JP2015115223A - 密閉型電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】外装缶の開口部と蓋板の外周縁部とを溶接することによって電池ケースを得る密閉型電池の製造方法において、密閉型電池の耐衝撃性を向上しつつ前記開口部と前記蓋板の外周縁部との溶接強度を向上可能な構成を得る。【解決手段】密閉型電池の製造方法は、外装缶(10)を形成するとともに、開口部(16)の外周側に、開口端に向かって徐々に開口部(16)の厚みが小さくなるテーパ部(16a)を形成する外装缶形成工程と、外装缶(10)の開口部(16)を覆う蓋板(20)を形成する蓋板形成工程と、蓋板(20)を外装缶(10)に組み付ける組立工程と、外装缶(10)の開口部(16)に蓋板(20)を配置した状態で、開口部(16)と蓋板(20)の外周縁部(20b)とを、テーパ部(16a)の少なくとも一部が溶融するように、レーザー光によって接合する接合工程とを有する。【選択図】図4
Description
本発明は、外装缶と蓋板との溶接によって電池ケースが形成される密閉型電池の製造方法に関する。
従来より、電池ケースの側壁を構成し且つ少なくとも一つの開口部を有する外装缶と、前記電池ケースの端面を構成するように前記外装缶の開口部を覆う蓋板とを有する電池ケースを備えた密閉型電池が知られている。このような密閉型電池では、例えば特許文献1に開示されるように、電池缶(外装缶)の開口部に対して電池蓋(蓋板)の外周縁部を溶接することにより、電池ケースが構成される。
電池缶(外装缶)の開口部と電池蓋(蓋板)の外周縁部との溶接は、特許文献1に開示されているように、一般的にはレーザー溶接によって行われる。電池缶(外装缶)の開口部及び電池蓋(蓋板)の外周縁部にレーザー光を照射すると、該開口部及び電池蓋(蓋板)の外周縁部は、レーザー光の熱によって溶融した後、冷却されることにより接合される。
ところで、上述の特許文献1のようにレーザー光を外装缶の開口部と蓋板との合わせ部分に照射する場合、該外装缶の側壁の開口部における厚み(以下、開口部の厚みという。)が大きいと、外装缶の開口部の内周側の一部は溶融するが、該開口部の外周側が溶融しない。この場合、該開口部の外周側には、縦断面で見て略直角形状の角部が残る。本発明者らの種々の検討により、外装缶に上記のような角部が存在すると、密閉型電池の耐衝撃性を十分に向上できないことが分かった。
そこで、本発明者らは、外装缶の開口部の厚みが大きい密閉型電池において、該開口部の外周側に、角部分がなく滑らかに湾曲した外表面を有する溶接部を形成することによって、該密閉型電池の耐衝撃性を向上させることを試みた。具体的には、前記合わせ部分から外装缶の外周側にオフセットした位置にレーザー光を照射した。これによって、前記開口部の外周側を溶融させ、該開口部の外周側に、上記のような湾曲した外表面を有する溶接部を形成した。
しかしながら、本発明者らの種々の検討により、前記開口部の厚みが大きい密閉型電池において、レーザー光を照射する位置を前記合わせ部分から外装缶の外周側にオフセットすると、前記合わせ部分での溶融領域が小さくなり、溶接強度が低下する可能性があることが分かった。
よって、外装缶の開口部の厚みが大きくなると、十分な溶接強度が得られない可能性がある。
本発明は、外装缶の開口部と蓋板の外周縁部とを溶接することによって電池ケースを得る密閉型電池の製造方法において、密閉型電池の耐衝撃性を向上しつつ、前記開口部と前記蓋板の外周縁部との溶接強度を向上可能な構成を得ることを目的とする。
本発明の一実施形態に係る密閉型電池の製造方法は、内部に電極体及び電解液が封入された柱状の電池ケースを備えた密閉型電池の製造方法である。この製造方法は、前記電池ケースの側壁を構成し且つ少なくとも一つの開口部を有する外装缶を形成するとともに、該開口部の外周側に、開口端に向かって徐々に前記開口部の厚みが小さくなるテーパ部を形成する外装缶形成工程と、前記電池ケースの端面を構成するように前記外装缶の開口部を覆う蓋板を形成する蓋板形成工程と、前記蓋板を前記外装缶の開口部に組み付ける組立工程と、前記外装缶の開口部に対して前記蓋板を配置した状態で、前記開口部と前記蓋板の外周縁部とを、前記テーパ部の少なくとも一部が溶融するように、レーザー光によって溶接する接合工程とを有する(第1の方法)。
