JP2008255380A - 耐食性銅合金管 - Google Patents

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Abstract

【課題】蟻の巣状腐食が発生しやすい環境でも使用することができる耐蟻の巣状腐食性が優れた銅合金管を提供する。
【解決手段】Mnを0.01乃至3質量%を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金であって酸素及びMnについての表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IOBASEとの平均値IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、且つ、Mnの二次イオン強度の最大値IMnMAXと表面より2000nmの深さにおけるMnのベース強度IMnBASEとの平均値IMnMIDに対応する深さDMnMIDが1乃至100nmである。また、管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmである
【選択図】図1

Description

本発明は、冷媒用配管又は熱交換器用配管においてまれに起こる蟻の巣状腐食に対する耐食性を向上させた耐食性銅合金管に関し、特に、その表面に均一で緻密且つ安定な耐食層を有する耐食性銅合金管に関する。
従来、熱交換器用配管には、一般的に、曲げ加工性,ろう付け性及び耐食性が良好なリン脱酸銅が広く使用されている。ところが、熱交換器を組立てる際に、アルミニウムフィンのプレス加工及び銅管の曲げ加工等が行われるが、このアルミニウムフィンのプレス加工及び銅管の曲げ加工等に使用される潤滑油の加水分解生成物が銅管の表面に付着する。また、環境中に浮遊する油分が銅管表面に付着したり、アセトアルデヒド,ホルムアルデヒド,蟻酸,酢酸等、低級のアルデヒド類又はカルボン酸が生成し,これが銅管表面に付着する。これらの油分又はその分解生成物の付着により、銅管には、銅に特有の蟻の巣状腐食と呼ばれる腐食が稀に生じることがある。そして、この蟻の巣状腐食による微細な腐食孔が早期に貫通して、水及びフロン冷媒などの銅管内を通流する冷媒が漏洩するという問題点があった。
このため、近時、リン脱酸銅管に比べて、耐蟻の巣状腐食性が優れた熱交換器用銅合金管の開発が要望されている。
例えば、添加元素の酸化物の容積比[添加元素の酸化物の分子容]/[添加元素の原子容]が1.7乃至3.0である金属元素(Mn,Fe,Co)を少なくとも1種類添加して、酸化物の分子容が母材に対して適正である金属元素の酸化物を含む酸化皮膜を、30乃至3000Åの厚さに形成した熱交換器用耐食性銅合金管が提案されている(特許文献1)。この酸化皮膜は緻密で欠陥が少ないものであるので、主に低級カルボン酸に対する耐蟻の巣状腐食性が向上する。
また、耐蟻の巣状腐食性が優れたフィンチューブ型熱交換器として、0.05乃至5重量%のMn、0.05乃至5重量%のMg、0.05乃至5重量%のMn及び0.05乃至5重量%のMg、0.05乃至5重量%のMn及び0.05乃至10重量%のZn、0.05乃至5重量%のMg及び0.05乃至10重量%のZn、又は0.05乃至5重量%のMn、0.05乃至5重量%のMg及び0.05乃至10重量%のZnを含有し、複合添加の場合はこれらの成分の含有量を総量で0.05乃至10重量%とし、残部がCu及び不可避的不純物からなる前記銅合金製チューブを使用したものが提案されている(特許文献2)。
更に、酸素量及び添加元素(Mn等)の添加量を規定して、熱交換器の製造に必要なろう付け時の水素脆化防止特性,曲げ加工性,及びろう付け時の耐熱強度等の特性を考慮することにより、熱交換器の製造に適した耐蟻の巣状腐食性銅合金管が提案されている(特許文献3)。
更にまた、酸化物の標準生成エンタルピーが169kJ/mol以下の添加元素(Zn,Mn,Sn,Co)を所定量含有して所定の熱処理を施すことにより、添加元素主体の酸化皮膜が形成され、優れた耐蟻の巣状腐食性を有する銅合金管が得られることが開示されている(特許文献4)。
特許第2942096号公報 特許第3046471号公報 特開平06−192773号公報 特開平07−019786号公報
特許文献1乃至4の銅合金は蟻の巣状腐食に対していずれも一定以上の効果を有するが、前記銅合金の製造時の加工熱処理条件、その使用される環境等によっては蟻の巣状腐食がなお発生することがあった。特に、前記銅合金がPを含有する場合、蟻の巣状腐食が発生することが多いことがわかった。
一方、リン脱酸銅管(JIS H3300 C1220)において、原料の溶解鋳造時に脱酸剤として添加されるリンの残留量が、耐蟻の巣状腐食性に影響する。リンは金属組織の結晶粒界に集まりやすい性質を持っているが、表面に露出した結晶粒界に濃化したリンにより表面の耐食性に不均一さが生じ、そこが蟻の巣状腐食を発生させる起点として働くと考えられている。
この問題は、適当な添加元素を添加しただけでは解決し得ず、表面に生成する酸化皮膜も不均一なものとなっていたので、耐蟻の巣状腐食の課題は依然残っていた。特に、リン脱酸銅管を曲げ加工してフィンチューブ熱交換器の伝熱管に使用された場合、結晶粒の大きさに応じて表面に発生する肌荒れが、表面における耐食性の不均一さを顕在化させ、蟻の巣状腐食の起点となるため、問題になっていた。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、蟻の巣状腐食が発生しやすい環境でも使用することができる耐蟻の巣状腐食性が優れた銅合金管を提供することを目的とする。特に、本発明は、Pを含有する場合でも、耐蟻の巣状腐食性が優れた銅合金管を提供することを目的とする。更に、本発明は、銅合金管の高強度化等のために、添加元素を含有しても加工性を損なわずに、耐蟻の巣状腐食性を改善した銅合金管を提供することを目的とする。
