JP3817947B2 - エチレングリコールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はエチレンオキシドからエチレンカーボネートを経てエチレングリコールを製造する方法の改良に関するものである。本発明によれば繊維グレードのエチレングリコールを高収率で製造することができる。
【0002】
【従来の技術】
エチレンオキシドと二酸化炭素とを、カーボネート化触媒の存在下に反応させてエチレンカーボネートを生成させ、次いでこれを加水分解してエチレングリコールとするエチレングリコールの製造法は公知である。この反応の好ましい変法の一つとして、エチレンオキシドと二酸化炭素とを水の共存下に反応させて、エチレンカーボネートと共にエチレングリコールを生成させる方法も知られている。水の共存はエチレンオキシドの反応速度を著るしく向上させる。この変法によれば、ジエチレングリコール等の高沸点物の副生量が増加する欠点はあるが、生成したエチレンカーボネートを加水分解してエチレングリコールとする加水分解工程の負荷が大いに軽減される。このエチレンオキシドからエチレンカーボネートを生成させる反応の反応装置としては、気泡塔、プラグフロー反応器及びこの両者の組合せなどが提案されている(特開昭54−98765号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
エチレングリコールの主たる用途は、ポリエチレンテレフタレート製造と不凍液であるが、前者の用途には繊維用(ファイバーグレード)と称する高品質のものが要求される。しかしながら、エチレンカーボネートを経由して製造されたエチレングリコールは、ときとしてファイバーグレードの規格を満足しない。本発明者の検討によれば、その原因はエチレンオキシドからエチレンカーボネートを生成させるカーボネート化工程において、反応液が高温下に長時間さらされることによるものと考えられる。従って本発明はファイバーグレードの規格を満足させるエチレングリコールを、エチレンカーボネートを経由して製造する方法を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、エチレンオキシドと二酸化炭素とをカーボネート化触媒の存在下に反応させてエチレンカーボネートを含む反応液を生成させるカーボネート化工程と、反応液中のエチレンカーボネートを加水分解させることにより反応液をエチレングリコール水溶液に転換する加水分解工程と、エチレングリコール水溶液から蒸留により精製されたエチレングリコールとカーボネート化触媒を含む触媒液とを取得する蒸留工程とから成るエチレングリコールの製造方法において、カーボネート化工程を少なくとも第1気泡塔及び第2気泡塔から成る直列に接続された気泡塔群、並びにこの気泡塔群の後に接続されたプラグフロー反応器から成る反応装置を用いて下記の条件に従って行うことにより、ファイバーグレードの規格を満足するエチレングリコールを製造することができる。
【0005】
▲1▼ 第1気泡塔の底部にエチレンオキシド及び二酸化炭素を連続的に供給し、頂部から生成したエチレンカーボネートを含む液相と未反応の二酸化炭素を含む気相との気液混相流を取出して、第2気泡塔の底部に供給する。
▲2▼ 第2気泡塔以下の気泡塔は第1気泡塔よりも少なくとも10℃高い温度に維持し、かつ最後の気泡塔を除いてその頂部から生成したエチレンカーボネートを含む液相と未反応の二酸化炭素を含む気相とを気液混相流として取出して次の気泡塔の底部に供給する。
▲3▼ 最後の気泡塔から、気相と分離された液相を取出してプラグフロー反応器に供給するか、又は頂部から液相を気相との混相流として取出し、気液分離器で気液分離して得られた液相をプラグフロー反応器に供給する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明するに、本発明ではカーボネート化工程を、第1気泡塔、第2気泡塔及びプラグフロー反応器の少なくとも3基の直列に接続された反応器から成る反応装置を用いて行う。エチレンオキシドと二酸化炭素からのエチレンカーボネートの生成反応、並びにエチレンオキシド、二酸化炭素及び水からのエチレンカーボネート及びエチレングリコールの生成反応は、いずれも大量の反応熱の放出を伴うので、反応器としては反応液が激しく撹拌され、従って反応器内の温度の局部的不均一を最小限にすることのできる気泡塔が好適である。