JP2008252120A - ポリシリコンヒューズを有する半導体装置のトリミング方法 - Google Patents

ポリシリコンヒューズを有する半導体装置のトリミング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリシリコンヒューズを有する半導体装置の安定なトリミング(書き込み)方法を実現する。
【解決手段】半導体装置のトリミング方法は、溶断部101aを有するポリシリコンヒューズ101を備えた半導体装置において、ポリシリコンヒューズ101に電圧を印加することによって溶断部101aを溶融すると共に、電圧の印加開始から所定の時間の後、溶融したポリシリコンヒューズに電流が流れている状態において電圧の印加を停止する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ポリシリコンヒューズを有する半導体装置のトリミング方法に関する。
ポリシリコンヒューズは、回路の基準電圧の調整及びPROM(Programmable Read Only Memory)に対するデータの書き込み等、様々な分野において利用されている。
図6(a)及び(b)は、従来のポリシリコンヒューズを有する半導体装置の構造を説明するための図である。
図6(a)は半導体装置が備えるポリシリコンヒューズの平面形状を示す図であり、溶断部11aを有するポリシリコンヒューズ11と、ポリシリコンヒューズ11に電圧を印加するための引き出し配線12と、ポリシリコンヒューズ11と及び引き出し配線12を接続するコンタクト13とを透視図として示している。17a(16a)については、図6(b)についての説明の際に説明する。その他の構成要素については省略している。
次に、図6(b)は、従来のポリシリコンヒューズを有する半導体装置の断面図であり、図6(a)のVIb-VIb' 線における断面に相当する。
図6(b)に示したように、従来のポリシリコンヒューズを有する半導体装置は、半導体基板14と、半導体基板14上に形成された熱酸化膜15と、熱酸化膜15上に形成され且つ溶断部11aを有するポリシリコンヒューズ11と、ポリシリコンヒューズ11に電圧を印加するための引き出し配線12と、ポリシリコンヒューズ11と引き出し配線12とを接続するコンタクト13とを有している。また、熱酸化膜15上には、ポリシリコンヒューズ11、引き出し配線12及びコンタクト13を覆うと共に溶断部11a上に凹部16aの設けられた層間絶縁膜16が形成されている。層間絶縁膜16上には、凹部16a上に開口部17aを有する表面保護膜17が形成されている。更に、表面保護膜17上に、封止樹脂層18が形成されている。
尚、図6(a)において17a(16a)と示したように、開口部17aは凹部16a上に積み重なるように形成されており、封止樹脂層18が凹部16a及び開口部17aを充填している。
ここで、凹部16a及び開口部17aが設けられていることによって、封止樹脂層18によるポリシリコンヒューズ11等に対する膜ストレスを緩和している。
次に、以上に説明したようなポリシリコンヒューズ11を有する従来の半導体装置におけるトリミング方法、言い換えると、ポリシリコンヒューズ11に電圧を印加し、溶断部11aにおいて溶断することによって書き込みを行なう方法について説明する。
半導体装置のトリミングは、ポリシリコンヒューズ11に対し、引き出し配線12を介して所定の電圧パルスを印加することによって行なう。図7に、従来のポリシリコンヒューズを溶断する際の書き込み波形(印加する電圧及び電流の波形)を示す。
まず、所定の電圧パルスをポリシリコンヒューズ11に印加すると、電圧値の上昇に伴ってポリシリコンヒューズ11を流れる電流値も上昇し、ジュール発熱によってポリシリコンヒューズ11の内部の温度が上昇する。特に、溶断部11aにおいてはポリシリコンヒューズ11の他の部分よりも幅が狭くなっていることから電流密度が大きくなるため、発熱量も大きくなっている。
この結果、シリコンの融点である1410℃に達すると溶断部11aが溶融し始め、フィラメントと呼ばれるポリシリコンの一部が溶融して液体状になった構造が、溶断部11aの内部に形成される。
フィラメントが形成されると、溶融したポリシリコンは導電性が高いことから急激に電流が増加する。このためフィラメントは溶断部11a内において幅方向及び膜厚方向に成長し、最終的には、液体状となったポリシリコン自身の表面張力と、封止樹脂層18によるポリシリコンヒューズ11に対する膜ストレスとの作用によって分裂し、溶断される。以上のようにして、ポリシリコンヒューズ11は溶断部11aにおいて溶断される。