本願第1発明に係る耐食性銅合金管は、Mnを0.01乃至3質量%を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金であって酸素及びMnについての表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IOBASEとの平均値IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、且つ、Mnの二次イオン強度の最大値IMnMAXと表面より2000nmの深さにおけるMnのベース強度IMnBASEとの平均値IMnMIDに対応する深さDMnMIDが1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmであることを特徴とする。
本願第2発明に係る耐食性銅合金管は、Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti,及びZrからなる群から選択された少なくとも1種の元素とMnとを合わせて0.01乃至3質量%含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金であって、酸素について表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXとベース強度IOBASEとの平均値IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、且つ前記各含有元素及びMnについて表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルを足し合せて作成した合成深さプロファイルにおいて、二次イオンピーク強度の最大値IΣMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IΣBASEとの平均値IΣMIDに対応する深さDΣMIDが1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmであることを特徴とする。
本願第3発明に係る耐食性銅合金管は、Mnを0.01乃至3質量%、Pを0.005乃至0.1質量%含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金であって、酸素、Mn及びPについての表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXとベース強度IOBASEとの平均値IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、Mnの二次イオン強度の最大値IMnMAXと表面より2000nmの深さにおけるMnのベース強度IMnBASEとの平均値IMnMIDに対応する深さDMnMIDが1乃至100nmであり、且つPの二次イオン強度の最大値IPMAXとPのベース強度IPBASEとの平均値IPMIDに対応する深さDPMIDが、1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmであることを特徴とする。
本願第4発明に係る耐食性銅合金管は、Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti,及びZrからなる群から選択された少なくとも1種の元素とMnとを合わせて0.01乃至3質量%含有し、更に、Pを0.005乃至0.1質量%含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金であって、酸素について表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXとベース強度IOBASEとの平均値IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、前記各含有元素及びMnについて表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルを足し合せて作成した合成深さプロファイルにおいて、二次イオンピーク強度の最大値IΣMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IΣBASEとの平均値IΣMIDに対応する深さDΣMIDが1乃至100nmであり、且つPについて表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、Pの二次イオン強度の最大値IPMAXとPのベース強度IPBASEとの平均値IPMIDに対応する深さDPMIDが、1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmであることを特徴とする。
これらの耐食性銅合金管において、更に、Znを0.01乃至3質量%含有することもできる。
また、本発明の耐食性銅合金管は、熱交換器の内面溝付管とすることができる。
