JP2009084699A - 転がり軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】高温下,高荷重下において使用されても、組織変化を伴う早期剥離が生じにくく長寿命な転がり軸受を提供する。
【解決手段】深溝玉軸受の内輪1,外輪2,及び転動体3を、炭素を0.50〜1.20質量%、ケイ素を0.10〜1.50質量%、マンガンを0.1〜2.0質量%、クロムを2.5〜17.0質量%、モリブデンを2.0質量%以下、バナジウムを1.0質量%以下含有する鉄鋼材料で構成した。この鉄鋼材料は、炭素の含有量C%,クロムの含有量Cr%,モリブデンの含有量Mo%,バナジウムの含有量V%が、C%≦−0.05×Cr%−0.12×(Mo%+V%)+1.41なる式を満足するとともに、日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で7以上10以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は転がり軸受に関する。
従来より、転がり軸受の軌道輪及び転動体の材料としては、日本工業規格(JIS)のSUJ2(高炭素クロム軸受鋼2種)が主に使用されてきた。また、近年の自動車の小型・軽量化に伴い、エンジン補機にも小型・軽量化とともに高性能・高出力化が求められている。例えばオルタネータ用の軸受には、エンジンの作動と同時に、高速回転に伴う高振動,高荷重 (重力加速度で4〜20G程度) がベルトを介して作用する。そのため、従来のオルタネータ用軸受では、固定輪である外輪の軌道面に組織変化を伴った早期剥離が生じて、寿命が短くなる原因となっている。
このような背景の下、エンジン補機用の軸受に見られる組織変化を伴う早期剥離に対応した転がり軸受が提案されている。例えば、特許文献1には、従来から使用されているSUJ2と比較して、炭素(C)の含有量が0.65〜0.90質量%と低く、且つ、クロム(Cr)の含有量が2.0〜5.0質量%と高く、さらに窒素(N)を90〜200ppm含有し、アルミニウム(Al)10〜500ppm及びニオブ(Nb)50〜5000ppmのうちの一方又は双方を含有する鋼を用いることが記載されている。
また、特許文献2には、グリースを封入した転がり軸受の固定輪側の軌道輪を、1.5〜6質量%のCrを含有する鋼で構成し、グリースの分解により発生した水素の進入を防止するためのCrの酸化被膜を、その軌道面に形成して不活性化する技術が記載されている。
さらに、特許文献3には、高温下で使用されても寸法安定性に優れ且つ硬さが低下しにくい転がり軸受が開示されている。この軸受は、炭素の含有量が0.95〜1.10質量%、ケイ素又はアルミニウムの含有量が1〜2質量%、マンガンの含有量が1.15質量%以下、クロムの含有量が0.90〜1.60質量%である鋼で構成され、230〜300℃の高温焼戻しが施されて残留オーステナイト量が8体積%以下とされ、且つ硬度がHRC60以上とされている。
特許第2883460号公報 特許第3009254号公報 特公平06−033441号公報
今後、オルタネータ等のエンジン補機のさらなる高温化・高速化にともない、組織変化を伴った剥離が起こる可能性がさらに高くなる。また、従来から使用されているSUJ2は、白色組織の発生を遅らせる元素成分の量が不十分であり、軸受材料を高Cr化し且つ白色組織が成長する過程で優先的に伝播する粒界を制御する必要がある。
しかしながら、特許文献3に記載の転がり軸受は、白色組織が成長する過程で優先的に伝播する粒界の制御、白色組織の成長を抑制する炭化物及び炭窒化物の量、並びに、白色組織の発生を遅らせる元素であるCrに関しては考慮されていないため、十分な技術とは言えない。
また、特許文献1に記載の転がり軸受は、白色組織の発生を遅らせる元素であるCrに関しては考慮されているが、前述の粒界の制御、並びに、前述の炭化物及び炭窒化物の量に関しては何も考慮がされていないため、完全とは言えない。