また、以上のようにポリシリコンヒューズ11を溶断する際に印加する電圧パルスは、フィラメントが形成されて急激に多大な電流が流れた後にも、フィラメントが分裂し、完全に電流が0になるまで電圧を印加し続ける。具体的には、例えばパルス幅が1ミリ秒以上且つ2ミリ秒以下の電圧パルスである。
尚、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば特許文献1、非特許文献1及び非特許文献2が知られている。
特開平11−163144号公報 A.Ito、E.W.(Pete)George、R.K.Lowry、H.A.Swasey、4名、"The Physics and Reliability of Fusing Polysilicon"、IEEE IRPS、(1984) 17 Alan Hastings、"The Art of Analog Layout"、185ページ〜189ページ
しかしながら、以上に説明した従来のポリシリコンヒューズを有する半導体装置及びそのトリミング方法には、以下に説明するような課題があった。
封止樹脂層18によるポリシリコンヒューズ11に対する膜ストレスは、封止樹脂の種類及び塗布の状態等によって異なる。この結果、ポリシリコンヒューズ11の溶断を妨げる場合と促進する場合とがある上に、影響の大小のバラツキも大きい。このため、ポリシリコンヒューズ11の溶断は制御が困難である。
特に、従来の構成においては、表面保護膜17の直上に封止樹脂層18が形成されており、凹部16a及び開口部17aも封止樹脂層18によって充填された構造を取るため、封止樹脂層18による膜ストレスがポリシリコンヒューズ11の溶断に大きく影響する。
封止樹脂層18によるポリシリコンヒューズ11に対する膜ストレスが溶断部11aにおける溶断を妨げるように作用した場合、溶断が不十分になる又は溶断に長時間を要する等の影響が現われ、安定した溶断を行なうことができなくなる。特に、溶断に長時間を要すると、長時間ジュール発熱が続くことになるため、発熱するポリシリコンヒューズ11に接している熱酸化膜15及び層間絶縁膜16等が溶融して破壊される等のダメージを受ける。更に、例えば表面保護膜17を介して封止樹脂層18に、例えば熱酸化膜15を介して半導体基板14に、例えばコンタクト13を介して引き出し配線12に、それぞれポリシリコンヒューズ11において発生した熱が伝達され、溶融する等、半導体装置がダメージを受ける場合がある。図7に示した書き込み波形において、溶断されて電流は0になる前に一度極めて大きくなっている(図示の範囲から振り切れている)が、これは先に説明したような溶融によるダメージが発生したことを示すと考えられる。
ここで、ポリシリコンヒューズ11に対する膜ストレスが大きい(言い換えると、硬い)封止樹脂層18を用いると、膜ストレスは溶断を妨げるように作用し、完全に溶断するまでに長い時間(例えば30μ秒程度)がかかる場合がある。このような場合、ジュール発熱量が大きくなってポリシリコンヒューズの溶断部11aにおける溶断が激しくなると共に、先に説明したように半導体装置がダメージを受ける。
また、従来の半導体装置のトリミング方法においては、フィラメントが形成されて多大な電流が流れ始めた後、電流が完全に0になるまで電圧を印加し続ける。これは、液体状になったポリシリコンの表面張力と封止樹脂層18によるポリシリコンヒューズ11に対する膜ストレスとの作用によって液体状のポリシリコンが分裂するまで電圧を印加し続けることを意味する。このため、ポリシリコンヒューズ11に対する膜ストレスの影響により短時間ではポリシリコンが分裂しない場合、ポリシリコンヒューズ11において発生する熱の影響が大きくなり、前記に説明したのと同様に半導体装置にダメージを与える等の課題があった。
本発明は、以上に説明した課題を解決するものであり、封止樹脂層によるポリシリコンヒューズに対する膜ストレスの影響を受けることなく安定な書き込み(ポリシリコンヒューズの溶断)を行なうことができる、ポリシリコンヒューズを内蔵した半導体装置のトリミング方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明の半導体装置のトリミング方法は、溶断部を有するポリシリコンヒューズを備えた半導体装置において、ポリシリコンヒューズに電圧を印加して溶断部を溶融すると共に、電圧の印加開始から所定の時間の後、溶融したポリシリコンヒューズに電流が流れている状態において電圧の印加を停止することによってトリミングを行なう。
このようにすると、電圧印加によってポリシリコンヒューズが溶融して液状となると共に、ポリシリコンヒューズに隣接している層間絶縁膜等も溶融し、該層間絶縁膜等に含まれていた酸素によって溶融したポリシリコンヒューズが酸化され、酸化物となる。この後、酸化物となった溶融状態のポリシリコンヒューズに電流が流れている状態において電圧の印加を停止すると、ジュール発熱が停止することから急速に冷却され、溶融していた酸化物が固化して酸化絶縁体となる。この結果、ポリシリコンヒューズは電気的に切断されることになり、半導体装置のトリミングが実現する。
