JP2008251474A - 密閉電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 同一強度の高エネルギービームを用いて、外装缶と封口板の嵌合部における溶接強度を向上させる。
【解決手段】 封口板を外装缶の開口に嵌合し、当該嵌合部を高エネルギービームで溶接してなる密閉電池の製造方法であって、封口板本体を構成する主材金属よりも熱伝導率の小さい金属を用いて、前記封口板の周縁外方面よりも少なくとも0.1mm内側に入ったところを上端とし封口板厚み方向に沿って延びる異種金属部を設け、封口板を外装缶開口に嵌合した後、当該嵌合部に高エネルギービームを照射して当該嵌合部を溶接する。
【選択図】 図3
【解決手段】 封口板を外装缶の開口に嵌合し、当該嵌合部を高エネルギービームで溶接してなる密閉電池の製造方法であって、封口板本体を構成する主材金属よりも熱伝導率の小さい金属を用いて、前記封口板の周縁外方面よりも少なくとも0.1mm内側に入ったところを上端とし封口板厚み方向に沿って延びる異種金属部を設け、封口板を外装缶開口に嵌合した後、当該嵌合部に高エネルギービームを照射して当該嵌合部を溶接する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、密閉電池に関し、より詳しくは密閉電池の溶接強度の改良に関する。
密閉電池は、さまざまな電子機器の駆動電源として用いられており、特に角形密閉電池は、
電子機器内部に実装しやすいという利点がある。このような密閉電池は、一般に外装缶の開口部と封口体とを嵌合し、嵌合部にレーザを照射して金属を溶融し溶接するという方法により作製されるが、レーザ溶接における強度が十分でないと、電池落下時にクラック(ひびわれ)が生じ、当該クラックから電解液が漏液したり、酸素や水分が電池内部に浸入して電池性能を低下させたりするという問題があり、角形密閉電池は角があることから特に落下時にクラックが発生し易い。
電子機器内部に実装しやすいという利点がある。このような密閉電池は、一般に外装缶の開口部と封口体とを嵌合し、嵌合部にレーザを照射して金属を溶融し溶接するという方法により作製されるが、レーザ溶接における強度が十分でないと、電池落下時にクラック(ひびわれ)が生じ、当該クラックから電解液が漏液したり、酸素や水分が電池内部に浸入して電池性能を低下させたりするという問題があり、角形密閉電池は角があることから特に落下時にクラックが発生し易い。
レーザ照射法による溶接強度を高めるには、レーザ強度を増し、金属の溶け込み深さを大きくすることが考えられる。しかし、レーザ強度を増すと、スパッタの発生やレーザ装置の劣化を招くと共に、電池缶内に収納した発電要素に熱的ダメージを与える恐れがある。
このため電池の溶接強度を高める技術が種々提案されており、例えば特許文献1〜3が提案されている。
特許文献1は、封口蓋におけるレーザ光の反射率を外装缶におけるレーザ光の反射率よりも低くする技術であり、この技術によると、レーザ溶接部のシール性能の低下を低減できるとされる。
特許文献2は、外装缶と封口板とがレーザ溶接されてなるスポット溶融痕を外装缶の高さ方向と平行で且つ外装缶外表面から封口板までの距離が最短となる平面で切断したとき、その断面が、スポット溶融痕底面から前記外装缶の外方に山状に盛り上がった形状とし、山状の盛り上がり頂点が封口板の外表面を包含する平面よりも封口板の内表面側に位置させる技術である。この技術によると、溶接強度を高めることができるとされる。
特許文献3は、開口部の周縁を構成する側壁の開口部断面の外面側が直線状であり且つその開口部の周縁を構成する側壁のなかで少なくとも前記直線状外面の長さが最長である側壁の開口部断面において該断面の中央部分の厚みがその両端よりも厚い角形ケースを用意する工程と、前記開口部を封口する位置に該開口部を塞ぎ得る大きさの封口部材を配置する工程と、前記封口部材と前記開口部周縁の側壁との境界部に前記ケースの側方から高密度エネルギーを照射することにより、該側壁の厚みに対応させて該側壁厚み方向の溶け込み深さを変化させつつ該ケースに封口部材を溶接する工程とを備える技術である。
