JP2008246602A - 工作機械、工具マガジン制御プログラム及び記録媒体 - Google Patents

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Abstract

【課題】寿命切れや折損した異常工具を工具マガジンに返還するとき複数の異常工具を工具マガジンに分散させずに1箇所に集約し、その後加工終了時にそれらを待機ポット位置に移動させる。
【解決手段】複数の工具を収納した複数のポット10dを有する工具マガジン10と、工具マガジン10の所定位置のポット10dと主軸8との間で工具を交換する工具交換装置9と、主軸8に装着された工具11の異常を検出する工具異常検出手段(S4)とを備えた工作機械1において、工具異常検出手段により工具11の異常が検出されたときに、加工を中断する加工中断手段(S9〜S11)と、加工中断手段による加工中断後に異常が検出された異常工具を工具マガジン10に返還する際に、複数の異常工具が近隣関係にある複数のポット10dに収容されるように工具マガジン10を制御する制御手段(S8)とを設けた。
【選択図】図7

Description

本発明は、工作機械、工具マガジン制御プログラム及び記録媒体に関し、特に、ワーク加工中に工具の異常が検出されたときに、異常工具を工具マガジンに返還する際に複数の異常工具が工具マガジン内でまとまるように工具マガジンを制御するものである。
従来、NC(数値制御)式の工作機械においては、制御装置の記憶部に記憶したNCプログラム(加工プログラム)に基づいて、主軸の工具を交換しながらワークに加工を施すようになっている。この種の工作機械は、工具を収納した複数のポットを備えた工具マガジンと、主軸の工具を工具マガジンの何れかの工具と自動的に交換する自動交換装置と、主軸の工具の異常を検出する工具異常検出手段とを備えている。ワーク加工中において、工具異常検出手段により主軸の工具の寿命切れが検出されたとき、自動交換装置により主軸の工具が、工具マガジンに収容されている同種の予備工具と自動的に交換される。
ところで、工具異常検出手段により予備工具の寿命切れが検出された場合、その予備工具も工具マガジンに自動的に戻される。その後、作業者により複数の異常工具を夫々収容しているポットから異常工具を順次取り外し、それらのポットに新規の工具を順次補充する工具補充作業が行われる。但し、異常工具を収容する複数のポットは工具マガジンの全域に分散している。
その場合、作業者が操作パネルを操作し、工具マガジンを駆動させ、異常工具が収容された何れかのポットを、工作機械のスプラッシュカバーの側面の開口部から作業者がアクセス可能な待機ポット位置まで移動させる。その後、作業者が異常工具をポットから取り外してからそのポットに新しい工具を補充する補充作業を行う。また、その他の複数の異常工具についても、工具マガジンを順次駆動させて1つずつ待機ポット位置まで移動させた後、ポットからの取り外しと新しい工具の補充とを行う。
特許文献1には、ワーク加工中に検知部により工具の折損が検知された場合、主軸ヘッドの移動やテーブルの移動を介して折損した工具を工具取り換え位置に移動させるように制御する数値制御装置を有する工作機械が開示されている。
特開昭61−178151号公報
従来の工作機械においては、操作パネルを操作しながら工具マガジンの正面全体を視認できるような工具マガジンの配置になっていない。そのため、工具マガジンの全域に分散している複数の異常工具を取り外して新規の工具を補充する場合、工具マガジンを操作して異常工具を収容したポットを待機ポット位置に割り出し、異常工具を取り外して新しい工具を補充するという作業を何度も繰返し行う必要があった。従って、工具取換え作業が非常に面倒になり、作業能率を高めることができない。
本発明の目的は、ワーク加工中に工具の異常が検出されて異常工具を工具マガジンに返還するとき、複数の異常工具が工具マガジン内で分散させずに1箇所に集約するようにした工作機械、複数の異常工具を工具マガジンの近隣関係にある複数のポットに集約し且つ加工終了時にはそれら複数のポットを待機ポット位置に移動させるようにした工作機械、工具マガジン制御プログラム、その記録媒体を提供することである。
