JP5990497B2 - 耐食性無酸素銅合金管 - Google Patents

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本発明は、冷媒用配管又は熱交換器用配管でまれに起こることがある蟻の巣状腐食に対する耐食性を向上させた耐食性無酸素銅合金管に関する。
従来の熱交換器用耐食銅合金管として、特許文献1には、酸化物の容積比[酸化物の分子容]/[母材金属の原子容]が1.7〜3.0である金属元素(Mn,Fe,Co)を少なくとも1種類添加して、酸化物の分子容が母材に対して適正である金属元素酸化物を含む酸化皮膜を、30〜3000Åの厚さで形成した銅合金管が開示されている。この銅合金管は、その酸化皮膜が緻密で欠陥が少ないものになり、主に低級カルボン酸による耐蟻の巣状腐食性が向上する。
また、特許文献2には、0.05乃至5質量%のMn及び0.05乃至5質量%のMgを単独で又は組み合わせて含有するか、又は更に0.05乃至10質量%のZnを含有した銅合金を使用して、耐蟻の巣状腐食性を向上させたフィンチューブ熱交換器が開示されている。
更に、特許文献3には、0.05乃至1.5質量%のMnを含有し、酸素の含有量が100ppm以下である脱酸銅からなる耐蟻の巣状腐食性が優れた銅合金管が開示されている。この耐食性銅合金管は、熱交換器製作に必要なろう付け時の水素脆化を防止し、更に、曲げ加工性及びろう付け時の耐熱強度などの特性を考慮したものであり、熱交換器用銅合金管として好適の耐蟻の巣状腐食銅合金管である。
更にまた、特許文献4には、酸化物の標準生成エンタルピーが169kJ/mol以下の添加元素(Zn,Mn,Sn,Co)を所定量含有して、所定の熱処理を施すことで、添加元素主体の酸化皮膜を形成することにより、耐蟻の巣状腐食性を向上させた銅合金管が開示されている。
更にまた、特許文献5には、Mn,Fe,Co,Mg,Ni,Cr,Ti,Zr又はPを含有し、SIMS分析したときの深さプロファイルにおいて、表面から1〜100nmの深さの領域に、これら添加成分が酸化物として一定量濃縮している濃縮層を設けることにより、耐蟻の巣状腐食性を向上させた耐食性銅合金管が開示されている。
特許第2942096号 特許第3046471号 特開平06−192773 特開平07−019786 特許第4963078
しかしながら、近年の高気密住宅の普及に伴い、新築の建材に使用される接着剤及び木材から生成する揮発性有機化合物(VOC)が屋外になかなか排出されない状況が起こっている。このVOCに含まれる物質の中には、銅管の蟻の巣状腐食を発生させる物質も含まれていることがある。エアコンの室内機にも多く使用されるりん脱酸銅管(JIS H3300 C1220)が蟻の巣状腐食により孔開きを生じ、管内に封入されるフロン等の冷媒が大気に放出してしまい、エアコンが機能しなくなる不具合が多発している。このような高気密住宅の普及に伴い、蟻の巣状腐食による冷媒漏洩の不具合は増加傾向にある。本願出願人は、上述の特許文献1乃至5において、耐蟻の巣状腐食性が向上した銅合金管を提案し、これらの銅合金管はその所期の目的を達成したが、これらの合金管は合金元素の添加量が増えると、内面溝付加工性が低下してくるという問題点がある。
省エネ法によりエアコンの性能向上が義務付けられ、より優れた性能を得るために、内面溝付管の溝形状は、フィン高さがより高くなり、また、リード角がより大きくなっており、溝付加工が難加工化している。しかし、上述の特許文献1乃至5に記載の銅合金管では、溝付きプラグを磨耗させやすいので、熱交換性が優れた内面溝付管の溝付加工が更に困難になっている。
また、蟻の巣状腐食に対しては、銅又は銅合金に添加するPが少ないか又はPを添加しない方が、耐食性に優れていることが判明している。また、無酸素銅管(JIS H3300 C1020)も、りん脱酸銅管(JIS H3300 C1220)よりも、耐蟻の巣状腐食性が優れている。更に、無酸素銅管は内面溝付管の溝加工性も優れている。