また、下記特許文献4〜5には、レーザ溶接に際して溶接補助部材やろう材を用いる技術が提案されている。
しかしながら、これらの技術によっても未だ十分な溶接強度を有する電池が得られていない。
本発明は、同一強度の高エネルギービームを用いた場合であっても、外装缶と封口板の嵌合部における溶接強度を向上させることのできる密閉電池の製造方法を提供し、この製造方法を用いて溶接強度に優れた密閉電池を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための発明は、外装缶の開口に封口板が嵌合され、当該嵌合部が高エネルギービームで溶接されてなる密閉電池において、前記外装缶の開口内側と、前記外装缶の開口内側に当接する前記封口板の側面との間には、封口板本体を構成する主材金属よりも熱伝導率の小さい異種金属からなる異種金属部が設けられ、当該異種金属部は、前記封口板周縁の外方面よりも電池内方に下がったところを上端とし、外装缶壁に沿って電池内方に延びていることを特徴とする。
一般に、高エネルギービームとしてのレーザの強度を増すと、金属の溶け込み深さが大きくなるが、レーザ熱は深さ方向ばかりでなく、横方向にも拡散するため、溶接におけるエネルギー効率が悪くなる。また、レーザの強度を増すと、スパッタの発生量が増えると共に、発電要素に熱的損傷を与えるなどの問題が生じる。また、レーザ装置の劣化を早めるという問題もある。ここにおいて、上記構成では、レーザ光が照射される部位の最上面よりも下側に封口板本体を構成する主材金属よりも熱伝導率の小さい異種金属部が配置されている。この構成であると、異種金属部がレーザ溶接熱の拡散を防止するように作用し、上記最上面と異種金属部までの間の温度を高める。よって、エネルギー効率よく溶接強度に優れた密閉電池を構成することができる。
上記密閉電池にかかる発明構成において、前記異種金属が、前記封口板本体を構成する主材金属の融点よりも高い融点温度を有する金属である構成とすることができる。
異種金属部を構成する金属の融点が封口板本体を構成する主材金属の融点以下であると、レーザ照射時に異種金属部が同時又は先に溶融するため、溶接熱の分散を防止する効果が十分に発揮されない。よって、前記異種金属は、主材金属と同等以上の融点温度を有する金属であることが好ましい。
また、上記密閉電池にかかる発明構成において、前記異種金属部が、前記封口板周縁の外方面よりも電池内方に少なくとも0.1mmだけ下がった位置を上端とする構成とすることができる。
異種金属部の上端の位置が封口板の外方上端面と面一であると、レーザ熱の内方への熱伝導を邪魔するので好ましくない。その一方、その位置が深すぎると、溶接熱の分散を防止する効果が十分に発揮されない。このことから、その上端位置は、封口板側面の外装缶軸方向の外方端よりも0.10mm以上下がったところが好ましく、この位置であると、十分な溶接深度の溶接を効率よく実現することができる。これにより密閉強度に優れた密閉電池が構成できる。
ここで、異種金属部の上端近傍では、主材金属と異種金属が共に溶融して混ざりあった状態になるので、溶接後に明確に確認できる異種金属部は、溶接痕に続く部分となる。よって、上記各構成における異種金属部の上端は、溶接後に確認することのできる異種金属部の上端、すなわち溶融痕の下端に続く部分(最上端)を意味する。
上記密閉電池にかかる発明構成において、異種金属部は外装缶の開口内面に設けられていても、封口体側面に設けられていても同様の作用効果を奏する。
上記密閉電池にかかる発明構成においては、前記外装缶が角形であり、前記主材金属がアルミニウムで、前記異種金属部を構成する金属がニッケルである構成とすることができる。