該トリミング方法は、溶融したポリシリコンヒューズによって形成されるフィラメントが分裂することを必要としない。このため、封止樹脂層等によるポリシリコンヒューズに対する膜ストレスの影響を回避し、安定してトリミングを行なうことができる。また、フィラメントが分裂して電流が流れなくなるまで電圧印加を続ける従来方法に比べ、ジュール発熱の継続する時間が短時間であるため、熱によって半導体装置に与えられるダメージを軽減することができる。
尚、電圧を印加する所定の時間は、3μ秒以上で且つ100μ秒以下であることが好ましい。
このようにすると、溶融したポリシリコンヒューズの溶断部が確実に酸化物となることから書き込みが確実に可能となると共に、溶断部においてジュール発熱の継続する時間が十分に短くなっているため、半導体装置に与えられるダメージを確実に軽減することができる。
また、電圧を印加する所定の時間は、3μ秒以上で且つ10μ秒以下であることが更に好ましい。
このようにすると、溶融したポリシリコンヒューズの溶断部が確実に酸化物となることから書き込みが確実に可能となると共に、溶断部においてジュール発熱の継続する時間が十分に短くなっているため、半導体装置に与えられるダメージを更に確実に軽減することができる。
また、本発明の半導体装置のトリミング方法において、半導体装置は、溶断部を有するポリシリコンヒューズと、ポリシリコンヒューズを覆うように形成され、溶断部上に凹部を有する層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に形成され、凹部を充填する緩衝膜と、緩衝膜上に形成された封止樹脂層とを備え、緩衝膜によって、封止樹脂層によるポリシリコンヒューズに対する膜ストレス(以下、封止樹脂層による膜ストレスと表記する)が緩和されていることが好ましい。
このようにすると、封止樹脂層による膜ストレスを緩衝膜によって緩和している半導体装置において、溶融したポリシリコンヒューズに電流が流れている状態において電圧印加を停止することによってトリミングを行なう本発明のトリミング方法の効果を得ることができる。
本発明の半導体装置のトリミング方法によると、溶融したポリシリコンヒューズによって形成されるフィラメントが分裂することを必要とせずにポリシリコンヒューズを電気的に切断することができる。このため、ポリシリコンヒューズが大きな膜ストレスを受けている場合にも、安定してトリミングを行なうことができる。また、電圧印加時間が短いため、半導体装置に与えられるダメージを軽減できる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)及び(b)は、本実施形態のポリシリコンヒューズを有する半導体装置の構造を説明するための図である。
図1(a)は、本実施形態の半導体装置が備えるポリシリコンヒューズの平面形状を示す図であり、溶断部101aを有するポリシリコンヒューズ101と、ポリシリコンヒューズ101に電圧を印加するための引き出し配線102と、ポリシリコンヒューズ101と及び引き出し配線102を接続するコンタクト103とを透視図として示している。また、107a(106a)については、図1(b)についての説明の際に説明する。その他の構成要素については図示を省略している。
次に、図1(b)は、本実施形態のポリシリコンヒューズを有する半導体装置の断面図であり、図1(a)のIb-Ib'線における断面に相当する。
図1(b)に示したように、本実施形態のポリシリコンヒューズを有する半導体装置は、半導体基板104と、半導体基板104上に形成された熱酸化膜105と、熱酸化膜105上に形成され且つ溶断部101aを有するポリシリコンヒューズ101と、ポリシリコンヒューズ101に電圧を印加するための引き出し配線102と、ポリシリコンヒューズ101と引き出し配線102とを接続するコンタクト103とを有している。また、熱酸化膜105上には、ポリシリコンヒューズ101、引き出し配線102及びコンタクト103を覆うと共に溶断部101a上に凹部106aの設けられた層間絶縁膜106が形成されている。層間絶縁膜106上には、凹部106a上に開口部107aを有する表面保護膜107が形成されている。更に、表面保護膜107上に緩衝膜108が形成され、緩衝膜108上に封止樹脂層109が形成されている。
尚、図1(a)において107a(106a)と示したように、開口部107aは凹部106a上に積み重なるように形成されており、緩衝膜108が凹部106a及び開口部107aを充填している。
