JP2008231333A - 硬化性シリコーン合成法、及び該合成法により得られる硬化性シリコーンとその硬化物 - Google Patents

硬化性シリコーン合成法、及び該合成法により得られる硬化性シリコーンとその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】腐食や黄変など光デバイス劣化を誘引する不純物の塩素成分の含有量が著しく少ない硬化性シリコーンとその合成法を提供すること。
【解決手段】アルコキシケイ素化合物を加水分解縮合させることによってシリコーンを合成するシリコーンの合成法において、原料としてアルコキシケイ素化合物を用い、塩基性触媒によりアルコキシケイ素化合物を加水分解縮合した後、二酸化炭素により合成反応液を中和して硬化性シリコーンを得る。二酸化炭素を中和剤として用いるので、不純物である塩素成分の含有量を著しく低減することができる。また、二酸化炭素による中和は合成反応液に二酸化炭素ガスを吹き込むことによって行うことが簡便で好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、光デバイス用途に好適な硬化性シリコーンの合成法、及びLED、有機EL、LD、フォトカプラ、CCD、光導波路素子などの光デバイスに用いられる封止材、シール材、コート材、絶縁材、基板材、保護材、接着材、成型レンズ材などに好適な硬化性シリコーンとその硬化物に関する。
光デバイスは、発展目覚しい光エレクトロニクスにおいて、発光、表示、検出、導波など種々の機能を持った中心的な役割を果たす素子であり、LED(Light Emitting Diode)、有機EL(有機Electroluminescence)、LD(Laser Diode)、フォトカプラ、CCD(Charge Coupled Device)、光導波路素子などがある。その構成部材として封止材、シール材、コート材、絶縁材、基板材、保護材、接着材、成型レンズ材などがあるが、これらの部材は光デバイス自体の性能に多大な影響を及ぼすほど重要な部材である。
例えばLEDは、pn接合半導体に通電すると発光する光デバイスであり、省電力・長寿命の特性が注目されている。その特性を活かして、既に装飾ディスプレイ・表示板や交通信号灯、携帯電話表示部のバックライトなどに広く使われているが、更に高輝度化や白色光化の技術開発が進み、LEDをもっと明るく発光させることができれば、白熱灯や蛍光灯に代わる一般照明用光源としても期待されている。
LEDの封止材としては、近年の高輝度化や白色光化の技術開発に伴って、高耐熱性や高耐光性など、従来使用されていたエポキシ樹脂より優れた特性が望まれている。これに対し、エポキシ樹脂に代えてシリコーン樹脂を使用する方法が特許文献1に開示されている。シリコーン材料は、主鎖が無機のシロキサン結合であり、従来の有機材料の炭素−炭素結合や炭素−酸素結合と比較して、より高い結合エネルギーゆえ非常に安定している。このため、優れた耐熱性や耐光性を有しており、厳しい使用条件や使用環境にも耐え長期の信頼性が期待できる素材として注目されている。
また、光導波路素子は、光通信や光情報処理の分野で用いられる光配線板などに利用されるものであり、集積化・微小化の高機能化と低価格化が望まれている。低価格化の技術開発に関しては、石英系光導波路素子が既に実用化されているが、より安価な材料を用いてより簡易な作製法による高分子導波路の開発が盛んに行われている。例えば、特許文献2では、シルセスキオキサン反応性オリゴマーを硬化させて得られる高分子膜を用いることが開示されている。該公報によると、従来の重合性高分子を用いると透明性が不十分で吸収損失や散乱損失が高いが、シルセスキオキサン反応性オリゴマーを用いることによって低損失を実現できるとしている。
シルセスキオキサンは、一般に組成式RSiO3/2で表され、ランダム構造、ラダー型構造、ケージ型構造などの分子構造を有するシリコーン化合物である。通常、RSiX(R基は、ハイドライド、アルキル、アルケニル、アリールなど)で表される3官能の加水分解性基(X基)を有する有機ケイ素化合物、例えばアルキルトリクロロシランやアルキルトリアルコキシシランを加水分解縮合することにより合成される(特許文献1または特許文献3参照)。その加水分解縮合の際は、反応速度を高めるために、塩基性あるいは酸性の加水分解触媒として水酸化ナトリウムや水酸化テトラメチルアンモニウム、あるいは塩酸などが使用されている。また、強塩基性の加水分解触媒を使用する場合は、合成反応を停止させるため中和処理で塩酸などが使用されている。
一方、光デバイスで使用される封止材などの前記構成部材では、そのデバイスの信頼性に対する要求が厳しくなってきていることから、構成部材に対する耐久性能向上や不純物量低減の要求も厳しくなってきている。構成部材の黄変やクラックに対する耐性要求は上述したが、その他にも樹脂中に含まれる不純物の塩素イオンは、電極、配線、リフレクターなどに使用されているアルミニウムや銀などの金属を腐食する原因とされている。また、樹脂分子に直接結合した塩素成分は、光学損失の原因となったり、照射光や熱の作用により脱離して黄変の原因となる。従って、光デバイスで使用される前記構成部材では、不純物の塩素イオンや塩素成分の低減が望まれている。
特開2004−359933号公報 特開2003−21735号公報 特開平6−306173号公報
本発明の課題は、腐食や黄変など光デバイス劣化を誘引する不純物の塩素成分の含有量が著しく少ない光デバイス用に好適な硬化性シリコーンとその合成法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
(1)アルコキシケイ素化合物を加水分解縮合させることによってシリコーンを合成するシリコーンの合成法において、塩基性触媒によりアルコキシケイ素化合物を加水分解縮合した後、二酸化炭素により合成反応液を中和する工程を含むことを特徴とする硬化性シリコーン合成法。
