JP2008226774A - 伝送媒体 - Google Patents

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徹 金城
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Abstract

【課題】伝送時の位相遅れが極めて少なく、振幅減衰減衰(電圧降下)も極めて少ない、信号劣化が従来と比して格段に少ない伝送媒体を提供する。
【解決手段】導電材料から成る直線状の第1と第2のラインL1、L2が平行に離隔配設され、導電材料から成る曲線状の第3のラインL3が、第1と第2のラインL1、L2にそれぞれ交互に一方向から絡まって第1と第2のライン方向に沿って第1の形状態様で巻回され、導電材料から成る曲線状の第4のラインL4が、前記第1と第2のラインに沿って第1の形状態様とは逆の形状態様で、第1と第2のラインにそれぞれ交互に一方向から絡まって巻回されて成る伝送媒体。
【選択図】図1

Description

本発明は伝送媒体に関し、特に信号伝送時の信号の位相遅れや振幅減衰(電圧降下)が極めて少ない伝送媒体に関する。
信号を伝送路を介して送信する場合には、伝送路のもつ抵抗成分やインダクタンス成分に起因して受信側で受信した信号は送信信号(入力信号)に対して電圧が降下し(振幅が減衰し)、また位相が遅れてしまって伝送特性が劣化することは避けられない。かかる位相遅れや電圧の低下を最小限にし、伝送特性を最良となるように伝送路の構成を設計することは最大の課題である。
特に、高周波信号の伝送時には、伝送路に存在する浮遊容量やインダクタンス、表皮効果や誘電損失等による損失や周波数分散等の影響が大きくなり信号劣化が著しくなって長距離伝送の場合には途中で信号増幅する中継器が必要になってしまう。
このような信号劣化による問題を改善するために、従来、送信側の送信波形を、予め損失による波形劣化を考慮し、その分を補償した波形とするためのイコライザを設ける構成が実用化されているがイコライザのためのコスト上昇、構成の複雑化が問題となる。また、信号を、信号劣化が著しい高周波成分と、劣化が少ない低周波数成分に分離して対応する提案もなされている。例えば、送信信号を、平面パターンが偏平なコの字形を呈する波形劣化補償部により低周波成分と高周波成分に分離する。つまり、高周波成分が、容量に対してインピーダンスが小さくなることを利用して、配線間容量を利用した高周波伝送経路を形成し、この高周波伝送経路により高周波成分を分離し、一方、低周波成分に関しては、その経路をコの字形導体線路で構成した低周波伝送線経路を用いて分離し、高周波伝送経路よりも所定量だけ長い低周波伝送線経路側に低周波成分を経由させることにより、高周波伝送経路との間に伝送の時間差を形成し、低周波成分よりも高周波成分を早く伝送することで、波形劣化を補償する(低周波成分よりも伝送速度が遅い高周波成分の遅れを距離差で補償する)。この結果を合成することにより信号波形劣化を補償している。かかる構成の波形劣化補償伝送路については特許文献1に開示されている。
特開2004−297538号公報
以上のような信号劣化は、集積回路の配線でも同様であり、例えば、ギガヘルツ以上のクロック周波数で動作する集積回路では配線のインダクタンス成分だけでなくリターン電流の経路としてのグラウンドの影響が大きくなり、つまり、低周波数領域では問題にならない浮遊容量やインダクタンスが高周波数領域では大きな問題となり、リターン電流は配線の周波数特性に強く依存してしまい、必ずしもグラウンドを通るとはかぎらない。その結果、伝送路を介して高周波数信号が伝送されるときには伝送特性が劣化し、出力端における更なる電圧レベルの低下や位相の遅れが生じてしまう。
上述したように、信号伝送路を伝送される信号品質は、伝送路自体のもつ抵抗成分、容量成分、インダクタンス成分の影響を受け、特に高周波伝送においては、これら成分の浮遊成分が大きな影響を及ぼすため信号の振幅減衰(電圧降下)、位相遅れ(遅延)が非常に大きくなり、伝送特性の評価パラメータとしてのアイパターンが大きく崩れてしまい、信号伝送の最大の課題となっている。
