JP5556656B2 - 数値制御工作機械、制御プログラム及び記憶媒体 - Google Patents

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Description

本発明は、数値制御工作機械、当該数値制御工作機械の制御プログラム及び当該制御プログラムを記憶した記憶媒体に関する。
従来、複数の工具を着脱可能に備え、対話式入力による加工プログラムが指定する工具を順に主軸に装着して様々な加工を連続的に行うことができる数値制御工作機械が知られている。このような数値制御工作機械では、主軸ヘッドを加工領域から工具交換領域(ATC原点)に移動させてワークと工具の干渉を防止して、主軸に装着された工具を次に使用される工具と交換する作業を行うようになっている(例えば、特許文献1参照)。この場合、工具交換作業と並行して他の補助動作も行い、作業時間の短縮化が図られている。
特開2004−314236号公報
しかしながら、特許文献1に記載のような数値制御工作機械では、工具交換を終了した後に、第一補助動作(例えば、BCD信号出力)を行い、当該第一補助動作が終了したら、第二補助動作(例えば、主軸正転)を行い、当該第二補助動作が終了したら、第三補助動作(例えば、マガジンの旋回)を行うようになっていた。従って、工具交換サイクルを短縮できないという問題点があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、工具交換指令と並列実行させたい補助動作の指令を同時に指令しても、自動的に適切なタイミングで実行することができ、工具交換サイクルを短縮できる数値制御工作機械、制御プログラム及び記憶媒体を提供することを目的とする。
本発明の第1態様に係る数値制御工作機械は、工具を有した主軸を回転駆動する主軸駆動手段と、前記主軸を回転可能に支持する主軸ヘッドを移動する主軸ヘッド移動手段と、工具交換装置と、加工プログラムに基づいて前記主軸駆動手段と前記主軸ヘッド移動手段と前記工具交換装置とを制御する制御手段とを備えた数値制御工作機械において、前記加工プログラムの同一ブロックには、少なくとも工具交換の指令と補助動作の指令とが記録され、前記補助動作の指令と、当該指令の動作の内容と、当該動作の実行タイミングとを一対にしたものを複数記憶したタイミングテーブルを備え、前記タイミングテーブルに記憶される実行タイミングの1つは、工具がワーク及び治具に干渉しない第一タイミングであり、前記制御手段は、前記指令に対応した前記補助動作を前記タイミングテーブルの実行タイミングを参照して実行することを特徴とする。
第1態様の数値制御工作機械では、前記制御手段は、前記指令に対応した前記補助動作を前記タイミングテーブルの実行タイミングを参照して実行する。それ故、第1態様の数値制御工作機械は、工具交換指令と並列実行させたい指令を同時に指令しても、実行順序を考えることなく、自動的に適切なタイミングで実行することができる。
また、第1態様の数値制御工作機械では、前記タイミングテーブルに記憶される実行タイミングの1つを工具がワーク及び治具に干渉しない第一タイミングであるので、工具がワーク及び治具に干渉しないようにできる。
また、前記タイミングテーブルに記憶される実行タイミングの他の1つを前記工具交換装置による工具交換が終了する第二タイミングにしてもよい。このようにすることにより、工具交換が終了する第二タイミングから実行させたい動作を並列実行できる。
また、前記タイミングテーブルに記憶される実行タイミングとしては、前記第二タイミングより後の所定のタイミングでもよい。このようにすることにより、工具交換が終了する第二タイミングより後の所定のタイミングから実行させたい動作を並列実行できる。
本発明の第2態様に係る制御プログラムは、工具を有した主軸を回転駆動する主軸駆動手段と、前記主軸を回転可能に支持する主軸ヘッドを移動する主軸ヘッド移動手段と、工具交換装置と、加工プログラムに基づいて前記主軸駆動手段と前記主軸ヘッド移動手段と前記工具交換装置とを制御する制御手段とを備え、前記加工プログラムの同一ブロックには、少なくとも工具交換の指令と補助動作の指令とが記録され、さらに、前記補助動作の指令と、当該指令の動作の内容と、当該動作の実行タイミングとを一対にしたものを複数記憶したタイミングテーブルを備えた数値制御工作機械における前記制御手段を機能させる制御プログラムであって、前記タイミングテーブルに記憶される実行タイミングの1つは、工具がワーク及び治具に干渉しない第一タイミングであり、制御手段としてのコンピュータに、前記指令に対応した前記補助動作を前記タイミングテーブルの実行タイミングを参照して実行させることを特徴とする。
