JP4380102B2 - ジメチルカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エチレンカーボネートとメタノールをエステル交換反応させてジメチルカーボネートを製造するにあたり、原料メタノールを、反応ユニット、ガス状メタノール回収ユニット及び液状メタノール回収ユニットの3ユニット間を循環させながら、効率的に反応させてジメチルカーボネートを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
これまでの、エチレンカーボネートとメタノールとのエステル交換反応の方法としては、回分反応と連続反応がある。反応器の形式としては、攪拌槽と連続流通式反応器が一般的であるが、その他に反応蒸留による方法も種々提案されている(特許第2529025号明細書、特公平7−68180、特開平9−176061、特開平9−183744、特開平9−194435、特開平5−213830、特開平9−278689号公報)。
理想的な反応蒸留においては、原料であるメタノール、エチレンカーボネートのいずれも転化率100%となり、反応蒸留塔の塔頂からジメチルカーボネート、塔底からエチレングリコールが得られるが、そのためには膨大な段数を必要とする。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような、従来のエステル交換反応によるジメチルカーボネートの製造方法においては、エステル交換反応が平衡反応であるため、攪拌槽や連続流通式反応器では原料転化率に限界がある。
また、反応蒸留では生成物を連続的に抜き出しながら反応を行うので原料転化率を向上させることができるが、低沸点生成物であるジメチルカーボネートを塔上部から留出させるためにエネルギーコストが大きくなる。さらに留出組成はジメチルカーボネートとメタノールの共沸混合物となるため、ジメチルカーボネートとメタノールを分離して未反応メタノールを反応蒸留塔にリサイクルする必要があり、そこでもエネルギーが必要であるという問題点があった。
即ち、本発明は、エチレンカーボネートとメタノールのエステル交換反応によりジメチルカーボネートを製造するに際し、低コストで製造できる反応器構造を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記問題点を解決するため、各種の検討を行った結果、エステル交換反応ユニットとガス状メタノール回収ユニット、液状メタノール回収ユニットを組み合わせて原料メタノールを循環使用しながら、生成物のジメチルカーボネートとエチレングリコールを液状で連続的に除去することにより、もう一つの原料であるエチレンカーボネートの転化率を容易に上げることができ、必要エネルギーの削減が可能となることを見いだし、本発明に至ったものである。また、本発明者は、原料エチレンカーボネートを抽出溶剤として使用することにより、ガス状メタノール回収ユニット中のジメチルカーボネート濃度を効果的に抑制できることを見出した。
【0005】
即ち、本発明の要旨は、エチレンカーボネートとメタノールからエステル交換反応によりジメチルカーボネートを製造する方法において、下記の3つのユニットを含む装置を用いること
(1)該エステル交換反応を行う反応ユニット
(2)反応ユニット又は液状メタノール回収ユニットから送られるガス状メタノールを液化して、反応ユニットに送るガス状メタノール回収ユニット
(3)反応ユニットから送られる液状反応混合物中のメタノールを気化して、反応ユニット又はガス状メタノール回収ユニットに送る液状メタノール回収ユニット
及び
上記ガス状メタノール回収ユニットには、原料エチレンカーボネートを抽出溶剤として供給し、メタノールを凝縮する前にジメチルカーボネートを抽出分離し、かつ、
上記液状メタノール回収ユニットから、生成ジメチルカーボネートを副生エチレングリコール、未反応エチレンカーボネートとともに、液状で抜き出すこと
