JP2008258998A - 狭指向性マイクロホン用音響管、狭指向性マイクロホン、及び狭指向性マイクロホン用音響管の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】狭指向性マイクロホン用音響管20は、狭指向性マイクロホンが備えるマイクロホンユニットの一端側に装着される音響管であって、周壁に複数の小さな開口22が設けられた可撓性樹脂管21と、この可撓性樹脂管の内周側に密着するように配置された樹脂管支持部材23と、から構成されていることを特徴とする。また、この狭指向性マイクロホン用音響管20を、マイクロホンユニット30の一端側に装着することにより狭指向性マイクロホン1とする。
【選択図】図1
Description
このような狭指向性マイクロホンとして、細長い音響管(干渉パイプ)を用いるものが知られている。これは、音響管の一端部内周側にマイクロホンユニットを装着し、音響管の他端である前端の開口から入ってくる音波をマイクロホンユニットで検出し音声信号に変換するものである。
狭指向性マイクロホンに用いる音響管の例としては、たとえば金属管を用い、この金属管の周壁に開口を設け、この開口に、合成樹脂薄膜や、不織布などからなる音響抵抗体を貼り付けて、上記開口を音響抵抗体で覆ったものがある。
図4、図5において、狭指向性マイクロホン100は、マイクロホンケース110、音響管120、開口122、音響抵抗体124、マイクロホンユニット130、グリップ140を有してなる。音響管120は、金属などからなる細長い円筒状の部材で、その周壁に、音響管120の中心軸線に平行に複数のスリット状の開口122が形成されている。スリット状の開口122は、音響管120の中心軸線方向に複数個直線上に並んで形成され、また、音響管120の周方向に等間隔で形成されている。音響管120は、長さ方向両端が開放されおり、その周壁には、開口122を覆って音響抵抗体124が貼り付けられている。図において、音響管120の左端を前端、右端を後端とすると、音響管120の後端部内周側には、マイクロホンユニット130が配置されている。また、マイクロホンケース110の後端部には、マイクロホンケース110に続いて円筒形状のグリップ140が一体に結合されている。
これにより、限られた角度範囲の音源からの音波以外は大きく減衰させることができ、非常に狭い指向性のマイクロホンとすることが出来る。
しかしながら、上記特許文献1に記載の狭指向性マイクロホンにおいても、音響抵抗体が降雨などの水滴によって濡れて吸湿すると、音響抵抗の値が増加し、あるいは音波が透過しなくなってしまい、指向性が劣化する。
これにより、風雑音のように極低い周波数の音波は、この音響インピーダンスで短絡されることから風雑音を低減することができる。
上記特許文献2に記載の狭指向性マイクロホンによれば、マイクロホンユニットの前方音響端子と後方音響端子が音響インピーダンスにより音響的に短絡されることにより、振動雑音も低減することができる。
このように、特許文献2に記載の発明によれば、風雑音や振動雑音を低減できる利点がある。
図6、図7は、特許文献3に記載されている狭指向性マイクロホンと同じ技術思想の狭指向性マイクロホンの例を示す。
図6、図7において、狭指向性マイクロホン150は、マイクロホンケース160、音響管170、微小な孔172、マイクロホンユニット180、グリップ190を有してなる。音響管170は、細長い長方形のシート状樹脂製フイルムを素材とし、これを短辺方向に丸めて細長い円筒状とすることで形成されている。このシート状樹脂製フイルムとしては、たとえばフッ素樹脂が用いられ、直径0.2〜0.4mmの微小な孔172が1平方センチメートルあたり2〜3個設けられている。この音響管170の外周は、マイクロホンケース160で保持されている。マイクロホンケース160の周壁には、マイクロホンケース160の軸線と平行に細長い窓孔162が形成されている。図において、音響管170の左端を前端、右端を後端とすると、音響管170の後端部内周側には、マイクロホンユニット180が配置されている。また、マイクロホンケース160の後端部には、マイクロホンケース160に続いて円筒形状のグリップ190が一体に結合されている。
したがって、微小な孔172を無数に開けたフイルムだけで音響管170を構成しているため、音響管に水滴が付着しても水滴が音響管の内部に浸入することがなく、指向性が劣化することはない。
このように、従来の狭指向性マイクロホンにおいては、水濡れによる指向性劣化の改善と、風雑音や振動雑音の低減を達成することは非常に困難であった。
したがって、音響管に水滴が付着しても、指向性が劣化しないと共に、音響管における風雑音や振動雑音の発生を抑制した狭指向性マイクロホン用音響管を提供することが出来る。
可撓性樹脂管の素材を、撥水性を有するフッ素樹脂にすると、音響管に水滴が付着しても、指向性が劣化することもない。
