JP2008246742A - 射出成形用型ノズル構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズルを分割型の奥部まで進入させることができ、スプルーを有するスプルーブッシュを廃止することができる射出成形用型ノズル構造を提供する。
【解決手段】射出成形用型ノズル構造は、分割型10および相手分割型11と、ノズル5と、ノズルピン6とをもつ。分割型10は、成形キャビティ12に対面するゲート開口20をもつ小凹部2と、進入開口32をもち且つ小凹部2に連通する大凹部3と、大凹部3の軸芯P1に対して遠心方向に沿って延設された着座面4と有する。ノズル5は、少なくともノズル5の先端部が分割型10の進入開口32から大凹部3内に収容されるように大凹部3内に進入可能に設けられており、分割型10の着座面4に当接する当接面53を有する。ノズルピン6のピン先端面60は、射出成形時に成形キャビティ12に対面してキャビティ型面13のうちの一部を形成する。
【選択図】図2
【解決手段】射出成形用型ノズル構造は、分割型10および相手分割型11と、ノズル5と、ノズルピン6とをもつ。分割型10は、成形キャビティ12に対面するゲート開口20をもつ小凹部2と、進入開口32をもち且つ小凹部2に連通する大凹部3と、大凹部3の軸芯P1に対して遠心方向に沿って延設された着座面4と有する。ノズル5は、少なくともノズル5の先端部が分割型10の進入開口32から大凹部3内に収容されるように大凹部3内に進入可能に設けられており、分割型10の着座面4に当接する当接面53を有する。ノズルピン6のピン先端面60は、射出成形時に成形キャビティ12に対面してキャビティ型面13のうちの一部を形成する。
【選択図】図2
Description
本発明は射出成形に使用される射出成形用型ノズル構造に関する。
従来、特許文献1には、スプルーを有するスプルーブッシュを分割型のうち成型キャビティの反対側に取り付け、ノズルから吐出された成形材料をスプルーブッシュのスプルーを介して成形キャビティ内に供給する成形装置が開示されている。また特許文献2には、スプルーを有するスプルーブッシュを分割型に取り付け、ロングノズルから吐出された溶融状態の軽金属の成形材料をスプルーブッシュのスプルーを介して成形キャビティ内に供給する軽金属射出成形用の金型が開示されている。更に特許文献3には、ノズルと別体のノズルアダプタを設け、ノズルアダプタをノズルの先端部に取り付けた状態で、ノズルおよびノズルアダプタを介して溶融樹脂を射出成形する射出成形装置が開示されている。このものによれば、コールドランナとホットランナとの両方の使用の金型に容易に対応できるとされている。
特許第3146476号
特開2001−30054号公報
特開2001−334551号公報
ところで、上記した従来技術によれば、成形品を成形する成形キャビティに、ノズルの先端部であるノズル先端面が対面する方式ではない。従って、射出成形材料を分割型の成形キャビティに導入させるスプルーを有するスプルーブッシュが必要とされている。
本発明は上記した実情に鑑みてなされたものであり、ノズルを分割型の凹部の奥部まで進入させることができ、スプルーを有するスプルーブッシュを廃止することができる射出成形用型ノズル構造を提供することを課題とする。
本発明に係る射出成形用型ノズル構造は、成形品を成形する成形キャビティを形成する分割型および相手分割型と、射出成形材料を成形キャビティに射出する先端開口を有するノズル孔をもつ筒形状をなすノズルと、ノズル孔の軸芯に沿ってノズルに対して移動可能に設けられ、移動に伴いノズル孔の先端開口を開閉するノズルピンとを具備する射出成形用型ノズル構造において、
分割型は、成形キャビティに対面するゲート開口をもつ小凹部と、ゲート開口よりも大きな内径をもつと共に成形キャビティと反対側において開口する進入開口をもち且つ小凹部に連通する大凹部と、大凹部の軸芯に対して遠心方向に沿って延設された鍔状をなす着座面と有しており、
ノズルは、ノズルの少なくとも先端部が分割型の進入開口から大凹部内に収容されるように大凹部内に進入可能に設けられており、ノズル進入時に分割型の着座面に当接して着座する当接面を有しており、
ノズルピンは、ノズル進入時に成形キャビティに対面してキャビティ型面のうちの一部を形成するピン先端面をもつことを特徴とする。
分割型は、成形キャビティに対面するゲート開口をもつ小凹部と、ゲート開口よりも大きな内径をもつと共に成形キャビティと反対側において開口する進入開口をもち且つ小凹部に連通する大凹部と、大凹部の軸芯に対して遠心方向に沿って延設された鍔状をなす着座面と有しており、
ノズルは、ノズルの少なくとも先端部が分割型の進入開口から大凹部内に収容されるように大凹部内に進入可能に設けられており、ノズル進入時に分割型の着座面に当接して着座する当接面を有しており、
ノズルピンは、ノズル進入時に成形キャビティに対面してキャビティ型面のうちの一部を形成するピン先端面をもつことを特徴とする。
本発明によれば、ノズルは、ノズルの先端部が分割型の進入開口から大凹部内に収容されるように、大凹部内に進入可能に設けられている。ノズルの当接面は、ノズル進入時に分割型の着座面に当接可能とされている。従ってノズル進入時に、ノズルピンを備えるノズルを分割型の大凹部の内部に進入させる。これによりノズルの当接面を分割型の着座面に接触させて着座させる。これによりノズルの先端部を分割型の成形キャビティにできるだけ接近させることができる。このようにノズルを分割型の大凹部内の着座面に着座させた状態で、ノズルの先端開口から射出成形材料を成形キャビティ内に直接的に供給する。このため分割型においてスプルーをもつスプルーブッシュを廃止することができる。よって、製品歩留まりを向上させることができる。