しかし、前述したように、一般家庭における蟻の巣状腐食の発生頻度は増えており、無酸素銅管の耐蟻の巣状腐食性では不十分な場合があり、より優れた耐食性が求められている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、Pの添加量を規制すると共にMnを微量添加することにより、無酸素銅管(JIS H3300 C1020)よりも、更に一層、耐蟻の巣状腐食性を向上させ、更に、管内表面への溝加工性及び曲げ性が向上すると共に、拡管等の2次加工性にも優れた耐食性無酸素銅合金管を提供することを目的とする。
本発明に係る耐食性無酸素銅合金管は、
無酸素銅の溶湯から溶製された銅合金からなり、
Oの含有量が0.002質量%以下、
Pの含有量が0.003質量%以下、
Mnの含有量が0.005乃至0.040質量%
Zr,Co,Ni,Fe,Mg,Cr,及びTiからなる群から選択された少なくとも1種の元素の含有量が合計で0.05質量%以下であり、
残部がCu及び不可避的不純物である銅合金により形成され、
管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmであることを特徴とする。
この耐食性無酸素銅合金管は、例えば、
管内面に溝形状が形成された内面溝付管である。
本発明は、無酸素銅溶湯から溶製された無酸素銅合金の管であり、P等による脱酸を行わずに溶製されたものである。つまり、本発明は、無酸素銅と同様の雰囲気で溶解鋳造された無酸素銅合金製の管である。このため、本発明は、りん脱酸銅に比して、酸素量が著しく少ない。本発明は、この無酸素銅を基本にして、Mn含有量を適切に規定し、P含有量を規制したものである。このため、本発明によれば、耐蟻の巣状腐食性を向上させることができる添加元素のうち、Mnの含有量を0.005乃至0.070質量%程度、又は、0.005乃至0.040質量%程度と、低くしても、一定の耐蟻の巣状腐食性の向上を図ることができる。
これは、Oの含有量を0.002質量%以下、Pの含有量を0.003質量%以下と、極微量にする場合に、有効に発揮することができる。
更に、Mnを添加することにより、焼鈍後の結晶粒径が微細化されて強度が向上し、複雑な溝形状の加工が困難となるが、上記Mn添加量の範囲であれば、溝成形性が劣化することはなく、伝熱性能を高めるために、溝高さを高くしたり、溝リード角を大きくしても、溝加工が困難となることはない。
更にまた、平均結晶粒径を0.005乃至0.030mmとすることにより、ヘアピン曲げ及び拡管(2次・3次拡管含む)等の2次加工性も劣化させることがない。
曲げ加工試験方法を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。先ず、本発明における銅合金管の組成限定理由について、説明する。本発明の銅合金管は、無酸素銅に、微量のMnを含有させ、更にPの含有量を所定範囲に規定し、更に、必要に応じて、Zn及びSn等の元素を含有させたものである。この本発明の銅合金管の溶解鋳造方法については、通常の無酸素銅の溶解鋳造方法を採用すれば良い。
「O(酸素)含有量:0.002質量%以下」
Oが0.002質量%を超えると、OがMn及び他の添加元素と結合して酸化物となることにより、Cu中に固溶するMn及び他の添加元素の微量添加による蟻の巣状腐食抑制効果が損なわれる。
「P含有量:0.003質量%以下」
Pが0.003質量%を超えると、以下の2つの作用により銅合金管の耐食性が低下してしまい、Mnの微量添加による蟻の巣状腐食抑制効果が損なわれる。即ち、先ず、Pが0.003質量%を超えると、Cu中に固溶するPそのものの作用により、銅合金管の蟻の巣状腐食抑制効果が低下してしまう。また、Pが0.003質量%を超えると、PがMnと結合して析出物を形成するため、Cu中に固溶するMnの量が減少して、Mnの固溶による銅合金管の耐食性(耐蟻の巣状腐食性)向上効果が失われる。