以上の方法により、外装缶の開口部と蓋板の外周縁部との溶接部の強度を向上することができる。具体的に説明すると、前記第1の方法では、外装缶の開口部の外周側にテーパ部を設け、該テーパ部の少なくとも一部が溶融するように、レーザー光によって開口部と蓋板とを溶接する。言い換えると、レーザー光によって溶融した溶融部が少なくともテーパ部まで拡がるように、開口部と蓋板とを溶接する。このように開口部と蓋板とを溶接することによって、溶接部は、開口部の最外周側において滑らかな外表面を有する。すなわち、開口部の最外周側の外表面は、角部分がなく滑らかに湾曲した外表面となる。これにより、密閉型電池を落下させた際に開口部で応力が集中する部分がなくなる。よって、密閉型電池の耐衝撃性を向上することができる。
また、テーパ部を形成することによって、テーパ部を形成しない場合に比べて、溶融部の熱が外装缶の外側に向かって伝達されにくくなる。これにより、外装缶に形成された溶融部の熱は、外装缶の内周側で保持されやすくなる。このため、前記第1の方法では、テーパ部を形成しない場合に比べて、溶融部を外装缶の内周側により集中して形成することができる。その結果、前記合わせ部分において、十分な大きさの溶融部を形成することができるので、外装缶の開口部と蓋板の外周縁部との接合強度を向上することができる。
さらに、前記第1の方法では、開口端に向かって徐々に開口部の厚みが小さくなるようにテーパ部を形成するので、外装缶の側壁の厚みが大きい場合でも、開口部の開口端側の厚みを小さくできる。これにより、レーザー光の照射位置を、開口部と蓋板との合わせ部分に対して外装缶の外周側に大きくオフセットさせなくても、溶融部をテーパ部まで拡げることができる。すなわち、前記第1の方法により、前記合わせ部分近傍にレーザー光を照射しつつ、前記開口部の最外周側の外表面を角部分がなく滑らかに湾曲した外表面とすることができる。この場合、前記合わせ部分において溶融領域を十分に確保できるので、外装缶の開口部と蓋板の外周縁部とを十分な強度で接合できる。
以上のように、前記第1の方法によれば、外装缶の側壁の厚みが大きい場合でも、密閉型電池の耐衝撃性を向上しつつ、開口部と蓋板の外周縁部とを十分な溶接強度で接合できる。
前記第1の方法において、前記外装缶形成工程では、前記密閉型電池の厚み方向よりも前記密閉型電池の幅方向に長い扁平形状を有し、且つ少なくとも前記開口部における前記幅方向の両端部に前記テーパ部を有するように、前記外装缶を形成する(第2の方法)。
これにより、成形条件等によって外装缶の前記幅方向の両端部において側壁の厚みを小さくすることが難しい場合でも、該両端部における前記開口部の開口端側の厚みを小さくできる。
前記第1または第2の方法において、前記接合工程では、前記外装缶を縦断面で見て、前記テーパ部の外表面全体が溶融するように、前記開口部と前記蓋板とを溶接する(第3の方法)。
これにより、開口部の最外周側の外表面をより確実に前記湾曲した外表面とすることができるので、密閉型電池の耐衝撃性をさらに向上することができる。
前記第1から第3の方法のうちいずれか一つの方法において、前記外装缶形成工程では、前記開口部の全周に亘って前記テーパ部を形成する(第4の方法)。
これにより、開口部の最外周側に角部が残ることを確実に防止できるので、密閉型電池の耐衝撃性を十分に向上することができる。
前記第1から第4の方法のうちいずれか一つの方法において、前記外装缶形成工程では、前記開口部が前記テーパ部および前記テーパ部が設けられていない残部を含み、且つ前記外装缶を縦断面で見て、前記開口部の厚み方向における前記テーパ部の長さが、前記厚み方向における前記テーパ部の長さおよび前記厚み方向における前記残部の長さの和の3分の1以上になるように、前記外装缶を形成する(第5の方法)。