更に、上記したようにスプルーブッシュを廃止することができるため、射出成形材料が流れる距離が低減される。故に、成形キャビティ内の射出成形材料に対して保圧工程を実施する場合において、保圧の効率を高めることができる。従って、保圧力を低減させることができ、射出成型機側の負担を軽減できる。
本発明によれば、分割型の大凹部内に進入して着座させたノズルの先端開口から射出成形材料を成形キャビティ内に直接的に供給する。このため分割型においてスプルーをもつスプルーブッシュを廃止することができ、製品歩留まりを向上させることができる。更に、上記したようにスプルーブッシュを廃止することができるため、射出成形材料が流れる距離が短縮され、成形キャビティ内の射出成形材料に対して保圧工程を実施する場合において、保圧の効率を高めることができ、保圧力を低減させることができ、射出成型機側の負荷を軽減できる。
分割型および相手分割型は、成形品を成形する成形キャビティを形成する。ノズルは、射出成形材料を成形キャビティに射出するノズル孔をもつ筒形状をなす。射出成形材料としては樹脂系、ゴム系が例示され、ガラス繊維等の補強材が含有されていても良い。ノズルピンはバルブピンとも呼ばれており、移動に伴いノズル孔の先端開口を開閉するものである。ノズルピンは、ノズル孔の軸芯に沿ってノズルに対して移動可能に設けられている、ノズルピンが開放されると、射出成形材料がノズル孔の先端開口から成形キャビティに射出される。
前記した分割型は、成形キャビティに対面するゲート開口をもつ小凹部と、ゲート開口よりも大きな内径をもつと共に成形キャビティと反対側において開口する進入開口をもち且つ小凹部に連通する大凹部と、大凹部の軸芯に対して遠心方向に沿って延設された鍔状をなす着座面と有する。
前記したノズルは、少なくともノズルの先端部が分割型の進入開口から大凹部内に収容されるように、大凹部内に進入可能に設けられている。ノズルは、射出成形時に分割型の着座面に当接する当接面を有する。前記したノズルピンは、射出成形時に成形キャビティに対面してキャビティ型面のうちの一部を形成するピン先端面をもつ。
本発明によれば、ノズルの外周部と分割型の大凹部の内周部との間に、ノズルから分割型への伝熱を抑制する断熱空間が形成されている形態が例示される。この場合、射出成形材料が注入されるノズルから分割型への伝熱が抑制される。このため、ノズルのノズル孔内の射出成形材料の過剰冷えが抑制され、成形品の欠陥の抑制が図られる。
本発明によれば、ノズルについては、ノズルを分割型の大凹部に進入したとき、成形キャビティに対面してキャビティ型面のうちの一部を形成するノズル先端面をもつ形態が例示される。この場合、スプルーをもつスプルーブッシュを廃止するのに有利となる。
本発明によれば、ノズルのノズル孔の先端開口を閉鎖しているとき、分割型の小凹部には、ノズルピンの先端部が進入されて成形キャビティに対面し且つノズルの先端部が進入されない形態が例示される。この場合、ノズルピンの先端部であるピン先端面が成形キャビティの型面の一部を形成する。この場合、ノズル5の先端開口52を成形キャビティ12にできるだけ近づけることができる。よって、スプル−をもつスプルーブッシュを廃止することができる。
更に、ノズルのノズル孔の先端開口を閉鎖しているとき、分割型の小凹部には、ノズルピンの先端部が進入され且つノズルの先端部が進入されて成形キャビティに対面している形態が例示される。この場合、ノズルピンの先端部であるピン先端面が成形キャビティの型面の一部を形成すると共に、ノズルの先端部であるノズル先端面が成形キャビティの型面の一部を形成する。この場合、ノズル5の先端開口52を成形キャビティ12にできるだけ近づけることができる。よって、スプルーをもつスプルーブッシュを廃止することができる。分割型を射出成形機に取り付けるプラテンが設けられている形態が例示される。プラテンは、ノズルを進入するノズル凹部をもつことが好ましい。
以下、本発明の実施例1について図1〜図4を参照して説明する。本実施例に係る射出成形用型ノズル構造は、金型で形成された分割型10および相手分割型11をもつ成形型1と、ノズル5と、ノズルピン6とを備えている。分割型10は上型として機能しており、成形品を成形する成形キャビティ12を相手分割型11(下型)と共に形成する。型締時において、分割型10の割面10aは、相手分割型11の相手割面11aに接触する。ノズル5は軸芯P2をもつ断面円形状の筒形状をなしており、樹脂等の射出成形材料を成形キャビティ12に射出するノズル孔51をもつ。ノズルピン6はバルブピンとも呼ばれており、移動に伴い、ノズル孔51の先端開口52を開閉するものである。ノズルピン6は、ノズル5のノズル孔51の軸芯P2に沿ってノズル5に対して移動可能に同軸的に設けられている。
図1に示すように、分割型10は、成形キャビティ12に対面する小凹部2と、小凹部2に連通する大凹部3と、着座面4と有する。小凹部2はゲートとして機能できる通路であり、分割型10のうち相手分割型11側に設けられており、重力方向(矢印Y1,Y2方向)に沿って貫通しており、成形キャビティ12に直接的に対面するゲート開口20をもつ。大凹部3はノズル3の先端部を収容する機能を有するものであり、直円筒形状をなす型内周部30をもつ第1大凹部3fと、第1大凹部3fに同軸的に連通すると共に第1大凹部3fよりも径小の第2大凹部3sと、水平方向に沿うように延設された対向面31とをもつ。