を特徴とするジメチルカーボネートの製造方法に存する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明方法は、エチレンカーボネートとメタノールのエステル交換反応を行う反応ユニットと、ガス状で残存する未反応メタノールを液化して反応ユニットに戻すガス状メタノール回収ユニット、及び液状で残存するメタノールを気化させて反応ユニットに戻す液状メタノール回収ユニットの3ユニットを含む装置を使用する。また、本発明方法において、メタノールを反応ユニット、ガス状メタノール回収ユニット及び液状メタノール回収ユニット間を循環させながらエステル交換反応を行う態様は単一ではない。最も典型的態様は次の通りである。
反応ユニットの抜き出し液は液状メタノール回収ユニットに供給する。抜き出しガスがある場合はガス状メタノール回収ユニットに供給する。必要とあれば、抜き出し液をフラッシュ分離し、ガスをガス状メタノール回収ユニット、液を液状メタノール回収ユニットに供給してもよい。
ガス状メタノール回収ユニットでは、原料であるエチレンカーボネートを抽出溶剤とした抽出蒸留によりジメチルカーボネートを塔底に分離し、塔頂は高い還流比でメタノールを濃縮する。塔底液は反応ユニットに供給する。
液状メタノール回収ユニットでは、液状で残存するメタノールを炊き上げて反応ユニット、もしくはガス状メタノール回収ユニットに供給する。一方、液状メタノール回収ユニットから、生成ジメチルカーボネートを副生エチレングリコール、未反応エチレンカーボネートとともに、液状で抜き出す。
【0007】
反応ユニット
反応ユニットでは、エチレンカーボネートとメタノールとのエステル交換反応を行う。
該エステル交換反応は、下記式(1)で示される、液相の平衡反応であり、
【0008】
【化1】
【0009】
反応を促進するために、触媒の存在が好ましい。触媒は均一触媒、不均一触媒のいずれも使用することができるが、分離の簡易さを考慮すると不均一触媒を用いるのが望ましい。具体的には、官能基により変性したイオン交換樹脂、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の珪酸塩を含浸した無定型シリカ類、アンモニウム交換Y型ゼオライト、コバルトとニッケルとの混合酸化物等の触媒が使用される。
【0010】
反応ユニットの圧力は、任意に設定できるが、液相反応であることと原料メタノールの沸点が常圧で約65℃であることを考慮すると、1MPaA以上の加圧とするのが好ましい。反応ユニットの温度は、反応ユニットの圧力における、メタノールの沸騰温度以下から選択されるが、反応速度を考慮すると、できるだけ高い温度、例えば50〜180℃の範囲内が好ましい。メタノールとエチレンカーボネートのモル比は1〜5とするのが一般的であり、好ましくは1.5〜3である。このモル比が1未満ではエステル交換の転化率が低下し、一方5を超えると多量の未反応原料が系内に残留し、加熱・冷却等のエネルギーを多く要したり、リサイクル使用する場合の設備への負担が増す等の問題がある。さらに、反応は130kJ/モルの吸熱反応であるので、反応を維持するに十分な熱量を供給することが必要であり、具体的には、外套のような伝熱手段等によって供給される。反応ユニットは、また、反応蒸留部(添付の図2▲2▼参照)であってもよい。その場合、理論段数1〜20段、好ましくは5〜15段とすることが望ましい。また、操作条件は、生成物ジメチルカーボネートのほぼ全量が塔底から、液状で取得できるよう設定される。
原料メタノールは、液状で反応ユニットに供給する。なお、3つのユニットの配置によっては(添付の図2参照)、一部、液状メタノール回収ユニットで回収された、気化メタノールが供給されることもあるが、この気化メタノールは、反応ユニット中で気液接触して一部が液状となり、残部はガス状メタノール回収ユニットで液化・回収されて、反応ユニットに再び供給される。他方、原料エチレンカーボネートは、液状で、反応ユニットに直接供給することも可能ではあるが、通常、下記のガス状メタノール回収ユニットを経て反応ユニットに供給するのが好ましい(添付の図1及び図2参照)。
