JP2008255399A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】金属バリなどの異物や泥水が混入して潤滑条件が劣化やすい環境で使用された場合の寿命を長くする。
【解決手段】軌道輪をなす鋼のクロム含有率を通常より高くし、転動体の転動面の表層部にSi・Mn系窒化物を特定の範囲で存在させる。また、軌道輪と転動体の接触面における残留オーステナイト量の差を特定の範囲に設定する。
【選択図】 図1

Description

この発明は転がり軸受に関する。
例えば自動車、農業機械、建設機械および鉄鋼機械等のトランスミッションや無段変速機用(トロイダルCVT、ベルトCVT)エンジン補機用( オルタネータ、コンブレッサー、水ポンプ等)に使用される転がり軸受の使用環境は、金属バリなどの異物や泥水が混入して潤滑条件が劣化やすい環境である。
下記の特許文献1には、異物混入潤滑環境下で使用される転がり軸受の寿命を向上させるために、軸受の転がり表面層のCの含有量、残留オーステナイト量、及び炭窒化物の含有量を適性値にすることで、異物により生じる圧痕のエッジ部における応力の集中を緩和し、クラックの発生を抑えることが記載されている。
特許文献1において、内輪および外輪は0.1〜0.7wt%の炭素を含む炭素鋼からなる素材を用い、浸炭を含む熱処理により硬化させて、軌道面表層部の残留オーステナイトを20〜45vol%とし、転動体は0.7〜1.1wt%の炭素を含む炭素鋼からなる素材を用い、浸炭を含む熱処理により硬化させて、転動面表層部の残留オーステナイトを20〜45vol%とし、表面層の炭窒化物を3〜15vol%としている。
特開昭64−55423号公報
しかしながら、特許文献1に記載されている方法では、転がり軸受が金属バリなどの異物や泥水が混入して潤滑条件が劣化やすい環境で使用された場合、十分な寿命向上効果が得られない。
異物混入潤滑環境下で生じる早期剥離は、転動体と軌道輪間に異物を噛み込むことによって形成された圧痕を起点として生じており、この圧痕起点型剥離の原因は、従来、圧痕が形成されることによって生じる応力集中であると考えられてきたが、これ以外の原因として、転動体と軌道輪間に作用する接線力(二つの物体間に作用する円周方向の力)を考慮する必要がある。
また、前記用途の場合には、泥水の混入に伴って生じる水素に起因する剥離寿命の低下にも対応しなければならない。すなわち、軌道面に形成された潤滑膜が部分的に破断されると、軌道面と転動体とが接触し易くなって、潤滑膜が破断された部分の軌道面が活性な新生面(鋼の組織が露出している面)となるため、この新生面が触媒となって、混入した水がトライボケミカル反応により分解して水素イオンが生じ易い。そして、この水素イオンが前記新生面に吸着して水素原子となり、高歪み場(最大剪断応力位置の近傍)に集積されることにより、組織が白色組織に変化する。このような組織変化に起因して、軌道面に早期剥離が生じ易くなる。
本発明は、金属バリなどの異物や泥水が混入して潤滑条件が劣化やすい環境で使用される転がり軸受に関し、応力集中の抑制だけでなく、転動体と軌道輪間に作用する接線力の抑制を行うことで、効果的に圧痕起点型剥離を防止するとともに、泥水の混入に伴って生じる水素に起因する剥離寿命の低下も効果的に抑制することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の転がり軸受において、内輪および外輪の少なくとも一方は、下記の構成(1)を満たす鉄鋼製の素材を、所定形状に加工した後、浸炭処理または窒化処理または浸炭窒化処理と焼き入れおよび焼戻し、あるいは焼入れと焼戻しからなる熱処理が施されて得られ、下記の構成(2)を満たすものとする。転動体は、下記の構成(3)を満たす鉄鋼製の素材を、所定形状に加工した後、窒化処理または浸炭窒化処理と焼き入れおよび焼戻しが施されて得られ、下記の構成(4)〜(7)を満たすものとする。
(1)炭素(C)の含有率が0.20質量%以上1.20質量%以下、クロム(Cr)の含有率が2.5質量%以上17.0質量%以下、珪素(Si)の含有率が0.10質量%以上1.50質量%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.10質量%以上2.0質量%以下、モリブデン(Mo)の含有率が2.0質量%以下、バナジウム(V)の含有率が1.0質量%以下であり、残部鉄および不可避的不純物である。
(2)軌道面の表層部(表面から100μmまでの深さ)の窒素含有率と炭素含有率の合計が0.50質量%以上2.5質量%以下である。
