(実施の形態1)
以下本発明を実施の形態1に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。図1は工作機械の外観を示す斜視図であり、図2は工具マガジン7を背面側から見た拡大斜視図である。以下の説明では図において矢印で示す上下、左右及び前後を使用する。
工作機械は、被加工物であるワーク(図示略)と工具とを相対移動させて、ワークに所望の機械加工(例えば、フライス削り、穴あけ、切削等)を施す。工作機械は金属製の基台1を備え、基台1の下部の四隅夫々には脚部を設ける。基台1は工作機械の前後方向に長い直方体状の鋳造品である。
基台1は後部上にコラム座部3を設け、コラム座部3に鉛直上方へ延びる柱状のコラム4を立設する。コラム4は前面に沿って上下移動可能に主軸ヘッド5を支持する。主軸ヘッド5は加工用の工具6を装着する主軸5Aを備える。コラム4の上部にZ軸モータ44(図4参照)を設け、Z軸モータ44の駆動で主軸ヘッド5は上下に移動する。
主軸ヘッド5は主軸5Aを回転可能に支持し、主軸5Aを回転駆動する主軸モータ5Bを上部に備える。主軸5Aの下端に工具6が着脱可能に装着し、主軸5Aが主軸モータ5Bにより回転駆動されることで工具6は回転し、後述するテーブル8に固定したワークの加工を行う。主軸5Aは主軸ヘッド5の上下移動で上方の工具交換位置と下方の加工位置の間を移動する。尚加工位置と工具交換位置の間に原点位置が設定され、主軸5Aは加工処理を開始する前に原点位置に移動する。
コラム4の前面の左右両縁部夫々から支持板4aが前方に突出する。支持板4aの前端部に工具6を保持する回転式の工具マガジン14が設けてある。工具マガジン14は、軸回りに回転可能な回転軸14d、円盤14e、アーム14a及びカバー14bを備える。回転軸14dは前後方向に延びており、前方に向けて下降するように傾斜する。回転軸14dにはマガジンモータ18(図4参照)が連結する。円盤14eは、回転軸14dに略直交する姿勢で回転軸14dに連結する。円盤14eの外周部分には複数(本実施例においては14個)のアーム14a(保持部)が並設してある。複数のアーム14a夫々は工具72を保持する。アーム14aの後側には円形板状のカバー14bが設けてある。カバー14bは回転軸14dの後端部側に配置してあり、アーム14a及び円盤14eを覆う。
カバー14bの右下部分及び左下部分夫々に工具6を挿入するか又は取り外す開口14cが設けてある。マガジンモータ18の回転で回転軸14dが回転し、円盤14eが回転して、アーム14aに保持した工具6を所定の位置に配置する。
開口14cに臨む位置が工具6を取り付ける取り付け位置になる。アーム14aが取り付け位置に配してある場合、作業者は工具6を持って開口14cに手を挿入し、アーム14aに工具6を取り付ける。またアーム14aに工具6が取り付けてある場合、手を開口14cに挿入し、工具6をアーム14aから取り外す。
基台1は主軸ヘッド5の下方位置にて、ワークを着脱可能に固定するテーブル8を支持する。サーボモータであるX軸モータ42及びY軸モータ43(図4参照)はテーブル8をX軸方向(左右方向)及びY軸方向(前後方向)に移動制御する。
詳しくは、直方体状の支持台10がテーブル8の下側に設けてあり、支持台10上にX軸方向に沿って延びる1対のX軸送りガイドを設け、該X軸送りガイド上にテーブル8を移動可能に支持する。基台1は長手方向(Y軸方向)に沿って延びる1対のY軸送りガイドを支持し、該Y軸送りガイド上に支持台10を移動可能に支持する。基台1上に設けたY軸モータ43はY軸送りガイドに沿ってY軸方向に支持台10を移動させる。テーブル8は支持台10上に設けたX軸モータ42の回転でX軸送りガイドに沿ってX軸方向に移動する。
図3は工作機械を囲繞する工作機械用カバー100を略示する斜視図である。図3に示すように、工作機械を囲繞する工作機械用カバー100が基台の上側に設けてある。工作機械用カバー100は上下方向に延設し、工作機械の前後左右を夫々覆う矩形の前壁50、左壁60、右壁70及び後壁80を備える。工作機械用カバー100は工作機械の上側を覆い且つ左右方向及び前後方向に平行な矩形の天井90を備える。