角形の密閉電池は、溶接強度の強いところと弱いところができ易く、また落下したとき角部に強い衝撃を受け易いので、特に良質の溶接が要求される。更に、アルミニウムは熱伝導率が高く、溶接熱が四方に拡散し易い。よって、封口板の外周側面にアルミニウムよりも熱伝導率の小さいニッケルからなる異種金属部を設けた上記構成によると、ニッケルからなる異種金属部が無用な熱拡散を抑制し、且つアルミニウムとニッケルとが都合よく溶融し合う結果、強度に優れた溶接部が形成される。
次に、上記各構成にかかる密閉電池を製造する方法について説明する。上記各構成にかかる密閉電池は、封口板本体部と封口板外周側面に形成された異種金属部とを有する封口板を、外装缶の開口に嵌合し、当該嵌合部を高エネルギービームで溶接してなる密閉電池の製造方法であって、前記封口板本体を構成する主材金属よりも熱伝導率の小さい金属を用いて、前記封口板本体部に、前記封口板の周縁外方面よりも内側に入ったところを上端とし封口板厚み方向に沿って延びる異種金属部を設ける封口板作製工程と、前記封口板作製工程で作製した封口板を、外装缶開口に嵌合した後、当該嵌合部に高エネルギービームを照射して当該嵌合部を溶接する溶接工程と、を備えることを特徴とする密閉電池の製造方法により製造することができる。
また、上記各構成にかかる密閉電池は、封口板本体部と、外装缶の開口内側に形成された異種金属部とを有する外装缶の開口とを嵌合し、当該嵌合部を高エネルギービームで溶接してなる密閉電池の製造方法であって、前記封口板本体を構成する主材金属よりも熱伝導率の小さい金属を用いて、前記外装缶の開口内側に、前記封口板の周縁外方面よりも内側に入ったところを上端とし封口板厚み方向に沿って延びる異種金属部を設ける外装缶作製工程と、前記外装缶作製工程で作製した外装缶の開口と封口板とを嵌合した後、当該嵌合部に高エネルギービームを照射して当該嵌合部を溶接する溶接工程と、を備えることを特徴とする密閉電池の製造方法により製造することができる。
上記製造方法において、異種金属部は外装缶の開口内面に設けられていても、封口体側面に設けられていても同様の作用効果を奏する。
また、上記製造方法において、前記異種金属部は、前記封口板の外周側面に直交する方向厚みが0.02mm以上、外装缶開口壁に当接する面の外装缶軸方向長が0.3mm以上に構成され、電池外方面側の外周縁上端より少なくとも0.1mmだけ内側に入った位置を始端とし、電池内方面側に延びて形成された構成とし、前記溶接工程で、当該金属部を有する封口板の電池外方面側の周縁端と、前記外装缶開口端とを面一に嵌合した後、当該嵌合部に高エネルギービームを照射する製造方法とすることができる。
異種金属部の厚みを0.02mm以上とすることにより、外装缶軸方向に直交する方向への熱拡散を十分に防止でき、異種金属部の外装缶軸方向長を0.3mm以上とすることにより、深さ方向(外装缶軸方向)への熱拡散を十分に防止できる。そして、このような異種金属部を、その上端が電池外方面側の外周縁上端より0.1mmだけ内側に入ったところに位置させると、その上方に0.1mm厚の主材金属が存在するので、この部分の主材金属が先ず溶融する。
よって、確実に溶接深度0.1mmを確保できる。また、厚みが0.02mm以上で外装缶軸方向長が0.3mm以上の異種金属部が下方(電池内方)への無用な熱拡散を防止するので、外装缶内に収容された発電要素に無用な熱が作用しないと共に、深さ0.1mmの周辺に適度に熱が広がるので、溶接強度に優れた溶接を実現する。つまり、上記構成の製造方法によると、外装缶内に収容された発電要素に無用な熱を作用させることなく、十分な溶融深度を確保することができる。