(3)炭素(C)の含有率が0.30質量%以上1.20質量%以下、クロム(Cr)の含有率が0.5質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)の含有率が0.20質量%以上2.20質量%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.20質量%以上2.0質量%以下であり、残部鉄および不可避的不純物である。
(4)転動面の表層部(表面から100μmまでの深さ)に、珪素(Si)およびマンガン(Mn)の窒化物からなるSi・Mn系窒化物が、面積比で1.0%以上20%以下の範囲で存在する。
(5)転動面の表層部(表面から100μmまでの深さ)の窒素含有率が0.2質量%以上2.0質量%以下である。
(6)転動面の表層部(表面から100μmまでの深さ)の炭素含有率が1.0質量%以上2.0質量%以下である。
(7)軌道面の硬さがHv750以上である。
〔構成(1)について〕
軌道輪(内輪および外輪の少なくとも一方)用の素材をなす鉄鋼の合金成分の含有率は、以下の理由で上述の範囲とした。
<炭素(C)の含有率が0.20質量%以上1.20質量%以下>
炭素の含有率が0.20質量%未満であると、δフェライトの発生を抑制して十分な靱性を得ることができない。1.20質量%を超えると、製鋼時に巨大炭化物が形成されて、焼き入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を及ぼす恐れがある。また、冷間加工性が低下して製造コストの上昇を招く恐れもある。
浸炭処理または浸炭窒化処理と焼入れおよび焼戻しを行う場合には、割れを抑制するために、炭素の含有率を0.20質量%以上0.60質量%以下とし、浸炭処理または浸炭窒化処理により、表層部の炭素含有率を1.0質量%以上2.0質量%以下とすることが好ましい。
浸炭処理および浸炭窒化処理を行わずに焼入れおよび焼戻しを行う場合には、表層部の強度を確保するために、炭素の含有率を0.50質量%以上1.20質量%以下とすることが好ましい。
<クロム(Cr)の含有率が2.5質量%以上17.0質量%以下>
通常の転がり軸受の軌道輪用の素材は、クロム含有率が0.9〜1.6質量%のSUJ2等の軸受鋼や、0.9〜1.2質量%のSCr420等の浸炭鋼からなり、本発明の軌道輪用の素材をなす鉄鋼のクロム含有率はこれらよりも高い。
クロムは、マトリックスに固溶して焼入れ性、焼戻し軟化抵抗性を高くする作用を有する。また、高硬度の微細な炭化物((Fe,Cr)3 C、(Fe,Cr)7 3 )または炭窒化物((Fe,Cr)3 (C,N)、(Fe,Cr)7 (C,N)3 )を形成する作用を有する。これにより、耐摩耗性が向上し、転がり疲労寿命が長くなる。さらに、炭素や窒素等の侵入型固溶元素を動き難くして組織を安定させるとともに、水素の拡散速度を遅らせて、応力場への水素集積に起因する早期剥離を抑制する作用も有する。
クロムの含有率が2.5質量%未満であると、このような作用が実質的に得られず、Fe3 CやFe3 (C,N)が析出するため、早期剥離が生じ易くなる。
一方、クロムの含有率が高くなると、製鋼時に粗大な共晶炭化物や共晶炭窒化物が形成され易くなり、焼き入れ特性や転がり疲労寿命に悪影響を及ぼす恐れが出てくる。また、冷間加工性、被削性、浸炭処理を行う場合の処理性が低下して、製造コストの上昇を招く場合がある。そのため、クロムの含有率の上限値を17.0質量%以下とした。また、クロムの含有率の好ましい範囲は3.0質量%以上7.0質量%以下である。
<珪素(Si)の含有率が0.10質量%以上1.50質量%以下>
珪素は、製鋼時に脱酸剤として作用し、焼入れ性を向上させるとともに、マルテンサイト組織を強化する元素であり、軸受寿命を長くするために有効な元素である。珪素の含有率が0.10質量%未満では、これらの作用が実質的に得られない。珪素の含有率が1.50質量%を超えると、被切削性、鍛造性、および冷間加工性が著しく低下する場合がある。
<マンガン(Mn)の含有率が0.10質量%以上2.0質量%以下>
マンガンは、フェライト組織を強化して焼入れ性を向上させる元素であり、マンガンの含有率が0.10質量%未満では、この作用が実質的に得られない。マンガンの含有率が2.0質量%を超えると、焼入れ後の残留オーステナイト量が過剰となって十分な硬さが得られなくなったり、冷間加工性が低下する場合がある。
<モリブデン(Mo)の含有率が2.0質量%以下>
モリブデンは、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗性を著しく向上できる作用があり、転動疲労寿命の向上にも寄与する元素であるが、2.0質量%を超えて含有していると靱性および加工性が不十分となる場合がある。
<バナジウム(V)の含有率が1.0質量%以下>
