JP2006105363A - 転がり軸受 - Google Patents

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Shinji Fujita
慎治 藤田
Yasuo Murakami
保夫 村上
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Abstract

【課題】今後、エンジン補機やガスヒートポンプに用いられる転がり軸受が更に高速で回転され、その使用環境が更に高温となっても、早期剥離と焼き付けを効果的に抑制して、寿命を長くする。
【解決手段】内輪、外輪、および転動体の素材として、Si含有率が高い鋼を用いる。また、内輪および外輪の素材を下記の(1)式を満たす鋼からなるものとする。さらに、転動体の転動面の表層部に、質量比で0.3%以上2.0%以下の含有率で窒素を存在させる。
〔C〕+0.05〔Cr〕+0.12(〔Mo〕+〔V〕)≦1.41 …(1)
(式中の〔Cr〕、〔Mo〕、〔V〕は、それぞれ鋼中のCr、Mo、Vの含有率(質量%)を示す。)
【選択図】 図1

Description

この発明は転がり軸受に関する。
エンジン補機(オルタネータ、電磁クラッチ、中間プーリ、カーエアコンディショナ用コンプレッサ、水ポンプ等)やガスヒートポンプ等に用いられる転がり軸受は、その他の用途の軸受よりも高温、高振動、高荷重等の苛酷な条件下で使用される。例えば、オルタネータ用の軸受には、エンジンの作動と同時に、高速回転に伴う高振動、高荷重(重力速度で4G〜20G位)がベルトを介して作用する。
よって、これらの軸受の転がり面には、十分な潤滑膜が形成され難く、高い接線力が作用するため、金属接触による発熱や表面疲労、および新生面(鋼の組織が露出した面)が生じ易くなっている。特に、新生面は、トライボケミカル反応の触媒となり、潤滑油中に含まれる添加剤や水分を分解して水素イオンを発生させる。そして、この水素イオンが新生面に吸着して水素原子となり、応力場(最大剪断応力位置の近傍)に集積することにより、転がり面に早期剥離が生じ、軸受の寿命が短くなる場合がある。
上述したような苛酷な条件下で使用される軸受の寿命を長くするための技術としては、下記の特許文献1〜3に記載された技術が挙げられる。
特許文献1では、Cの含有率が0.65〜0.90質量%、Siの含有率が0.15〜0.50質量%、Mnの含有率が0.15〜1.00質量%、Crの含有率が2.0〜5.0質量%、Nの含有率が90〜200ppmであり、さらに100〜500ppmのAlおよび50〜5000ppmのNbの少なくとも一種が含有された軸受用鋼が提案されている。この特許文献1に記載の技術によれば、転がり面に早期剥離が生じ難くなるとともに、熱処理後の靱性の低下を抑制できる。
特許文献2では、軌道輪を、Cの含有率が0.95〜1.10質量%、SiまたはAlの含有率が1.0〜2.0質量%、Mnの含有率が1.15質量%以下、Crの含有率が0.90〜1.60質量%、残部がFeおよび不可避不純物で、Oの含有率が13ppm以下である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、焼入れおよび230〜300℃での高温焼戻しを施すことにより、残留オーステナイト量を8体積%以下とし、硬さをHRC60以上とすることが提案されている。この特許文献2に記載の技術によれば、高温での寸法安定性が向上し、且つ、硬さの低下を防ぐことができる。
特許文献3では、少なくとも固定輪を、Cの含有率が0.4〜1.2質量%、SiおよびAlの合計含有率が0.7〜2.0質量%、Mnの含有率が0.2〜2.0質量%、Niの含有率が0.1〜3.0質量%、Crの含有率が3.0〜9.0質量%であり、さらに下記式(2)で算出されるCr当量が9.0〜17.0質量%である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、焼入れおよび焼戻しを施すことにより、軌道面の硬さをHRC57以上とし、軌道面に直径50nm以上500nm以下の微細炭化物が分散析出されたものとすることが提案されている。
