JP5141058B2 - 高純度塩化水素ガスの製造設備、高純度塩化水素ガスの製造方法、高純度塩化水素ガス製造設備の運転方法 - Google Patents

高純度塩化水素ガスの製造設備、高純度塩化水素ガスの製造方法、高純度塩化水素ガス製造設備の運転方法 Download PDF

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Description

本発明は、高純度塩化水素ガスの製造設備等に関し、より詳しくは、塩化水素ガスを安定して供給可能な高純度塩化水素ガスの製造設備等に関する。
従来、芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法としては、ビスフェノール類とホスゲンとを直接反応させる界面法と、ビスフェノール類と炭酸ジエステルとをエステル交換反応により重縮合反応させる溶融法が知られている。中でも、エステル交換反応による溶融法は、界面法と比較して安価に芳香族ポリカーボネート樹脂を製造することができるという利点を有している。
溶融法において原料として使用するジアリールカーボネート等の炭酸ジエステルは、通常、フェノールと塩化カルボニル(COCl)とによる合成反応操作の後、所定の中和及び洗浄・蒸留処理を経て使用される。この合成反応時に副生物として生じる塩化水素は、所定の操作により回収され、吸収・放散処理を経て、塩化水素の酸化反応工程へ送られ、得られた回収塩素(Cl)は、その後、塩化カルボニル(COCl)の合成反応における原料として使用される(特許文献1参照)。
特開2004−345883号公報
ところで、炭酸ジエステルの製造プロセスでは、上述した副生塩化水素の吸収・放散処理により得られる塩化水素が、酸化反応工程における原料として安定的に供給されることが必要とされる。
しかし、例えば、副生塩化水素の吸収・放散処理設備を停止した後、再び稼動させる際には、定常運転に達するまでに一定時間の不安定な運転状態が続くという問題がある。
また、塩化水素の酸化反応工程等が緊急停止し、塩化水素の供給も停止せざるを得ない状況の場合、大量の塩化水素を除害設備で処理する必要が生じるという問題がある。
本発明は、このような副生塩化水素の吸収・放散処理設備の運転における課題を解決するためになされたものである。
即ち、本発明の目的は、塩化水素ガスの安定供給が可能な高純度塩化水素ガスの製造設備を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、塩化水素ガスを安定的に供給する高純度塩化水素ガスの製造方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、塩化水素ガスを安定に供給するための高純度塩化水素ガス製造設備の運転方法を提供することにある。
かくして本発明によれば、不純物を含む塩化水素ガスを液状媒体に吸収する塩化水素吸収装置と、塩化水素吸収装置により塩化水素ガスの濃度が高められた塩化水素含有液状媒体を加熱し、純度が高められた塩化水素ガスを放散する塩化水素放散装置と、を有し、塩化水素放散装置から放散される純度が高められた塩化水素ガスを塩化水素吸収装置の上流部に循環させる塩化水素循環配管を備えることを特徴とする高純度塩化水素ガスの製造設備が提供される。
ここで、本発明が適用される高純度塩化水素ガスの製造設備において使用する液状媒体として、水又は希塩酸が好ましい。
また、塩化水素放散装置としては、塩化水素ガスの濃度が高められた塩化水素含有液状媒体を蒸留する蒸留塔と、蒸留塔の塔底から得られる缶出液を塩化水素吸収装置における吸収用液状媒体として循環使用するための配管と、を有することが好ましい。
次に、本発明によれば、前述した高純度塩化水素ガスの製造設備において、塩化水素放散装置により放散される高純度塩化水素ガスの少なくとも一部を、塩化水素吸収装置に循環させることを特徴とする高純度塩化水素ガスの製造方法が提供される。