開口部の厚み方向において、テーパ部の長さを、テーパ部の長さおよび残部の長さの和の3分の1以上にすることによって、外装缶の側壁の厚みに関わらず、前記開口部の開口端側の厚みを自由に決めることができる。これにより、外装缶の側壁の厚みに左右されることなく、前記開口部と蓋板とを、理想的な溶接状態で溶接することができる。
本発明の一実施形態に係る密閉型電池の製造方法によれば、外装缶の開口部の外周側に、開口端に向かって徐々に厚みが小さくなるテーパ部を設け、該テーパ部の少なくとも一部が溶融するように開口部と蓋板とを溶接する。これにより、外装缶の側壁の厚みが大きい場合でも、密閉型電池の耐衝撃性を向上しつつ、該開口部と蓋板の外周縁部との溶接強度を向上することができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る密閉型電池1の概略構成を示す斜視図である。この密閉型電池1は、有底筒状の外装缶10と、該外装缶10の開口部16(図2参照)を覆う蓋板20と、該外装缶10内に収納される電極体30とを備える。
図1は、本発明の実施形態に係る密閉型電池1の概略構成を示す斜視図である。この密閉型電池1は、有底筒状の外装缶10と、該外装缶10の開口部16(図2参照)を覆う蓋板20と、該外装缶10内に収納される電極体30とを備える。
図1及び図2に示すように、外装缶10に蓋板20を取り付けることによって、内部に空間を有する柱状の電池ケース2が構成される。すなわち、密閉型電池1は、電池ケース2を有する。また、後述するように、密閉型電池1は、蓋板20を貫通する負極端子22と、該負極端子22と電池ケース2との間に配置された絶縁パッキング21(絶縁体)とを有する。なお、電池ケース2内には、電極体30以外に、非水電解液(以下、単に電解液という)も封入されている。
電極体30は、それぞれシート状に形成された正極31、負極32及びセパレータ33を、例えば、正極31、セパレータ33、負極32、セパレータ33の順に重ね合わせた状態で渦巻状に巻回することによって形成された巻回電極体である(図2参照)。特に図示しないが、電極体30は、正極31、負極32及びセパレータ33を重ね合わせた状態で巻回した後、押しつぶして扁平状に形成される。
ここで、図2には、電極体30の外周側の数層分しか図示されていない。しかしながら、この図2では電極体30の内周側部分の図示を省略しているだけであり、当然のことながら、電極体30の内周側にも正極31、負極32及びセパレータ33が存在する。また、図2では、蓋板20と電極体30との間に配置される絶縁体等の記載も省略している。
正極31は、正極活物質を含有する正極活物質層を、アルミニウム等の金属箔製の正極集電体の両面にそれぞれ設けたものである。詳しくは、正極31は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なリチウム含有酸化物である正極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む正極合剤を、アルミニウム箔などからなる正極集電体上に塗布して乾燥させることによって形成される。正極活物質であるリチウム含有酸化物としては、例えば、LiCoO2などのリチウムコバルト酸化物やLiMn2O4などのリチウムマンガン酸化物、LiNiO2などのリチウムニッケル酸化物等のリチウム複合酸化物を用いるのが好ましい。なお、正極活物質として、1種類の物質のみを用いてもよいし、2種類以上の物質を用いてもよい。また、正極活物質は、上述の物質に限られない。
負極32は、負極活物質を含有する負極活物質層を、銅等の金属箔製の負極集電体の両面にそれぞれ設けたものである。詳しくは、負極32は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質、導電助剤及びバインダなどを含む負極合剤を、銅箔などからなる負極集電体上に塗布して乾燥させることによって形成される。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素材料(黒鉛類、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類など)を用いるのが好ましい。負極活物質は、上述の物質に限られない。