Cr当量=〔Cr〕+2〔Si〕+1.5〔Mo〕+5〔V〕+5.5〔Al〕+1.75〔Nb〕+1.5〔Ti〕 …(2)
なお、上記式(1)中の〔Cr〕、〔Si〕、〔Mo〕、〔V〕、〔Al〕、〔Nb〕、〔Ti〕は、それぞれ鋼中のCr、Si、Mo、V、Al、Nb、Tiの含有率(質量%)を示す。
この特許文献3によれば、軌道面に分散析出させた微細炭化物が水素をトラップするため、軌道面の早期剥離を抑制することができる。
特許第2883460号公報 特許第2013772号公報 特開2001−221238号公報
しかしながら、エンジン補機やガスヒートポンプ用の転がり軸受は、更なる高速回転化と使用環境の高温化が進んでいる。これに伴って、転がり軸受の転動体が膨張して内外輪との間の摩擦力が大きくなり、焼き付きが生じ易くなることが懸念される。例えば、SUJ2製で通常の焼入れ焼戻しを施して得られ、表層部の残留オーステナイトが10体積%程度である転動体は、高温環境で使用されると残留オーステナイトの分解が生じて膨張し易い。一般的な焼き付きの対策としてはフッ素系のグリースを用いる方法があるが、転動体の膨張に伴う焼き付きに関しては、この方法では解決できない。
本発明の課題は、今後、エンジン補機やガスヒートポンプに用いられる転がり軸受が更に高速で回転され、その使用環境が更に高温となっても、早期剥離と焼き付けを効果的に抑制して、寿命を長くすることにある。
上記課題を解決するために、本発明は下記の構成(a) および構成(b) を特徴とする転がり軸受を提供する。
(a) 内輪および外輪は、質量比で、炭素(C)の含有率が0.50%以上1.20%以下、珪素(Si)の含有率が0.50%以上1.50%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.10%以上2.00%以下、クロム(Cr)の含有率が2.50%以上17.00%以下、モリブデン(Mo)の含有率が2.00%以下、バナジウム(V)の含有率が1.00%以下、残部がFeおよび不可避不純物であって、下記の(1)式を満たす鋼からなる素材を所定形状に加工した後、焼入れ処理および焼戻し処理が施されて得られたものである。
〔C〕+0.05〔Cr〕+0.12(〔Mo〕+〔V〕)≦1.41 …(1)
(式中の〔Cr〕、〔Mo〕、〔V〕は、それぞれ鋼中のCr、Mo、Vの含有率(質量%)を示す。)
(b) 転動体は、質量比で、炭素(C)の含有率が0.50%以上1.20%以下、珪素(Si)の含有率が0.50%以上1.50%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.10%以上2.00%以下、クロム(Cr)の含有率が0.50%以上2.00%以下、残部がFeおよび不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、窒化処理または浸炭窒化処理と、焼入れ処理および焼戻し処理が施されて得られ、転動面の表層部の窒素含有率が、質量比で0.3%以上2.0%以下となっている。
本発明の転がり軸受によれば、前記構成(b) により、高速回転で高温環境となっても、転動体の膨張が抑制されて、焼き付きが防止される。また、前記構成(a) と前記構成(b) により、接線力が低下して、組織変化に伴うクラック発生および伝播が遅延され、転がり面に早期剥離が生じ難くなる。
以下に、本発明を構成する各要素の具体的な限定理由について説明する。
[内輪、外輪、転動体の素材をなす鋼の炭素(C)含有率が、0.50質量%以上1.20質量%以下]
Cは、マトリックスに固溶して鋼に硬さを付与するとともに、Cr、Mo、V等の炭化物形成元素と結合して炭化物や炭窒化物を形成し、耐摩耗性を向上させるために有効な元素である。
Cの含有率が0.50質量%未満であると、転がり軸受の内輪、外輪、転動体として要求される硬さが確保できない。