(2)前記二酸化炭素により合成反応液を中和する工程が合成反応液に二酸化炭素ガスを吹き込む工程であることを特徴とする上記(1)記載の硬化性シリコーン合成法。
(3)アルコキシケイ素化合物がエポキシ基を有する化合物を含むことを特徴とする上記(1)又は(2)記載の硬化性シリコーン合成法。
(4)上記(1)〜(3)記載の合成法により得られることを特徴とする硬化性シリコーン。
(5)上記(4)記載の硬化性シリコーンを主体とする組成物を硬化させ得られることを特徴とする硬化物。
(6)光デバイスの構成部材として用いることを特徴とする上記(5)記載の硬化物。
(7)上記(5)に記載の硬化物を構成部材として用いたことを特徴とする光デバイス。
本発明の硬化性シリコーン合成法、及び該法により得られる硬化性シリコーンとその硬化物は、腐食や黄変など光デバイス劣化を誘引する不純物である塩素成分の含有量が著しく少なく、更に煩雑な精製プロセスを必要とせず経済性に著しく優れるという効果を有する。
本発明について、特にその好ましい形態を中心に、以下具体的に説明する。
本発明は、腐食や黄変など光デバイス劣化を誘引する不純物である塩素成分の混入を根絶することにより、該不純物を除去するための煩雑な精製プロセスを必要としない、経済性に著しく優れる工業生産プロセスに適した光デバイス用途に好適な硬化性シリコーンの合成法である。本発明の最大の特徴は、原料にはクロロケイ素化合物は使用せず塩素成分を含有しないアルコキシケイ素化合物を使用すること、加水分解縮合反応を促進するための塩基性触媒の中和剤として塩酸を使用せず二酸化炭素を使用することにある。
本発明が従来技術と最も相違するところは、塩素イオンや塩素成分の混入を根絶することにより、該不純物を除去するための煩雑な精製プロセスを必要とせず、工業的な生産プロセスを簡易にすることが可能なことである。更に、従来は金属腐食性の強い塩酸を使用することから、生産設備もグラスライニングやハステロイなど高価な基材を要し設備費用が高額となるのに対し、本発明ではより安価な基材ですみ設備費用を軽減することが可能であるという利点がある。また、塩基性加水分解触媒として水酸化テトラメチルアンモニウムを使用して洗浄水が中性になるまで繰返し何度も洗浄する方法があるが、ラボスケールでは実施できても、実際に工業的な生産プロセスでは非効率的で実現性は低いものであるのに対し、本発明では塩基性加水分解触媒を使用した場合でも、二酸化炭素の酸性を利用して中和することにより短時間で非常に簡便に処理することが可能な利点がある。
本発明の合成方法によって合成される硬化性シリコーンとは、ケイ素基本単位が組成式RSiO1/2で表される1官能性基本単位、組成式RSiOで表される2官能性基本単位、組成式RSiO3/2で表される3官能性基本単位、組成式SiOで表される4官能性基本単位の組合せにより得られる有機ケイ素化合物であり、R基はハイドライド、アルキル、アルケニル、アリールなどから選ぶ1種、好ましくは2種以上の有機置換基である。該基本単位や該R基は、光デバイスで使用される構成部材の要求特性、例えば硬度などの機械的特性や屈折率などの光学的特性など、あるいは光デバイス製造プロセスで封止材などの前記構成部材の原材料として使用される硬化性シリコーンの要求特性、例えば粘度などの物理的特性に応じて選定する有機置換基である。
本発明で合成する硬化性シリコーンは、光デバイスで使用される際に機械的強度を要求される場合が多く、その場合は基本単位として組成式RSiO3/2で表される3官能性基本単位または組成式SiOで表される4官能性基本単位を主成分とする3次元編目構造とすることが好ましい。更に、組成式RSiO1/2で表される1官能性基本単位や組成式RSiOで表される2官能性基本単位の導入により、得られる硬化性シリコーンの分子量や硬化後の機械的特性を軟質に調整することが可能である。
これらの観点で基本単位の好ましい組成比率を示すと、3官能性基本単位が30〜100mol%、4官能性基本単位が0〜60mol%、1官能性基本単位が0〜50mol%、2官能性基本単位が0〜50mol%の範囲から、得られる硬化性シリコーンの粘度や硬化後の硬度と靭性などの特性を考慮して適宜選ぶのがよい。3官能性基本単位が30mol%より多い場合、あるいは4官能性基本単位が60mol%より少ない場合には、均質な硬質のシリコーン材料を得易くなり望ましい。また、1官能性基本単位や2官能性基本単位が50mol%より少ない場合には、加熱や光照射に対して材料特性が安定しているシリコーン材料本来の耐熱性や耐光性が優れるものとなり望ましい。尚、前記の機械的特性などは、該シリコーン基本骨格だけでなく、有機置換基R基によっても調整することが可能である。
本発明の硬化性シリコーンの上記R基はハイドライド、アルキル、アルケニル、アリールなどの有機置換基であり、アルキル基としては直鎖状又は分岐鎖状の例えばメチル、エチル、プロピルなど、アルケニル基としては例えばビニル、アリルなど、アリール基としてはフェニル、スチリルなどが例示される。また、これらR基は、後述する硬化性官能基で変性する場合は、アルキレン、ビニレン、フェニレンなどでもよい。上記R基を硬化性官能基で変性する場合には、該R基と硬化性官能基との間をアルキレン結合、エーテル結合、エステル結合、アミノ結合などを介在して両者を結合するか、あるいは直接結合したものを使用する。
本発明で合成する硬化性シリコーンは、光デバイス製造プロセスにおいて熱、光、電子線などの作用により硬化させる前記構成部材の原材料であり、光デバイス製造プロセスで選定される硬化方式に応じて該R基の一部あるいは全部が硬化性官能基であるエポキシ基、オキセタニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基などに変性しておき、硬化触媒を用いて硬化し得るものである。