【0011】
ガス状メタノール回収ユニット
ガス状メタノール回収ユニットでは、反応ユニット又は液状メタノール回収ユニットから送られるガス状メタノールを液化して、反応ユニットに送る。ガス状メタノールの液化手段は特に制限はないが、該反応ユニット又は液状メタノール回収ユニットから送られるガス状メタノール中には、メタノールとの共沸組成分の、低沸点生成物であるジメチルカーボネートが含まれているので、沸点の違いによって分離できる手段、例えば蒸留塔形式の採用が好ましい。その場合、理論段数を1〜20段、好ましくは2〜15段とすることが望ましい。
さらに、該ガス状メタノール回収ユニットから、ジメチルカーボネートがガス状のまま逸出することのないよう、蒸留条件を選択することによって、必要エネルギーを低減することが好ましい。そのためには、該ガス状メタノール回収ユニットを抽出蒸留塔とするのがよい。すなわち、原料エチレンカーボネートを抽出溶剤として該ユニットに供給し、メタノールを凝縮する前にジメチルカーボネートを抽出分離することで、必要エネルギーを低減することができる。
該抽出蒸留塔の塔頂から抜き出される留出液は、純度の高いメタノールであって、特に精製手段を必要とすることなく、反応ユニットに戻すことができる。もちろん、留出液を抜き出さず、全還流で操作することもできる。この場合、液化されたメタノールは、原料であり抽出溶剤であるエチレンカーボネートともに、該抽出蒸留塔下部から反応ユニットへ供給される。
該ガス状メタノール回収ユニットの操作圧力は、反応ユニットと独立して設定することもできる。しかし、操作圧力を下げすぎると、メタノールの沸騰温度が低下し、凝縮に通常の冷却水を使用できなくなるので、50KPaA以上とするのが好ましい。
【0012】
液状メタノール回収ユニット
液状メタノール回収ユニットでは、反応ユニットから送られる液状反応混合物中のメタノールを気化して、反応ユニット又はガス状メタノール回収ユニットに送る。液状反応混合物中のメタノールの気化手段は特に制限はないが、該液状メタノール回収ユニットでは、メタノールの気化と同時に、液状反応混合物中に含まれるエステル交換反応生成物ジメチルカーボネート、エチレングリコール及び未反応エチレンカーボネートを液状で取得するために、沸点の違いによって分離できる手段、例えば蒸留塔形式の採用が好ましい。その場合、気化されたメタノールの濃縮部は、3ユニットの配置により、反応ユニット又はガス状メタノール回収ユニットが分担するので(添付の図2又は図1参照)、該液状メタノール回収ユニットは、濃縮段のない回収塔でよく、理論段数を3〜30段、好ましくは5〜20段とすることが望ましい。
該ユニットの操作圧力は、反応ユニットと独立して設定できるが、圧力が高くなると塔底の温度が上昇する。特に、塔底の温度が200℃を超えると、副生エチレングリコールの品質低下を招くため、操作圧力は200KPaA以下とするのが好ましい。なお、塔頂温度は、通常、操作圧力におけるジメチルカーボネートの沸騰温度以下となる。例えば、常圧(100kPa)では、75℃前後となる。
【0013】
各ユニットの配置
ガス状メタノール回収ユニット及び液状メタノール回収ユニットは、それぞれを濃縮部と回収部とする、1基の蒸留塔に統合することができる(添付の図1参照)。その場合、ガス状メタノール回収ユニットでは、液状メタノール回収ユニットから送られるガス状メタノールが液化される。具体的には、反応ユニットから抜き出した反応液は、該蒸留塔回収部(液状メタノール回収ユニット)上部に供給し、該蒸留塔濃縮部(ガス状メタノール回収ユニット)下部から抜き出した側流液を反応ユニットに供給する。この場合、メタノールの凝縮温度と塔底温度の制約で、操作圧力は常圧付近とするのが好ましい。