例えば、従来は、2本の伝送路を介して、本来は位相ずれのないそれぞれ異なる信号が異なる伝送特性で伝送される場合には、伝送路の伝送周波数特性の違いに起因して両信号に位相差が生じてしまう。これを補償するために、早い方の信号(位相遅れの少ない信号)を遅延器により遅延させて両信号の位相差を補償している。しかし、この方法は、わざわざ遅延時間の少ない信号の位相を、遅延の大きい信号の位相に合わせる必要があり、絶対的な信号伝送の高速化の方向には反するものである。
また、主に伝送路の抵抗成分に起因する振幅劣化(電圧降下)に対しては、対策がなく、伝送途中において中継器に内蔵させた増幅器で振幅を増幅させるより手立てがない(これも補償である)。この増幅はノイズをも増幅させてしまう可能性がありS/N比の低下につながる恐れもある。
要するに、従来の技術では、悪い特性に合わせるために良い特性を故意に悪化させて補償するという後ろ向きの対策しか講じられておらず、伝送路を介しての伝送時の信号劣化を根本的に解消することは不可能であった。
そこで、本発明の目的は、伝送時の位相遅れが極めて少なく、振幅減衰(電圧降下)も極めて少なく、信号劣化が従来と比して格段に少ない伝送媒体を提供することにある。
本発明の他の目的は、簡素な構成で、きわめて低コストで、伝送時の位相遅れと振幅減衰(電圧降下)が極めて少ない伝送媒体を提供することにある。
前述の課題を解決するため、本発明による伝送媒体は、次のような特徴的な構成を採用している。
(1)導電材料から成る直線状の第1と第2のラインが平行に離隔配設され、
導電材料から成る曲線状の第3のラインが、前記第1と第2のラインにそれぞれ交互に一方向から絡まって前記第1と第2のライン方向に沿って第1の形状態様で巻回され、
導電材料から成る曲線状の第4のラインが、前記第1と第2のラインに沿って前記第1の形状態様とは逆の形状態様で、前記第1と第2のラインにそれぞれ交互に一方向から絡まって巻回されて成る伝送媒体。
(2)前記第1乃至第4のラインは、そこを流れる電流による電磁的相互作用が働く範囲内に配設されている上記(1)の伝送媒体。
(3)前記第1の形状態様は、前記第3と第4のラインが前記第1と第2のラインに絡んで正弦波形状となっている上記(1)又は(2)の伝送媒体。
(4)前記第1の形状態様は、前記第3と第4のラインが前記第1と第2のラインに絡んで山形状となっている上記(1)又は(2)の伝送媒体。
(5)前記第1乃至第4のラインは、入力端側と出力端側において共通接続されている上記(1)乃至(4)のいずれかの伝送媒体。
(6)前記第1と第2のラインが入力端側と出力端側において共通接続され、前記第3と第4のラインが入力端側と出力端側において共通接続されている上記(1)乃至(4)のいずれかの伝送媒体。
(7)前記第1と第2の共通接続部は接地され、前記第3と第4の共通接続された入力側から信号が入力される上記(6)の伝送媒体。
(8)前記第1と第2のラインが入力端側と出力端側において共通接続され、前記第3と第4のラインが独立のラインとされている上記(1)乃至(4)のいずれかの伝送媒体。
(9)前記第1と第2のラインが共通接続されて接地され、前記第3と第4のラインが独立の信号ラインである上記(8)の伝送媒体。
(10)前記伝送媒体は、ボビンに巻回されている上記(1)乃至(9)のいずれかの伝送媒体。
(11)上記(1)乃至(10)のいずれかの伝送媒体を含んで成る伝送媒体。
本発明の伝送媒体によれば、信号伝送時の位相遅れが極めて少なく、振幅減衰(電圧降下)も格段に少なく、高周波数帯においても信号劣化が従来と比して格段に少なくすることができる。しかもその構成は簡素な受動素子として構成され、コストもきわめて廉価であり、その応用範囲は無限に広がり、産業上の発達に非常に大きなインパクトを与える。
以下、本発明による伝送媒体の好適実施例の構成および効果について添付図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明者は、以下に説明するような簡単な構成の伝送媒体を提案し、この伝送媒体が周波数依存性が殆どなく、伝送時の位相遅れや振幅減衰が従来と比較して桁違いに少ないことを実験的に確認した。
図1は本発明による伝送媒体の構造を模式的に示す正面図である。
