JP3997782B2 - (メタ)アクリル酸の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は(メタ)アクリル酸の製造方法に係り、特に、気相接触酸化により得られた粗(メタ)アクリル酸を連続蒸留精製することにより高純度の(メタ)アクリル酸を安定に製造する方法に関するものである。
【0002】
なお、本明細書において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタクリル酸との総称であり、そのいずれか一方でも良く双方でも良い。
【0003】
【従来の技術】
アクリル酸を気相接触酸化により製造する方法は、工業的製法として良く知られた方法である。そして、気相接触酸化によるアクリル酸の製造工程においては、フルフラール、ベンズアルデヒドなどのアルデヒド類や、マレイン酸及び無水マレイン酸、酢酸等のカルボン酸が副生することも良く知られている。
【0004】
近年、アクリル酸は紙おむつ等の高吸水性樹脂や食品添加剤などの原料としてその需要が増加しつつあるが、かかる用途においては高純度のアクリル酸が要求されている。即ち、不純物を除去せずに粗アクリル酸をアクリル酸重合体の原料として用いると、重合反応時に反応の遅延、重合度の低下、重合物の着色等の問題が生じる。
【0005】
このため、工業的には、蒸留によるアクリル酸の精製が行われる。しかしながら、気相接触酸化により得られた粗アクリル酸中の不純物を蒸留により除去することは容易ではない。
【0006】
従来、気相接触酸化で得られた粗アクリル酸から不純物を分離除去して高純度アクリル酸を製造する方法として、例えば、ヒドラジン類の存在下で蒸留を行う方法が知られている(特開昭49−30312号公報、特公昭58−37290号公報など)。しかし、この方法は、粗アクリル酸中のアルデヒドを除去することを主眼としており、マレイン酸及び/又は無水マレイン酸(以下、これらを合わせて「マレイン酸類」と称す。)の除去が不十分であった。
【0007】
また、特開平7−330659号公報にはヒドラジンと、アンモニアの共存下で蒸留する方法が記載されている。この方法は、マレイン酸類の除去に効果があるものの、添加したアンモニアが塔頂より留出するという問題があり、高純度アクリル酸の製造には不適当である。また、この公報の記載はバッチ処理の記載のみであり、商業的に高純度アクリル酸を連続的に得る方法に関しては、何ら記載がない。
【0008】
従って、これらの技術では、粗アクリル酸からマレイン酸類を含む不純物を十分に除去して、高純度のアクリル酸を連続的に製造することは容易ではないと考えられていた。
【0009】
一方、特開2001−316326号公報には、蒸留塔内のスラッジ生成を防止して高純度アクリル酸を連続的に製造する方法として、マレイン酸類の濃度が2000ppm以下の粗アクリル酸を高純度アクリル酸の原料として使用することが記載されている。しかしながら、原料の粗アクリル酸中のマレイン酸類の濃度を下げることは、粗アクリル酸を得る工程でマレイン酸を除去しなければならず、問題の本質的な解決には至っていない。また、アクリル酸製造工程においては、アクリル酸蒸留塔の釜残液よりアクリル酸を回収する工程などにおいて、アクリル酸中にマレイン酸類が留出し、結果としてアクリル酸製造プロセス内でのマレイン酸の蓄積が起こるため、工業的には、2000ppm以上のマレイン酸を含有した粗アクリル酸を原料として使用することができ、しかも高純度アクリル酸を安定に連続製造することができる経済性に優れた方法を開発することが望まれている。
【0010】