左壁60及び右壁70夫々は、その中央部に、取り外し可能な二つのパネル71、71を備える。なお、図3において、右壁のパネル71のみ記載し、左壁60のパネルの記載を省略する。作業者は必要に応じて左壁60のパネル又は右壁70のパネル71、71を取り外し、工作機械の保守管理を行う。後壁80には、工作機械の動作を制御する制御基板及び前記各モータへ電力を供給するアンプ等を有する制御盤81が設けてある。天井90の中央部分は、前記主軸5A及びコラム4等との接触を回避すべく、上方に突出する。
前壁50の中央部には縦長矩形の開口51が設けてあり、該開口51の右隣には、作業者が情報を入力する操作盤56が設けてある。操作盤56は、キーボード、ボタン、工作機械を起動する起動スイッチ56a等を備える。操作盤56は情報(例えば工具を識別する識別子)を受け付ける受付部を構成する。操作盤56の上側に情報を表示する表示部52が設けてある。開口51に縦長矩形の右扉55及び左扉54が左右方向に移動可能に並設してある。
右扉55は左扉54よりも後方に配置してある。右扉55の前面に取手55aが設けてある。右扉55及び左扉54の開閉は自動又は手動で行われる。手動で開閉する場合、作業者が取手55aを把持し、左側へ引っ張った時、右扉55及び左扉54は順に左側に移動して開き、テーブル8が現れる。右側へ引っ張った時、右扉55及び左扉54は順に右側に移動して閉じる。
自動で開閉する場合、制御盤81からの指令に基づいて、右扉55及び左扉54は左側に移動して開くか又は右側に移動して閉じる。
図4は制御盤81の構成を略示するブロック図である。制御盤81は、CPU(Central Processing Unit)82、ROM(Read Only Memory)83、RAM(Random Access Memory)84及び不揮発性メモリ85(記憶部)を備える。ROM83は、工作機械の制御プラグラムを格納する。CPU82は制御プログラムをROM83から作業領域としてのRAM84に読み出して、工作機械の動作を制御する。不揮発性メモリ85は、種々の情報を記憶し、例えば操作盤56にて入力した情報を記憶する。
不揮発性メモリ85は種々の情報を記憶し、例えば操作盤56にて入力した情報を記憶する。不揮発性メモリ85は例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、EPROM(Erasable Programmable ROM)等である。不揮発性メモリ85に代えて、HD(Hard Disk)等他の書き換え可能な記憶媒体を使用してもよい。
前記マガジンモータ18には、アーム14aの位置を検出するアーム位置検出部18aが設けてある。アーム位置検出部18aは、例えばロータリエンコーダ又はポテンショメータで構成される。
前記開口51の右縁部分及び左縁部分に右扉55及び左扉54の開閉を検出する扉開閉検出部53が設けてある。例えば近接センサ又はリミットスイッチが扉開閉検出部53を構成する。右扉55と右縁部分の扉開閉検出部53との距離が所定値未満且つ右扉55と左縁部分の扉開閉検出部53との距離が所定値以上の場合、扉開閉検出部53は右扉55及び左扉54が閉じたことを示す信号を出力する。右扉55と右縁部分の扉開閉検出部53との距離が所定値以上であり且つ右扉55と左縁部分の扉開閉検出部53との距離が所定値未満である場合、扉開閉検出部53は右扉55及び左扉54が開いたことを示す信号を出力する。
近接センサは例えば電磁誘導を利用した高周波発振型、磁石を用いた磁気型又は検出物体とセンサとの間の静電容量の変化を検出する静電容量型の近接センサ、及び光電型又は超音波型の近接センサ等である。
前記X軸モータ42及びY軸モータ43には、テーブル8の左右及び前後位置を検出するX軸位置検出部42a及びY軸位置検出部43aが設けてある。例えばロータリエンコーダ又はポテンショメータはX軸位置検出部42a及びY軸位置検出部43aを構成する。