図2に示すように、電極体30の正極31には正極リード34が接続されている一方、負極32には負極リード35が接続されている。これにより、正極リード34及び負極リード35が、電極体30の外に引き出されている。図示しないが、正極リード34の先端側は、蓋板20に接続されている。一方、負極リード35の先端側は、後述するように、リード板27を介して負極端子22に接続されている(図2参照)。
外装缶10は、アルミニウム合金製の有底筒状部材であり、後述する蓋板20とともに電池ケース2を構成する。外装缶10は、図1に示すように、長方形の短辺側が円弧状に形成された底面11を有する有底筒状の部材である。詳しくは、外装缶10は、底面11と、滑らかな曲面を有する扁平筒状の側壁12とを備える。この側壁12は、対向する一対の平面部13(側面)と、該平面部13同士を接続する一対の半円筒部14とを有する。外装缶10は、底面11の短辺方向に対応する厚み方向の寸法が、底面11の長辺方向に対応する幅方向の寸法よりも小さくなるように、扁平形状に形成されている。すなわち、外装缶10は、密閉型電池1の厚み方向よりも密閉型電池1の幅方向に長い扁平形状を有する。また、この外装缶10は、後述するように正極リード34に接続される蓋板20と接合されているため、密閉型電池1の正極端子も兼ねている。
図2に示すように、外装缶10の内側の底部には、該外装缶10を介して電極体30の正極31と負極32との間で短絡が発生するのを防止するためのポリエチレンシートからなる底部絶縁体15が配置されている。上述の電極体30は、該底部絶縁体15上に一方の端部が位置付けられるように配置されている。
図4に示すように、蓋板20と接合される前の外装缶10の開口部16の外周側には、開口端に向かうほど厚みが小さくなるテーパ部16aが形成されている。本実施形態では、テーパ部16aは、開口部16の全周に亘って形成されている。このテーパ部16aの少なくとも一部は、外装缶10の開口部16が蓋板20と溶接される際に、溶融して後述の溶接部17の一部となる。本実施形態では、外装缶10を縦断面で見て、テーパ部16aの外表面16cの全体が溶融するように、開口部16と蓋板20とを溶接する。したがって、本実施形態では、テーパ部16aは、図1から図3に示すように電池ケース2が形成された時点では、外装缶10に残存していない。
なお、上述のとおり、テーパ部16aは、蓋板20と接合される前の外装缶10の開口部16の外周側に設けられている。そのため、図4に示すように、蓋板20と接合される前の外装缶10の開口部16の内周側には、テーパ部16aが設けられていない残部16bが形成されている。すなわち、開口部16は、テーパ部16aおよび残部16bを含む。この残部16bも、外装缶10の開口部16と蓋板20とが接合された際には溶融するため、図1から図3に示すように、外装缶10の開口部16には残存していない。なお、外装缶10を縦断面で見て、開口部16の厚み方向におけるテーパ部16aの長さXは、前記長さXおよび開口部16の厚み方向における残部16bの長さYの和Tの3分の1以上であることが好ましい。
上述のようなテーパ部16aを外装缶10の開口部16の外周側に設けることにより、蓋板20との接合部分における外装缶10の側壁12の厚みを小さくすることができる。これにより、詳しくは後述するが、図2及び図3に示すような溶接部17の形状を実現することができる。
なお、テーパ部16aは、該開口部16の全周に設けなくてもよい。テーパ部16aは、少なくとも開口部16における前記幅方向の両端部に形成することが好ましい。すなわち、本実施形態のように、一対の半円筒部14を有する外装缶10の開口部16において、幅方向の両端に位置する平面視半円形状のR部分10a(両端部)にテーパ部を設けることが好ましい。これにより、成形条件等によって前記両端部において外装缶10の側壁12の厚みを小さくすることが難しい場合でも、該両端部における開口部16の開口端側の厚みを小さくできる。
テーパ部16aの外表面は、平面であってもよいし、凸面や凹面などの曲面であってもよい。また、テーパ部16aが断面階段状の外表面を有していてもよい。また、テーパ部16aには、R部も含む。