なお、メタクリル酸もアクリル酸と同様に気相接触酸化で製造されており、高純度メタクリル酸の製造においては、アクリル酸と同様の問題を抱えている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、接触気相酸化法で得られた粗(メタ)アクリル酸から、アルデヒド類、ケトン類、マレイン酸類等のジカルボン酸等の不純物を十分に除去して高純度(メタ)アクリル酸を製造する方法であって、蒸留塔内スラッジの生成を抑制して、長期連続運転が可能な経済性に優れた(メタ)アクリル酸の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法は、気相接触酸化により得られた粗(メタ)アクリル酸を、蒸留塔に供給してヒドラジン類の存在下に連続的に蒸留精製する(メタ)アクリル酸の製造方法において、該蒸留塔に供給する前の該粗(メタ)アクリル酸にヒドラジン類を添加して、(メタ)アクリル酸の融点以上50℃以下の範囲の温度及び10分以上の時間で反応させた後、該ヒドラジン類を添加して反応させた粗(メタ)アクリル酸とヒドラジンの反応混合物を60℃以上80℃未満の温度に加熱して該蒸留塔に供給することを特徴とする。
【0013】
即ち、本発明者らは、工業的に高純度アクリル酸を連続製造する上での従来の問題点を解決するために、脱アルデヒド剤、各種添加剤とその添加量、スラッジの生成やその熱安定性、精製アクリル酸中に残存する不純物量の関係などについて鋭意検討を重ねた結果、通常、マレイン酸類の濃度が2000ppm以上の粗アクリル酸を原料としてヒドラジン類と反応させた場合、固体が析出し、これを蒸留塔の側面に供給した場合、析出した固体による閉塞のために、連続蒸留が不可能であったが、蒸留塔側面に供給する前にヒドラジンと反応させた後、80℃未満の温度で加熱処理することで、ヒドラジンとの反応で一度除去したマレイン酸の再生成を抑制し、且つ、析出固体の均一溶液化が可能となり(即ち、30分静置しても沈殿の生成が確認されない状態)、商業規模での連続蒸留においても蒸留塔内でのスラッジの発生が抑制させることを見出した。本発明は、このような知見を基になされたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
なお、以下においては、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法を、アクリル酸の製造方法に従って説明するが、本発明はメタクリル酸の製造方法にもアクリル酸の製造の場合と全く同様に適用することができる。本発明をメタクリル酸の製造に適用する場合、粗メタクリル酸は、イソブチレン及び/又はt−ブチルアルコールの気相接触酸化により得られ、この粗メタクリル酸中には、粗アクリル酸と同様にアルデヒド類、ケトン類、マレイン酸類に加えシトラコン酸類が不純物として含まれる。
【0016】
本発明で精製対象となる粗アクリル酸は、気相接触酸化により得られる、不純物としてマレイン酸類等を含有するものであり、一般的には以下の製法により、工業的に製造される。
【0017】
即ち、固体触媒として、例えば酸化モリブデン系固体酸化触媒の存在下に、プロピレン及び/又はアクロレインを分子状酸素含有ガスと反応させて直接アクリル酸を製造する一段酸化法、或いは、酸化モリブデン系固体酸化触媒等の固体触媒の存在下に、まず第一の反応帯域でプロピレンと分子状酸素含有ガスとの反応でアクロレインを得、続く第二の反応帯域で、酸化モリブデン系固体酸化触媒等の固体触媒の存在下、アクロレインを分子状酸素と反応させてアクリル酸を得る二段酸化法によって、気相接触酸化反応生成ガスを得、この生成ガスを通常、吸収塔で水と向流接触させて粗アクリル酸水溶液とする。この粗アクリル酸水溶液を、例えばメチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどの有機溶剤で抽出してから蒸留するか、又はトルエン、酢酸ブチル、オクタンなどの共沸剤を添加して例えば塔底温度80〜100℃、圧力6.67〜20kPaの条件下で直接共沸脱水することによりアクリル酸含有液を得る。得られたアクリル酸含有液から更に、酢酸等の軽沸成分を除去し、この塔底液を更に蒸留して、粗アクリル酸を塔頂留分として得、二量体などの高沸点成分は塔底から抜き出す。
【0018】