ここで、高純度塩化水素ガスの製造設備においては、塩化水素循環配管を介して循環させる高純度塩化水素ガスの量を調節することにより、高純度塩化水素ガスの製造設備による塩化水素ガスの製造量を制御することが好ましい。
さらに、本発明によれば、上述した高純度塩化水素ガスの製造設備において、塩化水素放散装置から得られる高純度塩化水素ガスの純度が所定値に達するまで、高純度塩化水素ガスの少なくとも一部を塩化水素吸収装置に循環させることを特徴とする高純度塩化水素ガス製造設備の運転方法が提供される。
ここで、塩化水素放散装置から得られる高純度塩化水素ガスの圧力が所定値を超える場合に、高純度塩化水素ガスの少なくとも一部を塩化水素吸収装置に循環させることが好ましい。
本発明によれば、塩化水素ガスを安定に供給することができる。
また、本発明によれば、塩化水素循環配管を介して循環させる高純度塩化水素ガスの量を調節することにより、高純度塩化水素ガスの製造量を精密に制御することができ、次工程から要求される量に応じた運転対応が可能となる。
また、次工程がレートダウン、あるいは、緊急停止となった場合でも、多量の塩化水素ガスを除害装置に送ることなく、本製造設備内で対応することが可能となり、自己完結型プロセスを達成することができ、安全性も向上する。
さらに、本設備の運転を立ち上げる際に、該運転が安定するまでの間、塩化水素ガスを本設備内で循環させることで、次工程に対して、供給を開始すると同時に、品質及び流量の安定した高純度塩化水素ガスが提供可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態(以下、発明の実施の形態)について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
(塩化水素)
本実施の形態で使用する塩化水素は、例えば、フェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物と塩化カルボニル(COCl)との反応によりジアリールカーボネートを合成する際に副生する塩化水素が挙げられる。上述したように、副生した塩化水素は、所定の操作により回収され、吸収・放散処理が施される。
以下、芳香族モノヒドロキシ化合物としてフェノール(以下、PLと略記する。)を使用し、カルボニル化合物として塩化カルボニル(CDC)を用いる、ジアリールカーボネートであるジフェニルカーボネート(DPC)の製造プロセスを例に挙げ、本発明を説明する。
(ジアリールカーボネート)
本実施の形態において使用するジアリールカーボネートとしては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
Figure 0005141058
ここで、一般式(1)中、A’は、置換されていてもよい1価のフェニル基である。2つのA’は、同一でも相互に異なるものでもよい。
ジアリールカーボネートの具体例としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
これらの中でも、ジフェニルカーボネート(以下、DPCと略記することがある。)が好ましい。これらのジアリールカーボネートは、単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
また、上記のジアリールカーボネートは、好ましくはその50モル%以下、さらに好ましくは30モル%以下の量を、ジカルボン酸又はジカルボン酸エステルで置換してもよい。
代表的なジカルボン酸又はジカルボン酸エステルとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸ジフェニル、イソフタル酸ジフェニル等が挙げられる。
(ジアリールカーボネートの製造方法)
次に、ジアリールカーボネートの製造方法について説明する。
