JP2014041919A - 静電吸着装置、残留吸着除去方法 - Google Patents

静電吸着装置、残留吸着除去方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラズマ処理の条件や基板の種類、あるいは印加電圧や吸着時間に関わらずに残留吸着力を除去でき、かつ基板裏面の残留電荷を効率的に消滅させることができる静電吸着装置、残留吸着除去方法を提供する。
【解決手段】
誘電体層21に配置面29と電極22a、22bとの間を貫通する貫通孔24を設けて、電極22a、22bの表面の一部を貫通孔24の内側に露出させておき、電極22a、22bへの電圧印加を停止した後、貫通孔24内に不活性ガスを導入して、貫通孔24内の圧力を増加させる。貫通孔24内にプラズマが発生すると、基板40の裏面と電極22a、22bの表面とが電気的に短絡されて、基板40の裏面の残留電荷が放電され、残留吸着力が除去される。
【選択図】図1

Description

本発明は、静電吸着装置、残留吸着除去方法に関する。
現在、被保持物体である基板を静電吸着できるように構成された静電吸着装置において、吸着動作後に残留吸着力が残存することがよく知られている。この残留吸着力は、プラズマ処理の条件(プロセス条件)や基板の種類、あるいは吸着動作時の印加電圧や吸着時間により変動する。
従来の残留吸着除去方法には、電極に吸着動作時とは逆極性の電圧(逆電圧)を印加することで残留吸着力を低減させる方法があったが、最適条件以上の電荷を注入してしまうと、逆に帯電量が増えて、基板の離脱に影響を与えてしまうため、予め残留吸着の量をモニターし、それに応じた電荷量を注入する必要があり、プロセス条件や基板の種類によって最適条件を決定する手段が必要であった。
従って、実際は逆電圧を印加するだけでは残留吸着力を除去できず、基板の振動により搬送エラーが発生したり、基板割れが生じるという問題が起きていた。
また、基板表面にプラズマやイオン化ガスを照射することで、基板の電位を変化させて残留吸着力を除去する方法もあったが、静電チャック表面と基板裏面間の吸着界面の残留電荷を完全に取りきることはできなかった。
特開平11−330217号公報 特開2003−309156号公報
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、プラズマ処理の条件や基板の種類、あるいは印加電圧や吸着時間に関わらずに残留吸着力を除去でき、かつ基板裏面の残留電荷を効率的に消滅させることができる静電吸着装置、残留吸着除去方法を提供することにある。
上記課題を解決するために本発明は、基板が配置される配置面を有する誘電体層と、前記誘電体層の内部に配置された電極と、を有し、前記電極に電圧が印加されると、前記配置面に配置された前記基板は前記配置面に吸着される静電吸着装置であって、前記誘電体層には、前記配置面と前記電極との間を貫通する貫通孔と、一端が前記貫通孔に接続され、他端が前記誘電体層の前記配置面以外の部分に露出するガス導入孔と、が設けられ、前記電極の表面の一部は前記貫通孔の内側に露出された静電吸着装置である。
本発明は静電吸着装置であって、前記電極を複数個有し、各前記電極の表面の一部はそれぞれ異なる前記貫通孔の内側に露出された静電吸着装置である。
本発明は静電吸着装置であって、前記誘電体層の前記配置面のうち前記貫通孔の外側には冷却ガスが導入される凹部が設けられ、前記凹部の内部空間は前記貫通孔の内部空間とは分離された静電吸着装置である。
本発明は、誘電体層の配置面に基板を配置し、前記誘電体層の内部に配置された電極に電圧を印加して、前記基板を前記配置面に吸着させた後、前記電極への電圧印加を停止し、前記基板に残留する残留吸着力を除去する残留吸着除去方法であって、前記誘電体層に前記配置面と前記電極との間を貫通する貫通孔を設けて、前記電極の表面の一部を前記貫通孔の内側に露出させておき、前記電極への電圧印加を停止した後、前記貫通孔内に不活性ガスを導入して、前記貫通孔内の圧力を増加させる残留吸着除去方法である。
本発明は残留吸着除去方法であって、前記貫通孔内に不活性ガスを導入した後、前記残留吸着力を測定し、測定結果が基準値以上の場合には、前記電極に電圧を印加して、前記貫通孔内に前記不活性ガスのプラズマを発生させる残留吸着除去方法である。
本発明は残留吸着除去方法であって、前記基板を前記配置面に吸着させるときには、前記誘電体層の前記配置面のうち前記貫通孔の外側に設けられた凹部に冷却ガスを導入しておき、前記貫通孔内に前記不活性ガスを導入するときには、前記貫通孔内の圧力を、前記基板を前記配置面に吸着させるときの前記凹部内の圧力より大きくする残留吸着除去方法である。