第2態様に係る制御プログラムでは、制御手段としてのコンピュータに、前記指令に対応した前記補助動作を前記タイミングテーブルの実行タイミングを参照して実行させる。従って、工具交換指令と並列実行させたい指令を同時に指令しても、実行順序を考えることなく、自動的に適切なタイミングで実行することができる。また、タイミングテーブルに記憶される実行タイミングの1つは工具がワーク及び治具に干渉しない第一タイミングであるので、工具がワーク及び治具に干渉しないようにできる。
本発明の第3態様に係る記憶媒体は、第2態様の制御プログラムを記憶したことを特徴とする。
第3態様では、記憶媒体に第2態様の制御プログラムを記憶している。故に、コンピュータが記憶媒体に記憶された制御プログラムを実行することで、第2態様に記載の効果を得ることができる。
マシニングセンタ1の正面図である。 スプラッシュカバー3を除いた、マシニングセンタ1の斜視図である。 マシニングセンタ1における、工具交換機構20及び主軸ヘッド7を中心とした正面図である。 マシニングセンタ1の電気的構成を示すブロック図である。 フラッシュメモリ76の記憶領域の概念図である。 工具交換動作中の補助動作の並列実行処理のタイミングテーブル170の概念図である。 工具交換動作中の補助動作の並列実行処理のタイミングチャートである。 工具交換動作中の補助動作の並列実行処理のフローチャートである。
以下、本発明の実施の形態であるマシニングセンタ1について、図面に基づいて説明する。はじめに、マシニングセンタ1の全体構成について説明する。図1に示すように、マシニングセンタ1は、図示外のワークと工具6(図3参照)とを相対移動させて、ワークに所望の機械加工(例えば、「中ぐり」、「フライス削り」、「穴空け」、「切削」等)を施すことができる数値制御工作機械である。そして、マシニングセンタ1は、ワークを加工する機械本体と、機械本体の土台となるベッド2と、ベッド2の上部に設けられて機械本体の周囲を囲繞する略直方体状のボックス型のスプラッシュカバー3とを主体に構成されている。
図2に示すように、ベッド2は、鉄製の土台であり、その下部の四隅には、脚部2aが各々設けられ、これら4本の脚部2aが工場などの床面に設置されることにより、マシニングセンタ1が所定場所に設置される。さらに、ベッド2の芯部は、軽量化および高強度化のため、いわゆる肉抜き成形(リブによる骨組構造)されている。
図1に示すように、スプラッシュカバー3は、略直方体状のボックス型に形成され、その内側には機械本体によりワーク加工がおこなわれる加工領域が設けられている。スプラッシュカバー3の前面には、開口部を開閉するスライド式の開閉扉4,5が各々設けられている。この開閉扉4,5の略中央には、ガラス窓部4a,5aが各々設けられ、開閉扉4の右側端部近傍には取っ手部4bが設けられ、開閉扉5の左側端部近傍には取っ手部5bが設けられている。よって、これら取っ手部4b,5bを互いに離れる方向に開くことにより開口部が開口される。そして、作業者はこの開口部を介して、スプラッシュカバー3の内側に配設されたテーブル10(図2参照)に対して、ワークの着脱を行う。
上記構成からなるスプラッシュカバー3は、機械本体の周囲を囲繞して外部より保護するとともに、機械本体から排出される切り屑及び切削液の飛沫等が外部へ飛散するのを遮断して、外部環境が汚染されるのを防止している。
スプラッシュカバー3の正面右側には、マシニングセンタ1の操作をおこなう正面視略長方形状の操作パネル80が設けられている。この操作パネル80の前面には、各種キーを備えたキーボード81が設けられ、その上部には設定画面又は実行動作を表示するためのCRT(ディスプレイ)89が設けられている。
操作パネル80のキーボード81には、各種操作モードを選択するためのモード選択ボタン、アルファベットを入力するためのアルファベットキー、数字を入力するためのテンキー、カーソルを移動させるためのカーソルキー、各種機能を選択するためのファンクションキーなど、複数のキーやボタンなどが設けられている。