本実施の形態で使用するジアリールカーボネートは、フェノール等の芳香族モノヒドロキシ化合物及びカルボニル化合物を原料としてアルカリ系触媒の存在下の反応により製造される。
カルボニル化合物としては、ジアリールカーボネートのカルボニル基を形成するものであれば特に限定されず、例えば、塩化カルボニル(ホスゲン、以下、CDCと記載することがある。)、一酸化炭素、炭酸ジアルキル等が挙げられる。中でも塩化カルボニル(ホスゲン)が好ましい。
また、アルカリ系触媒としては、ピリジン等が挙げられる。
合成反応の条件は特に限定されないが、芳香族モノヒドロキシ化合物としてフェノール(以下、PLと記すことがある。)を使用する場合は、常圧下でフェノールが溶融状態にある50℃〜180℃が好ましい。また、芳香族モノヒドロキシ化合物とカルボニル化合物との混合比(モル比)は、芳香族モノヒドロキシ化合物1モルに対して、通常、カルボニル化合物0.40モル〜0.49モルが好ましい。
本実施の形態で使用するジアリールカーボネートは、上述したように芳香族モノヒドロキシ化合物及びカルボニル化合物を原料としてアルカリ系触媒存在下で反応が行われる反応工程後、反応液を脱塩化水素処理し、さらに除去しきれない塩化水素をアルカリ性水溶液により中和処理して水洗する洗浄工程と、さらに、蒸留工程を経て製造される。以下、各工程について説明する。尚、以下、塩化水素を塩酸と称することがある。
(DPC製造工程)
図1は、DPC製造プロセスの一例を説明する工程フロー図である。図1に示すように、DPCは、PL及びCDCとの反応を行わせるDPC反応工程と、DPC反応工程で得られた反応液から塩酸ガスを除く脱塩酸工程と、脱塩酸処理された反応器を中和及び水洗処理するDPC洗浄工程と、中和及び水洗処理された反応液を蒸留しDPCを留出させるDPC蒸留工程と、を経て製造される。
また、図1には、DPC蒸留工程における蒸留残渣を再び蒸留する回収蒸留工程と、DPC蒸留工程から得られたDPCをフレーク状に成形するDPC固化工程と、脱塩酸工程で生じた塩酸ガスを回収処理する塩酸吸収放散工程とが示されている。
(DPC反応工程)
図1に示すように、DPC反応工程においては、原料であるPL及びCDCと、アルカリ系触媒としてピリジン(PRD)とが反応器11に導入され、DPC合成反応が行われる。PLは、予め加熱装置を備えた貯留タンク10で溶融状態に調製される。CDCは、一酸化炭素及び塩素を用いた合成反応により合成されている。PRDは、PLの供給配管の中途に供給される。
反応器11におけるDPC合成反応の反応条件は特に限定されないが、通常、PLが溶融状態にある50℃〜180℃、常圧下で行われる。また、PLとCDCの混合比(モル比)は、CDCの完全消費の観点から、通常、PL1モルに対して、CDC0.40モル〜0.49モルが好ましい。
(脱塩酸工程)
脱塩酸工程では、DPC反応工程で得られたDPC含有反応液aが脱塩酸塔12に送られて脱塩酸処理され、得られた脱塩酸処理液bはDPC洗浄工程に送られる。
尚、反応器11及び脱塩酸塔12で生じた塩酸ガス(D1)は、それぞれ、反応器11の気相部と脱塩酸塔12の塔頂とから回収され、塩酸吸収放散工程に送られる。塩酸吸収放散工程については後述する。
(DPC洗浄工程)
DPC洗浄工程は、中和工程及び水洗工程から構成される。即ち、脱塩酸工程で得られた脱塩酸処理液bは、混合槽13に送られ、次いで、アルカリ中和槽14に送られる。アルカリ中和槽14では、アルカリ性水溶液(E1)を用いて脱塩酸塔12で除去しきれなかった塩酸が中和される(中和工程)。アルカリ中和槽14から排出される中和排水(D2)は、排水処理工程(図示せず)に送られ、含有する有効な有機成分を回収した後、活性汚泥処理に付される。
アルカリ中和槽14で中和処理された中和処理液eは、水洗槽15に送られ、水(W)で水洗され(水洗工程)、続いて蒸留工程に送られる。尚、水洗槽15から排出される排水(D3)は、アルカリ中和槽14に供給されるアルカリ性水溶液(E1)を調製する際のアルカリ希釈剤として再利用することが可能である。