よって、確実に溶接深度0.1mmを確保できる。また、厚みが0.02mm以上で外装缶軸方向長が0.3mm以上の異種金属部が下方(電池内方)への無用な熱拡散を防止するので、外装缶内に収容された発電要素に無用な熱が作用しないと共に、深さ0.1mmの周辺に適度に熱が広がるので、溶接強度に優れた溶接を実現する。つまり、上記構成の製造方法によると、外装缶内に収容された発電要素に無用な熱を作用させることなく、十分な溶融深度を確保することができる。
また、上記製造方法においては、前記異種金属として、前記封口板本体を構成する主材金属の融点よりも高い融点温度を有する金属を用いる構成とすることができる。
この構成であると、先ず主材金属が溶融し、この後に異種金属部の上端が溶融することになるので、溶融深度の調整が容易である。
また、上記製造方法においては、前記外装缶として角形の外装缶を用い、前記主材金属としてアルミニウムを用い、前記異種金属部を構成する金属としてニッケルを用いる構成とすることができる。
この構成であると、密閉電池の構成において説明した同様な作用効果が得られる。
以上説明したように、本発明によると、発電要素や他の構成部品に熱ダメージを与えることなく、同一強度の高エネルギービームを用いて、外装缶と封口板の嵌合部における溶接強度を格段に向上させることができる。よって、本発明によると、密閉性、堅牢性に優れた密閉電池を提供できる。
本発明を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明する。
〔実施例1〕
図1は異種金属部3を有する封口板1の断面模式図であり、図2は要部模式図である。各図は、本発明実施の形態を説明するために必要のない部材を省略し、図を単純化して描いてある。
〔実施例1〕
図1は異種金属部3を有する封口板1の断面模式図であり、図2は要部模式図である。各図は、本発明実施の形態を説明するために必要のない部材を省略し、図を単純化して描いてある。
図1、2において、封口板1は金属材料からなり、封口板本体部4(異種金属部を除く部分)と、本体部4を構成する金属よりも熱伝導率の小さい金属からなる異種金属部3とを有する。封口板の厚みは通常0.5〜1.5mmであり、実施例1では周囲に凸部を有する凹状形状のものを用い、凸部分厚み0.3mm、凸部幅0.35mm、中央部分の厚み0.8mmであり、封口板の最大縦横幅は33mm×5.6mmであった。
また、実施例1の本体部4はアルミニウムで構成されており、異種金属部3はニッケルで構成されている。異種金属部3の厚みは0.010mm、深さ方向長(外装缶軸方向長)は、0.3mmであった。異種金属部の上端5は、封口板側面の外装缶軸方向の外方端6(以下、封口板上端6という)よりも0.10mmだけ内方に下がったところに位置させた。異種金属部は、例えば封口板の外周側面を削る等して凹部を形成し、当該部分にニッケルをコーティングするか、又はニッケル箔を張り付けるなどの方法により形成すればよい。
図3は、封口板1を外装缶2の開口に嵌合し、レーザ照射を行う様を示す断面模式図(溶接前)であり、図4はレーザ溶接後の状態を示す断面模式図である。図3,4における符号2が開口を有する外装缶であり、ここではアルミニウム製の縦6mm×横34mm×高さ49mmの角形外装缶を用いた。この外装缶2の開口に上記封口板1を嵌合し、両部材の嵌合部分に高エネルギービームとしてのレーザ光を照射し、レーザ封口溶接を行い、実施例1の密閉電池を作製した。
なお、上記嵌合の前に外装缶内部に、コバルト酸リチウムを正極活物質とし、炭素質材料を負極活物質とする理論容量1200mAの渦巻き状発電体と電解液(両者合計重量約24g)を収容した。
〔実施例2〜6〕
異種金属部の厚み及び封口板外面からの設置位置(上端位置)を変化させたこと以外は、上記実施例1と同様にして、封口板を作製すると共に、この封口板を用いて密閉電池を作製した。表1に封口板の条件を一覧表示する。