本発明において高純度アクリル酸の原料として使用される粗アクリル酸は、この軽沸成分除去後の蒸留工程の塔頂成分であり、二量体などからのアクリル酸の回収を合わせると、この粗アクリル酸には、通常、不純物として、マレイン酸類や酢酸などのカルボン酸類、フルフラールやベンズアルデヒドなどのアルデヒド類、水などが含まれている。
【0019】
本発明の高純度アクリル酸製造工程に使用される粗アクリル酸としては、マレイン酸類の濃度が、2000ppm以上のものを用いるのが好ましい。なお、マレイン酸類濃度の上限値としては10000ppm、更に好ましくは5000ppmである。これ以上マレイン酸類を多く含むものを処理するためには、所要ヒドラジン類量が増大し、経済的ではない。なお、マレイン酸類濃度が2000ppm未満の粗アクリル酸を用いるためには、粗アクリル酸の製造工程においてアクリル酸とマレイン酸との分離精度を上げるために蒸留塔の段数を上げるか、アクリル酸二量体からのアクリル酸の回収を行う際に同時に塔頂から留出するマレイン酸量を低減するために、アクリル酸二量体を含む高沸物からのアクリル酸回収をやめ、全量廃棄としなければならないために経済的な損失が大きく好ましくない。
【0020】
本発明においては、蒸留塔側面に供給前の粗アクリル酸にヒドラジン類を添加し、粗アクリル酸中のマレイン酸類とヒドラジン類とを予め反応させてから蒸留精製を行う。この粗アクリル酸中のマレイン酸類とヒドラジン類との反応に用いる反応装置としては、必要な温度及び滞留時間を確保可能なものであればいずれのものを使用しても良く、例えば攪拌機付き反応槽や管型反応槽でも良い。反応温度はできるだけ低い温度が好ましく、具体的には、アクリル酸の融点以上50℃以下の範囲から選ばれる。反応時間としては10分以上で通常30分〜3時間程度滞留させることが好ましい。
【0021】
粗アクリル酸に添加するヒドラジン類としては、ヒドラジン及び/又はヒドラジンヒドラートをそのまま添加するのが好ましく、ヒドラジン類の添加量は、通常、粗アクリル酸中のフルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類及びマレイン酸類の総量に対し、0.1〜2倍モル、好ましくは0.5〜2倍モル、より好ましくは0.5〜1倍モルである。
【0022】
粗アクリル酸とヒドラジン類の反応混合物は、上記反応の後、蒸留塔に供給されるまでの間に加熱される。この加熱温度(以下「供給温度」と称す場合がある。)の上限値は80℃未満であるが、好ましい上限値は75℃である。また、供給温度の下限値は60℃であるが、好ましい下限値は62℃である。供給温度が60℃未満では、マレイン酸類とヒドラジン類との反応により生成した固体が析出してスラリー化し、これをそのまま蒸留塔に供給すると、蒸留塔内での堆積、スラッジ化の原因となるので好ましくなく、また、供給温度が80℃以上では、ヒドラジン類とマレイン酸類との反応で一旦生成した付加生成物から、逆反応によりマレイン酸が再発生し、このマレイン酸が蒸留塔塔頂より留出するようになる上に、熱的に不安定なアクリル酸の高温加熱による重合の問題も発生するため、好ましくない。
【0023】
ヒドラジン類と粗アクリル酸との反応液の加熱の方法は、内温が上記温度に設定可能であれば良く、特に制限はない。例えば、この反応液を熱交換器を用いて加熱した後、直接蒸留塔側面に供給すればよい。
【0024】
この反応液の加熱時間は、粗アクリル酸中のマレイン酸類の含有量にもよるが、反応液の内温が所定の温度に到達すれば、マレイン酸類とヒドラジン類との反応による黄色析出固体が消失し、均一溶液状となるため、加熱時間の終了を容易に確認することができるので、この消失の時間を加熱の終点とすれば良い。通常の場合、この加熱時間は、1時間もあれば十分である。これ以上の加熱時間は、ヒドラジン類との反応で除去したアルデヒド類の逆反応を併発するため、好ましくない。
【0025】
この加熱した反応液が供給される蒸留塔の操作条件は、蒸留原料の組成、回収率、留出アクリル酸の純度などにより異なるが、アクリル酸は易重合性化合物であるので、蒸留温度、圧力は極力低温、低圧となるように設定することが好ましい。具体的には、通常、塔底温度として60〜100℃、塔頂圧力としては1.33〜26.7kPaの範囲で選ばれる。