本発明によれば、Pの蟻の巣状腐食に対する有害性を効率よく無害化することができ、ヘアピン曲げ加工等の2次加工を受ける部位においても耐食層の均一性及び緻密性が損なわれず、添加元素を添加しても加工性が損なわれない耐食性銅合金管が得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。本発明者等は、上述の従来技術の問題点に対して鋭意研究した結果、合金元素、酸素、及び合金元素の酸化物の深さ方向における濃度分布を適正に制御することにより、材料表面における耐蟻の巣状食性をより向上させることができることを見出した。更に、結晶粒度を適正に制御することにより、特に曲げ加工性を損なわずに、曲げ部における耐蟻の巣蟻の巣状腐食性を改善できることも見出した。
銅中のりんは結晶粒界に濃化して存在するため、その表面に供給された結露水等の水分に溶出してりん酸を形成し、水のpHを低下させる。その状態で蟻の巣状腐食の要因となる低級カルボン酸などの腐食媒体が環境から供給されると、こうした部位が起点となって、蟻の巣蟻の巣状腐食が発生しやすくなる。
本発明において、Mn、Fe、Co、Mg、Ni、Ti、Zr等の元素は、銅合金中において安定なりん化物を形成し、母材内に析出するため、結晶粒界に存在するりんの量を減少させ、りんを無害化させる。このようにしてこれらの添加元素は蟻の巣状腐食の抑制に有効に働く。
更に、前記元素は、適当な熱処理により表面に濃化し、銅合金の表面に、前記元素の酸化物を含み、蟻の巣蟻の巣状腐食抑制効果を有する酸化皮膜を形成する。これにより、りんが存在する粒界においても、その部分での蟻の巣蟻の巣状腐食の発生を効果的に抑制することができる。
また、結晶粒の大きさを適正に制御することで、蟻の巣状腐食に及ぼす結晶粒界に存在するりんの影響を低減することができる。また、曲げ加工等を施した表面において露出される結晶粒界が微細なため、蟻の巣状腐食の局部的な起点としての作用を抑制することができる。
前述のとおり、本発明の課題は、Mnを0.01乃至3質量%を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金であって、酸素及びMnについての表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IOBASEとの平均IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、且つ、Mnの二次イオン強度の最大値IMnMAXと表面より2000nmの深さにおけるMnのベース強度IMnBASEとの平均IMnMIDに対応する深さDMnMIDが1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmとなるように制御することにより、解決することができる。
また、元素としては、Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti,及びZrからなる群から選択された少なくとも1種の元素とMnとを合わせて0.01乃至3質量%含有させることもできる。その場合、酸素についてのSIMS分析による深さプロファイルに関する前記規定に加えて、前記各含有元素毎に表面より2000nmの深さまでSIMS分析して深さプロファイルを作成し、各含有元素の深さプロファイルを足し合せて合成深さプロファイル作成する。前記合成深さプロファイルにおいて、二次イオンピーク強度の最大値IΣMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IΣBASEとの平均値IΣMIDに対応する深さDΣMIDが1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmとなるように制御することにより、解決することができる。更に、管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmとなるように制御する。
また、元素としては、Mnを0.01乃至3質量%含有させ、更にPを0.005乃至0.1質量%含有させることもできる。酸素、Mn及びPについての表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IOBASEとの平均IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、Mnの二次イオン強度の最大値IMnMAXと表面より2000nmの深さにおけるMnのベース強度IMnBASEとの平均IMnMIDに対応する深さDMnMIDが1乃至100nmであり、且つPの二次イオン強度の最大値IPMAXと表面より2000nmの深さにおけるPのベース強度IPBASEとの平均IPMIDに対応する深さDPMIDが1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmとなるように制御することにより、解決することができる。