請求項1の工作機械は、工具を収納した複数のポットを有する工具マガジンと、工具マガジンの所定位置のポットと主軸との間で工具を交換する工具交換装置と、主軸に装着された工具の異常を検出する工具異常検出手段と、工具の異常が検出されたときに加工を中断する加工中断手段とを備えた工作機械において、主軸と工具マガジンの全てのポットに収容された工具について、装着された工具の位置情報と、工具の種類情報と、工具の異常情報とが記憶された工具情報記憶手段と、工具マガジンに異常が検出された工具が収容されているか否かを工具情報記憶手段に記憶された情報に基づいて検索する検索手段と、加工中断手段による加工中断後に異常が検出された工具を工具マガジンに返還する際に、検索手段によって検索された異常工具の近隣関係にあるポットに収容されるように工具マガジンを制御する第1制御手段とを備えたものである。
工具異常検出手段により主軸の工具の異常が検出されたとき、加工中断後に異常工具を工具マガジンに返還する際、その異常工具が、検索手段により検索された異常工具の近隣関係にあるポットに収容されるので、異常工具を近隣関係にあるポットに集約することができる。
請求項2の工作機械は、請求項1の発明において、ワークに対する加工終了時に、異常工具を収容したポットを、スプラッシュカバーの開口部からアクセス可能な位置に移動させるように前記工具マガジンを制御する第2制御手段を備えたことを特徴としている。
請求項3の工作機械は、請求項1又は2の発明において、加工中断手段により中断された加工プログラム上の中断位置を記憶する中断位置記憶手段と、主軸の工具を交換後に加工再開を指令する指令手段と、指令手段により加工再開を指令された場合に、中断位置記憶手段に記憶された加工プログラム上の中断位置から加工を再開する再開制御手段とを有することを特徴としている。
請求項4の工作機械は、請求項1〜3の発明の何れかにおいて、工具異常検出手段は、工具の累計使用回数又は累計使用時間を計数する計数手段を有し、工具別に予め設定された寿命と前記計数手段による計数結果とに基づいて工具の異常を検出することを特徴としている。
請求項5の工作機械は、請求項4の発明において、工具異常検出手段は、工具の折損を検知する折損検知手段を有することを特徴としている。
請求項6の工具マガジン制御プログラムは、工具を収納した複数のポットを有する工具マガジンと、工具マガジンの所定位置のポットと主軸との間で工具を交換する工具交換装置と、主軸に装着された工具の異常を検出する工具異常検出手段と、工具の異常が検出されたときに加工を中断する加工中断手段とを備えた工作機械を制御する制御装置のコンピュータを、主軸と工具マガジンの全てのポットに収容された工具について、装着された工具の位置情報と、工具の種類情報と、工具の異常情報とが記憶された工具情報記憶手段と、工具マガジンに異常が検出された工具が収容されているか否かを工具情報記憶手段に記憶された情報に基づいて検索する検索手段と、加工中断手段による加工中断後に異常が検出された工具を工具マガジンに返還する際に、検索手段によって検索された異常工具の近隣関係にあるポットに収容されるように工具マガジンを制御する第1制御手段と、ワークに対する加工終了時に、異常工具を収容したポットを、スプラッシュカバーの開口部からアクセス可能な位置に移動させるように工具マガジンを制御する第2制御手段として機能させることを特徴としている。
請求項7の記録媒体は、請求項6に記載の工具マガジン制御プログラムをコンピュータで読出し可能に記録したものである。
請求項1の発明によれば、工具の異常が検出されたときに、工具情報記憶手段と、工具マガジンに異常が検出された工具が収容されているか否かを工具情報記憶手段に基づいて検索する検索手段と、加工中断後に異常工具を工具マガジンに返還する際に、検索された異常工具の近隣関係にあるポットに収容されるように工具マガジンを制御する第1制御手段とを備えたので、異常が検出された工具を異常工具が収容された近隣関係にあるポットに自動的に集約することができる。そのため、異常工具の取り替え作業を簡単に能率的に行うことが可能になる。
請求項2の発明によれば、ワークに対する加工終了時に、異常工具を収容したポットをスプラッシュカバーの開口部からアクセス可能な位置に移動させるように制御する第2制御手段を備えたので、異常工具を収容したポットを作業者がアクセス可能な位置に自動的に移動させるため、工具取り換え作業の簡単化や迅速化を図ることができる。
請求項3の発明によれば、加工中断手段により中断された加工プログラム上の中断位置を記憶する中断位置記憶手段と、主軸の工具を交換後に加工再開を指令する指令手段と、指令手段により加工再開を指令された場合に、中断位置記憶手段に記憶された加工プログラム上の中断位置から加工を再開する再開制御手段とを有するので、工具交換後、直ちに加工を再開することができる。また、作業者が加工プログラム上の中断位置を設定する必要がない。