この操作パネル80では、ユーザによるキーボード81の操作に応じてCRT(ディスプレイ)89の表示画面が遷移するように制御される。そのため、ユーザはCRT89の表示画面を参照しながらキーボード81を用いてNCプログラム(NC言語で作成された加工プログラム)や工具データの編集などを行うことができる。
次に、マシニングセンタ1の機械本体について説明する。図2に示すように、マシニングセンタ1の機械本体は、スプラッシュカバー3の内側に収納されている。当該機械本体は、ベッド2のコラム座部17aの上面に載置して固定されている。当該機械本体は、垂直上方に延設された略角柱状のコラム17bと、コラム17bの前面に沿って昇降可能に設けられた主軸ヘッド7と、主軸ヘッド7の下部前側から鉛直下方に突出する主軸9と、主軸ヘッド7の右側に設けられ、主軸9の先端に装着された後述の工具6を、他の工具6に交換する工具交換機構(ATC)20と、ベッド2の上部に設けられてワークを着脱可能に保持するテーブル10と、コラム17bの背面側に設けられ、電源装置や制御基板などの各装置を内蔵する制御盤19とを主体に構成されている。なお、制御盤19の内部には、マシニングセンタ1の制御を司る制御装置70(図4参照)が配設されているが、詳細は後述する。
コラム17bの前面には、上下方向に延設され、主軸ヘッド7を案内する一対のガイドレール(図示外)が上下方向に固定されている。コラム17bの上面には、サーボモータであるZ軸モータ86(図4参照)が設けられており、このZ軸モータ86によりその下方に延設された送りねじ(図示外)が正逆方向へ選択的に回転駆動されて、主軸ヘッド7が上下方向に移動するようになっている。
また、主軸ヘッド7には、加工軸に相当する主軸9が回転可能に装着され、主軸9を回転駆動させるための主軸モータ8(図4参照)を上部に備える。主軸9の先端には後述の工具6が着脱可能に装着され、主軸9が主軸モータ8(図4参照)により回転駆動されることによって工具6が回転され、テーブル10上に固定されたワークを加工するようになっている。
主軸9の下方には、テーブル10が配設されている。テーブル10には、ワークが図示外の治具により着脱自在に固定される。テーブル10はサーボモータからなるX軸モータ87及びY軸モータ88(図4参照)により、X軸方向(左右方向)及びY軸方向(奥行き方向)へ移動制御される。テーブル10の下側には略直方体状の支持台12が設けられており、支持台12の上部にはX軸方向に沿って延設された一対のX軸送りガイド(図示外)が設けられて、X軸送りガイド上にテーブル10が移動可能に支持されている。支持台12は、ベッド2の長手方向に沿って延設された一対のY軸送りガイド上に移動可能に支持されている。このような状態で、テーブル10は、ベッド2上に設けられたX軸モータ87により、X軸送りガイドに沿ってX軸方向に移動し、同じくベッド2上に設けられたY軸モータ88により、Y軸送りガイドに沿ってY軸方向に移動するようになっている。
図3に示すように、工具交換機構20は、工具6が取り付けられた工具ホルダ60を複数格納する側面視略小判型状の工具マガジン30と、主軸9に装着されている工具ホルダ60と他の工具ホルダ60とを把持及び搬送するための工具交換アーム40とを備えている。
工具交換アーム40は、回転可能および上下動可能に装着された円筒状のアーム旋回軸43の下端部において、その両端部に工具ホルダ60を各々把持可能な把持部41,41が設けられたアーム部42が固定されて構成されている。アーム旋回軸43はZ軸方向と平行をなし、アーム部42はアーム旋回軸43を軸として回動可能である。なお、工具交換アーム40の上部には工具交換モータ27(図4参照)が設けられており、この工具交換モータ27の回転駆動によって工具交換アーム40の旋回及び上下動が行われる。
工具マガジン30は、その内側に複数の工具6を各々収納可能な複数の工具ポット31が配設された移送機構(図示外)が装着されており、各工具ポット31では工具ホルダ60に取り付けられた工具6が横方向に向けた状態(格納状態)に維持されている。なお、工具マガジン30の上部にはマガジンモータ26(図4参照)が設けられており、このマガジンモータ26の回転駆動によって複数の工具ポット31が移送機構(図示外)により搬送される。
工具マガジン30の下端側には割出口32が形成され、この割出口32が形成された位置に限り、工具ポット31が格納状態から工具6を下方に向けた状態(交換可能状態)まで回動可能となっている。割出口32の近傍に、エアシリンダ28(図4参照)により駆動されて、工具ポット31を格納状態又は交換可能状態へと回動させるポット昇降機構(図示外)が配設されている。