また、層間絶縁膜106は例えばSiO2 、表面保護膜107は例えばSiN、緩衝膜108は例えばポリイミド等、封止樹脂層109は例えばフェノール樹脂等を用いて形成している。但し、これらの材料に限るものではない。また、熱酸化膜105に代えて、他の種類の絶縁膜を用いることもできる。
ここで、本実施形態の半導体装置の特徴は、表面保護膜107と封止樹脂層109との間に緩衝膜108が形成され、凹部106a及び開口部107aについても緩衝膜108が充填していることである。
緩衝膜108は、フェノール樹脂等からなる封止樹脂層109によるポリシリコンヒューズ101に対する膜ストレス(以下、封止樹脂層109による膜ストレスと表記する)を緩和している。また、緩衝膜108によるポリシリコンヒューズ101に対する膜ストレス(以下、緩衝膜108による膜ストレスと表記する)は、緩衝膜108の形成されていない従来構造の半導体装置における封止樹脂層109による膜ストレスに比べて小さいようになっている。但し、ここでは膜ストレスが圧縮応力及び引張り応力のどちらであるかを問わず、絶対値の大きさについて考えている。
以上のことから、ポリシリコンヒューズ101を溶断部101aにおいて溶断する際、ポリシリコンヒューズ101が受ける膜ストレスの影響が緩和されているため、安定に溶断することができる。
尚、緩衝膜108は、絶縁性の材料であるポリイミド等を用いて形成することにより、絶縁膜としても機能させることができる。
本実施形態の半導体装置は、以下に説明するようにしてトリミングされる。
図2(a)は、本実施形態の半導体装置をトリミングするための書き込み波形(電圧パルス)の一例を示す図であり、破線で囲った部分波形201を図2(b)に拡大して示している。
図1(a)及び図1(b)に示した本実施形態の半導体装置が有するポリシリコンヒューズ101に対し、図2(a)に示したような電圧パルスを印加すると、電圧の上昇に伴ってポリシリコンヒューズ101を流れる電流値も上昇し、ジュール発熱によってポリシリコンヒューズ101の内部の温度が上昇する。特に、溶断部101aにおいてはポリシリコンヒューズ101の他の部分よりも幅が狭くなっていることから電流密度が大きいため、発熱量が大きい。
この結果、シリコンの融点である1410℃に達するとポリシリコンヒューズ101は溶断部101aの一部において溶融し始め、液体状のフィラメントが形成される。溶融したシリコンは導電性が高いため、フィラメントが形成されると、流れる電流が急激に増加する。また、フィラメントは溶断部11a中において幅方向及び膜厚方向に成長し、最終的には、液体状になったポリシリコン自身の表面張力と、緩衝膜108及び封止樹脂層109による膜ストレスとの作用によって分裂し、溶断される。図2(a)において、電流が0になる時刻T1 が、溶断の起こった時刻を示している。
ここで、先に説明したように、緩衝膜108が形成されていることによって、ポリシリコンヒューズ101に及ぼされる膜ストレスの総計が緩和されている。このため、ポリシリコンヒューズ101の安定した溶断(半導体装置のトリミング)が可能となっている。
尚、本実施形態の半導体装置においては、緩衝膜108として、ポリイミド膜を用いた。しかし、これに限るものではなく、封止樹脂層109による膜ストレスを緩和できる材料であればよい。例えば、緩衝膜108が形成されていない場合の封止樹脂層109による膜ストレスに比べてポリシリコンヒューズ101に対する膜ストレスが小さい緩衝膜108が形成できる材料であればよい。具体的には、例えば芳香族エーテル膜等の有機高分子膜又は有機SOG(Spin on Glass )膜等の有機絶縁膜等を用いても良い。また、例えば常圧CVD(Chemical Vapor Deposition )法等によって形成されるシリコン酸化膜等の無機絶縁膜を用いることもできる。
(第1の実施形態の変形例)
次に、第1の実施形態の変形例について図面を参照して説明する。
図3(a)及び図3(b)に、本変形例に係るポリシリコンヒューズを有する半導体装置の構造を示す。
図3(a)は、本本変形例に係る半導体装置が備えるポリシリコンヒューズの平面形状を示す図である。ここで、図1(a)に示した平面形状と同じ構成要素には同じ符号を付すことにより、詳しい説明は省略する。図1(a)及び図3(a)に示した平面形状の相違点は、本変形例においては表面保護膜107及び開口部107aは形成されていないため、図3(a)において107aが示されていない点である。
