JP2008231053A - 蒸留方法及び炭酸ジエステルの製造方法 - Google Patents

蒸留方法及び炭酸ジエステルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008231053A
JP2008231053A JP2007074849A JP2007074849A JP2008231053A JP 2008231053 A JP2008231053 A JP 2008231053A JP 2007074849 A JP2007074849 A JP 2007074849A JP 2007074849 A JP2007074849 A JP 2007074849A JP 2008231053 A JP2008231053 A JP 2008231053A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
heat exchanger
distillate
dpc
distillation
carbonic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007074849A
Other languages
English (en)
Inventor
Narutoshi Hyodo
成俊 兵頭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2007074849A priority Critical patent/JP2008231053A/ja
Publication of JP2008231053A publication Critical patent/JP2008231053A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Abstract

【課題】沸点差が異なり、且つ高融点の複数成分を含む留出物の蒸留方法を提供する。
【解決手段】芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とを原料として炭酸ジエステルを合成する工程で得られた反応液から未反応芳香族モノヒドロキシ化合物を含む留出物を留去した後、留出物を芳香族モノヒドロキシ化合物の融点以下の温度で運転する熱交換器16aに導入し、さらに凝縮液Lの一部を熱交換器16aの上流側に循環させる。
【選択図】図2

Description

本発明は、多成分の留出物を留出させる蒸留方法等に関し、より詳しくは、フェノール等の高融点成分を含む多成分留出物の蒸留方法等に関する。
従来、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法として、エステル交換反応による溶融法が知られている。ここで、溶融法において原料として使用するジフェニルカーボネート等の炭酸ジエステルは、通常、フェノールと塩化カルボニル(COCl)とによる合成反応操作の後、所定の中和及び洗浄・蒸留処理を経て使用される(特許文献1参照)。
特開2004−345883号公報
ところで、合成反応により得られる反応液は、反応生成物に加え、未反応原料や反応副生物等が含まれている混合液として回収される。このような多成分が含まれる混合液から反応生成物を取り出すために蒸留操作が行われる。
蒸留操作は、所定の蒸留塔に混合液を供給し、通常、塔頂から留出する低沸点成分を、所定の熱交換器等により冷却し、凝縮液として回収する。また、塔底から回収された高沸点成分は、必要に応じて、さらに他の蒸留塔に供給され、蒸留操作が繰り返される。
ここで、蒸留塔の塔頂から留出する低沸点成分が複数の成分を含み、その中に、熱交換器の運転温度では固化するような高融点成分が含まれている場合、このような高融点成分により熱交換器内部が閉塞する虞がある。
例えば、前述したジフェニルカーボネートの合成反応により得られた反応液を蒸留すると、未反応フェノールやジフェニルカーボネートの一部が蒸留塔の塔頂から留出する。これらの成分を含む留出物を凝縮する場合、蒸留塔や熱交換器の運転条件の変動によっては、熱交換器の内部で未反応フェノール等が固化する虞が考えられる。
本発明は、このような高融点成分を含む留出物を蒸留する場合の課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、高融点成分を含む留出物の蒸留方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、未反応フェノール等が含まれる反応液を蒸留する工程を有する炭酸ジエステルの製造方法を提供することにある。