しかし気泡塔は内部が激しく撹拌される結果、エチレンオキシドの反応率を高くするのが困難である。エチレンオキシドの反応率を高めるには、反応温度を高くするか又は反応時間を長くしなければならない。しかし、いずれの方法も、前述のように、最終的に得られるエチレングリコールの品質を低下させるおそれがある。本発明では第1気泡塔及び第2気泡塔の少なくとも2基の気泡塔を直列に接続し、第1気泡塔に反応原料及び触媒を供給し、第1気泡塔の頂部から流出する生成したエチレンカーボネートを含む液相及び未反応の二酸化炭素を含む気相から成る気液混相流を第2気泡塔の底部に供給する。若し第2気泡塔の後に第3気泡塔が接続されている場合には、第2気泡塔の頂部から液相と気相から成る気液混相流を抜出して第3気泡塔の底部に供給する。第4気泡塔がある場合も同様にするが、設備費を低減させるため気泡塔の数は通常2〜3基であり、2基とするのが好ましい。このように複数基の気泡塔を用いることにより、1基の気泡塔を用いる場合に比して、より短い反応時間で同じ反応率に到達させることができる。
【0007】
本発明では更に第1気泡塔の反応温度を、第2気泡塔以下の気泡塔群の反応温度よりも少なくとも10℃低くする。本発明ではエチレンオキシドはその全量が第1気泡塔に供給されるので、第1気泡塔におけるエチレンオキシド濃度は第2気泡塔以下の気泡塔におけるよりも相当に高い。従って低い反応温度でも大きな反応速度でエチレンオキシドの反応を行わせることができる。第1気泡塔の反応温度を低くすることは、副反応を減少させ、かつ最終的に得られるエチレングリコールの品質を高くするという利点がある。第1気泡塔の温度は第2気泡塔以下の気泡塔の温度よりも20℃以上、特に30℃以上低くするのが好ましい。このような温度においても第1気泡塔における反応は十分に速い速度で進行させることができる。第1気泡塔においては、その出口におけるエチレンオキシドの反応率が50〜99.5%、特に80〜98%となるように反応させるのが好ましい。
【0008】
本発明では前述の如く反応装置に供給するエチレンオキシドはその全量を第1気泡塔に供給するが、二酸化炭素及び触媒も通常はその全量を第1気泡塔に供給する。所望ならば、これらの一部を第2気泡塔以下の気泡塔に供給することもできるが、通常はそれにより特別の利益を生ずることは無い。本発明の好ましい態様においては、反応装置に水を供給し、エチレンカーボネートと共にエチレングリコールを生成させる。水も通常はその全量を第1気泡塔に供給する。本発明では、前述の如く、第1気泡塔は第2気泡塔以下の気泡塔よりも低温で操作されるので、水の全量を第1気泡塔に供給しても、第1気泡塔における副反応の生成は著るしく抑制される。反応装置に供給するエチレンオキシドに対する二酸化炭素及び水のモル比は、通常はそれぞれ0.1〜5及び0.1〜10であり、好ましくはそれぞれ0.5〜3及び0.5〜5である。エチレンオキシド、二酸化炭素及び水は気泡塔の底部に供給する。これらはそれぞれ単独で供給してもよく、また他のものと一緒にして供給してもよい。
【0009】
カーボネート化触媒としては公知の任意のものを用いることができる。例えばアルカリ金属の臭化物又はヨウ化物(特公昭38−23175号公報)、アルカリ土類金属のハロゲン化物(米国特許第2,667,497号明細書)、アルキルアミン、第4級アンモニウム(米国特許第2,773,070号明細書)、有機スズ又はゲルマニウムもしくはテルル化合物(特開昭57−183784号公報)、第4級ホスホニウム(特開昭58−126884号公報)などが用いられる。好ましくは第4級アンモニウムハライド又は第4級ホスホニウムハライドを用いる。特に構成アルキル基が炭素数1〜4のアルキル基であるテトラアルキルホスホニウムハライド、例えばテトラブチルホスホニウムアイオダイドなどを用いるのが好ましい。これらはエチレンオキシドに対し通常モル比で1/1000〜1/20となるように第1気泡塔の底部に供給する。
【0010】