図1に示すように、対向面31は、第1大凹部3fおよび第2大凹部3sの境界に形成されており、大凹部3の軸芯P1に対して遠心方向(軸直角方向)に沿って延設された鍔状をなす。図1に示すように、第1大凹部3fは、分割型10において成形キャビティ12と反対側の表面10dにおいて開口する第1進入開口32と、第1大凹部3fの空洞に対面するように軸芯P1回りに形成された型内周部30とをもつ。第2大凹部3sは、第1大凹部3fにおいて開口する第2進入開口33と、軸芯P1回りの円錐面形状をなす第1ガイド面34とをもつ。ここで図1に示すように、第1進入開口32の内径は、第2進入開口33の内径よりも大きくされている。第1進入開口32の内径および第2進入開口33の内径は、ゲート開口20の内径よりも大きくされている。
図1に示すように、分割型10の着座面4は、分割型10において大凹部3の第2大凹部3sと小凹部2との間に配置されている。即ち、着座面4は、ゲート開口20と第2進入開口33(対向面31)との間に形成されている。着座面4は、分割型10の大凹部3の軸芯P1に対して遠心方向(軸直角方向)に沿って延設されたリング鍔状をなす。図1に示すように、分割型10の厚み寸法をTBとし、分割型10のうち成形キャビティ12と反対側の表面10dから着座面4までの深さ寸法をh1とすると、h1=TB×αに設定されている。αとしては、0.6〜0.95の範囲内、0.65〜0.90の範囲内、または、0.75〜0.80の範囲内に設定できる。これによりノズル5の先端分を成形キャビティ12に接近させることができる。
図1に示すように、第2大凹部3sは、軸芯P1の回りに形成された円錐面状の第1ガイド面34をもつ。小凹部2は、射出成形材料の見切面を形成するように、軸芯P1の回りに形成された円錐面状の第2ガイド面24をもつ。第1ガイド面34および第2ガイド面24は、それぞれ、ゲート開口20および成形キャビティ12に向かうにつれて(下方に向かうにつれて)内径が次第に小さくなるように傾斜している。
図1に示すように、ノズル5は、ノズル外周部50と、ノズル進入時(射出成形時)に分割型10の着座面4に当接する当接面53と、当接面53の外周側に続くノズルガイド面54と、対向面31に対向する被対向面56と、ノズル孔51に対面するノズル円錐内壁面57を有する。当接面53および被対向面56は、それぞれ、ノズル5の軸芯P2に対して遠心方向(軸直角方向)に沿ってリング鍔状に延設されている。ノズルガイド面54は軸芯P2の回りに形成されており、ノズル5の当接面53に向かうにつれて(ゲート開口20に近づくにつれて)外径が次第に小さくなるように円錐形状に設定されている。
本実施例によれば、軸芯P2に対するノズルガイド面54の傾斜角は、後述する傾斜角θ1に相当する。軸芯P2に対するピンガイド面62の傾斜角は、後述する傾斜角θ2に相当する。ノズル5については、ノズル5の先端部が分割型10の第1進入開口32から大凹部3内に収容されるように、大凹部3内に進入可能に設けられている。
図1に示すように、ノズルピン6は、ノズルピン6の先端側に位置するピン先端面60と、ピン外周部61と、外周面を形成するピンガイド面62と、ノズル5のノズル円錐内壁面57に対面するピン円錐外壁面63とをもつ。ノズルピン6のピン先端面60は、ノズル5の軸芯P2に対して遠心方向(軸直角方向)に沿って延設されている。ノズルピン6のピン先端面60は、ノズル進入時(射出成形時)に成形キャビティ12に対面してキャビティ型面13のうちの一部を形成する。ピンガイド面62は、ノズルピン6のピン先端面60に向かうにつれて外径が小さくなるように傾斜している。
射出成形を実施する場合について説明を加える。先ず、図1に示すように、ノズルピン6を備えるノズル5を、分割型10から離間した状態に待機させておく。待機している状態では、ノズルピン6のピン先端面60をノズル5の当接面53から分割型10に向けて矢印Y1方向(下方)に向けて突出させておく(図1参照)。そして、ノズルピン6を備えるノズル5を、分割型10に向けて矢印Y1方向(下方)に移動させる。この結果、図2から理解できるように、ノズル5のノズルガイド面54が分割型10の第1ガイド面34に案内される。これによりノズル5が径方向において調芯(粗調芯)され、ノズル5の軸芯P2と分割型10の大凹部3の軸芯P1との同軸性が高まる。その後、ノズルピン6のピンガイド面62は分割型10の小凹部2の第2ガイド面24に案内される。これによりノズルピン6ひいてはノズル5が径方向において更に調芯(微細調芯)され、ノズル5の軸芯P2と分割型10の大凹部3の軸芯P1との同軸性が更に向上する。
ところで、ノズル5の軸芯P2と分割型10の大凹部3の軸芯P1とを調芯させるにあたり、調芯時における衝撃をできるだけ低減させることが好ましい。この点ついて本実施例によれば、分割型10において、軸芯P1に対する第1ガイド面34の傾斜角をθ1とする。軸芯P1に対する第2ガイド面24の傾斜角をθ2とする。θ1はθ2よりも小さくされている(θ1<θ2)。例えば、θ1は3°とされており、θ2は5°とされている。ここで、分割型10のうち、ノズル5のノズルガイド面54が分割型10の第1ガイド面34に接触して調芯ガイドされるタイミングをt1とする。ノズルピン6のピンガイド面62が分割型10の第2ガイド面24に接触して調芯ガイドされるタイミングをt2とする。タイミングt1はタイミングt2よりも時間的に早い。
このため緩い傾斜の傾斜角θ1をもつ第1ガイド面34によりノズル5を調芯(粗調芯に相当)させ、その後、傾斜角θ1よりも急な勾配である傾斜角θ2をもつ第2ガイド面24にノズルピン6のピンガイド面62を当てて更に調芯(微細調芯に相当)させることにしている。ここで、傾斜角θ2よりも傾斜角が小さな傾斜角θ1の場合の方が、調芯時における衝撃が少ないといえる。
このためノズル5およびノズルピン6を分割型10の大凹部3の軸芯P1に対して調芯させつつも、分割型10の第2ガイド面24にノズルピン6のピンガイド面62が当たる衝撃をできるだけ低減させることができる。ここで、分割型10の第2ガイド面24は、バリ切り面として重要な機能を発揮する。このような重要な機能を発揮する第2ガイド面24の保護性および耐久性を高めることができる。