本実施形態では、密閉型電池1の電池ケース2を、長方形の短辺側が円弧状に形成された底面を有する柱状としている。しかしながら、電池ケースの形状は、六面体など他の形状であってもよい。例えば、本実施形態では、側壁12は、一対の平面部13同士を接続する一対の半円筒部14を有するが、一対の半円筒部14の代わりに一対の板状の平面部を用いて一対の平面部13同士を接続してもよい。すなわち、外装缶の側壁が平面視において長方形状であってもよい。この場合も、少なくとも開口部における前記幅方向の両端部にテーパ部を形成することが好ましい。すなわち、一対の平面部13同士を接続する前記一対の平面部の上端部にテーパ部を形成することが好ましい。
(蓋板)
図2に示すように、蓋板20は、外装缶10の開口部16を覆うように配置されている。また、蓋板20は、その外周縁部20bで外装缶10の開口部16にレーザー溶接によって接合されている。この蓋板20は、外装缶10と同様、アルミニウム合金製の部材からなり、該外装缶10の開口部16の内側に嵌合可能なように平面視で短辺側が円弧状に形成されている。また、蓋板20は、その板厚が外装缶10の側壁12の厚みよりも大きい。
図2に示すように、蓋板20は、外装缶10の開口部16を覆うように配置されている。また、蓋板20は、その外周縁部20bで外装缶10の開口部16にレーザー溶接によって接合されている。この蓋板20は、外装缶10と同様、アルミニウム合金製の部材からなり、該外装缶10の開口部16の内側に嵌合可能なように平面視で短辺側が円弧状に形成されている。また、蓋板20は、その板厚が外装缶10の側壁12の厚みよりも大きい。
蓋板20には、その長手方向の中央部分に貫通孔20aが形成されている。この貫通孔20a内には、ポリプロピレン製の絶縁パッキング21(絶縁体)及びステンレス鋼製の負極端子22が挿通している。具体的には、概略柱状の負極端子22が挿通された概略円筒状の絶縁パッキング21が該貫通孔20aの周縁部に嵌合されている。
負極端子22は、円柱状の軸部22aの両端に一対の平面部22bがそれぞれ一体形成された構成を有する。負極端子22は、絶縁パッキング21に対し、一対の平面部22bが露出する一方、軸部22aが絶縁パッキング21内に位置付けられるように配置されている。この負極端子22には、ステンレス鋼製のリード板27が電気的に接続されている。これにより、負極端子22は、リード板27及び負極リード35を介して、電極体30の負極32に電気的に接続されている。なお、リード板27と蓋板20との間には、上部絶縁体26が配置されている。
蓋板20と外装缶10の開口部16とは、レーザー溶接によって接合されている。蓋板20の外周縁部20bと外装缶10の開口部16とは、該蓋板20の全周に亘って接合されている。具体的には、蓋板20の外周縁部20bと外装缶10の開口部16との合わせ部分(接触部分)にレーザー光を照射して、前記合わせ部分を溶融させる。これによって溶融した部分が溶接部17となり、蓋板20と開口部16とが接合される。すなわち、蓋板20の外周縁部20b及び外装缶10の開口部16に跨って、溶接部17が形成されている。この溶接部17は、図2及び図3に示すように、電池ケース2の最外周側に形成されるとともに、電池ケース2を縦断面で見て、蓋板20の厚み方向に凸状に湾曲するように形成されている。このような溶接部17を形成することにより、外装缶10の開口部16の最外周側の外表面は角部分がなく滑らかに湾曲した外表面となる。これにより、密閉型電池1を床面等に落下させて該密閉型電池1が衝撃を受けた際に、開口部16で応力が集中する部分がなくなる。よって、密閉型電池1の耐衝撃性を向上することができる。
溶接部17を上述のような形状にした場合の効果について、以下で説明する。
密閉型電池の溶接部の形状による効果の違いを調べるために、異なる形状の溶接部を有する密閉型電池を製作して、密閉型電池の落下衝撃試験を行った。