また、これらの第4級アンモニウムハライドや第4級ホスホニウムハライドにアルカリ金属塩を併用するのも好ましい。アルカリ金属塩としては炭酸塩、特にエチレングリコールに対する溶解度の大きい炭酸カリウムを用いるのが好ましい。なお、アルカリ金属ハロゲン化物など他のアルカリ金属塩を用いても、反応系内には高圧の二酸化炭素が存在するので、アルカリ金属はアルカリ金属炭酸塩として存在するものと考えられる。アルカリ金属塩を併用すると、高沸点物の生成が抑制され、かつ後続する加水分解工程において加水分解速度が増大する。アルカリ金属塩は主触媒である第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩に対し、モル比で0.01〜1となるように用いるのが好ましい。
【0011】
本発明では供給したエチレンオキシドの少なくとも99%、特に99.5%以上を気泡塔群で反応させるのが好ましい。最後の気泡塔の塔頂から流出する液相と気相との混相流は、気液分離器に供給して気相と液相とに分離する。気相は主として未反応の二酸化炭素から成っており、通常は冷却したのち圧縮機で加圧して第1気泡塔の底部に供給する。揮発性不純物の蓄積を防ぐため、気相の一部は系外に排出するのが好ましい。気液分離器から流出する液相は後続するプラグフロー反応器に供給し、溶解しているエチレンオキシドをエチレンカーボネート及び又はエチレングリコールに転換する。なお、最後の気泡塔から液相と気相とを分離して抜出し得る場合には、抜出した液相をそのままプラグフロー反応器に供給すればよい。
【0012】
本発明では上述の如くエチレンオキシドの大部分は気泡塔で反応させるが、気泡塔の特性上、最後の気泡塔から得られる液相中には少量のエチレンオキシドが溶解している。この液相をそのまま加水分解に供すると、エチレンオキシドの損失となる。プラグフロー反応器では、反応液中のエチレンオキシドの濃度が100ppm以下、特に20ppm以下となるように反応時間その他の反応条件を設定するのが好ましい。気泡塔及びプラグフロー反応器における反応条件は、反応温度は通常70〜200℃、好ましくは100〜170℃であり、反応圧力は通常5〜50kg/cm2 G、好ましくは10〜30kg/cm2 Gである。通常は反応圧力は反応装置全体を通してほぼ同一であり、また反応温度も第1気泡塔が少なくとも10℃低い以外は反応装置全体を通してほぼ同一である。
【0013】
前述の如くエチレンオキシドからのエチレンカーボネート及びエチレングリコールへの反応は、多量の反応熱の発生を伴う発熱反応なので、エチレンオキシドの反応が盛んな気泡塔では、所望の反応温度を維持するために、除熱操作を要する。除熱の好ましい態様の一つは、気泡塔の上部から反応液を抜出し、要すれば気液分離器で同伴している気相を分離したのち、冷却器で冷却して気泡塔の底部に戻す外部循環方式による除熱である。冷却器としては常用の多管式熱交換器を用いればよい。なおプラグフロー反応器では発生熱が少いので、通常は除熱操作は必要としない。
【0014】
プラグフロー反応器から流出する反応液は、加水分解装置に供給して反応液中のエチレンカーボネートをエチレングリコールに加水分解する。この加水分解は常法により行うことができる。好ましくは加水分解装置としては複数の加水分解槽を直列に接続したものなど、反応液の流れの方向に沿って複数の区画に区分されているものを用い、加水分解装置内における反応液の流れができるだけプラグフローに近づくようにする。また、加水分解を促進するため、反応液の流れに沿って出口に近づくほど温度を上昇させたり、圧力を低下させたりするのも好ましい。加水分解の温度は通常80〜200℃、好ましくは100〜180℃である。加水分解温度が高過ぎると、最終的に得られるエチレングリコールの品質が低下するおそれがある。また圧力は、反応液が沸騰しない範囲で任意に設定すればよい。加水分解はエチレンカーボネートが実質上完全に消滅するまで行うのが好ましい。
【0015】