本発明の硬化性シリコーンに適用し得る硬化方式は、公知方式のなかから適宜選定して適用することが可能であり、例えばメチルシリル基とビニルシリル基の有機過酸化物による熱硬化、ビニルシリルとヒドロシリルの白金化合物による熱硬化、エポキシ基やオキセタニル基の熱カチオン開始剤による熱硬化、エポキシ基やオキセタニル基の光カチオン開始剤による光硬化、アクリロイル基の光カチオン開始剤による光硬化、メルカプト基とビニルシリルの光および熱ラジカル開始剤による光および熱硬化、アクリロイル基やメタクリロイル基の無触媒での電子線硬化、シラノール基のスズ化合物による熱硬化、エポキシ基とシラノール基のアルミニウム化合物による熱硬化、その他にエポキシ変性R基を含む硬化性シリコーンと酸無水物硬化剤を配合し塩基性硬化促進剤や酸性硬化促進剤による熱硬化などの方式を適用できる。
これら公知の硬化方式のうち、光デバイス製造プロセスにおける硬化作業性や、硬化させて得られる前記構成部材の耐熱性や耐光性などを考慮すると、ビニルシリル基とヒドロシリル基の白金化合物による熱硬化、エポキシ基やオキセタニル基の熱カチオン開始剤による熱硬化、エポキシ基やオキセタニル基の光カチオン開始剤による光硬化が好ましい硬化方式である。特に、本発明の硬化性シリコーン合成法が最も顕著な効果を示すのは、硬化性官能基にエポキシ基を使用する場合である。その理由は、エポキシ基は塩化水素の作用により開環付加して樹脂分子に塩素成分が直接結合し易いが、本発明の合成法によればエポキシ基がこの様な作用を受けることもなく、塩素成分の低減に顕著な効果があると共に、エポキシ基が不活性化する不具合もない。
尚、ビニルシリル基とヒドロシリル基の白金化合物による熱硬化の場合では、本発明の合成法である塩基性触媒を使用するとヒドロシリル基が加水分解するので、ヒドロシリル基を有する硬化性シリコーンが合成できない。この場合、ビニルシリル基を有する硬化性シリコーンを合成しておき、これとヒドロシリル基を有する変性シリコーン、例えばテトラメチルジシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルトリシロキサン、ジフェニルシランなどとを配合して硬化させるのがよい。
本発明で使用する原料の上記アルコキシケイ素化合物としては、合成する硬化性シリコーン中に1官能性基本単位を導入するものとしてトリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサンなど、2官能性基本単位を導入するものとしてジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなど、3官能性基本単位を導入するものとしてメチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランなど、4官能性基本単位を導入するものとしてテトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなど、または硬化性官能基を導入するものとして(3−グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−エチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロポキシメチル]オキセタン、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、(3−メタクリロキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシランなどが例示される。
これらのなかから、光デバイスで使用される構成部材の要求特性、例えば硬度などの機械的特性や屈折率などの光学的特性など、あるいは光デバイス製造プロセスで封止材などの前記構成部材の原材料として使用される硬化性シリコーンの要求特性、例えば粘度などの物理的特性など、光デバイス製造プロセスにおける熱、光、電子線などの硬化方式などに応じて適宜選定して使用することができる。
本発明の硬化性シリコーン合成法では、上記アルコキシケイ素化合物を加水分解縮合する際に、該加水分解縮合を促進するために塩基性触媒を使用する。該触媒としては、水中で塩基性を示す公知の化合物を使用することができ、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウムなどが例示される。特に水酸化ナトリウムは、加水分解を促進し易く、臭気の懸念もなく、工業原料として汎用されていることから塩基性触媒として使用し易い。
本発明のシリコーン合成法で使用される塩基性触媒の量は、特に塩基性触媒の種類により異なり、その他に原料アルコキシケイ素化合物の種類や量、反応液溶剤、温度や時間の反応条件などによっても異なるものである。例えば、該塩基性触媒として水酸化ナトリウムを使用する場合には、概ね反応液溶媒1L中に1〜800mmolの濃度で使用することが望ましく、または反応で使用する原料アルコキシケイ素化合物のアルコキシケイ素結合数1molに対し0.1〜100mmolの量比で使用することが望ましい。該塩基性触媒の水酸化ナトリウムがこれら範囲内にあれば、良好に加水分解縮合の反応がなされ、且つ無駄に多く使用しすぎることもない。
本発明の硬化性シリコーン合成法では、水は原料アルコキシケイ素化合物を加水分解するために必要であり、反応溶媒として水だけを使用するか、あるいは水と有機溶媒を混合して使用する。有機溶媒は縮合して得られる硬化性シリコーンを溶解して撹拌し易くするために使用してもよい。有機溶媒としては、原料アルコキシケイ素化合物と得られる硬化性シリコーンを溶解するものであればよく、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロピルアルコールなど公知の有機溶媒から反応温度や引火点など安全性に応じて1種または2種以上を適宜選定する。