Z軸モータ44には、主軸5Aの上下位置を検出するZ軸位置検出部44aが設けてある。Z軸位置検出部44aは、例えばロータリエンコーダ又はポテンショメータで構成される。
左扉54及び右扉55は伝動機構を介して扉開閉モータ57に連結する。扉開閉モータ57の駆動で左扉54及び右扉55は開閉する。
操作盤56、起動スイッチ56a、アーム位置検出部18a、扉開閉検出部53、X軸位置検出部42a、Y軸位置検出部43a及びZ軸位置検出部44aの各出力信号は制御盤81に入力する。
制御盤81はマガジンモータ18、X軸モータ42、Y軸モータ43、Z軸モータ44及び扉開閉モータ57に駆動又は停止信号を出力する。また制御盤81は表示部52に情報を表示する信号を出力する。
工作機械は報知部59を備える。例えばランプ又はブザーは報知部59を構成する。制御盤81は報知部59に駆動信号を出力する。報知部59の駆動は、作業者に異常が発生したことを報知する。
図5は不揮発性メモリ85に格納したアーム番号及び工具番号の対応関係を示すテーブルの一例を示す概念図である。作業者は、操作盤56を操作して、工具番号(識別子)を入力する。不揮発性メモリ85に設定したテーブルは工具番号をアーム番号に対応して格納する。
図6及び図7は制御盤81による工具取り付け処理を説明するフローチャートである。
制御盤81のCPU82は、起動スイッチ56aから信号を取り込み、起動スイッチ56aがオンになるまで待機する(ステップS1:NO)。起動スイッチ56aがオンになった場合(ステップS1:YES)、CPU82は不揮発性メモリ85を参照して、工具番号をテーブルに登録済みであるか否かを判定する(ステップS2)。作業者は、工具取り付け処理を開始する前に、工具番号をアーム番号に対応付けてテーブルに登録する。
工具番号をテーブルに登録済みであると判定した場合(ステップS2:YES)、CPU82は、扉開閉検出部53から信号を取り込み、右扉55及び左扉54が開いたか否かを判定する(ステップS3)。右扉55及び左扉54が開いてない場合(ステップS3:NO)、すなわち右扉55及び左扉54が閉じた場合、CPU82は、後述するステップS6に処理を進める。
右扉55及び左扉54が開いた場合(ステップS3:YES)、CPU82は、扉開閉モータ57に扉閉信号を出力し(ステップS4)、扉開閉検出部53から信号を取り込み、右扉55及び左扉54が閉じるまで待機する(ステップS5:NO)。
右扉55及び左扉54が閉じた場合(ステップS5:YES)、CPU82は、Z軸位置検出部44aから信号を取り込み、主軸5Aが工具交換位置にあるか否かを判定する(ステップS6)。
主軸5Aが工具交換位置にある場合(ステップS6:YES)、CPU82は、アーム位置検出部18aから信号を取り込み、各アーム14aの位置を取得する(ステップS7)。
主軸5Aが工具交換位置にない場合(ステップS6:NO)、CPU82は、Z軸モータ44に駆動信号を出力する。主軸5Aは工具交換位置まで移動する(ステップS8)。CPU82はZ軸位置検出部44aから信号を取り込み、主軸5Aが工具交換位置に移動するまで待機する(ステップS9:NO)。主軸5Aが工具交換位置に移動した場合(ステップS9:YES)、CPU82は、ステップS7に処理を進める。
ステップS7において、各アーム14aの位置を取得した場合、CPU82は不揮発性メモリ85を参照し、開始アームを設定済みであるか否かを判定する(ステップS10)。
開始アームを設定済みでない場合(ステップS10:NO)、CPU82は、取り付け位置にあるアーム14aに対して、工具番号が登録済みであるか否かを判定する(ステップS18)。取り付け位置にあるアーム14aに対して、工具番号が登録済みである場合(ステップS18:YES)、CPU82は、取り付け位置にあるアーム14aを開始アームに設定する(ステップS20)。具体的には、CPU82は、取り付け位置にあるアーム14aの番号を開始アームとして不揮発性メモリ85に記憶する。