かくして本発明によれば、少なくとも2種類の成分を留出させる蒸留方法であって、蒸留塔から所定の条件で留出した留出物を熱交換器に導入し、熱交換器を留出物中の少なくとも1つの成分の融点以下の温度で操作し、熱交換器に導入した留出物の少なくとも一部を凝縮することを特徴とする留出物の蒸留方法が提供される。
ここで、本発明が適用される蒸留方法において、熱交換器により凝縮した留出物の凝縮液の一部を熱交換器の上流側に循環させることが好ましい。
また、蒸留塔を減圧下で運転することが好ましい。
さらに、本発明が適用される蒸留方法は、常温で固体状態である成分を含む留出物の蒸留に適用することができる。
また、留出物を凝縮するために使用する熱交換器は、留出物に含まれる成分のいずれの融点より高温の流体を熱交換器に供給する配管を備えることが好ましい。
また、本発明は、芳香族ヒドロキシ化合物又は炭酸ジエステルを含む留出物の蒸留に適用することができる。
さらに、熱交換器としては、多管式熱交換器又はプレート式熱交換器を用いることが好ましい。
次に、本発明を炭酸ジエステルの製造方法として把握すると、芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とを原料として炭酸ジエステルを合成する炭酸ジエステル合成工程と、炭酸ジエステル合成工程において得られた反応液から、少なくとも未反応の芳香族モノヒドロキシ化合物を含む留出物を留去した後、反応液から炭酸ジエステルを蒸留する蒸留工程と、を有し、蒸留工程において留去した留出物を、芳香族モノヒドロキシ化合物の融点以下の温度で運転する熱交換器に導入し、熱交換器により凝縮した凝縮液の一部を熱交換器の上流側に循環させることを特徴とする炭酸ジエステルの製造方法が提供される。
ここで、炭酸ジエステル合成工程は、芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物との反応温度が50℃〜180℃であることが好ましい。
また、熱交換器は、20℃以下の冷媒を用いて留出物を凝縮することが好ましい。
本発明によれば、複数の高融点成分を含む留出物を蒸留する場合、熱交換器における冷却効率が増大する。また、熱交換器内部の付着物を容易に洗浄することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
本実施の形態では、芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物を用いる炭酸ジエステルの製造プロセスにおいて使用される蒸留塔及び熱交換器を例に挙げて本発明を説明する。
初めに、炭酸ジエステル及び炭酸ジエステルの製造プロセスについて説明する。
(炭酸ジエステル)
本実施の形態において使用する炭酸ジエステルとしては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 2008231053
ここで、一般式(1)中、A’は、置換されていてもよい炭素数1〜炭素数10の直鎖状、分岐状又は環状の1価の炭化水素基である。2つのA’は、同一でも相互に異なるものでもよい。
なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
炭酸ジエステルの具体例としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジ−t−ブチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
また、上記の炭酸ジエステルは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。
(炭酸ジエステルの製造方法)
次に、炭酸ジエステルの製造方法について説明する。
本実施の形態で使用する炭酸ジエステルは、芳香族モノヒドロキシ化合物及びカルボニル化合物を原料としてアルカリ系触媒の存在下の合成反応により製造される。
芳香族モノヒドロキシ化合物としては、芳香環に直接ヒドロキシ基が結合しているものであれば特に限定されず、例えば、アルキルフェノール類、アリールフェノール類、ハロゲン化フェノール類、ヘテロ原子を介してアルキル又はアリール基の結合したフェノール類等が挙げられる。具体的には、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等が挙げられる。中でも、フェノール(以下、PLと記すことがある。)が好ましい。
カルボニル化合物としては、炭酸ジエステルのカルボニル基を形成するものであれば特に限定されず、例えば、塩化カルボニル(ホスゲン)、一酸化炭素、炭酸ジアルキル等が挙げられる。中でも塩化カルボニル(以下、CDCと記すことがある。)が好ましい。