請求項4の発明によれば、工具異常検出手段は、工具の累計使用回数又は累計使用時間を計数する計数手段を有し、工具別に予め設定された寿命と計数手段による計数結果とに基づいて工具の異常を検出するので、工具寿命を容易且つ確実に検出することができる。
請求項5の発明によれば、工具異常検出手段は、工具の折損を検知する折損検知手段を設けたので、ワーク加工中における工具の折損を確実に検出することができる。
請求項6の発明によれば、工具マガジン制御プログラムは、工作機械を制御する制御装置のコンピュータを、工具情報記憶手段と、検索手段と、加工中断後に異常工具を工具マガジンに返還する際に、検索された異常工具の近隣関係にあるポットに収容されるように工具マガジンを制御する第1制御手段と、ワークに対する加工終了時に、異常工具を収容したポットをアクセス可能な位置に移動させるように制御する第2制御手段として機能させるので、請求項1と同様の効果と請求項2と同様の効果を奏する。
請求項7の発明によれば、記録媒体は、請求項6に記載の工具マガジン制御プログラムをコンピュータで読出し可能に記録したので、工作機械を制御するコンピュータで工具マガジン制御プログラムを実行させることができ、請求項1と同様の効果と請求項2と同様の効果を奏する。
本実施例の工作機械、工具マガジン制御プログラム及び記録媒体は、工具異常検出手段により工具の異常が検出されたとき、異常工具を工具マガジンに返還する際に、その異常工具が、異常工具を収容した近隣関係にあるポットに収容されるように工具マガジンを制御するものである。
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図1に示すように、工作機械1は、基台2上に装備されたスプラッシュカバー3と、このスプラッシュカバー3の内部に収容されたベース台(図示略)及びコラム(図示略)と、主軸ヘッド7と、主軸8と、テーブル(図示略)と、工具交換装置9等を備えている。スプラッシュカバー3の前面右側に操作パネル4が設けられている。スプラッシュカバー3の前面中央部に開口部3aが形成され、この開口部3aを開閉可能な左右1対のスライド扉3bが設けられている。操作パネル4の前面には、液晶ディスプレイ5と、キーボード6とが設けられている。このキーボード6には、自動運転キーや、手動運転キー、起動キー等の各種キーが設けられている。
主軸ヘッド7は、Z軸モータ12により上下方向に移動駆動される。主軸ヘッド7には主軸8が設けられ、この主軸8は主軸ヘッド7に設けた主軸モータ13により回転駆動される。主軸8の下端部分には、工具11を嵌合させるテーパ状の取付け部が設けられ、この取付け部に工具11が着脱可能に装着される。主軸ヘッド7の下方にはテーブルが水平状に配設されている。テーブルは、X軸モータ14及びY軸モータ15により水平面内において相互に直交する2方向(前後及び左右方向)に移動可能である。
NCプログラム(加工プログラム)の選択後、自動運転モードが選択され起動キーが操作されると、NCプログラムに基づいて、X軸モータ14、Y軸モータ15、Z軸モータ12、主軸モータ13とが夫々駆動制御される。そのため、主軸8が工具11を回転させながら上下駆動されるとともに、テーブルが前後方向及び左右方向に移動駆動されるので、各種の工具11によりテーブル上のワークに種々の切削加工が施される。
工具交換装置9は、主軸8に装着された工具11を、工具マガジン10に収容されている別の工具と自動交換するものである。工具交換装置9は、複数の工具11を収容した工具マガジン10と、ベース台に支持された鉛直向きのアーム旋回軸に固定された工具交換アームと、このアーム旋回軸を昇降させ且つ回動させる駆動部などで構成されている。
図2に示すように、主軸ヘッド7の右側面には工具交換装置9の工具マガジン10が配設されている。スプラッシュカバー3の右側の側板には、工具マガジン10の前端部を除く前部の約半分に対向する開口部3cが形成され、この開口部3cは扉3dで開閉される。この開口部3cは、作業者が工具マガジン10に収容されている工具11の着脱等に使用される。
この工具交換装置9により工具11を交換する際に、工具マガジン10の交換対象の工具11aとそれを収容したポット10dは、工具マガジン10の前部の工具交換位置に割り出されて鉛直姿勢に切換えられる。次に、工具交換アームは、主軸8の工具11と、工具交換位置のポット10dに収容された工具11aとを把持する。次に、工具交換アームが下降して、主軸8とポット10dとから夫々工具11、11aを取り外す。その後、工具交換アームが180度回転し、更に、工具交換アームが上昇して主軸8にポット10dに収容された工具11aが装着され、工具交換位置のポット10dに主軸8から取り外された工具11が装着される。