また、元素としては、Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti,及びZrからなる群から選択された少なくとも1種の元素とMnとを合わせて0.01乃至3質量%含有し、更に、Pを0.005乃至0.1質量%含有させることもできる。その場合、酸素についてのSIMS分析による深さプロファイルに関する前記規定に加えて、Mn及び前記各含有元素(Pと酸素を除く)について各元素毎に表面より2000nmの深さまでSIMS分析して深さプロファイルを作成し、各含有元素の深さプロファイルを足し合せて合成深さプロファイル作成する。前記合成深さプロファイルにおいて、二次イオンピーク強度の最大値IΣMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IΣBASEとの平均値IΣMIDに対応する深さDΣMIDが1乃至100nmであり、且つPの二次イオン強度の最大値IPMAXと表面より2000nmの深さにおけるPのベース強度IPBASEとの平均IPMIDに対応する深さDPMIDが1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmとなるように制御することにより、解決することができる。更に、管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmとなるように制御する。
本発明によれば、添加元素を表面近傍に適切に濃化させることで、緻密な耐食皮膜を形成させることができ、結晶粒界などに起因する表面での耐食性の不均一さを改善することができる。
添加元素の添加量は、3質量%を超えると、熱処理により表面に生成する酸化皮膜が厚くなりすぎて、熱交換器製造時のろう付けによるろう材の濡れ拡がり性が低下し、ろう付け不良の問題等を生じるので得策ではない。また、熱間・冷間加工工程において材料の強度が高くなるため、りん脱酸銅管製造工程がそのまま転用できなくなるなど、製造が困難になってくる。
次に、銅合金管の各添加元素の組成限定理由について説明する。
「Mn含有量が0.01乃至3質量%」
Mnは銅に添加できる添加元素のうち、もっとも蟻の巣状腐食に対する抑制効果を有する元素である。Mn含有量が0.01%を下回ると、その効果が不十分となる。Mnが3質量%を超えると、蟻の巣状腐食抑制効果が飽和してしまうので、無駄に機械的性質を増大させる添加元素をこれ以上添加する必要は無い。また、Mnが3質量%を超えると、その表面に添加元素主体の酸化物が多く生成しやすくなるので、ろう付けを行う際に、ろう材のぬれ拡がりが悪化しやすくなるので好ましくない。
「Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti及びZrからなる群から選択された少なくとも1種の元素とMnとが、その質量総和で0.01〜3質量%」
Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti,Zrは、これらの単独又は複数の元素をMnと共に含有させることにより、耐蟻の巣状腐食性を向上させることができると共に、合金の強度を上昇させる。これらの元素の総含有量が0.01質量%を下回ると、その効果が不十分となる。また、これらの元素の総含有量が3質量%を超えると、蟻の巣状腐食抑制効果が飽和してしまい、その表面にこれらの元素の酸化物が多く生成し、ろう材の濡れ拡がりが悪化しやすくなるため、好ましくない。従って、これらの元素の総含有量は0.01質量%〜3質量%とする。
「Zn含有量が0.01乃至3質量%」
耐蟻の巣状腐食性の向上に寄与する前記元素の含有により、機械的強度が増大し、銅合金管製造時の引抜工程や溝付管の転造加工工程において、ダイス及びプラグ等の加工工具が損耗しやすくなる。Znを添加することにより、これら工程で使用する工具磨耗を低減し、工具寿命を延長し、銅合金管の加工性を維持・改善することができる。
また、Znは、その規定範囲内において、耐食性やろう付け性を阻害しないので、請求項1または2で規定される添加元素の添加量とは関係なく添加できる元素である。Zn含有量が0.01質量%を下回ると、その効果は十分でなくなる。Znが3質量%を超えると、工具との摩擦係数軽減効果が飽和してしまう。更に、脱亜鉛腐食の兆候が現れ始め、耐食性が低下し始めるので好ましくない。
「Pの含有量が0.005乃至0.1質量%」
Pは大気中での溶解鋳造工程における脱酸剤として添加される。Pの含有量が0.005質量%より少ないと、溶解・鋳造工程における脱酸効果が十分得られない。また、ろう付けの際に生成されるりん酸による酸化皮膜除去効果効果が得られなくなり、ろう付け性が低下する。Pが0.1質量%より多く添加されると、Mn等の元素による耐蟻の巣状腐食性改善効果が焼失してしまう。従って、Pの含有量は0.005乃至0.1質量%とする。
「管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005〜0.030mm」
平均結晶粒径が0.005mmを下回ると、その銅合金管のヘアピン曲げ加工等の2次加工において、加工が困難になり、配管材及び伝熱管の加工性が損なわれるので好ましくない。平均結晶粒径が0.030mmを超えると、銅合金管表面の結晶粒も粗くなり、曲げ加工などの2次加工を受けた際に表面の肌荒れが顕著になり、表面近傍層が不均一な状態になるため腐食の起点になり易くなる。また、蟻の巣状腐食の起点として選択され易くなる。りんを含む合金では、結晶粒界に存在するりんの影響により、蟻の巣状腐食発生の起点となってしまう。また、結晶粒度の制御により、耐蟻の巣状腐食の改善に効果のあるMn等の元素及びこれらの酸化物の表面における濃度、及び分布を適正にすることができる。
「SIMS分析による二次イオン検出結果から読み取ったDOMIDが1乃至100nmで、且つ、同DXMIDが、1乃至100nm」
ここで、DXMIDは、本発明の耐食性銅合金がMnのみを含むときはDMnMID、Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti,及びZrからなる群から選択された少なくとも1種の元素とMnを含むときはDΣMID、及びPを含むときはDPMIDである。適切な加工熱処理条件を選定して、酸素及びMn等の元素の深さ方向の分布を適切に制御することにより、耐蟻の巣状腐食性を改善することができる。