加水分解装置から流出したエチレングリコール水溶液からは、蒸留により精製されたエチレングリコールとカーボネート化触媒を含む触媒液とを取得する。前者は製品であり、後者は触媒として反応装置に供給する。好ましくはこの蒸留は特願平10−364504号に記載の脱水蒸留−触媒分離−精密蒸留の各段階を経て行う。この方法ではエチレングリコール水溶液を先ず脱水蒸留塔で減圧蒸留して水を留去し、脱水された加水分解液を取得する。次いでこの脱水された加水分解液を蒸発装置に供給して、エチレングリコール及びジエチレングリコール等の高沸点物の大部分を減圧下に蒸発させ、蒸発残渣として主として触媒及びエチレングリコールから成り、少量の高沸点物を含む触媒液を取得して反応装置に循環する。この方法によれば、蒸発装置から高温の蒸発物が得られるので、これからの熱回収が容易である。また、蒸発装置で高沸点物の大部分が蒸発するので、反応系内に高沸点物が蓄積するのを回避できる。更に供給する熱量を制御することにより、蒸発残渣として得られる触媒液の組成や濃度を調節することもできる。
【0016】
エチレングリコール及び高沸点物から成る蒸発物は熱交換器で凝縮させて精留塔に供給し、減圧蒸留して塔頂から精製されたエチレングリコールを取得する。精留塔の操作条件によっては、塔底から流出する蒸留残渣は回収塔で蒸留してエチレングリコールを留出させて精製塔に循環する。蒸留残渣は燃料として用いられるが、所望ならばこれを蒸留してジエチレングリコール等を回収することもできる。
【0017】
【実施例】
以下に実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
それぞれ直径20cm、有効高さ200cmの第1気泡塔及び第2気泡塔、気液分離器、並びに直径6cm、長さ200cmの管式反応器とを直列に接続して構成した反応装置を用いて、エチレンオキシド、二酸化炭素及び水からエチレンカーボネート及びエチレングリコールを含む反応液を生成させる。各気泡塔には外部循環方式の冷却装置が付設されている。
【0018】
第1気泡塔の底部に、エチレンオキシドを62kg/Hr、二酸化炭素を140kg/Hr、水を50kg/Hr及び触媒のテトラブチルホスホニウムアイオダイドを2.8kg/Hr、更に炭酸カリウムを0.11kg/Hrで連続的に供給する。なおテトラブチルホスホニウムアイオダイド及び炭酸カリウムはエチレングリコールに溶解して、前者を約47(重量)%、後者を約1.9重量%含む溶液として供給する。第1気泡塔の頂部から流出する気液混相流は第2気泡塔の底部に流入させ、第2気泡塔の頂部から流出する気液混相流は気液分離器に流入させる。気液分離器の液相は管式反応器に供給し、気相は冷却したのち、新しく供給される二酸化炭素と一緒にして、圧縮機を経て第1気泡塔の底部に循環する。第1気泡塔の温度は110℃、第2気泡塔の温度は150℃に維持する。管式反応器は断熱材で被覆するだけで温度制御は行わないが、発熱量が少ないので温度はほぼ150℃に維持される。また気液分離器の圧力は20kg/cm2 Gに維持する。気泡塔群及び管式反応器の圧力は特に制御はしないが、圧力降下は殆んど無いと考えられるので、反応系全体を通して圧力は20kg/cm2 Gと考えて差支えない。第1気泡塔におけるエチレンオキシドの反応率は約95%であり、第2気泡塔の出口におけるエチレンオキシドの反応率は約99.5%である。管式反応器の出口における反応液中のエチレンオキシドの濃度は約70ppmである。
【0019】
管式反応器から流出した反応液は、加水分解装置に連続的に供給して加水分解する。加水分解装置は直列に接続された第1槽及び第2槽から成っており、各槽には水蒸気を吹込んで第1槽は3.5kg/cm2 G、150℃、第2槽は1.8kg/cm2 G、150℃に維持する。加水分解槽での滞留時間は約1時間であり、加水分解装置から流出するエチレングリコール水溶液中にはエチレンカーボネートは実質上含まれていない(10ppm以下)。加水分解装置から流出するエチレングリコール水溶液から算出されるエチレングリコールの選択率は約99.1%に達する。この水溶液は脱水蒸留塔に供給して、塔頂圧力82mmHg、塔底温度140℃で蒸留して、塔頂から水を留出させる。塔底から流出する脱水された反応液は、140℃、62mmHgに維持されている蒸発装置に供給してエチレングリコール及び高沸点物の大部分を蒸発させる。蒸発に必要なエネルギーは蒸発装置に付設のリボイラーで供給する。蒸発残渣として回収される触媒及び少量の高沸点物を含むエチレングリコール溶液(テトラブチルホスホニウムアイオダイドの濃度約47重量%)は触媒液として第1気泡塔に循環する。蒸発装置から流出する蒸発物は、熱交換器で凝縮させて熱回収したのち、精留塔に供給し、塔頂圧力52mmHg、塔底温度160℃で蒸留して、塔頂から精製されたエチレングリコールを留出させる。