貫通孔内にプラズマを発生させるので、プラズマを介して基板の裏面と電極の表面とが電気的に短絡し、残留吸着力が除去される。そのため、プラズマ処理の条件や基板の種類、あるいは印加電圧や吸着時間に応じて最適条件を決定する手段が不要になる。
基板の裏面と電極の表面とを電気的に短絡させるので、基板の裏面の残留電荷は電極の表面に向かって放電され、効率的に消滅される。
本発明の静電吸着装置を有する真空処理装置の内部構成図 本発明の静電吸着装置の模式的な平面図 不活性ガスのパッシェン曲線を示すグラフ 残留吸着除去工程を説明するためのフローチャート
<静電吸着装置の構造>
本発明の静電吸着装置の構造を説明する。図1は本発明の静電吸着装置20を有する真空処理装置10の内部構成図である。
真空処理装置10は、真空槽11を有しており、静電吸着装置20は真空槽11内に配置されている。真空槽11は接地電位に置かれている。
静電吸着装置20は、基板40が配置される配置面29を有する誘電体層21と、誘電体層21の内部に配置された電極22a、22bとを有している。
図2は配置面29側から見たときの静電吸着装置20の模式的な平面図である。
誘電体層21はセラミックスからなり、例えばアルミナ(酸化アルミニウム)や窒化アルミニウムからなる。誘電体層21の抵抗率は100Ωcm以上が好ましい。
本実施形態では、電極22a、22bは誘電体層21の内部に2個配置されているが、本発明では電極22a、22bの数は2個に限定されず、1個又は3個以上でもよい。
各電極22a、22bは配置面29と平行な同一平面内に互いに離間して配置されており、各電極22a、22bには電源16がそれぞれ電気的に接続されている。
配置面29に絶縁性の基板40が配置され、電源16から各電極22a、22bに互いに異なる電圧が印加されると、基板40と誘電体層21との間に静電吸着力が発生して、基板40は配置面29に吸着されるようになっている。
本発明の静電吸着装置20では、誘電体層21には、配置面29と電極22a、22bとの間を貫通する貫通孔24と、一端が貫通孔24に接続され、他端が誘電体層21の配置面以外の部分に露出するガス導入孔25とが設けられている。
図1の図面上では配置面29と符号22aの電極との間を貫通する貫通孔24の図示が省略されている。
貫通孔24の一端の開口は配置面29に設けられ、他端の開口は電極22a又は22bの表面に設けられており、各電極22a、22bの表面の一部はそれぞれ異なる貫通孔24の内側に露出されている。
配置面29に設けられた貫通孔24の密度は1cm2あたり1個以上が好ましい。また、貫通孔24のアスペクト比(直径に対する深さの比)は0.1以上が好ましい。
本実施形態では、各貫通孔24の内部空間は不図示の流路を介して互いに接続されており、ガス導入孔25は一の貫通孔24に接続されている。
ガス導入孔25には不活性ガス導入部18が接続されている。不活性ガス導入部18からガス導入孔25内に不活性ガスが導入されると、ガス導入孔25内の不活性ガスは一の貫通孔24内に流入した後、不図示の流路を通って他の各貫通孔24内にそれぞれ流入し、各貫通孔24内の圧力がそれぞれ増加するようになっている。
誘電体層21の配置面29のうち貫通孔24の外側には凹部27が設けられている。凹部27の内部空間は各貫通孔24の内部空間とは分離されている。
凹部27の深さは貫通孔24の深さより浅く、凹部27の内側には誘電体層21が露出され、電極22a、22bの表面は露出されていない。
凹部27には流量計14を介して冷却ガス導入部17が接続されている。冷却ガス導入部17から凹部27内に冷却ガス(例えばHeガス)が導入されると、凹部27内の冷却ガスは基板40の裏面に接触して基板40を冷却し、基板40の裏面と配置面29との間の隙間を通って外側に流出するようになっている。
基板40と誘電体層21との間の吸着力が大きいほど、基板40の裏面と配置面29との間の隙間が狭く、冷却ガスの流量は小さくなる。
流量計14は冷却ガスの流量を測定できるように構成されている。
<静電吸着装置の使用方法>
本発明の静電吸着装置20の使用方法を上述の真空処理装置10を用いて説明する。
(準備工程)
真空槽11には真空排気装置12が接続されている。
真空排気装置12を動作させて、真空槽11内を真空排気し、真空雰囲気を形成する。静電吸着装置20の凹部27と貫通孔24とガス導入孔25の内側も真空排気されて真空雰囲気にされる。
以後、真空排気を継続して、真空槽11内の真空雰囲気を維持する。