OMID及びDXMIDが1nmを下回ると、表面に蟻の巣状腐食が生じた場合に、蟻の巣状腐食に対して抑制効果を持つ層が薄く、蟻の巣状腐食が進行してしまう。DOMID及びDXMIDが100nmを超えると、ろう付けなどにより接合して使用される際に、ろう材の濡れ広がりが悪くなり、ろう付け不良を生じるようになることがある。なお、DXMIDで定義される添加元素群にはZnを含まない。
次に、SIMS分析(二次イオン質量分析法)による深さ方向の元素分布測定方法について説明する。SIMS分析は母材中にppmオーダーで存在する金属を検出することが可能である。従って、複数の添加元素が夫々極微量ずつ添加されている場合でも、その総和の算出が可能となる。
SIMS分析は定量性に劣るため、下記の分析条件を固定して同時に測定する銅の二次イオン(Cu及びCu2−)強度の深さ約2000nm前後における平均値が夫々5×10及び1×10となる係数を各元素の二次イオン強度にかけて処理することにより、各元素における固有の深さプロファイルを作成する。
本発明の特許請求の範囲に規定する添加元素の深さ方向の濃度分布の分析方法は、下記の詳細条件による。一次イオン注入によるスパッタリングにより深さ方向分析を約2000nmまで行った。本発明品においては、深さ約2000nmまで測定を行えば、これより深い部位では二次イオン強度の変動はほぼ認められないため、深さ2000nmにおける各種元素の二次イオン強度をベース強度IXBASEとした。本発明により各元素について表面近傍に現れる二次イオン強度のピーク値をIXMAXとし、IXBASEとIXMAXとの中間点をIXMIDとした。各元素の二次イオン強度がIMIDとなるときの表面からの深さをDMIDとした。酸素、リン及びZnを除く複数の元素については、夫々の元素について同様に測定した深さプロファイリングの総和より全添加元素の深さプロファイルを作成し、同様にDMIDを得る。測定深さは、分析終了後、スパッタリングにより生じるスパッタクレータの深さを表面粗さ計(Sloan社製Dektak3030)で測定し、段差標準試料(9090ű5%)により校正した。試料の表面凹凸が大きい場合は、表面の平滑な母材サンプルを用いて同様の測定を行い、スパッタクレータ深さ測定値とスパッタ時間からスパッタ速度を求めた。
測定条件は以下のとおりである。
装置:ATOMIKA社製4500型二次イオン質量分析装置
正イオン(Mn,Cu)検出条件
一次イオン条件:O ,加速電圧3keV,電流50nA,入射角度45度
照射領域 :約250×350μm
分析領域 :約78×110μm
二次イオン極性:正
帯電補正 :無し
スパッタ速度 :約9.2nm/分
負イオン(O,P,Cu)検出条件
一次イオン条件:Cs,加速電圧3keV,電流35nA,入射角度45度
照射領域 :約250×350μm
分析領域 :約78×110μm
二次イオン極性:負
帯電補正 :無し
スパッタ速度 :約21nm/分。
一般的に、電気的陽性元素(Li,B,Mg,Ti,Cr,Mn,Fe,Ni,Mo,In,Ta等)を分析する場合には、酸素イオンを照射して正の二次イオンを検出し、電気的陰性元素(H,C,O,F,Si,S,Cl,As,Te,Au等)を分析する場合には、Csイオンを照射して二次イオンを検出すると、感度良く測定できる。
本発明の銅合金管製造方法としては、所定組成の銅合金を溶解し、鋳造し、熱間押出しし、冷間圧延し、冷間引抜きし、整直切断(直管材)又は巻取り(長尺コイル材)し、焼鈍を経て梱包される。本発明においては、所望の元素分布を得るために、適切な焼鈍を施す。焼鈍工程の間、内面又は外面の所望の特性を持たせたい側の表面に接触させる雰囲気を、10乃至200ppmの酸素を含む不活性ガス又は還元性ガスとし、焼鈍温度を400乃至650℃とし、加熱時間を10乃至100分で調整することにより、所望の特性を有する表面の添加元素分布が得られる。
以下に、本発明の銅合金管を制作して得られるSIMS分析の測定例を示す。0.97質量%Mn及び0.007質量%Pを含有し、残部がCuと不可避的不純物からなり、外径12.7mm×肉厚0.44mm×長さ1000mmの銅合金管硬質材(引抜加工のままの材料)を、ローラハース炉により、一酸化炭素2体積%及び水素4体積%とを93.999%の窒素ガスに混合した還元ガスに、40ppmの酸素を混合した雰囲気中で、焼鈍温度570℃、加熱時間20分、冷却時間20分の焼鈍工程を経た供試材を製作した。炉内露点は10℃とした。
このように作製した銅合金管の外表面についてSIMS分析を行った。図1及び図2に、SIMS分析で得られた深さプロフィールを示す。SIMS分析は、銅合金管外表面から深さ2000nmまで行ったが、その内500nmまでの結果を図示している。図において、横軸は深さ(nm)、縦軸は二次イオン強度である。図1は、添加元素(Mn,Cu)の正イオン(55Mn63Cu)の測定結果、図2は、添加元素(O、Cu、P)の負イオン(18126Cu2−31)の測定結果を示す。上記SIMS分析による深さ方向プロファイルから、各元素における二次イオンピーク強度IMAXと深さ2000nmにおけるベース強度IBASEから求めた平均値IMIDに対応する深さDMIDは、夫々、Mn:29.5nm,O:39nm,P:36nmであった。また、平均結晶粒度は0.015mmであった。結晶粒度測定は、銅合金管を半割して得られる管軸平行断面について、JIS H0501切断法によって行った。肉厚方向の平均結晶粒径を、任意の10箇所で測定し、更にこれらを平均した値を平均結晶粒径とした。