本実施例によれば、上記したようにノズル5の軸芯P2を分割型10の大凹部3の軸芯P1に対して調芯させた後に、図2に示すように、ノズル5の当接面53が分割型10の着座面4に接触して着座される。このようにノズル5の当接面53が着座面4に着座された状態では、図2に示すように、ノズルピン6の先端側のピン先端面60は、成形キャビティ12に直接的に対面しており、成形キャビティ12を形成するキャビティ型面13の一部を形成している。更に図2に示すように、分割型10の型内周部30とノズル5のノズル外周部50との間には、円筒形状の断熱空間80aが形成される。分割型10の対向面31とノズル5の被対向面56との間にも、円筒形状の断熱空間80bが形成される。このためノズル5と分割型10との接触面積が小さくなる。この結果、相対的に高温側のノズル5の熱が、相対的に低温側の分割型10に奪われることが抑制される。ひいてはノズル孔51の射出成形材料の熱が分割型10に奪われることが抑制され、成形品の成形不良が低減される。また、図2に示すように、ノズル5のノズルガイド面54は、分割型10の第1ガイド面34に接触または実質的に接触する。ノズルピン6のピンガイド面62は、分割型10の小凹部2の第2ガイド面24に接触または実質的に接触する。これによりノズル進入時(射出成形時)におけるノズル5の保持性および姿勢が維持される。
次に、図3に示すように、ノズルピン6を分割型10から離間するように矢印Y2方向(上方)に移動させ、ノズル5の先端開口52を開放させる。このようにノズル5の先端開口52が開放された状態で、図略の射出成形機により、流動性をもつ樹脂系の射出成形材料を所定の射出成形圧によりノズル孔51および先端開口52を介して成形キャビティ12に注入する注入工程を実施する。射出成形圧としては、本実施例に係る従来技術の成形品においては約100MPaであったものを、本実施例の成形品においては約50MPaに低減させることができる。上記したように射出成形材料が成形キャビティ12に注入された後、ノズル5の先端開口52が開放された状態で、射出成形機側の圧力を成形キャビティ12内の射出成形材料に付加させる保圧工程が実施される。
保圧工程が実施されたら、図4に示すように、ノズルピン6を分割型10に向けて矢印Y1方向(下方)に向けて移動させ、ノズルピン6でノズル5の先端開口52を閉鎖させる。ここで、ノズルピン6のピン先端面60は、成形キャビティ12の一部に対面し、キャビティ型面13の一部を形成する。これにより射出成形が終了する。次に、ノズルピン6と共にノズル5を分割型10から矢印Y2方向(上方)に移動させる。更に分割型10と相手分割型11とが離型し、成形キャビティ12内の成形品が取り出される。
なお、分割型10を射出成形機に取り付けるプラテン102が設けられている。プラテン102と分割型10との間には板状の断熱部材105が配置されている。プラテン102は、ノズル5を進入する貫通孔状のノズル凹部103をもつ。断熱材105は、ノズル5を進入する貫通孔状のノズル凹部106をもつ。これによりノズル5を分割型10の内部に進入する構造が採用される。
以上説明した本実施例によれば、ノズル5は、ノズル5の先端部が分割型10の第1進入開口32から大凹部3内に収容されるように大凹部3内に進入可能に設けられている。そしてノズル5は、射出成形時(進入時)において、分割型10の着座面4に当接して着座する当接面53を有する。従って射出成形時に、ノズルピン6を備えるノズル5を分割型10の大凹部3の内部に進入させ、ノズル5の当接面53を分割型10の着座面4に接触させて着座させることにしている。このように分割型10の大凹部3内に進入したノズル5の先端開口52から樹脂系の射出成形材料を、成形型1の成形キャビティ12内に直接的に供給することにしている。このため成形型1の分割型10においてノズル5を、これが成形キャビティ12に接近する奥部まで進入させることができる。従って、ノズル5の先端開口52を成形キャビティ12にできるだけ近づけることができ、スプルーを有するスプルーブッシュを廃止することができる。更にスプルーと成形キャビティ12とを繋ぐランナーも廃止することができる。よって製品歩留まりを向上させることができる。
上記したようにスプルーブッシュばかりかランナーを廃止することができるため、射出成形材料の冷却を抑えるのに有利であり、この意味において成形不良を低減できる。更に、成形キャビティ12内の射出成形に対して保圧する保圧工程を実施するにあたり、スプルーブッシュおよびランナーの双方が廃止されているため、射出成形材料の流れ距離が短縮され、保圧の効率を高めることができ、保圧力を従来技術よりも低減させることができる。試験例によれば、従来品では保圧力が25MPaであったが、成形品の同一品質を維持しつつ、本実施例品では保圧力が15MPaにすることができた。
分割型10の第2ガイド面24は、射出成形が装填される成形キャビティ12に近くに存在しており、重要なバリ切り面を構成する。このため、使用期間が長期にわたったとしても、第2ガイド面24における摩耗およびかじり等を低減させることが好ましい。
この点について本実施例によれば、前述したように、ノズル5の当接面53を分割型10の着座面4に着座させるにあたり、先ず、緩い傾斜の傾斜角θ1をもつ第1ガイド面34によりノズル5を調芯(粗調芯に相当)させ、その後、傾斜角θ1よりも急な勾配をもつ傾斜角θ2をもつ第2ガイド面24にノズルピン6のピンガイド面62を当てて更に調芯(微細調芯に相当)させることにしている。ここで、傾斜角θ2よりも傾斜角が小さな傾斜角θ1の場合の方が、調芯時における衝撃が少ないといえる。このためノズル5およびノズルピン6を分割型10の大凹部3の軸芯P1に対して調芯させつつも、分割型10の第2ガイド面24にノズルピン6のピンガイド面62が当たる衝撃をできるだけ低減させることができる。このためバリ切り面という重要な機能を発揮する第2ガイド面24において、摩耗およびかじり等を低減させるのに有利となり、第2ガイド面24の長寿命化を図り得る。