図3に示すように、工具マガジン10は、前後1対の駆動スプロケット10a及び従動スプロケット10bと、これらの間に張架され前後に長い長円形の循環経路10fに沿って循環する循環チェーン10cと、この循環チェーン10cの周上に所定間隔毎に配置されて循環チェーン10cに支持された複数のポット10dとを有している。マガジンモータ16は、駆動スプロケット10aを正逆両方向に回転駆動する。
ポット10dは、開口を外向きにした円筒体であって、循環チェーン10cに90度回動可能に装着され、工具交換位置のポット10dのみが鉛直姿勢に下降回動される。工具交換位置付近には、ポット10dが下降回動したことを検出するポット下降センサ21を備えている。工具交換位置付近には、ポット10dが復帰側へ90度上昇回動したことを検出するポット上昇センサ20を備えている。
工具マガジン10のポット10dの工具11を取り外し、別の工具を補充する工具取り換え作業を行なう場合、工具マガジン10の工具取り換え対象のポット10dを開口部3cに位置する待機ポット位置3fまで移動させる。そのポット10dの工具11を取り外してから、図3に2点鎖線で示すように、補充する工具11bをポット10dに差し込んで保持する。前記待機ポット位置3fとは、図2に示すように、工具マガジン10の循環経路10fの下側経路部分のうちの開口部3cに対向する6個のポット10dが待機する位置であって、作業者が扉3dを開けた状態でアクセス可能な位置である。
次に、工作機械1を制御するNC制御装置17について説明する。
図4に示すように、操作パネル4の内部に設けられたNC制御装置17は、CPU18と、ROM19と、RAM22と、NCプログラムメモリ23(不揮発性メモリ)と、入力インターフェース24と、出力インターフェース25等を備えている。
入力インターフェース24には、操作パネル4と、ポット上昇センサ20と、ポット下降センサ21とが接続されている。出力インターフェース25には、Z軸モータ12と、主軸モータ13と、X軸モータ14と、Y軸モータ15と、マガジンモータ16と、工具交換アーム駆動モータ27と、液晶ディスプレイ5等が接続されている。
ROM19には、種々のNCプログラムに基づいて工作機械1を駆動制御するプログラム、工具設定テーブル26のデータ更新プログラムと、工具マガジン制御プログラム、工具交換後に加工を再開する為の加工再開プログラム、工具の累計使用回数又は累計使用時間を計数して工具の工具寿命を管理する工具寿命管理プログラム等が記憶されている。
RAM22のワークメモリには、各種パラメータ、種々のフラグ、カウンタ、加工プログラムを停止したときのプログラム中断位置、工具毎の累計使用回数又は累計使用時間を含む工具設定テーブル26等が記憶される。但し、このRAM22は常に2次電池でバックアップされており、その記憶内容は記憶保持される。NCプログラムメモリ23には、複数のNCプログラム(加工プログラム)がプログラム番号を付けて記憶されている。
図5に示すように、工具設定テーブル26(工具情報記憶手段)には、主軸8と工具マガジン10の全ての工具ポット10dに収容された工具について、工具ポット番号、工具番号、工具名、工具データ、予備工具、工具寿命(工具の残り寿命)などが記憶されている。
穴開け用工具の寿命は、穴開け加工可能な穴数で管理され、新規工具では工具寿命の欄に例えば穴加工限界回数値(例えば、100000穴)が設定されるが、加工した穴数だけ減算されて更新されていく。フライス工具の場合、新規工具では使用限界時間(例えば、100000分)が設定されるが、1分間切削加工する毎に減算されて更新されていく。
なお、工具ポット番号3、12、14の工具番号欄は、空欄となっているため、各ポット10dには、現在は工具11が収容されておらず空きポットであることを示している。
工具ポット番号11の工具寿命が「0」となっているため、工具ポット番号11のポット10dには、異常工具が収容されていることを示している。
尚、異常工具とは、寿命切れした工具又は折損した工具のことである。折損した工具は、主軸モータ13のトルク変動時の電流の急減から検知され、工具設定テーブル26のその工具の工具寿命を「0」にしている。
予備工具の欄には、工具番号の工具が異常工具として判断された場合、その代わりの工具とし使用可能な工具番号が記憶されている。例えば、工具番号1の工具は、予備工具として工具番号15と工具番号21が使用できることを示している。