(DPC蒸留工程)
DPC蒸留工程では、先ず、水洗槽15で水洗処理された水洗処理液fが第1DPC蒸留塔16に送られ、水、PL及びアルカリ系触媒を含有する混合ガス(F)と、蒸留残渣gとに分離される。続いて、第1DPC蒸留塔16の蒸留残渣gが第2DPC蒸留塔17で再蒸留され、製品である精製されたDPCが第2DPC蒸留塔17の塔頂から蒸留分として回収される。
第2DPC蒸留塔17の塔頂から回収されたDPCはDPC固化工程において、溶融タンク19に貯蔵された後、溶融DPCがフレーカー20に供給され、フレーク状DPCとして回収される。
尚、混合ガス(F)は、第1DPC蒸留塔16の塔頂から回収され、各成分を分離して、反応系に再利用することができる。
第1DPC蒸留塔16における蒸留条件は、水、アルカリ系触媒、PLが蒸留され、DPCが残留する条件であれば特に限定されるものではなく、通常、圧力1.3kPa〜13kPaの範囲である。蒸留温度は、前述した圧力下での沸点となる。また、第2DPC蒸留塔17における蒸留条件としては、DPCが蒸留され、DPCより高沸の不純物が残留する条件であれば特に限定されるものではなく、通常、圧力1.3kPa〜6.5kPa、温度150℃〜220℃が好ましい。
(回収蒸留工程)
回収蒸留工程では、第2DPC蒸留塔17におけるDPC蒸留残渣X1が、DPC回収蒸留塔18を用いて蒸留され、DPC含有回収液dが蒸留回収される。また、DPCのメチル置換体が濃縮されたDPC回収蒸留残渣(X1’)が蒸留釜残側から回収される。
第2DPC蒸留塔17でのDPC蒸留残渣X1には、フェノール含有不純物であるメチルフェノール等が反応したDPCのメチル置換体等の他、DPCそのものも含まれる。このため、このDPC蒸留残渣X1を再び蒸留することにより、ジフェニルカーボネート(DPC)が回収される。
DPC回収蒸留塔18の蒸留条件としては、DPCが蒸留され、DPCより高沸の不純物が残留する条件であれば特に限定されるものではなく、通常、圧力1.3kPa〜6.5kPa、温度150℃〜220℃の範囲である。
DPC回収蒸留塔18からの留出物であるDPC含有回収液dは、DPCを多く含むため、これを、混合槽13に送ることにより、ジフェニルカーボネート(DPC)の回収効率をより向上させることができる。
(塩酸吸収放散工程)
次に、塩酸吸収放散工程について説明する。前述したように、PLとCDCとの反応によりDPCを合成する際に塩化水素ガスが副生する。副生する塩化水素ガスは、不純物として未反応のPLの他、原料CDC中の無機不純物や副反応生成物等種々の不純物を含有する。塩酸吸収放散工程では、これらの不純物を除去し、例えば塩酸酸化工程等の次工程で支障なく使用できる塩化水素ガスを調製する。
以下、DPC製造プロセスにおける塩酸吸収放散工程を例に挙げ、本実施の形態が適用される高純度塩化水素ガスの製造設備について説明する。
図2は、本実施の形態が適用される高純度塩化水素ガスの製造設備としての塩酸吸収放散工程の一例を説明する工程フロー図である。図2に示すように、副生塩化水素ガス等の吸収・放散処理が行われる高純度塩化水素ガスの製造設備は、DPC反応工程及び脱塩酸工程(図1参照)より回収された不純物を含む塩化水素ガスD1を液状媒体に吸収する塩化水素吸収装置と、塩化水素吸収装置により塩化水素ガス濃度が高められた濃塩酸D3を加熱し、純度が高められた塩化水素ガス(高純度HClガス)D9を放散する塩化水素放散装置と、を有している。
塩化水素吸収装置は、不純物を含む塩化水素ガスD1を液状媒体に吸収する塩化水素吸収塔31と、塩化水素吸収塔31において未凝縮の塩化水素ガスd1を一旦回収し、再び塩化水素吸収塔31に戻すための回収塔31aと、塩化水素吸収塔31により塩化水素ガス濃度が高められた塩化水素含有液状媒体D2を貯留する濃塩酸用タンク32と、を有している。尚、塩化水素吸収塔31や回収塔31aには、不浸透性グラファイト等の材料により形成されたものが好適に用いられる。