異種金属部の厚み及び封口板外面からの設置位置(上端位置)を変化させたこと以外は、上記実施例1と同様にして、封口板を作製すると共に、この封口板を用いて密閉電池を作製した。表1に封口板の条件を一覧表示する。
〔比較例1〕
比較例1として、封口板に異種金属部を設けないこと以外は、上記実施例1と同様にして比較例1にかかる密閉電池を作製した。
比較例1として、封口板に異種金属部を設けないこと以外は、上記実施例1と同様にして比較例1にかかる密閉電池を作製した。
〔比較例2〕
異種金属部の上端位置を封口板上面と面一にしたこと以外は、上記実施例1と同様にして比較例2にかかる密閉電池を作製した。
異種金属部の上端位置を封口板上面と面一にしたこと以外は、上記実施例1と同様にして比較例2にかかる密閉電池を作製した。
〔溶接状態の評価〕
実施例1〜6及び比較例1の密閉電池をそれぞれ15個づつ作製し、それぞれ5個を用いて溶接深度の測定、押さえ強度の測定、落下割れ試験を行った。溶接深度の測定は、完成電池を外装缶軸方向に切断し、溶接部分を顕微鏡(倍率200倍)で観察する方法によった。押さえ強度の測定は、先端が直径3mmの丸棒状の押さえ具で封口板の上面外周に圧力を加え、溶接部が破断したときの加圧力を測定した。落下割れ試験は、完成電池を1.65mの高さからコンクリート面に落下させ、溶接部の割れを調べる方法によった。より詳しくは、完成電池の各面(全6面)をコンクリート面に平行にして全6通りの落下を行い、全6通りの落下を1セットとし、各セット終了ごとに溶接部割れを5倍の拡大鏡を用いて観察した。溶接部割れが認められたセット回数をNGセット回数とした。
実施例1〜6及び比較例1の密閉電池をそれぞれ15個づつ作製し、それぞれ5個を用いて溶接深度の測定、押さえ強度の測定、落下割れ試験を行った。溶接深度の測定は、完成電池を外装缶軸方向に切断し、溶接部分を顕微鏡(倍率200倍)で観察する方法によった。押さえ強度の測定は、先端が直径3mmの丸棒状の押さえ具で封口板の上面外周に圧力を加え、溶接部が破断したときの加圧力を測定した。落下割れ試験は、完成電池を1.65mの高さからコンクリート面に落下させ、溶接部の割れを調べる方法によった。より詳しくは、完成電池の各面(全6面)をコンクリート面に平行にして全6通りの落下を行い、全6通りの落下を1セットとし、各セット終了ごとに溶接部割れを5倍の拡大鏡を用いて観察した。溶接部割れが認められたセット回数をNGセット回数とした。
これらの測定結果を表2〜4に示す。
(各種試験結果)
実施例1〜5と比較例1の溶接深度および押さえ強度試験の結果は表2、表3に示す通りであり、異種金属部を有しない封口板を用いた比較例1の平均溶接深度は0.195mmであるのに対し、異種金属部を有する封口板を用いた実施例1〜5のそれは0.220〜0.295であった。また、比較例1の平均押さえ強度は385N(ニュートン)であるのに対し、実施例1〜5のそれは419N〜551Nであった。平均溶接深度と平均押さえ強度の関係は完全に一致しており、溶接深度の深いものほど平均押さえ強度が大きかった。すなわち、実施例3>実施例2>実施例5>実施例4>実施例1>比較例1の順であった。
実施例1〜5と比較例1の溶接深度および押さえ強度試験の結果は表2、表3に示す通りであり、異種金属部を有しない封口板を用いた比較例1の平均溶接深度は0.195mmであるのに対し、異種金属部を有する封口板を用いた実施例1〜5のそれは0.220〜0.295であった。また、比較例1の平均押さえ強度は385N(ニュートン)であるのに対し、実施例1〜5のそれは419N〜551Nであった。平均溶接深度と平均押さえ強度の関係は完全に一致しており、溶接深度の深いものほど平均押さえ強度が大きかった。すなわち、実施例3>実施例2>実施例5>実施例4>実施例1>比較例1の順であった。
他方、封口板上端と面一にして異種金属部を設けた比較例1については、レーザ溶接時にスパッタが発生し実質的に溶接が困難であった。