バナジウムは、微細な炭化物を形成して耐摩耗性を向上させる元素である。1.0質量%を超えて含有すると、この作用は飽和し、巨大炭化物の発生や材料コストの上昇といった問題点が生じる。
なお、炭素、クロム、モリブデン、バナジウムの各含有率(〔C〕、〔Cr〕、〔Mo〕、〔V〕、単位:質量%)は、下記の(2)式を満たすことが好ましい。
〔C〕≦−0.05〔Cr〕−0.12(〔Mo〕+〔V〕)+1.41‥‥(2)
(2)式は「〔C〕+0.05〔Cr〕+0.12(〔Mo〕+〔V〕)」を1.41以下にすることを意味する。「〔C〕+0.05〔Cr〕+0.12(〔Mo〕+〔V〕)」が1.41を超えると、製鋼時に共晶炭化物が生成し易くなって、前処理加工性が悪化するともに、炭化物周りに応力集中が生じ、これを起点としたフレーキングが生じ易くなる。
〔構成(2)と構成(6)について〕
軌道面の表層部(表面から100μmまでの深さ)の窒素含有率と炭素含有率の合計を0.50質量%以上2.5質量%以下とすることで、硬さ、残留オーステナイト量、炭化物および炭窒化物からなる析出物の存在率が適性範囲となって、良好な転がり疲労寿命が得られる。2.5質量%を超えると、析出物が粗大化して転がり疲労寿命が不良となる。好ましくは0.60質量%以上2.5質量%以下とする。
〔構成(3)について〕
転動体用の素材をなす鉄鋼の合金成分の含有率は、以下の理由で上述の範囲とした。
<炭素(C)の含有率が0.30質量%以上1.20質量%以下>
炭素の含有率が0.30質量%未満であると、芯部の十分な強度が得られないし、熱処理によって必要な硬化層深さを得るための処理時間が長くなる。好ましくは0.50質量%以上1.20質量%以下とする。また、1.20質量%を超えると、製鋼時に巨大炭化物が形成されて、焼き入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を及ぼす恐れがある。また、冷間加工性が低下して製造コストの上昇を招く恐れもある。
窒化処理または浸炭窒化処理と焼入れおよび焼戻しが施された後の表層部の炭素含有率を1.0質量%以上2.0質量%以下とすることにより、必要な表面硬さが得られる。
<クロム(Cr)の含有率が0.5質量%以上2.0質量%以下>
使用する鉄鋼のクロム(Cr)の含有率が0.5質量%未満であると、焼き入れ性および焼戻し軟化抵抗性を高くする作用と、高硬度の微細な炭化物または炭窒化物を形成する作用が、実質的に得られない。これらの作用を十分に得るために、クロム(Cr)の含有率は1.3質量%以上であることが好ましい。
また、クロム(Cr)の含有率が2.0質量%を超えると、製鋼時に巨大炭化物が形成されて、焼き入れ特性や転動疲労寿命に悪影響を及ぼす恐れがある。また、冷間加工性や被削性が低下して製造コストの上昇を招く場合がある。そのため、クロム(Cr)の含有率は1.6質量%以下であることが好ましい。
<珪素(Si)の含有率が0.20質量%以上2.20質量%以下>
使用する鉄鋼の珪素(Si)の含有率が0.20質量%未満であると、製鋼時の脱酸剤としての作用、マルテンサイト組織の強化、焼き戻し軟化抵抗性の向上、窒化物形成、および残留オーステナイト量の確保等の、珪素添加効果が実質的に得られない。この点から、好ましくは0.4質量%以上とする。しかし、珪素(Si)の含有率が2.0質量%を超えると、冷間加工性および被削性が低下する。この点から、好ましくは1.5質量%以下とする。
<マンガン(Mn)の含有率が0.20質量%以上2.0質量%以下>
使用する鉄鋼のマンガン(Mn)の含有率が0.2質量%未満であると、製鋼時の脱酸剤としての作用、焼入れ性の向上、窒化物形成量の確保、残留オーステナイト量の確保等の、マンガン添加効果が実質的に得られない。しかし、マンガン(Mn)の含有率が2.0質量%を超えると、冷間加工性および被削性が低下する。この点から、好ましくは0.7質量%以下とする。
珪素(Si)とマンガン(Mn)の含有比(Si/Mn)を5以下とすることで、転動面に、Si・Mn系窒化物が粒径1μm以下の大きさで均一に分散析出される。
〔構成(5)について〕
前記構成(3)(4)(6)(7)を満たし、表面から100μmまでの深さの窒素含有率が異なる各種試験片を用意して、図2に示す方法で耐圧痕性試験を行うとともに、図3に示す方法で耐摩耗性試験を行った。また、シャルピー衝撃試験を、「JIS Z 2242」に従い、試験温度20℃で行った。
耐圧痕性試験は、図2に示すように、直径が27mmで厚さが5mmである円板状の試験片41の上に、直径が2mmの鋼球42を置き、さらにその上に硬さHv900の円形の鋼板43を置き、その上から5GPaの荷重を10秒間付与した後に、試験片41の上面に生じた圧痕の深さdを測定することで行った。