「Mn含有量:0.005〜0.070質量%」
Mnは銅に添加できる添加元素のうち、もっとも蟻の巣状腐食の抑制に対する効果が高い元素である。Mn含有量が0.005質量%を下回ると、Pの含油量を0.003質量%以下にしても、Mnによる銅合金管の耐食性効果が不十分となる。Mnが0.070質量%を超えると、銅合金管の加工性が低下するため、通常のりん脱酸銅管では転造加工が難しくない内面溝付管であっても、製造が困難となる。なお、通常のりん脱酸銅管では転造加工が難しくない内面溝付管とは、例えば、外径が7.0mm、溝数が65、フィン高さが0.15mm、溝底肉厚が0.23mm、溝ねじれ角が20°、山頂角が22°、溝底の曲率半径が0.045mmのりん脱酸銅管がある。
なお、Mn含有量を0.040質量%以下にすると、上記りん脱酸銅管よりも、より加工が厳しい構造の内面溝付管であっても、りん脱酸銅管と同等の内面溝付管転造加工性を維持することができる。このより厳しい通常のりん脱酸銅管と同等の内面溝付管とは、例えば、外径が7.0mm,溝数が50,フィン高さが0.24mm,溝底肉厚が0.25mm,溝ねじれ角が35°,山頂角が11°,溝底の曲率半径が0.035mmのりん脱酸銅管がある。
「平均結晶粒径:0.005〜0.030mm」
管軸平行断面において、肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005mmを下回ると、その銅合金管のヘアピン曲げ加工等の2次加工において、加工が困難になり、配管材及び伝熱管の加工性が損なわれる。この平均結晶粒径が0.030mmを超えると、銅合金管表面の結晶粒度が粗くなる結果、曲げ加工等の2次加工を受けた際に、銅合金管の表面の肌荒れが顕著になる。
「Zr,Co,Ni,及びFeからなる群から選択された少なくとも1種以上の元素:合計で0.05質量%以下」
Zr,Co,Ni,及びFeは、含有量が合計で0.05質量%以下であれば、溝付管の転造加工性に影響することなく、耐蟻の巣状腐食を向上させることができる元素である。これらの元素の合計含有量が0.05質量%を超えると、内面溝付管の転造加工性が低下する。
次に、本発明の銅合金管の製造方法について説明する。本発明の銅合金管は、所定組成の銅合金を溶解し、鋳造し、熱間押出して管材とした後、更に、この管材を冷間圧延し、冷間引抜きして所定の径の銅合金管を得る。その後、管材が直線状の状態で、所定寸法に切断して、この整直切断により直管材を得るか、又は管材を長尺コイルに巻き取って、LWC(Level Wound Coil)を得る。その後、この直管材及びLWCは焼鈍した後、梱包される。
本発明においては、所望の平均結晶粒径を得るために、適切な焼鈍を施す。焼鈍工程の間、内表面又は外表面に接触させる雰囲気を、不活性ガス又は還元性ガスとし、焼鈍温度を400乃至650℃とし、加熱時間を10乃至100分として、焼鈍条件を調整する。
なお、管内面に溝加工を施す場合は、例えば、管材の内部に、表面に溝加工がされたマンドレルを挿入し、更にマンドレルよりも管引き抜き方向上流側にプラグを挿入し、マンドレルとプラグを連結棒によりマンドレルが自由に回転するように連結する。そして、この状態で、管材を引き抜き、プラグと管材の外側に配置した転動ロールとにより管材を縮径加工しつつ、この縮径加工によりプラグを管材の引き抜き力に抗して当初の位置に保持し、従って、このプラグに連結されたマンドレルも当初の位置に保持したまま、自由に回転するマンドレルにより、管材の内面に溝を形成し、管材の内面にマンドレルの溝形状を転写する。このようにして、内面溝付管を製造することができる。
次に、本発明の効果を実証するための実施例及び比較例について説明する。請求項1の条件を満たす実施例と、請求項1の条件から外れる比較例とについて、耐蟻の巣状腐食試験と、曲げ加工試験とを行った。更に、溝加工の転造試験を行った。先ず、各試験方法について説明する。