さらに、特許文献2に記載の転がり軸受は、発生した水素は酸化被膜中を通過することができるため、1.5〜6質量%程度のCrで形成し得るCr酸化被膜(FeCrO4 )では、早期剥離の根本的な解決にはつながらず、また、前述の粒界の制御、並びに、前述の炭化物及び炭窒化物の量に関しては全く考慮されていないため、完全な技術とは言えない。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、高温下,高荷重下において使用されても、組織変化を伴う早期剥離が生じにくく長寿命な転がり軸受を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の転がり軸受は、回転可能な回転輪と、該回転輪を回転可能に支持する固定輪と、前記回転輪と前記固定輪との間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備え、グリースで潤滑される転がり軸受において、前記回転輪,前記固定輪,及び前記転動体のうち少なくとも1つが、下記の3つの条件を満足する鉄鋼材料で構成されていることを特徴とする。
条件1:合金成分として、炭素を0.50〜1.20質量%、ケイ素を0.10〜1.50質量%、マンガンを0.1〜2.0質量%、クロムを2.5〜17.0質量%、モリブデンを2.0質量%以下、バナジウムを1.0質量%以下含有する。
条件2:炭素の含有量C%,クロムの含有量Cr%,モリブデンの含有量Mo%,バナジウムの含有量V%が、C%≦−0.05×Cr%−0.12×(Mo%+V%)+1.41なる式を満足する。
条件3:日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で7以上10以下である。
また、本発明に係る請求項2の転がり軸受は、請求項1に記載の転がり軸受において、前記鉄鋼材料は、炭化物及び炭窒化物の含有量が面積率で15%以上40%以下であることを特徴とする。
白色組織への組織変化を伴う早期剥離は、従来から水素に起因すると考えられており、グリース等の潤滑剤に剪断応力が負荷されることにより水素が発生すると考えられていた。しかしながら、従来は白色組織の起点が何であるのかについては特定されておらず、白色組織の成長過程に関しても明確な知見はなかった。
そこで、本発明者らは、オルタネータ用転がり軸受を市場から回収し、白色組織への組織変化を伴う剥離を生じている不具合品について詳細に調査を行ったところ、以下のような結論を得た。すなわち、材料の特定箇所に水素が集積し、そこを起点として白色組織が発生し剥離に至ることが分かった。特定箇所としては、例えば粒界,炭化物及び炭窒化物,介在物,転移等が考えられるが、本発明者らは粒界と炭化物及び炭窒化物とに着目して、転がり軸受の寿命試験を行った。その結果、材料中の粒界は白色組織の起点となるだけでなく、白色組織が粒界を伝播して成長することが分かった。また、炭化物及び炭窒化物は、ピン止め効果のような原理で白色組織の成長を抑制することが分かった。
白色組織への組織変化が発生するメカニズム及び白色組織が成長するメカニズムは、以下の通りである。すなわち、最大剪断応力位置の近傍に存在する粒界,炭化物,炭窒化物の近傍に、グリースから発生した水素が集積し白色組織が発生し、この白色組織が粒界に沿って成長するというものである。したがって、このような不具合が生じにくく長寿命な軸受とするためには、白色組織への組織変化を遅らせるCrを多量に含有し、且つ、粒界の大きさと炭化物及び炭窒化物の量とを規定した鋼を用いることが重要である。
以下に、本発明に用いられる鉄鋼材料に関する前述の3つの条件における各数値(鉄鋼材料に添加される各合金成分の含有量等)の臨界的意義について説明する。
〔炭素の含有量について〕
炭素(C)は、転がり軸受として要求される硬さを得るために0.50質量%以上必要である。一方、炭素の含有量が1.20質量%を超えると、製鋼時に粗大な共晶炭化物を形成しやすくなって、転がり寿命の低下を引き起こす場合がある。清浄度を向上させ、共晶炭化物の形成を抑制するためには、炭素の含有量は0.50質量%以上1.20質量%以下とする必要がある。
〔ケイ素の含有量について〕