主軸9に装着される工具6の交換時には、工具交換アーム40がATC原点(図7参照)に上昇されている状態において、まず、工具交換アーム40が旋回し、工具マガジン30側の工具ホルダ60と主軸9に装着された工具ホルダ60とが、把持部41,41でそれぞれ把持される。次いで、工具交換アーム40が下降して、工具抜脱動作が行われる。その後、工具交換アーム40が旋回して主軸9側の工具ホルダ60と工具マガジン30側の工具ホルダ60とが入れ替わる。このとき、工具交換アーム40は180度回転することになる。その後、工具交換アーム40が上昇し、工具交換アーム40に把持された工具6は、工具マガジン30側の工具ポット31あるいは主軸9に装着される。そして、工具交換アーム40が所定角度旋回して、把持部41,41から工具ホルダ60がそれぞれ開放されて、工具交換アーム40のアーム旋回動作の1サイクルが終了する。
次に、マシニングセンタ1の電気的構成について説明する。図4に示すように、マシニングセンタ1の全体制御を司る制御装置70は、CPU71,ROM72,RAM73,フラッシュメモリ76,入力インタフェース74,出力インタフェース75を基本に構成されている。操作パネル80に設けられたキーボード81が制御装置70の入力インタフェース74に接続され、CRT89が制御装置70の出力インタフェース75に接続されている。CPU71が後述する制御プログラムを実行することによりマシニングセンタ1は制御される。
制御装置70の出力インタフェース75には、先述のZ軸モータ86,X軸モータ87,Y軸モータ88,主軸モータ8,マガジンモータ26,工具交換モータ27,エアシリンダ28が接続されている。Z軸モータ86,X軸モータ87,Y軸モータ88,主軸モータ8,マガジンモータ26,工具交換モータ27には、各々の回転角を検出するエンコーダ86a,87a,88a,8a,26a,27aがそれぞれ設けられており、これらは入力インタフェース74に各々接続されている。そして、各エンコーダ86a,87a,88a,8a,26a,27aからの信号が入力インタフェース74を介して制御装置70に各々入力される。これにより、制御装置70によって、Z軸モータ86,X軸モータ87,Y軸モータ88,主軸モータ8,マガジンモータ26,工具交換モータ27の各速度制御がそれぞれ行われる。
また、制御装置70の入力インタフェース74には、キーボード81,アームセンサ82,Z軸原点センサ83,ポット上昇センサ84,ポット下降センサ85が接続されている。アームセンサ82は、工具交換アーム40のアーム旋回動作の1サイクルの動作終了を検出するものであり、その検出信号に基づいて工具交換アーム40の動作制御が行われる。Z軸原点センサ83は、主軸ヘッド7の原点(主軸ヘッド7の工具交換高さ位置)を検出するものであり、その検出信号に基づいて主軸ヘッド7の位置決め制御が行われる。ポット上昇センサ84は、工具ポット31が格納状態となったことを検出するものであり、ポット下降センサ85は、工具ポット31が交換可能状態となったことを検出するものであり、これらの検出信号に基づいてポット昇降機構(図示外)の昇降制御が行われる。
なお、先述の複数の工具ポット31には、その工具ポット31と一体的に移動するポット識別板78が設けられている。このポット識別板78には、工具ポット31ごとに異なるパターンの光透過部(図示外)が形成されており、各工具ポット31を個別に識別できるようになっている。そして、工具マガジン30には、複数の工具ポット31を個々に識別する識別センサ79が設けられている。識別センサ79は、ポット識別板78を挟んで対向して配置された投光素子79aと受光素子79bとから構成されており、受光素子79bからの信号に基づいて工具マガジン30の割出口32に何れの工具ポット31が搬送されたかを検出するものであり、この検出信号に基づいて所定の工具6の位置決め制御が行われる。
制御装置70のRAM73は、後述する制御プログラムの実行中に算出した値等を一時的に記憶する。図5に示すように、フラッシュメモリ76には、後述するタイミングテーブル170を記憶するタイミングテーブル記憶領域76a、作業者が入力して登録した種々の加工プログラムを記憶する加工プログラム記憶領域76b等が設けられている。制御装置70のROM72には、後述の主軸ヘッド7のZ軸方向への移動処理(図8参照)を実行する制御プログラムがあらかじめ記憶されている。