取り付け位置にあるアーム14aに対して、工具番号が登録済みでない場合(ステップS18:NO)、CPU82は、マガジンモータ18に駆動信号を出力する。対応する工具番号が登録されたアーム14aは取り付け位置に移動する(ステップS19)。CPU82はステップS20に処理を進める。
開始アームを設定済みである場合(ステップS10:YES)、又は取り付け位置にあるアーム14aを開始アームに設定した場合(ステップS20)、CPU82は、対応する工具番号を登録済み且つ取り付け位置に最も近い、開始アームと異なるアーム14aを算出する(ステップS11)。
CPU82は、マガジンモータ18に駆動信号を出力する。算出したアーム14aは取り付け位置に移動する(ステップS12)。
CPU82は、表示部52に、取り付け位置にあるアーム14aの番号(アーム番号)及び該アーム14aに取り付けるべき工具の番号(工具番号)を対応付けて表示する(ステップS13)。例えば、図5に示すようなテーブルを表示部52に表示し、該当する行を他の行と異なるように表示する。例えば該当する行を点滅させるか若しくは該当する行の背景色又は数字を他の行と異なる色で表示する。作業者は取り付けるべき工具6とアーム14aとの関係を容易に理解する。
CPU82は、アーム位置検出部18aから信号を取り込み、算出したアーム14aが取り付け位置に移動するまで待機する(ステップS14:NO)。算出したアーム14aが取り付け位置に移動した場合(ステップS14:YES)、CPU82は、不揮発性メモリ85を参照し、取り付け位置に移動したアーム14aが開始アームであるか否かを判定する(ステップS15)。
取り付け位置に移動したアーム14aが開始アームでない場合(ステップS15:NO)、CPU82は、扉開閉モータ57に扉開信号を出力し(ステップS16)、扉開閉検出部53から信号を取り込み、右扉55及び左扉54が開くまで待機する(ステップS17:NO)。
右扉55及び左扉54が開いた場合(ステップS17:YES)、CPU82は、ステップS1に処理を戻す。作業者は、取り付け位置にあるアーム14aに装着された工具を取り外して、アーム14aに対応する工具を取り付けることができる。続けて、他のアーム14aに工具を取り付ける場合、作業者は起動スイッチ56aをオンにする(ステップS1参照)。
取り付け位置に移動したアーム14aが開始アームである場合(ステップS15:YES)、CPU82は、Z軸モータ44に駆動信号を出力する。主軸5Aは原点位置まで移動する(ステップS21)。CPU82は、不揮発性メモリ85から開始アームの番号を削除し、開始アームの設定を解除する(ステップS22)。
CPU82は、原点位置まで主軸5Aが移動するまで待機する(ステップS23:NO)。CPU82は、原点位置まで主軸5Aが移動した場合、処理を終了する(ステップS23:YES)。
工具番号が登録されていない場合(ステップS2:NO)、CPU82は報知部59に駆動信号を出力し、工具番号を登録していないことを報知して(ステップS24)、処理を終了する。
単一の工具番号のみが登録され、この工具番号に対応するアームが取り付け位置に移動し、CPU82が該アームを開始アームに設定した場合(ステップS18〜S20参照)、取り付け位置以外の箇所に、対応する工具番号を登録済みのアーム14aはないので、ステップS11において、対応する工具番号を登録済み且つ取り付け位置に最も近い、開始アームと異なるアーム14aを算出できない。従ってステップS11において、アーム14aを算出できない場合、CPU82はステップS21に処理を移行する。
ステップS2において、複数の工具番号が登録済みであるか否かを判定し、単一の工具番号のみが登録済みであるか工具番号が全く登録されていない場合に(ステップS2:NO)、報知部59を駆動し、報知してもよい(ステップS24参照)。