耐摩耗性試験は、図3に示すように、二円筒型摩耗試験機を用いて行った。図3(a)はこの試験機の正面図であり、図3(b)は側面図である。この試験機は、上下方向で対向させた一対の回転軸51,52と、モータ53と、ギア54と、トルク計55,56を備えている。
先ず、回転軸51,52に円筒状の試験片S1,S2を装着する。両試験片S1,S2の寸法は、内径16mm、外径30mm、軸方向の長さ7mmであり、表面粗さ(Ra)は0.01μmである。駆動側の試験片S1は、周面が円凸状に形成されている。
次に、駆動側の回転軸51を、モータ53により10min-1で回転させる。従動側の回転軸52は、モータ53の回転力をギア54で減速して伝達することで、7min-1で回転させる。これにより、両試験片S1,S2間に強制的に滑り(滑り率:30%)を与えながら、上側の試験片S2に荷重をかけて両試験片S1,S2を面圧3.2GPaで接触状態とし、接触位置に潤滑油(ISO−VG10)を吹き付けながら回転させる。
この回転を20時間行った後に、両試験片S1,S2の摩耗量を測定し、両試験片の平均値を算出した。
なお、表面から100μmまでの深さに存在する窒素の含有率は、電子線マイクロアナライザーにより測定した。
これらの試験の結果を図4〜6にグラフで示す。図4は耐圧痕性試験の結果を示すグラフであり、図5は耐摩耗性試験の結果を示すグラフである。これらのグラフから、表面から100μmまでの深さにおける窒素の含有率が0.2質量%以上であると、圧痕深さおよび摩耗量が共に著しく減少することが分かる。よって、ころの転動面の表面から100μmまでの深さにおける窒素の含有率を0.2質量%以上にすることで、ころの耐圧痕性および耐摩耗性が良好になる。また、ころの転動面の表面から100μmまでの深さにおける窒素の含有率は0.45質量%以上であることが好ましい。
一方、図6はシャルピー衝撃試験の結果を示すグラフである。このグラフから、ころの転動面の表面から100μmまでの深さにおける窒素の含有率が2.0質量%以下であると、吸収エネルギーが10J以上の高い靱性を確保できるが、2.0質量%を超えると靱性が急激に低下することが分かる。
よって、転動面の表面から100μmまでの深さにおける窒素の含有率を、0.2質量%以上2.0質量%以下の範囲で存在させた。
〔構成(4)について〕
前記構成(3)(5)〜(7)を満たし、表面から100μmまでの深さにおけるSi・Mn系窒化物の存在率が異なる各種試験片を用意して、図2に示す方法で耐圧痕性試験を行うとともに、図3に示す方法で耐摩耗性試験を行った。また、シャルピー衝撃試験を、「JIS Z 2242」に従い、試験温度20℃で行った。
なお、表面から100μmまでの深さにおけるSi・Mn系窒化物の存在率(面積%)は、次のようにして測定した。先ず、各試験片について、表面から10μm、50μm、100μmの各深さ位置の面が露出するように研磨する。次に、各研磨面の50μm×50μmの範囲を、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE−SEM)を用い、加速電圧10kV、倍率5000倍で観察し、観察画像に占めるSi・Mn系窒化物粒子の合計面積の割合を画像解析装置により測定した。観察は各深さ位置の3視野以上で行い、深さ位置毎に全視野の平均値を算出した。次に、各試験片で、3つの深さ位置での値による平均値を算出し、これをSi・Mn系窒化物の存在率とした。
これらの試験の結果を図7〜9にグラフで示す。図7は耐圧痕性試験の結果を示すグラフであり、図8は耐摩耗性試験の結果を示すグラフである。これらのグラフから、表面から100μmまでの深さに存在するSi・Mn系窒化物の存在率が1.0面積%以上であると、圧痕深さおよび摩耗量が共に著しく減少することが分かる。よって、ころの転動面の表面から100μmまでの深さに存在するSi・Mn系窒化物の存在率を1.0面積%以上にすることで、ころの耐圧痕性および耐摩耗性が良好になる。また、ころの転動面の表面から100μmまでの深さに存在するSi・Mn系窒化物の存在率は2.0質量%以上であることが好ましい。
一方、図9はシャルピー衝撃試験の結果を示すグラフである。このグラフから、ころの転動面の表面から100μmまでの深さに存在するSi・Mn系窒化物の存在率が10面積%以下であると、吸収エネルギーが8J以上の高い靱性を確保できるが、10面積%を超えると靱性が急激に低下することが分かる。
よって、転動面の表面から100μmまでの深さに、珪素(Si)の窒化物およびマンガン(Mn)の窒化物からなるSi・Mn系窒化物を、面積比で1%以上10%以下の範囲で存在させた。
<圧痕起点剥離寿命試験>