このようにして製造された銅合金管は、焼鈍工程における加熱処理時に、雰囲気中に混合させた微量の酸素と焼鈍条件によって、添加元素が母材よりも優先的に酸化され、表面に添加元素の酸化物による濃化層を形成する。りん脱酸銅の特性でもある、優れたろう付け接合性を維持している。
通常脱酸材として溶解鋳造工程でPが添加される場合であっても同様にPが表面に濃化し、添加元素と化合して析出物を形成し、リンの耐蟻の巣状腐食性に及ぼす影響を抑制する無害化作用を効率良く起こすことができる。
また、同焼鈍工程において、表面近傍で析出する析出物の効果により形成される結晶粒径を緻密にすることができるため、加工が施されない場合はもとより、曲げ加工などによる表面の肌荒れなどを起こさず、結晶粒界が露出することによる表面状態の不均一性を解消することができるので、蟻の巣状腐食の起点を生じ難い。
なお、Al,Si,Sn,Pb,S,Li,Se,As,Ca及びInは、総量で0.03質量%以下までなら含有させても、本発明の銅合金管の耐蟻の巣状腐食性を劣化させることは無く、また優れたろう付け性を維持することができるので添加しても良い。
(第1実施例)
以下、本発明の実施例について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。先ず、Mnを含有する銅合金管の実施例について説明する。以下の方法により、請求項1に示す要件を満たす実施例と満たさない比較例とで蟻の巣状腐食試験及びろう付け性試験を実施し、効果の有無を確認した。
供試銅管の製造方法は、以下のとおりである。Mnは、鋳造工程においてMn約50質量%の銅合金製ペレットを添加することにより含有量を調整した。供試材は、外形9.52mm×肉厚0.8mm×長さ100mmである。SIMS分析による深さ方向プロファイリングから読み取って得られるDMID,DOMID,DPMID及び結晶粒度は、各添加元素の添加量,焼鈍工程における到達温度,保持時間,雰囲気に含まれる酸素含有量などを調整することで変化させ、特にサンプルを密封せず、内面及び外面の両方について同様の添加元素および酸素の分布が得られるようにした。
評価方法は、耐蟻の巣状腐食性の評価については以下の方法により行った。種々の条件で製造した銅合金管について、蟻の巣状腐食試験を実施した。1体積%に調整した蟻酸水溶液200mlを2L(リットル)のガラス製密封容器に注ぎ、各種サンプルの両管端を封止し、外面のみが雰囲気に暴露されるようにして密封容器内に水平に吊るすようにして保持し、この密封容器を45℃に昇温した乾燥炉に30日間保管した。30日経過後のサンプルを、任意の輪切り断面を3ヶ所選んでエポキシ樹脂に埋め込んで研磨し、3ヶ所のうちで外表面から観察された蟻の巣状腐食の最大腐食深さを測定した。比較材として同サイズのJIS H3300 C1220 りん脱酸銅管焼鈍材(焼鈍温度630℃×保持時間20分)を供して同様に試験し、観察された最大腐食深さの半分未満の腐食深さであれば効果有りと判定した。ここではりん脱酸銅から観察された最大腐食深さが0.36mmであったので、腐食深さが0.18mm未満であれば「効果有り」、0.18mm以上の腐食深さであった場合は「効果なし」とした。
ろう付け性評価については、長さ300mmの供試材の管を軸方向に半割にし、内面側に直径1.6mm、長さ10mmのりん銅ろう(BCuP−2)を乗せ、窒素気流中で850℃に10分間保持して、ろうの広がり長さを測定した。広がり長さが80mmを超えていれば「良好」、80mm未満であれば「不良」と判定した。
曲げ加工性評価については、図3(a)乃至(c)に示すヘアピン曲げ加工用パイプベンダーを使用してヘアピン曲げ加工することにより行った。同じ寸法のりん脱酸銅管でマンドレル1の外径及びマンドレルの前後位置を調整して固定し、クランプ2の強度を調整することにより、ヘアピン曲げ内側に曲げしわの発生しないことを確認した後、評価対象の銅合金管について曲げ加工を実施した。マンドレルの前後位置を変更せず、クランプによる挟み付け強度を変えても、曲げしわが無くなくならなければ不良、クランプの調整により曲げしわの発生が無く、曲げ加工が可能であった場合は良好と判定した。以上の方法によるヘアピン曲げの曲げピッチ3は、外径9.52mm(第1〜第3の実施例)の銅管の場合は25.4mm,外径7mm(第4の実施例)の銅管の場合は21.0mmである。
下記表1は、請求項1の実施例比較例であり、Mn濃度及び酸素濃度と、焼鈍条件と、SIMS分析結果と、評価結果とを示す。
Figure 2008255380
この表1に示す試験No.3,6,7及び8は本発明の実施例、試験No.1,2,4,5,9,10,10−2は本発明の比較例である。表中の下線が引いてある項目は、本発明の請求範囲外の数値であることを示す。実施例No.3,6,7及び8はいずれも、DOMID,DXMID及び結晶粒度が特許請求の範囲内であり、優れた耐蟻の巣状腐食性を示した。比較例No.1は、Mnの含有量が0.01質量%を下回っており、耐食性が維持できなかった。比較例No.2は、Mnの含有量が3.0質量%を上回っており、添加元素の深さ方向分布状態は良好で、優れた耐蟻の巣状腐食性を示したが、酸素の深さ方向分布状態が規定値を上回っており、表面に存在する添加元素酸化物の量が多すぎたため、ろう材の濡れ広がり不良が生じた。比較例No.4は、焼鈍雰囲気中の酸素含有量が5ppm以下と少なかったために、DOMID,DXMIDが夫々1を下回り、優れた耐食性を示さなかった。比較例No.5及び10は、焼鈍温度が680℃と高かったため、夫々結晶粒度が0.030mmを上回ってしまい、表面層の添加元素が不均一となり、所望の耐食性が示さなかった。比較例No.9は、焼鈍雰囲気中の酸素含有量が200ppm以上と多かったために、DOMID,DXMIDが夫々100nmを上回り、ろう材の濡れ広がり不良が生じた。