これらの関係を封口板条件との関係で見ると、異種金属部の上端位置が封口板外面(上端面)と同じである場合には、異種金属部を設けても効果が得られないこと、及び少なくとも上記上端位置が0.10mm以上であれば、十分に異種金属部設置効果が得られるが、その厚みが少な過ぎても大きすぎてもその効果が減少することが判り(実施例1、2,3,4参照)、上端位置が低すぎると、異種金属部設置効果が減少することが判る(実施例3,4参照)。
表2,表3の結果は、表4の結果とも一致しており、実施例1〜5は比較例1に比べ溶接部の割れが認められるまでの落下セット回数(NGセット回数)が大きかった。また、実施例のうち最も溶接深度が深く、押さえ強度が大きかった実施例3は、比較例1に比較し格段にNGセット回数が大きかった。
本発明にかかる封口溶接について、図4,5を参照しながら更に説明する。図4は実施例1の本発明にかかる封口溶接状態を示す模式図である。図5(a)は、比較例1における外装缶と封口板との嵌合状態を示す模式図であり、図5(b)は、レーザ溶接後の嵌合部の状態を示す模式図である。
図4の符号10が溶接痕であり、溶接痕10の下端に続く部分が溶接後における異種金属部13であり、溶接痕10の下端が異種金属部の上端ともなる。図5は比較例1の溶接工程を示す図であり、図5(b)の符号12が比較例1の溶接痕20であり、符号12がその溶接深度を示す。図4の符号12は、比較例1の溶接深度12を意味するが、符号11と符号12の線分長の差が両者の溶接深度の差を表す。図4に示すように、異種金属部10を設けると、無用な熱拡散が抑制されるため、レーザ照射による熱が都合よく作用する結果、嵌合部のより深い部分にまで溶融が進む。この線分長差は、異種金属部の厚さ及び上端位置を一層好適なものとした実施例3において一層大きくなる。
以上から、異種金属部の上端位置は、封口板上端よりも低くする必要があることが判り、また異種金属部は、封口板の外周側面に直交する方向厚みを0.02mm以上、外装缶開口壁に当接する面の外装缶軸方向長が0.3mm以上とし、封口板周縁の外方面より少なくとも0.1mmだけ厚み方向に入った位置を始端とし、厚み方向に沿って設けるのが好ましいことが判った。
なお、上記実施例では、封口板本体を構成する主材金属としてアルミニウムを用い、異種金属部を構成する金属(異種金属)を用いたが、本発明にかかる封口板の材料はこれらに限られるものではない。封口板本体を構成する主材金属は熱溶融するものであればよく、異種金属は主材金属よりも熱伝導率の小さい金属であればよい。ただし、主材金属としては、軽量で適度な強度し且つ高エネルギービームで溶融可能な金属が好ましく、この点でアルミニウム又はアルミニウムを主材とする合金が好ましい。また、異種金属としては、ニッケル、白金、鉄、またはこれらの合金が好ましい。これらの金属はアルミニウムよりも熱伝導率が小さく且つ融点温度が高い。
また、本発明は、高エネルギービームを用いて封口溶接する電池一般に適用することができ、一次電池、二次電池の何れにも適用できる。また、角形電池に限られず、円筒形電池やコイン形電池にも適用することができる。
また、本発明で使用する高エネルギービームとしては、パルスレーザが好ましいがこれに限られるものではない。CW(連続発振型)レーザや電子ビームなどを用いることもできる。
以上に説明したように、本発明によると、高エネルギービームの出力条件を同一とした場合においても、より溶接強度に優れた密閉電池を実現することができる。よってその産業上の利用可能性は高い。
1 封口板
2 外装缶
3 異種金属部
4 封口板本体部
5 異種金属部上端
6 封口板上端(外方端)
10、20 溶接痕
11、12、 溶接深さ
2 外装缶
3 異種金属部
4 封口板本体部
5 異種金属部上端
6 封口板上端(外方端)
10、20 溶接痕
11、12、 溶接深さ