なお初期状態において、ユーザは右扉55及び左扉54を開き、取り付け位置にあるアーム14aに工具を取り付けることができる。またステップS23の後に開始アームに工具が取り付いていない場合、ユーザは右扉55及び左扉54を開き、開始アームに工具を取り付けることができる。
実施の形態1に係る工作機械にあっては、作業者は工具6を識別する工具番号(識別子)を入力する。工作機械は、工具番号とアーム14a(アーム番号)とを対応付けて不揮発性メモリ85に記憶する。作業者は起動スイッチ56aをオンにする。工作機械は不揮発性メモリ85を参照して、右扉55及び左扉54を閉鎖し且つ工具マガジン14を駆動させて、工具番号に対応したアーム14aを所定位置に配した後、右扉55及び左扉54を開放する。作業者は、工具番号に係る工具6を取り付け位置にあるアーム14aに取り付ける。そのため、作業者は起動スイッチ56aをオンにするだけで取り付け位置にアーム14aを位置させて、工具6を取り付けることができ、段取り時において、短時間で多数の工具6をアーム14aに取り付けることができる。
また一の工具6を一のアーム14aに取り付けた後、作業者は起動スイッチ56aをオンにする。工作機械は、他の工具番号に対応した他のアーム14aを取り付け位置に配する。作業者は他のアーム14aに他の工具6を取り付けることができる。
また作業者が工具番号を入力しておらず且つ起動スイッチ56aがオンになった場合に、報知部59がその旨報知する。工作機械は作業者に工具番号の入力を促すことができる。
テーブル8が左右方向又は前後方向に移動せず、主軸ヘッド5が左右方向又は前後方向に移動可能である場合がある。その場合、ステップS21において、CPU82は、主軸5Aが工具交換位置又は原点位置に移動する時、左右方向又は前後方向についても、主軸ヘッド5を工具交換位置又は原点位置に移動制御する。なお工具の識別子は番号に限定されず、文字、図形又は記号等であってもよい。
(実施の形態2)
以下本発明を実施の形態2に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。図8及び図9は制御盤81による工具取り付け処理を説明するフローチャートである。
制御盤81のCPU82は、起動スイッチ56aから信号を取り込み、起動スイッチ56aがオンになるまで待機する(ステップS31:NO)。起動スイッチ56aがオンになった場合(ステップS31:YES)、CPU82は不揮発性メモリ85を参照して、工具番号をテーブルに登録済みであるか否かを判定する(ステップS32)。
工具番号をテーブルに登録済みであると判定した場合(ステップS32:YES)、CPU82は、扉開閉検出部53から信号を取り込み、右扉55及び左扉54が開いたか否かを判定する(ステップS34)。右扉55及び左扉54が開いてない場合(ステップS34:NO)、すなわち右扉55及び左扉54が閉じた場合、CPU82は、後述するステップS37に処理を進める。
工具番号をテーブルに登録済みでないと判定した場合(ステップS32:NO)、CPU82は、不揮発性メモリ85に工具番号が未登録であることを示す未登録フラグを設定し(ステップS33)、ステップS34に処理を進める。
右扉55及び左扉54が開いた場合(ステップS34:YES)、CPU82は、扉開閉モータ57に扉閉信号を出力し(ステップS35)、扉開閉検出部53から信号を取り込み、右扉55及び左扉54が閉じるまで待機する(ステップS36:NO)。
右扉55及び左扉54が閉じた場合(ステップS36:YES)、CPU82は、Z軸位置検出部44aから信号を取り込み、主軸5Aが工具交換位置にあるか否かを判定する(ステップS37)。
主軸5Aが工具交換位置にある場合(ステップS37:YES)、CPU82は、アーム位置検出部18aから信号を取り込み、各アーム14aの位置を取得する(ステップS38)。
