JP2002179617A - 高純度アクリル酸の製造方法及び高純度アクリル酸 - Google Patents
高純度アクリル酸の製造方法及び高純度アクリル酸Info
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Abstract
製造工程で用いられた水などを分離精製し、高純度のア
クリル酸を効率よく製造する方法を提供する。 【解決手段】 アルデヒド除去剤の添加による温度の上
昇を、液温で35℃以下に抑えたアクリル酸を蒸留し、
低沸点の不純物と、高沸点の不純物を除去して精製す
る。
Description
酸の製造方法に関し、詳しくは、アクリル酸の製造工程
で生ずる副反応生成物である酢酸やその他の不純物、製
造工程で用いられた水などを分離して、高純度に精製さ
れたアクリル酸を効率よく製造する方法に関するもの
で、化学品製造技術に属するものである。
を、酸化触媒及び水蒸気の存在下に高温を維持しなが
ら、分子状酸素で酸化することにより得られるが、この
とき副反応生成物として、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、
アクロレイン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、
二酸化炭素、一酸化炭素などが同時に生成される。
に気体状態であり、通常、水に接触させてアクリル酸水
溶液として補集される。この捕集されたアクリル酸は、
アクリル酸水溶液から抽出用の有機溶剤を使用してアク
リル酸有機溶剤溶液として抽出され、得られたアクリル
酸有機溶剤溶液に対して、脱溶剤のための蒸留を行い、
粗アクリル酸とすることができる。
リル酸水溶液に共沸溶剤を加え、共沸蒸留することによ
って脱水し、粗アクリル酸を得ることができる。
クリル酸ダイマーを始めとし、水、酢酸、プロピオン酸
及びアルデヒド類(フルフラール、ベンズアルデヒドお
よびアクロレインなど)などの不純物が含まれ、それら
の含有量は、通常、アクリル酸ダイマーが2〜10質量
%程度で、酢酸及びアルデヒド類がそれぞれ数百〜20
00ppmで、水分が数百〜数千ppm程度である。
は、その重合に際して、重合反応の遅延や重合度の低下
を招くほか、生成重合体が着色するなどという問題を生
じるため、一般的なアクリル酸の製造にあたっては、最
終的に前記粗アクリル酸をさらに蒸留などにより精製し
ている。
ば、各種の共沸剤を使用して精製する方法(特公昭46
−18966号公報;特公昭56−120633号公
報;特開昭60−38342号公報)、気液平衡データ
における特異点を利用する方法(特開平4−18765
7号公報)などが知られている。
デヒド類やケトン類を除去し精製するために、それらと
反応し、除去し易い化合物を形成させる物質(以下、ア
ルデヒド除去剤という。)を添加する方法も検討されて
いる。
ヒドラート又はヒドラジン誘導体を添加する方法(特公
昭58−37290号公報)、ヒドラジン化合物とジチ
オカルバミン酸を添加する方法(特開平7−22854
8号公報)、ヒドラジン鉱酸塩を添加する方法(特開平
10−204024号公報)などが知られている。
ポリアクリル酸ナトリウムの原料や各種共重合体の製造
用のモノマーとして広範囲に使用されており、用途によ
っては、不純物の含有量が厳しく制限されている。
クリル酸は、重合性に劣り、水分量も、用途によっては
極力少ないものが望まれている。
酸は、精製されたものでも水分量が400〜500ppm
のものが一般的であったが、前記のような理由により、
今日では水分量が300ppm以下のアクリル酸も必要と
されている。
要望に応えるために、従来から行われている分離精製工
程の見直しを行い、より高純度なアクリル酸を市場に供
給すべく鋭意検討を行った結果、粗アクリル酸などのア
クリル酸の液温をまずに十分に冷却し、これにアルデヒ
ド除去剤を添加し、添加後の液温を温度35℃以下に維
持した状態で、蒸留塔に供給し、低沸点の不純物と高沸
点の不純物を蒸留により除去することにより、アルデヒ
ド及び水分の含有量が著しく低減された高純度のアクリ
ル酸が得られることを見出し、この発明を完成させた。
求項1に記載の発明は、アルデヒド除去剤の添加による
温度の上昇を、液温で35℃以下に抑えたアクリル酸を
蒸留し、低沸点の不純物と、高沸点の不純物を除去する
ことを特徴とする高純度アクリル酸の製造方法である。
に記載の発明において、低沸点の不純物の除去を、塔底
の液温が、温度65℃以上に加温されている蒸留塔で行
なうことを特徴とする高純度アクリル酸の製造方法であ
る。
項1又は2に記載の発明において、製造される高純度ア
クリル酸に含まれる不純物が、水分で300ppm以
下、アルデヒド類で20ppm以下であることを特徴と