比較例10−2は、添加元素と酸素の分布状態が良好であったが、焼鈍温度が低いことにより、結晶粒度が規定範囲を下回ってしまい、曲げ加工性評価においてヘアピン曲げ内側に曲げしわを発生させてしまった。
(第2実施例)
本実施例は、銅合金管に、Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti,及びZrからなる群から選択された少なくとも1種とMnを含有する請求項2の実施例比較例である。下記表2は、第2実施例の実施例及び比較例を示す。
Figure 2008255380
供試材の製造方法及び評価方法は第1実施例と同様である。これらの実施例比較例について蟻の巣状腐食試験を実施し、効果の有無を確認した。実施例No.11,12,13−2,14−2及び15は、いずれもDOMID,DXMIDび結晶粒度が特許請求の範囲内であり、優れた耐蟻の巣状腐食性、ろう付け性及び曲げ加工性を示した。比較例No.13は焼鈍温度が低く、且つ焼鈍雰囲気中の酸素添加量が少なかったために、酸化物としての添加元素が表面に効率的に濃化してこなかったため、DXMIDが1nmを下回っており、耐蟻の巣状腐食性が維持できなかった。比較例No.13−3は、焼鈍温度が低く、結晶粒度が規定より小さくなり、曲げ加工性評価においてヘアピン曲げトップ内側に曲げしわを発生させた。比較例No.14は添加元素の総含有量が3質量%を超えており、表面に添加元素の酸化物を多く生成させたので、ろう材の濡れ広がり性が劣化した。
(第3実施例)
本実施例は、請求項4の実施例比較例である。下記表3は、Mnの他にPを含有するもの、Mn及びCoの他にPを含有するものである。供試材の製造方法及び評価方法は、第1実施例と同様である。そして、これらの実施例比較例について蟻の巣状腐食試験を実施し、効果を確認した。
Figure 2008255380
ろう付け性の観点から、Pが添加されなくても第1及び第2の実施例に示すように、ろう付け性に重大な影響を及ぼすことは無いが、りん添加によるろう付け性改善効果を明確にするために、前述のろう付け性評価判定基準について、ここではろうの広がり長さが80mmを超えて120mm未満であった場合を“△”として判定した。
実施例No.16,16−3,17及び17−2はいずれも、DOMID,DXMID,DPMID及び結晶粒度が特許請求の範囲内であり、優れた耐蟻の巣状腐食性,ろう付け性及び曲げ加工性を示した。比較例No.16−2は、Pの添加量が規定量を下回っており、りん酸の生成によるろう付け時の酸化皮膜除去効果が得られず、ろう付け性評価においてろう材の濡れ広がりが悪化し、“△”の判定となった。比較例No.18は、Pの添加量が0.1質量%を超えているため、DPMIDも100nmを超えてしまい、添加元素によるPの蟻の巣状腐食に対する無害化が十分成されず、Pのままで母材内に残ったため、十分な耐食性が得られなかった。
(第4の実施例)
本実施例は、請求項3の実施例比較例であり、Mnの他に、Zn、Pを含有した銅管についてのものである。下記表4は、実施例比較例の組成及び評価結果を示す。
Figure 2008255380
Znを表4に示す量含有し、工具摩擦を軽減させたものについて溝転造加工を実施し、内面溝付管製作して転造加工性を評価した。供試材の製造方法及び溝付転造前の素材及び焼鈍工程,耐蟻の巣状腐食性評価方法は、前述と同じである。特許請求の範囲に示す要件を満たす実施例と満たさない比較例とで、蟻の巣状腐食試験を実施し、効果の有無を確認した。
転造加工性の評価は、外径10.0mm×肉厚0.37mmの内面平滑素管を、超硬工具鋼製溝付プラグを用い、プラグ及びダイスを使用して縮径し、転造加工し、プラグ無しでダイス縮径して、外径7mm,溝底肉厚0.25mm,溝数65,フィン高さ0.23mm,ねじれ角35°,山頂角22°,溝底R0.04mmの内面溝付管を製造した。
そして、4000mの長さを連続して転造加工し、加工後、20倍の拡大鏡を使用して溝付プラグの表面を観察し、プラグに欠け又は異常磨耗等の異常が発生していないかどうかを調査した。
ろう付け性試験は、内面溝付管の転造前素管を使用し、他は前述と同様の方法によって行った。最終的に製造された溝付管と同じ焼鈍履歴になるように、焼鈍を実施したものを使用して評価に供した。判定は、第1及び第2の実施例と同様に、ろうの広がり長さが80mm未満のものを不良,80mm以上を良好とした。
表4に示すいずれの実施例も、DOMID,DXMID,DPMID及び結晶粒度が、特許請求の範囲内であり、耐蟻の巣状腐食性及びろう付け性は所望の特性を有していた。これに対し、比較例No.19は添加元素による溝付転造加工性の悪化の影響を受け、4000mの転造加工終了後に溝付プラグを確認したところ、プラグ欠けが発生していた。比較例No.20−3,20,21−2,21−3及び21は、Znによる摩擦軽減効果で他の添加元素又はPの添加により生じる転造加工性の悪化を補い、4000mの転造加工終了後における溝付転造プラグの異常を生じなかった。比較例No.22はZnの添加が規定量をこたため、曲げ加工性が悪化し、ヘアピン曲げ内側に曲げしわが発生した。