次に、図6を参照して、フラッシュメモリ76のタイミングテーブル記憶領域76aに記憶されているタイミングテーブル170について説明する。タイミングテーブル170には、Mコード(補助動作)の指令171と、当該指令171に対応した動作の内容172と、当該動作の実行タイミング173とが複数組記憶されている。図6に示す一例では、例えば、指令M03の動作内容は主軸の正転であり、当該動作を実行するタイミングはタイミングBである。また、指令M09の動作内容はクーラントポンプ切であり、当該動作を実行するタイミングはタイミングAである。また、指令M436の動作内容はマガジン旋回速度1であり、当該動作を実行するタイミングはタイミングCである。また、指令が2桁のBCD信号の場合には、動作内容はBCD信号出力であり、当該動作を実行するタイミングはタイミングAである。図7に示すように、タイミングAは、主軸ヘッド7がZ軸の工具交換位置への上昇中に、ワークから工具が離れる位置(R点)のタイミングである。また、タイミングBは、工具交換後、Z軸の工具交換位置からR点へ向けて降下を開始するタイミングである。タイミングCは、工具がワークの加工を開始する位置(R点)から主軸ヘッド7がZ軸の指令位置への降下の開始タイミングである。
タイミングテーブル170では、各指令の動作内容を実行するタイミングを予め任意に設定しておけるようになっている。制御装置70のCPU71は、作業者が入力してフラッシュメモリ76の加工プログラム記憶領域76bに記憶されている加工プログラムを読み込んで、タイミングテーブル170を参照して、加工プログラムを解析して実行する。
次に、加工プログラムであるNCプログラムの一例である例1を以下に説明する。
例1「G100 T1 R50.Z0.M10 M03 M436;」
上記例1の場合は、G100は、工具交換指令であり、T1は、交換する工具番号であり、R50は、シングル運動の場合に、主軸ヘッド7が下降して一時停止するR点(Z=50)の値である。Z0は、主軸ヘッド7(Z軸)が0に位置決めする指令ある。M10は、タイミングテーブル170を参照すると、直接書かれておらず、2桁のBCD信号であるので、BCD信号を出力する。M03は、タイミングテーブル170を参照すると、主軸正転で、実行タイミングは、図7に示すタイミングBである。M436は、マガジン旋回速度1を示し、実行タイミングは、図7に示すタイミングCである。従って、例1では、タイミングAでBCD信号を出力し(M10)、タイミングBで主軸の正転を実行し(M03)、タイミングCでマガジン回転速度1を実行する(M436)。
次に、加工プログラムであるNCプログラムの一例である例2を以下に説明する。
例2「G100 T1 R50.Z0.M10 M03 M08;」
上記例1と同一指令はその説明を省略する。M08は、クーラントポンプ入りを示し、実行タイミングは、図7に示すタイミングBである。従って、例2では、タイミングAでBCD信号を出力し(M10)、タイミングBで主軸の正転を実行し(M03)、タイミングCでクーラントポンプが入り(ON)(M08)となる。
次に、図7を参照して、工具交換動作中の主軸ヘッド7のZ軸方向への移動処理について説明する。工具交換指令を受けると、Z軸方向の原点Z=0から主軸ヘッド7が上昇し、タイミングAで、R点(Z=50)まで主軸ヘッド7が上昇する。このタイミングAで工具がワークから離れる。このタイミングAまで主軸ヘッド7が上昇すると工具がワーク及び治具に干渉しない。このタイミングAが工具がワーク及び治具に干渉しない第一タイミングである。また、タイミングAから主軸ヘッド7が上昇を続け、タイミングA1で、主軸ヘッド7が工具交換が可能となる工具交換位置であるATC原点にまで上昇する。このタイミングA1から工具交換機構20により工具交換を開始し、タイミングBで工具交換が完了する。このタイミングBが工具交換が完了する第二タイミングである。次いで、タイミングBから主軸ヘッド7が降下してタイミングCでR点に到達し、タイミングCからZ軸上の指令位置まで主軸ヘッド7が降下する。
次に、CPU71による工具交換動作の制御中の他の処理の並列実行処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。作業者は、操作パネル80のキーボード81(図1参照)により、加工プログラム実行の指示を入力する。CPU71は、フラッシュメモリ76の加工プログラム記憶領域76b(図5参照)に記憶した加工プログラムを読み込んで実行する。