樹脂管支持部材をコイルスプリング、あるいは保形性を有する筒状の網体とすると、可撓性樹脂管がコイルスプリング、あるいは保形性を有する筒状の網体によって強固に保持され、風雑音や振動雑音の発生を抑制した狭指向性マイクロホン用音響管を、簡単かつ容易に製造することが出来る。
本発明に係る狭指向性マイクロホン用音響管、及びこの狭指向性マイクロホン用音響管を備える狭指向性マイクロホンは、たとえば図1に示すように構成することが出来る。
図1は、本発明に係る狭指向性マイクロホンの実施例を示すもので、(a)は正面断面図、(b)は平面断面図、(c)は上記実施例中の音響管を示す正面図である。
図1において、狭指向性マイクロホン1は、マイクロホンケース10、音響管20、マイクロホンユニット30、グリップ40を有している。
また、前記特許文献2記載の発明のように、マイクロホンユニット30の外周面と音響管20の内周面との間に隙間が生じるように、音響管20内部にマイクロホンユニット30を配置し、マイクロホンユニット30の前方音響端子と後方音響端子とを、上記隙間からなる音響インピーダンスにより音響的に短絡し、風雑音を低減するようにしても良い。
図2は、本発明に係る狭指向性マイクロホン用音響管の製造方法の一例を簡略的に示す製造工程図である。図2は、コイルスプリングを樹脂管支持部材として用い、熱収縮チューブからなる可撓性樹脂管で被覆する場合を示している。
まず、図2(a)に示すように、熱収縮チューブ材21Aを準備する。
次に、図2(b)に示すように、前記熱収縮チューブ材21Aの周壁に小さな開口22を複数設け、開口を有する熱収縮チューブ21とする。この開口22は、たとえば針を用いて開けることが出来る。
引き続き、図2(c)に示すように、前記熱収縮チューブ21内にコイルスプリング23を挿入する。なお、本実施例では、熱収縮チューブ材21Aの周壁への開口22の形成後、熱収縮チューブ21内へコイルスプリング23を挿入するようにしたが、本発明はこれに限定されない。したがって、前記熱収縮チューブ材21A内に先にコイルスプリング23を挿入した後、この熱収縮チューブ21材Aの周壁に小さな開口22を複数設けるようにしても良い。
その後、図2(d)に示すように、内部にコイルスプリング23が配置された熱収縮チューブ21を加熱処理し、熱収縮チューブ21を収縮させる。
これにより、図1(c)に示すように、コイルスプリング23の外周に、周壁に複数の小さな開口22が設けられた熱収縮チューブ21を密着させ、熱収縮チューブ21がコイルスプリング23を被覆してなる狭指向性マイクロホン用音響管20を製造することができる。
このような狭指向性マイクロホン1は、音響管が音波によって共振することが防止されると共に、音響管に水滴が付着しても水滴が音響管の内部に浸入することがない。さらに、前記狭指向性マイクロホン1は、音響管が風などでバタつくことが無く、風雑音や振動雑音の発生を抑制することが出来る。
10 マイクロホンケース
12 窓孔
20 音響管
21 可撓性樹脂管(熱収縮チューブ)
22 孔
23 樹脂管支持部材(コイルスプリング)
30 マイクロホンユニット
40 グリップ
42 コネクタ
43 回路基板
Claims (7)
- 狭指向性マイクロホンが備えるマイクロホンユニットの一端側に装着される音響管であって、
周壁に複数の小さな開口が設けられた可撓性樹脂管と、
この可撓性樹脂管の内周側に密着するように配置された樹脂管支持部材と、
から構成されていることを特徴とする狭指向性マイクロホン用音響管。 - 前記可撓性樹脂管は、加熱処理によって収縮する熱収縮管であることを特徴とする請求項1に記載の狭指向性マイクロホン用音響管。
- 前記可撓性樹脂管は、フッ素樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の狭指向性マイクロホン用音響管。
- 樹脂管支持部材は、コイルスプリングからなる請求項1、2または3記載の狭指向性マイクロホン用音響管。
- 樹脂管支持部材は、保形性を有する筒状の網体からなる請求項1、2または3記載の狭指向性マイクロホン用音響管。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載の狭指向性マイクロホン用音響管を、マイクロホンユニットの一端側に装着していることを特徴とする狭指向性マイクロホン。
- 狭指向性マイクロホンが備えるマイクロホンユニットの一端側に装着される音響管であって、周壁に複数の小さな開口が設けられた可撓性樹脂管と、この可撓性樹脂管の内周側に密着するように配置された樹脂管支持部材と、から構成された狭指向性マイクロホン用音響管を製造する方法であって、
可撓性樹脂管の周壁に小さな開口を複数設ける工程A、
可撓性樹脂管内に樹脂管支持部材を挿入して配置する工程B、
加熱処理によって前記可撓性樹脂管を収縮させ、前記樹脂管支持部材の外周に前記可撓性樹脂管を密着させ前記樹脂管支持部材を被覆する工程C、
を少なくとも備えることを特徴とする狭指向性マイクロホン用音響管の製造方法。
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