「耐蟻の巣状腐食試験方法」
種々の条件で製造した銅合金管について、蟻の巣状腐食試験を実施した。1体積%に調整した蟻酸水溶液200mLを2L(リットル)のガラス製密封容器に注ぎ、銅管の各サンプルの両管端を封止し、外表面のみが雰囲気に暴露されるようにして、これらのサンプルを、前記密封容器内に水平に吊るすようにして保持した。各サンプルは、密封容器内に配置する前に、アセトンで超音波洗浄を実施し、表面の残油を除去して、その影響が無いようにした。この密封容器を45℃に昇温した乾燥炉に30日間保管した。30日間経過後のサンプルを、長手方向に関する任意の3カ所の位置で切断し、この輪切り断面をエポキシ樹脂に埋め込んで研磨し、外表面から観察された蟻の巣状腐食の深さを測定し、3カ所の測定位置の中で、この蟻の巣状腐食の深さが最大のものを最大腐食深さとした。
本願発明の目的は、ある程度、耐蟻の巣状腐食性が優れる無酸素銅管に対し、より優れた耐食性を得ることであるので、比較例として従来の無酸素銅管を使用した。耐蟻の巣状腐食性の評価に供した銅管の形状・大きさは、外径が9.52mm,肉厚が0.8mm,長さが100mmの平滑管である。
本腐食試験により、従来のりん脱酸銅管には、腐食深さが0.37mmの蟻の巣状腐食が観察された。下記表1(第1実施例)及び表3(第3実施例)に示す実施例及び比較例の耐蟻の巣状腐食性の評価(評価基準1)は、従来のりん脱酸銅管の腐食深さに対して、30%以下の場合、即ち腐食深さが0.11mm以下の場合に、その耐蟻の巣状腐食性の評価を「○」、0.11mmを超えたものを「×」とした。
また、表2(第2実施例)に示す実施例及び比較例の耐蟻の巣状腐食性の評価(評価基準2)は、従来のりん脱酸銅管の腐食深さに対して、40%以下の場合、即ち腐食深さが0.15mm以下の場合に「○」、0.15mmを超えたものを「×」とした。
「曲げ加工テスト」
曲げ加工性評価については、図1(a)乃至(c)に示すヘアピン曲げ加工用パイプベンダーを使用してヘアピン曲げ加工することにより行った。曲げ加工性試験に供する銅合金管の寸法は、外径が7mmである。同じ寸法の無酸素銅管及びりん脱酸銅管で、マンドレル1の外径及びマンドレルの前後位置を調整して固定し、クランプ2の強度を調整することにより、ヘアピン曲げ内側に曲げしわが発生しないことを確認した後,評価対象の銅合金管について曲げ加工を実施した。マンドレルの前後位置を変更せず、クランプによる挟み付け強度を変えても、曲げしわがなくならなければ不良(×)、クランプの調整により曲げしわの発生がなく、曲げ加工が可能であった場合は良好(○)と判定した。以上の方法によるヘアピン曲げの曲げピッチ3は、21.0mmである。
「転造加工テスト」
管材に溝転造加工を実施して、内面溝付管を製作し、その転造加工性を評価した。溝付転造前の素材及び焼鈍工程は、前述の段落0029及び0030に記載の製造方法と同一である。
転造加工性の評価は、外径が10.0mm、肉厚が0.37mmの内面平滑素管を、超硬工具鋼製溝付プラグを用い、プラグ及びダイスを使用して縮径し、転造加工し、プラグ無しでダイス縮径して内面溝付管を製作することにより行った。得られた内面溝付管の外径は7.0mmである。
第1実施例及び第3実施例においては、転造加工(転造加工1)により、外径が7.0mm,溝数が65個,フィン高さが0.15mm,溝底肉厚が0.23mm,溝ねじれ角が20°,山頂角が22°,溝底曲率半径が0.045mmの内面溝付伝熱管を得た。
第2実施例においては、転造加工(転造加工2)により、外径が7.0mm,溝数が50個,フィン高さが0.24mm,溝底肉厚が0.25mm,溝ねじれ角が35°,山頂角が11°,溝底曲率半径が0.035mmの内面溝付伝熱管を得た。