また、アルカリ系触媒としては、芳香族複素環式含窒素塩基性化合物が挙げられる。具体的には、例えば、ピリジン、キノリン、ピコリン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ベンゾトリアゾール等の、窒素原子が芳香族の5員環又は6員環中に存在する含窒素塩基性化合物が挙げられる。中でも、ピリジン(以下、PRDと記すことがある。)が好ましい。
合成反応の条件は特に限定されないが、芳香族モノヒドロキシ化合物としてフェノールを使用する場合は、常圧下でフェノールが溶融状態にある50℃〜180℃が好ましい。また、芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物との混合比(モル比)は、芳香族モノヒドロキシ化合物1モルに対して、通常、カルボニル化合物0.40モル〜0.49モルが好ましい。
本実施の形態で使用する炭酸ジエステルは、上述したように芳香族モノヒドロキシ化合物及びカルボニル化合物を原料としてアルカリ系触媒存在下の合成反応が行われる反応工程後、反応液を脱塩化水素処理及び除去しきれない塩化水素をアルカリ性水溶液により中和処理して水洗する洗浄工程と、さらに、蒸留工程を経て製造される。以下、塩化水素を塩酸と称することがある。
以下、芳香族モノヒドロキシ化合物としてフェノール(PL)を使用し、カルボニル化合物として塩化カルボニル(CDC)を用い、炭酸ジエステルであるジフェニルカーボネート(DPC)を製造する製造プロセス(DPC製造工程)を例に挙げ、本実施の形態をさらに具体的に説明する。
(DPC製造工程)
図1は、DPC製造プロセスの一例を説明する工程フロー図である。図1に示すように、DPCは、PL及びCDCとの反応を行わせるDPC反応工程と、DPC反応工程で得られた反応液から塩酸ガスを除く脱塩酸工程と、脱塩酸処理された反応液を中和及び水洗処理するDPC洗浄工程と、中和及び水洗処理された反応液を蒸留しDPCを留出させるDPC蒸留工程と、を経て製造される。
また、図1には、DPC蒸留工程における蒸留残渣を再び蒸留する回収蒸留工程と、DPC蒸留工程から得られたDPCをフレーク状に成形するDPC固化工程と、脱塩酸工程で生じた塩酸ガスを回収処理する塩酸吸収工程とが示されている。
(DPC反応工程)
図1に示すように、DPC反応工程においては、原料であるPL及びCDCと、アルカリ系触媒としてピリジン(PRD)とが反応器11に導入され、DPC合成反応が行われる。PLは、予め加熱装置を備えた貯留タンク10で溶融状態に調製される。CDCは、一酸化炭素及び塩素を用いた合成反応により合成されている。PRDは、PLの供給配管の中途に供給される。
反応器11におけるDPC合成反応の反応条件は特に限定されないが、通常、PLが溶融状態にある50℃〜180℃、常圧下で行われる。また、PLとCDCの混合比(モル比)は、CDCの完全消費の観点から、通常、PL1モルに対して、CDC0.40モル〜0.49モルが好ましい。
(脱塩酸工程)
脱塩酸工程では、DPC反応工程で得られたDPCを含有する反応液aが脱塩酸塔12に送られて脱塩酸処理され、得られた脱塩酸処理液bはDPC洗浄工程に送られる。
尚、反応器11及び脱塩酸塔12で生じた塩酸ガス(D1)は、それぞれ、反応器11の気相部と脱塩酸塔12の塔頂とから回収され、塩酸吸収工程に送られる。さらに、塩酸吸収工程では、反応器11及び脱塩酸塔12で生じた塩酸ガス(D1)は、吸収塔31で水又は希塩酸に吸収されて濃塩酸の状態で貯留タンク32に貯蔵される。
(DPC洗浄工程)
DPC洗浄工程は、中和工程及び水洗工程から構成される。即ち、脱塩酸工程で得られた脱塩酸処理液bは、混合槽13に送られ、次いで、アルカリ中和槽14に送られる。アルカリ中和槽14では、アルカリ性水溶液(E1)を用いて脱塩酸塔12で除去しきれなかった塩酸が中和される(中和工程)。アルカリ中和槽14から排出される中和排水(D2)は、排水処理工程(図示せず)に送られ、含有する有効な有機成分を回収した後、活性汚泥処理に付される。
アルカリ中和槽14で中和処理された中和処理液eは、水洗槽15に送られ、水(W)で水洗され(水洗工程)、続いて蒸留工程に送られる。尚、水洗槽15から排出される排水(D3)は、アルカリ中和槽14に供給されるアルカリ性水溶液(E1)を調整する際のアルカリ希釈剤として再利用することが可能である。
(DPC蒸留工程)
DPC蒸留工程では、先ず、水洗槽15で水洗処理された水洗処理液fが第1DPC蒸留塔16に送られ、水、未反応PL及びアルカリ系触媒等の複数成分を含有する混合ガスFと、DPCを含む高沸成分gとに分離される。尚、混合ガスFには、一部留去された微量のDPCが含まれている。続いて、第1DPC蒸留塔16の塔底から分離された高沸成分gが第2DPC蒸留塔17で再蒸留され、製品である精製されたDPCが第2DPC蒸留塔17の塔頂から蒸留分として回収される。