主軸5Aが工具交換位置にない場合(ステップS37:NO)、CPU82は、Z軸モータ44に駆動信号を出力する。主軸5Aは工具交換位置まで移動する(ステップS39)。CPU82は、Z軸位置検出部44aから信号を取り込み、主軸5Aが工具交換位置に移動するまで待機する(ステップS40:NO)。主軸5Aが工具交換位置に移動した場合(ステップS40:YES)、CPU82は、ステップS38に処理を進める。
ステップS38において、各アーム14aの位置を取得した場合、CPU82は、不揮発性メモリ85を参照して、開始アームを設定済みであるか否かを判定する(ステップS41)。
開始アームを設定済みでない場合(ステップS41:NO)、CPU82は、取り付け位置にあるアーム14aに対して、工具番号が登録済みであるか否かを判定する(ステップS54)。取り付け位置にあるアーム14aに対して、工具番号が登録済みである場合(ステップS54:YES)、CPU82は、取り付け位置にあるアーム14aを開始アームに設定する(ステップS56)。具体的には、CPU82は、取り付け位置にあるアーム14aの番号を開始アームとして不揮発性メモリ85に記憶する。
取り付け位置にあるアーム14aに対して、工具番号が登録済みでない場合(ステップS54:NO)、CPU82は、マガジンモータ18に駆動信号を出力する。対応する工具番号が登録されたアーム14aは取り付け位置に移動する(ステップS55)。CPU82はステップS56に処理を進める。
開始アームを設定済みである場合(ステップS41:YES)、又は取り付け位置にあるアーム14aを開始アームに設定した場合(ステップS56)、CPU82は、前記未登録フラグが不揮発性メモリ85に設定されているか否かを判定する(ステップS42)。
未登録フラグが不揮発性メモリ85に設定されていない場合(ステップS42:NO)、CPU82は、対応する工具番号を登録済み且つ取り付け位置に最も近い、開始アームと異なるアーム14aを算出する(ステップS43)。
CPU82は、マガジンモータ18に駆動信号を出力する。算出したアーム14aは取り付け位置に移動する(ステップS44)。
CPU82は、表示部52に、取り付け位置にあるアーム14aの番号(アーム番号)及び該アーム14aに取り付けるべき工具の番号(工具番号)を対応付けて表示する(ステップS45)。
CPU82は、アーム位置検出部18aから信号を取り込み、算出したアーム14aが取り付け位置に移動するまで待機する(ステップS46:NO)。
ステップS42において、前記未登録フラグが不揮発性メモリ85に設定されている場合(ステップS42:YES)、CPU82は、マガジンモータ18に駆動信号を出力し、取り付け位置の隣に位置するアーム14aを取り付け位置に移動させて(ステップS47)、ステップS45に処理を進める。
ステップS46において、算出したアーム14aが取り付け位置に移動した場合(ステップS46:YES)、CPU82は、不揮発性メモリ85を参照し、取り付け位置に移動したアーム14aが開始アームであるか否かを判定する(ステップS48)。
取り付け位置に移動したアーム14aが開始アームでない場合(ステップS48:NO)、CPU82は、扉開閉モータ57に扉開信号を出力し(ステップS49)、扉開閉検出部53から信号を取り込み、右扉55及び左扉54が開くまで待機する(ステップS50:NO)。
右扉55及び左扉54が開いた場合(ステップS50:YES)、CPU82は、ステップS31に処理を戻す。作業者は、取り付け位置にあるアーム14aに装着された工具を取り外して、アーム14aに対応する工具を取り付けることができる。続けて、他のアーム14aに工具を取り付ける場合、作業者は起動スイッチ56aをオンにする(ステップS31参照)。
取り付け位置に移動したアーム14aが開始アームである場合(ステップS48:YES)、CPU82は、Z軸モータ44に駆動信号を出力する。主軸5Aは原点位置まで移動する(ステップS51)。CPU82は、不揮発性メモリ85から開始アームの番号を削除し、開始アームの設定を解除する(ステップS52)。