反応ユニット、ガス状メタノール回収ユニット及び液状メタノール回収ユニットを1基の蒸留塔に統合することもできる(添付の図2参照)。その場合、上段から順に、ガス状メタノール回収ユニット▲1▼、反応ユニット▲2▼、液状メタノール回収ユニット▲3▼を配置する。原料メタノールは、反応ユニット▲2▼に供給され、ここから抜き出した反応液は、液状メタノール回収ユニット▲3▼上部に供給される。該ユニットで気化したガス状メタノールは再び反応ユニットに達し、ここで気液接触しながら一部は反応して消費され、また一部は未反応のまま液状メタノール回収ユニット▲3▼へ戻る。残部はガス状のまま反応ユニットを通過し、ガス状メタノール回収ユニット▲1▼に達し、ここで凝縮して、反応ユニット▲2▼に再び供給される。この場合も、メタノールの凝縮温度と塔底温度の制約で、操作圧力は常圧付近とするのが好ましいが、このケースでは反応ユニットの圧力を他のユニットと独立して設定できないため、反応温度が低下する。
ガス状メタノール回収ユニットと液状メタノール回収ユニットを1基の蒸留塔として設置する場合(添付の図1参照)、塔の形式としてはスルザーパッキング、メラパック、MCパック等の規則充填物、又はIMTP、ラシヒリング等の不規則充填物を充填した充填塔、泡鐘塔、シーブトレイ、バルブトレイ塔を用いた棚段塔等、いずれの型式も用いることができる。また、反応ユニット、ガス状メタノール回収ユニット及び液状メタノール回収ユニットを1基の蒸留塔として設置する場合(添付の図2参照)も、ガス状メタノール回収ユニット▲1▼及び液状メタノール回収ユニット▲3▼については、上記と同様の塔形式の選択が可能である。なお、反応ユニット▲2▼は、反応蒸留部として、触媒を充填した棚段塔形式や充填塔形式とすることができる。
【0014】
以下、本発明を実施例について説明する。
【実施例1】
図1に示されるフローシート図に従い、第1塔と接続した反応ユニットにおいてエチレンカーボネート(EC)とメタノールのエステル交換反応を行い、エステル交換反応生成物であるジメチルカーボネート(DMC)及びエチレングリコール(EG)は、それぞれ、第2塔及び第3塔において分離取得した。
【0015】
(1)反応ユニット(固定床流通式反応器、触媒二酸化マンガン使用、反応温度130℃)には、新規EC及び回収ECが、回収メタノールと共に、第1塔濃縮部を経て供給され、また、新規メタノールは直接供給されて、エステル交換反応が行われた。また、この吸熱反応を維持するための熱は、反応器の外套を通じて供給された。
同図中、第1塔(理論段数22段、操作圧力98kPa、全還流)の濃縮部(理論段数6段)がガス状メタノール回収ユニットに相当し、回収部(理論段数16段)が液状メタノール回収ユニットに相当する。
すなわち、(2)ガス状メタノール回収ユニットでは、第1塔第1段目(濃縮部最上部)に供給されたECが、この濃縮部を流下する間に、同塔回収部から上昇してくるガス状メタノールと接触して抽出蒸留が行われる。第1塔第6段目(濃縮部最下部)まで流下してきた液は、接続配管を通してほぼ全量を反応ユニットへ送る。
また、(3)液状メタノール回収ユニットでは、反応ユニットから抜き出された液状反応混合物が、接続配管を通して第1塔第7段目(回収部最上部)へ供給され、この回収部を流下する間に、該混合物中のメタノールが全量共沸組成のDMCとともに気化回収されて、同塔濃縮部のガス状メタノール回収ユニットへと上昇し、残余の液状混合物(主として、エステル交換反応生成物DMC及びEGと未反応ECとからなる)は、第1塔塔底から缶出液として連続的に抜き出された。この第1塔缶出液は第2塔へ送る。
【0016】
第2塔(理論段数17段、操作圧力19kPa、還流比1.4)では、その第7段目に供給された第1塔缶出液を蒸留し、第2塔塔頂からDMCを分離取得した。第2塔缶出液は第3塔へ送る。