する高純度アクリル酸の製造方法である。
である水分が300ppm以下、アルデヒド類が20p
pm以下であることを特徴とする高純度アクリル酸であ
る。
造方法は、一般的なアクリル酸の製造工程において得ら
れる粗アクリル酸などを原料として用いるもので、通
常、粗アクリル酸中には、アクリル酸が90〜95質量
%含まれ、不純物としてはアクリル酸ダイマーが数質量
%、さらに水分、酢酸、フルフラール及びベンズアルデ
ヒド等がそれぞれ数百ppm程度含まれているが、この
発明においては、具体的には、水分量が300ppm以
下で、かつアルデヒド量が10ppm以下の高純度のア
クリル酸を得ることを目的にしている。
沸点の不純物は、蒸留により除去されるものであるが、
アクリル酸の蒸留前に、粗アクリル酸などの精製すべき
アクリル酸にアルデヒド除去剤を添加する。
などの蒸留塔への移送配管の途中に設けられたスプレー
ノズルを使用して行なわれ、その添加後、直ちにスタテ
ィックミキサーなどの混合装置によってアルデヒド除去
剤とアクリル酸が混合され、蒸留塔には、それらが均一
に混合された溶液として供給される。
ドラート又はヒドラジン誘導体などのヒドラジン化合
物、芳香族アミン、脂肪族アミン、ポリアミンなどのア
ミン、イミン、アミド類などが挙げられるが、これらは
液体のものであれば、純粋のものをそのまま添加すれば
良く、また必要により工程循環液で希釈した溶液として
添加しても良い。
は、粗アクリル酸などの精製すべきアクリル酸中に含ま
れるアルデヒド類の数倍〜10倍量である。
と、該除去剤とアルデヒド又はアクリル酸などとの反応
により発熱し、アクリル酸の温度が上昇するが、温度が
上昇したアクリル酸を、蒸留による不純物除去のために
蒸留塔に供給しても、目的とする純度の高いアクリル酸
を得ることはできないので、蒸留塔に供給するアクリル
酸は、その液温を温度35℃以下に抑えておく必要があ
る。
を、温度35℃以下に抑えておくためには、例えば、粗
アクリル酸を予め温度20〜25℃程度に冷却してお
き、アルデヒド除去剤を添加した後のアクリル酸の液温
(以下、管理液温という。)を温度35℃以下に抑える
という方法がある。
下、好ましくは温度30℃以下であるが、管理液温の下
限は、アクリル酸の融点が13℃であるため、アクリル
酸の固化を避けるために温度15℃以上とするのが好ま
しく、管理液温の管理は、例えば、スタティックミキサ
ーの出口における液温測定などによることが好ましい。
ラーなどの通常の熱交換器を用いて行うことが可能であ
る。
添加されたアクリル酸中に存在する低沸点の不純物と高
沸点の不純物を蒸留により除去するために、2基の蒸留
塔を使用するもので、第一の蒸留塔においては低沸点の
不純物、第二の蒸留塔においては高沸点の不純物がそれ
ぞれ除去される。
度65℃以上、より好ましくは温度65〜75℃に維持
することが好ましく、この液温が温度65℃未満である
と、たとえ第一の蒸留塔の缶液(低沸点不純物の除去さ
れたアクリル酸)における水分量が300ppm以下で
あっても、第二の蒸留塔からの留出液(目的とする高純
度アクリル酸)における水分量が300ppmを上回る
おそれがあり、温度75℃を超えると、缶液中のアクリ
ル酸が重合反応を起こし易くなるので避けるのが好まし
い。
大きければ大きいほど不純物の除去効率が高いが、必要
以上に大きくすることは生産効率を低下させるので、こ
の発明においては、アクリル酸の精製のために蒸留塔を
2基使用し、各蒸留塔の段数を小さくすることができ、
第一の蒸留塔の段数としては、理論段数3〜5程度で対
応することができる。
に関して格別なものはないが、塔内において生じるアル
デヒド類とアルデヒド除去剤との反応物は、通常粘性を
有する泥状物であるから、シーブトレイのみの構造とす
るのが好ましい。
度65℃以上に維持して、水及びその他の低沸点化合物
を蒸留により除去するためには、それらの沸点(蒸気
圧)に応じて、塔底圧力は600〜700mmH2Oa
bs以下の減圧にする必要があり、塔内温度に応じて調
整される。
し、塔頂での温度は、通常塔底より温度5〜10℃低い
状態で維持される。
給液とし、その液温を減圧下に80〜90℃に維持しな
がら高沸点の不純物を分離除去するためのもので、アク
リル酸の精留に通常使用されている蒸留塔がそのまま使
用でき、塔内のトレイや充填物にも格別なものを使用す
る必要はないが、理論段数について言えば、4〜12段
程度の蒸留塔を使用するのが効率的であり好ましい。
熱によって重合し易い化合物で、特に、蒸留塔のような
高温で分子状酸素の存在が期待できない個所において
は、通常、重合防止剤が添加使用されており、この発明
においても、重合防止剤を添加使用するのが好ましい。
ミン、p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、ハイ
ドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、メチ
レンブルー、フェニル−β−ナフチルアミン、レゾルシ
ノールなどを挙げることができ、それらを単独で又は組
み合わされて用いられるが、この発明にとり好ましいも
のは、ハイドロキノンモノメチルエーテル及びフェノチ
アジンの二種を併用することで、これらの使用量及び混
合して使用する場合の混合割合は、公知の量又は割合を
適用すれば良い。
制限はなく、工程循環液の溶液の形で添加して使用する
こともでき、より具体的には、蒸留塔へ供給する粗アク
リル酸に直接、配管もしくは貯槽を利用して溶解するこ
とにより、また蒸留塔の還流液の一部を取り出して添加
溶解し、蒸留塔に戻すということでもよい。
り易い個所に対しては、重合防止剤を直接添加するのが
好ましく、重合防止剤溶液を、該当蒸留塔の中段など重
合が起こり易い個所に添加投入するのが好ましい。
第一の蒸留塔に至るまでの間、精製すべきアクリル酸の
液温を温度35℃以下に維持するもので、該期間におけ
るアクリル酸の液温が温度35℃を超えると、たとえ第
一の蒸留塔の缶液(低沸点不純物の除去されたアクリル
酸)における水分量が300ppm以下であっても、第
二の蒸留塔からの留出液(目的とする高純度のアクリル
酸)における水分量が300ppmを上回ることにな
る。
温が、温度40℃の場合、他の条件にも左右されるが、
第二の蒸留塔の留出液として得られるアクリル酸には3
50〜400ppm程度の水分が含まれるが、その理由
としては、該期間における粗アクリル酸の液温が、温度
35℃を超えた場合、アルデヒド除去剤とアクリル酸に
よる中和反応が相対的に多く起こり、かかる中和反応物
が第二の蒸留塔で加熱されることにより、新たな水分を
生成しているためでないかと推測する。
る塔底液の液温を、温度65℃以上、特に温度65〜7
5℃に維持することにより、第二の蒸留塔において水分
を生成すると推測されるアルデヒド除去剤と、アクリル
酸の中和物を第一の蒸留塔内で充分に分解させ、未分解
の中和物を第二の蒸留塔に送らずにすみ、水分量の低下
に寄与するものと推測される。
体的に説明する。
ン及びハイドロキノンモノメチルエーテルを合計量で約
3000ppm含有し、水分量が350ppmのアクリ
ル酸を熱交換器にて温度20〜25℃まで冷却した後、
それにアルデヒド除去剤として100%水加ヒドラジン
(水とヒドラジンとが等モルで付加したもの)を0.0
007質量%添加して、スタティックミキサーで混合撹
拌した。スタティックミキサーの出口での液温は、温度
28℃であった。得られた液を第一の蒸留塔へ塔頂より
供給した。第一の蒸留塔の運転条件は、留出率10%、
真空度400mmH2Oabsとし、リボイラーによる
加熱で蒸留した。この時の塔内温度は塔底で温度66
℃、塔中段で温度62℃、塔頂で温度58℃であった。
なお、第一の蒸留塔の段数は5段である。
段に送り、リボイラーによる加熱で蒸留した。この第二
の蒸留塔の運転条件は、留出率80%、真空度400m
mH 2Oabsとし、この時の塔内温度は塔底で温度9
5℃、塔中段で温度80℃、塔頂で温度63℃であっ
た。なお、第二の蒸留塔の段数は10段である。
間継続したが、蒸留塔内でのアクリル酸の重合は殆ど発
生せず、問題なく操業を行うことができ、得られるアク
リル酸中の水分は250ppm前後で推移し、アルデヒ
ド類は1ppm以下、若しくは検出限界以下で推移し
た。
途にも適用可能とするために、強く求められている、水
分が300ppm以下、アルデヒド類が20ppm以
下、より好ましくは10ppm以下、さらには1ppm
以下しか存在しない高純度アクリル酸を、アクリル酸製
造装置の長期にわたる連続運転により、定常的な製造を
可能とする。
Claims (4)
- 【請求項1】 アルデヒド除去剤の添加による温度の上
昇を、液温で35℃以下に抑えたアクリル酸を蒸留し、 低沸点の不純物と、高沸点の不純物を除去することを特
徴とする高純度アクリル酸の製造方法。 - 【請求項2】 前記低沸点の不純物の除去は、 塔底の液温が、温度65℃以上に加温されている蒸留塔
で行なうことを特徴とする請求項1に記載の高純度アク
リル酸の製造方法。 - 【請求項3】 前記製造された高純度アクリル酸は、 含まれる不純物が、水分で300ppm以下、アルデヒ
ド類で20ppm以下であることを特徴とする請求項1
又は2に記載の高純度アクリル酸の製造方法。 - 【請求項4】 不純物である水分が300ppm以下、
アルデヒド類が20ppm以下であることを特徴とする
高純度アクリル酸。
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