Cの含有率が1.20質量%を超えると、製鋼時に粗大な共晶炭化物や共晶炭窒化物が形成され易くなる。これに伴って、転がり疲労寿命や強度が著しく低下する。また、鍛造性、冷間加工性、および被削性が低下して、コストの上昇を招く場合がある。
[内輪、外輪、転動体の素材をなす鋼の珪素(Si)含有率が、0.50質量%以上1.50質量%以下]
Siは、製鋼時の脱酸剤として作用するとともに、マトリックスに固溶してマルテンサイトを強化させるため、軸受寿命向上に有効な元素である。Siの含有率が0.10質量%未満であると、この効果が実質的に得られない。
本発明では、転動体の素材をなす鋼のSi含有率を0.50質量%以上とするとともに、転動体表層部の窒素含有率を0.3質量%以上とすることで、焼入れによって表面層に微細な窒化物および炭窒化物が析出されるため、高温環境で使用された場合でも残留オーステナイトの分解が抑制されて、転動体の膨張が防止できる。
Siの含有率が1.50%を超えると、被削性、鍛造性、および冷間加工性が著しく低下する。
[内輪、外輪、転動体の素材をなす鋼のマンガン(Mn)含有率が、0.10質量%以上2.00質量%以下]
Mnは、マトリックスに固溶してフェライトを強化し、焼入れ性を向上させる元素である。Mnの含有率が0.10質量%未満であると、この効果が実質的に得られない。
Mnの含有率が2.00%を超えると、熱処理後に多量の残留オーステナイトが残存して、十分な硬さが得られなくなる場合があるだけでなく、冷間加工性や被削性が著しく低下する。
[内輪および外輪の素材をなす鋼のクロム(Cr)含有率が、2.50質量%以上17.00質量%以下]
Crは、マトリックスに固溶して、焼入れ性、焼戻し軟化抵抗性、および耐食性を向上させるために有効な元素である。焼戻し軟化抵抗性が高いことにより、高温での硬さの低下を防止する効果がある。また、応力場への水素集積に起因する早期剥離を抑制するために有効な元素でもある。また、Cと結合して微細な炭化物を形成することで耐摩耗性を向上させる。Crの含有率が2.50質量%未満であると、これらの効果(特に、高温での硬さの低下を防止する効果)が実質的に得られない。
Crの含有率が17.00質量%を超えると、前記効果が飽和するだけでなく、巨大な共晶炭化物が形成して、転がり疲労寿命や強度を著しく低下させる場合がある。また、冷間加工性や被削性が低下して、コストの著しい上昇を招く場合がある。
[内輪および外輪の素材をなす鋼のモリブデン(Mo)含有率が2.00質量%以下]
Moは、マトリックスに固溶して、焼入れ性および焼戻し軟化抵抗性を著しく増加させる効果がある。また、Cと結合して微細な炭化物を形成することで耐摩耗性を向上させる。また、転がり疲労寿命を向上に寄与する元素である。過剰に添加すると巨大炭化物を形成するとともに、靱性および加工性が著しく低下するため、Mo含有率の上限を2.00質量%とした。
[内輪および外輪の素材をなす鋼のバナジウム(V)含有率が1.00質量%以下]
Vは、Cと結合して微細な炭化物を形成するため、耐摩耗性の向上に有効な元素である。過剰に添加すると、巨大炭化物を形成して、転がり疲労寿命や強度を著しく低下させる場合がある。また、材料コストが高くなる。よって、V含有率の上限を1.00質量%とした。
[内輪および外輪の素材をなす鋼が上記(1)式を満たす]
炭化物形成元素であるC、Cr、Mo、Vの含有率〔C〕、〔Cr〕、〔Mo〕、〔V〕が高くなると、共晶炭化物が形成されて、フレーキングの起点となる応力集中の原因となるとともに加工性も低下する。そのため、各炭化物形成元素の共晶炭化物形成に寄与する度合の質量比を、C:Cr:Mo:V=1:0.05:0.12:0.12とし、これらの値を係数として掛けた合計値(すなわち、(1)式の左辺=α)を、共晶炭化物形成度合の指標とした。そして、この合計値αが0.14以下であると、共晶炭化物の形成が抑制されることが分かった。
[転動体の素材をなす鋼のクロム(Cr)の含有率が、0.50質量%以上2.00質量%以下]