ケイ素(Si)は、製鋼時の脱酸剤として作用し焼入れ性を向上させるとともに、素地のマルテンサイトを強化するので、軸受寿命を長くするために有効な元素である。ケイ素の含有量が0.10質量%未満では、これらの効果が十分に得られず、所定の高温硬さが維持できない。また、ケイ素の含有量が1.50質量%を超えると、被切削性,鍛造性,冷間加工性が著しく低下する。
〔マンガンの含有量について〕
マンガン(Mn)は、鋼中のフェライトを強化し、焼入れ性を向上させる元素である。マンガンの含有量が0.10質量%未満では、上記の効果が不十分となる。また、マンガンの含有量が2.0質量%を超えると、焼入後の残留オーステナイト量が多くなって硬さが低下するとともに、冷間加工性や被削性も低下する。
〔クロムの含有量について〕
クロム(Cr)は、焼入れ性,耐摩耗性の向上等の効果を発現するとともに、焼戻し軟化抵抗性を向上させ、高温下での硬さの低下を抑制する元素である。クロムの含有量が2.5質量%未満であると、上記の効果が不十分となり、特に高温で硬さが低下しやすい。また、クロムの含有量が17.0質量%を超えると、高温下での硬さの低下を抑制する効果が飽和するばかりでなく、巨大炭化物の発生による一般寿命の低下や被切削性の低下等の問題が生じる。
〔モリブデンの含有量について〕
モリブデン(Mo)は、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗性を著しく向上させる効果がある。それとともに、転がり疲労寿命を高める作用もある。ただし、過剰に添加すると、靱性及び加工性が低下することとなるので、モリブデンの含有量は2.0質量%以下とする必要がある。
〔バナジウムの含有量について〕
バナジウム(V)は、微細な炭化物を形成して耐摩耗性を向上させる効果がある。ただし、過剰に添加すると、これらの効果が飽和するばかりでなく、著しいコストアップとなったり、粗大な共晶炭化物が生成する場合がある。よって、バナジウムの含有量は1.0質量%以下とする必要がある。
〔式C%≦−0.05×Cr%−0.12×(Mo%+V%)+1.41について〕
炭素濃度及びクロム濃度が高い場合には、製鋼時に共晶炭化物が生成することが知られている。この共晶炭化物が存在すると、前処理の加工性が低下する。また、共晶炭化物が存在すると、その周辺において応力集中が起こり、その部分を起点としてフレーキングが生じ、かえって寿命が低下するという問題がある。そこで、炭素の濃度及びクロムの濃度を、モリブデンの濃度及びバナジウムの濃度を用いて前記式で限定した。
〔旧オーステナイト結晶粒度について〕
鉄鋼材料中の介在物,転移等の欠陥や粒界,炭化物,炭窒化物の周辺に水素が集積し、そこを起点として白色組織が発生して剥離に至る。また、粒界は白色組織の起点となるばかりでなく、白色組織の成長過程にも大きな影響を及ぼす。旧オーステナイト結晶粒の粒径が大きいと、粒界中の不純物濃度が高くなって、粒界の強度が低下し白色組織生成の伝播速度が速くなるため、鉄鋼材料中の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径は、日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定した粒度番号で、7以上とする必要がある。また、小さい旧オーステナイト結晶粒を得る方法としては、焼入れ温度の低下が考えられるが、焼入れ温度が低いと転がり軸受として要求される硬さを得ることが困難となるため、鉄鋼材料中の旧オーステナイト結晶粒の平均粒径を粒度番号で10超過とすることには問題がある。
〔炭化物及び炭窒化物の含有量について〕
炭化物及び炭窒化物は、白色組織が生成し成長する場合において、ピン止め効果により成長を抑制する効果を有する。よって、鉄鋼材料中の炭化物と炭窒化物との合計の含有量は、面積率で15%以上40%以下であることが好ましい。
炭化物と炭窒化物との合計の含有量が15%未満であると、白色組織の成長を抑制する効果が不十分となり、40%超過であると、転がり疲労寿命が低下するという問題がある。
本発明の転がり軸受は、高温下,高荷重下において使用されても長寿命である。
本発明に係る転がり軸受の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態である転がり軸受の構成を示す部分縦断面図である。
