JP2011129266A - 角形密閉電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】高エネルギービーム封口溶接法を用いて製造される角形密閉電池において、高エネルギービーム封口溶接部分の接合強度を向上させる。
【解決手段】外装缶の開口に、端子が取り付けられた封口板を嵌合させ、嵌合部分に高エネルギービームを照射し溶接することにより電池を密閉する角形密閉電池の製造方法において、対向する一対の開口長辺3に、開口他辺よりも高く突き出た突出部4が設けられた角形筒状の外装缶1を作製する工程と、突出部4が封口板端部上面6より外装缶高さ方向に突き出た状態になるようにして、外装缶開口に封口板5を嵌合させる工程と、外装缶1と封口板5の嵌合部分に沿って高エネルギービームを照射し、突出部4をも溶融させつつ嵌合部分全周を溶接するレーザ溶接工程と、を備える。
【選択図】 図3
【解決手段】外装缶の開口に、端子が取り付けられた封口板を嵌合させ、嵌合部分に高エネルギービームを照射し溶接することにより電池を密閉する角形密閉電池の製造方法において、対向する一対の開口長辺3に、開口他辺よりも高く突き出た突出部4が設けられた角形筒状の外装缶1を作製する工程と、突出部4が封口板端部上面6より外装缶高さ方向に突き出た状態になるようにして、外装缶開口に封口板5を嵌合させる工程と、外装缶1と封口板5の嵌合部分に沿って高エネルギービームを照射し、突出部4をも溶融させつつ嵌合部分全周を溶接するレーザ溶接工程と、を備える。
【選択図】 図3
Description
本発明は、高エネルギービームを使用して封口溶接される角形密閉電池の溶接強度を向上させる技術に関する。
リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、高容量で高エネルギー密度の電池が要求される携帯電話、ノートパソコン、PDA等の移動情報端末の駆動電源として利用されている。特に小型の角形非水電解質二次電池は、高密度に集積された小型移動情報端末への装着性がよいので多く使用されている。
角形非水電解質二次電池は、角形外装缶の開口部に角形の封口板を嵌合させ、レーザ光など高エネルギービームを照射して嵌合部分を溶融させ封口する方法により作製されているが、移動情報端末などの益々の小型薄型化や高性能化に対応させる必要があり、このために外装缶の肉厚を一層薄くし、さらにその外装缶の中にできるだけ多くの活物質を仕込むことが行われている
また、電池は、樹脂製外装部品や外部回路板などを付加してパック電池へ加工された後に小型移動情報端末への装着されるが、パック電池をより小型薄型とするためにその形態は、樹脂製外装部品が電池全体を覆う形態から、電池の一部を覆うのみという形態への移行が進んでいる。
一方、電池が落下や衝撃などにより外力を受けた際に、封口体と外装缶開口との溶接に亀裂を生じて電解液漏れが発生する可能性があり、特に溶接の亀裂は、電池から突出した形状を有する端子周辺で発生しやすい。小型移動端末内に装着されたパック電池内の電池に電解液漏れが生じると、その周囲の電子回路に損傷を与えることになる。パック電池の樹脂製外装部品が薄肉となったり簡素化されると、パック電池に与えられた外力の影響を電池が受けやすくなり、溶接の亀裂による電解液漏れに対して不利となる。
よって、溶接の亀裂による電解液漏れが発生しないように十分な強度の封口が望まれる。
電池封口部分の溶接強度を高める先行技術としては、例えば下記特許文献が挙げられる。
特許文献1には、外装缶の開口端部の外側面に突出部(第1突出部)を設け、前記開口端部に重なり合わせる封口板の端部にも突出部(第2突出部)を設け、両端部同士を重ね合わせて、突出部が突き出た方向からレーザビームを照射して封口する技術が開示されている。
特許文献2には、外装缶開口に封口板を嵌合したとき、外装缶開口の端部全周が封口板端部よりも高くなる状態とし、この状態でレーザ溶接することにより溶接強度を向上させる技術が開示されている。