第2DPC蒸留塔17の塔頂から回収されたDPCはDPC固化工程において、溶融物貯蔵用タンクである溶融タンク19に貯蔵された後、溶融DPCがフレーカー20に供給され、フレーク状DPCとして回収される。
尚、混合ガスFは、第1DPC蒸留塔16の塔頂から回収され、各成分を分離して、反応系に再利用することができる。混合ガスFの凝縮操作については後述する。
第1DPC蒸留塔16における蒸留条件は、水、アルカリ系触媒、未反応PL等の留出物が蒸留され、DPCを含む高沸成分gを分離する条件であれば特に限定されるものではなく、通常、圧力1.3kPa〜13kPaの範囲である。蒸留温度は、前述した圧力下での沸点となる。また、第2DPC蒸留塔17における蒸留条件としては、DPCが蒸留され、DPCより高沸点の不純物を分離する条件であれば特に限定されるものではなく、通常、圧力1.3kPa〜6.5kPa、温度150℃〜220℃が好ましい。
(回収蒸留工程)
回収蒸留工程では、第2DPC蒸留塔17におけるDPC蒸留残渣X1が、DPC回収蒸留塔18を用いて蒸留され、DPC含有回収液dが蒸留回収される。また、DPCのメチル置換体等が濃縮されたDPC回収蒸留残渣(X1’)が蒸留釜残側から回収される。
第2DPC蒸留塔17において分離されたDPC蒸留残渣X1には、フェノールに含有された不純物であるメチルフェノール等が反応したDPCのメチル置換体等の他、DPCそのものも含まれる。このため、このDPC蒸留残渣X1を再び蒸留することにより、ジフェニルカーボネート(DPC)が回収される。
DPC回収蒸留塔18の蒸留条件としては、DPCが蒸留され、DPCより高沸点の不純物が残留する条件であれば特に限定されるものではなく、通常、圧力1.3kPa〜6.5kPa、温度150℃〜220℃の範囲である。
DPC回収蒸留塔18からの留出物であるDPC含有回収液dは、DPCを多く含むため、これを、混合槽13に送ることにより、ジフェニルカーボネート(DPC)の回収効率をより向上させることができる。
(混合ガスFの凝縮プロセス)
次に、前述したDPC蒸留工程において、第1DPC蒸留塔16において留去した混合ガスFの凝縮操作を例に挙げ、本実施の形態が適用される蒸留方法について説明する。
図2は、第1DPC蒸留塔16において留去した混合ガスFの凝縮プロセスを説明する図である。図2には、第1DPC蒸留塔16と、第1DPC蒸留塔16の塔頂から留去した混合ガスFを所定の冷却条件で凝縮する熱交換器16aと、熱交換器16aによって凝縮された凝縮液Lの一部を熱交換器16aの上流側に循環させる凝縮液循環配管170とが示されている。
また、図2に示すように、熱交換器16aにおいて凝縮した凝縮液Lを一次貯留する還流タンク16bと、凝縮液Lを循環させるための還流ポンプ16cとが設けられている。
さらに、第1DPC蒸留塔16の塔底から分離する高沸成分gを第2DPC蒸留塔17(図1参照)に送るための塔底ポンプ16dと、高沸成分gの一部を第1DPC蒸留塔16に還流させる際に経由するリボイラー16eとが設けられている。
本実施の形態で使用する熱交換器16aとしては、混合ガスFを凝縮するものであれば特に限定されず、例えば、多管式熱交換器、プレート式熱交換器等が挙げられる。熱交換器16aには、冷媒供給配管16aが設けられ、所定の条件で混合ガスFを冷却するための冷媒が供給される。
尚、本実施の形態では、熱交換器16aには、混合ガスFに含まれる成分のいずれの融点より高温の流体(水蒸気:SM)を熱交換器16aに供給するための熱媒供給配管16aが備えられている。
次に、第1DPC蒸留塔16及び熱交換器16aの運転方法について説明する。
図2に示すように、前述した水洗槽15(図1参照)で水洗処理された水洗処理液fは、第1DPC蒸留塔16において蒸留され、未反応PL等を含む留出物とDPCを含む残りの成分とに分離される。本実施の形態では、水洗処理液fには、水(HO)/アルカリ系触媒(ピリジン:PRD)/未反応フェノール(PL)/炭酸ジエステル(DPC)が含まれる。
本実施の形態では、第1DPC蒸留塔16において、水洗処理液fに含まれる水/PRD/未反応PL等の複数の低沸成分を含有する混合ガスFが、第1DPC蒸留塔16の塔頂から配管164により留去される。このとき、一部留去された微量のDPCが混合ガスF中に含まれている。また、DPCを含む残りの成分は、これらの留出物を留去した高沸成分gとして配管161により第1DPC蒸留塔16の塔底から排出され、塔底ポンプ16dを介して配管162により第2DPC蒸留塔17(図1参照)に送られる。
第1DPC蒸留塔16の塔頂から留去された混合ガスFは、熱交換器16aにおいて凝縮される。この場合、熱交換器16aを、複数の成分を含む混合ガスF中の少なくとも1つの成分の融点以下の温度で操作し、混合ガスFの少なくとも一部を凝縮する。