塩化水素放散装置は、塩化水素ガスの濃度が高められた濃塩酸D3を蒸留し高純度の塩化水素ガスを放散する塩化水素蒸留塔33と、濃塩酸D3を加熱する予熱器32bと、塩化水素蒸留塔33の塔頂から留出する塩酸ガスD4を凝縮する凝縮器33aと、塩化水素蒸留塔33を加熱すると共に、塩化水素蒸留塔33の塔底から排出され再び塩化水素蒸留塔33に戻される希塩酸D6の一部を加熱するためのリボイラー33bと、を有している。
また、塩化水素蒸留塔33の塔底から排出される希塩酸D6を冷却する希塩酸冷却器33cと、冷却された希塩酸D7を貯留する希塩酸用タンク35と、希塩酸用タンク35に貯留した希塩酸D8を塩化水素吸収装置における回収塔31aに送り、塩化水素吸収塔31の吸収用液状媒体として循環使用するための循環配管36とを備えている。
そして、本実施の形態では、塩化水素蒸留塔33から放散される純度が高められた塩化水素ガスの一部D9’を塩化水素吸収装置の上流部に循環させる塩化水素循環配管34が備えられている。
次に、図2に示す製造設備の運転方法について説明する。
先ず、不純物を含む塩化水素ガスD1は塩化水素吸収塔31の塔頂から常圧に保たれた濡れ壁式の塩化水素吸収塔31内に導入される。塩化水素吸収塔31内に導入された不純物を含む塩化水素ガスD1は、塩化水素吸収塔31の上部から供給される液状媒体に吸収され、塩化水素吸収塔31の塔底から塩化水素ガスの濃度が高められた塩化水素含有液状媒体D2として排出される。
ここで、塩化水素吸収塔31に供給される液状媒体としては、水又は希塩酸が好ましい。尚、希塩酸は、後述する塩化水素放散装置側から循環供給される。また、塩化水素吸収塔31は、冷却水WTにより温度30℃〜40℃程度に保持されている。
また、塩化水素吸収塔31は、不浸透性グラファイト製の内径22mmφの管路が複数本具備された塔であり、前記の吸収用液状媒体(水又は希塩酸)を1本当たりに15kg/hr以上、好ましくは30kg/hr以上で供給することが、塩化水素ガスの吸収面から好ましい。
塩化水素吸収塔31の塔底から排出された塩化水素含有液状媒体D2における塩化水素濃度は、通常、30重量%以上であり、好ましくは、塩化水素濃度が33重量%以上、より好ましくは35重量%以上である濃塩酸として回収され、濃塩酸用タンク32に貯留される。また、塩化水素含有液状媒体D2の温度は40℃程度である。
また、塩化水素吸収塔31において未凝縮の塩化水素ガスd1は、一旦、回収塔31aに供給され、後述するように塩化水素放散装置側から循環供給される希塩酸D8に吸収され、塩化水素吸収塔31に供給される(図2:d2)。このとき、塩化水素ガスD1中の不純物は回収塔31aで吸収されずに系外(VENT)へ排出される。
次に、濃塩酸用タンク32に貯留された濃塩酸(塩化水素濃度35%)D3は、ポンプ32aにより濃塩酸用タンク32から予熱器32bを介して塩化水素蒸留塔33の上部に供給される。濃塩酸D3の温度は、予熱器32bにより80℃程度に加熱される。
濃塩酸D3は塩化水素蒸留塔33において蒸留され、塩化水素蒸留塔33の塔頂から高純度(純度95重量%程度)の塩酸ガスD4が留出される。また、塩化水素蒸留塔33の塔底から希塩酸D6が排出される。
さらに、高純度の塩酸ガスD4は、凝縮器33aで約40℃まで冷却され、ガス相と凝縮水相とに分離され、分離された高純度塩化水素ガス(高純度HClガス:純度略100%)D9が得られる。尚、凝縮器33aにより分離された凝縮水相D5は、塩化水素蒸留塔33の上部に再び戻される。また、前記の高純度塩化水素ガスD9に凝縮水相ミストが含有しないように凝縮器33aの後ろにデミスター(図示せず)を設けることが好ましい。
ここで、塩化水素蒸留塔33における蒸留の条件は、通常、温度80℃〜150℃、好ましくは85℃〜140℃である。また、圧力は、0.2MPaG〜0.3MPaGである。本実施の形態では、塩化水素蒸留塔33はリボイラー33bを介して、蒸気により137℃に加熱されている。また、塩化水素蒸留塔33の塔頂から留出される高純度の塩酸ガスD4の温度は87℃程度である。