本発明の伝送媒体は、図1に示すように、2本の直線ラインL1、L2と、2本の互いに略180度位相の異なる、例えば、2本の山形状や正弦波形状の曲線ラインを備える。2本の曲線ラインL3とL4は、直線ラインL1、L2に図示の如く絡んで構成される。これらの2本の曲線ラインは、正確な正弦波形状である必要はなく、要するに同一位置において山形状の半周期形状と、その反転形状であれば良い(水平軸に対して対称形状)。
図1を参照すると、2本の直線ラインL1とL2は所定間隔離隔されて略平行に配置されている。ただし、後述するように、本発明は各ラインを流れる電流(電子の移動)による電磁的な相互作用に起因して効果が得られると考えられるので、すべてのラインは、この相互作用が働く範囲内に配置される。各ラインは表面が絶縁膜で被覆されている。ラインを絶縁膜で被覆せずとも互いが接触していない状態であれば良い。ラインは、通常の線材で良く、銅、アルミ等、導電材料であればその種類を問わない。直線ラインL1とL2の離隔距離Wは略4mm、直線ラインでの絡み位置間隔Sは略5mmである。
本発明の伝送媒体では、曲線ラインL3とL4のストレートラインL1とL2に対する絡み、編み構造に一つの大きな特徴を有する。すなわち、図1において、曲線ラインL3について言えば、位置P1では、曲線ラインL3が直線ラインL2の奥側から手前側に折れ曲がるように絡み、位置P2では直線ラインL1の奥側から手前側に折れ曲がるように絡み、位置P3では、曲線ラインL3は直線ラインL2の奥側から手前側に折れ曲がるように絡み、位置P4では直線ラインL1の奥側から手前側に折れ曲がるように絡み、位置P5では、曲線ラインL3が直線ラインL2の奥側から手前側に折れ曲がるように絡み、以後同様な絡み方、編み方がなされる。
一方、図1において、曲線ラインL4について言えば、位置P1では、曲線ラインL4が直線ラインL1の奥側から手前側に折れ曲がるように絡み、位置P2では直線ラインL2の奥側から手前側に折れ曲がるように絡み、位置P3では、曲線ラインL4は直線ラインL1の奥側から手前側に折れ曲がるように絡み、位置P4では直線ラインL2の奥側から手前側に折れ曲がるように絡み、位置P5では、曲線ラインL3が直線ラインL1の奥側から手前側に折れ曲がるように絡み、以後同様な絡み方、編み方がなされる。なお、上記構成において、曲線ラインL3とL4の位置P1〜P5等における絡み方、折れ曲がり方は、奥側から手前側に折れ曲がっているが、逆に手前側から奥側に折れ曲がるように構成しても良い。
このとき、曲線ラインL3とL4は位置間の略中央位置で交差している。いわゆる、クロスワインディング構造となっている。このような絡み、編み込み構造で本発明の伝送媒体は構成される。
上記の如き構成を有する本発明の伝送媒体は、入力信号が位置P0の入力側端において入力され、出力側端から出力される際に、電圧降下や位相遅れの面できわめて大きな効果を奏することが実験的に確認された。
上記の構成で実際の使用時には、ライン同士を結合して利用することも可能である。例えば、図2に示すように、4本のラインの入力側と出力側のそれぞれを結合して1本のラインとして使用することもできるし、図3に示すように、2本の直線ライン同士を結合し、2本の曲線ライン同士を結合して、2本のラインとして用いることもできる。勿論。図4に示すように4本の各ラインを独立に利用することができる。また、4本のラインのうち2本を結合し、残り2本を独立ラインとして使用することもできる。例えば、結合した2本の直線インラインL1、L2を接地し、残り2本をオーディオステレオ信号のLラインとRラインとして使用することにより音質の格段なる改善を図ることができる。
また、図1の構造では、直線ラインL1、L2と曲線ラインL3、L4は接触状態で編み込んでいるが、相互の配置関係が上記のような構成であれば本発明の効果は達成できる。例えば、直線ラインL1とL2を高さ方向に所定距離(電磁界の相互作用が生じるとき)離隔配置し、その間に2本の曲線ラインを垂直方向に離隔配置することができる。この場合も、すべてのラインは電磁的に結合される距離範囲に配設されている。
次に、上記構成を有する本発明による伝送媒体を用いて信号伝送したときの実験、測定で得られた結果、効果を説明する。
この実験は、図1の2本の直線ラインL1、L2の入力側と出力側のそれぞれを接続、結合して第1のライン(往路)し、2本の曲線ラインL3、L4を接続、結合して第2のライン(帰還路)として利用した場合の入力信号の出力側における信号レベル減衰(電圧降下)と位相遅れについて測定したものである。