図3(b)は、本変形例のポリシリコンヒューズを有する半導体装置の断面図であり、図3(a)のIIIb-IIIb'線における断面に相当する。図3(b)に示す本変形例の半導体装置と第1の実施形態の半導体装置の相違は、緩衝膜108によって表面保護膜107の役割を兼用させることにより、表面保護膜107を省略していることである。このため、開口部107aも当然に形成されていない。この他の構成要素については同様であるから、図1(b)と同じ符号を付すことによって詳しい説明は省略する。
第1の実施形態の変形例においては、第1の実施形態と同様の効果に加え、表面保護膜107が省略されていることにより、半導体装置の構造及び製造工程を簡略化することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る半導体装置のトリミング方法(書き込み方法)について、図面を参照して説明する。
本実施形態においては、第1の実施形態に係る半導体装置に対するトリミングを行なう。図4(a)に、本実施形態において用いる書き込み波形の一例を示した。また、破線で囲った部分波形202を図4(b)に拡大して示している。
第1の実施形態の半導体装置のトリミング方法と同様、ポリシリコンヒューズ101に対する電圧パルスの印加によってポリシリコンヒューズ101に電流が流れ、ジュール発熱が起こる。これによってフィラメントが形成されて電流が急激に増加すると共に、溶断部11a中においてフィラメントが幅方向及び膜厚方向に成長する。この過程までについては、第1の実施形態の場合と同様である。
第1の実施形態においては、この後も1〜2ミリ秒程度電圧を印加し続けた。最終的に、液体状になったポリシリコン自身の表面張力と、緩衝膜108及び封止樹脂層109等による膜ストレスとの作用によってフィラメントが分裂し、ポリシリコンヒューズ101が溶断されたのである。この時刻は図2(a)において電流が0になる時刻T1 として示されている。
これに対し、第2の実施形態においては、フィラメントが分裂するより前に印加電圧を0にすることによって半導体装置のトリミングを行なう。これについて以下に説明する。
先に説明したように、ポリシリコンヒューズ101に対する電圧印加によって形成されたフィラメントは、ポリシリコンヒューズ101中において成長する。この際、ポリシリコンヒューズ101に隣接している熱酸化膜105及び層間絶縁膜106にも熱が移動し、例えばSiO2 等からなる熱酸化膜105及び層間絶縁膜106の一部が溶融する。このようにして溶融した熱酸化膜105及び層間絶縁膜106に含まれている酸素と、溶融したポリシリコンとが反応し、酸化物となる。しかし、溶融状態であるため導電性であり、電流は流れ続ける。
この後、図4(a)に示した時刻T2 (ここでは電圧印加開始後6.0μ秒後)において、電圧を急激に減少して0とすると、電流も0となるためジュール発熱が停止する。このため、溶融したシリコン酸化物となっていたフィラメントが急冷されて固化し、酸化絶縁体となる。このようにしてポリシリコンヒューズ101を電気的に切断することにより、半導体装置のトリミングを行なうことができる。
以上のように、第2の実施形態に係る半導体装置のトリミング方法によると、溶断部11a中において溶融したポリシリコンが層間絶縁膜106等に含まれる酸素によって酸化物となり、更に印加電圧が強制的に遮断されて0となると急冷されて固化し、酸化絶縁体となる。このようにしてポリシリコンヒューズ101は電気的に切断され、半導体装置のトリミングが実現する。
第2の実施形態に係る半導体装置のトリミング方法においては、従来のトリミング方法とは異なり、液体状になったポリシリコンが封止樹脂層等によるポリシリコンヒューズ101に対する膜ストレス等の影響によって分裂することを必要としない。このため、ポリシリコンヒューズ101に及ぼされている膜ストレスの影響が軽減され、半導体装置のトリミングを安定して行なうことができる。これにより、ポリシリコンヒューズ101に対する膜ストレスが大きい封止樹脂によって封止されている場合にも安定な書き込みが可能となる。
また、1ミリ秒から2ミリ秒程度の間に亘って電圧を印加していた従来のトリミング方法に比べ、電圧の印加される時間が短い。このため、ジュール発熱の継続する時間が短くなり、このような熱によって半導体装置が受けるダメージを軽減することができる。
尚、本実施形態においては、電圧印加開始後6.0μ秒後に電圧が強制的に遮断され、0Vとなる電圧パルスを用いた。しかし、電圧が遮断されるまでの時間は、フィラメントが十分に酸化され、確実に書き込みを行なうために必要な時間より長い時間であると共に、ジュール熱によって半導体装置が受けるダメージを軽減するために必要なだけ短い時間であれば良い。