転動体の場合は、内輪および外輪と比較して、巨大な共晶炭化物の存在による音響劣化が顕著であるため、内輪および外輪の場合よりもCr含有率を低くする必要がある。
Cr含有率が2.0質量%を超えると、巨大な共晶炭化物の存在による音響劣化が問題となる。Cr含有率が0.50質量%未満であると、耐摩耗性の点で問題となる。
また、音響劣化を抑えるという観点からは、内輪および外輪の素材をなす鋼のCr含有率〔Cr〕1 と、転動体の素材をなす鋼のCr含有率〔Cr〕2 の比、〔Cr〕1 /〔Cr〕2 を3以上9以下とすることが好ましい。
[転動体の転動面の表層部の窒素含有率が0.3質量%以上2.0質量%以下]
前述のように、高温での転動体の膨張を防止する効果を得るためには、転動体表層部の窒素含有率を0.3質量%以上とする必要がある。また、転動体表層部の窒素含有率が2.0質量%を超えると、焼入れによって形成される窒化物および炭窒化物が巨大化して、転がり疲労寿命を低下させる。
なお、本発明で使用する鋼において、上述した必須成分(C、Si、Mn、Cr)および選択的に含有させるMoおよびV以外の成分は実質的にFe(鉄)であるが、本発明で使用する鋼は、不可避不純物として、S(硫黄)、P(リン)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)、O(酸素)等が含有されていてもよい。これらの元素は、表面起点型の破損に対して特に際立った抑制効果はないと言われているが、鋼の品質が著しく悪い場合には、これらが起点となって内部起点型の破損が生じる。このため、不可避不純物の含有率は、コストの著しい上昇を招かない範囲で、JISG4805に規定された高炭素クロム軸受鋼の清浄度規制を満たす品質レベルとする。
本発明によれば、今後、エンジン補機やガスヒートポンプに用いられる転がり軸受が更に高速で回転され、その使用環境が更に高温となっても、早期剥離と焼き付けを効果的に抑制して、寿命を長くすることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
まず、表1に示す各組成の鋼からなる素材A〜Pを、呼び番号6303の単列深溝玉軸受(内径17mm、外径47mm、幅14mm)用の内輪および外輪の形状に加工した。また、表2に示す各組成の鋼からなる素材Q〜Zを加工して、呼び番号6303の単列深溝玉軸受用の直径8.73mmの玉(転動体)を得た。表1および2において、各構成の本発明の範囲から外れるものには下線を施した。
Figure 2006105363
Figure 2006105363
そして、No. C〜I,L〜Pの素材からなる内輪および外輪には、RXガス+エンリッチガスの雰囲気で、900〜960℃に加熱し、2〜8時間保持することにより浸炭を行った後、油焼入れを行い、さらに、160〜180℃の大気中で1.5〜2時間保持することにより焼戻しを行った。No. A,B,J,Kの素材からなる内輪および外輪には、840〜900℃に加熱して20〜60分間保持した後、油焼入れを行い、さらに、170℃の大気中で2時間保持することにより焼戻しを行った。
また、No. Q〜Yの素材からなる玉には、RXガス+エンリッチガス+アンモニアガスの雰囲気で、820〜860℃に加熱し、2〜5時間保持することにより浸炭窒化を行った後、油焼入れを行い、さらに、160〜180℃の大気中で1.5〜2時間保持することにより焼戻しを行った。No. Zの素材からなる玉には、840℃に加熱し、20〜60分間保持した後、油焼入れを行い、さらに、170℃の大気中で2時間保持することにより焼戻しを行った。
次に、熱処理後の内輪、外輪、玉に対して表面仕上げ加工を行って、表面粗さをRa(平均粗さ)で0.015〜0.020μmとした。
このようにして得られた内輪および外輪の軌道面の表層部(軌道面から、玉の直径の5%に相当する437μmの深さまで)について、炭素含有率〔C〕1 を測定した。また、玉の表層部(表面から100μmの深さまで)について、炭素含有率〔C〕2 と窒素含有率〔N〕を測定した。