第3塔(理論段数15段、操作圧力8kPa、還流比3.5)では、その第5段目に供給された第2塔缶出液を蒸留し、第3塔塔頂からEGをECとの共沸混合物として分離取得した。第3塔缶出液として高純度のECが回収されるので、第1塔へ循環し原料として再使用する。
【0017】
上記各塔の操作条件で、メタノールの転化率((取得DMCモル数×2)/消費メタノールモル数)は100%、ECの転化率(取得EGモル数/消費ECモル数)は97%となり、DMC1kgを製造するに必要なエネルギーは、総量で6,627kJ(第1塔1,499kJ、第2塔933kJ、第3塔3,089kJ及び反応ユニット1,105kJ)であった。
【0018】
【実施例2】
図2に示されるフローシート図に従い、第1塔においてECとメタノールのエステル交換反応を行い、エステル交換反応生成物であるDMC及びEGを、それぞれ、第2塔及び第3塔において分離取得した。
【0019】
同図中、第1塔(理論段数32段、操作圧力297kPa、全還流)の上部(理論段数11段)▲1▼がガス状メタノール回収ユニットに相当し、中間部(理論段数10段)▲2▼が反応ユニット(棚段式触媒充填塔、触媒二酸化マンガン使用、反応温度95℃)に相当し、下部(理論段数11段)▲3▼が液状メタノール回収ユニットに相当する。
すなわち、第1塔では、新規EC及び回収ECは、ガス状メタノール回収ユニット▲1▼の上部(第1塔第2段目)から、また、新規メタノールは、反応ユニット▲2▼の上部(第1塔第12段目)から、それぞれ原料供給する。反応ユニット▲2▼から気化したガス状のメタノールは、共沸組成のDMCとともにガス状メタノール回収ユニット▲1▼へ連続的に上昇するが、ここを流下するECと接触し抽出蒸留が行われてDMCは全量凝縮・回収され、ECに伴われて反応ユニット▲2▼の上部(第1塔第12段目)に戻る。塔頂から留出したメタノールは全凝縮されて第1塔上部に返送される。
一方、反応ユニット▲2▼の下部から液状メタノール回収ユニット▲3▼の上部(第1塔第22段目)に達した液状反応混合物は、該ユニット▲3▼を連続的に流下する間に、メタノールが全量共沸組成のDMCとともに気化回収されて、反応ユニット▲2▼へと上昇する。残余の液状混合物(主として、エステル交換反応生成物DMC及びEGと未反応ECとからなる)は、第1塔塔底から缶出液として、連続的に抜き出された。この第1塔缶出液は第2塔へ送る。
【0020】
第2塔(理論段数17段、操作圧力16kPa、還流比1.4)では、その第7段目に供給された第1塔缶出液を蒸留し、第2塔塔頂からDMCを分離取得した。第2塔缶出液は第3塔へ送る。
第3塔(理論段数15段、操作圧力8kPa、還流比1)では、その第5段目に供給された第2塔缶出液を蒸留し、第3塔塔頂からEGをECとの共沸混合物として分離取得した。第3塔塔底からは、缶出液として高純度のECが回収されるので、第1塔へ循環し原料として再使用する。
【0021】
上記各塔の操作条件で、メタノールの転化率((取得DMCモル数×2)/消費メタノールモル数)は100%、ECの転化率(取得EGモル数/消費ECモル数)は94%となり、DMC1kgを製造するに必要なエネルギーは、総量で7,280kJ(第1塔5,252kJ、第2塔710kJ及び第3塔1,320kJ)であった。
【0022】
【比較例1】
図3に示されるフローシート図に従い、第1塔(反応蒸留塔)においてECとメタノールのエステル交換反応を行い、第2塔において未反応メタノールの回収を行い、エステル交換反応生成物であるDMC及びEGは、それぞれ、第3塔及び第1塔において分離取得した。
【0023】
原料の新規メタノール及び回収メタノールは、メタノール予熱器で気化した後、第1塔(棚段式触媒充填塔、触媒二酸化マンガン使用、反応温度65℃;理論段数42段、操作圧力101kPa、還流比8)下部の第32段目からガス状で供給し、原料ECは第1塔上部の第1段目から液状で供給し、エステル交換反応を行う。第1塔では、さらに、反応混合物の蒸留が行われ、塔頂からは、反応生成物DMCと未反応メタノールの共沸混合物を、塔底からは、反応生成物EGと未反応ECを、連続的に抜き出す。