次に、塩化水素蒸留塔33の塔底から温度137℃に加熱されて排出される希塩酸D6は、予熱器32bにより温度85℃程度に冷却され、さらに希塩酸冷却器33cにより温度40℃程度に冷却された希塩酸(D7)が希塩酸用タンク35に貯留される。
また、塩化水素蒸留塔33の塔底から排出される希塩酸D6の一部は、リボイラー33bに送られ、再び、塩化水素蒸留塔33に供給される。
さらに、希塩酸用タンク35に貯留された希塩酸(濃度20%程度)D8は、ポンプ35aにより循環配管36を介して塩化水素吸収装置側の回収塔31aに循環供給され、塩化水素吸収塔31における吸収用液状媒体として循環使用される。
塩化水素蒸留塔33の塔底から排出される希塩酸D6における塩化水素濃度は、通常、25重量%以下であり、好ましくは、22重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
高純度塩化水素ガスD9の製造量は、塩化水素蒸留塔33に供給される濃塩酸D3中の塩化水素濃度と、塩化水素蒸留塔33の塔底から排出される希塩酸D6中の塩化水素濃度との濃度差に依存する。従って、希塩酸D6中の塩化水素濃度が低いほど、高純度塩化水素ガスD9の生産性が高くなり好ましい。
しかしながら、希塩酸D6中の塩化水素濃度をさらに低くするには、温度を上昇させる必要があり、不浸透性グラファイト製の蒸留塔では有効ではない。このため、希塩酸D6中の塩化水素濃度は、通常、18重量%以上、好ましくは19重量%以上である。
逆に、希塩酸D6中の塩化水素濃度が過度に高いと、換言すると、塩化水素の留出率が過度に低い場合は、高純度塩化水素ガスD9を所定量生産するために、多量の濃塩酸D3を供給する必要があり、経済性に欠けたプロセスとなる。
本実施の形態では、塩化水素放散装置により放散された高純度塩化水素ガス(純度略100%)D9の少なくとも一部が、塩化水素吸収装置の上流部に循環させることに特徴を有している。
即ち、図2に示すように、塩化水素蒸留塔33の塔頂から留出され、且つ、凝縮器33aにより分離された高純度塩化水素ガス(純度略100%)D9の少なくとも一部が、塩化水素循環配管34により塩化水素吸収塔31の上流部に循環供給される。
本実施の形態では、例えば、以下のような場合に、塩化水素放散装置により得られた高純度塩化水素ガス(純度略100%)D9の少なくとも一部が、塩化水素循環配管34により塩化水素吸収装置側に循環供給される。
(ケース1)
塩化水素循環配管34を介して循環させる高純度塩化水素ガス(純度略100%)D9’の量を調節することにより、高純度塩化水素ガスD9’’の製造量を制御する。
例えば、次工程として塩酸酸化工程等に高純度塩化水素ガスD9’’を供給する場合は、塩酸酸化工程から要求される量に応じて、塩化水素循環配管34に循環させる高純度塩化水素ガスD9’の量が調節される。
また、次工程のプロセスが緊急停止となり、高純度塩化水素ガスD9’’の供給を停止する必要が生じた場合、多量の高純度塩化水素ガスD9を除害装置に送ることなく、塩化水素循環配管34により循環させることにより、製造設備内で対応することが可能となる。このように、塩化水素循環配管34を設けることにより、自己完結型プロセスを達成することができ、安全性が向上する。
(ケース2)
高純度塩化水素ガス製造設備の運転を立ち上げる際に、塩化水素蒸留塔33から得られる高純度塩化水素ガスD9の純度が所定値に達するまで、より具体的には、塩化水素蒸留塔33より留出する塩酸ガスD4の組成が安定するまで、換言すれば、塩化水素蒸留塔の塔頂の温度及び圧力が所定値に達するまで、高純度塩化水素ガスD9を塩化水素吸収塔31に循環させる。
製造設備の運転が安定するまで高純度塩化水素ガスD9を製造設備内で循環させることにより、次工程に対し、品質及び流量が安定した高純度塩化水素ガスD9を供給することが可能となる。