ここで、電圧遮断までの時間(パルス時間)に対する書き込み歩留りの依存性を調べたところ、図5のような結果を得た。つまり、パルス時間が0.5μ秒では25%程度、1.0μ秒では80%程度の歩留りであるのに対し、パルス時間2.0μ秒の場合には、ほぼ100%の歩留りであった。このことから、パルス時間は2.0μ秒以上とするのが良く、3.0μ秒以上とすれば、より確実な書き込みを実現することができる。
また、熱によるダメージを軽減するためには、パルス時間を100μ秒以下とすると十分な効果があり、また、10μ秒以下とすると更に確実に効果がある。
また、本実施形態においては、第1の実施形態のポリシリコンヒューズを有する半導体装置を用いた場合のトリミング方法について説明した。しかし、これに代えて、従来のポリシリコンヒューズを有する半導体装置について本実施形態に係る半導体装置のトリミング方法を適用した場合にも、安定した書き込みと半導体装置に対するダメージを軽減する項は実現することができる。
本発明のポリシリコンヒューズを有する半導体装置のトリミング方法は、半導体装置に内蔵されたポリシリコンヒューズの安定なトリミングを実現する効果があり、通信機用、AV機器等の高精度の電気的特性が要求される半導体装置等に有用である。
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係るポリシリコンヒューズを有する半導体装置の構造を示す図であり、図1(a)は一部構成要素だけを示す平面透視図、図1(b)は図1(a)のIb-Ib'線における断面図である。 図2(a)は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置をトリミングする際の書き込み波形を示す図であり、図2(b)は、図2(a)の一部を拡大して示した図である。 図3(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態の変形例に係るポリシリコンヒューズを有する半導体装置の構造を示す図であり、図3(a)は一部構成要素だけを示す平面透視図、図3(b)は図3(a)のIIIb-IIIb'線における断面図である。 図4(a)は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置のトリミング方法における書き込み波形を示す図であり、図4(b)は、図4(a)の一部を拡大して示した図である。 図5は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置のトリミング方法における、書き込み歩留りのパルス時間に対する依存性を示す図である。 図6(a)及び(b)は、従来のポリシリコンヒューズを有する半導体装置の構造を示す図であり、図6(a)は一部構成要素だけを示す平面透視図、図6(b)は図6(a)のVIb-VIb' 線における断面図である。 図7は、従来の半導体装置をトリミングする際の書き込み波形を示す図である。
符号の説明
101 ポリシリコンヒューズ
101a 溶断部
102 引き出し配線
103 コンタクト
104 半導体基板
105 熱酸化膜
106 層間絶縁膜
106a 凹部
107 表面保護膜
107a 開口部
108 緩衝膜
109 封止樹脂層
201 部分波形
202 部分波形

Claims (4)

  1. 溶断部を有するポリシリコンヒューズを備えた半導体装置において、
    前記ポリシリコンヒューズに電圧を印加することによって前記溶断部を溶融すると共に、
    前記電圧の印加開始から所定の時間の後、溶融した前記ポリシリコンヒューズに電流が流れている状態において電圧の印加を停止することによってトリミングを行なうことを特徴とする半導体装置のトリミング方法。
  2. 前記所定の時間は、3μ秒以上で且つ100μ秒以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置のトリミング方法。
  3. 前記所定の時間は、3μ秒以上で且つ10μ秒以下であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置のトリミング方法。
  4. 前記半導体装置は、半導体基板上に形成され、溶断部を有するポリシリコンヒューズと、
    前記半導体基板上に前記ポリシリコンヒューズを覆うように形成され、前記溶断部上に凹部を有する層間絶縁膜と、
    前記層間絶縁膜上に形成され且つ前記凹部を充填する緩衝膜と、
    前記緩衝膜上に形成された封止樹脂層とを備え、
    前記緩衝膜によって、前記封止樹脂層による前記ポリシリコンヒューズに対する膜ストレスが緩和されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置のトリミング方法。
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