反応溶媒の使用量は、水は原料アルコキシケイ素化合物のアルコキシケイ素結合数1molに対し0.5〜5molの量比で使用することが望ましい。該水量を0.5mol以上とすると原料アルコキシケイ素化合物は反応中良好に加水分解することが可能になり、5mol以下とすると得られる硬化性シリコーンを溶解する有機溶剤を無駄に多量使用しなくてもすむ。一方、有機溶媒を使用する場合は、得られる硬化性シリコーンを溶解して反応系中を均一に撹拌できる量であればよく、例えばテトラヒドロフランを使用する場合には原料アルコキシケイ素化合物が0.1〜200mol/Lとなるようにするとよい。
本発明の硬化性シリコーン合成法においては、温度や時間などの反応条件は、使用する原料アルコキシケイ素化合物や塩基性触媒、反応溶媒などにより異なり、得られる硬化性シリコーンを高い転化率で十分加水分解縮合を進めるために、概ね室温〜150℃で2〜48時間とするのがよい。特に、加水分解縮合反応を効率よく進めるためには、40〜120℃で3〜12時間の反応条件とすることが望ましい。本発明では、加水分解縮合を所定条件終了した後、更に合成反応液中の塩基性触媒を二酸化炭素により中和して反応を終了するが、二酸化炭素による中和の方法としては、反応器内へ固体状態のドライアイスを加えたり、あるいはガス状態で反応液中にバブリングする方法が挙げられる。場合によっては、反応装置の耐圧性能を高めた設備としておけば、液体状態で加えることも可能である。
反応器などの設備仕様、および操業安全性を考慮すると、ガス状態で反応液中にバブリングする方法が最も簡便で好ましい方法である。該バブリング時は、安全性を考慮して、使用する反応溶媒の沸点より概ね30℃低い温度で行うことが望ましく、二酸化炭素ガスの反応液への吸収効率を考慮して反応液温度40℃以下で行うことがより望ましい。また、二酸化炭素による中和の終了時期は、反応液が中性から弱酸性のpH7〜6とするのがよい。
尚、本発明の硬化性シリコーン合成法では、二酸化炭素による中和の後、特許文献3にも記載されているように精製処理を経て、硬化性シリコーンが得られる。その際、本発明では、水洗浄は蒸留水やイオン交換水を使用し、水道水や食塩水による塩素成分の混入を避けるようにするだけで、塩素成分を除去するための格別の精製プロセスは必要としない。本発明の硬化性シリコーンに許容される塩素成分含量は、上述した観点から可能な限り零に近い方がよい。一方、該値の上限は、構成部材として使用される光デバイスの種類やその使用条件により一概に決められるものではないが、概ね30ppm以下であることが望ましい。尚、本発明では、塩素成分含量は、後述する電量滴定法により測定した値で表している。
上記の本発明の合成法により得られる硬化性シリコーンは、ケイ素基本単位、R基、硬化性官能基当量、分子量、相状態、粘度などは、光デバイスで使用される構成部材の要求特性、および光デバイス製造プロセスでのプロセス条件や硬化方式などに応じて適宜調整して合成される。ケイ素基本単位は上述したとおりであるが、R基については光デバイスで使用される構成部材として得られる硬化物の耐光性や耐熱性を考慮するとメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基であることが望ましく、これら特性がより優れた硬化物とするためにはメチル基、エチル基、n−プロピル基であることがより望ましい。
上述した硬化性官能基の含有量は、一般に単位モル数官能基あたりのその物質重量として表される官能基当量を指標とされているが、硬化性官能基当量については、光デバイスで使用される構成部材として得られる硬化物の硬度や耐クラック性(靭性)を考慮すると100〜2000g/molであることが望ましく、これら特性がより優れた硬化物とするためには300〜1200g/molであることがより望ましい。
硬化性シリコーンの分子量あるいは相状態、粘度については、光デバイス製造プロセスにおける封止方法とその封止方法で要求される作業性などを考慮して調整し合成する。封止方法としては、例えば主として液体状の硬化性シリコーンを材料として用いる注型、ポッティング、ディッピング、プリンティングなどや、主として固体状の硬化性シリコーンを材料として用いる加圧成形、射出成形、低圧トランスファ成形などが挙げられる。分子量は、特に限定されないが、これら封止方法に応じて、例えば500〜100000のものを合成し液体状あるいは固体状に調整するが、該分子量が500以上であるとより硬化性に優れるものとなり、一方該分子量が100000以下であると射出成形や低圧トランスファ成型などでも加工時のせん断発熱を抑制できるので望ましい。特別な合成操作を要せず、硬化性シリコーンを比較的容易に合成するためには、該分子量は700〜10000であることがより望ましい。
尚、該分子量はゲル・パーミエーション・クロマトグラフ法にて測定した標準ポリスチレン換算での数平均分子量である。また、液体状の硬化性シリコーンを材料として用いる場合には、その作業性や液体状硬化性シリコーンへ粉粒体などの配合剤を使用する際の配合し易さなどを考慮すると粘度は25〜25000mPa・sであることが望ましく、50〜15000mPa・sであるとより作業性良くエキ垂れ、イト曳き、気泡抱き込みなどを抑制し易くなるのでより望ましい。尚、該粘度は、振動式粘度計にて23℃で測定した。
次に、本発明の硬化性シリコーンを、光デバイスで使用される構成部材として硬化させる方法について記す。本発明の硬化性シリコーンは、上述した硬化性官能基を有しており、該基に適した硬化方式により硬化できる。熱、光、電子線などの作用により硬化反応を開始進行させるが、通常は、その際に硬化触媒を添加して硬化反応を促進する。ただし、硬化方式によっては硬化触媒を使用しない場合もある。