特許文献3には、電池缶の開口端部の長辺側、短辺側の少なくともいずれか一方が、蓋体を開口端部に嵌合した際に、その先端部が蓋体の上部を超えて延びた部分を有し、蓋体の上部を超えた部分を内方へ折り曲げた後に溶接して封口する技術が開示されている。
一般に高エネルギービーム封口溶接の強度を高めるには、高エネルギービーム出力を高め、溶接深度を大きくすればよいといえる。しかし、単に高エネルギービーム出力を高めると、外装缶内に収容されている電極体や端子に取り付けられた樹脂製パッキングなどに熱損傷を与える恐れが高まる。また、溶接時に発生するスパッタ量が増えるなど、高エネルギービーム溶接加工上の問題も顕著になりやすい。
また封口板は、その加工工程において、長辺方向が山状になるように反ることがある。また、多くの活物質を電極板として外装缶に挿入しようとすると、外装缶開口から封口体が浮き上がった状態となり、浮き上がった部分の溶接強度が弱くなる。本発明はこれらの課題を解消すべくなされた。
本発明の目的は、高エネルギービーム封口溶接法を用いて製造される角形密閉電池において、高エネルギービーム封口溶接部分の接合強度を向上させることのできる製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明は、外装缶の開口に、端子が取り付けられた封口板を嵌合させ、嵌合部分に高エネルギービームを照射し溶接することにより電池を密閉する角形密閉電池の製造方法において、対向する一対の開口長辺に、他辺よりも高く突き出た突出部が設けられた角形筒状の外装缶を作製する工程と、前記突出部が封口板上面より外装缶高さ方向に突き出た状態になるようにして、前記外装缶開口に前記封口板を嵌合させる工程と、前記外装缶と前記封口板の嵌合部分に沿って高エネルギービームを照射し、前記突出部をも溶融させつつ嵌合部分全周を溶接する高エネルギービーム溶接工程と、を備えることを特徴とする。
この構成における「角形筒状の外装缶」とは、外装缶の軸方向に直交する断面における内面形状が多角形状であることを意味する。また、「一対の開口長辺」と「開口他辺」との関係は、多角形が短い辺とこれよりも長い辺を有する形状(この典型が長方形)である場合には、長い辺が「開口長辺」であり、短い辺が「開口他辺」であり、「対向する一対の開口長辺」は、「開口長辺」の対向する側にも「開口長辺」が存在することを意味している。
他方、各辺の長さが同一の多角形(この典型は正方形)である場合には、「開口長辺」、「開口他辺」を任意に決めればよく、任意に決めた対向する一対の辺同士が「対向する一対の開口長辺」となる。なお、上記構成は、「対向する一対の開口長辺」に突出部を設けることを必須とするが、これ以外の辺に突出部を設けることを排除するものではない。
上記構成においては、先ず一対の対向する開口長辺に開口他辺よりも高く突出する突出部を延設させてなる角形筒状外装缶を用意する。そしてこの外装缶の突出部が封口板上面より高さ方向に突き出た状態になるように、外装缶開口に封口板を嵌合させる。この状態で嵌合部分に上方から高エネルギービームを照射する。これにより、外装缶の構成金属と封口板の構成金属の双方が溶融し互いに溶け合って凝固し嵌合部分が接合される。ここで突出部が延設された部分においては、突出部が溶融されて嵌合部分に溶け込むので、当該部分は他の部分よりも溶接深度が深くなり、かつ他の部分よりも溶接肉厚が厚くなる。
突出部を一対の開口長辺に設ける技術的意味を説明する。角形筒状外装缶を有する電池では、封口板上に端子が取り付けられ、その端子を絶縁するためにポリプロピレン等の樹脂部品が用られるが、樹脂部品は熱影響を受けて変形しやすい。開口長辺上の端子周辺の高エネルギービーム出力を、樹脂部品の熱変形を防止するために、その他の箇所より高エネルギービーム出力を低くすると、当該箇所の封口強度が弱くなり易い。また、端子はパック電池加工時に外部端子や回路板を取り付けるために、電池から突出するような形状をなしており、外力の影響を受けやすいため、溶接の亀裂は端子周辺で多く発生することになる。