真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら、不図示の搬送ロボットを用いて、基板40を真空槽11内に搬入し、静電吸着装置20の配置面29に配置する。
基板40は絶縁性基板であり、ここではサファイア基板である。
冷却ガス導入部17から凹部27内に冷却ガスを導入し、基板40を冷却する。凹部27内の冷却ガスは基板40の裏面と配置面29との間の隙間を通って真空槽11の内部空間に流出した後、真空排気装置12により真空排気される。
以後、冷却ガス導入部17から凹部27内への冷却ガスの導入を継続する。
(プラズマ処理工程)
電源16から電極22a、22bに互いに異なる電圧を印加して、電極22a、22b間に電位差を形成し、基板40と誘電体層21との間に吸着力を発生させて、基板40を配置面29に吸着させる。
凹部27内の冷却ガスの圧力は低く、冷却ガスの一部は基板40の裏面と配置面29との隙間を通って貫通孔24内に流入するものの、貫通孔24内の圧力も低い。圧力が充分でないため、電極22a、22bに電圧が印加されても貫通孔24内に放電は生じない。
基板40が配置面29に吸着されると、基板40の裏面と配置面29との間の隙間が狭くなり、冷却ガスの流量は減少する。
真空槽11には処理ガス導入部13が接続されている。処理ガス導入部13から真空槽11内に処理ガスを導入し、不図示のプラズマ発生部を動作させて、真空槽11内の処理ガスをプラズマ化し、基板40の表面をプラズマ処理する。
プラズマ処理を終えた後、プラズマ発生部の動作を停止し、処理ガス導入部13から真空槽11内への処理ガスの導入を停止する。
(残留吸着除去工程)
図4は残留吸着除去工程を説明するためのフローチャートである。
まず、電極22a、22bへの電圧印加を停止する(ステップS1)。ここでは各電極22a、22bを接地電位に置く。
基板40の裏面と配置面29との間の界面には残留電荷が残り、基板40と誘電体層21との間に吸着力が残留する。残留吸着力が大きいほど、基板40の裏面と配置面29との間の隙間は狭く、冷却ガスの流量は小さい。
残留吸着力を測定して、測定結果を基準値として記憶しておく。本実施形態では、流量計14で冷却ガスの流量を測定して、測定結果を基準流量として記憶しておく。
不活性ガス導入部18から各貫通孔24内に不活性ガスを導入し、各貫通孔24内の圧力をそれぞれ増加させる(ステップS2)。ここでは貫通孔24内の圧力を、基板40を配置面29に吸着させるときの凹部27内の圧力より大きくする。
不活性ガスはここではArガスであるが、Arガスに限定されず、HeガスやN2ガスでもよい。
図3は不活性ガスのパッシェン曲線を示している。基板40と電極22a、22bとの間で放電が生じる電圧Vsは、基板40の裏面と電極22a、22bの表面との間の距離dと、貫通孔24内のガスの圧力Pとの積Pdによって決定される。
基板40と電極22a、22bとの間の電位差が、パッシェン曲線の極小値である最小放電電圧より大きい場合には、貫通孔24内の圧力を増加させると、貫通孔24内に不活性ガスのプラズマが生成される。
基板40の裏面の一部と各電極22a、22bの表面の一部とは貫通孔24内に露出されており、プラズマを介して基板40の裏面と各電極22a、22bの表面とがそれぞれ電気的に短絡され、基板40の裏面の残留電荷は各電極22a、22bに向かって放電される。そのため、基板40と誘電体層21との間の残留吸着力は除去される。
一方、基板40と電極22a、22bとの間の電位差が最小放電電圧以下の場合には、貫通孔24内の圧力を増加させても、貫通孔24内に不活性ガスのプラズマは生成されず、残留吸着力は維持される。
貫通孔24内に不活性ガスを導入した後、残留吸着力を測定して、測定結果を予め記憶しておいた基準値と比較する(ステップS3)。本実施形態では、流量計14で冷却ガスの流量を測定して、測定結果を予め記憶しておいた基準流量と比較する。
残留吸着力の測定結果が基準値より低い場合、すなわち冷却ガスの流量の測定結果が基準流量より大きい場合には、基板40と誘電体層21との間の残留吸着力が解消されたと判断する。
一方、残留吸着力の測定結果が基準値以上の場合、すなわち冷却ガスの流量の測定結果が基準流量以下の場合には、基板40と誘電体層21との間の吸着力が維持されていると判断し、電源16から電極22a、22bに互いに異なる電圧を印加して、電極22a、22b間にプラズマ処理工程と同じ極性の電位差を形成し、貫通孔24内に不活性ガスのプラズマを生成する(ステップS4)。
プラズマを介して基板40の裏面と各電極22a、22bの表面とがそれぞれ電気的に短絡され、基板40の裏面の残留電荷は放電され、基板40と誘電体層21との間の残留吸着力は除去される。電源16から電極22a、22bへの電圧印加を停止する。