更に本実施例によれば、図1〜図4に示すように、大凹部3は、内径が相対的に大きく空洞容積が相対的に大きな第1大凹部3fと、内径が相対的に小さく空洞容積が相対的に小さな第2大凹部3sとで形成されている。このため、分割型10において、空洞容積が大きな第1大凹部3fを成形キャビティ12からできるだけ遠ざけることができる。故に、分割ノズル5を着座させるための大凹部3を分割型10に形成しつつも、分割型10の肉厚ta(図2参照)をできるだけ確保でき、分割型10の型剛性を高めることができる。
なお本実施例によれば、ノズルピン6のピン先端面60はキャビティ型面13の一部を形成しているため、ピン先端面60に凹または凸形状の型部(マーキング等)を形成しておけば、射出成形時において、当該型部を成形品に転写させることができる。
以下、本発明の実施例2について図5〜図8を参照して説明する。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。共通の機能を有する部位には共通の符号を付する。図5に示すように、射出成形用型ノズル構造は、金型で形成された分割型10および相手分割型11をもつ成形型1と、ノズル5と、ノズルピン6とを備えている。分割型10は上型として機能しており、成形品を成形する成形キャビティ12を相手分割型11(下型)と共に形成する。型締時において、分割型10の割面10aは、相手分割型11の相手割面11aに接触する。なお、分割型10は固定型とされ、相手分割型11は可動型とされている。ノズル5は軸芯P2をもつ断面円形状の金属製またはセラミックス製の筒形状をなしており、樹脂等の射出成形材料を成形キャビティ12に射出するノズル孔51をもつ。ノズルピン6は、ノズル5のノズル孔51の軸芯P2に沿ってノズル5に対して矢印Y1,Y2方向に移動可能に同軸的に設けられており、金属製またはセラミックス製とされている。
図5に示すように、分割型10は、成形キャビティ12に対面する小凹部2と、小凹部2に連通する大凹部3と、着座面4と有する。小凹部2は、分割型10のうち相手分割型11側に設けられており、成形キャビティ12に直接的に対面するゲート開口20をもつ。図5に示すように、大凹部3は、分割型10において成形キャビティ12と反対側の表面10dにおいて開口する進入開口32と、大凹部3の空洞に対面するように軸芯P1回りに形成された円錐面形状をなす第1ガイド面34とをもつ。ここで図5に示すように、進入開口32の内径は、ゲート開口20の内径よりも大きくされている。
図5に示すように、分割型10の着座面4は、分割型10において大凹部3と小凹部2との間に配置されている。着座面4は、分割型10の大凹部3の軸芯P1に対して遠心方向(軸直角方向)に沿って延設されたリング鍔状をなす。
図5に示すように、分割型10の厚み寸法をTBとし、分割型10のうち成形キャビティ12と反対側の表面10dから着座面4までの深さ寸法をh1とすると、h1=TB×αに設定されている。αとしては、0.6〜0.95の範囲内、0.65〜0.90の範囲内、または、0.75〜0.80の範囲内に設定できる。このようにノズル5を成形キャビティ12にできるだけ近づけることができる。
大凹部3は、軸芯P1の回りに形成された円錐面状の第1ガイド面34をもつ。小凹部2は、射出成形材料の見切面を形成するように、軸芯P1の回りに形成された円錐面状の第2ガイド面24をもつ。第1ガイド面34および第2ガイド面24は、それぞれ、ゲート開口20および成形キャビティ12に向かうにつれて内径が次第に小さくなるように傾斜している。
図5に示すように、ノズル5は、ノズル外周部50と、ノズル進入時(射出成形時)に分割型10の着座面4に当接する当接面53と、分割型10から離間する方向に当接面53の外周側から続く第1ノズルガイド面54と、分割型10に近づく方向に当接面53の内周側から続く第2ノズルガイド面55と、ノズル孔51に対面するノズル円錐内壁面57と、ノズル先端面59とを有する。図5に示すように、当接面53は、ノズル5の軸芯P2に対して遠心方向(軸直角方向)に沿ってリング鍔状に延設されている。ノズル先端面59はノズル5の軸芯P2に対して遠心方向(軸直角方向)に沿って延設されている。第1ノズルガイド面54はノズル5の軸芯P2の回りに形成されており、ノズル5の当接面53に向かうにつれて外径が次第に小さくなるように円錐形状に設定されている。第2ノズルガイド面55は軸芯P2の回りに形成されており、ノズル5の当接面53から離間してゲート開口20に向かうにつれて外径が次第に小さくなるように円錐形状に設定されている。
ここで、軸芯P2に対する第1ノズルガイド面54の傾斜角は、傾斜角θ1に相当する。軸芯P2に対する第2ノズルガイド面55の傾斜角は、傾斜角θ2に相当する。ノズル5の先端側のノズル先端面59は、射出成形時に成形キャビティ12に対面してキャビティ型面13のうちの一部を形成する。ノズル5については、ノズル5の先端部が分割型10の進入開口32から大凹部3内に収容されるように、大凹部3内に進入可能に設けられている。
図5に示すように、ノズルピン6は、ピン先端面60と、ピン外周部61と、ピンガイド面62と、ノズル5のノズル円錐内壁面57に対面するピン円錐外壁面63とをもつ。ピンガイド面62は、ピン先端面60に向かうにつれて外径が小さくなるように微小角度傾斜した円錐面とされている。ノズルピン6のピン先端面60は、ノズル5の軸芯P2に対して遠心方向(軸直角方向)に沿って延設されている。ノズルピン6のピン先端面60は、ノズル進入時(射出成形時)に成形キャビティ12に対面してキャビティ型面13のうちの一部を形成する。