(ケース3)
塩化水素蒸留塔33から得られる高純度塩化水素ガスD9の圧力が所定値を超える場合に、高純度塩化水素ガスD9の一部を塩化水素吸収塔31に循環させる。
従来は、次工程の運転レートダウン又はトラブル等で高純度塩化水素ガスD9’’の供給を急激に減少させる必要が生じた場合は、多量の高純度塩化水素ガスD9を一気に除害装置で処理する必要が生じたが、塩化水素循環配管34を設けることにより、このような操作が不要となり、安全性が向上する。
DPC製造プロセスの一例を説明する工程フロー図である。 本実施の形態が適用される高純度塩化水素ガスの製造設備としての塩酸吸収放散工程の一例を説明する工程フロー図である。
符号の説明
10…貯留タンク、11…反応器、12…脱塩酸塔、13…混合槽、14…アルカリ中和槽、15…水洗槽、16…第1DPC蒸留塔、17…第2DPC蒸留塔、18…DPC回収蒸留塔、19…溶融タンク、20…フレーカー、31…塩化水素吸収塔、32…濃塩酸用タンク、33…塩化水素蒸留塔、34…塩化水素循環配管、35…希塩酸用タンク、36…循環配管

Claims (7)

  1. 不純物を含む塩化水素ガスを液状媒体に吸収する塩化水素吸収装置と、
    前記塩化水素吸収装置により前記塩化水素ガスの濃度が高められた塩化水素含有液状媒体を加熱し、純度が高められた塩化水素ガスを放散する塩化水素放散装置と、を有し、
    前記塩化水素放散装置から放散される純度が高められた前記塩化水素ガスを前記塩化水素吸収装置の上流部に循環させる塩化水素循環配管を備えることを特徴とする高純度塩化水素ガスの製造設備。
  2. 前記液状媒体が、水又は希塩酸であることを特徴とする請求項1に記載の高純度塩化水素ガスの製造設備。
  3. 前記塩化水素放散装置は、
    前記塩化水素ガスの濃度が高められた前記塩化水素含有液状媒体を蒸留する蒸留塔と、
    前記蒸留塔の塔底から得られる缶出液を前記塩化水素吸収装置における吸収用液状媒体として循環使用するための配管と、を
    有することを特徴とする請求項1又は2に記載の高純度塩化水素ガスの製造設備。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高純度塩化水素ガスの製造設備において、
    前記塩化水素放散装置により放散される前記高純度塩化水素ガスの少なくとも一部を、前記塩化水素吸収装置に循環させることを特徴とする高純度塩化水素ガスの製造方法。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高純度塩化水素ガスの製造設備において、
    前記塩化水素循環配管を介して循環させる前記高純度塩化水素ガスの量を調節することにより、前記高純度塩化水素ガスの製造設備による塩化水素ガスの製造量を制御することを特徴とする請求項4に記載の高純度塩化水素ガスの製造方法。
  6. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高純度塩化水素ガスの製造設備において、
    前記塩化水素放散装置から得られる高純度塩化水素ガスの純度が所定値に達するまで、当該高純度塩化水素ガスの少なくとも一部を前記塩化水素吸収装置に循環させることを特徴とする高純度塩化水素ガス製造設備の運転方法。
  7. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の高純度塩化水素ガスの製造設備において、
    前記塩化水素放散装置から得られる高純度塩化水素ガスの圧力が所定値を超える場合に、当該高純度塩化水素ガスの少なくとも一部を前記塩化水素吸収装置に循環させることを特徴とする高純度塩化水素ガス製造設備の運転方法。
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