実験、測定は、かかる構成で、周波数を100kHz〜20MHzまで変化させた入力信号を本発明の伝送媒体に伝送して出力側のオシロスコープで測定された出力信号の位相遅れと信号減衰状況を測定した。また、比較のため従来の伝送路についても同様な実験を行った。
図5は本実験で用いられた測定装置の概略図である。
本測定装置は、本発明による伝送媒体を少なくとも含む伝送媒体(本実施例では伝送路自体が本発明による伝送媒体で構成されている)の入力側に発信信号源10が接続され、出力側に出力信号の位相遅れと減衰状況をモニタするための測定器(本例ではオシロスコープ)20が接続されている。入力側と出力側に接続されている発振源10とオシロスコープ20は、50Ωの整合用(終端用)の抵抗がそれぞれ接続されている。
より具体的に実験に使われた測定装置と伝送路を説明すると、図1に示す伝送媒体の直線ラインL1とL2の入力側と出力側をそれぞれ接続して第1の伝送ラインL11(図3参照)を構成し、曲線ラインL3とL4の入力側と出力側をそれぞれ接続して第2の伝送ラインL22(図3参照)を構成し、第1の伝送ラインL11を接地してグラウンドとし、第2の伝送ラインL22を信号ラインとして発振源10からの発信信号が入力される。発振源10から生成される発振信号は、正弦波信号と方形波信号で周波数が可変である。
ここで、使用された本発明の伝送媒体の長さは29m、インダクタンス725mH、抵抗値3.3Ωである。なお、4本のラインで構成される伝送媒体は、ボビン(コア)に巻き付けることもでき、この場合であっても以下に説明するような同様な効果が実験的に確認されている。
また、伝送媒体として従来から一般的に使用されている被覆電線を伝送媒体として用いたときの実験、測定結果も同時に示した。
図5の測定装置の発振器10としてはTektronix社製のAFG3102を、オシロスコープとしてTEXIO社製のDSC-9506を、Probeとして関西通信電線社製のRG−58A/U,Xmを使用した。また、従来の伝送路としての線路はコアに巻回された長さ29mの電線(線径(芯線)0.35mmφ、線外径(絶縁被覆を含む)0.4mmφ)でインダクタンス725mH、抵抗3.3Ωを使用し、本発明の伝送媒体としては同様にコアに巻回された長さ29mのライン(直線ラインL1、L2と曲線ラインL3、L4ともに線径(芯線)0.35mmφ、線外径(絶縁被覆を含む)0.4mmφ)で曲線ラインL3、L4のインダクタンスは738mH、抵抗4.0Ω、直線ラインL1、L2のインダクタンスは741mH、抵抗3.2Ωのものを使用した。
測定条件としては、発振器10で生成される信号は、周波数100kHz、位相0.0°、電圧1.0Vppの方形波信号と、周波数100kHz、位相0.0°、電圧1.0Vppの正弦波信号であった。
一般に、高周波信号の伝送路は浮遊インダクタンスと浮遊容量、更には抵抗成分のような等価的に分布定数回路で構成されるため信号伝送時には必ず位相の遅れや振幅減衰(電圧降下)が生じ、前述のような信号波形の劣化が生じてしまう。
これに対して、本発明を用いれば、この位相遅れや振幅減衰が従来と比較して桁違いに小さくなることを実験的にも確認した。
図6(A)と図6(B)には、発振器10から100kHzの正弦波信号を本発明による伝送媒体と従来の伝送媒体(電線)とに入力したときに出力側のオシロスコープで観測された波形図である。
図6(A)には、正弦波信号を入力したときに出力側のオシロスコープ20で測定された横軸を時間軸とした本発明による伝送媒体(伝送路)を使用したときの入力波形(点線)と出力波形(実線)が示されている。この実験では位相遅れは190nsが観測された。
一方、図6(B)には、正弦波信号を入力したときに出力側のオシロスコープ20で測定された横軸を時間軸とした従来の伝送路を使用したときの入力波形(点線)と出力波形(実線)が示されている。この実験では位相遅れは2.36μs(2,360ns)が観測された。
この実験結果によれば、従来の位相遅れが2,360nsであるのに対して本発明による伝送媒体を用いれば、その位相遅れは190nsであり、従来と比較して10分の1以下の値に抑制することができた。