上記構成にかかる高エネルギービーム溶接法においては、外力の影響で亀裂を生じ易い開口長辺に、いわば補強用溶融滴を供給する突出部を設ける。よって当該部分は他の部分よりも肉厚が厚くなり強固に溶接される。また肉厚が厚くなる分、応力変形に対する抵抗力が高まる。
さらに、封口板が長辺方向に山状に反っていても、突出部の存在により、封口板が外装缶開口から浮き上がる状態を回避することができ、充分な溶接強度を得ることができる。
また、外装缶が封口板よりも強度の強い材料で構成されている場合、溶接強度は母材強度に依存するので、強度の強い材料からなる突出部を補強用溶融滴の供給源とする上記構成であると、一層補強効果が高まる。つまり、上記構成における突出部は、外装缶壁を延長した部分であるので、強度の強い材料で溶接部分の肉厚を厚くすることになる。
上記構成の角形密閉電池の製造方法において、前記突出部の上辺の長さをA、前記突出部の底辺の長さをB、前記突出部の底辺から上辺までの最大高さをCとするとき、2A<Bであって、Bは開口長辺の端部から3mmの領域を除いた部分であり、0mm<C<0.2mmであり、Aは封口板に取り付けられた端子が封口板上で占める長辺方向長さよりも大きいことが好ましい。
突出部を設けると、高エネルギービーム溶接作業の歩留り低下や外力が加わった際の応力集中といったマイナス要因も発生するが、この構成であると、溶接強度の向上というプラス要因と高エネルギービーム溶接作業の歩留り低下や外力が加わった際の応力集中といったマイナス要因とをバランスさせつつ、溶接強度の向上というプラス効果を十分に引き出すことができる。
2A<Bであると、底辺長さが突出部の上辺長さよりも相当大きくなり、つまりは上辺から底辺へ至る傾斜が緩やかになるので、突出部底辺と傾斜との交点部分で生じる応力集中を防止することができるので好ましい。さらにBは開口長辺端部から3mm以上の領域を除いた部分であると、開口長辺端部から3mm以内の領域を用いて封口板上面と外装缶開口との高さをあわせて嵌合するときの基準とすることができるので好ましい。さらに0mm<C<0.2mmであると溶接品質が良好であり好ましい。また、Aは封口板に取り付けられる端子が端子板上で占める長辺方向領域よりも大きいと、溶接強度が弱い部分が突出部の補強用溶融滴で充分補強されることになり好ましい。また、突出部は封口板に取り付けられた端子に対して線対称に設けられていると、溶接がバランス良くなされるので好ましい。
本発明製造方法によると、外力の影響で亀裂を生じ易い外装缶開口長辺部分を補強し得た高エネルギービーム封口溶接を行うことができる。それゆえ、肉厚の薄い外装缶を用いた場合においても、さらには封口板の長辺方向が山状に反りを生じたとしても、良好な密閉性と耐衝撃性を備えた角形密閉電池を製造することができる。また、本発明製造方法によると、従来法よりも外装缶開口長辺部分の強度が高まるので、外力を受けた際の溶接の亀裂により発生する電解液漏れを抑制することができる。これにより、実装された電池に起因する高密度精密機器の損傷事故が少なくなるという顕著な効果が得られる。
本発明の実施するための形態を、直方体形状の外装缶を用いた実施例群を通して説明する。
〔第1実施例群〕
第1実施例群にかかる第1実施例電池1-1 〜1-3を作製する製造方法を図1〜5に基づいて説明する。
〔第1実施例群〕
第1実施例群にかかる第1実施例電池1-1 〜1-3を作製する製造方法を図1〜5に基づいて説明する。
〈外装缶〉
絞り加工法を用いて、アルミニウム−マンガン合金からなる平板を筒状長方体に加工した。その後この長方体の先端側を図1に示す形状に切断し、突出部4・4が設けられた外装缶を作製した。