具体的には、密閉型電池1の縦断面視で、溶接部の表面が平面状の試験片と、外装缶10の開口部16の最外周側が滑らかな曲面になるように溶接部の表面を上述のように蓋板20の厚み方向に湾曲させた試験片とを、それぞれ、3個ずつ(それぞれの溶接部形状においてNo.1からNo.3)製作した。そして、製作した試験片を1.5mの高さからコンクリートの床面上に繰り返し落下させて、溶接部が破損するまでの落下回数をカウントした。なお、目視で溶接部にクラックの発生が確認できた場合に、溶接部の破損と判定した。
密閉型電池の落下衝撃試験の結果を表1に示す。表1に示すように、溶接部の表面が平面状の場合には、数回の落下で、溶接部が破損した。これに対し、外装缶の最外周側が滑らかな曲面になるように溶接部の外表面を湾曲させている場合には、落下を20回、繰り返しても、溶接部の損傷はなかった。よって、表1の結果から、上述のように外装缶の開口部16の最外周側が滑らかな曲面になるように溶接部17の外表面を湾曲させることで、密閉型電池の耐衝撃性を向上可能であることが分かる。
上述のように、外装缶10の開口部16の外周側にテーパ部16aを設けることにより、外装缶10の側壁12の厚みが大きい場合でも、レーザー光によって形成される溶接部17は、開口部16の最外周側に角部分がなく滑らかに湾曲した外表面となる。すなわち、外装缶10の開口部16の外周側にテーパ部16aを設けることにより、該外装缶10の側壁12の厚みが大きい場合でも、該開口部16が溶融しやすくなる。このように開口部16を十分に溶融可能な構成にすることにより、レーザー光によって外装缶10及び蓋板20を溶接する際に、テーパ部16aが溶融して図3に示すような滑らかな外表面を有する溶接部17を形成することができる。
(密閉型電池の製造方法)
次に、上述のような構成を有する密閉型電池1の製造方法について説明する。
次に、上述のような構成を有する密閉型電池1の製造方法について説明する。
まず、有底筒状の外装缶10及び板状の蓋板20を形成する。外装缶10を形成する際には、外装缶10の開口部16の外周側に、開口端に向かうほど開口部16の厚みが小さくなるようなテーパ部16aを形成する。このテーパ部16aは、開口部16の内周側にテーパ部分が形成されない残部16bが設けられるように、開口部16の外周側に形成される。残部16bの長さYは、例えば、レーザー溶接に用いられるレーザー光のスポット径Dに対して0.5倍から1.2倍に設定される。なお、外装缶10は、例えば深絞り加工によって形成される。
蓋板20を形成する際には、蓋板20を外装缶10の開口部16を覆うような形状に形成する。
上述の外装缶10及び蓋板20とは別に、それぞれ従来と同様の構成を有する電極体30、負極端子22及び絶縁パッキング21等の各部品を製作する。
上述のように形成された外装缶10内に、電極体30などの各部品を配置した後、電解液を注入し、外装缶10の開口部16を蓋板20によって覆う(図4参照)。蓋板20には、貫通孔20a内に負極端子22及び絶縁パッキング21が配置されている。
外装缶10の開口部16に蓋板20を配置した状態で、開口部16と蓋板20の外周縁部20bとにレーザー光を照射して溶接する(図5参照)。このとき、テーパ部16aの少なくとも一部が溶融するように、開口部16と蓋板20の外周縁部20bとを溶接する。本実施形態では、テーパ部16aの外表面16cの全体が溶融するように、開口部16と蓋板20の外周縁部20bとを溶接する。レーザー溶接は、レーザー溶接機を用いて、例えば500Wから4000Wの出力のレーザー光を1000μsの時間内で出力を変動させながら被溶接物(外装缶10及び蓋板20)に対して照射することにより行う。具体的には、一例として、照射時間が0μsから100μsの間は出力500Wのレーザー光を被溶接物に照射し、照射時間が100μsから200μsの間は出力4000Wのレーザー光を被溶接物に照射する。レーザー溶接は、被溶接物に対するレーザー光の照射位置(スポット)が部分的に重なるように、蓋板20の外周に沿って照射位置を徐々に移動させて行う。なお、図5において、符号18は、レーザー光によって溶融した溶融部である。
なお、レーザー光のスポット径は、例えばφ0.4mmである。
上述のようにレーザー光によって外装缶10の開口部16と蓋板20の外周縁部20bとを溶接することにより、外装缶10の開口部16の最外周側に角部分がない滑らかに湾曲した外表面を有する溶接部17が形成される。
