JP2008231053A - 蒸留方法及び炭酸ジエステルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とを原料として炭酸ジエステルを合成する工程で得られた反応液から未反応芳香族モノヒドロキシ化合物を含む留出物を留去した後、留出物を芳香族モノヒドロキシ化合物の融点以下の温度で運転する熱交換器16aに導入し、さらに凝縮液Lの一部を熱交換器16aの上流側に循環させる。
【選択図】図2
Description
蒸留操作は、所定の蒸留塔に混合液を供給し、通常、塔頂から留出する低沸点成分を、所定の熱交換器等により冷却し、凝縮液として回収する。また、塔底から回収された高沸点成分は、必要に応じて、さらに他の蒸留塔に供給され、蒸留操作が繰り返される。
例えば、前述したジフェニルカーボネートの合成反応により得られた反応液を蒸留すると、未反応フェノールやジフェニルカーボネートの一部が蒸留塔の塔頂から留出する。これらの成分を含む留出物を凝縮する場合、蒸留塔や熱交換器の運転条件の変動によっては、熱交換器の内部で未反応フェノール等が固化する虞が考えられる。
即ち、本発明の目的は、高融点成分を含む留出物の蒸留方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、未反応フェノール等が含まれる反応液を蒸留する工程を有する炭酸ジエステルの製造方法を提供することにある。
ここで、本発明が適用される蒸留方法において、熱交換器により凝縮した留出物の凝縮液の一部を熱交換器の上流側に循環させることが好ましい。
また、蒸留塔を減圧下で運転することが好ましい。
また、留出物を凝縮するために使用する熱交換器は、留出物に含まれる成分のいずれの融点より高温の流体を熱交換器に供給する配管を備えることが好ましい。
また、本発明は、芳香族ヒドロキシ化合物又は炭酸ジエステルを含む留出物の蒸留に適用することができる。
さらに、熱交換器としては、多管式熱交換器又はプレート式熱交換器を用いることが好ましい。
また、熱交換器は、20℃以下の冷媒を用いて留出物を凝縮することが好ましい。
本実施の形態では、芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物を用いる炭酸ジエステルの製造プロセスにおいて使用される蒸留塔及び熱交換器を例に挙げて本発明を説明する。
初めに、炭酸ジエステル及び炭酸ジエステルの製造プロセスについて説明する。
本実施の形態において使用する炭酸ジエステルとしては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
なお、A’上の置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜炭素数10のアルキル基、炭素数1〜炭素数10のアルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、ビニル基、シアノ基、エステル基、アミド基、ニトロ基等が例示される。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある。)、置換ジフェニルカーボネートが好ましい。これらの炭酸ジエステルは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。
次に、炭酸ジエステルの製造方法について説明する。
本実施の形態で使用する炭酸ジエステルは、芳香族モノヒドロキシ化合物及びカルボニル化合物を原料としてアルカリ系触媒の存在下の合成反応により製造される。
芳香族モノヒドロキシ化合物としては、芳香環に直接ヒドロキシ基が結合しているものであれば特に限定されず、例えば、アルキルフェノール類、アリールフェノール類、ハロゲン化フェノール類、ヘテロ原子を介してアルキル又はアリール基の結合したフェノール類等が挙げられる。具体的には、フェノール、クレゾール、ブチルフェノール等が挙げられる。中でも、フェノール(以下、PLと記すことがある。)が好ましい。