そして、4000mの長さを連続して転造加工し、銅管の加工始め部(50m地点)と加工終わり部(4000m地点)とでサンプリングした試料を管軸方向から断面観察できるように、輪切り断面を表面に露出させてエポキシ樹脂により樹脂中に埋め込み、耐水性エメリー紙で4000番まで湿式研磨し、その後、バフ研磨で鏡面仕上げして、光学顕微鏡で100倍に拡大して輪切り断面を観察した。加工始め部で所定のフィン高さが確保されている状態から、加工終わり部で、フィン高さの低下が0.02mm未満であれば、転造加工性が「○」、0.02mmを超えていれば転造加工性が「×」と評価した。
上記各試験の評価結果を下記表1乃至表3に示す。
「第1参考例」
Figure 0005990497
表1の第1参考例は、表1に示すように、参考例1〜7の銅合金管が、耐蟻の巣状腐食試験において、評価基準1による判定は全て○であり、曲げ加工試験においても、評価結果は○であった。また、転造加工試験1の場合も、評価結果は○であった。これに対し、組成又は平均結晶粒径が本発明の範囲から外れる比較例1〜8の場合は、耐蟻の巣状腐食性、曲げ加工性、又は転造加工性のいずれかが劣るものであった。
「第2参考例
Figure 0005990497
表2に示す第2参考例は、比較例9がMn含有量の上限値(0.040質量%)を超えているので、転造加工試験2における転造加工性が劣るものであった。この転造加工試験2は、前述の如く、フィン高さが0.24mmと、転造加工試験1のフィン高さ0.15mmよりも高いため、より厳しい転造加工条件となっている。従って、比較例9は、転造加工性が悪く、表2に示すように、Mn含有量が0.040質量%以下と低いので、Mnによる耐蟻の巣状腐食性の確保が厳しくなり、比較例10〜13のように、O含有量又はP含有量が夫々0.002質量%又は0.003質量%を超えることにより、より緩い基準の評価基準2でも耐蟻の巣状腐食性が劣化してしまう。しかし、参考例8〜13については、耐蟻の巣状腐食性、曲げ加工性及び転造加工性の全てが優れたものである。
実施例
Figure 0005990497
表3に示す実施例は、Mn含有量が0.040質量%以下と低く、耐蟻の巣状腐食性が厳しい条件であるが、Zr,Co,Ni,又はFeを含有することにより、優れた耐蟻の巣状腐食性が得られている。即ち、これらの元素の合計含有量が0.05質量%以下の実施例14〜24は、より厳しい評価基準1での耐蟻の巣状腐食性、曲げ加工性及びより緩い転造加工試験1による転造加工性の全ての試験において、良好な結果が得られた。よって、これらの元素の添加は、転造加工性を劣化させることなく、耐蟻の巣状腐食性をより一層向上させることができる。
一方、これらの元素の添加量が多すぎる比較例15は、転造加工性及び曲げ加工性が劣化し、O含有量が多い比較例16は、Co及びAlを添加しても、耐蟻の巣状腐食性が劣化している。
本発明は、銅合金管の耐蟻の巣状腐食性が向上すると共に、その転造加工性及び曲げ加工性も十分に確保できるので、揮発性有機化合物(VOC)が存在する環境下でも、銅合金管の蟻の巣状腐食を確実に防止できる。よって、本発明の無酸素銅合金管は、熱交換器用伝熱管として有益である。
1:マンドレル
2:クランプ
3:曲げピッチ

Claims (2)

  1. 無酸素銅の溶湯から溶製された銅合金からなり、
    Oの含有量が0.002質量%以下、
    Pの含有量が0.003質量%以下、
    Mnの含有量が0.005乃至0.040質量%
    Zr,Co,Ni,Fe,Mg,Cr,及びTiからなる群から選択された少なくとも1種の元素の含有量が合計で0.05質量%以下であり、
    残部がCu及び不可避的不純物である銅合金により形成され、
    管軸平行断面において肉厚方向に測定した平均結晶粒径が0.005乃至0.030mmであることを特徴とする耐食性無酸素銅合金管。
  2. 管内面に溝形状が形成された内面溝付管であることを特徴とする請求項1に記載の耐食性無酸素銅合金管。
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