本実施の形態では、熱交換器16aは、第1DPC蒸留塔16において留去した留出物である混合ガスF中に含まれる未反応PLの融点(凝固点:41℃)以下の温度で運転される。
具体的には、本実施の形態において熱交換器16aに導入される混合ガスFには、前述したように、水/PRD/未反応PL及び一部留去された微量のDPCが含まれる。これらの成分の、減圧下(2.6kPa−abs)における沸点(凝縮温度:bp)、融点(凝固点:Tm)は以下の通りである。
・水(bp:22℃、Tm:0℃)
・PRD(bp:24℃、Tm:−42℃)
・PL(bp:84℃、Tm:41℃)
・DPC(bp:180℃、Tm:80℃)
このように、混合ガスFには、常温で固体状態であるPL(Tm:41℃)及びDPC(Tm:80℃)が含まれている。
ここで、一般に、熱交換器を用いて、沸点(凝縮温度)が異なる複数の成分を含む留出物を一段で凝縮する場合、留出物中に含まれる複数の成分の沸点の中、最も低い沸点よりさらに低い温度で熱交換器を運転することが好ましい。
そこで、本実施の形態では、熱交換器16aにおいて混合ガスF中に含まれる複数の成分(水/PRD/PL/DPC)を一段で凝縮するために、混合ガスF中に含まれる複数の成分の中、最も低沸点成分である水(bp:22℃(2.6kPa−abs))の沸点よりもさらに低温である20℃以下、好ましくは10℃以下の冷媒を熱交換器16aに供給することが好ましい。
次に、本実施の形態では、熱交換器16aにより凝縮した留出物の凝縮液Lは、還流タンク16bに貯留された後、配管167により還流ポンプ16cに送られる。次いで、凝縮液Lの一部は、還流ポンプ16cにより凝縮液循環配管170を介して熱交換器16aの上流側に循環される。
尚、凝縮液Lの他の部分は、配管168及び配管171からなる還流ラインを介して第1DPC蒸留塔16にリサイクルされる。また、凝縮液Lの他の部分は、配管169を介して、例えば、脱水蒸留設備(図示せず)に送られ、各成分を分離した後、反応系に再循環することができる。
本実施の形態では、混合ガスFの各成分(水/PRD/PL/DPC)は、熱交換器16aにおいて、高沸点のものから順番に凝縮される。即ち、熱交換器16aの入口付近より、先ずDPC、次いでPL、PRD、水の順番に凝縮すると考えられる。そのため、熱交換器16aの入口近辺では、DPCやPLの高濃度凝縮液が存在し、これらが冷媒温度(20℃>)近くまで冷却されると、熱交換器16a内で固化する虞がある。
また、沸点差の大きい成分(本実施の形態(2.6kPa−absの減圧下)では、水(bp22℃)、PL(bp84℃)、DPC(bp180℃))を含む留出物を、熱交換器16aにおいて一段で凝縮させる場合、熱交換器16aの入口付近の凝縮率が低く、伝熱係数が低下する傾向がある。さらに、前述したように、冷媒温度が留出成分のいずれか1成分の融点(凝固点)より低温の場合には、PL及びDPCが固化し熱交換器16a内を閉塞する危険性が生じる。
そこで、本実施の形態では、凝縮液Lの一部を熱交換器16aの上流側に再循環させることにより、熱交換器16aの入口付近における濡れ性が向上し、伝熱接触面での熱交換係数が向上する。このため、熱交換器16aの小型化が可能となる。
さらに、凝縮液Lを熱交換器16aの上流側に再循環させることにより、熱交換器16aの入口付近におけるPLやDPC等の高融点物の濃縮が抑制でき、熱交換器16aの入口付近におけるPLやDPCが固化することによる閉塞を防止することができる。
また、本実施の形態では、PLやDPCの固化により熱交換器16aが閉塞した場合は、必要に応じて蒸留操作を一時的に停止し、熱交換器16aを冷却するための冷媒供給配管16aからの冷媒を停止し、熱媒供給配管16aより熱媒を供給することができる。そして、熱媒供給配管16aにより、混合ガスFに含まれるDPCの融点(Tm:80℃)より高温の流体(水蒸気:SM)を熱交換器16aに供給することによって、熱交換器16a内の閉塞を解消することができる。
以上、本実施の形態では、図1に示すDPC製造プロセスにおいて、第1DPC蒸留塔16から留出する混合ガスF(水/PRD/PL/DPC)を熱交換器16aにより一段で凝縮する場合を例に挙げて説明した。本発明が適用される蒸留方法は、沸点差が大きく、且つ高融点の複数成分を含む留出物を蒸留する場合に、広く適用することができる。
DPC製造プロセスの一例を説明する工程フロー図である。 第1DPC蒸留塔及び熱交換器を説明する図である。
符号の説明
10,32…貯留タンク、11…反応器、12…脱塩酸塔、13…混合槽、14…アルカリ中和槽、15…水洗槽、16…第1DPC蒸留塔、16a…熱交換器、16b…還流タンク、16c…還流ポンプ、16d…塔底ポンプ、16e…リボイラー、17…第2DPC蒸留塔、18…DPC回収蒸留塔、19…溶融タンク、20…フレーカー、170…凝縮液循環配管