前記工具設定テーブル26は液晶ディスプレイ5に表示可能である。主軸8との間で工具交換する毎に、図6に示すように、工具マガジン10に収容されている工具11の一部に変更が生じるため、工具設定テーブル26のデータが更新される。
次に、前記のNC制御装置17により実行される工具異常検知制御について、図7のフローチャートに基づいて説明する。但し、図中の符号Si(i=1、2、3・・・)は各ステップである。工作機械1の電源投入後、この制御が開始され、所定の初期設定が実行される(S1)。先ず、起動キーが操作されたか否か判定され(S2)、起動キーが操作されていない場合には(S2;No)、起動キーが操作されるまでS2が繰返し実行される。
起動キーが操作され(S2;Yes)、NCプログラムを中断する中断フラグ「1」が設定されてない場合には(S3;No)、主軸8の工具11が異常工具でないか否かが工具設定テーブル26の内容に基づいて判定される(S4)。その判定の結果、主軸8の工具11が異常工具である場合(S4;Yes)、S2へ戻りS2以降を繰り返し、NCプログラムが実行されない。
一方、主軸8の工具11が異常工具でない場合には(S4;No)、NCプログラムを1ブロック(切削加工実行コード)実行する(S5)。次に、上記の切削加工後、主軸8の工具11の寿命をカウントし(S6)、主軸8の工具11が寿命切れ又は折損しているか否か判定する(S7)。工具11の寿命切れは、工具設定テーブル26の寿命の欄に更新しつつ記憶されているカウント値が「0」になった場合に寿命切れとされる。工具11の折損は、主軸モータ13における異常トルク変動時の電流の急減から検知される。
S7の判定の結果、主軸8の工具11の寿命切れ又は折損が検出された場合には(S7;Yes)、切削加工が中断され、主軸8の工具11を異常工具として工具マガジン10に退避させる異常工具退避処理が実行される(S8)。その後、予備工具があるか否かを工具設定テーブル26に基づいて判断し、予備工具があると判断された場合(S9;Yes)、S5へ戻り、S5以降を実行する。
一方、予備工具が工具マガジン10に収容されていない場合には、作業者により実行中のNCプログラムの中断が設定される(S9;No)。次に、異常工具を収容したポット10dが、工具交換位置において下降回動状態から元の上昇回動位置に復帰し(S10)、NCプログラムを中断する中断フラグが「1」に設定され(S11)、NCプログラム上で中断したプログラム中断位置がワークメモリに記憶される(S12)。
ポット10dの上昇回動後に、作業者がポット10dから異常工具を取り外し、そのポット10dに新規の工具11を補充する工具取り換え作業が行われる。工具取り換え作業後、S2において起動キーが操作されたか否か判定される。起動キーが操作され(S2;Yes)、加工プログラムを中断する中断フラグが「1」に設定されている場合には(S3;Yes)、S13へ移行する。S13では操作パネル6から入力される再開指令に基づいてNCプログラム上の中断位置から切削加工が再開される。
他方、S7において、主軸8の工具11の寿命切れ又は折損が発生してない場合には(S7;No)、S14を経てS5へ移行する。このとき、継続してNCプログラムの1ブロックが実行され、プログラム終了コードになるまで(S14;No)、S5〜S14が繰返し実行される。
プログラム終了コードになった場合には(S14;Yes)、工具マガジン10内の複数のポット10dに既に寿命切れした又は折損した異常工具が収容されているか否か判定される(S15)。その判定の結果、工具マガジン10のポット10dに異常工具が収容されていない場合は(S15;No)、運転を終了し(S16)、この制御を終了する。
一方、工具マガジン10の1又は複数のポット10dに異常工具が収容されている場合には(S15;Yes)、液晶ディスプレイ5に工具設定テーブル26が表示されると共に、異常工具を収容したポット番号が識別しやすくするため反転表示される。CPU18は、S8の異常工具退避処理時に、複数の異常工具を収容した近隣関係にある複数のポット10dを待機ポット位置3fへ移動させる(S16)。この移動後、運転を終了し(S17)、この制御を終了する。
次に、前記NC制御装置17により実行されるS8の異常工具退避処理について、図8のフローチャートに基づいて説明する。但し、図中の符号Si(i=21、22、23・・・)は各ステップである。主軸8の異常工具を工具マガジン10に退避させる際に、この制御が実行される。先ず、工具マガジン10内の複数のポット10dに既に異常工具が収容されているか否か工具設定テーブル26の工具情報から検索される(S21)。具体的には、工具設定テーブル26の工具寿命欄が「0」であるものを検索する。