絞り加工法を用いて、アルミニウム−マンガン合金からなる平板を筒状長方体に加工した。その後この長方体の先端側を図1に示す形状に切断し、突出部4・4が設けられた外装缶を作製した。
図1に、第1実施例群電池に使用した外装缶1の斜視図を示した。この外装缶1は、開口の平面形状が開口短辺2・2と開口長辺3・3とを有する長方形であり、一対の対向する開口長辺3・3の中央部分に外装缶の壁の一部を上方にまで延長した突出部4・4が設けられた形状の長方形筒状体である。
外装缶1のサイズは、開口長辺3の内寸Lが33.3mm、短辺2の内寸が3.8mm、缶厚が0.2mm、缶高48.7mmであり、外装缶1の開口長辺に設けられた突出部のサイズは、上辺Aが6mm、底辺Bが14mm、高さが0.1mmである。
〈封口板〉
外装缶1を密閉する部材である封口板5は、純アルミニウム製の平板を加工して作製した。封口板2は、短辺が3.8mm、開口長辺が33.3mm(何れも外寸)、厚みが1mmの大きさであり、図2に示すように中央部が凹状に窪んだ形状であり、第1実施例群で使用した封口板5には、反りはなかった。
外装缶1を密閉する部材である封口板5は、純アルミニウム製の平板を加工して作製した。封口板2は、短辺が3.8mm、開口長辺が33.3mm(何れも外寸)、厚みが1mmの大きさであり、図2に示すように中央部が凹状に窪んだ形状であり、第1実施例群で使用した封口板5には、反りはなかった。
この封口板5には、電解液の注液口やガス排出弁が設けられ、封口板中央には、外部に電気を取り出すための外部電極端子が設けられたが、図2ではこれの要素が省略されている。また、この実施例群および他の実施例群等において、中央部が凹状となった封口板(図4参照)が用いられているが、本発明は凹状であることを要件としていない。よって、例えば窪みのない平板状の封口板を用いることもできる。
〈電池の組み立て〉
上記外装缶1内に、正極と負極と両電極を離間するセパレータとからなる偏平渦巻状の電極体を収納した後、外装缶1の開口に封口板5を図3に示す状態で嵌合させた。具体的には、図3に示すように、外装缶1の突出部4以外の開口端面と封口板5の端部上面6とを面一とし、かつ突出部4が封口板5の端部上面6よりも上方に突き出た状態で、外装缶1と封口板5とを嵌合させた。このようにして第1実施例群にかかる密閉前角形電池を3個用意した。
上記外装缶1内に、正極と負極と両電極を離間するセパレータとからなる偏平渦巻状の電極体を収納した後、外装缶1の開口に封口板5を図3に示す状態で嵌合させた。具体的には、図3に示すように、外装缶1の突出部4以外の開口端面と封口板5の端部上面6とを面一とし、かつ突出部4が封口板5の端部上面6よりも上方に突き出た状態で、外装缶1と封口板5とを嵌合させた。このようにして第1実施例群にかかる密閉前角形電池を3個用意した。
〈レーザ溶接〉
上記密閉前角形電池の嵌合部分に、高エネルギービーム出力装置としてパルスレーザ溶接装置を用い、溶け込み深さが0.2mm程度となるようにレーザ出力を調節し、この出力を基準出力として、レーザ光を照射し外装缶開口を封口した。
上記密閉前角形電池の嵌合部分に、高エネルギービーム出力装置としてパルスレーザ溶接装置を用い、溶け込み深さが0.2mm程度となるようにレーザ出力を調節し、この出力を基準出力として、レーザ光を照射し外装缶開口を封口した。
図4に外装缶1に封口板5が嵌合された状態におけるX−X断面図(図3参照)を示し、図5(a)、(b)にレーザ溶接の様子を示した。図5(a)に示すように、外装缶1の上方から嵌合部分に向けてレーザ光を照射すると突出部4と嵌合部分とが溶融し、両者が合算された溶融物で嵌合部分が溶融接合される。他方、突出部4が形成されていない部分(図5に図示されていない部分)は、外装缶内側壁と封口板端面との対向接触面近傍のみが溶融されて接合される。
レーザ照射後、封口板注液口より電解液を入れ、注液口を封止して、第1実施例群電池1-1(基準出力の6%増しの出力)、1-2(基準出力)、1-3(基準出力の6%減の出力)を完成させた。