また、前記各表層部の硬さ(ロックウェルC硬度)を、JIS Z 2245に規定された方法により測定した。さらに、前記各表層部の残留オーステナイト量 (体積比)をX線回折装置により測定した。
そして、内輪および外輪の表層部の炭素含有率〔C〕1 と、炭素含有率〔C〕2 と窒素含有率〔N〕の測定結果を下記の表3に示す。なお、各表層部の硬さはHRC58〜64であり、残留オーステナイト量は0〜20体積%であった。
次に、得られた内輪、外輪、および玉を、表3に示す組み合わせとし、4−6ナイロン製の冠型保持器と接触型ゴムシールを用いて、試験体No. 1〜23の転がり軸受を組み立てた。そして、No. 1〜23の転がり軸受を10体ずつ用意し、全ての転がり軸受で、軸受内部すきまを10〜15μmとし、フッ素系グリースを2.3g封入した。
これらの転がり軸受を図1に示す寿命試験装置10に組み込んで、剥離試験と焼き付き試験を行った。
図1の試験装置10は、基台1と、基台1に固定された第1ハウジング2Aと、第1ハウジング2Aに固定された第2ハウジング2Bと、回転軸3と、回転軸3の一端を支持する支持軸受4と、回転軸3の他端に固定された従動プーリ6を備えている。支持軸受4の外輪は第1ハウジング2Aの一端に内嵌固定され、第2ハウジング2Bは第1ハウジング2Aの他端の外部に固定されている。また、図1には表示されていないが、回転軸3と平行に、モータにより回転駆動される駆動軸が配置され、この駆動軸に駆動プーリが固定されている。そして、この駆動プーリと従動プーリ6との間に無端ベルト7が掛け渡されている。
この試験装置10の第2ハウジング2Bに試験軸受5の外輪を内嵌固定し、回転軸3に試験軸受5の内輪を外嵌固定する。これにより、回転軸3は支持軸受4と試験軸受5とで支持された状態となる。この状態で、駆動プーリを駆動し、従動プーリ6の上部で無端ベルト7にラジアル荷重Fp を付与する。これにより、回転軸3と一体に試験軸受5の内輪が回転し、回転軸3を介して試験軸受5にラジアル荷重が付与される。
なお、第1ハウジング2Aによる支持軸受4の支持剛性は、第2ハウジング2Bによる試験軸受5の支持剛性より低くなっている。また、第2ハウジング2Bの上部に振動計8が取り付けられている。この振動計8で試験軸受5の振動を検出する。
剥離試験は、荷重比:P(付与する動等価荷重)/C(基本動定格荷重)=0.10、雰囲気温度:80℃で、9秒毎に回転速度を9000min-1と18000min-1とに切り換えながら、回転軸3を回転させた。この試験は、オルタネータ用の転がり軸受を想定した急加減速試験である。
図2に示すオルタネータ20では、回転軸21の一端にプーリ22が固定され、この回転軸21のプーリ22側の一端が第1の転がり軸受23で支持され、他端が第1の転がり軸受24で支持されている。このプーリ22には、エンジンからの動力を受けるベルトが巻き付けられている。これらの転がり軸受23,24を、現状よりも苛酷な環境下で使用することを想定して、前記条件による急加減速試験を行った。
駆動プーリの駆動により回転軸3を回転させ、無端ベルト7にラジアル荷重Fp を付与することで試験を開始した。そして、振動計8で検出された試験軸受5の振動値が試験開始時点の値の5倍になった時点で、駆動プーリの駆動を停止することにより回転軸3の回転を止め、試験軸受5を分解して、内外輪の軌道面および玉の表面に剥離が生じているかどうかを調べた。その結果、内外輪および玉のいずれかに剥離が生じていれば、その時点までの試験時間を剥離寿命とした。いずれにも剥離が生じていない場合には、その試験軸受5を試験装置10に取り付けて試験を再開し、剥離が生じるまでの合計試験時間を調べて剥離寿命とした。
次に、同じ構成の10体の試験軸受の結果からL10寿命を算出した。なお、この転がり軸受の計算寿命は1350時間であるため、1500時間で寿命試験を打ち切った。そして、打ち切り時間になっても、内輪、外輪、および玉のいずれにも剥離が生じなかった場合には、L10寿命を1500時間とした。得られた寿命の値をNo. 16の値で除算し、寿命比とした。