【0026】
本発明においては、蒸留の際に、不純物処理剤としてのヒドラジン類の他に、従来公知の重合防止剤、即ち、重合禁止剤及び/又は重合抑制剤を添加しても良い。重合防止剤としては、既に種々検討がなされている。重合防止剤の例としては、次のようなものが挙げられる。即ち、N−オキシル化合物としては、第3ブチルニトロオキシド、2,2,6,6−テトラメチル−4−ヒドロキシピペリジルー1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジル−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル、4,4’、4’’−トリス1−(2,2,6,6−テトラメチルピペリジノオキシル)フォスファイトが、フェノール化合物としては、ハイドロキノン、メトキノン、ピロガロール、カテコール、レゾルシンが、フェノチアジン化合物としては、フェノチアジン、ビス−(α―メチルベンジル)フェノチアジン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、ビス−(α−ジメチルベンジル)フェノチアジンが、銅系化合物としては、塩化第2銅、酢酸銅、炭酸銅、アクリル酸銅、ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅などの銅化合物が挙げられる。これらの重合防止剤は1種を単独で用いても良く、また、2種以上を組み合わせて用いても良い。これらの重合防止剤の添加量は、特に制限されないが、1〜1000ppm程度とすることが好ましい。
【0027】
本発明において、蒸留の方法は、特に制限されるものではなく、例えば、単蒸留、精密蒸留等の種々の方法を採用することができる。この蒸留は、バッチ式、連続式のいずれで行ってもよいが、工業的には、連続式で行うのが好ましい。また、蒸留装置についても、特に制限されない。
【0028】
一般に、蒸留塔内部にはトレイ、或いは充填物が使用される。蒸留塔に使用される充填物としては、例えば次のようなものがある。即ち、規則充填物としては、スルザー・ブラザース(株)製のスルザーパック、住友重機械工業(株)製の住友スルザーパッキング、住友重機械工業(株)製のメラパック、グリッチ(株)製のジェムパック、モンツ(株)製のモンツパック、東京特殊金網(株)製のグッドロールパッキング、日本ガイシ(株)製のハニカムパック、ナガオカ(株)製のインパルスパッキング等がある。不規則充填物としては、ノートン(株)製のインタロックスサドル、日鉄化工機(株)製のテラレット、BASF(株)製のポールリング、マストランスファー(株)製のカスケード・ミニ・リング、日揮(株)製のフレキシリング等がある。これら充填物のうち如何なるもの用いても良く、また2種類以上を組み合わせて使用しても良い。また、従来使用されているトレイとの組み合わせにも適応できる。
【0029】
蒸留塔に用いられるトレイとしては、ダウンカマーのある泡鐘トレイ、多孔版トレイ、バルブトレイ、スーパーフラックトレイ、マックスフラクストレイ等、ダウンカマーの無いデユアルトレイ等があり、これらのいずれを用いても良い。
【0030】
蒸留塔を構成する装置の材質は、アクリル酸を取り扱うためSUS304、SUS304L、SUS316、SUS316L、SUS317、SUS317L、SUS329J1、SUS329J4L等のステンレス鋼が好ましい。
【0031】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、何ら以下の実施例に限定されるものではない。
【0032】
なお、以下の実施例において各組成の分析は、ガスクロマトグラフィー法にて行っているが、マレイン酸はガスクロマトグラフィー分析工程の中で無水マレイン酸となり、両者の含有量を特定することができないことから、以下では、マレイン酸と無水マレイン酸の合計の含有量をマレイン酸類含有量とする。