CPU82は、原点位置まで主軸5Aが移動するまで待機する(ステップS53:NO)。原点位置まで主軸5Aが移動した場合(ステップS53:YES)、CPU82は、処理を終了する。
作業者が単一の工具番号のみを登録し、この工具番号に対応するアームが取り付け位置に移動し、CPU85が該アームを開始アームに設定した場合(ステップS54〜S56参照)、取り付け位置以外の箇所に、対応する工具番号を登録済みのアーム14aはないので、ステップS43において、対応する工具番号を登録済み且つ取り付け位置に最も近いアーム14aを算出できない。従ってステップS43において、アーム14aを算出できない場合、CPU82はステップS51に処理を移行する。
実施の形態2に係る工作機械にあっては、作業者が工具番号を全く入力しておらず且つ起動スイッチ56aがオンになった場合、取り付け位置の隣にあるアーム14aは取り付け位置まで移動する。起動スイッチ56aがオンになる都度、複数のアーム14aは順次所定位置に移動し、作業者は所望のアーム14aに各工具6を取り付ける。
実施の形態2に係る工作機械の構成の内、実施の形態1と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
(実施の形態3)
以下本発明を実施の形態3に係る工作機械を示す図面に基づいて説明する。図10及び図11は制御盤81による工具取り付け処理を説明するフローチャートである。
工作機械は工具取り付け処理を実行する前に加工処理を実行しており、複数のアーム14aに工具6が取り付けてあるものとする。また工具6の工具番号がアーム14aに対応付けて登録してあるものとする。作業者は、一のアーム14aに対応した一の工具6の工具番号を登録した場合に、他の工具6の工具番号を上書きできる。即ち、工具番号を変更できる。作業者が工具番号を変更した場合、不揮発性メモリ85は変更後の工具番号(変更工具番号)を記憶する。
例えばアーム番号2に対応する工具番号5を工具番号6に変更し、アーム番号4に対応する工具番号2を工具番号7に変更した場合、工具番号6及び7が変更工具番号になる。
制御盤81のCPU82は、起動スイッチ56aから信号を取り込み、起動スイッチ56aがオンになるまで待機する(ステップS61:NO)。起動スイッチ56aがオンになった場合(ステップS61:YES)、CPU82は不揮発性メモリ85を参照し、変更工具番号をテーブルに登録済みであるか否かを判定する(ステップS62)。
変更工具番号をテーブルに登録済みであると判定した場合(ステップS62:YES)、CPU82は、不揮発性メモリ85を参照し、変更工具番号を取得する(ステップS63)。CPU82は、扉開閉検出部53から信号を取り込み、右扉55及び左扉54が開いているか否かを判定する(ステップS64)。右扉55及び左扉54が開いてない場合(ステップS64:NO)、すなわち右扉55及び左扉54が閉じた場合、CPU82は、後述するステップS67に処理を進める。
右扉55及び左扉54が開いている場合(ステップS64:YES)、CPU82は、扉開閉モータ57に扉閉信号を出力し(ステップS65)、扉開閉検出部53から信号を取り込み、右扉55及び左扉54が閉じるまで待機する(ステップS66:NO)。
右扉55及び左扉54が閉じた場合(ステップS66:YES)、CPU82は、Z軸位置検出部44aから信号を取り込み、主軸5Aが工具交換位置にあるか否かを判定する(ステップS67)。
主軸5Aが工具交換位置にある場合(ステップS67:YES)、CPU82は、アーム位置検出部18aから信号を取り込み、各アーム14aの位置を取得する(ステップS68)。
主軸5Aが工具交換位置にない場合(ステップS67:NO)、CPU82は、Z軸モータ44に駆動信号を出力する。主軸5Aは工具交換位置まで移動する(ステップS69)。CPU82は、Z軸位置検出部44aから信号を取り込み、主軸5Aが工具交換位置に移動するまで待機する(ステップS70:NO)。主軸5Aが工具交換位置に移動した場合(ステップS70:YES)、CPU82は、ステップS68に処理を進める。