この転がり軸受は呼び番号6303の深溝玉軸受であり、内輪1と、外輪2と、内輪1及び外輪2の間に転動自在に配置された複数の転動体3と、内輪1及び外輪2の間に転動体3を保持する保持器4と、で構成されている。
ここで、内輪1,外輪2,及び転動体3は、以下のようにして製造されたものである。表1,2に示す組成の鉄鋼材料(A〜R)を所定の形状に成形し、780〜1050℃に加熱し油冷する焼入れを施した後に、一部のものにはサブゼロ処理を施し、180〜460℃で焼戻しを行なった。また、一部のものには、さらにショットピーニング処理を行った。内輪1,外輪2,及び転動体3の表面硬さはHRC58〜64であり、残留オーステナイト量は0〜20体積%である。また、転動体3の表面粗さは0.003〜0.010μmRaであり、内輪1及び外輪2の表面粗さは0.015〜0.020μmRaである。
Figure 2009084699
Figure 2009084699
なお、表2において下線を付した数値は、本発明の最適範囲を外れていることを意味する。また、表1,2中のα値とは、前述の式(C%≦−0.05×Cr%−0.12×(Mo%+V%)+1.41)の右辺の値である。
さらに、表1,2中の旧オーステナイト結晶粒度は、以下のようにして測定したものである。まず、水400ml,ピクリン酸20g,ライポンF(ライオン株式会社製)30ml,ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム6gを混合してなる腐食液を、60℃程度に加熱した。そこに、鉄鋼材料を浸漬して腐食させ、旧オーステナイト結晶粒を出現させた。そして、日本工業規格JIS G0551の規定に基づいて、腐食させた鉄鋼材料を光学顕微鏡で観察し(倍率は200倍)、旧オーステナイト結晶粒の平均粒径(粒度番号)を測定した。観察は30視野について行い、全視野の平均値を鉄鋼材料の旧オーステナイト結晶粒度とした。
さらに、表1,2中の炭化物及び炭窒化物の合計の含有量は、以下のようにして測定したものである。まず、エタノール100mlとピクリン酸4gとを混合してなる腐食液に、鉄鋼材料を浸漬して腐食させた。そして、腐食させた鉄鋼材料を光学顕微鏡で観察し(倍率は1000倍)、粒径0.5μm以上の炭化物及び炭窒化物の面積率を画像解析により測定した。観察は30視野について行い、全視野の平均値を鉄鋼材料の炭化物及び炭窒化物の合計の含有量とした。
表1,2に示す鉄鋼材料で構成された深溝玉軸受(実施例1〜9及び比較例1〜9)について回転試験を行い、寿命の測定と剥離の発生状況とを調査した。回転試験は、内輪を回転輪、外輪を固定輪とし、所定時間毎(例えば9秒程度)に回転速度を9000min-1と18000min-1とに繰り返し切替えるという急加減速試験とした。
なお、軸受隙間を10〜15μmとし、荷重条件をP(負荷荷重)/C(動定格荷重)=0.10、試験温度を80℃一定とした。また、該深溝玉軸受の計算寿命は1350時間であるので、試験打ち切り時間を1500時間とした。そして、振動値が初期振動の5倍に上昇したら試験を中断し、軌道面の剥離の有無を確認した。試験は、1種の軸受について各々10個行ってL10寿命を求めたが、試験打ち切り時間までに10個全ての軸受について剥離が生じなかった場合は、L10寿命は1500時間とした。
回転試験の結果を、表3にまとめて示す。
Figure 2009084699
実施例1〜9の転がり軸受は、比較例1〜9の転がり軸受と比べて、剥離が生じにくく、L10寿命が優れていた。特に、実施例4〜8の転がり軸受は、剥離が全く生じずL10寿命は1500時間であった。
実施例3は、実施例4と比較して粒度番号が小さく、平均粒径が大きいものである。そのため、回転試験中に生成した白色組織が成長しやすい。その結果、剥離が生じて、L10寿命が1250時間となった。また、実施例1,2は、白色組織への組織変化を遅らせるCrの含有量が少ないため、剥離が生じて、L10寿命がそれぞれ1260時間,1440時間となった。