図8に示すように、CPU71は、加工ブロックの1ブロックを読み込んで解釈する(S1)。このS1の処理では、CPU71は、図6に示すタイミングテーブル170を参照して、各指令の内容と、実行タイミングを読み取り、タイミング順に指令の内容を並び替えて、図4に示す制御装置70のRAM73に記憶する。
次いで、CPU71は、解釈した1ブロックの指令が終了指令(M30)か否かを判断する(S2)。CPU71は、指令が終了指令(M30)であると判断した場合(S2:YES)、処理を終了する。CPU71は、指令が終了指令(M30)でないと判断した場合(S2:NO)、指令が工具交換指令か否か判断する(S3)。CPU71は、指令が工具交換指令と判断した場合(S3:YES)、工具交換動作を開始する(S4)。即ち、主軸ヘッド7をR点を経由してATC原点に向けて上昇させる(S4)。CPU71は、指令が工具交換指令でないと判断した場合(S3:NO)、CPU71は軸移動指令、又は切削指令等のブロック指令に従って処理を実行する(S8)。CPU71は、解釈するブロックを次ブロックに移動し、S1に戻り、処理を繰り返す。
S3でYESと判断された場合には、工具交換動作を開始し(S4)、CPU71は、Z軸上昇処理を実行する。Z軸上昇処理は、主軸ヘッド7が現在の位置から工具交換位置(ATC原点)まで上昇する処理である。CPU71は、図7に示すように、Z軸上昇処理中に主軸ヘッド7がR点まで上昇するとタイミングAに到達したと判断する(S5:YES)。主軸ヘッド7がR点まで上昇していない場合には、S5の判断処理に戻る。主軸ヘッド7がR点まで上昇した場合に(S5:YES)、S1の1ブロック読み取り処理でRAM73に記憶した指令の内容にタイミングAで実行する指令がある場合には(S6:YES)、当該タイミングAで実行する指令の内容を実行する(S7)。前記例1及び例2の場合には、タイミングAで実行する指令は、M10であるので、BCD信号の出力を行う(S7)。
次いで、指令実行(S7)が終了するとS6の判断処理に戻る。タイミングAで実行すべき全ての指令が終了している場合には(S6:NO)、工具交換が終了したタイミングBになったか否かを判断する(S9)。図7に示すように、このタイミングBは、主軸ヘッド7がR点から上昇し、ATC原点に到達して(タイミングA1)、工具交換機構20により工具交換を実行して、工具交換が終了したタイミングである。タイミングBになった場合には(S9:YES)、S1の1ブロック読み取り処理でRAM73に記憶した指令の内容にタイミングBで実行する指令がある場合には(S10:YES)、当該タイミングBで実行する指令の内容を実行する(S11)。前記例1及び例2の場合には、タイミングBで実行する指令は、M03であるので、主軸9の正転である(S11)。
次いで、指令実行(S11)が終了するとS10の判断処理に戻る。タイミングBで実行すべき全ての指令が終了している場合には(S10:NO)、タイミングCになったか否かを判断する(S12)。図7に示すように、このタイミングCは、ワークに工具が当接してワークの加工を行うR点まで主軸ヘッド7が下がったタイミングである。タイミングCになった場合には(S12:YES)、S1の1ブロック読み取り処理でRAM73に記憶した指令の内容にタイミングCで実行する指令がある場合には(S13:YES)、当該タイミングCで実行する指令の内容を実行する(S14)。前記例1の場合には、タイミングCで実行する指令は、M436であるので、マガジン旋回速度1でマガジンの旋回を行う。また、前記例2の場合には、タイミングCで実行する指令は、M08であるので、クーラントポンプの入(ON)である。
次いで、指令実行(S14)が終了するとS13の判断処理に戻る。タイミングCで実行すべき全ての指令が終了している場合には(S13:NO)、工具交換の動作終了か否かを判断する(S15)。この判断は、工具交換指令中に含まれる動作が全て終了したか否かで判断される。工具交換動作終了の場合は(S15:YES)、S1の処理に戻る。工具交換動作終了でない場合は(S15:NO)、S15の判断処理で、工具交換動作終了まで待機する。