図1は、DPC製造プロセスの一例を説明する工程フロー図である。図1に示すように、DPCは、PL及びCDCとの反応を行わせるDPC反応工程と、DPC反応工程で得られた反応液から塩酸ガスを除く脱塩酸工程と、脱塩酸処理された反応液を中和及び水洗処理するDPC洗浄工程と、中和及び水洗処理された反応液を蒸留しDPCを留出させるDPC蒸留工程と、を経て製造される。
図1に示すように、DPC反応工程においては、原料であるPL及びCDCと、アルカリ系触媒としてピリジン(PRD)とが反応器11に導入され、DPC合成反応が行われる。PLは、予め加熱装置を備えた貯留タンク10で溶融状態に調製される。CDCは、一酸化炭素及び塩素を用いた合成反応により合成されている。PRDは、PLの供給配管の中途に供給される。
脱塩酸工程では、DPC反応工程で得られたDPCを含有する反応液aが脱塩酸塔12に送られて脱塩酸処理され、得られた脱塩酸処理液bはDPC洗浄工程に送られる。
尚、反応器11及び脱塩酸塔12で生じた塩酸ガス(D1)は、それぞれ、反応器11の気相部と脱塩酸塔12の塔頂とから回収され、塩酸吸収工程に送られる。さらに、塩酸吸収工程では、反応器11及び脱塩酸塔12で生じた塩酸ガス(D1)は、吸収塔31で水又は希塩酸に吸収されて濃塩酸の状態で貯留タンク32に貯蔵される。
DPC洗浄工程は、中和工程及び水洗工程から構成される。即ち、脱塩酸工程で得られた脱塩酸処理液bは、混合槽13に送られ、次いで、アルカリ中和槽14に送られる。アルカリ中和槽14では、アルカリ性水溶液(E1)を用いて脱塩酸塔12で除去しきれなかった塩酸が中和される(中和工程)。アルカリ中和槽14から排出される中和排水(D2)は、排水処理工程(図示せず)に送られ、含有する有効な有機成分を回収した後、活性汚泥処理に付される。
DPC蒸留工程では、先ず、水洗槽15で水洗処理された水洗処理液fが第1DPC蒸留塔16に送られ、水、未反応PL及びアルカリ系触媒等の複数成分を含有する混合ガスFと、DPCを含む高沸成分gとに分離される。尚、混合ガスFには、一部留去された微量のDPCが含まれている。続いて、第1DPC蒸留塔16の塔底から分離された高沸成分gが第2DPC蒸留塔17で再蒸留され、製品である精製されたDPCが第2DPC蒸留塔17の塔頂から蒸留分として回収される。
尚、混合ガスFは、第1DPC蒸留塔16の塔頂から回収され、各成分を分離して、反応系に再利用することができる。混合ガスFの凝縮操作については後述する。
回収蒸留工程では、第2DPC蒸留塔17におけるDPC蒸留残渣X1が、DPC回収蒸留塔18を用いて蒸留され、DPC含有回収液dが蒸留回収される。また、DPCのメチル置換体等が濃縮されたDPC回収蒸留残渣(X1’)が蒸留釜残側から回収される。
DPC回収蒸留塔18からの留出物であるDPC含有回収液dは、DPCを多く含むため、これを、混合槽13に送ることにより、ジフェニルカーボネート(DPC)の回収効率をより向上させることができる。
次に、前述したDPC蒸留工程において、第1DPC蒸留塔16において留去した混合ガスFの凝縮操作を例に挙げ、本実施の形態が適用される蒸留方法について説明する。
図2は、第1DPC蒸留塔16において留去した混合ガスFの凝縮プロセスを説明する図である。図2には、第1DPC蒸留塔16と、第1DPC蒸留塔16の塔頂から留去した混合ガスFを所定の冷却条件で凝縮する熱交換器16aと、熱交換器16aによって凝縮された凝縮液Lの一部を熱交換器16aの上流側に循環させる凝縮液循環配管170とが示されている。
さらに、第1DPC蒸留塔16の塔底から分離する高沸成分gを第2DPC蒸留塔17(図1参照)に送るための塔底ポンプ16dと、高沸成分gの一部を第1DPC蒸留塔16に還流させる際に経由するリボイラー16eとが設けられている。
尚、本実施の形態では、熱交換器16aには、混合ガスFに含まれる成分のいずれの融点より高温の流体(水蒸気:SM)を熱交換器16aに供給するための熱媒供給配管16a2が備えられている。