鋼1:合金成分が〔C〕1.01質量%、〔Si〕0.56質量%、〔Mn〕1.10質量%、〔Cr〕1.10質量%。
鋼2:合金成分が〔C〕0.99質量%、〔Si〕0.25質量%、〔Mn〕0.40質量%、〔Cr〕1.49質量%。
上記鋼1(SUJ3)からなる素材と鋼2(SUJ2)からなる素材を用意し、それぞれを直径65mm厚さ6mmの円板状に切削加工して多数個の試験片を得た。これらの試験片に対して、RXガス+プロパンガス+アンモニアの混合ガス雰囲気での浸炭窒化処理と、その後の油焼入れと焼戻しを各条件で行った。浸炭窒化処理条件は、温度条件を820〜900℃の範囲で変化させ、処理時間を2〜10時間の範囲で変化させ、アンモニアガス流量も変化させた。焼戻し条件は、処理時間を2時間とし、温度条件を200〜240℃とした。
熱処理後の試験片の表面を研磨した後、ラッピングによる鏡面仕上げを行った。これらの試験片をスラスト寿命試験機にかけて、下記の条件で異物混入潤滑下で回転させて剥離が生じるまでの時間を調べた。
<<試験条件>>
試験荷重:5880N
回転速度:1000min-1
潤滑油:VG68
混入異物:硬さHv870、粒径74〜147μm、混入量200ppm
各試験片について、表層部の炭素含有率(質量%)と、窒素含有率(質量%)と、表面硬さ(Hv)と、表層部の残留オーステナイト量(体積%)と、Si・Mn系窒化物の含有率(面積%)と、寿命試験の結果(寿命比)を、下記の表1に示す。
また、表層部の窒素含有率(質量%)とSi・Mn系窒化物の存在率(面積%)との関係を図10に、試験片表層部のSi・Mn系窒化物の存在率(面積%)とスラスト寿命比との関係を図11に、それぞれグラフで示す。
これらの結果から、同じ鋼であれば表層部のSi・Mn系窒化物の含有率は窒素含有率に比例することが分かる。また、表層部の窒素含有率が同程度の場合には、鋼のSiおよびMn含有率が多いほどSi・Mn系窒化物の含有率が多くなることが分かる。また、圧痕起点型剥離寿命は、表層部のSi・Mn系窒化物の含有率が1.12〜11.0面積%の場合に、0.59面積%の場合の2.1〜3.5倍となっている。
〔構成(7)について〕
前記構成(3)〜(5)(6)を満たし、表面硬さがHv650〜830の各値である各種試験片を用意して、図2に示す方法で耐圧痕性試験を行うとともに、図3に示す方法で耐摩耗性試験を行った。その結果を図12と図13にグラフで示す。
これらのグラフから、試験片の表面硬さがHv750以上であると、圧痕深さおよび摩耗量が共に著しく減少することが分かる。よって、ころの転動面の表面硬さをHv750以上にすることで、ころの耐圧痕性および耐摩耗性が良好になる。また、表面硬さが硬いほど疲労強度が高くなるため、ころの転動面の表面硬さをHv750以上にすることで、圧痕起点型剥離強度も高くなる。
本発明の転がり軸受は、軌道輪の軌道面表層部の残留オーステナイト量をγR1(体積%)、転動体の転動面表層部の残留オーステナイト量をγR2(体積%)とした場合に、下記の(1)式を満たすことが好ましい。
γR1−15≦γR2≦γR1+15‥‥(1)
ただし、γR1およびγR2は0以上50体積%以下である。
軌道輪の軌道面および転動体の転動面における表層部の残留オーステナイト量が少ないほど、軌道面および転動面の耐圧痕性、耐摩耗性が向上し、多いことは転がり軸受の剥離寿命を長くすることにつながる。表層部の残留オーステナイト量が50体積%を超えると、軌道面および転動面の耐圧痕性、耐摩耗性が不良となるだけでなく、良好な寸法安定性が得られない。
軌道輪と転動体の接触面における残留オーステナイト量の差を上記(1)式を満たすように設定することで、両者間に作用する接線力が抑制されて、効果的に圧痕起点型剥離が防止されるため、転がり軸受の寿命を長くすることができる。
なお、本発明の転がり軸受は、転動体の転動面の表層部にSi・Mn系窒化物が面積比で1.0%以上20%以下の範囲で存在しているが、転動面の面積375μm2 中における0.05μm以上1μm以下のSi・Mn系窒化物の個数が100個以上となっていることが好ましい。
窒化物の面積率が同じ場合、粒径が小さいほど存在する粒子の数が多く、粒子間距離が短くなるため、析出強化能が高くなる。よって、Si及びMnの含有量の多い鉄鋼を用い、Si・Mn系窒化物の面積率1.0〜20%の範囲で、平均粒径が0.05μm以上1μm以下の微細な窒化物の個数を増やすことが、転動面をより強化することにつながる。さらに、0.05μm以上1μm以下のSi・Mn系窒化物における、0.05〜0.50μmのSi・Mn系窒化物の割合を20%以上とすることにより、転動面を更に強化することが可能になる。