〔第2実施例〕
上記第1実施例群で使用した反りのない封口板に代えて、封口板長手方向中央部が山状に0.1mm反った封口板を用いると共に、レーザ溶接を基準出力のレーザ出力で行った。これ以外は上記第1実施例群電池と同様にして、第2実施例電池を作製した。
上記第1実施例群で使用した反りのない封口板に代えて、封口板長手方向中央部が山状に0.1mm反った封口板を用いると共に、レーザ溶接を基準出力のレーザ出力で行った。これ以外は上記第1実施例群電池と同様にして、第2実施例電池を作製した。
〔第1比較例群〕
上記第1実施例群で使用した突出部付き長方形筒状の外装缶に代えて、突出部4を形成しない外装缶を用いた以外は上記第1実施例群と同様にして、第1比較例群電池1-1(基準出力の6%増しの出力)、1-2(基準出力)、1-3(基準出力の6%減の出力)を作製した。
上記第1実施例群で使用した突出部付き長方形筒状の外装缶に代えて、突出部4を形成しない外装缶を用いた以外は上記第1実施例群と同様にして、第1比較例群電池1-1(基準出力の6%増しの出力)、1-2(基準出力)、1-3(基準出力の6%減の出力)を作製した。
〔第2比較例〕
上記第2実施例で使用した山状に反った封口板を用い、上記第2実施例群で使用した突出部付き長方形筒状の外装缶に代えて突出部4を形成しない外装缶を用い、これ以外については上記第2実施例群と同様にして、第2比較例電池にかかる角形密閉電池を作製した。
上記第2実施例で使用した山状に反った封口板を用い、上記第2実施例群で使用した突出部付き長方形筒状の外装缶に代えて突出部4を形成しない外装缶を用い、これ以外については上記第2実施例群と同様にして、第2比較例電池にかかる角形密閉電池を作製した。
第2比較例電池は、山状に反った封口板を用いた点においてのみ第1比較例電池1-2と相違している。
〔各電池の接合状態評価〕
以上で作製した実施例1,2および比較例1,2の電池について、溶接深度と押し込み強度を測定し接合状態を評価した。
以上で作製した実施例1,2および比較例1,2の電池について、溶接深度と押し込み強度を測定し接合状態を評価した。
〔溶接深度の測定〕
電池を外装缶軸に平行で且つ外装缶壁面に直交する平面で切断し、溶接強度の指標となる溶融痕の溶け込み深さdを測定した。
電池を外装缶軸に平行で且つ外装缶壁面に直交する平面で切断し、溶接強度の指標となる溶融痕の溶け込み深さdを測定した。
〔押し込み強度の測定〕
電池封口板の中央部(外部電極端子)に直径3mmの棒を当てがい、加重を加えて溶接部(嵌合部でもある)にクラックが発生する加重量を測定した。
電池封口板の中央部(外部電極端子)に直径3mmの棒を当てがい、加重を加えて溶接部(嵌合部でもある)にクラックが発生する加重量を測定した。
これらの測定結果を表1,2に示した。また、これらの結果を図6,7にグラフで示した。表1及び図6、7から、実施例群にかかる製造方法を用いた第1実施例群電池は、従来法による第1比較例群電池に比較し、同一のレーザ出力において、より深い溶接深度が得られ且つ押し込み強度が大きい電池が得られることが認められた。
また、図7から、溶接深度が同じである場合には、実施例群電池の方が比較例群電池よりも優れた押し込み強度が得られ、これに例外が認められなかった。
更にまた、表2から、実施例群にかかる製造方法によると、そりのある封口板を用いた場合(第2実施例電池)においても、比較例群に比較し溶接深度、押し込み強度ともに高い値が得られることが判った。
以上の結果から、実施例群の製造方法によると、優れた接合強度が得られ、これにより押し込み強度が大幅に向上することが判ったが、実施例群にかかる製造方法によると押し込み強度が向上するのは、次の理由によるものと考えられる。開口長辺に突出部4が形成された外装缶を用いた場合、レーザ溶接の際に突出部4が溶融し、これが従前の方法における溶融物に合体される。つまり、突出部4の容積に相当する分だけ溶融痕が大きくなる。