Claims (10)

  1. 少なくとも2種類の成分を留出させる蒸留方法であって、
    蒸留塔から所定の条件で留出した前記留出物を熱交換器に導入し、
    前記熱交換器を前記留出物中の少なくとも1つの成分の融点以下の温度で操作し、
    前記熱交換器に導入した前記留出物の少なくとも一部を凝縮する
    ことを特徴とする蒸留方法。
  2. 前記熱交換器により凝縮した前記留出物の凝縮液の一部を当該熱交換器の上流側に循環させることを特徴とする請求項1記載の蒸留方法。
  3. 前記蒸留塔を減圧下で運転することを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸留方法。
  4. 前記留出物は、常温で固体状態である成分を含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の蒸留方法。
  5. 前記熱交換器は、前記留出物に含まれる成分のいずれの融点より高温の流体を当該熱交換器に供給する配管を備えることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の蒸留方法。
  6. 前記留出物は、芳香族ヒドロキシ化合物又は炭酸ジエステルを含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の蒸留方法。
  7. 前記熱交換器が、多管式熱交換器又はプレート式熱交換器であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の蒸留方法。
  8. 芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とを原料として炭酸ジエステルを合成する炭酸ジエステル合成工程と、
    前記炭酸ジエステル合成工程において得られた反応液から、少なくとも未反応の前記芳香族モノヒドロキシ化合物を含む留出物を留去した後、当該反応液から前記炭酸ジエステルを蒸留する蒸留工程と、を有し、
    前記蒸留工程において留去した前記留出物を、前記芳香族モノヒドロキシ化合物の融点以下の温度で運転する熱交換器に導入し、前記熱交換器により凝縮した凝縮液の一部を当該熱交換器の上流側に循環させる
    ことを特徴とする炭酸ジエステルの製造方法。
  9. 前記炭酸ジエステル合成工程は、前記芳香族モノヒドロキシ化合物と前記カルボニル化合物との反応温度が50℃〜180℃であることを特徴とする請求項8に記載の炭酸ジエステルの製造方法。
  10. 前記熱交換器は、20℃以下の冷媒を用いて前記留出物を凝縮することを特徴とする請求項8又は9に記載の炭酸ジエステルの製造方法。
JP2007074849A 2007-03-22 2007-03-22 蒸留方法及び炭酸ジエステルの製造方法 Pending JP2008231053A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007074849A JP2008231053A (ja) 2007-03-22 2007-03-22 蒸留方法及び炭酸ジエステルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007074849A JP2008231053A (ja) 2007-03-22 2007-03-22 蒸留方法及び炭酸ジエステルの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008231053A true JP2008231053A (ja) 2008-10-02