該硬化触媒としては、上述した好ましい硬化方式で例示すると、公知化合物のなかから適宜選定して使用することが可能であるが、例えば、白金化合物としては、ヒドロシリルに酸化的付加しビニル基挿入ののち還元的脱離する触媒作用を有する化合物、具体的には白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体、白金−シクロビニルメチルシロキサン錯体、白金カルボニルビニルメチル錯体などが使用できる。これら白金化合物は、単独または2種以上の混合物として使用しても良く、その配合量は、タック性などの硬化具合を考慮すると硬化性シリコーン100質量部に対して0.001〜1質量部とすることが望ましく、より良い硬化具合とするために、あるいは経済性を考慮すると0.01〜0.1質量部とすることがより望ましい。
熱カチオン開始剤としては、加熱によりカチオン種を発生して重合を開始させる化合物であるアンモニウム塩類、ホスホニウム塩類、スルホニウム塩類などの各種オニウム塩類が使用できる。具体的には、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、エチルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどが挙げられ、市販されているアデカオプトンCP−66(旭電化工業社製)、サンエイドSI−60L(三新化学工業社製)、CI−2855(日本曹達社製)、CAT EX−1(ダイセル化学工業社製)などが例示される。なかでも、スルホニウム塩類のヘキサフルオロアンチモネート化合物が、比較的均質で着色もなく、より高いガラス転移温度の硬化物を得ることができ望ましい。
これら熱カチオン開始剤は、単独または2種以上の混合物として使用しても良く、その配合量は、タック性などの硬化具合を考慮すると硬化性シリコーン100質量部に対して0.002〜5質量部とすることが望ましく、より良い硬化具合とするために、あるいは硬化したもの耐光性や耐熱性を考慮すると0.005〜0.5質量部とすることがより望ましい。
光カチオン開始剤としては、光線照射によりカチオン種を生成して重合を開始させる化合物であるルイス酸のジアゾニウム塩類、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類など各種オニウム塩類が使用できる。具体的には、ベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、ベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボレート、ジ(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート、トリスフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートなどが挙げられ、市販されているCD−1012(SARTOMER社製)、PCI−019(日本化薬社製)、オプトマーSP−170(旭電化社製)、UVI−6990(ダウケミカル社製)、CPI−100P(サンアプロ社製)、TEPBI−S(日本触媒社製)などが例示される。
これら光カチオン開始剤は、単独または2種以上の混合物として使用しても良く、その配合量は、タック性などの硬化具合を考慮すると硬化性シリコーン100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが望ましく、より良い硬化具合とするために、あるいは硬化したものの耐光性や耐熱性を考慮すると0.1〜5質量部とすることがより望ましい。
硬化性シリコーンを光硬化させる場合、その光源としては特に制限はなく、通常、紫外線や可視光線を照射できるものであり、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライド灯、無電極放電ランプ等が挙げられる。更に、硬化を促進するために、光硬化した後に加温して硬化具合をより高めるようにしてもよい。
本発明の硬化性シリコーンを光デバイスで使用される構成部材として硬化させる際には、該硬化性シリコーンを主体とし、該部材としての要求特性を達成するために性能を高める目的で、あるいは硬化性や透明性などの該部材としての要求特性を損なわない範囲で、必要に応じて硬化助剤、軟質化剤、内部応力緩和剤、低熱膨張化剤、無機充填剤、接着性付与剤、酸化防止剤、熱加工安定剤、光安定化剤、紫外線吸収剤、着色剤、蛍光剤、補強剤、カップリング剤、帯電防止剤、消泡剤、界面活性剤、腐食防止剤、難燃剤、滑剤、粘度調整剤、希釈剤など公知の添加剤を適宜添加してもよい。尚、ここでいう主体とは、硬化物に供する混合組成物が、該組成物中の全ての硬化性シリコーンのうち本発明の硬化性シリコーンを50質量%以上を含有していることをいう。
これら添加剤は、例えば、硬化助剤としては、本発明の硬化性シリコーンにおいて硬化性官能基にエポキシ基を使用する場合に添加する酸無水物、具体的にはメチルヘキサヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸などが例示される。これらを使用する場合は、単独でもしくは2種以上を混合して使用してもよく、その配合量は耐湿性、耐光性、耐熱性等の観点から硬化性シリコーンのエポキシ基数に対して0.2〜1.5当量とする。酸無水物硬化助剤を使用する場合には、更に硬化促進剤を使用してもよい。
硬化促進剤としては、トリエチルアミンなどの三級アミン、DBU(1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセ−7−エン)塩、テトラメチルアンモニウムクロリドなどの四級アンモニウム塩、テトラ−n−ブチルホスホニウム−0,0−ジエチルホスホロジチオエートなどのホスホニウム塩、アルミニウムキレート化合物などの有機金属化合物、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物などが例示され、その他に三フッ化ホウ素化合物や酢酸などの酸性硬化促進剤も使用できる。これら硬化促進剤を使用する場合は、耐湿性、耐光性、耐熱性の観点からその配合量は、硬化性シリコーン100質量部に対して0.01〜3質量部とする。