ここで、外装缶10を形成するとともに、該外装缶10の開口部16の外周側に、開口端に向かって徐々に開口部16の厚みが小さくなるテーパ部16aを形成する工程が外装缶形成工程に、蓋板20を形成する工程が蓋板形成工程に、それぞれ対応する。また、蓋板20を外装缶10に組み付ける工程が組立工程に、外装缶10の開口部16に対して蓋板20を配置した状態で、開口部16と蓋板20とをレーザー光によって溶融させることにより接合する工程が接合工程に、それぞれ対応する。
(実施形態の効果)
本実施形態では、外装缶10の開口部16の外周側にテーパ部16aを設け、テーパ部16aの少なくとも一部が溶融するように、レーザー光によって開口部16と蓋板20とを溶接する。言い換えると、レーザー光によって溶融した溶融部18が少なくともテーパ部16aまで拡がるように、開口部16と蓋板20とを溶接する。このように開口部16と蓋板20とを溶接することによって、溶接部は、開口部16の最外周側において滑らかな外表面を有する。すなわち、開口部16の最外周側の外表面は、角部分がなく滑らかに湾曲した外表面となる。これにより、密閉型電池1を落下させた際に開口部16で応力が集中する部分がなくなる。よって、密閉型電池1の耐衝撃性を向上することができる。
本実施形態では、外装缶10の開口部16の外周側にテーパ部16aを設け、テーパ部16aの少なくとも一部が溶融するように、レーザー光によって開口部16と蓋板20とを溶接する。言い換えると、レーザー光によって溶融した溶融部18が少なくともテーパ部16aまで拡がるように、開口部16と蓋板20とを溶接する。このように開口部16と蓋板20とを溶接することによって、溶接部は、開口部16の最外周側において滑らかな外表面を有する。すなわち、開口部16の最外周側の外表面は、角部分がなく滑らかに湾曲した外表面となる。これにより、密閉型電池1を落下させた際に開口部16で応力が集中する部分がなくなる。よって、密閉型電池1の耐衝撃性を向上することができる。
また、テーパ部16aを形成することによって、テーパ部を形成しない場合に比べて、溶融部18の熱が外装缶10の外側に向かって伝達されにくくなる。これにより、外装缶10に形成された溶融部18の熱は、外装缶10の内周側で保持されやすくなる。このため、本実施形態では、テーパ部を形成しない場合に比べて、溶融部18を外装缶10の内周側により集中して形成することができる。その結果、前記合わせ部分において、十分な大きさの溶融部18を形成することができるので、外装缶10の開口部16と蓋板20の外周縁部20bとの接合強度を向上することができる。
さらに、開口端に向かって徐々に開口部16の厚みが小さくなるようにテーパ部16aを形成するので、外装缶10の側壁12の厚みが大きい場合でも、開口部16の開口端側の厚みを小さくできる。これにより、レーザー光の照射位置を、開口部16と蓋板20との合わせ部分に対して外装缶10の外周側に大きくオフセットさせなくても、溶融部18をテーパ部16aまで拡げることができる。すなわち、前記合わせ部分近傍にレーザー光を照射しつつ、開口部16の最外周側の外表面を角部分がなく滑らかに湾曲した外表面とすることができる。この場合、前記合わせ部分において溶融領域を十分に確保できるので、外装缶10の開口部16と蓋板20の外周縁部20bとを十分な強度で接合できる。
以上のように、本実施形態では、外装缶10の側壁12の厚みが大きい場合でも、密閉型電池1の耐衝撃性を向上しつつ、開口部16と蓋板20の外周縁部20bとを十分な溶接強度で接合できる。
また、外装缶10を縦断面で見て、テーパ部16aの外表面16aの全体が溶融するように、開口部16と蓋板20とを溶接することによって、開口部16の最外周側の外表面をより確実に上記のような湾曲した外表面とすることができる。これにより、密閉型電池1の耐衝撃性をさらに向上することができる。
また、開口部16の全周に亘ってテーパ部16bを形成することによって、開口部16の最外周側に角部が残ることを確実に防止できる。これにより、密閉型電池1の耐衝撃性を十分に向上することができる。