異常工具が工具マガジン10に収容されていない場合には(S21;No)、工具設定テーブル26の工具情報に基づいて主軸8の異常工具と交換可能な予備工具を収容したポット10dが割り出される(S22)。次に、マガジンモータ16を駆動させ、予備工具を収容したポット10dを工具マガジン10の工具交換位置へ移動させ、予備工具をポット10dと共に下方へ90度下降回動させる(S23)。次に、アーム旋回軸を回転させ工具交換アームを旋回し、ポット10dの予備工具が主軸8に装着される共に主軸8の異常工具がポット10dに退避され(S24)、異常工具の工具マガジン10への退避が終了する。
一方、S21の判定の結果、異常工具が工具マガジン10に既に収容されている場合には、工具設定テーブル26の工具情報に基づいて異常工具を収容したポット10dと近隣関係にあるポット10dであって主軸8の異常工具と交換可能な予備工具が収容されているポット10dが割り出される(S26)。次に、S23〜S25が前記と同様に実行される。
具体的に工具設定テーブル26の工具情報に基づいて説明する。
図5に示すように、主軸8に装着された工具番号1のセンタ穴ドリルが異常工具であると判断された場合、まず、工具寿命欄で「0」となっている工具番号を検索する。この場合、工具ポット番号11が該当する。次に、そこから工具設定テーブル26の上方、下方について、一段毎に予備工具欄に工具番号が「1」であるものを検索する。すると、工具ポット番号10が検索される。
これによって、主軸8に装着された異常工具(工具番号1)は、工具ポット番号10に収容された工具番号15の工具と交換され、工具ポット番号10には、異常工具(工具番号1)が収容されることになる。
この制御においては、主軸8の異常工具が検出され、工具マガジン10に異常工具が返還される毎に、S22の処理やS26の処理が実行されるため、複数の異常工具が近隣関係にある複数のポット10dに集約されることになる。図6は、異常工具をポット10dに返還した後の工具設定テーブル26である。工具ポット番号10と工具ポット番号11に工具寿命が「0」である異常工具が収容されている。
ここで、本実施例においては、異常工具が収容されているポット10dをまず検索し、そのポット10dの両隣から離れる方向に収容可能なポット10dを検索するようにしたため、異常工具を近隣のポット10dに収容させることができる。
尚、主軸8の異常工具11と交換可能な予備工具を収容したポット10dが、異常工具を収容しているポット10dから離れている場合には、まず、主軸8に装着された異常工具をマガジン10に異常工具が収容されているポット10dと近隣関係にある空きポットへ退避させる。その後、予備工具を収容したポット10dを工具交換位置に移動させて、工具交換を行い、予備工具を主軸8に装着させる。
尚、前記実施例において、図8に示すS26を実行するCPU18が、「第1制御手段」に相当する。図7において、S6を実行するCPU18が「計数手段」、S7を実行するCPU18が「工具異常検知手段」、S13を実行するCPU18が「再開制御手段」、S2を実行するCPU18が「指令手段」、S16を実行するCPU18が「第2制御手段」、に夫々相当する。図7のS15、図8のS21を実行するCPU18が「検索手段」に相当する。
以上説明したNC工作機械の作用効果について説明する。
ワーク切削加工中に、主軸8に装着した工具11が寿命切れになったとき、加工を中断してその工具11を異常工具として工具マガジン10のポット10dに返還する際、複数の異常工具が近隣関係にあるポット10dに収容されるように工具マガジン10を制御する。
そして、ワークに対する切削加工終了時に、複数の異常工具を収容した複数のポット10dを、扉3dを開いた状態の開口部3cから作業者がアクセス可能な待機ポット位置3fへ移動させる。そのため、待機ポット位置3fに複数の異常工具を集約することができるので、工具取り換え(着脱)を簡単に能率的に迅速に行うことができる。
また、工具の寿命は、加工限界回数や使用限界時間から、加工回数や加工時間を減算することで、正確に計数しているので、工具寿命を容易に正確に検知することができる。
次に、本実施例を部分的に変更する変更例について説明する。
1)本実施例では、寿命切れ又は折損した工具だけを異常工具としたが、これ以外に曲がった工具や切削性が極端に低下した工具も異常工具に加えてもよい。