また、軟質化剤や内部応力緩和剤として、主としてケイ素基本単位が2官能性基本単位からなるシリコーン化合物を硬化性シリコーンに添加すると、得られる硬化物の硬度やガラス転移温度などの特性を調整したり、クラック耐性や冷熱衝撃耐性の優れたものとなる場合がある。軟質化剤や内部応力緩和剤としては、ブリードなどの不具合を生じさせないためには、シリコーン化合物としてカルビノール変性、シラノール変性、エポキシ変性、メルカプト変性、アミノ変性などの変性物であるとよい。該剤を使用する場合には、その配合量は必要に応じて適宜使用すればよく、特性改良の効果を発揮するためには硬化性シリコーン100質量部に対し3〜40質量部とするのがよい。
本発明の硬化性シリコーンには、必要に応じて低膨張化剤や無機充填剤を適宜添加しても良い。これらは硬化物の線膨張係数を低減させる目的で添加するものであり、その他にも弾性率などの機械的特性を向上させる作用もある。該剤としては、ヒュームドシリカ、コロイダルシリカ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物又は無機窒化物、ガラス、セラミックス、銀粉、金粉などの微粒子で、添加した硬化物の透明性を阻害しないために平均粒径は200ナノメートル以下とするのがよい。該剤を使用する場合には、その配合量は必要に応じて適宜使用すればよく、特性改良の効果を発揮するためには硬化性シリコーン100質量部に対し5〜400質量部の範囲で、添加剤の性質に応じて決められる。
本発明の硬化性シリコーンは、加熱や光照射による黄変などの劣化を更に高度に抑制する目的で、必要に応じて酸化防止剤、熱加工安定剤、光安定化剤、紫外線吸収剤などの劣化防止剤を適宜添加してもよい。劣化防止剤としては、具体的には2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールやペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのヒンダードフェノール系酸化防止剤、ドデシル−3,3’−チオジプロピオン酸などのイオウ系酸化防止剤、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドやトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトなどのリン系加工安定剤、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系光安定剤、2−(2’−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールや2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤などが例示される。該剤を使用する場合には、単独でもしくは2種以上を混合して使用してもよく、その配合量は必要に応じて適宜使用すればよく、劣化防止の効果を発揮しつつ白濁や着色などの不具合を生じないためには硬化性シリコーン100質量部に対し0.05〜3質量部とするのがよい。
このようにして得られた本発明の合成法による硬化性シリコーンは、腐食や黄変など光デバイス劣化を誘引する不純物である塩素成分の含有量が著しく少ないことから、前述したとおりLED、有機EL、LD、フォトカプラ、CCD、光導波路素子などの光デバイスの構成部材として、封止材、シール材、コート材、絶縁材、基板材、保護材、接着材、成型レンズ材など光デバイス用途に好適に使用できる。
次に、本発明を実施例に基づいて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。また、本実施例は、特に断りがない限り23±2(℃)の室温雰囲気下で行っている。
[測定方法、評価方法]
(1)塩素成分含量の測定
塩素成分含量は、硬化性シリコーンの試料を燃焼させたガスを塩素分析装置TOX−10Σ(三菱化学社製)に導き電量滴定法により測定した。即ち、試料中の塩素成分は、アルゴン気流中で熱分解・気化され、さらに酸素気流中で燃焼して塩化水素に変換し、滴定セル内の電解液に吸収させ電量的に発生させた銀イオンで滴定した。硫酸(和光純薬社製特級試薬)10mLを入れた脱水浴を電気燃焼炉の燃焼管出口にセットした。サンプルボードに試料を約30mg秤取り、電気燃焼炉の試料導入口にセットした。電気燃焼炉の燃焼温度を900℃に設定して、アルゴンガスにより180秒間蒸し焼きし、その後に酸素ガスへ切り替えて試料を燃焼させた(ガス流量200mL/分)。測定結果は、装置の測定値として表示され、測定回数3回の平均値として求めた。
(2)耐熱性の評価
耐熱性は、硬化性シリコーンを硬化させ作製した厚み160±5(μm)の膜状硬化試料を用いて、260℃30分(熱風循環式恒温槽内)の熱処理条件とし、熱処理前後での波長400nmの透過率保持率(熱処理後値/熱処理前値)を指標とした。波長400nmの透過率は、紫外可視分光光度計V−630iRM(日本分光社製)に設置したフィルムホルダーに試料をセットして測定した。評価尺度は透過率保持率(%)の値に基づいて次の通りとした。
◎ : 98%以上 (耐熱性は非常に優れる)
○ : 96%以上98%未満 (耐熱性は優れる)
△ : 93%以上96%未満 (耐熱性は劣る)
× : 93%未満 (耐熱性は非常に劣る)
[実施例1]
5Lセパラブルフラスコに四ツ口セパラブルカバーでカバーし、スリーワンモーター撹拌機、還流冷却器、温度計、窒素フロー導入管を設けて反応器とした。該反応器内を窒素フローして置換した後、アルコキシケイ素化合物としてエチルトリメトキシシラン913g(6.1mol)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン264g(1.1mol)、ヘキサメチルジシロキサン232g(1.4mol)、および反応液溶媒としてテトラヒドロフラン2383g(2681mL)、塩基性触媒として1N水酸化ナトリウム水溶液357g(343mL)を仕込み、窒素フローしながら室温で10分間撹拌した。反応器中の反応液が均一になり加水分解が進行したことを確認した後、大気圧窒素雰囲気下で撹拌しながら60℃に加熱した。60℃で3時間撹拌した後、30℃まで冷却してからテフロン(登録商標)チューブを通じて二酸化炭素ガスを反応液中にバブリングし、合成反応液を中和(pH試験紙にてpH7)とした。この反応液中のテトラヒドロフランを減圧留去した後、水/トルエンで洗浄を行ってからトルエン溶液を分取し、トルエンを40℃に加温しながら減圧留去した。更に、50℃に加温しながら減圧精製をして、無色透明な粘稠液体の硬化性シリコーンを得た。