【0024】
第2塔(理論段数20段、操作圧力101kPa、還流比0.93)では、その第15段目に供給された第1塔留出物(共沸混合物)を、ECを抽出溶剤として抽出蒸留を行い、塔頂から回収されるメタノールは第1塔へ循環再使用し、塔底から缶出液として得られるDMCとECの混合物は、分離のために第3塔へ送る。
第3塔(理論段数12段、操作圧力8kPa、還流比5)では、その第7段目に供給された第2塔缶出液を蒸留し、第3塔塔頂からDMCを分離取得した。塔底から缶出液として回収されるECは、第2塔へ循環し抽出溶剤として使用する。
【0025】
上記各塔の操作条件で、メタノールの転化率((取得DMCモル数×2)/消費メタノールモル数)は100%、ECの転化率(取得EGモル数/消費ECモル数)は99%となり、DMC1kgを製造するに必要なエネルギーは、総量で36,343kJ(第1塔25,515kJ、第2塔5,169kJ、第3塔1,818kJ及びメタノール予熱器3,840kJ)であった。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、エチレンカーボネートとメタノールのエステル交換反応によりジメチルカーボネートを製造するに際し、エステル交換反応を行う反応ユニットと、気体で残存する未反応メタノールを液化して反応ユニットに戻すガス状メタノール回収ユニット及び液体で残存するメタノールを気化させて戻す液状メタノール回収ユニットとを、適切に組み合わせることにより、簡素で効率的なプロセスを構成することができる。という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のフローシート図。
【図2】 実施例2のフローシート図。
【図3】 比較例のフローシート図。
Claims (9)
- エチレンカーボネートとメタノールからエステル交換反応によりジメチルカーボネートを製造する方法において、下記の3つのユニットを含む装置を用いること
(1)該エステル交換反応を行う反応ユニット
(2)反応ユニット又は液状メタノール回収ユニットから送られるガス状メタノールを液化して、反応ユニットに送るガス状メタノール回収ユニット
(3)反応ユニットから送られる液状反応混合物中のメタノールを気化して、反応ユニット又はガス状メタノール回収ユニットに送る液状メタノール回収ユニット
及び
上記ガス状メタノール回収ユニットには、原料エチレンカーボネートを抽出溶剤として供給し、メタノールを凝縮する前にジメチルカーボネートを抽出分離し、かつ、
上記液状メタノール回収ユニットから、生成ジメチルカーボネートを副生エチレングリコール、未反応エチレンカーボネートとともに、液状で抜き出すこと
を特徴とするジメチルカーボネートの製造方法。 - 反応ユニットが、固定床流通式反応器又は均一触媒液相反応器である請求項1に記載の製造方法。
- ガス状メタノール回収ユニットが、エチレンカーボネートを抽剤とする抽出蒸留塔である請求項1に記載の製造方法。
- ガス状メタノール回収ユニットが、理論段数1〜20段の蒸留塔である請求項1に記載の製造方法。
- 液状メタノール回収ユニットが、理論段数3〜30段の蒸留塔である請求項1に記載の製造方法。
- 液状メタノール回収ユニットが、濃縮段のない回収塔である請求項1に記載の製造方法。
- ガス状メタノール回収ユニットを濃縮部とし、かつ、液状メタノール回収ユニットを回収部とする蒸留塔を用いる請求項1に記載の製造方法。
- 上段から順に、ガス状メタノール回収ユニット、反応ユニット、液状メタノール回収ユニットを配置した蒸留塔を用いる請求項1に記載の製造方法。
- 反応ユニットが、理論段数1〜20段の反応蒸留部である請求項8に記載の製造方法。
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