焼き付き試験は、試験装置10を用い、振動計8に代えて試験軸受5の外輪温度を測定する熱電対を設置し、この熱電対で試験軸受5の外輪温度を測定しながら、荷重比:P/C=0.08、雰囲気温度:140℃、回転速度:20000min-1の条件で行った。そして、試験軸受5の外輪温度が150℃となった時点での試験時間を、焼き付き寿命とした。同じ構成の10体の試験軸受の結果からL10寿命を算出した。また、剥離試験と同様に、1500時間で寿命試験を打ち切り、打ち切り時間になっても150℃に達しなかった場合には、L10寿命を1500時間とした。得られた寿命の値をNo. 20の値で除算し、寿命比とした。
これらの寿命試験結果も下記の表3に併せて示す。
Figure 2006105363
この結果から、以下のことが分かる。
No. 1〜12の転がり軸受は本発明の範囲内である実施例に相当し、No. 13〜23の転がり軸受は本発明の範囲から外れる比較例に相当する。No. 1〜12の転がり軸受は、剥離寿命がNo. 16の3.6〜7.8倍であって、焼き付き寿命がNo. 20の2.0〜3.3倍となっており、剥離寿命と焼き付き寿命のいずれの点でも優れている。これに対して、No. 13〜23の転がり軸受は、剥離寿命か焼き付き寿命のいずれかが不十分となっている。
また、図3は、表3の結果を、軸受の内外輪をなす鋼のクロム含有率〔Cr〕と、剥離試験の寿命比との関係でまとめたグラフである。このグラフから、内外輪をなす鋼のクロム含有率〔Cr〕を本発明の範囲である2.50質量%以上17.00質量%以下とすることで、転がり軸受の剥離寿命が良好となることが分かる。
実施形態で使用した寿命試験装置を示す概略構成図である。 エンジン補機の一例であるオルタネータを示す断面図である。 軸受の内外輪をなす鋼のクロム含有率〔Cr〕と、剥離試験の寿命比との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 基台
2A 第1ハウジング
2B 第2ハウジング
3 回転軸
4 支持軸受
5 試験軸受
6 従動プーリ
7 無端ベルト
8 振動計
20 オルタネータ
21 回転軸
22 プーリ
23 転がり軸受
24 転がり軸受

Claims (1)

  1. 内輪および外輪は、
    質量比で、炭素(C)の含有率が0.50%以上1.20%以下、珪素(Si)の含有率が0.50%以上1.50%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.10%以上2.00%以下、クロム(Cr)の含有率が2.50%以上17.00%以下、モリブデン(Mo)の含有率が2.00%以下、バナジウム(V)の含有率が1.00%以下、残部がFeおよび不可避不純物であって、下記の(1)式を満たす鋼からなる素材を所定形状に加工した後、焼入れ処理および焼戻し処理が施されて得られ、
    〔C〕+0.05〔Cr〕+0.12(〔Mo〕+〔V〕)≦1.41 …(1)
    (式中の〔Cr〕、〔Mo〕、〔V〕は、それぞれ鋼中のCr、Mo、Vの含有率(質量%)を示す。)
    転動体は、
    質量比で、炭素(C)の含有率が0.50%以上1.20%以下、珪素(Si)の含有率が0.50%以上1.50%以下、マンガン(Mn)の含有率が0.10%以上2.00%以下、クロム(Cr)の含有率が0.50%以上2.00%以下、残部がFeおよび不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、窒化処理または浸炭窒化処理と、焼入れ処理および焼戻し処理が施されて得られ、転動面の表層部の窒素含有率が、質量比で0.3%以上2.0%以下となっていることを特徴とする転がり軸受。
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