次に、射出成形を実施する場合について説明を加える。先ず、図5に示すように、ノズルピン6を備えるノズル5を分割型10から離間した状態に待機させておく。待機している状態では、ノズルピン6のピン先端面60の位置(高さ位置)を、ノズル5のノズル先端面59の位置(高さ位置)に整合させておく(図5参照)。そして、ノズルピン6を備えるノズル5を、分割型10に向けて矢印Y1方向(下方)に移動させる。この結果、図6から理解できるように、ノズル5のノズルガイド面54が分割型10の第1ガイド面34に案内される。これによりノズル5の軸芯P2が径方向に調芯(粗調芯に相当する)される。故に、ノズル5の軸芯P2と分割型10の大凹部3の軸芯P1との同軸性が高まる。その後、ノズル5の第2ノズルガイド面55は分割型10の小凹部2の第2ガイド面24に案内される。これによりノズル5が径方向に更に調芯(微細調芯に相当する)される。この結果、ノズル5の軸芯P2と分割型10の大凹部3の軸芯P1との同軸性が更に向上する。
ところで、ノズル5の軸芯P2と分割型10の大凹部3の軸芯P1とを調芯させるにあたり、調芯時における衝撃をできるだけ低減させることが好ましい。この点ついて本実施例によれば、分割型10において、軸芯P1に対する第1ガイド面34の傾斜角をθ1とする。軸芯P1に対する第2ガイド面24の傾斜角をθ2とする。θ1はθ2よりも小さくされている(θ1<θ2)。例えば、θ1は3°とされており、θ2は5°とされている。ここで、分割型10のうち、ノズル5の第1ノズルガイド面54が分割型10の第1ガイド面34に接触して調芯ガイドされるタイミングをt1とする。ノズル5の第2ノズルガイド面55が分割型10の第2ガイド面24に接触して調芯ガイドされるタイミングをt2とする。タイミングt1はタイミングt2よりも時間的に早い。このため緩い傾斜の傾斜角θ1をもつ第1ガイド面34によりノズル5を調芯(粗調芯に相当)させた後、傾斜角θ1よりも急な勾配をもつ傾斜角θ2をもつ第2ガイド面24にノズルピン6のピンガイド面62を当ててノズル5を更に調芯(微細調芯に相当)させることにしている。ここで、傾斜角θ2よりも傾斜角が小さな傾斜角θ1の場合の方が、調芯時における衝撃が少ないといえる。このため本実施例によれば、ノズル5を分割型10の大凹部3の軸芯P1に対して調芯させつつも、分割型10の第2ガイド面24にノズル5第2ノズルガイド面55が当たる衝撃をできるだけ低減させることができる。
上記したようにノズル5の軸芯P2を分割型10の大凹部3の軸芯P1に対して調芯させた後に、図6から理解できるように、ノズル5の当接面53が分割型10の着座面4に接触して着座される。このようにノズル5の当接面53が着座面4に着座された状態では、図6に示すように、ノズルピン6の先端のピン先端面60は、成形キャビティ12に直接的に対面しており、成形キャビティ12を形成するキャビティ型面13の一部を形成している。更にノズル5の先端のノズル先端面59は、成形キャビティ12に直接的に対面しており、成形キャビティ12を形成するキャビティ型面13の一部を形成している。
また、図6に示すように、ノズル5の第1ノズルガイド面54は、分割型10の第1ガイド面34に接触または実質的に接触する。ノズル5の第2ノズルガイド面55は、分割型10の第2ガイド面24に接触または実質的に接触する。これにより射出成形時におけるノズル5の保持性および姿勢が良好に維持される。なお、ノズル5と分割型10との接触面積が増加しているため、射出成形材料の冷却が促進され易い。従って、分割型10よりも熱伝達率が低い材料(例えばステンレス鋼等)でノズル5を形成することも可能である。
次に、図7に示すように、ノズルピン6を分割型10から離間するように矢印Y2方向(上方)に移動させ、ノズル5の先端開口52を開放させる。このようにノズル5の先端開口52が開放された状態で、図略の射出成形機により、流動性をもつ射出成形材料を所定の射出成形圧によりノズル孔51および先端開口52を介して成形キャビティ12に注入する注入工程を実施する。射出成形圧としては、本実施例に係る従来技術の成形品においては約100MPaであったものを、本実施例の成形品においては約50MPaに低減させることができる。上記したように射出成形材料が成形キャビティ12に注入されると、ノズル5の先端開口52が開放された状態で、射出成形機側の圧力を成形キャビティ12内の射出成形材料に付加させる保圧工程が実施される。
保圧工程が実施されたら、図8に示すように、ノズルピン6を分割型10に向けて矢印Y1方向(下方)に向けて移動させ、ノズルピン6でノズル5の先端開口52を閉鎖させる。これにより射出成形が終了する。次に、ノズルピン6と共にノズル5を分割型10から矢印Y2方向(上方)に移動させる。更に分割型10と相手分割型11とが離型し、成形キャビティ12内の成形品が取り出される。
以上説明した本実施例によれば、実施例1と同様の作用効果が得られる。即ち、射出成形時に、ノズルピン6を備えるノズル5を分割型10の大凹部3の内部に進入させ、ノズル5の当接面53を分割型10の着座面4に接触させて着座させることにしている。このように分割型10の大凹部3内に進入したノズル5の先端開口52から樹脂系の射出成形材料を、成形型1の成形キャビティ12内に直接的に供給することにしている。このため成形型1の分割型10においてスプルーをもつスプルーブッシュを廃止することができる。更にランナーを廃止することもできる。従って製品歩留まりを向上させることができる。