Claims (11)
- 外装缶の開口に封口板が嵌合され、当該嵌合部が高エネルギービームで溶接されてなる密閉電池において、
前記外装缶の開口内側と、前記外装缶の開口内側に当接する前記封口板の側面との間には、封口板本体を構成する主材金属よりも熱伝導率の小さい異種金属からなる異種金属部が設けられ、
当該異種金属部は、前記封口板周縁の外方面よりも電池内方に下がったところを上端とし、外装缶壁に沿って電池内方に延びている、
ことを特徴とする密閉電池。 - 請求項1に記載の密閉電池において、
前記異種金属は、前記封口板本体を構成する主材金属の融点よりも高い融点温度を有する金属である、
ことを特徴とする密閉電池。 - 請求項1に記載の密閉電池において、
前記異種金属部は、前記封口板周縁の外方面よりも電池内方に少なくとも0.1mmだけ下がった位置を上端とする、
ことを特徴とする密閉電池。 - 請求項1に記載の密閉電池において、
前記異種金属部は、前記外装缶の開口内側に設けられていることを特徴とする密閉電池。 - 請求項1に記載の密閉電池において、
前記異種金属部は、前記封口板の側面に設けられていることを特徴とする密閉電池。 - 請求項1乃至5の何れかに記載の密閉電池において、
前記外装缶が角形であり、
前記主材金属がアルミニウムで、前記異種金属部を構成する金属がニッケルである、
ことを特徴とする密閉電池。 - 封口板本体部と封口板外周側面に形成された異種金属部とを有する封口板を、外装缶の開口に嵌合し、当該嵌合部を高エネルギービームで溶接してなる密閉電池の製造方法であって、
前記封口板本体を構成する主材金属よりも熱伝導率の小さい金属を用いて、前記封口板本体部に、前記封口板の周縁外方面よりも内側に入ったところを上端とし封口板厚み方向に沿って延びる異種金属部を設ける封口板作製工程と、
前記封口板作製工程で作製した封口板を、外装缶開口に嵌合した後、当該嵌合部に高エネルギービームを照射して当該嵌合部を溶接する溶接工程と、
を備えることを特徴とする密閉電池の製造方法。 - 封口板本体部と、外装缶の開口内側に形成された異種金属部を有する外装缶の開口とを嵌合し、当該嵌合部を高エネルギービームで溶接してなる密閉電池の製造方法であって、
前記封口板本体を構成する主材金属よりも熱伝導率の小さい金属を用いて、前記外装缶の開口内側に、前記封口板の周縁外方面よりも内側に入ったところを上端とし封口板厚み方向に沿って延びる異種金属部を設ける外装缶作製工程と、
前記外装缶作製工程で作製した外装缶に、封口板を嵌合した後、当該嵌合部に高エネルギービームを照射して当該嵌合部を溶接する溶接工程と、
を備えることを特徴とする密閉電池の製造方法。 - 請求項7または8に記載の密閉電池の製造方法において、
前記異種金属部は、前記封口板の外周側面に直交する方向厚みが0.02mm以上、外装缶開口壁に当接する面の外装缶軸方向長が0.3mm以上に構成され、前記封口板周縁の外方面より少なくとも0.1mmだけ厚み方向に入った位置を始端とし、厚み方向に沿って延設されており、
前記溶接工程において、当該異種金属部の形成された封口板周縁の外方面と、前記外装缶開口端とを面一に嵌合し、しかる後に当該嵌合部に高エネルギービームを照射して当該嵌合部を溶接する、
ことを特徴とする密閉電池の製造方法。 - 請求項7乃至9の何れかに記載の密閉電池の製造方法において、
前記異種金属として、前記封口板本体を構成する主材金属の融点よりも高い融点温度を有する金属を用いる、
ことを特徴とする密閉電池の製造方法。 - 請求項7乃至10の何れかに記載の密閉電池において、
前記外装缶として角形の外装缶を用い、前記主材金属としてアルミニウムを用い、前記異種金属部を構成する金属としてニッケルを用いる、
ことを特徴とする密閉電池の製造方法。
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