さらに、実施例9は、Crの含有量が多いため白色組織への組織変化を遅らせることが可能である。また、旧オーステナイト結晶粒度と炭化物及び炭窒化物の合計の含有量とが本発明の最適範囲内であるので、剥離は生じにくい。しかしながら、共晶炭化物が生成したために、共晶炭化物を起点として剥離が生じて、L10寿命が1220時間となった。
比較例1の鉄鋼材料はSUJ2であり、通常の熱処理を施したものである。Crの含有量が少なく、炭化物及び炭窒化物の合計の含有量も8%と少ないため、白色組織への組織変化を遅らせることができず短寿命となった。また、比較例2もCrの含有量が少ないため、短寿命であった。
また、比較例3は、旧オーステナイト結晶粒度と炭化物及び炭窒化物の合計の含有量とは本発明の最適範囲内であるが、Crの含有量が多いので共晶炭化物が生成した。そのため、共晶炭化物を起点として剥離が生じ、短寿命となった。
さらに、比較例4〜7は、Crの含有量は本発明の最適範囲内である。しかし、比較例4,5は粒度番号が5〜6であるために、回転試験中に白色組織が発生した場合に、白色組織が粒界に沿って成長しやすい。そのため、剥離が生じて短寿命となった。また、比較例7は粒度番号が8であるが、炭化物及び炭窒化物の合計の含有量が10%と少ないため、白色組織の成長を抑えることができず、820時間で剥離を生じた。
さらに、比較例8,9は、炭素の含有量がα値よりも大きいので共晶炭化物が生成した。その結果、共晶炭化物の周辺において応力集中が起こり、その部分を起点としてフレーキングが生じたため、L10寿命がそれぞれ480時間,330時間と短寿命であった。
なお、本実施形態は本発明の一例を示したものであって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態においては、熱処理はずぶ焼入れとしたが、浸炭,浸炭窒化焼入れ,高周波焼入れ等でもよく、いずれの熱処理を用いても前述と同様の効果が得られる。
また、転がり軸受の例として深溝玉軸受をあげて説明したが、転がり軸受の種類は深溝玉軸受に限定されるものではなく、本発明は様々な種類の転がり軸受に対して適用することができる。例えば、アンギュラ玉軸受,自動調心玉軸受,円筒ころ軸受,円すいころ軸受,針状ころ軸受,自動調心ころ軸受等のラジアル形の転がり軸受や、スラスト玉軸受,スラストころ軸受等のスラスト形の転がり軸受である。
本発明は、グリースで潤滑される転がり軸受に好適である。特に、エンジン補機用(エンジン補機としては、例えばオルタネータ,電磁クラッチ,中間プーリ,コンプレッサ用プーリ,カーエアコンディショナ用コンプレッサ,水ポンプ等があげられる)又はガスヒートポンプ用の転がり軸受に好適である。
本発明の一実施形態である深溝玉軸受の構造を説明する部分縦断面図である。
符号の説明
1 内輪
2 外輪
3 転動体

Claims (2)

  1. 回転可能な回転輪と、該回転輪を回転可能に支持する固定輪と、前記回転輪と前記固定輪との間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備え、グリースで潤滑される転がり軸受において、前記回転輪,前記固定輪,及び前記転動体のうち少なくとも1つが、下記の3つの条件を満足する鉄鋼材料で構成されていることを特徴とする転がり軸受。
    条件1:合金成分として、炭素を0.50〜1.20質量%、ケイ素を0.10〜1.50質量%、マンガンを0.1〜2.0質量%、クロムを2.5〜17.0質量%、モリブデンを2.0質量%以下、バナジウムを1.0質量%以下含有する。
    条件2:炭素の含有量C%,クロムの含有量Cr%,モリブデンの含有量Mo%,バナジウムの含有量V%が、C%≦−0.05×Cr%−0.12×(Mo%+V%)+1.41なる式を満足する。
    条件3:日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で7以上10以下である。
  2. 前記鉄鋼材料は、炭化物及び炭窒化物の含有量が面積率で15%以上40%以下であることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受。
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