図2に示すように、前述した水洗槽15(図1参照)で水洗処理された水洗処理液fは、第1DPC蒸留塔16において蒸留され、未反応PL等を含む留出物とDPCを含む残りの成分とに分離される。本実施の形態では、水洗処理液fには、水(H2O)/アルカリ系触媒(ピリジン:PRD)/未反応フェノール(PL)/炭酸ジエステル(DPC)が含まれる。
本実施の形態では、熱交換器16aは、第1DPC蒸留塔16において留去した留出物である混合ガスF中に含まれる未反応PLの融点(凝固点:41℃)以下の温度で運転される。
・水(bp:22℃、Tm:0℃)
・PRD(bp:24℃、Tm:−42℃)
・PL(bp:84℃、Tm:41℃)
・DPC(bp:180℃、Tm:80℃)
このように、混合ガスFには、常温で固体状態であるPL(Tm:41℃)及びDPC(Tm:80℃)が含まれている。
そこで、本実施の形態では、熱交換器16aにおいて混合ガスF中に含まれる複数の成分(水/PRD/PL/DPC)を一段で凝縮するために、混合ガスF中に含まれる複数の成分の中、最も低沸点成分である水(bp:22℃(2.6kPa−abs))の沸点よりもさらに低温である20℃以下、好ましくは10℃以下の冷媒を熱交換器16aに供給することが好ましい。
尚、凝縮液Lの他の部分は、配管168及び配管171からなる還流ラインを介して第1DPC蒸留塔16にリサイクルされる。また、凝縮液Lの他の部分は、配管169を介して、例えば、脱水蒸留設備(図示せず)に送られ、各成分を分離した後、反応系に再循環することができる。
Claims (10)
- 少なくとも2種類の成分を留出させる蒸留方法であって、
蒸留塔から所定の条件で留出した前記留出物を熱交換器に導入し、
前記熱交換器を前記留出物中の少なくとも1つの成分の融点以下の温度で操作し、
前記熱交換器に導入した前記留出物の少なくとも一部を凝縮する
ことを特徴とする蒸留方法。 - 前記熱交換器により凝縮した前記留出物の凝縮液の一部を当該熱交換器の上流側に循環させることを特徴とする請求項1記載の蒸留方法。
- 前記蒸留塔を減圧下で運転することを特徴とする請求項1又は2に記載の蒸留方法。
- 前記留出物は、常温で固体状態である成分を含むことを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項に記載の蒸留方法。
- 前記熱交換器は、前記留出物に含まれる成分のいずれの融点より高温の流体を当該熱交換器に供給する配管を備えることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項に記載の蒸留方法。
- 前記留出物は、芳香族ヒドロキシ化合物又は炭酸ジエステルを含むことを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項に記載の蒸留方法。
- 前記熱交換器が、多管式熱交換器又はプレート式熱交換器であることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項に記載の蒸留方法。
- 芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物とを原料として炭酸ジエステルを合成する炭酸ジエステル合成工程と、
前記炭酸ジエステル合成工程において得られた反応液から、少なくとも未反応の前記芳香族モノヒドロキシ化合物を含む留出物を留去した後、当該反応液から前記炭酸ジエステルを蒸留する蒸留工程と、を有し、
前記蒸留工程において留去した前記留出物を、前記芳香族モノヒドロキシ化合物の融点以下の温度で運転する熱交換器に導入し、前記熱交換器により凝縮した凝縮液の一部を当該熱交換器の上流側に循環させる
ことを特徴とする炭酸ジエステルの製造方法。 - 前記炭酸ジエステル合成工程は、前記芳香族モノヒドロキシ化合物と前記カルボニル化合物との反応温度が50℃〜180℃であることを特徴とする請求項8に記載の炭酸ジエステルの製造方法。
- 前記熱交換器は、20℃以下の冷媒を用いて前記留出物を凝縮することを特徴とする請求項8又は9に記載の炭酸ジエステルの製造方法。
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