得られた硬化性シリコーンの官能基割合は、エチルシリルのRSiO3/2単位が71mol%、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシリルのRSiO3/2単位が13mol%、トリメチルシリルのRSiO1/2単位が16mol%であった(H−NMR、重クロロホルム)。得られた硬化性シリコーン中のシラノール割合は、その組成式RSiO3/2単位のうち、シラノール基を有するT2構造の割合は11mol%であった(29Si−NMR、重クロロホルム)。得られた硬化性シリコーンの分子量は、ポリスチレン換算でMn=2546、Mw/Mn=1.2とMn=1064、Mw/Mn=1.0の二山ピークを示すものであった(GPC、テトラヒドロフラン)。該二山ピークの面積比は、Mn2546/Mn1064が62/38であった。また、得られた硬化性シリコーンの塩素成分含量は4ppmであった。得られた硬化性シリコーンをJIS K7236に準拠してエポキシ基当量を測定したところ625(g/mol)であった。
得られた硬化性シリコーン100質量部に、軟質化剤として両末端カルビノール変性シリコーンオイルX−22−160AS(信越化学社製)を10質量部、硬化触媒として熱カチオン開始剤アデカオプトンCP−66(ADEKA社製)を有効成分量0.05質量部となるように計量し、均一に混合した。その後、減圧脱泡と混合・脱泡器(シンキー社製ARE−250)により脱泡した。これをガラス板にコートし、加熱硬化(120℃2時間+150℃2時間+170℃30分)させ膜状硬化試料を得た。なお、膜状硬化試料の作製においては、厚みを160±5(μm)となるようにコート厚みを調整した。得られた膜状硬化試料を用いて、耐熱性の評価を行ったところ、透過率保持率は97%であり耐熱性は優れていた。
[比較例1]
上記実施例1において、60℃で3時間撹拌した後、二酸化炭素ガスを反応液中にバブリングして合成反応液を中和したことに代えて、1N塩酸352g(345mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して合成反応液を中和したこと、および水/トルエンで洗浄を行ってから更に飽和食塩水で洗浄を行ったことの他は実施例1と同じ操作を繰返し、無色透明な粘調液体の硬化性シリコーンを得た。
得られた硬化性シリコーンの官能基割合は、エチルシリルのRSiO3/2単位が72mol%、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシリルのRSiO3/2単位が12mol%、トリメチルシリルのRSiO1/2単位が16mol%であった(H−NMR、重クロロホルム)。得られた硬化性シリコーン中のシラノール割合は、その組成式RSiO3/2単位のうち、シラノール基を有するT2構造の割合は10mol%であった(29Si−NMR、重クロロホルム)。得られた硬化性シリコーンの分子量は、ポリスチレン換算でMn=2488、Mw/Mn=1.2とMn=1041、Mw/Mn=1.0の二山ピークを示すものであった(GPC、テトラヒドロフラン)。該二山ピークの面積比は、Mn2488/Mn1041が61/39であった。また、得られた硬化性シリコーンの塩素成分含量は890ppmであった。得られた硬化性シリコーンをJIS K7236に準拠してエポキシ基当量を測定したところ699(g/mol)であった。
上記実施例1と同じ操作を繰返して膜状硬化試料を得た。得られた膜状硬化試料を用いて、耐熱性の評価を行ったところ、透過率保持率は92%であり耐熱性は非常に劣っていた。
[比較例2]
上記実施例1において、60℃で3時間撹拌した後、二酸化炭素ガスを反応液中にバブリングして合成反応液を中和したことに代えて、1N塩酸352g(345mL)と飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を添加して合成反応液を中和したことの他は上記実施例1と同じ操作を繰返し、無色透明な粘調液体の硬化性シリコーンを得た。
得られた硬化性シリコーンの官能基割合は、エチルシリルのRSiO3/2単位が71mol%、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシリルのRSiO3/2単位が12mol%、トリメチルシリルのRSiO1/2単位が17mol%であった(H−NMR、重クロロホルム)。得られた硬化性シリコーン中のシラノール割合は、その組成式RSiO3/2単位のうち、シラノール基を有するT2構造の割合は11mol%であった(29Si−NMR、重クロロホルム)。得られた硬化性シリコーンの分子量は、ポリスチレン換算でMn=2617、Mw/Mn=1.2とMn=1086、Mw/Mn=1.0の二山ピークを示すものであった(GPC、テトラヒドロフラン)。該二山ピークの面積比は、Mn2617/Mn1086が62/38であった。また、得られた硬化性シリコーンの塩素成分含量は5000ppmであった。得られた硬化性シリコーンをJIS K7236に準拠してエポキシ基当量を測定したところ813(g/mol)であった。
上記実施例1と同じ操作を繰返して膜状硬化試料を得た。得られた膜状硬化試料を用いて、耐熱性の評価を行ったところ、透過率保持率は89%であり耐熱性は非常に劣っていた。