2)本実施例では、工具11の折損を主軸モータ13における異常トルク変動時の電流の急減から検知しているが、接触式の工具折れ検出装置を用いてもよい。
本発明の実施例に係る工作機械の正面図である。 工作機械の右側面図である。 工具マガジンの要部拡大斜視図である。 工作機械の制御系のブロック図である。 工具設定テーブルを示す説明図である。 更新後の工具設定テーブルを示す説明図である。 工具異常検知制御のフローチャートである。 異常工具退避処理のフローチャートである。
符号の説明
1 工作機械
3 スプラッシュカバー
3c 開口部
3f 待機ポット位置
8 主軸
9 工具交換装置
10 工具マガジン
10d ポット
11 工具
18 CPU
17 NC制御装置
19 ROM
22 RAM
26 工具設定テーブル

Claims (7)

  1. 工具を収納した複数のポットを有する工具マガジンと、工具マガジンの所定位置のポットと主軸との間で工具を交換する工具交換装置と、主軸に装着された工具の異常を検出する工具異常検出手段と、工具の異常が検出されたときに加工を中断する加工中断手段とを備えた工作機械において、
    主軸と工具マガジンの全てのポットに収容された工具について、装着された工具の位置情報と、工具の種類情報と、工具の異常情報とが記憶された工具情報記憶手段と、
    前記工具マガジンに異常が検出された工具が収容されているか否かを前記工具情報記憶手段に記憶された情報に基づいて検索する検索手段と、
    前記加工中断手段による加工中断後に異常が検出された工具を前記工具マガジンに返還する際に、前記検索手段によって検索された異常工具の近隣関係にあるポットに収容されるように前記工具マガジンを制御する第1制御手段と、
    を備えたことを特徴とする工作機械。
  2. ワークに対する加工終了時に、前記異常工具を収容したポットを、スプラッシュカバーの開口部からアクセス可能な位置に移動させるように前記工具マガジンを制御する第2制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
  3. 前記加工中断手段により中断された加工プログラム上の中断位置を記憶する中断位置記憶手段と、
    前記主軸の工具を交換後に加工再開を指令する指令手段と、
    前記指令手段により加工再開を指令された場合に、前記中断位置記憶手段に記憶された加工プログラム上の中断位置から加工を再開する再開制御手段と、
    を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の工作機械。
  4. 前記工具異常検出手段は、工具の累計使用回数又は累計使用時間を計数する計数手段を有し、工具別に予め設定された寿命と前記計数手段による計数結果とに基づいて工具の異常を検出することを特徴とする請求項1〜3に何れかに記載の工作機械。
  5. 前記工具異常検出手段は、工具の折損を検知する折損検知手段を有することを特徴とする請求項4に記載の工作機械。
  6. 工具を収納した複数のポットを有する工具マガジンと、工具マガジンの所定位置のポットと主軸との間で工具を交換する工具交換装置と、主軸に装着された工具の異常を検出する工具異常検出手段と、工具の異常が検出されたときに加工を中断する加工中断手段とを備えた工作機械を制御する制御装置のコンピュータを、
    主軸と工具マガジンの全てのポットに収容された工具について、装着された工具の位置情報と、工具の種類情報と、工具の異常情報とが記憶された工具情報記憶手段と、
    前記工具マガジンに異常が検出された工具が収容されているか否かを前記工具情報記憶手段に記憶された情報に基づいて検索する検索手段と、
    前記加工中断手段による加工中断後に異常が検出された工具を前記工具マガジンに返還する際に、前記検索手段によって検索された異常工具の近隣関係にあるポットに収容されるように前記工具マガジンを制御する第1制御手段と、
    ワークに対する加工終了時に、前記異常工具を収容したポットを、スプラッシュカバーの開口部からアクセス可能な位置に移動させるように前記工具マガジンを制御する第2制御手段と、
    して機能させることを特徴とする工具マガジン制御プログラム。
  7. 請求項6に記載の工具マガジン制御プログラムをコンピュータで読出し可能に記録した記録媒体。
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