なお、以上説明において、制御装置70のCPU71が本発明の「制御手段」として機能し、主軸モータ8が本発明の「主軸駆動手段」として機能し、Z軸モータ86が本発明の「主軸ヘッド移動手段」として機能する。タイミングテーブル170が本発明の「タイミングテーブル」として機能し、タイミングAが本発明の「第一タイミング」として機能し、タイミングBが本発明の「第二タイミング」として機能し、タイミングCが本発明の「所定のタイミング」として機能する。ROM72が制御プログラムの記憶媒体として機能する。
以上説明したように、本実施形態のマシニングセンタ1は、工具交換指令と並列実行させたい指令を同時に指令しても、自動的に適切なタイミングで実行することができる。従って、工具交換サイクルを短縮できる。
なお、本発明の数値制御工作機械、制御プログラム及び記憶媒体は、上記実施形態に限らず、各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、タイミングテーブル170の実行タイミング173は、操作パネル80のキーボード81を操作して変更可能としても良い。また、タイミングは、タイミングA、B、Cの3つ以外にも設定しても良い。例えば、Z=0の位置からR点への主軸ヘッド7の上昇開始時である。
上記実施形態では縦型のマシニングセンタ1を例に説明したが、本発明は横型の工作機械にも適用可能である。工具交換機構20は、他の方式の機構でもよい。例えば、主軸ヘッド7の上昇下降の動作に連動して工具ホルダの着脱装着が可能なタレット方式でもよい。
1 マシニングセンタ
7 主軸ヘッド
8 Z軸モータ
9 主軸
10 テーブル
20 工具交換装置
26 マガジンモータ
70 制御装置
71 CPU
72 ROM
73 RAM
76 フラッシュメモリ
76a タイミングテーブル記憶領域76a
76b 加工プログラム記憶領域76b
87 X軸モータ
88 Y軸モータ
54 主軸モータ
170 タイミングテーブル
171 指令
172 内容
173 実行タイミング

Claims (5)

  1. 工具を有した主軸を回転駆動する主軸駆動手段と、前記主軸を回転可能に支持する主軸ヘッドを移動する主軸ヘッド移動手段と、工具交換装置と、加工プログラムに基づいて前記主軸駆動手段と前記主軸ヘッド移動手段と前記工具交換装置とを制御する制御手段とを備えた数値制御工作機械において、
    前記加工プログラムの同一ブロックには、少なくとも工具交換の指令と補助動作の指令とが記録され、
    前記補助動作の指令と、当該指令の動作の内容と、当該動作の実行タイミングとを一対にしたものを複数記憶したタイミングテーブルを備え、
    前記タイミングテーブルに記憶される実行タイミングの1つは、工具がワーク及び治具に干渉しない第一タイミングであり、
    前記制御手段は、前記指令に対応した前記補助動作を前記タイミングテーブルの実行タイミングを参照して実行することを特徴とする数値制御工作機械。
  2. 前記タイミングテーブルに記憶される実行タイミングの他の1つは、前記工具交換装置による工具交換が終了する第二タイミングであることを特徴とする請求項に記載の数値制御工作機械。
  3. 前記タイミングテーブルに記憶される実行タイミングとしては、前記第二タイミングより後の所定のタイミングも存在することを特徴とする請求項に記載の数値制御工作機械。
  4. 工具を有した主軸を回転駆動する主軸駆動手段と、前記主軸を回転可能に支持する主軸ヘッドを移動する主軸ヘッド移動手段と、工具交換装置と、加工プログラムに基づいて前記主軸駆動手段と前記主軸ヘッド移動手段と前記工具交換装置とを制御する制御手段とを備え、前記加工プログラムの同一ブロックには、少なくとも工具交換の指令と補助動作の指令とが記録され、さらに、前記補助動作の指令と、当該指令の動作の内容と、当該動作の実行タイミングとを一対にしたものを複数記憶したタイミングテーブルを備えた数値制御工作機械における前記制御手段を機能させる制御プログラムであって、
    前記タイミングテーブルに記憶される実行タイミングの1つは、工具がワーク及び治具に干渉しない第一タイミングであり、
    制御手段としてのコンピュータに、前記指令に対応した前記補助動作を前記タイミングテーブルの実行タイミングを参照して実行させることを特徴とする数値制御工作機械の制御プログラム。
  5. 請求項に記載の制御プログラムを記憶したことを特徴とする記憶媒体。
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