上記実施例1、および比較例1と2の結果を図1に示す。図1は、横軸に塩素成分含量(ppm)と縦軸に耐熱性評価の透過率保持率(%)を各々目盛り、塩素成分含量による透過率保持率への影響を表したグラフである。図1によると、塩素含量が少ないほど透過率保持率は向上しており、塩素成分含量を減らすことにより耐熱性が著しく高められることが判る。即ち、本発明の合成法により得られる硬化性シリコーンから、従来技術と比較して耐熱性の著しく優れる硬化物が得られることが判る。
[実施例2]
実施例1で用いた2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン264g(1.1mol)の代わりに3−エチル−3−[3−(トリエトキシシリル)プロポキシメチル]オキセタン353g(1.1mol)を用いたことの他は上記実施例1と同じ操作を繰り返し、無色透明な粘調液体の硬化性シリコーンを得た。
得られた硬化性シリコーンの官能基割合は、エチルシリルのRSiO3/2単位が70mol%、3−エチル−3−[3−(トリオキシシリル)プロポキシメチル]オキセタンのRSiO3/2単位が13mol%、トリメチルシリルのRSiO1/2単位が17mol%であった(H−NMR、重クロロホルム)。得られた硬化性シリコーン中のシラノール割合は、その組成式RSiO3/2単位のうち、シラノール基を有するT2構造の割合は12mol%であった(29Si−NMR、重クロロホルム)。得られた硬化性シリコーンの分子量は、ポリスチレン換算でMn=1211、Mw/Mn=1.2の単独ピークを示すものであった(GPC、テトラヒドロフラン)。また、得られた硬化性シリコーンの塩素成分含量は3ppmであった。
得られた硬化性シリコーン100質量部に、硬化触媒として光カチオン開始剤CPI−100P(サンアプロ社製)を有効成分量1質量部となるように計量し、均一に混合した。その後、減圧脱泡と混合・脱泡器(シンキー社製ARE−250)により脱泡した。これをガラス板にコートし、400W高圧水銀灯露光機(セン特殊光源社製)で3000mJ/cm露光して光硬化させ膜状硬化試料を得た。なお、膜状硬化試料の作製においては、厚みを160±5(μm)となるようにコート厚みを調整した。得られた膜状硬化試料を用いて、耐熱性の評価を行ったところ、透過率保持率は98%であり耐熱性は非常に優れていた。
[実施例3]
実施例1で用いた2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン264g(1.1mol)の代わりにビニルトリメトキシシラン163g(1.1mol)を用いたことの他は上記実施例1と同じ操作を繰り返し、無色透明な粘調液体の硬化性シリコーンを得た。
得られた硬化性シリコーンの官能基割合は、エチルシリルのRSiO3/2単位が72mol%、ビニルシリルのRSiO3/2単位が12mol%、トリメチルシリルのRSiO1/2単位が16mol%であった(H−NMR、重クロロホルム)。得られた硬化性シリコーン中のシラノール割合は、その組成式RSiO3/2単位のうち、シラノール基を有するT2構造の割合は11mol%であった(29Si−NMR、重クロロホルム)。得られた硬化性シリコーンの分子量は、ポリスチレン換算でMn=2207、Mw/Mn=1.4とMn=900、Mw/Mn=1.1の二山ピークを示すものであった(GPC、テトラヒドロフラン)。該二山ピークの面積比は、Mn2207/Mn900が53/47であった。また、得られた硬化性シリコーンの塩素成分含量は2ppmであった。
得られた硬化性シリコーン100質量部に、ヒドロシリル化合物として1,2−ビス(テトラメチルジシロキサニル)エタンを26質量部、硬化触媒としてヘキサクロロ白金(IV)酸六水和物を0.01質量部となるように計量し、均一に混合した。その後、減圧脱泡と混合・脱泡器(シンキー社製ARE−250)により脱泡した。これをガラス板にコートし、加熱硬化(120℃2時間+150℃2時間+170℃30分)させ膜状硬化試料を得た。なお、膜状硬化試料の作製においては、厚みを160±5(μm)となるようにコート厚みを調整した。得られた膜状硬化試料を用いて、耐熱性の評価を行ったところ、透過率保持率は99%であり耐熱性は非常に優れていた。
実施例1〜3、比較例1、2の結果を表1に示す。
Figure 2008231333
本発明の硬化性シリコーン合成法、及び該法により得られる硬化性シリコーンとその硬化物は、光デバイス用の構成部材として光エレクトロニクスの分野で好適に利用できる。
塩素成分含量による透過率保持率への影響を表したグラフ。

Claims (7)

  1. アルコキシケイ素化合物を加水分解縮合させることによってシリコーンを合成するシリコーンの合成法において、塩基性触媒によりアルコキシケイ素化合物を加水分解縮合した後、二酸化炭素により合成反応液を中和する工程を含むことを特徴とする硬化性シリコーン合成法。
  2. 前記二酸化炭素により合成反応液を中和する工程が合成反応液に二酸化炭素ガスを吹き込む工程であることを特徴とする請求項1記載の硬化性シリコーン合成法。
  3. 反応原料であるアルコキシケイ素化合物がエポキシ基を有するアルコキシケイ素化合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性シリコーン合成法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の合成法により得られることを特徴とする硬化性シリコーン。
  5. 請求項4に記載の硬化性シリコーンを主体とする組成物を硬化させて得られることを特徴とする硬化物。
  6. 光デバイスの構成部材として用いることを特徴とする請求項5記載の硬化物。
  7. 請求項5に記載の硬化物を構成部材として用いたことを特徴とする光デバイス。
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