本発明の転がり軸受によれば、軌道輪をなす鋼のクロム含有率を通常より高くすることと、転動体の転動面の表層部にSi・Mn系窒化物を特定の範囲で存在させることで、金属バリなどの異物や泥水が混入して潤滑条件が劣化やすい環境で使用された場合の寿命を長くすることができる。
さらに、軌道輪と転動体の接触面における残留オーステナイト量の差を特定の範囲に設定することで、前記環境での転がり軸受の寿命をより長くすることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1に示す構造であって、呼び番号L44649の円錐ころ軸受の内輪1、外輪2、およびころ3を、以下の方法で作製した。
[No. 1〜47]
内輪1および外輪2については、先ず、合金成分が下記の組成である鋼からなる円環状の素材を所定形状に加工した後、880〜960℃、保持時間2〜8時間、Rxガス+エンリッチガス+アンモニアガス雰囲気の条件で浸炭窒化処理を行った。次に、830〜850℃で1時間加熱保持した後に油冷却する焼入れ処理と、180〜240℃で2時間保持する焼戻しを行って、内輪および外輪軌道面の表層部の〔C〕+〔N〕=1.2質量%とするとともに、残留オーステナイト量を10、20、30体積%の3種類とした。次に、研削加工とバレル研磨を行って、内輪1および外輪2の軌道面の表面粗さ(Ra)を0.1μmにした。
<内輪および外輪の素材の合金成分>
〔C〕:0.4質量%、〔Si〕:0.4質量%、〔Mn〕:1.0質量%、〔Cr〕:3.0質量%。
ころ3については、先ず、合金成分が下記の表2に示す組成の各鉄鋼からなる線状の素材を、ヘッダー加工、フラッシング加工、および粗研削加工により「ころ3」の形状とした。次に、温度830℃、保持時間5〜20時間、Rxガス+エンリッチガス+アンモニアガス雰囲気の条件で浸炭窒化処理を行った後に油冷却する焼入れを行った後、180〜270℃に2時間保持する焼き戻しを行った。次に、仕上げ加工を行って、表面粗さ(Ra)を0.05μmにした。
得られた「ころ3」の表層部の炭素含有率〔C〕、窒素含有率〔N〕、残留オーステナイト量(γR )、Si・Mn系窒化物の含有率、表面硬さ(Hv)を測定した。その結果を表2〜6に併せて示す。
このようにして得られたNo. 1〜22の「ころ3」は、転動面の残留オーステナイト量が10体積%であった。これらの「ころ3」と、残留オーステナイト量が10体積%である前述の内輪1および外輪2と、保持器4を用いて、円錐ころ軸受を組み立て、下記の条件で、異物および水混入潤滑下での寿命試験を行った。具体的には、各サンプル12体の軸受を組み立てて下記の条件で回転させ、剥離が生じるまでの時間を測定し、L10寿命を求めた。その結果も表2に併せて示す。
<試験条件>
試験荷重:ラジアル荷重Fr=12kN、アキシアル荷重Fa=3.5kN
回転速度:3000min-1
潤滑油:VG64
混入異物:硬さHv870、粒径74〜134μm、混入量7.8×10-3質量%(潤滑油1275g当たり0.1g)
混入水量:2質量
表2において、No. 1〜19は本発明の実施例に相当し、No. 20〜22は比較例に相当する。表2の「軸受の寿命比」はNo. 20の軸受の寿命を「1」とした比である。本発明の実施例であるNo. 1〜19の軸受は、No. 20の1.9〜3.3倍の寿命が得られたが、比較例であるNo. 21と22の軸受は1.2倍であった。なお、No. 1〜22の軸受は、内輪1および外輪2の軌道面の残留オーステナイト量と「ころ3」の転動面の残留オーステナイト量が10体積%で同じであるため、(1)式を満たしている。
次に、No. 1と同じ素材を用いて焼戻し温度を変えることにより、表層部の窒素含有率とSi・Mn系窒化物の含有率が同じで、表層部の残留オーステナイト量と表面硬さ(Hv)が異なるNo. 23〜30の「ころ3」を得た。各「ころ3」の構成を下記の表3に示す。
このようにして得られたNo. 23〜30の「ころ3」と、残留オーステナイト量が10体積%である前述の前述の内輪1および外輪2と、保持器4を用いて、円錐ころ軸受を組み立て、前述の条件で、異物および水混入潤滑下での寿命試験を行った。その結果も表3に併せて示す。
表3において、No. 23〜30は全て本発明の実施例に相当する。表3の「軸受の寿命比」は表2のNo. 20の軸受の寿命を「1」とした比である。本発明の実施例であるNo. 23〜30の軸受は、No. 20の1.5〜2.9倍の寿命が得られている。
このうちNo. 29とNo. 30の軸受は、内輪1および外輪2の軌道面の残留オーステナイト量が10体積%であるのに対して、「ころ3」の転動面の残留オーステナイト量が30体積%、35体積%であるため、(1)式から外れる。No. 23〜28の軸受は(1)式を満たしている。No. 23〜28の軸受の寿命はNo. 20の2.3〜2.9倍であるのに対して、No. 29、30の軸受の寿命はNo. 20の1.5倍、1.6倍と寿命向上効果が低いものとなった。