不図示のリフトピンを基板40の裏面に押し当て、基板40を配置面29から離間させる(ステップS5)。
基板40と誘電体層21との間の残留吸着力は除去されており、リフトピンを基板40の裏面に押し当てても、基板40に振動や割れが生じるおそれがなく、基板40は配置面29からスムーズに離間される。
基板40を配置面29から離間させた後、不図示の搬送ロボットを用いて、真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら基板40を真空槽11の外側に搬出する。
なお、上述の説明では、冷却ガスの流量から残留吸着力を測定したが、他の測定可能な物理量(例えば基板40の帯電量)から残留吸着力を測定してもよい。
また、上述の説明では、貫通孔24内に不活性ガスを導入する前に残留吸着力を測定して測定結果を基準値としたが、予め試験やシミュレーションにより基準値を定めておき、貫通孔24内に不活性ガスを導入する前の残留吸着力の測定を省略してもよい。
上述の真空処理装置10を用いて、静電吸着装置20の配置面29に基板40を配置した後、一方の電極22aに+300Vの直流電圧を印加し、他方の電極22bに−300Vの直流電圧を印加して、基板40を配置面29に吸着させた。
凹部27内にHeガスの導入を開始して、Heガスの流量を測定すると2.3sccmであった。
基板40の表面をプラズマ処理した後、電極22a、22bへの電圧印加を停止し、Heガスの流量を測定すると2.3sccmを維持しており、残留吸着力が継続していると判断した。
次いで、貫通孔24内にArガスを導入した。
電極22a、22bの表面と基板40の裏面との間の距離は0.5mmであり、貫通孔24内のArガスの圧力を500Paにし、電極22a、22bに吸着時と同じ極性の300Vの直流電圧を印加して、貫通孔24内に放電を発生させた。
放電を発生させた後、Heガスの流量を測定すると28sccmであり、Arガス導入前よりHeガスの流量が増加しており、基板40と誘電体層21との間の残留吸着力が除去されたことが分かった。
20……静電吸着装置
21……誘電体層
22a、22b……電極
24……貫通孔
25……ガス導入孔
27……凹部
29……配置面
40……基板

Claims (6)

  1. 基板が配置される配置面を有する誘電体層と、
    前記誘電体層の内部に配置された電極と、
    を有し、
    前記電極に電圧が印加されると、前記配置面に配置された前記基板は前記配置面に吸着される静電吸着装置であって、
    前記誘電体層には、
    前記配置面と前記電極との間を貫通する貫通孔と、
    一端が前記貫通孔に接続され、他端が前記誘電体層の前記配置面以外の部分に露出するガス導入孔と、
    が設けられ、
    前記電極の表面の一部は前記貫通孔の内側に露出された静電吸着装置。
  2. 前記電極を複数個有し、
    各前記電極の表面の一部はそれぞれ異なる前記貫通孔の内側に露出された請求項1記載の静電吸着装置。
  3. 前記誘電体層の前記配置面のうち前記貫通孔の外側には冷却ガスが導入される凹部が設けられ、
    前記凹部の内部空間は前記貫通孔の内部空間とは分離された請求項1又は請求項2のいずれか1項記載の静電吸着装置。
  4. 誘電体層の配置面に基板を配置し、前記誘電体層の内部に配置された電極に電圧を印加して、前記基板を前記配置面に吸着させた後、前記電極への電圧印加を停止し、前記基板に残留する残留吸着力を除去する残留吸着除去方法であって、
    前記誘電体層に前記配置面と前記電極との間を貫通する貫通孔を設けて、前記電極の表面の一部を前記貫通孔の内側に露出させておき、
    前記電極への電圧印加を停止した後、前記貫通孔内に不活性ガスを導入して、前記貫通孔内の圧力を増加させる残留吸着除去方法。
  5. 前記貫通孔内に不活性ガスを導入した後、前記残留吸着力を測定し、測定結果が基準値以上の場合には、前記電極に電圧を印加して、前記貫通孔内に前記不活性ガスのプラズマを発生させる請求項4記載の残留吸着除去方法。
  6. 前記基板を前記配置面に吸着させるときには、前記誘電体層の前記配置面のうち前記貫通孔の外側に設けられた凹部に冷却ガスを導入しておき、
    前記貫通孔内に前記不活性ガスを導入するときには、前記貫通孔内の圧力を、前記基板を前記配置面に吸着させるときの前記凹部内の圧力より大きくする請求項4又は請求項5記載の残留吸着除去方法。
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