Family

ID=39904288

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007074849A Pending JP2008231053A (ja) 2007-03-22 2007-03-22 蒸留方法及び炭酸ジエステルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2008231053A (ja)

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04211038A (ja) * 1990-02-21 1992-08-03 Asahi Chem Ind Co Ltd ジアリールカーボネートの連続的製造法
JPH0940617A (ja) * 1995-08-02 1997-02-10 Bayer Ag ジアリールカーボネートの連続製造法
JPH09145267A (ja) * 1995-11-22 1997-06-06 Nippon Refine Kk 凝縮装置
JP2001247518A (ja) * 1999-12-28 2001-09-11 Mitsubishi Chemicals Corp 炭酸ジアリールの製造方法
JP2002322130A (ja) * 2001-02-26 2002-11-08 Mitsubishi Chemicals Corp ジフェニルカーボネートの製造方法及び芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2003040839A (ja) * 2001-05-21 2003-02-13 Mitsubishi Chemicals Corp 炭酸ジアリールの製造方法及び芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2005145841A (ja) * 2003-11-12 2005-06-09 Mitsubishi Chemicals Corp 装置、及びこの装置を用いたジフェニルカーボネート又は芳香族ポリカーボネートの製造方法

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04211038A (ja) * 1990-02-21 1992-08-03 Asahi Chem Ind Co Ltd ジアリールカーボネートの連続的製造法
JPH0940617A (ja) * 1995-08-02 1997-02-10 Bayer Ag ジアリールカーボネートの連続製造法
JPH09145267A (ja) * 1995-11-22 1997-06-06 Nippon Refine Kk 凝縮装置
JP2001247518A (ja) * 1999-12-28 2001-09-11 Mitsubishi Chemicals Corp 炭酸ジアリールの製造方法
JP2002322130A (ja) * 2001-02-26 2002-11-08 Mitsubishi Chemicals Corp ジフェニルカーボネートの製造方法及び芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2003040839A (ja) * 2001-05-21 2003-02-13 Mitsubishi Chemicals Corp 炭酸ジアリールの製造方法及び芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2005145841A (ja) * 2003-11-12 2005-06-09 Mitsubishi Chemicals Corp 装置、及びこの装置を用いたジフェニルカーボネート又は芳香族ポリカーボネートの製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4558870B2 (ja) 塔式処理方法および装置
EP1225164A1 (en) Process for producing aromatic carboxylic acid
JP4256887B2 (ja) (メタ)アクリル酸の製造方法
WO2018216699A1 (ja) (メタ)アクリル酸の製造方法
US8772534B2 (en) Method of recovering (meth) acrylic acid ester
JP2014095037A (ja) ポリエステルの製造装置及び製造方法
JP2010275295A (ja) 2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンの製造方法
JP2008230685A (ja) 溶融液貯蔵用タンク
JP5077170B2 (ja) ポリヒドロキシカルボン酸の製造方法
JP2008231073A (ja) ガラスライニング装置を用いる反応方法及び炭酸ジエステルの製造方法
JP5141058B2 (ja) 高純度塩化水素ガスの製造設備、高純度塩化水素ガスの製造方法、高純度塩化水素ガス製造設備の運転方法
JP4691881B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2008231053A (ja) 蒸留方法及び炭酸ジエステルの製造方法
JP2008195918A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP6352175B2 (ja) ジアリールカーボネートの製造方法
JP2022079246A (ja) メタホウ酸の製造方法および当該メタホウ酸を用いた第2級アルコールの製造方法
JP4295042B2 (ja) 芳香族ポリカーボネートの製造方法
JP2008019171A (ja) アクリル酸の製造方法
CN106458836B (zh) 制备碳酸二芳基酯的方法
KR100813452B1 (ko) 방향족 폴리카보네이트의 제조 방법
JP2003286228A (ja) ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの精製方法、および、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの製造方法
JP2002179617A (ja) 高純度アクリル酸の製造方法及び高純度アクリル酸
JP2003221361A (ja) 易重合性化合物の製造方法
CN1275928C (zh) 纯多级冷凝物喷射
JP5932506B2 (ja) (メタ)アクリル酸の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100223

A977 Report on retrieval

Effective date: 20120627

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120710

A521 Written amendment

Effective date: 20120906

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121002

A521 Written amendment

Effective date: 20121214

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

A911 Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Effective date: 20121227

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

A912 Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20130118