図7(A)には、方形波信号を入力したときに出力側のオシロスコープ20で測定された横軸を時間軸とした本発明による伝送媒体(伝送路)を使用したときの入力波形(点線)と出力波形(実線)が示されている。この実験では位相遅れは164nsが観測された。
一方、図7(B)には、方形波信号を入力したときに出力側のオシロスコープ20で測定された横軸を時間軸とした従来の伝送路を使用したときの入力波形(点線)と出力波形(実線)が示されている。この実験では位相遅れは2.10μs(2,100ns)が観測された。
この実験結果によれば、従来の位相遅れが2,100nsであるのに対して本発明による伝送媒体を用いれば、その位相遅れは164nsと従来と比較して10分の1以下に抑制することが確認できた。
図8には、従来の伝送媒体を使用したときと本発明による伝送媒体を使用したときの伝送終端側における信号減衰(電圧降下)及び信号遅延時間(位相遅れ)を周波数を100kHzから20MHzまで変化させた正弦波信号と方形波信号(1Vpp)について測定した測定結果が示されている。発信源10からの出力信号は従来の電線を使用した場合には、周波数100kHzで出力電圧値212mV、遅延時間2360ns、周波数500kHzで出力電圧値30mV、遅延時間2520ns、周波数1MHzで出力電圧値9・68mV、遅延時間2770ns、と周波数が高いほど信号劣化が大きくなっている。1MHz以上の周波数についても測定したが、ノイズの影響が大きくなりすぎて測定が不可能であった。
これに対して、本発明による伝送媒体を使用したときの測定結果が図8の右側に示されている。測定結果によると、周波数100kHzで出力電圧値896mV、遅延時間190ns、周波数500kHzで出力電圧値896mV、遅延時間184ns、周波数1MHzで出力電圧値864mV、遅延時間172nsが得られ、例えば、1MHzでは従来と比較して100分の1程度の減衰しかなく、遅延時間も従来の20分の1程度に抑制されていることが分かる。従来の電線ではノイズ成分の影響が顕著になって測定不能になった20MHzの周波数であっても、本発明の伝送媒体によれば出力電圧400mVが得られ、減衰は半分程度で済み、遅延時間も162nsと100kHzのときよりも逆に改善されていることが確認された。このように本発明の伝送媒体は周波数に依存しないきわめて良好な伝送特性が得られる。
上記のような本発明の伝送媒体の振幅減衰(電圧低下)と遅延時間の周波数依存性が正弦波信号と方形波信号それぞれについて図9(A)と図9(B)に示されている。同図において、左側縦軸は振幅減衰を電圧比(dB)で表わし、右側縦軸は遅延時間を表わしている。
図9(A)と図9(B)から明らかなように、正弦波信号と方形波信号の周波数を100kHz〜20MHzに変化させたときであっても、正弦波信号、方形波信号で電圧比は−5〜−10dB程度に留まり、振幅減衰(電圧降下)は周波数に依存せず減衰もきわめて少ないことが確認できた。
また、遅延時間も正弦波信号と方形波信号の周波数を100kHz〜20MHzに変化させたときであっても遅延時間は150ns程度と従来電線とは比較できないほどの結果が得られ、遅延時間も周波数に依存せずほぼ一定値が得られた。
この実験結果は驚くべきことで、特に高周波数帯においては伝送媒体が等価的に分布定数回路であることを考えると、通常の常識では考えられない結果である。しかし、現実に本発明の伝送媒体を用いれば、かかる結果が得られている。これは、上述の如く、特徴的構成を備える4本のラインに流れる電流に起因する電磁的相互作用がその主たる要因と考えられる。
以上、本発明による伝送媒体の好適実施例の構成および実験結果を詳述した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であること、当業者には容易に理解できよう。例えば、本発明のラインの大きさは任意であり、ライン間の電磁的相互作用が働く範囲であれば他のラインとの離隔距離も問題とはならない。つまり、ラインを流れる電流が大きければ、電磁的相互作用が働く範囲は広くなり、発電所などで大電流が供給される場合には大規模なスケールの大きな伝送媒体とすることもできる。逆に、集積回路の配線に本発明を適用するときには配線を流れる電流は非常に小さく、伝送媒体は小さいスケールで済む。