【0033】
実施例1
気相接触酸化で得られた不純物としてフルフラール239ppm(重量)、ベンズアルデヒド238ppm(重量)、無水マレイン酸3300ppm(重量)を含む粗アクリル酸に、アルデヒド類、マレイン酸類の総モル数に対し、等倍モル相当のヒドラジンヒドラートを添加し、全液量として5000kg/hの流量で、反応温度20℃、滞留時間2時間となるよう管型反応器内を流通させた。アルデヒド類、マレイン酸類を除去処理後の反応液を配管から抜き出したところ淡黄色スラリー状態であった。このスラリー液を熱交換器を用いて内温が65℃となるよう加熱した。蒸留装置に供給前の反応液は黄褐色透明液であり、固体の析出は観察されなかった。この黄褐色透明液をそのまま充填塔蒸留装置へ送液して連続蒸留を行った。なお、熱交換器での加熱時間は、反応液の流通時間に相当し、約1分であった。
【0034】
連続蒸留は、塔底温度74℃で、供給液の99重量%を連続的に留出させ、留出液の一部を還流液として塔頂より還流比1.0で塔内に導入して行った。なお、連続蒸留に際しては、蒸留塔に導入される液量に対して、10重量ppmに相当するメトキノン(メトキシハイドロキノン)を、重合禁止剤として、該還流液に溶かして塔内に導入した。
【0035】
この蒸留塔の塔頂から留出液として得られた精製アクリル酸中のフルフラール、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類並びにマレイン酸類濃度は、いずれも1ppm以下であり、この条件で5ヶ月間安定に連続蒸留を実施することができた。
【0036】
比較例1
反応液の蒸留塔への供給温度を50℃としたこと以外は、実施例1と同様の条件にて蒸留を行った。蒸留塔供給前の反応液の一部を抜きとったところ、淡黄色スラリーのままであり、そのまま連続蒸留装置へ送液したところ、3ヶ月経過したところで塔内差圧の上昇により蒸留継続不可能となった。
【0037】
比較例2
反応液の蒸留塔への供給温度を85℃としたこと以外は、実施例1と同様の条件にて蒸留を行った。その結果、蒸留塔の塔頂液から流出液として得られた精製アクリル酸中のフルフラール濃度は5ppm、ベンズアルデヒド濃度は10ppm、また、マレイン酸類濃度は160ppmであり、高純度アクリル酸としては使用不可能であった。
【0038】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の(メタ)アクリル酸の製造方法によれば、気相接触酸化で得られる粗(メタ)アクリル酸中に、マレイン酸及び/又はシトラコン酸のような不純物が比較的多く含まれていても、連続蒸留精製時のスラッジの生成を抑制して、長期間安定に、不純物含有量の著しく少ない高純度(メタ)アクリル酸を製造することが可能となり、その工業的価値は極めて大きい。
Claims (3)
- 気相接触酸化により得られた粗(メタ)アクリル酸を、蒸留塔に供給してヒドラジン類の存在下に連続的に蒸留精製する(メタ)アクリル酸の製造方法において、
該蒸留塔に供給する前の該粗(メタ)アクリル酸にヒドラジン類を添加して、(メタ)アクリル酸の融点以上50℃以下の範囲の温度及び10分以上の時間で反応させた後、該ヒドラジン類を添加して反応させた粗(メタ)アクリル酸とヒドラジンの反応混合物を60℃以上80℃未満の温度に加熱して該蒸留塔に供給することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。 - 請求項1において、該ヒドラジン類を添加した粗(メタ)アクリル酸の反応時間を30分〜3時間とすることを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
- 請求項1又は2において、該ヒドラジン類を添加した粗(メタ)アクリル酸の反応装置として管型反応層を使用することを特徴とする(メタ)アクリル酸の製造方法。
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