さらに、開口部16の厚み方向において、テーパ部16aの長さXを、テーパ部16aの長さXおよび残部16bの長さYの和Tの3分の1以上にすることによって、外装缶10の側壁12の厚みが大きい場合でも、開口部16の開口端側の厚みを十分に小さくできる。
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
前記実施形態では、密閉型電池1をリチウムイオン電池として構成している。しかしながら、密閉型電池1はリチウムイオン電池以外の電池であってもよい。
本発明は、外装缶の開口部に蓋板が溶接によって接合された電池ケースを有する密閉型電池の製造方法に利用可能である。
1 密閉型電池
2 電池ケース
10 外装缶
12 側壁
16 開口部
16a テーパ部
16b 残部
16c テーパ部の外表面
20 蓋板
20b 外周縁部
30 電極体
T テーパ部の長さおよび残部の長さの和
X テーパ部の長さ
Y 残部の長さ
2 電池ケース
10 外装缶
12 側壁
16 開口部
16a テーパ部
16b 残部
16c テーパ部の外表面
20 蓋板
20b 外周縁部
30 電極体
T テーパ部の長さおよび残部の長さの和
X テーパ部の長さ
Y 残部の長さ
Claims (5)
- 内部に電極体及び電解液が封入された柱状の電池ケースを備えた密閉型電池の製造方法であって、
前記電池ケースの側壁を構成し且つ少なくとも一つの開口部を有する外装缶を形成するとともに、該開口部の外周側に、開口端に向かって徐々に前記開口部の厚みが小さくなるテーパ部を形成する外装缶形成工程と、
前記電池ケースの端面を構成するように前記外装缶の開口部を覆う蓋板を形成する蓋板形成工程と、
前記蓋板を前記外装缶の開口部に組み付ける組立工程と、
前記外装缶の開口部に対して前記蓋板を配置した状態で、前記開口部と前記蓋板の外周縁部とを、前記テーパ部の少なくとも一部が溶融するように、レーザー光によって溶接する接合工程とを有する、密閉型電池の製造方法。 - 請求項1に記載の密閉型電池の製造方法において、
前記外装缶形成工程では、前記外装缶が前記密閉型電池の厚み方向よりも前記密閉型電池の幅方向に長い扁平形状を有し、且つ少なくとも前記開口部における前記幅方向の両端部に前記テーパ部を有するように、前記外装缶を形成する、密閉型電池の製造方法。 - 請求項1または2に記載の密閉型電池の製造方法において、
前記接合工程では、前記外装缶を縦断面で見て、前記テーパ部の外表面全体が溶融するように、前記開口部と前記蓋板とを溶接する、密閉型電池の製造方法。 - 請求項1から3までのいずれか一つに記載の密閉型電池の製造方法において、
前記外装缶形成工程では、前記開口部の全周に亘って前記テーパ部を形成する、密閉型電池の製造方法。 - 請求項1から4までのいずれか一つに記載の密閉型電池の製造方法において、
前記外装缶形成工程では、前記開口部が前記テーパ部および前記テーパ部が設けられていない残部を含み、且つ前記外装缶を縦断面で見て、前記開口部の厚み方向における前記テーパ部の長さが、前記厚み方向における前記テーパ部の長さおよび前記厚み方向における前記残部の長さの和の3分の1以上になるように、前記外装缶を形成する、密閉型電池の製造方法。
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CN112018277A (zh) * | 2020-08-21 | 2020-12-01 | 常州瑞德丰精密技术有限公司 | 一种电池外壳、二次电池以及电池包 |
-
2013
- 2013-12-12 JP JP2013257108A patent/JP2015115223A/ja active Pending
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WO2022037127A1 (zh) * | 2020-08-21 | 2022-02-24 | 常州瑞德丰精密技术有限公司 | 一种电池外壳、二次电池以及电池包 |
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