このようにして得られるエチレングリコールは高純度であり、ファイバーグレードの規格を満足する。若し上記の実施例において第1気泡塔の反応温度を150℃とする以外は上記と全く同様にしてエチレングリコールを製造すると、第2気泡塔出口におけるエチレンオキシドの反応率は約99.9%、管式反応器の出口における反応液中のエチレンオキシドの濃度は約10ppmと上記の実施例とほぼ同じであるが、加水分解装置から流出するエチレングリコール水溶液から算出されるエチレングリコールの選択率は約95.3%に低下する。また、精留塔の塔頂から得られるエチレングリコールは紫外部に吸収を有しており、ファイバーグレードの規格を満足しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する装置の1例のフローシートである。
【符号の説明】
1 第1気泡塔
2 第2気泡塔
3 プラグフロー反応器
4 第1加水分解槽
5 第2加水分解槽
6 脱水蒸留塔
7 蒸発装置
8 精留塔
9 気液分離器
10 熱交換器
11 気液分離器
12 熱交換器
13 気液分離器
14 冷却器
15 圧縮機
16 二酸化炭素供給管
17 エチレンオキシド及び水の供給管
18 水蒸気供給管
19 水蒸気供給管
20 触媒液循環管
Claims (6)
- エチレンオキシドと二酸化炭素とをカーボネート化触媒の存在下に反応させてエチレンカーボネートを含む反応液を生成させるカーボネート化工程と、反応液中のエチレンカーボネートを加水分解させることにより反応液をエチレングリコール水溶液に転換する加水分解工程と、エチレングリコール水溶液から蒸留により精製されたエチレングリコールとカーボネート化触媒を含む触媒液とを取得する蒸留工程とから成るエチレングリコールの製造方法において、カーボネート化工程を少なくとも第1気泡塔及び第2気泡塔から成る直列に接続された気泡塔群、並びにこの気泡塔群の後に接続されたプラグフロー反応器から成る反応装置を用いて下記の条件に従って行うことを特徴とする方法。
▲1▼ 第1気泡塔の底部にエチレンオキシド及び二酸化炭素を連続的に供給し、頂部から生成したエチレンカーボネートを含む液相と未反応の二酸化炭素を含む気相との気液混相流を取出して、第2気泡塔の底部に供給する。
▲2▼ 第2気泡塔以下の気泡塔は第1気泡塔よりも少なくとも10℃高い温度に維持し、かつ最後の気泡塔を除いてその頂部から生成したエチレンカーボネートを含む液相と未反応の二酸化炭素を含む気相とを気液混相流として取出して次の気泡塔の底部に供給する。
▲3▼ 最後の気泡塔から、気相と分離された液相を取出してプラグフロー反応器に供給するか、又は頂部から液相を気相との混相流として取出し、気液分離器で気液分離して得られた液相をプラグフロー反応器に供給する。 - 第1気泡塔の底部に、エチレンオキシド、二酸化炭素及び水を、エチレンオキシドに対する二酸化炭素のモル比が0.1〜5で、エチレンオキシドに対する水のモル比が0.1〜10となるように連続的に供給することを特徴とする請求項1記載の方法。
- 第1気泡塔出口におけるエチレンオキシドの反応率が50〜99.5%となるように反応を行わせることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
- 最後の気泡塔出口におけるエチレンオキシドの反応率が、直前の気泡塔出口におけるエチレンオキシドの反応率より高くかつ99%以上となるように反応を行わせることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
- 第1気泡塔及び第2気泡塔における反応温度の制御を、それぞれの気泡塔の上部から液相を抜出し、この液相を冷却器で冷却したのちそれぞれの気泡塔の底部に供給することにより行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
- カーボネート化反応を70〜200℃、5〜50kg/cm2 Gで行うことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
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