上記したようにスプルーブッシュおよびランナーを廃止することができるため、射出成形材料の冷却を抑えるのに有利であり、この意味において成形不良を低減できる。更に、成形キャビティ12内の射出成形に対して保圧する保圧工程を実施するにあたり、スプルーブッシュおよびランナーが廃止されているため、保圧の効率を高めることができ、保圧力を従来技術よりも低減させることができる。
本実施例によれば、図6に示すように、分割型10よりも相対的に高温に維持されるノズル5のノズル先端面59が、成形キャビティ12に直接的に対面してキャビティ型面13を形成している。従って、ノズル先端面59付近の射出成形材料の冷却固化が遅延するおそれがある。このため射出および保圧を終了した後、ノズル5の温度を強制的に低下させることが好ましい。この場合、分割型10のうち小凹部2付近に形成した冷却通路(図示せず)にエアブロー等の冷媒を流入させる操作を行い得る。
本実施例によれば、射出成形時において分割型10の小凹部2にノズル5の先端部が進入している。一般的には、ノズル5の温度は分割型10の温度よりも相対的に高い。このため、分割型10の小凹部2において樹脂系の射出成形材料が過剰に冷却されることが抑制され、ゲート残り等の成形不良の低減に貢献できる。
本実施例によれば、図8に示すように、ノズルピン6のピン先端面60、ノズル5のノズル先端面59の双方は、キャビティ型面13の一部を形成しているため、ピン先端面60およびノズル先端面59に凹または凸形状の型部(マーキング等)を形成しておけば、射出成形時において、当該型部を成形品に転写させることができる。
なお本実施例によれば、ノズル5の第1ノズルガイド面54の外径と、分割型10の第1ガイド面34の内径との公差は所定域に設定されており、ノズル5の進入容易性が確保されている。これによりノズル5の第1ノズルガイド面54が分割型10の第1ガイド面34に圧入されることがないように設定されている。従って、ノズル5が分割型10の大凹部3の第1ガイド面34に進入されるとき、大凹部3の空気は大凹部3外方に良好に排出され、進入性が損なわれることが防止されている。
但し、場合によっては、ノズル5の第1ノズルガイド面54の外径と、分割型10の第1ガイド面34の内径との公差を小さく設定することもできる。この場合、ノズル5が分割型10の大凹部3の第1ガイド面34に進入され、ノズル5の当接面53が分割型10の着座面4に着座するとき、大凹部3内の空気が大凹部3外方に排出されるものの、空気クッション性を発揮し、着座の衝撃性を低下させることを期待することができる。
以下、本発明の実施例3について図9を参照して説明する。本実施例は実施例2と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。共通の機能を有する部位には共通の符号を付する。図9に示すように、ノズル5の第1ノズルガイド面54は、分割型10の第1ガイド面34に接触または実質的に接触する。ノズル5の第2ノズルガイド面55は、分割型10の小凹部2の第2ガイド面24に接触または実質的に接触する。これにより射出成形時におけるノズル5の保持性および姿勢が維持されるが、相対的に高温側のノズル5の熱が、相対的に低温側の分割型10に奪われ易い。そこで本実施例によれば、加熱要素として機能するヒータ5hをノズル5の内部に埋設している。射出成形材料を成形キャビティ12に注入するとき、ヒータ5hをオンして発熱させる。保圧させるときにもヒータ5hを発熱させることが好ましい。保圧が終了すると、ヒータ5hをオフさせ、射出成形材料の冷却固化を促進させることが好ましい。
更に図9に示すように、分割型10は、装入空間10kをもつ本体10mと、本体10mの装入空間10kに装入された入子型10iとで形成されている。入子型10iは、本体10mの装入空間10kに交換可能に図略の取付具により取り付けられている。入子型10iは、第1ガイド面34および第2ガイド面24をもつ。第1ガイド面34および第2ガイド面24は、ノズル5の進入に伴い摩耗、損傷し易い。第1ガイド面34および第2ガイド面24が摩耗、損傷すれば、入子型10iを交換することが好ましい。なお、本体10mおよび入子型10iを異材質とし、本体10mよりも熱伝達率が低い材料で入子型10iを形成しても良い。但しこれに限定されるものではない。
以下、本発明の実施例4について図10を参照して説明する。本実施例は実施例2と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。共通の機能を有する部位には共通の符号を付する。図10に示すように、分割型10は、装入空間10kをもつ型容積が大きな本体10mと、本体10mの装入空間10kに装入された交換可能な入子型10iとで形成されている。入子型10iは本体10mよりも型容積が小さくされており、第1ガイド面34および第2ガイド面24をもつ。摩耗し易い第1ガイド面34および第2ガイド面24が損傷すれば、入子型10iを交換することが好ましい。
更に、一般的には、分割型10の温度はノズル5の温度よりも低い。図10に示すように、分割型10を構成する入子型10iのうち、ノズル5に対面する部位には、断熱空間90が軸芯P2の回りで間隔を隔てて分散して複数個形成されている。断熱空間90は軸芯P2の延設方向に沿って延びている。この場合、溶融状態の射出成形材料が注入される相対的に高温のノズル5の熱が分割型10に伝達されることが抑制される。よって、ノズル5の保温性を高めることができる。なお、溶融状態の射出成形材料が注入されるノズル5の保温性を更に高めるべく、本体10mおよび入子型10iを異材質とし、本体10mよりも熱伝達率が低い材料で入子型10iを形成しても良い。但しこれに限定されるものではない。