次に、No. 1と同じ素材を用いて焼戻し温度を変えることにより、表層部の窒素含有率とSi・Mn系窒化物の含有率が同じで、表層部の残留オーステナイト量と表面硬さ(Hv)が異なるNo. 31〜38の「ころ3」を得た。各「ころ3」の構成を下記の表4に示す。
このようにして得られたNo. 31〜38の「ころ3」と、残留オーステナイト量が20体積%である前述の前述の内輪1および外輪2と、保持器4を用いて、円錐ころ軸受を組み立て、前述の条件で、異物および水混入潤滑下での寿命試験を行った。その結果も表4に併せて示す。
表4において、No. 31〜38は全て本発明の実施例に相当する。表4の「軸受の寿命比」は表2のNo. 20の軸受の寿命を「1」とした比である。本発明の実施例であるNo. 31〜38の軸受は、No. 20の2.5〜4.6倍の寿命が得られている。
このうちNo. 31とNo. 37とNo. 38の軸受は、内輪1および外輪2の軌道面の残留オーステナイト量が20体積%であるのに対して、「ころ3」の転動面の残留オーステナイト量が0体積%、40体積%、45体積%であるため、(1)式から外れる。No. 32〜36の軸受は(1)式を満たしている。No. 32〜36の軸受の寿命はNo. 20の2.3〜2.9倍であるのに対して、No. 31、37、38の軸受の寿命はNo. 20の2.9、2.6倍、2.5倍と寿命向上効果が低いものとなった。
次に、No. 1と同じ素材を用いて焼戻し温度を変えることにより、表層部の窒素含有率とSi・Mn系窒化物の含有率が同じで、表層部の残留オーステナイト量と表面硬さ(Hv)が異なるNo. 39〜47の「ころ3」を得た。各「ころ3」の構成を下記の表5に示す。
このようにして得られたNo. 39〜47の「ころ3」と、残留オーステナイト量が30体積%である前述の前述の内輪1および外輪2と、保持器4を用いて、円錐ころ軸受を組み立て、前述の条件で、異物および水混入潤滑下での寿命試験を行った。その結果も表5に併せて示す。
表5において、No. 39〜47は全て本発明の実施例に相当する。表5の「軸受の寿命比」は表2のNo. 20の軸受の寿命を「1」とした比である。本発明の実施例であるNo. 39〜47の軸受は、No. 20の3.0〜5.7倍の寿命が得られている。
このうちNo. 39とNo. 40とNo. 46とNo. 47の軸受は、内輪1および外輪2の軌道面の残留オーステナイト量が30体積%であるのに対して、「ころ3」の転動面の残留オーステナイト量が5体積%、10体積%、50体積%、55体積%であるため、(1)式から外れる。No. 41〜45の軸受は(1)式を満たしている。No. 41〜45の軸受の寿命はNo. 20の2.3〜2.9倍であるのに対して、No. 39とNo. 40とNo. 46とNo. 47の軸受の寿命はNo. 20の4.1倍、4.2倍、3.2倍、3.0倍と寿命向上効果が低いものとなった。
No. 23〜47の結果をまとめたグラフを図14に示す。このグラフから、内輪1および外輪2の軌道面表層部の残留オーステナイト量が10、20、30体積%のいずれの場合も、ころ3の転動面表層部の残留オーステナイト量との関係が(1)式を満たすことで軸受寿命を長くできることが分かる。また、ころの転動面表層部の残留オーステナイト量が同じ場合、内輪1および外輪2の軌道面表層部の残留オーステナイト量が多いほど軸受寿命を長くできることが分かる。
[No. 48〜54]
内輪1および外輪2については、先ず、合金成分が下記の表6に示す組成である鋼からなる円環状の素材を所定形状に加工した後、No. 48では、Rxガス雰囲気で830℃に加熱し20分保持した後に、160℃で焼戻しを行った。
No. 49〜54では、温度880〜960℃、保持時間2〜8時間、Rxガス+エンリッチガス+アンモニアガス雰囲気の条件で浸炭窒化処理を行った。次に、830〜850℃で1時間加熱保持した後に油冷却する焼入れ処理と、180〜240℃で2時間保持する焼戻しを行って、内輪および外輪軌道面の表層部の〔C〕+〔N〕=0.40〜2.50質量%とするとともに、残留オーステナイト量を10体積%とした。
次に、No. 48〜54の全てのサンプルについて、研削加工とバレル研磨を行って、内輪1および外輪2の軌道面の表面粗さ(Ra)を0.1μmにした。
このようにして得られたNo. 48〜54の内輪1および外輪2と、No. 1の「ころ3」と、保持器4を用いて、円錐ころ軸受を組み立て、前述の条件で、異物および水混入潤滑下での寿命試験を行った。その結果も表6に併せて示す。