正イオン検出条件により得られた55Mn63Cuの深さ方向における二次イオン質量分析結果を示すグラフ図である。 負イオン検出条件により得られた18126Cu2−31の深さ方向における二次イオン質量分析結果を示すグラフ図である。 (a)乃至(c)はヘアピン曲げ加工用パイプベンダーを示す断面図である。
符号の説明
1:マンドレル
2:クランプ
3:曲げピッチ

Claims (6)

  1. Mnを0.01乃至3質量%を含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金であって酸素及びMnについての表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IOBASEとの平均値IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、且つ、Mnの二次イオン強度の最大値IMnMAXと表面より2000nmの深さにおけるMnのベース強度IMnBASEとの平均値IMnMIDに対応する深さDMnMIDが1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmであることを特徴とする耐食性銅合金管。
  2. Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti,及びZrからなる群から選択された少なくとも1種の元素とMnとを合わせて0.01乃至3質量%含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金であって、酸素について表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXとベース強度IOBASEとの平均値IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、且つ前記各含有元素及びMnについて表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルを足し合せて作成した合成深さプロファイルにおいて、二次イオンピーク強度の最大値IΣMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IΣBASEとの平均値IΣMIDに対応する深さDΣMIDが1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmであることを特徴とする耐食性銅合金管。
  3. Mnを0.01乃至3質量%、Pを0.005乃至0.1質量%含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金であって、酸素、Mn及びPについての表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXとベース強度IOBASEとの平均値IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、Mnの二次イオン強度の最大値IMnMAXと表面より2000nmの深さにおけるMnのベース強度IMnBASEとの平均値IMnMIDに対応する深さDMnMIDが1乃至100nmであり、且つPの二次イオン強度の最大値IPMAXとPのベース強度IPBASEとの平均値IPMIDに対応する深さDPMIDが、1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmであることを特徴とする耐食性銅合金管。
  4. Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti,及びZrからなる群から選択された少なくとも1種の元素とMnとを合わせて0.01乃至3質量%含有し、更に、Pを0.005乃至0.1質量%含有し、残部がCuと不可避的不純物からなる銅合金であって、酸素について表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、酸素の二次イオン強度の最大値IOMAXとベース強度IOBASEとの平均値IOMIDに対応する深さDOMIDが、1乃至100nmであり、前記各含有元素及びMnについて表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルを足し合せて作成した合成深さプロファイルにおいて、二次イオンピーク強度の最大値IΣMAXと表面より2000nmの深さにおけるベース強度IΣBASEとの平均値IΣMIDに対応する深さDΣMIDが1乃至100nmであり、且つPについて表面より2000nmの深さまでSIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、Pの二次イオン強度の最大値IPMAXとPのベース強度IPBASEとの平均値IPMIDに対応する深さDPMIDが、1乃至100nmであり、更に管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmであることを特徴とする耐食性銅合金管。
  5. 更に、Znを0.01乃至3質量%含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の耐食性銅合金管。
  6. 前記耐食性銅合金管が熱交換器用の内面溝付管であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の耐食性銅合金管。
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