以下、本発明の実施例5について図11を参照して説明する。本実施例は実施例1と基本的には同様の構成であり、同様の作用効果を有する。共通の機能を有する部位には共通の符号を付する。図11に示すように、分割型10は、装入空間10kをもつ型容積が大きい本体10mと、本体10mの装入空間10kに装入された交換可能な入子型10iとで形成されている。入子型10iは本体10mよりも型容積が小さくされており、第1ガイド面34および第2ガイド面24をもつ。摩耗し易い第1ガイド面34および第2ガイド面24が損傷すれば、入子型10iを交換することが好ましい。なお、溶融状態の射出成形材料が注入されるノズル5の保温性を高めるべく、本体10mおよび入子型10iを異材質とし、本体10mよりも熱伝達率が低い材料で入子型10iを形成しても良い。但しこれに限定されるものではない。
(他の実施例)
上記した各実施例によれば、分割型10において、軸芯P1に対する第1ガイド面34の傾斜角θ1と、軸芯P1に対する第2ガイド面24の傾斜角θ2とを比較するとき、θ1はθ2よりも小さくされている(θ1<θ2)が、これに限らず、θ1>θ2としても良い。上記した各実施例によれば、ゲート開口20は重力方向(矢印Y1,Y2方向)に沿って貫通しており、ノズル5は重力方向(矢印Y1,Y2方向)に沿って移動するが、これに限らず、ゲート開口20は水平方向に沿って貫通しており、ノズル5を水平方向に沿って移動させることにしても良い。更には、ゲート開口20はゲート開口20は重力方向に対して斜め方向に沿って貫通しており、ノズル5を重力方向に対して斜め方向に移動させることにしても良い。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。ある実施形態および実施例に特有の構造および機能は、他の実施形態および実施例についても適用できる。
上記した各実施例によれば、分割型10において、軸芯P1に対する第1ガイド面34の傾斜角θ1と、軸芯P1に対する第2ガイド面24の傾斜角θ2とを比較するとき、θ1はθ2よりも小さくされている(θ1<θ2)が、これに限らず、θ1>θ2としても良い。上記した各実施例によれば、ゲート開口20は重力方向(矢印Y1,Y2方向)に沿って貫通しており、ノズル5は重力方向(矢印Y1,Y2方向)に沿って移動するが、これに限らず、ゲート開口20は水平方向に沿って貫通しており、ノズル5を水平方向に沿って移動させることにしても良い。更には、ゲート開口20はゲート開口20は重力方向に対して斜め方向に沿って貫通しており、ノズル5を重力方向に対して斜め方向に移動させることにしても良い。その他、本発明は上記し且つ図面に示した実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施可能である。ある実施形態および実施例に特有の構造および機能は、他の実施形態および実施例についても適用できる。
本発明は樹脂系、ゴム系などの射出成形材料を射出成形する射出成形に利用することができる。
10は分割型、11は相手分割型、12は成形キャビティ、13はキャビティ型面、2は小凹部、3は大凹部、32は第1進入開口、4は着座面、5はノズル、51はノズル孔、52は先端開口、53は当接面、54はノズルガイド面、6はノズルピン、60はピン先端面を示す。
Claims (5)
- 成形品を成形する成形キャビティを形成する分割型および相手分割型と、
射出成形材料を成形キャビティに射出する先端開口を有するノズル孔をもつ筒形状をなすノズルと、
前記ノズル孔の軸芯に沿って前記ノズルに対して移動可能に設けられ、移動に伴い前記ノズル孔の前記先端開口を開閉するノズルピンとを具備する射出成形用型ノズル構造において、
前記分割型は、前記成形キャビティに対面するゲート開口をもつ小凹部と、前記ゲート開口よりも大きな内径をもつと共に前記成形キャビティと反対側において開口する進入開口をもち且つ小凹部に連通する大凹部と、前記大凹部の軸芯に対して遠心方向に沿って延設された鍔状をなす着座面と有しており、
前記ノズルは、前記ノズルの少なくとも先端部が前記分割型の前記進入開口から前記大凹部内に収容されるように前記大凹部内に進入可能に設けられており、ノズル進入時に前記分割型の前記着座面に当接して着座する当接面を有しており、
前記ノズルピンは、ノズル進入時に前記成形キャビティに対面してキャビティ型面のうちの一部を形成するピン先端面をもつことを特徴とする射出成形用型ノズル構造。 - 請求項1において、射出成形時に前記ノズルの外周部と前記分割型の大凹部の内周部との間に、前記ノズルから前記分割型への伝熱を抑制する断熱空間が形成されていることを特徴とする射出成形用型ノズル構造。
- 請求項1または2において、射出成形時に、前記ノズルのノズル先端面は、前記成形キャビティに対面して前記キャビティ型面のうちの一部を形成していることを特徴とする射出成形用型ノズル構造。
- 請求項1〜3のうちの一項において、前記ノズルピンにより前記ノズルの前記ノズル孔の前記先端開口を閉鎖しているとき、前記分割型の前記小凹部には、前記ノズルピンの先端部が進入され且つ前記ノズルの先端部が進入されないことを特徴とする射出成形用型ノズル構造。
- 請求項1〜3のうちの一項において、前記ノズルピンにより前記ノズルの前記ノズル孔の前記先端開口を閉鎖しているとき、前記分割型の前記小凹部には、前記ノズルピンの先端部および前記ノズルの先端部の双方が進入されており、
前記ノズルピンの前記ピン先端面および前記ノズルの前記ノズル先端面の双方は、前記成形キャビティに対面してキャビティ型面の一部を形成していることを特徴とする射出成形用型ノズル構造。
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