表6において、No. 48〜52は本発明の実施例に相当し、No. 53〜54は比較例に相当する。表6の「軸受の寿命比」は表2のNo. 20の軸受の寿命を「1」とした比である。本発明の実施例であるNo. 48〜52の軸受は、No. 20の2.4〜2.9倍の寿命が得られたが、比較例であるNo. 53と54の軸受は1.1倍、1.2倍であった。なお、No. 48〜54の軸受は、内輪1および外輪2の軌道面の残留オーステナイト量と「ころ3」の転動面の残留オーステナイト量が10体積%で同じであるため、(1)式を満たしている。
本発明の転がり軸受の構造の一例を示す断面図である。 耐圧痕性試験の方法を説明するための図である。 耐摩耗性試験の方法を説明するための図である。 表面から100μm深さまでの窒素含有率が異なる試験片を用いて行った、耐圧痕性試験の結果を示すグラフである。 表面から100μm深さまでの窒素含有率が異なる試験片を用いて行った、耐摩耗性試験の結果を示すグラフである。 表面から100μm深さまでの窒素含有率が異なる試験片を用いて行った、シャルピー衝撃試験の結果を示すグラフである。 表面から100μm深さまでのSi・Mn系窒化物の存在率が異なる試験片を用いて行った、耐圧痕性試験の結果を示すグラフである。 表面から100μm深さまでのSi・Mn系窒化物の存在率が異なる試験片を用いて行った、耐摩耗性試験の結果を示すグラフである。 表面から100μm深さまでのSi・Mn系窒化物の存在率が異なる試験片を用いて行った、シャルピー衝撃試験の結果を示すグラフである。 表層部の窒素含有率(質量%)とSi・Mn系窒化物の存在率(面積%)との関係を示すグラフである。 試験片表層部のSi・Mn系窒化物の存在率(面積%)とスラスト寿命比との関係を示すグラフである。 表面硬さの異なる試験片を用いて行った、耐圧痕性試験の結果を示すグラフである。 表面硬さの異なる試験片を用いて行った、耐摩耗性試験の結果を示すグラフである。 実施形態で得られたデータに基づく、内外輪の軌道面表層部の残留オーステナイト量と、ころの転動面表層部の残留オーステナイト量と、軸受の寿命との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 外輪
2 内輪
3 ころ(転動体)
4 保持器
41 円板状の試験片
42 鋼球
43 鋼板
51 駆動側の回転軸
52 従動側の回転軸
53 モータ
54 ギア
55,56 トルク計

Claims (2)

  1. 内輪および外輪の少なくとも一方は、
    炭素(C)の含有率が0.20質量%以上1.20質量%以下、クロム(Cr)の含有率が2.5質量%以上17.0質量%以下、珪素(Si)の含有率が0.10質量%以上1.50質量%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.10質量%以上2.0質量%以下、モリブデン(Mo)の含有率が2.0質量%以下、バナジウム(V)の含有率が1.0質量%以下であり、残部鉄および不可避的不純物である鉄鋼製の素材を、所定形状に加工した後、浸炭処理または窒化処理または浸炭窒化処理と焼き入れおよび焼戻し、あるいは焼入れと焼戻しからなる熱処理が施されて得られ、軌道面の表層部の窒素含有率と炭素含有率の合計が0.50質量%以上2.5質量%以下であり、
    転動体は、
    炭素(C)の含有率が0.30質量%以上1.20質量%以下、クロム(Cr)の含有率が0.5質量%以上2.0質量%以下、珪素(Si)の含有率が0.20質量%以上2.20質量%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.20質量%以上2.0質量%以下であり、残部鉄および不可避的不純物である鉄鋼製の素材を、所定形状に加工した後、窒化処理または浸炭窒化処理と焼き入れおよび焼戻しが施されて得られ、
    転動面の表層部に、珪素(Si)およびマンガン(Mn)の窒化物からなるSi・Mn系窒化物が、面積比で1.0%以上20%以下の範囲で存在し、
    転動面の表層部の窒素含有率が0.2質量%以上2.0質量%以下、炭素含有率が1.0質量%以上2.0質量%以下、軌道面の硬さがHv750以上であることを特徴とする転がり軸受。
  2. 軌道輪の軌道面表層部の残留オーステナイト量をγR1(体積%)、転動体の転動面表層部の残留オーステナイト量をγR2(体積%)とした場合に、下記の(1)式を満たす請求項1記載の転がり軸受。
    γR1−15≦γR2≦γR1+15‥‥(1)
    ただし、γR1およびγR2は0以上50体積%以下である。
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