本発明による伝送媒体の好適実施例の構成を示すブロック図である。 本発明の他の実施例の簡素化された構成を示し、4本のラインの入力側と出力側のそれぞれを結合して1本のラインとして使用する実施例の構成図である。 本発明の更に他の実施例の簡素化された構成を示し、2本の直線ライン同士を結合し、2本の曲線ライン同士を結合して、2本のラインとして使用する実施例の構成図である。 本発明の他の実施例の簡素化された構成を示し、4本の各ラインを独立に使用する実施例の構成図である。 本発明の効果を実証するための実験、測定で用いられた測定装置の概略図である。 図6(A)と図6(B)は、本発明の効果を実証するために、本発明による伝送媒体と従来の伝送路とに正弦波信号を入力したときに出力側のオシロスコープで観測された波形図である。 図7(A)と図7(B)は、本発明の効果を実証するために、本発明による伝送媒体と従来の伝送路とに方形波信号を入力したときに出力側のオシロスコープで観測された波形図である。 従来の伝送媒体を使用したときと本発明による伝送媒体を使用したときの伝送終端側における信号減衰(電圧降下)及び信号遅延時間(位相遅れ)を周波数を100kHzから20MHzまで変化させた正弦波信号と方形波信号(1Vpp)について測定した測定結果が示す図である。 本発明の伝送媒体の振幅減衰(電圧低下)と遅延時間の周波数依存性を正弦波信号と方形波信号それぞれについて示す図である。
符号の説明
10 発振源
20 オシロスコープ

Claims (11)

  1. 導電材料から成る直線状の第1と第2のラインが平行に離隔配設され、
    導電材料から成る曲線状の第3のラインが、前記第1と第2のラインにそれぞれ交互に一方向から絡まって前記第1と第2のライン方向に沿って第1の形状態様で巻回され、
    導電材料から成る曲線状の第4のラインが、前記第1と第2のラインに沿って前記第1の形状態様とは逆の形状態様で、前記第1と第2のラインにそれぞれ交互に一方向から絡まって巻回されて成ることを特徴とする伝送媒体。
  2. 前記第1乃至第4のラインは、そこを流れる電流による電磁的相互作用が働く範囲内に配設されていることを特徴とする請求項1に記載の伝送媒体。
  3. 前記第1の形状態様は、前記第3と第4のラインが前記第1と第2のラインに絡んで正弦波形状となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送媒体。
  4. 前記第1の形状態様は、前記第3と第4のラインが前記第1と第2のラインに絡んで山形状となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載の伝送媒体。
  5. 前記第1乃至第4のラインは、入力端側と出力端側において共通接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の伝送媒体。
  6. 前記第1と第2のラインが入力端側と出力端側において共通接続され、前記第3と第4のラインが入力端側と出力端側において共通接続されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の伝送媒体。
  7. 前記第1と第2の共通接続部は接地され、前記第3と第4の共通接続された入力側から信号が入力されることを特徴とする請求項6に記載の伝送媒体。
  8. 前記第1と第2のラインが入力端側と出力端側において共通接続され、前記第3と第4のラインが独立のラインとされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の伝送媒体。
  9. 前記第1と第2のラインが共通接続されて接地され、前記第3と第4のラインが独立の信号ラインであることを特徴とする請求項8に記載の伝送媒体。
  10. 前記伝送媒体は、ボビンに巻回されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の伝送媒体。
  11. 請求項1乃至10のいずれかに記載の伝送媒体を含んで成ることを特徴とする伝送媒体。

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