然るに、開口全周に突出部を設けると、レーザ溶接作業の歩留りが悪くなる。よって、突出部は外力の影響で亀裂を生じ易い開口長辺に設けるのが合理的である。更に、レーザ溶接作業の歩留り低下や外力が加わった際の応力集中といったマイナス要因を考慮すると、突出部を次のように規制するのが好ましい。
すなわち、突出部の上辺の長さをA、突出部の底辺の長さをB、突出部の底辺から上辺までの最大高さをCとするとき、2A<Bであって、Bは電池長辺端部から3mmの領域を除いた部分であり、0mm<C<0.2mmであり、Aは封口板に取り付けられる端子が封口板上で占める長辺方向長さよりも大きいことが好ましい。突出部をこの範囲に規制すると、レーザ溶接作業の歩留り低下や外力が加わった際の応力集中といったマイナス要因と、溶接強度の向上というプラス要因とを都合よくバランスさせることができる。
本発明は主に長方形筒状の外装缶を用いた角形密閉電池に適用されるが、長方形筒状以外の多角形筒状外装缶を用いた角形密閉電池にも適用することができる。また、本発明は角形密閉電池である限り電池の種類に係りなく適用でき、例えば非水電解質電池、ニッケル−カドミウム電池、ニッケル−水素電池などの一次電池、二次電池に適用できる。ただし、小型高容量化の要請が高く、封口溶接の必要性が大きい非水電解質二次電池に本発明を適用すると、その効果が十分に発揮される。
また、上記実施例、比較例において、高エネルギービームとしてレーザ光を利用したが、これに限らず、電子ビームなどを用いることもできる。
本発明によると、高エネルギービーム封口溶接法を用いて製造される角形密閉電池において、外装缶の開口端の一対の長辺に突出部を延設するという簡単な手法でもって、高エネルギービーム封口溶接部分の接合強度を顕著に向上させることができる。よって本発明の産業上の利用可能性は高い。
1 外装缶
2 外装缶開口短辺
3 外装缶開口長辺
4 突出部
5 封口板
6 封口板端部上面
7 封口板凹部
8 溶融痕
2 外装缶開口短辺
3 外装缶開口長辺
4 突出部
5 封口板
6 封口板端部上面
7 封口板凹部
8 溶融痕
Claims (2)
- 外装缶の開口に、端子が取り付けられた封口板を嵌合させ、嵌合部分に高エネルギービームを照射し溶接することにより電池を密閉する角形密閉電池の製造方法において、
対向する一対の開口長辺に、開口他辺よりも高く突き出た突出部が設けられた角形筒状の外装缶を作製する工程と、
前記突出部が封口板上面より外装缶高さ方向に突き出た状態になるようにして、前記外装缶開口に前記封口板を嵌合させる工程と、
前記外装缶と前記封口板の嵌合部分に沿って高エネルギービームを照射し、前記突出部をも溶融させつつ嵌合部分全周を溶接する高エネルギービーム溶接工程と、
を備えることを特徴とする角形密閉電池の製造方法。 - 請求項1に記載の角形密閉電池の製造方法において、
前記突出部の上辺の長さをA、前記突出部の底辺の長さをB、前記突出部の底辺から上辺までの最大高さをCとするとき、2A<Bであって、Bは前記開口長辺の端部から3mmの領域を除いた部分であり、0mm<C<0.2mmであり、Aは前記封口板に取り付けられた端子が前記封口板上で占める長辺方向長さよりも大きい、
ことを特徴とする角形密閉電池の製造方法。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2009283958A JP2011129266A (ja) | 2009-12-15 | 2009-12-15 | 角形密閉電池の製造方法 |
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- 2009-12-15 JP JP2009283958A patent/JP2011129266A/ja active Pending
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