側へ供給される。そして、真空雰囲気中であっても、カソード部12上面における静電チャック500の上に基板1が保持されるとともに、基板1の裏面・下面と静電チャック500との隙間に冷却ガスが充填される。
このようにして基板1及び静電チャック500間における隙間に冷却ガスが冷却ガス送給孔43を介して充填されるのは従来通りであるが、その充填に際し、冷却ガスは溝510に各所から供給され、溝510内を縦横無尽に流れて、圧力勾配を解消する。 そして、冷却ガスは、基板1及び静電チャック500間に広がる隙間において、充分均一な状態で分布することとなる。
その結果、この均一な冷却ガスを媒体として、基板1の裏面ほぼ全域に亘って、基板1とカソード部12との均一な熱伝達が行われる。また、溝510のところでも、溝の深さDが従来より浅くなっているので、その部分での熱伝達特性も改善され、そこでもほぼ均一な熱伝達が行われる。こうして、基板1の全体に亘って温度分布が均一にされる。
また、カソード部12の上面は、溝510内でも露出することが無く絶縁性の静電チャック500によって覆われているので、基板1の裏面との間で異常放電が誘発されることが無い。例え異常放電が発生しても速やかに消滅する。さらに、溝510内に腐食性ガス等が紛れ込んだときでも、カソード部12の上面がそのガスに直接曝されることが無くて、カソード部12の上面が腐食性ガスによって侵されるという不都合は防止されているので、任意の反応性ガスを用いた多様なプラズマ処理等を自由に選択することもできる。
本発明の静電チャックの一実施例について、その構成を示す模式図であり、(a)が平面図、(b)が縦断面拡大図である。 静電チャックの使用例を示す縦断面模式図であり、(a)が真空チャンバの全体図、(b)が静電チャックを装着した下部電極である。 従来の静電チャックである。
符号の説明
1 基板(ウエハ、被処理物、処理対象基板)
2 真空チャンバ本体部(真空チャンバ)
2a 吸引口
3 真空チャンバ蓋部(真空チャンバ)
4 可変バルブ(可変絞り、圧力制御機構、圧力制御手段)
4a ゲートバルブ(仕切弁)
5 真空ポンプ
11 アノード部(平行平板の一方、上部電極)
11a アッパーサポート
12 カソード部(平行平板の他方、下部電極、基板乗載用電極)
12a ローアーサポート
13 プラズマ処理空間
31 RF電源
41 冷却ガス送給管(熱媒,媒体,伝熱用ガス充満手段、供給手段)
42 冷却ガス送給腔(熱媒,媒体,伝熱用ガス充満手段、供給手段)
43 冷却ガス送給孔(熱媒ガス充満、媒体ガス供給、伝熱用ガス供給孔)
50 静電チャック
51 溝(窪み、凹部、伝熱用ガス均一化手段)
52 接着層
53 下部絶縁層(電極側絶縁層)
54 接着層
55 導電層(中間層)
56 接着層
57 上部絶縁層(基板側絶縁層)
500 静電チャック
510 溝(窪み、凹部、伝熱用ガス圧均一化手段)
571 第1薄膜層(積層形絶縁層、上部絶縁層、基板側絶縁層)
572 層間接着層(積層形絶縁層、上部絶縁層、基板側絶縁層)
573 第2薄膜層(積層形絶縁層、上部絶縁層、基板側絶縁層)

Claims (2)

  1. 伝熱用ガス供給孔の形成された電極の基板乗載面に設けられ、導電層およびこれを挟む絶縁層を有する静電チャックにおいて、
    前記電極は、前記伝熱用ガス送給孔に通じる溝が前記基板乗載面に形成されたものであり、前記導電層および前記絶縁層は、前記溝の底も含めて前記基板乗載面に対し密着しており、且つ前記伝熱用ガス供給孔が前記導電層および前記絶縁層を貫通していることを特徴とする静電チャック。
  2. 前記溝が網状に連結していることを特徴とする請求項1記載の静電チャック。
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