ステップS68において、各アーム14aの位置を取得した場合、CPU82は、不揮発性メモリ85を参照し、開始アームを設定済みであるか否かを判定する(ステップS71)。
開始アームを設定済みでない場合(ステップS71:NO)、CPU82は、取得した変更工具番号に対応する一のアーム14aを開始アームに設定する(ステップS72)。CPU82は、後述するステップS73に処理を進める。
開始アームを設定済みである場合(ステップS71:YES)、CPU82は、変更工具番号に対応し且つ開始アームに最も近い、開始アームと異なるアーム14aを算出する(ステップS73)。
CPU82は、マガジンモータ18に駆動信号を出力する。算出したアーム14aは取り付け位置に移動する(ステップS74)。
CPU82は、表示部52に、取り付け位置にあるアーム14aの番号(アーム番号)及び該アーム14aに取り付けるべき工具の番号(工具番号)を対応付けて表示する(ステップS75)。
CPU82は、アーム位置検出部18aから信号を取り込み、算出したアーム14aが取り付け位置に移動するまで待機する(ステップS76:NO)。算出したアーム14aが取り付け位置に移動した場合(ステップS76:YES)、CPU82は、不揮発性メモリ85を参照し、取り付け位置に移動したアーム14aが開始アームであるか否かを判定する(ステップS77)。
取り付け位置に移動したアーム14aが開始アームでない場合(ステップS77:NO)、CPU82は、扉開閉モータ57に扉開信号を出力し(ステップS78)、扉開閉検出部53から信号を取り込み、右扉55及び左扉54が開くまで待機する(ステップS79:NO)。
右扉55及び左扉54が開いた場合(ステップS79:YES)、CPU82は、ステップS61に処理を戻す。作業者は、取り付け位置にあるアーム14aに装着した工具6を取り外して、他の工具6に交換する。続けて、他のアーム14aの工具を交換する場合、作業者は起動スイッチ56aをオンにする(ステップS61参照)。
取り付け位置に移動したアーム14aが開始アームである場合(ステップS77:YES)、CPU82は、Z軸モータ44に駆動信号を出力する。主軸5Aは原点位置まで移動する(ステップS80)。CPU82は、不揮発性メモリ85から開始アームの番号を削除し、開始アームの設定を解除する(ステップS81)。
CPU82は、原点位置まで主軸5Aが移動するまで待機する(ステップS82:NO)。原点位置まで主軸5Aが移動した場合(ステップS82:YES)、CPU82は、処理を終了する。
作業者が変更工具番号を登録してない場合(ステップS62:NO)、CPU82は報知部59に駆動信号を出力し、変更工具番号を登録していないことを報知して(ステップS83)、処理を終了する。報知部59は、変更工具番号を登録することを作業者に促す。
作業者が単一の変更工具番号のみを登録し、この変更工具番号に対応するアームが取り付け位置に移動し、CPU82が該アームを開始アームに設定した場合(ステップS72参照)、取り付け位置以外の箇所に、対応する変更工具番号を登録済みのアーム14aはないので、ステップS73において、対応する工具番号を登録済み且つ取り付け位置に最も近い、開始アームと異なるアーム14aを算出できない。従ってステップS73において、アーム14aを算出できない場合、CPU82はステップS80に処理を移行する。
実施の形態3に係る工作機械にあっては、作業者が工具番号を変更した場合に、工作機械は変更した工具番号に対応する工具ポット14aのみを取り付け位置に配する。これにより、工具6の交換に要する作業量を最小化する。
実施の形態3に係る工作機械の構成の内、実施の形態1又は2と同様な構成については同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。各実施例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。